JP4299908B2 - 物体の境界決定方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像中の物体の輪郭をトレースする物体の境界決定方法および装置に関し、さらに詳しくは、例えば血球や細胞などの粒子を、顕微鏡を介してビデオカメラ等で撮像して画像メモリに取り込み、この取り込んだ画像中の粒子領域の境界を画像処理によって決定する物体の境界決定方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、物体の形状を知ることにより、その物体の特徴や傾向を知ることができる。例えば、血液や尿中に含まれる血球や細胞の形状により、体の状態を知ることが可能である。このため、血球や細胞(通常「粒子」と呼ぶ)をビデオカメラ等で撮像し、画像処理によって血球や細胞の形状を解析することが行われている。この解析では、粒子の輪郭(エッジまたは境界ともいう)を追跡(トレース)することにより、粒子の周囲長や面積などの特徴量を算出し、どのような形状をしているのかを数値的に把握するようにしている。
【0003】
画像中のある領域の境界に注目し解析する手法としては、従来、例えば特公平5−71991号公報に記載の「物体の境界の決定方法及び装置」や、特聞昭63−301372号公報に記載の「画像処理装置」などが知られている。
【0004】
特公平5−71991号公報に記載の方法では、図27に示すように、以下の方法で画像処理を行い、物体の境界を追跡するようにしている。
ステップl:血球や細胞などの物体を撮像し、撮像した画像をA/D変換し、各画素の輝度を多値画像(グレースケール)としてフレーム(画像)メモリに取り込み記憶する。これを第1表示とする。
【0005】
ステップ2:物体と背景とを区別するためのしきい値を設定し、そのしきい値により、多値画像を2値画像に変換し、別のフレームメモリに記憶する。これを第2表示とする。
【0006】
ステップ3:2値画像において、着目する画素とその周囲8方向に隣接する8画素の値を取り出し、ルックアップテーブルで変換し、これを別に用意したフレームメモリに蓄える。これを第3表示とする。これにより、物体の輸郭部分の画素のみに非“0”の値を持たせ、物体の内部および外部の画素には“0”の値を持たせる。
【0007】
ステップ4:第3表示画像をラスタースキャンし、非ゼロ値の画素を探索する。いったん非ゼロ値の画素を見つければ、その値とその画素に到達するために進行してきた方向をパラメータとしてルックアップテーブルを参照し、次に進むべき画素の方向を決定する。境界部分の画素を追跡する度にその画素に対応する第3表示のメモリの内容をゼロクリアする。第3表示のメモリで次に連接(チェーン)する画素の内容が非ゼロである間、境界部分の画素を追跡し、次に連接する画素の内容がゼロであれば、全ての境界部分の画素を追跡し終わったものとみなし、境界の迫跡を終了する。このようにして物体の境界を追跡し、最終的にチェーンコードを得る。
【0008】
また、特開昭63−301372号公報に記載の方法では、以下の方法で画像処理を行い、物体の境界を追跡するようにしている。
上記ステップ1〜3までは特公平5−71991号公報に記載の方法とほぼ同じで、ステップ3から得た第3表示の画素値に対し、前の画素の方向をkとした場合、k+2審目の桁(kが奇数)、あるいはk+3審目の桁(kが偶数)からkが増加する方向にチェーン方向を探索し、最初に見つかる「1」となった桁をチェーンコードとして、境界を追跡するようにしている。
【0009】
従来においては、このような方法で画像処理を行って境界の追跡を行うようにしていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特公平5−71991号公報に記載のエッジトレースの方法は、ルックアップテーブルを多用しており、論理回路の規模としては比較的大きく、またルックアップテーブルに用いるPROMは論理素子としては比較的低速であるため、境界点追跡回路の高速化、低価格化が図りにくいという問題があった。
【0011】
また、特開昭63−301372号公報に記載のエッジトレースの方法は、トレース方向の探索のために数ステップを必要とし、処理の高速化が困難であるという問題があった。
【0012】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、顕微鏡などを経てビデオカメラで撮像した物体の画像の輪郭の追跡を、高速かつ少ない回路規模で行うことができるようにした物体の境界決定方法及び装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明の粒子の境界決定方法は、試料中の粒子を撮像した画像の各画素の濃度情報2値信号に変換された2値画像に基づいてその2値画像における粒子領域に位置する各画素について、周囲を取り囲む近傍画素の2値信号値を示す近傍画素状態値を取得するとともに、粒子領域の頂点に位置する第1画素の座標を求め、その座標に位置する第1画素を始点とし、第1画素の近傍画素状態値を参照して次に連接すべき第2画素を決定し、第1画素から第2画素に連接する方向を示す第1絶対連接方向値に基づいて第2画素の近傍画素状態値を正規化し、正規化された近傍画素状態値を参照して次に連接すべき方向を示す相対連接方向値を求め、第1絶対連接方向値と前記相対連接方向値とから次に連接すべき方向を示す第2絶対連接方向値を算出することにより、次に連接すべき第3画素を決定し、これを粒子の境界に位置する各画素について繰り返すことにより粒子の境界を追跡することを特徴とするものである。
【0014】
