JP4299534B2 - g値調整スラリー材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、既存のプラントで製造したスラリー材を用いて、g値を調整したスラリー材を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発生土を用いたスラリー状埋め戻し材(流動化処理土、以下スラリー材という)は、一般に間隙率が変動する材料を用いるため、地中送電線工事等に適用を拡大するためには、施工上の要求品質に加え、熱放散性に係る熱抵抗値(熱伝導率の逆数、以下g値という)等の品質を安定させることが重要である。
従来は使用目的にあわせた密度やg値等の品質を有するスラリー材を、その都度プラントを設備して、製造していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように使用目的にあわせた品質を有するスラリー材を製造するためにその都度プラントを用意し、配合調整を行うのは手間がかかり、また設備費も嵩み、コスト高になってしまう欠点がある。
【0004】
そこでこの発明は、配合調整等の手間や、大掛かりな設備を要せず、容易に目的とする品質のスラリー材を製造、供給できる方法を提供することを目的としたものである。
既存のスラリー材プラントでは、一般に泥水を製造し、それにセメントを添加してスラリー材を製造しており、泥水の段階で品質が管理されている。そこで、管理された泥水に砂系材料を添加して密度の増加を図り、施工性を確保するために、必用に応じて水を追加添加し、セメント量を調整するg値調整スラリー材の製造方法とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以下具体的に発明の構成を説明する。請求項1項の発明は、既存のスラリー材プラントで製造した密度の分かっているスラリー材に、密度の分かっている砂系材料を添加し、スラリー材密度とg値の相関関係に基づいて設定されるスラリー材密度になるように上記砂系材料の添加量を決め、目的のg値を有するスラリー材を製造する、g値調整スラリー材の製造方法とした。
また、請求項2の発明は、上記請求項1の発明において、砂系材料が再生砂、ドロマイト系砕砂等の砕砂、鉄鋼スラグ、天然砂のうちの一つ又は複数を組み合わせて混合使用したものであることとした。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態例を図に基づいて説明する。
使用する土質系材料は、発生土からつくられる泥水と、砂系材料としてのドロマイト系砕砂及びプラント内で調達される再生砂である。表−1にそれらの性状を、また、粒度分布を図1に示す。泥水は受け入れた粘性土と砂質土を基本的に1:2で混合し、水を添加して泥水密度を1.45t/m3に調整管理しているものである。また、ドロマイト系砕砂はg値低下用の砂として使用例のある材料であり、密度が高く、細粒分も比較的多く含まれている。
【0007】
【表1】
Figure 0004299534
【0008】
〔要求品質〕
次に、地中線工事の推進管中詰材としての要求品質を、従来の一般のスラリー材の場合と併せて表2に示す。300m程度までの長距離圧送をVP50という細い管で行うことから、フロー値は高めに設定されている。また、g値は低めに設定されることが多く、そのため密度は従来の一般のスラリー材の1.5t/m3に比べて高くする必要がある。
【0009】
【表2】
Figure 0004299534
【0010】
〔試験方法〕
発生土(自然状態)に対する添加材(ドロマイト系砕砂及び再生砂)の混合率0〜85%、セメント(高炉スラグセメント)量を泥水の外割で50〜100kg/m3について、密度、ブリーディング率、圧縮強度及びg値の特性をフロー値300〜350mmを対象に検討した。
また、スラリー材運搬時間に伴うフローダウンへの対応として流動化剤の現場での後添加方法についても検討した。
【0011】
〔試験結果〕
図2に、添加材の混合率とスラリー材g値の関係を示す。
ドロマイト系砕砂及び再生砂の混合に伴うg値の低下が示されている。図の中にブリーディング率及び追加した水量を数値で示している。添加材混合後のフロー値を確保するためには水を追加する必要があるが、それにより、ブリーディング率も大きくなる傾向がみられる。ドロマイト系砕砂の方がg値低下効果が大きいといえるが、g値80°C・cm/w以上では再生砂の添加でも充分g値は確保できる。g値を80°C・cm/w以下にする場合はドロマイト系砕砂の添加が適当である。
