JP4298229B2 - 光走査装置及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光スポットで感光体(感光ドラム)上を走査し、電子写真プロセス等の画像形成プロセスを用いて画像を形成する光走査装置及びそれを用いた画像形成装置に関するものである。特に本発明の画像形成装置は電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタ(LBP)やデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザービームプリンタやデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ等の画像形成装置においては、例えば半導体レーザからなるレーザ光源から画像信号に応じて強度変調されたレーザ光(光束)を出射させ、このレーザ光を用いて感光ドラム面上で画像を形成している。
【0003】
図12はこの種の従来の画像形成装置に用いられている光走査装置の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。
【0004】
同図において91はレーザユニット、92は副走査方向にのみ所定の屈折力を有するシリンドリカルレンズ、93は光偏向器としてのポリゴンミラー(スキャニングミラー)、94は球面レンズ、95はトーリックレンズ、96は記録媒体としての感光ドラム、97はfθ特性を有する走査光学系(fθレンズ系)である。
【0005】
同図においてレーザユニット91から出射した平行レーザ光はシリンドリカルレンズ92により副走査方向にのみ集光され、ポリゴンミラー93面上を照射する。ポリゴンミラー93は一定速度で回転し、該ポリゴンミラー93で偏向反射されたレーザ光は球面レンズ94とトーリックレンズ95とを有する走査光学系(fθ光学系)97を通過することによりfθ特性が補正され収束レーザ光となり、感光ドラム96面上を走査する(以後、感光ドラム面上を走査するレーザ光を「走査光」と称する。)。感光ドラム96は半導体レーザ駆動信号に同期し一定速度で回転し、上記走査光により静電潜像が感光ドラム96面上に形成される。この静電潜像から電子写真のプロセスにより紙の上に画像が印刷される。
【0006】
しかしながら最近は画像の高精細化および出力の高速化が強く望まれるようになり、走査光学系を明るくするためにポリゴンミラーの偏向面の幅を大きくして、即ち、ポリゴンミラーの大きさを大きくした上に、該ポリゴンミラーを高速で回転させる必要に迫られている。
【0007】
しかしながら大きくなったポリゴンミラーを高速で回転させるモーターの能力には限界があり、かつポリゴンミラー及びモーターにかかるコストも増大するという問題点もある。
【0008】
これに対して例えば特開平6ー143677号公報で提案されているように、ポリゴンミラーの偏向面の主走査方向の幅よりも大きなレーザ光を該ポリゴンミラーに入射させることによって、該ポリゴンミラーの走査効率を上げるという方法が提案されている。
【0009】
この方法は所謂オーバ−フィルド光学系(OFS光学系)と称し、ポリゴンミラーの走査効率を上げることができるが、例えば複数の発光点(レーザチップ)を有するモノリシックなレーザ光源を使用した光学系においては、該複数の発光点の間隔が狭いレーザ光源(以下「小間隔のレーザ光源」とも称す。)しか使用することができないという問題点があった。
【0010】
この理由は通常のモノリシックなレーザ光源のビーム間隔は100μm前後のビーム間隔を有している。また走査光学系の副走査方向の結像倍率(副走査倍率)は3から10倍程度である。従って被走査面上におけるビーム間隔を例えば600dpiで42.3μmを確保するためには主走査方向に各発光点を並べ、副走査方向に対してわずかに傾ける構成をとることになる。この結果、レーザ光のファーフィルドの狭い方向を主走査方向にする必要が生じる。
【0011】
OFS光学系においては光スポットの被走査面の位置によりポリゴンミラーに入射するレーザ光の使用範囲が異なるためファーフィルドの狭い側の方を主走査方向に使用すると、被走査面上の位置における光量の不均一が問題点となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら小間隔のレーザ光源を使用するためには被走査面上の副走査方向の画素間隔(dpi)により、各発光点の間隔より光学系の倍率が決定され、これ以上の高解像度化を図ろうとすると副走査倍率を下げる必要があり、設計上難しいという問題点がある。
【0013】