この発明によれば、物体の境界の追跡に際しては、物体領域の頂点に位置する画素を始点とし、物体の境界に位置する画素の連接してきた方向を基準とする相対連接方向値を求めることにより次に連接する方向の絶対連接方向値を算出するようにしているので、従来のルックアップテーブルを用いる方法と比較して、物体の画像の境界の追跡を、高速かつ少ない回路規模(高集積化)で行うことが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の物体の境界決定方法において、処理対象である画像はカメラなどで物体を撮像することにより得られる。このカメラとしては、撮像した物体の画像を電気信号に変換して出力することが可能なものであればよく、CCD(電荷結合素子)を用いた通常のビデオカメラを適用することができる。
【0016】
このように、カメラとして通常のビデオカメラを適用すれば、撮像した画像は複数の画素をスキャンしたアナログ映像信号として得られる。したがって、アナログ映像信号をグレースケール(多値画像)で表したディジタル信号への変換、ディジタル信号の2値信号への変換、2値信号の近傍画素状態値への変換、および連接方向値の算出は、CPU,ROM,RAM,I/Oポートからなるマイクロコンピュータを備えた画像処理装置(イメージプロセッサ)で行うことができる。
【0017】
上記構成においては、次に連接する方向の絶対連接方向値を、前に連接してきた方向の絶対連接方向値に相対連接方向値を加えることにより算出することができる。
【0018】
また、この発明の物体の境界決定装置は、物体を撮像した画像の各画素の濃度情報を2値信号に変換し物体領域を抽出する2値化部と、得られた2値画像に対し、物体領域に位置する画素についてそれら各画素が周囲の2値信号に応じた値を持つような近傍画素状態値に変換する画素抽出部と、物体領域の頂点に位置する画素の座標を求める座標抽出部と、上記座標抽出部で得られた座標に位置する画素を始点とし、上記画素抽出部によって変換された近傍画素状態値を参照しながら物体の境界に位置する画素の連接してきた方向を基準とする相対連接方向値を求めることにより次に連接する方向の絶対連接方向値を算出し、これを境界に位置する各画素について繰り返すことにより物体の境界を追跡するエッジトレース部を備えてなることを特徴とする。
【0019】
以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明を詳述する。なお、これによってこの発明が限定されるものではない。
【0020】
図lはこの発明の物体の境界決定方法の実施に直接使用する物体の境界決定装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
この物体の境界決定装置は、測定する対象物1を撮像するビデオカメラ2と、イメージプロセッサ(画像処理装置)3と、マイクロコンピュータ4と、CRTディスプレイ装置5と、外部記憶装置6から構成されている。
【0022】
イメージプロセッサ3は、デジタイザ7と、コンパレータ8と、2値画像保持メモリ9と、画素抽出部(ここでは8近傍画素抽出フィルタ10と8近傍画素メモリ11)と、エッジトレース部12と、特徴量抽出部13とから構成されている。
【0023】
測定する対象物1は、例えばイメージングフローサイトメータ等を流れる血球や尿に合まれる細胞などの粒子である。
イメージングフローサイトメータとは、血液や尿などを希釈した試料液(サンプル液ともいう)をフローセルと呼ばれる透明な管中に導いて試料流(サンプル流ともいう)を形成し、この試料流に対しストロボ光やパルスレーザ光のようなパルス光を照射して、血液中に合まれる血球や尿中に合まれる細胞のような粒子(被検粒子と称すこともある)をビデオカメラで撮像する装置であり、本実施例では図示していないが、対象物1をビデオカメラ2で撮像する場合、このような方法で撮像することが可能である。
【0024】
ビデオカメラ2は、市販のビデオカメラであり、イメージングフローサイトメ一タを流れる血球や細胞等の対象物1を、顕撒鏡を介して撮像する。このようなビデオカメラ2には、画素数に対応する多数のCCDが光電変換素子として用いられており、ビデオカメラ2は、このCCDにより対象物lの画像を光電変換して、EIA準拠のアナログ映像信号を出力する。
【0025】
デジタイザ7は、ビデオカメラ2からのアナログ映像信号をA/D変換する。すなわち、アナログ映像信号を、各画素の輝度(光強度)を例えば0〜255までの256段階のデジタルの8ビット信号で表した多値画像(グレースケール)に変換し、これをラスタースキャン(線順次走査)の様式で順次出力する。多値画像の値については後ほど詳述する。
【0026】
このようにしてデジタイザ7から出力される情報は、対象画像の各画素の濃度情報といえるものであり、この情報が、以下に述べる2値化部、画像抽出部、座標抽出部、エッジトレース部で処理されることにより、物体の境界が追跡される。
【0027】
2値化部は、例えばコンパレータ8と2値画像保持メモリ9とから構成される。
コンパレータ8は、グレースケールのディジタル信号を、名画素毎に、粒子を“l”、背景を“0”とする2値のレベルに振り分け、この2値信号をラスタースキャンの様式で順次出力する。すなわち、グレースケールに変換された粒子などの対象画像の輝度ヒストグラムをあらかじめ解析しておき、背景と粒子とが好適に分離されるしきい値を求めておく。そして、コンパレータ8にこのしきい値をセットし、粒子を“l”、背景を“0”とする2値に振り分ける。この振り分けは、粒子を“0”、背景を“1”とするものであってもよい。
【0028】
2値画像保持メモリ9は、粒子と背景とに2値化された画像を保持するメモリであり、着目画素およびその着目画素の周囲8画素の2値化情報(1か0かの情報)をラスタースキャンの様式で順次出力する。2値画像保持メモリ9の記憶内容については後ほど詳述する。
【0029】
画素抽出部は、例えば8近傍画素抽出フィルタ10と8近傍画素メモリ11とから構成される。
8近傍画素抽出フィルタl0は、2値画像の全画素を順次着目画素とし、その着目画素の周囲の8近傍画素の2値について論理演算を行い、粒子の内部と外部の画素については“0”の値を持ち、粒子の境界にある画素については非“0”の値を持つような8ビットデータ(1バイトすなわち1ワードのデータ)を、ラスタースキャンの様式で順次出力する。