【0012】
図3は、スラリー材の密度とg値の関係を示す。スラリー材の密度とg値の相関性の良いこと、また、添加材の種類によらず一意的な関係であることが示されている。このことから、同一プラントでの製造においては、時間のかかるg値試験の代替として、簡便なスラリー材の密度試験でg値の管理が行えることが分かる。
【0013】
図4は、スラリー材製造後1時間でのフローダウンと流動化剤(ソイルセメント用)の添加に伴うフロー値の回復の状況を示す。試験は約25°Cの室内で行ない、1時間で100mm程度のフローダウンがあることが分かったが、流動化剤の後添加で初期の状態に回復することが確認されている。図中にブリーディング率と28日圧縮強度を数値で示す。流動化剤を使う場合、ブリーディング率の増加と強度の低下の傾向がみられ、使用に当たっては考慮が必要である。
図5は、スラリー材のW/Cと28日圧縮強度の関係を示している。なお、Wはスラリー材に含まれる水量の総量であり、Cはセメント量である。W/C増加に伴う強度の低下傾向がみられ、0.1N/mm2以上の強度を確保するためには、概ね、W/Cは12以下とする必要がある。
【0014】
上記の試験結果を基に、地中送電用推進管中詰工事にg値調整スラリーを1プラントから製造、供給した。目標g値95°C・cm/w、運搬距離15km(時間30分〜60分)、g値の変動を考慮して設定した配合を表3に示す。密度の管理値は1.6t/m3以上とした。
圧送距離は最大340mであり、図6に各圧送管の圧送圧力の状況を示す。圧送距離の増加に伴い圧力は増加しているが、300mを超えた長距離での圧送性を確認できた。また、品質も良好であった。
【0015】
【表3】
Figure 0004299534
【0016】
なお、上記実施の形態例では、砂系材料として、再生砂、ドロマイト系砕砂を用いたが、これに限らず、鉄鋼スラグ、天然砂等も採用できる。上記再生砂はドロマイト系砕砂よりは比重が低いが、安価である。
【0017】
【発明の効果】
請求項1及び2の発明の方法によれば、既存のプラントにより製造された、密度等の分かったスラリー材に、密度等が分かっている砂系材料を添加し、これにより目的とする密度のスラリー材を得るものであり、製造が極めて容易である。特に、地中送電用推進管中詰材にスラリー材を用いる場合、一般のスラリー材ではg値が高く、採用できない。そこでわざわざg値の低いスラリー材をプラントを設備して製造しなければならなかったが、この発明によれば、市販のスラリー材に砂系材料を混ぜる際は、生コンのミキサー車等で混ぜることも出来、特別な設備を設けることなく、所望のg値のスラリー材を容易に製造できる。すなわち、地中送電用中詰材に用いるスラリー材は、既存プラント内でばかりでなく、施工現場内でも製造可能となる。また、その際、スラリー材の密度とg値の相関関係に着目し、面倒で手間のかかるg値の測定に替え、容易かつ迅速に測定できる密度の測定でg値を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態例の使用材料の粒度分布を示すグラフ図である。
【図2】この発明の実施の形態例の添加材の混合率とスラリー材のg値の関係を示すグラフ図である。
【図3】この発明の実施の形態例のスラリー材の密度とg値の関係を示すグラフ図である。
【図4】この発明の実施の形態例のフローダウンとフロー回復の状況を示すグラフ図である。
【図5】この発明の実施の形態例のスラリー材のW/Cと28日圧縮強度の関係を示すグラフ図である。
【図6】この発明の実施の形態例のポンプ圧送距離と圧送圧力の状況を示すグラフ図である。

Claims (2)

  1. 既存のスラリー材プラントで製造したスラリー材に、密度の分かっている砂系材料を添加し、スラリー材密度とg値の相関関係に基づいて設定されるスラリー材密度になるよう上記砂系材料の添加量を決め、目的のg値を有するスラリー材を製造することを特徴とする、g値調整スラリー材の製造方法。
  2. 上記砂系材料が、再生砂、ドロマイト系砕砂等の砕砂、鉄鋼スラグ、天然砂のうちの一つ又は複数を組み合わせて混合使用したものであることを特徴とする、請求項1記載のg値調整スラリー材の製造方法。
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