またレーザ光源のカップリング効率が悪化し、光量的に不利であるという問題点もある。さらに各発光点間の電気的及び熱的クロストークが小間隔のレーザ光源においては大きいため、さらなる高画質化の障害となる。また小間隔のレーザ光源は現状では赤外レーザに限られるため、短波長レーザを使用した高精細な光走査装置には適用できないといった問題点もある。
【0014】
本発明は通常のレーザ光源(100μm前後のビーム間隔を有する光源)を使用し、高速で高解像度の画像が得られる光走査装置及びそれを用いた画像形成装置の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の光走査装置は、
主走査方向及び副走査方向に間隔を有する複数の発光点を備えたモノリシックなレーザ光源と、前記レーザ光源から出射した複数のレーザ光の各々を変換するコリメータレンズと、前記コリメータレンズから出射した複数のレーザ光を偏向反射させる偏向手段と、前記偏向手段の偏向面で偏向反射された複数のレーザ光を被走査面上に結像させる走査光学系と、を有する光走査装置において、
前記レーザ光源から出射した複数のレーザ光は、主走査断面内において、前記偏向手段の偏向面の主走査方向の幅よりも広い光束幅で前記偏向手段の偏向面に入射しており、
前記複数のレーザ光間の前記被走査面上での像面照度の不均一を補正するために、前記レーザ光源から出射した複数のレーザ光の各々の主走査方向の光束幅を広げる主走査方向に負のパワーを有するビームエクスパンダーが前記レーザ光源と前記偏向手段の間に設けられており、
前記レーザ光源1から出射した複数のレーザ光の各々の副走査方向の光束幅を狭めるビームコンプレッサーが前記レーザ光源と前記ビームエクスパンダーの間に設けられていることを特徴としている。
【0016】
請求項2の発明の画像形成装置は、
請求項1に記載の光走査装置と、前記被走査面に配置された感光ドラムと、前記光走査装置で走査されたレーザ光によって前記感光ドラムの上に形成された潜像をトナー像として現像する現像器と、前記現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器と、外部機器から入力されたデータを画像信号に変換して前記光走査装置に出力せしめるプリンタコントローラと、を有することを特徴としている。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【発明の実施の形態】
(参考例1)
図1は本発明の参考例1の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。
【0029】
尚、本明細書においてポリゴンミラーによってレーザ光(光束)が偏向反射(偏向走査)される方向を主走査方向、走査光学系の光軸及び主走査方向と直交する方向を副走査方向と定義する。
【0030】
同図において1はレーザ光源であり、2つの発光点(レーザチップ)を有するモノリシックなレーザ光源より成っており、2つの発光点が主走査方向に所定の間隔(100μm前後)を有するように配置されている。尚、発光点の数は2つだが3つ以上でも良い。2はコリメーターレンズであり、レーザ光源1より出射された2つのレーザ光を略平行レーザ光(もしくは発散レーザ光もしくは収束レーザ光)に変換している。3は開口絞りであり、通過レーザ光を制限してビーム形状を整形している。
【0031】
4はビームエクスパンダーであり、主走査方向にのみ負のパワー(屈折力)を有するアナモフィックレンズを有しており、レーザ光源1から出射した2つのレーザ光の主走査方向の光束幅を大きくしている。尚、このビームエクスパンダー4の主走査方向の倍率は5倍以上である。
【0032】
5はシリンドリカルレンズであり、副走査方向にのみ所定のパワーを有しており、ビームエクスパンダー4を通過した2つのレーザ光を副走査断面内で後述するポリゴンミラー8の偏向面(反射面)8aにほぼ線像として結像させている。
【0033】
6は補正手段であり、レーザ光源1とポリゴンミラー8との間に主走査方向の位置により透過率または反射率が異なる光学部材を有しており、被走査面15上の像面照度の不均一を補正している。光学部材6は画像中心を描画するレーザ光が通過する主走査方向の幅内で光量を低下させる光学特性を有する光量補正フィルターより成っている。光量補正フィルター6を主走査方向の位置により透過率が異なる透過率分布フィルターより構成している。尚、透過率分布フィルターに限らず、反射率分布フィルターを用いても良い。
【0034】
7は折り返しミラーであり、透過率分布フィルター6を通過した2つのレーザ光をポリゴンミラー8側へ反射させている。尚、コリメーターレンズ2、開口絞り3、ビームエクスパンダー4、シリンドリカルレンズ5、折り返しミラー7、そして後述する走査光学系9等の各要素は入射光学系21の一要素を構成している。
【0035】