【0030】
8近傍画素メモリ11は、画像入力時における動作と、エッジトレース時における動作との2状態の動作モードを有しており、画像入力時には、8近傍画素状態値(上述した“0”または“8ビットデータ”の値)がラスタースキャンの様式で順次入力される。すなわち、前ステージの8近傍画素抽出フィルタ10から8近傍画素状態値がラスタースキャンの様式で順次出力されるので、これを受けてこの8近傍画素状態値を保持する。また、エッジトレース時には、次ステージのエッジトレース部12が粒子の境界に沿って指示するアドレスに保持されている8近傍画素状態値を出力する。
【0031】
エッジトレース部12は、8近傍画素メモリ11の内容を参照しながら粒子のエッジ(境界または輪郭ともいう)を画素単位でトレース(追跡)し、粒子の境界が表す連接コード(チェーンコード)を出力する。このトレースの方法については後程詳述する。
【0032】
特徴量抽出部13は、前ステージのエッジトレース部12が出力する粒子の境界が表すチェーンコードから、粒子の周囲長や面積等の特徴量を求めて出力する。
【0033】
マイクロコンピュータ4は、イメージプロセッサ3の各要素を適切に制御する。また周囲長や面積のような特徴量を粒子ごとに一時記憶し、統計処理を施し、CRTディスプレイ装置5に出力する。
CRTディスプレイ装置5は、この統計処理の結果を表示する。
物体の境界決定等の制御プログラムは、マイクロコンピュータ4の主メモリ上で実行される。
【0034】
本発明において外部記憶装置6が設けられていてよい。
外部記憶装置6は、マイクロコンピュータ4を制御するためのプログラム、すなわち本発明の物体の境界決定装置をマイクロコンピュータ4によって制御するためのプログラムを記憶することができる。また、イメージブロセッサ3で得られた粒子の特徴量や統計処理の結果を記憶することができる。
【0035】
この外部記憶装置6は、ハードディスクにデータの書き込みや読み出しを行うハードディスク装置や、フロッピーディスクにデータの書き込みや読み出しを行うフロッピーディスク装置であってもよいし、回線を通じて接続されたファイルサーバのような他の装置と共用の記憶装置であってもよい。
物体の境界決定の制御プログラムが、この外部記憶装置6からローディングされた後、マイクロコンピュータ4の主メモリ上で実行されてよい。
【0036】
次に、上記8近傍画素抽出フィルタ10の処理について詳述する。8近傍画素抽出フィルタ10の処理では、1ラスタースキャンの走査時間の間に以下のような論理演算を行う。
【0037】
図2に示すように、中心の着目画素n8に対し、3時の方向から反時計周りに8近傍画素n0,n1,n2,n3,n4,n5,n6,n7を定義し、8近傍画素メモリ11の着目画素n8に対応する位置に以下の論理式の演算結果aを8ビットデータとして記憶する。
【0038】
a=n8&(n0♯n1♯n2#n3#n4#n5#n6#n7)&nj
(ただし、#は論理和、&は論理積、!は否定、njは“n7n6n5n4n3n2n1n0”のバイナリー表示を表す)
【0039】
具体的には、n8と、(n0♯n1#n2#n3#n4♯n5♯n6#n7)と、njのアンド(論理積)をとっており、以下の意味を持っている。
右辺の第l項は着目画素が粒子領域、すなわち粒子の境界または内部にあるか否かを表し、第2項は着目画素の周囲に“1”となる画素があるか否かを表し、第3項は着目画素の周囲8画素の状態をを表している。
【0040】
つまり、着日画素が“0”であれば、これは背景とみなして8近傍画素の値に関係なくaを“0”とする。着目画素が“1”であっても、8近傍画素が全て“0”であれば、これは粒子ではなく塵等とみなしてaを“0”とする。
【0041】
結局、上記のような論理条件下で“0”にならない画素が、粒子の境界および内部に位置する画素とみなされる。したがって、背景の画素だけが“0”の値を持ち、粒子の境界および内部に位置する画素はa=njの値、つまり非“0”の値を持つことになる。このように、着目画素が粒子の境界および内部に位置する場合には、その着日画素の周囲の8近傍画素状態値(1か0かの2値)が8近傍画素メモリ11の着目画素に対応する位置に8ビットデータで保持される。
【0042】
例えば、着目画素n8を合む8近傍画素nj(j=0〜7)図3に示すような2値状態であれば、njは“n7n6n5n4n3n2n1n0”すなわち“11111000”となり、8近傍画素メモリ11の着目画素n8に対応する位置には、(11111000)Bの値、つまり0x“F8”の値が記憶される。ただし“( )B”は2進数(バイナリーコード)であることを示す記号であり、“0x”または“( )H”は16進数(ヘキサコード)であることを示す記号である。
【0043】
このようにして、2値化後の画像に対して上記のような手法で画像に合まれる粒子を抽出し、粒子の境界および内部に位置する画素の周囲の状況を8近傍画素状態値として保持しておくことにより、後述するようなより少ない回路規模でエッジトレースを実現する。
【0044】
なお、上記の論理式において、右辺に!(n0&n2&n4&n6)の項を加えて、粒子の境界に位置する画素だけを抽出するようにしてもよい。すなわち、論理式を
a=n8&(n0♯n1♯n2#n3#n4♯n5♯n6♯n7)&!(n0&n2&n4&n6)&njとし、n8と、(n0♯n1#n2♯n3♯n4#n5#n6♯n7)と、!(n0&n2&n4&n6)と、njのアンド(論理積)をとるようにしてもよい。
【0045】
このようにした場合には、!(n0&n2&n4&n6)の条件を加えることができる。つまり、着目画素が“1”で、8近傍画素のいずれか1つが“l”であっても、8近傍画素の内の時計方向に3時と12時と9時と6時の方向の近傍画素が“1”であれば、これは粒子の内部とみなしてaを“0”とすることができる。
【0046】
