JP4298854B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ内の空洞の共鳴音を抑制するようにした空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来より、自動車の車内音の発生原因の一つであるタイヤ内の空洞における空気の共鳴音を低減するために、タイヤ内周面もしくはリムに多孔質の吸音材を接着手段等により固定する等の方策が採られていた。
【0003】
しかしながら、吸音材を接着手段等によりタイヤまたはリムに固定することとした場合は、タイヤの負荷運転時に発熱が生じて接着剤層が熱劣化し、吸音材が剥離し易くなり、仮に剥離が生じると、タイヤのバランスが悪化し、操縦安定性が低下する等の問題がある。しかもタイヤ内に吸音材を接着する作業を要するために、リム組み時の工数が増加し、作業性が低下するという問題もある。
【0004】
さらに、タイヤ内の空洞に繊維成形体や発泡成形体による多孔質の吸音材を自由に移動できるように挿入配置しておくことも提案されているが(例えば、特開平7−52616号公報)、この場合、空洞内の共鳴音を多孔質の吸音材で吸収することで、ロードノイズ等の車内音を低減するものであり、共鳴そのものを抑制するという効果の点では充分に満足できるものでない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、タイヤ内空洞の共鳴抑制を効果的になし、車内音の低減効果を高めることができる空気入りタイヤを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】
上記の課題を解決する本発明は、ホイールのリムに組付けられてなるタイヤであって、タイヤ内周面とリムとにより囲まれたタイヤ内の空洞に、中空立体状をなすとともに周壁に有する開孔により空気流通自在に形成された1個もしくは複数個の中空体が、自由に転動できるように収容されてなることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、車両走行時には、タイヤ内の空洞に収容された中空体が、タイヤの回転に伴って該空洞内で不規則に転動することにより、タイヤ内の空気が周壁に有する開孔を通じて該中空体の内外に流通しながらタイヤ内の空気を攪乱して乱流を生じさせるとともに、中空体の内部で減音作用を果たし、車内音の原因の一つであるタイヤ内の空気の共鳴を効果的に抑制できる。
【0007】
前記開孔は前記中空体の全周にわたって散在状に多数形成されてなるものが特に好ましく、これよりタイヤ内の空気の共鳴抑制及び減音をさらに効果的になすことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基いて説明する。
【0009】
図1は本発明の実施例に係る空気入りタイヤ(T)の要部のタイヤ幅方向の断面図、図2はタイヤ空洞内に収容する共鳴抑制のための空気攪乱用としての中空体を例示する斜視図である。
【0010】
図示する実施例の空気入りタイヤ(T)は、ラジアルタイヤの場合を示し、ビードコア(1)を有する両側のビード部(2)と、該ビード部(2)から半径方向外向きに延びるサイドウォール部(3)と該サイドウォール部(3)を繋ぐトレッド部(4)とからなり、その内周に沿って両端がビードコア(1)で折り返されて係止され支持されたカーカス(5)を備え,またトレッド部(4)とカーカス(5)との間に補強用のベルト層(6)を備えている。その補強構造は一般的なラジアルタイヤの場合と同じであるので、詳しい説明は省略する。
【0011】
前記タイヤ(T)は、図1のようにホイールのリム(R)に組み付けられる。このタイヤ(T)の内周面とリム(R)とで囲まれたタイヤ内の空洞(7)には、1個もしくは複数個の空気攪乱用としての中空体(20)が、自由に転動できるように収容されている。
図2は、本発明において、タイヤ内周面とリムとにより囲まれたタイヤ内の空洞に自由に転動するように収容する空気攪乱用としての中空体(20)を例示している。
【0012】
この中空体(20)は、主として非通気性材料、例えばナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンその他の各種の合成樹脂材により、比較的薄肉軽量でかつ適度に保形性を有する略球状等の丸みのある中空立体状に形成されるとともに、その周壁(21)に有する開孔(22)により空気流通自在に形成されている。
【0013】
前記開孔(22)の大きさや数は適宜設定できるが、空気流通による共鳴抑制や減音効果の点からは、例えば直径が2〜15mm、好ましくは5〜10mmの開孔(22)を、図に示すように、全周にわたって略等間隔の散在状に多数形成しておくのが望ましい。また、前記周壁(21)の厚みは軽量化のために、保形強度を損なわない範囲でできるだけ薄肉であるのがよく、通常1.0mm以下で形成される。
【0014】
さらに、この中空体(20)は、車両走行時にタイヤ内の空気の温度が最高100℃にもなる場合があるので、融点が100℃以上の耐熱性を有する材料よりなるものが使用上の耐久性の点から好ましい。またタイヤ内の空洞に収容する個数は、共鳴抑制の効果の点では多いほどよいが、操縦安定性の点からは、その総重量を50g以下にするのがよく、またリム組み時の作業性の点から空洞容積10リットル当たり2個以下にするのが好ましい。
なお、前記の中空体(20)の丸みのある中空立体状としては、真球のものに限らず、楕円球、卵形や丸みのある棒状等の種々の形態による実施が可能であるが、実施上は転動性のよい略球状とするのがよく、またその最大直径および長さは100mm以下とする。
【0015】
この中空体(20)を、タイヤ内の空洞に1個もしくは複数個収容した空気入りタイヤにおいては、車両走行時に、前記中空体(20)がタイヤの回転に伴って空洞内で不規則に転動することにより、タイヤ内の空気が周壁(21)に有する開孔(22)を通じて該中空体(20)の内外に流通しながらタイヤ内の空気を攪乱して乱流を生じさせるとともに、中空体(20)の内部で減音作用を果たし、車内音の原因の一つであるタイヤ内の空気の共鳴を効果的に抑制できることになる。
【0016】
【発明の効果】
上記したように、本発明の空気入りタイヤによれば、タイヤ内の空洞に自由に転動できるように、開孔により内外が連通する中空体を収容したことにより、タイヤ内の空気の攪乱作用と、中空体の内部での減音作用により、共鳴抑制を効果的になし、車内騒音を効率よく防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施例を示す要部のタイヤ幅方向の断面図である。
【図2】 タイヤ内の空洞に収容する中空体の1例を示す斜視図である。
【符号の説明】
(T) タイヤ
(R) リム
(1) ビードコア
(2) ビード部
(3) サイドウォール部
(4) トレッド部
(5) カーカス
(6) ベルト層
(7) 空洞
(20) 中空体
(21) 周壁
(22) 開孔
Claims (2)
- ホイールのリムに組付けられてなるタイヤであって、タイヤ内周面とリムとにより囲まれたタイヤ内の空洞に、中空立体状をなすとともに周壁に有する開孔により空気流通自在に形成された1個もしくは複数個の中空体が、自由に転動できるように収容されてなることを特徴とする空気入りタイヤ。
- 前記開孔が前記中空体の全周にわたって散在状に多数形成されてなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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JP19750299A JP4298854B2 (ja) | 1999-07-12 | 1999-07-12 | 空気入りタイヤ |
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