8は偏向手段としての光偏向器であり、ポリゴンミラー(回転多面鏡)より成り、モーター等の駆動手段(不図示)により図中矢印R方向に一定速度で回転している。参考例1ではレーザ光源1から出射した2つのレーザ光を主走査断面内においてポリゴンミラー8の偏向面8aの幅よりも広い光束幅で偏向面8aに入射させている。
【0036】
9は集光機能とfθ特性とを有する走査光学系(fθレンズ系)であり、主走査方向に主にパワーを有する第1、第2の2枚の走査レンズ9a,9bを有している。また走査光学系9は入射光学系21の一部をも兼ねており、ポリゴンミラー8によって偏向反射された画像情報に基づく2つのレーザ光を主走査断面内において被走査面としての感光ドラム面15上に結像させ、かつ副走査断面内においてポリゴンミラー8の偏向面8aと感光ドラム面15との間を光学的に略共役関係にすることにより、倒れ補正機能を有している。
【0037】
10はアナモフィック非球面レンズであり、主に副走査方向にパワーを有している。15は被走査面としての感光ドラム面である。
【0038】
参考例1においてモノリシックなレーザ光源1から出射された2つのレーザ光はコリメーターレンズ2によって略平行レーザ光に変換され、開口絞り3によりレーザ光が規制され、ビームエクスパンダーレンズ4により主走査方向にレーザ光が広げられ、シリンドリカルレンズ5に入射している。ここでシリンドリカルレンズ5に入射した略平行レーザ光は副走査断面内においてはレーザ光は収束して透過率分布フィルター6により光束内の光量分布が変更され、折り返しミラー7を介して第2、第1の走査レンズ9b,9aを透過し、ポリゴンミラー8の偏向面8aに入射し、該偏向面8a近傍にほぼ線像(主走査方向に長手の線像)として結像している。このとき偏向面8aに入射するレーザ光はポリゴンミラー8の回転軸と走査光学系9の光軸を含む副走査断面内において、該ポリゴンミラー8の回転軸と垂直な平面(ポリゴンミラー8の回転平面)に対して所定の角度で斜入射している(斜入射光学系)。また主走査断面内におけるレーザ光はそのままの状態で透過率分布フィルター6により光束内の光量分布が変更され、折り返しミラー7を介して第2、第1の走査レンズ9b,9aを透過することにより略平行レーザ光に変換され、ポリゴンミラー8の偏向角の中央、もしくは略中央から偏向面8aに入射している(正面入射)。このときの略平行レーザ光の光束幅は主走査方向においてポリゴンミラー8の偏向面8aのファセット幅に対し十分広くなるように設定している(オーバーフィルド光学系)。
【0039】
そしてポリゴンミラー8の偏向面8aで偏向反射された2つのレーザ光は第1、第2の走査レンズ9a,9b、アナモフィック非球面レンズ10を介して感光ドラム面15上に導光され、該ポリゴンミラー8を矢印R方向に回転させることによって、該感光ドラム面15上を矢印S方向(主走査方向)に光走査している。これにより記録媒体としての感光ドラム面15上に画像記録を行なっている。
【0040】
図2(A)は参考例1の光走査装置において光学系を主走査断面内に展開したときの説明図であり、図2(B)は同様に光学系を副走査断面内に展開したときの説明図である。図2(A)、(B)において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0041】
まず図2(A)における主走査断面内の光学的作用について説明する。同図(A)においてモノリシックなレーザ光源1から出射された2つのレーザ光はコリメーターレンズ2によって略平行レーザ光に変換され、開口絞り3によりレーザ光が規制され、ビームエクスパンダーレンズ4により主走査方向にレーザ光が広げられ、シリンドリカルレンズ5に入射する。シリンドリカルレンズ5を出射したレーザ光は透過率分布フィルター6により光束内の光量分布が変更され、走査光学系8に入射し、レーザ光をさらに平行レーザ光に近づける。走査光学系9から出射されたレーザ光はポリゴンミラー8の偏向面に入射してレーザ光の一部が偏向反射される。ポリゴンミラー8により偏向反射された2つのレーザ光は走査光学系9に再び入射し主走査方向に集光される。走査光学系9はポリゴンミラー8の偏向面の偏向角によるfθ特性を補正する。走査光学系9を出射したレーザ光はアナモフィック非球面レンズ10で屈折され、感光ドラム面15上にスポットを形成する。そしてポリゴンミラー8を図1に示す矢印R方向に回転させることによって、該感光ドラム面15上を矢印S方向(主走査方向)に光走査する。
【0042】
次に図2(B)における副走査断面内の光学的作用について説明する。同図(B)においてモノリシックなレーザ光源1を出射した2つのレーザ光はコリメーターレンズ2により略平行レーザ光に変換され、開口絞り3によりレーザ光を規制される。開口絞り3で決められたレーザ光はビームエクスパンダーレンズ4を通過し、シリンドリカルレンズ5により副走査方向に集光され、透過率分布フィルター6を通過し、走査光学系9を通過した後、ポリゴンミラー8の偏向面8a上に結像する。