したがって、この場合には、粒子の境界でない画素、つまり粒子の外部と内部の画素は“0”の値を持ち、粒子の境界画素だけがa=njの値、つまり非“0”の値を持つことになる。これにより、着目画素が粒子の境界に位置する場合にだけ、その着目画素の周囲の8近傍画素状態値(lか0かの2値)が8近傍画素メモリ11の着目画素に対応する位置に8ビットデータで保持されることになる。
【0047】
次ステージのエッジトレース部12では、粒子の境界に位置する画素だけをトレースしてゆくので、粒子の内部の画素が8近傍画素状態値を持っていても“0”であっても影響はないが、粒子の内部を“0”にして、粒子の境界に位置する画素だけに8近傍画素状態値を与えるようにすることにより、エッジトレース時に、連接する方向の誤りを防止することができる。
【0048】
図4はエッジトレース部12の詳細構成を示すブロック図である。
この図に示すように、エッジトレース部12は、Xアドレスカウンタ21と、Yアドレスカウンタ22と、8近傍画素正規化器23と、第1論理演算器24と、加算器25と、絶対方向レジスタ26と、第2論理演算器27から構成されており、絶対方向レジスタ26からチェーンコード28を出力する。
【0049】
Xアドレスカウンタ21とYアドレスカウンタ22は、8近傍画素メモリ11のデータを読み出す擦に、どの位置のデータを読み出すのかを指定するアップダウンカウンタであり、読み出す画素の座標値を指定するものである。Xアドレスカウンタ21は横方向に相当するX方向の値を指定し、Yアドレスカウンタ22は縦方向に相当するY方向の値を指定する。粒子の境界をトレースする場合には、このXアドレスカウンタ21とYアドレスカウンタ22から指示を与えて、次に連接する境界画素のアドレスにある8近傍画素状態値を8近傍画素メモリ11から読み出す。
【0050】
8近傍画素メモリ11は、上述したように、画像入力時に、ラスタースキャンの様式で前ステージにあたる8近傍画素抽出フィルタ10の出力結果を2次元型画像データとして保持している。その後、エッジトレース時に、Xアドレスカウンタ21とYアドレスカウンタ22で指示されたアドレスの8近傍画素状態値を出力する。
【0051】
8近傍画素正規化器23は、8近傍画素メモリ11に記憶された8近傍画素状態値のビット配置“n7n6n5n4n3n2n1n0”を、絶対方向レジスタ26の値を基準として並べ替え、正規化近傍画素値として出力する。この並び替え(正規化)方法については後述する。
【0052】
第1論理演算器24は、8近傍画素正規化器23から出力される正規化近傍画素値をn0,n1,n2,n3,n6,n7とすれば、以下の演算を行う。
【0053】
d2=(!n0&!n1&!n2&!n3)#n6#n7;
d1=(!n0&!n1&n2)#(!n0&!n1&n3)#n6#n7;
d0=(!n0&n1&!n6)#(!n0&!n2&n3&!n6)♯(!n6&n7);
(ただし#は論理和、&は論理積、!は否定を表す。)
【0054】
この演算によって得られたd2,d1,d0の値(d2d1d0)Bが次の境界の相対連接方向を示すものとなり、第1論理演算器24は、このd2,d1,d0の値を相対連接方向値として出力する。ここで、d2,d1,d0の右辺にはn4とn5が合まれていないが、これはn4とn5が相対連接方向値の算出には不要なデータであることを示している。
【0055】
連接方向を説明するため、図5に(d2d1d0)Bの2進数で示す方向とこれを10進数に変換した方向とを示す。着目画素から連接する方向は8方向であるため、方向は、時計の3時の方向を“0”とし、反時計回りに0〜7の数値で示している。このような方向を示す数値を連接コードという。
【0056】
例えば、(d2d1d0)Bが(011)Bであれば連接方向は“3”の方向であり、(d2d1d0)Bが(010)Bであれば連接方向は“2”の方向である。ただし、この第l論理演算器24から出力される値は、絶対方向レジスタ26の値を基準とした相対連接方向値である。
【0057】
加算器25は、第l論理演算器24から出力された相対連接方向値と、絶対方向レジスタ26に記憶されている絶対連接方向値とを加算し、これを次の境界の絶対連接方向値として出力する。この加算器25は3ビット加算器であり、000〜111までの8通りの値しかとらない。
【0058】
例えば、絶対方向レジスタ26に(011)B=3が記憶されており、上記の論理式で求めた(d2d1d0)Bが(010)B=2であれば、加算器25の出力は(011)B+(010)B=(101)Bとなり、次の境界の絶対連接方向値は“5”の方向となる。
【0059】
また、例えば、絶対方向レジスタ26に(101)B=5が記憶されており、上記の論理式で求めた(d2d1d0)Bが(111)B=7であれば、加算器25の出力は、3ビットだけであるため、(l01)B+(111)B=(100)Bとなり、次の境界の絶対連接方向値は“4”の方向となる。
絶対方向レジスタ26は、この加算器25から出力された次の境界の絶対連接方向値を保持する。
【0060】
チェーンコード28は、絶対方向レジスタ26の出力するデータ系列であり、このような境界の絶対連接方向値のデータ系列を粒子の境界のチェーンコードとして用い、次ステージで粒子の特徴量を算出する。
【0061】
第2論理演算器27は、次の境界の絶対連接方向値よりXアドレスカウンタ21とYアドレスカウンタ22に、図6に示すような増減値を指示する。すなわち、絶対連接方向値が“0”であれば、座標値として(X,Y)=(+1,0)を、“1”であれば(+1,+1)を、“2”であれば(0,+1)を、“3”であれば(−1,+1)を、“4”であれば(−1,0)を、“5”であれば(−1,−1)を、“6”であれば(0,−l)を、“7”であれば(+l,−1)を、それぞれ増減値として指示する。
【0062】
次に、上記8近傍画素正規化器23の処理について詳述する。すなわち、8近傍画素メモリ11に記憶された8近傍画素状態値のビット配置を、前に連接する方向を起点として並び替え、正規化し、次の連接ゴードに変換する過程について具体的に説明する。
【0063】
図7の(a)〜(h)に一例を示すように、着目画素に対して周囲8方向に隣接する8個の近傍画素の関係は、多くは4回対称、場合によって8回対称となる。例えば、図7(a)の8近傍画素状態値のビット配置を反時計方向に1つシフトさせると図7(b)のビット配置となる。同様に、図7(b)を1つシフトさせると図7(c)に、図7(c)をlつシフトさせると図7(d)に、図7(d)を1つシフトさせると図7(e)に、図7(e)を1つシフトさせると図7(f)に、図7(f)を1つシフトさせると図7(g)に、図7(g)を1つシフトさせると図7(h)になる。
【0064】
このように、図7の(a)〜(h)の例では、着目画素に対して隣接する8個の近傍画素の関係は8回対称となり、この対称性に着目して論理圧縮を施すと、エッジトレースを行う際の次の連接方向の算出に必要な論理回路の規模をl/4〜1/8に削減する事が可能である(4〜8倍の集積化が可能である)。
【0065】
このような論理回路の規模の削減のため、8近傍画素正規化器23では、以下のようにして8近傍画素状態値のビット配置をシフトさせる。
例えば、8近傍画素状態値のビット配置が図8に示す配置であるとすれば、中央の空白部分の着目画素に対して連接してきた方向が“0”の方向、つまり前連接コードが“0”であれば、図9(a)に示すように、8近傍画素状態値のビット配置をシフトさせずそのままとする。
【0066】
また、前連接コードが“1”であれば、着目画素に対して“l”の方向から反時計回りにn0〜n7のビット値を取り出す(図9(b)参照)。同様に、前連接コードが“2”であれば、着日画素に対して“2”の方向から反時計回りにn0〜n7のビット値を取り出し(図9(c)参照)、前連接コードが“3”であれば、着目画素に対して“3”の方向から反時計回りにn0〜n7のビット値を取り出し(図9(d)参照)、前連接コードが“4”であれば、着目画素に対して“4”の方向から反時計回りにn0〜n7のビット値を取り出し(図9(e)参照)、前連接コードが“5”であれば、着目画素に対して“5”の方向から反時計回りにn0〜n7のビット値を取り出し(図9(f)参照)、前連接コードが“6”であれば、着目画素に対して“6”の方向から反時計回りにn0〜n7のビット値を取り出し(図9(g)参照)、前連接コードが“7”であれば、着目画素に対して“7”の方向から反時計回りにn0〜n7のビット値を取り出す(図9(h)参照)。
【0067】
例えば、着自画素の8近傍画素が図10に示すような2値である場合、正規化する前の着目画素の8近傍画素状態値は以下のような値である。すなわち、3時の方向から反時計回りにn0,n1,・・・,n7と順番に2値を当てはめるため、
(n7,n6,n5,n4,n3,n2,n1,n0)=(1,1,1,0,0,0,0,0)
の値である。
【0068】
この8近傍画素状態値において、着目画素に連接してきた方向、つまり前連接方向が“3”の方向(図中、矢印Rで示す)であったとすると、方向3で正規札した正規化近傍画素値は、図11に示すように、着目画素から見て“3”の方向を基準にし、そこから反時計回りにn0,n1,・・・,n7と2値を取り出してゆくため、
(n7,n6,n5,n4,n3,n2,n1,n0)=(0,0,0,1,1,1,0,0)
となる。
【0069】
同様に、着目画素の8近傍画素が図12に示すような2値である場合、正規化する前の着目画素の8近傍画素状態値は以下のような値である。
【0070】
(n7,n6,n5,n4,n3,n2,n1,n0)=(1,1,0,0,0,0,0,1)
この8近傍画素状態値において、前連接方向が“4”の方向(図中、矢印Rで示す)であったとすると、方向4で正規札した正規化近傍画素値は、図13に示すように、
(n7,n6,n5,n4,n3,n2,n1,n0)=(0,0,0,1,1,1,0,0)
となる。
【0071】
このように、連接してきた方向に関して正規化を施せば、図10で示した8近傍画素状態値と、図12で示した8近傍画素状態値とは、着目画素に隣接する8画素の2値状態は異なっているにもかかわらず、同じ値となり、これは実は相対的にみれば、8近傍画素が同じ並び方であることを示している。したがって、このように相対的な連接方向を採用することにより、連接方向のパターンを大幅に減らすことができ、これにより、次ステージの第1論理演算器24の論理回路の規模を大幅に圧縮することができる。
【0072】
次に、8近傍画素正規化器23からデータを受け取った場合の第l論理演算器24における処理について詳述する。
【0073】
図14は第1論理演算器24における論理演算の真理値を示す説明図であり、8近傍画素正規化器23から出力される正規化近傍画素値と、第1論理演算器24から出力される相対連接方向値との関係を示している。
【0074】
例えば、第1論理演算器24から出力される正規化近傍画素値が前述のような(n7,n6,n5,n4,n3,n2,n1,n0)=(0,0,0,1,1,1,0,0)であれば、これ0xlCであるので、相対連接方向値は“2”(0,l,0)となり、境界の連接方向が、着自画素から反時計方向に90°の方向に転進することを意味している。
【0075】
このように、第1論理演算器24は、8近傍画素正規化器23から出力される正規化近傍画素値n0,n1,n2,n3,n6,n7から、上述した論理演算によって相対連接方向値d2,d1,d0を得るのであるが、8近傍画素を正規化しているために、図14に示すように、正規化近傍画素値は19種類のパターンに集約され、これによる相対連接方向値は0,1,2,3,4,6,7の7方向となり、極めて簡単な論理横算処理となる。
【0076】
この相対連接方向値の0〜7の意味は、境界の連接する方向を意味する。すなわち、方向0は前連接方向と同じ方向に転進することを意味し、方向1は前連接方向に対して反峙計回りで45°の方向に転進することを意味し、方向2は前連接方向に対して反時計回りで90°の方向に転進することを意味し、方向3は前連接方向に対して反時計回りで135°の方向に転進することを意味し、方向4は前連接方向に対して反時計回りで180。の方向に転進することを意味し、方向6は前連接方向に対して反時計回りで270°の方向に転進することを意味し、方向7は前連接方向に対して反時計回りで315°の方向に転進することを意味する。
【0077】
参考のために説明すれば、相対連接方向値d2,d1,d0の出力には、“5”の値がない。これは、図15(a)および図16(a)に示すように、境界の前連接方向に対して225°転進することを意味するが、物体の境界を左回りにトレースする場合、図15(b)および図16(b)に示すように、225°転進することはできず、このため、相対連接方向値の出力には、“5”という値は存在しない。
【0078】
なお、この“5”の方向と対称な“3”の方向ついては、図17の(a)および(b)に示すように、境界のトレース方向に対して135°転進することを意味し、この転進は可能である。
【0079】
“4”の方向への転進については、180°の方向であるため、もとの方向へ戻ることとなるが、線状あるいは棒状の粒子であればこの方向への転進はあり得る。
【0080】
以上述べたような論理演算により、エッジトレース部12は、次に運接すべき画素を探索し、探索した画素の8近傍画素状態値が有効(非ゼロ)である限りその画素を追跡し、開始座標と一致するまで境界の追跡を続ける。
【0081】
すなわち、エッジトレース部12では、このように、着目画素の直前の連接方向を起点として、8近傍画素状態値を並び替えて正規化し、次に連接する方向を絶対角度ではなく前の運接方向に対する相対角度として出力するようにしているので、従来のルックアップテーブルによる方法よりも大帽に少ない論理規模で境界を追跡することができ、したがって、そのための論理回路もゲートアレイ等で容易に集積することができる。
【0082】
このような構成における物体の境界決定装置の勤作を、図18に示すフローチャートを交えて説明する。
まず、マイクロコンピュータ4は、対象物である、血液中に合まれる血球や尿中に合まれる細胞のような粒子をビデオカメラ2で撮像する。撮像した粒子のアナログ映像信号はイメージプロセッサ3に入力される。
【0083】
イメージプロセッサ3では、デジタイザ7により、アナログ映像信号をA/D変換する。
図19はグレースケール画像の一例を示す説明図であり、A/D変換した0〜64までの65段階のグレースケール画像を示したものである。デジタイサ7は、これをラスタースキャンの様式で順次出力する。
【0084】
次に、コンパレータ8により、グレースケール画像を2値のレベルに振り分け、2値画像保持メモリ9に記憶する。
図20は2値画像保持メモリ9の記憶内容の一例を示す説明図であり、グレースケール画像を“25”のしきい値で2値化したものである。
【0085】
次に、8近傍画素抽出フィルタ10により、着目画素の周囲の8近傍画素の2値について論理演算を行って8近傍画素状態値を算出し、これを8近傍画素メモリ11に記億する。
【0086】
図21は8近傍画素メモリllの記憶内容の一例を示す説明図であり、背景を“0”とし、粒子の境界と内部を非“0”とした場合を示すものである。
ここまでは、画像入力時の動作であり、以後はエッジトレース時の動作となる。
【0087】
エッジトレース時には、エッジトレース部12により、8近傍画素メモリ11の内容を参照しながら粒子のエッジを画素単位でトレースし、連接コードを出力する。次に、特徴量抽出部13により、連接コードから粒子の周囲長や面積等の特徴量を求める。
【0088】
ここで、エッジトレース時の処理動作について、図18のフローチャートに従い詳述する。
まず、エッジトレースの始点を決める必要がある。そのためマイクロコンピュータ4は、まず、2次元型データを持つ8近傍画素メモリ11を、図22の矢印Tで示すように、左上から右下の方向ヘラスタースキャンの様式で順次アクセスし、非“0”の点(画素)を探索する(ステップSl)。図22では、(E0)Hの値を持つ点Aが探索される。
【0089】
次に、ラスタースキャンで最初に見つけた(E0)Hの値を持つ点Aの座標、すなわちX,Yアドレスをスタートアドレス(Sx、Sy)とし、その値をスタートアドレスレジスタと、X,Yアドレスカウンタ21,22にセットする(ステップS2)。
なお、スタートアドレスレジスタはX,Yアドレスカウンタ21,22内にあらかじめ設けておく。
【0090】
次に、X,Yアドレスカウンタ21,22の示すアドレスに従って、8近傍画素メモリ11から着目画素の8近傍画素の状態を読み出し、この8近傍画素の状態から、着目画素の前の連接コードを予測し、絶対方向レジスタ26にセットする(ステップS3)。なお、この最初の着目画素への前の連接コードの予測は、従来の方法にて行う。
【0091】
この従来の方法では、例えば、連接方向と連接コードを図5に示したように定義し、8近傍画素メモリ11から得た着目画素の8近傍画素の状態が(E0)H=(1,1,1,0,0,0,0,0)Bであれば、着目画素の近傍画素の状態は、図23に示したものとなるので、これから、図中の矢印で示すように、前の連接方向を“3”の方向と予測し、この値“3”を絶対方向レジスタ26にセットする。
【0092】
次に、8近傍画素正規化器23により、絶対方向レジスタ26の値を基準にして、8近傍画素メモリ11から読み出した着目画素の8近傍画素を並べ替え、正規化する(ステップS4)。
【0093】
例えば、図24に示すように、8近傍画素の状態が(E0)H=(1,1,1,0,0,0,0,0)Bであるものを、絶対方向レジスタ26の値“3”の方向を起点として並ベ替えると、(0,0,0,1,1,1,0,0)Bとなる。なお、この並べ替え処理は、従来公知のマルチプレクサを設けておくことにより容易に実現できる。
【0094】
次に、この8近傍画素正規化器23から出力された正規化近傍画素値を第1論理演算器24に入力し、図14に示したような相対連接方向値を得る(ステップS5)。
【0095】
例えば(n7,n6,n5,n4.n3,n2,n1,n0)として(0,0,0,1,1,1,0,0)Bすなわち0x1Cを入力すると、出力(d2,d1,d0)は(0,1,0)となる。つまり次に連接する境界の相対連接方向値は“2”(l0進数)の方向となる。
【0096】
次に、絶対方向レシスタ26の値と第1論理演算器24の出力である相対連接方向値とを加算器25で加算し、その値を次の境界の絶対連接方向値として、絶対方向レジスタ26に記憶する(ステップS6)。加算器25は3ビット加算器であるので、連接コードが10進数で“8”以上になる場合は、8の剰余が絶対連接方向値となる。
【0097】
例えば、絶対方向レジスタ26の値が“3”であり、加算器25から出力された相対連接方向値が“2”であれば、3+2=5で、次の境界の絶対連接方向値は“5”となる。次のクロックでこの値が絶対方向レジスタ26にセットされる。
【0098】
このように、次の境界の絶対連接コードは、前の境界の絶対連接コードに、前の境界の絶対連接コードと次の境界の絶対連接コードとの差分(相対値)を加算した結果となる。
【0099】
次に、絶対方向レジスタ26に記憶した絶対連接方向値を、第2論理回路27で、図6に示したような増減値に変換し、この増減値をX,Yアドレスカウンタ21,22に指示する(ステップS7)。
【0100】
例えば、絶対方向レジスタ26の値が、上述したように“5”であれば、X,Yの増減値は(−1,−1)となり、この値をX,Yアドレスカウンタ21,22に指示する。これにより、境界の追跡は、図25の矢印で示すように、相対連接方向値“2”の方向へ転進するため、次の境界画素は、(E3)Hの値を持つ点Bとなる。
【0101】
次に、スタートアドレスレジスタに保存しておいた、粒子の境界の追跡を始めたスタートアドレス(Sx、Sy)と、X.Yアドレスカウンタ21,22の示すアドレスとを比較する(ステップS8)。
【0102】
ここで、X,Yアドレスカウンタ21.22の示すアドレスがスタートアドレス(Sx、Sy)と異なっていれば、ステップS4に戻り、境界の画素の数だけステップS4からステッブS8までを繰り返す。
【0103】
ここでもし、X,Yアドレスカウンタ21,22の示すアドレスがスタートアドレス(Sx、Sy)と一致していれば、図26に示すように、粒子の境界を一周したことになるので、エッジトレースを中止する。エッジトレースを開始してから終了するまでの絶対方向レジスタ26の値のデータ系列が、その粒子の境界を表すチェーンコードを示している。
【0104】
このようにして、8近傍画素状態値における境界追跡の方向を基準とした対称性に着目し、直前のチェーンコードを基準として8近傍画素状態値を並べ替えているので、最小限のパラメータ(6ビット)で次のチェーン方向を算出することができ、結果的に簡単な論理演算と加算器のみでチェーンコードを生成することが可能となる。そして、このように簡単な論理演算とランダム論理のみで境界の追跡が実現できるので、従来のマイクロプログラム論理方式と比較して、イメージプロセッサの高度な集積化(4倍以上の集積化)や、イメージ処理の大幅な高速化(500万画素/秒以上の境界追跡能力)が可能となる。そして、これらのことが比較的小容量(数1000ゲート)のFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレー)で実現することができた。
【0105】
ところで、本発明においては、図2に示すように座標抽出部(ここでは頂点座標検出部14と頂点座標保持メモリ15で表わす)を備え、それによってエッジトレースの始点を検出するようにすることが好ましい。以下説明する。
座標抽出部において、例えば、粒子の境界上のある一つの画素について“1”の値を持ち、他の画素については“0”の値を持つ1ビットデータを得ることができれば、その値が“1”となる場合の画素の座標を知ることができる。この座標情報はエッジトレース部12によるエッジトレースの際に参照されることにより、エッジトレースの始点として有効利用され、さらなる処理の高速化や回路の集積化に貢献する。
【0106】
頂点座標検出部14は、8近傍画素抽出フィルタl0が各着目画素の周囲の8近傍画素について論理演算する際に、その着目画素について別の論理演算を行う。すなわち、各着目画素n8に対して次のような粒子端検出フラグTIPを計算する。n0,n1,n2,n3,n4,n5,n6,n7,n8は図2に従うとする。n8は着目画素である。
TIP=n8&!n1&!n2&!n3&!n4&(n0♯n5♯n6#n7)
【0107】
このフラグTIPの値は、n8が“1”であって、n1,n2,n3,n4が全て“0”であって、n0,n5,n6,n7のいずれかが“1”である場合に“1”となり、このときその着目画素n8は2値画像において右上、上、左上、左のいずれの側の画素にも連接せず、左下、下、右下、右のいずれかの側の画素には連接する画素となっている。すなわち粒子領域の左上端に位置する画素となっている。
図20の2値画像の場合には、上から3段目、左から7番目の画素(これは図22における点Aである)についてフラグTIPが“1”となり、他の画素については“0”となる。
【0108】
このようにして、頂点座標検出部14において、フラグTIPが“1”となるときの着目画素の座標(Sx,Sy)を検出する。この座標は頂点座標保持メモリ15に記憶される。
【0109】
エッジトレース時の処理動作について、図18を参照して説明する。
先の実施例では、8近傍画素メモリをラスタースキャンの様式でアクセスし非ゼロの値を持つ点を探索することによりその点の座標を見つけていたが(ステップS1)、本実施例ではラスタースキャン処理を行うことなく、頂点座標保持メモリ15から出力された頂点座標(Sx,Sy)をスタートアドレスレジスタと、X,Yアドレスカウンタ21,22にセットするようにしており、このことによりエッジトレース時におけるさらなる処理の簡略化、高速化を図っている。
以降行われる処理、すなわち、8近傍画素メモリ11の内容を参照しながら粒子のエッジ(境界または輪郭ともいう)を画素単位でトレース(追跡)し、粒子の境界が表す連接コード(チェーンコード)を出力する処理については同じである。
【0110】
【発明の効果】
この発明によれば、ビデオカメラなどで撮像した物体の境界の追跡に際し、物体領域の頂点に位置する画素を始点とし、物体の境界に位置する画素の連接してきた方向を基準とする相対連接方向値を求めることにより次に連接する方向の絶対連接方向値を算出するようにしたので、従来よりも論理回路の規槙を小さくすることができ、容易にゲートアレイなどに集積することが可能となる。また、これにより迅速な境界の追跡が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の物体の境界決定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】着目画素に対する8近傍画素の定義を示す説明図である。
【図3】着目画素を合む8近傍画素の2値状態の一例を示す説明図である。
【図4】エッジトレース部の詳細構成を示すブロック図である。
【図5】連接方向を示す説明図である。
【図6】連接方向とX,Yアドレスカウンタの増減値との関係を示す説明図である。
【図7】着目画素に対する8近傍画素の対称性を示す説明図である。
【図8】8近傍画素状態値のビット配置を示す説明図である。
【図9】8近傍画素状態値をシフトさせた状態を示す説明図である。
【図10】正規化前の8近傍画素状態値の一例を示す説明図である。
【図11】正規化前の8近傍画素状態値の一例を示す説明図である。
【図12】正規化前の8近傍画素状態値の一例を示す説明図である。
【図13】正規化前の8近傍画素状態値の一例を示す説明図である。
【図14】第1論理演算器いおける論理演算の真理値を示す説明図である。
【図15】境界の前連接方向に対して225°転進する例を示す説明図である。
【図16】境界の前連接方向に対して225°転進する例を示す説明図である。
【図17】境界の前連接方向に対して135°転進する例を示す説明図である。
【図18】エッジトレース時の処理動作を示すフローチャートである。
【図19】グレースケール画像の一例を示す説明図である。
【図20】2値画像保持メモリの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図21】8近傍画素メモリの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図22】8近傍画素メモリのラスタースキャンの様子を示す説明図である。
【図23】着目画素が(E0)Hの8近傍画素状態値を示す説明図である。
【図24】着目画素が(E0)Hの8近傍画素状態値を並べ替えた場合のビット配置を示す説明図である。
【図25】8近傍画素メモリにおける境界の追跡状態を示す説明図である。
【図26】粒子の境界を一周してエッジトレースを終了する状態を示す説明図である。
【図27】従来の物体の境界追跡方法を示すブロック図である。
【符合の説明】
1 対象物
2 ビデオカメラ
4 マイクロコンピュータ
5 CRTディスプレイ装置
6 外部記憶装置
7 デジタイザ
8 コンパレータ
9 2値画像保持メモリ
10 8近傍画素抽出フィルタ
11 8近傍画素メモリ
12 エッジトレース部
13 特徴抽出部
14 頂点座標検出部
15 頂点座標保持メモリ
21 Xアドレスカウンタ
22 Yアドレスカウンタ
23 8近傍画素正規化器
24 第1論理演算器
25 加算器
26 絶対方向レジスタ
27 第2論理演算器
28 チェーンコード

Claims (2)

  1. 試料中の粒子を撮像した画像の各画素の濃度情報2値信号に変換された2値画像に基づいてその2値画像における粒子領域に位置する各画素について、周囲を取り囲む近傍画素の2値信号値を示す近傍画素状態値を取得するとともに、粒子領域の頂点に位置する第1画素の座標を求め、その座標に位置する第1画素を始点とし、第1画素の近傍画素状態値を参照して次に連接すべき第2画素を決定し、第1画素から第2画素に連接する方向を示す第1絶対連接方向値に基づいて第2画素の近傍画素状態値を正規化し、正規化された近傍画素状態値を参照して次に連接すべき方向を示す相対連接方向値を求め、第1絶対連接方向値と前記相対連接方向値とから次に連接すべき方向を示す第2絶対連接方向値を算出することにより、次に連接すべき第3画素を決定し、これを粒子の境界に位置する各画素について繰り返すことにより粒子の境界を追跡する粒子の境界決定方法。
  2. 試料中の粒子を撮像した画像の各画素の濃度情報を2値信号に変換する2値化部と、
    2値化部により得られた2値画像に基づいてその2値画像における粒子領域に位置する各画素について、周囲を取り囲む近傍画素の2値信号値を示す近傍画素状態値を取得する画素抽出部と、
    粒子領域の頂点に位置する第1画素の座標を求める座標抽出部と
    標抽出部で得られた座標に位置にする第1画素を始点とし、画素抽出部によって取得された第1画素の近傍画素状態値を参照して次に連接すべき第2画素を決定し、第1画素から第2画素に連接する方向を示す第1絶対連接方向値に基づいて第2画素の近傍画素状態値を正規化し、正規化された近傍画素状態値を参照して次に連接すべき方向を示す相対連接方向値を求め、第1絶対連接方向値と前記相対連接方向値とから次に連接すべき方向を示す第2絶対連接方向値を算出することにより、次に連接すべき第3画素を決定し、これを粒子の境界に位置する各画素について繰り返すことにより粒子の境界を追跡するエッジトレース部を備えてなる粒子の境界決定装置。
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