【0043】
そしてポリゴンミラー8の偏向面8aで偏向反射された2つのレーザ光は走査光学系9に入射した後、アナモフィック非球面レンズ10に入射する。アナモフィック非球面レンズ10に入射したレーザ光は副走査方向に集光され、感光ドラム面15上にスポットを形成する。このときポリゴンミラー8の偏向面と感光ドラム面15は共役関係にあるため偏向面の傾きによる副走査方向の結像位置がずれない、所謂倒れ補正系となっている。
【0044】
図3はモノリシックなレーザ光源1から出射したレーザ光の発光状態を示した説明図である。同図において81は第1の発光点、82は第2の発光点であり、それぞれレーザ光が出射している状態を符番83,84で示している。
【0045】
参考例1においては同図のX方向を主走査方向、Z方向を副走査方向となるように各発光点81,82を配置する。レーザ光源1は2つの発光点81,82の並び方向を主走査方向(X方向)に対して角度θ(θ=2°)傾けて配置している。これにより2つの発光点が副走査方向に間隔を有するようにしている。このときレーザ光の発散角度は主走査方向が狭く、副走査方向が広くなっている。またレーザ光源の2つの発光点81,82を出射したレーザ光は各々発光の角度特性を有している。尚、上記角度θは0°<θ<10°の範囲内なら良い。
【0046】
図4はこのときのレーザ光の光量分布を示した光量分布図である。同図において横軸方向が入射レーザ光の主走査方向の位置、縦軸が光強度である。同図の実線で囲まれた部分85が軸上において、ポリゴンミラーの偏向面で反射される光量、破線で囲まれた部分86がポリゴンミラーの偏向面が移動して、最軸外のレーザ光を反射したときの反射光量を示している。
【0047】
同図からも明らかなように軸上において反射される光量よりも最軸外で反射される光量の方が少なく、これが感光ドラム面における主走査方向の最軸外の光量低下、すなわち像面照度分布の悪化となる。
【0048】
図5は透過率分布フィルター6の透過率を示した光量分布図である。同図において横軸はレーザ光における主走査方向の位置、縦軸が透過率である。同図における光量分布は入射レーザ光の中央付近の光量を落とすことにより、結果的に感光ドラム面15における像面照度を一様にしている。
【0049】
この透過率分布フィルター6はレーザ光の主走査方向のレーザ発散角度に対して最適な形状であるが、実際にフィルターを制作する上では1種類で対応することがコスト的には望ましい。しかしながら実際のモノリシックなレーザ光源のレーザ発散角度はある程度のばらつきを有している。
【0050】
図6はレーザ発光角の製品規格上のばらつきが生じた場合の端部の光量落ちの変動を示したグラフである。同図において横軸が入射系の主走査方向のFno(Fナンバー)、縦軸が端部での光量落ちである。
【0051】
実際には画像形成装置を制作する上ではこの端部の光量落ちの変動量は小さく抑えることが望ましく、実用上、光量変動をレンジで10%以下とすることが望ましい。これを実現する方法としてはレーザチップの生産上で選別をかけて、レーザ光の広がり角度のばらつきを抑えるか、主走査方向についてできるだけ暗い光学系、同図においては主走査方向のFnoをより小さくする暗い光学系とする必要がある。
【0052】
一方、暗い光学系はレーザチップの発光量に対して使用している光量の効率であるカップリング効率が悪くなり、このまま通常の光学系で使用した場合には高出力のレーザチップが必要となり、実用上問題である。
【0053】
参考例1においては副走査方向のFnoを明るくすることで対応している。実際にはOFS光学系においては走査光学系としては縮小系とする必要があり、このため副走査方向の絞りを広げて明るくしようとすると入射光学系の全長が長くなる。
【0054】
そこで参考例1においては縦倍率の許容範囲でコリメーターレンズ2の焦点距離を短くすることで副走査方向について明るくし、ビームエクスパンダーであるアナモフィックレンズ4を入射光学系21に挿入することにより主走査方向については暗い光学系とすることで、光量分布と光量のバランスを得ている。
【0055】
このように参考例1では上述の如く光量補正フィルター6をレーザ光源1とポリゴンミラー8との間の光路中に設けることにより、通常のレーザ光源(100μm前後のビーム間隔を有する光源)によりオーバーフィルド走査光学系を構成することができ、これにより高速で高解像度の画像を得ることができる。
【0056】
尚、参考例1では光量補正フィルター6をレーザ光源1とポリゴンミラー8との間の光路中に設けたが、これに限らず、レーザ光源1と感光ドラム面15との間の光路中ならどこに設けても良い。
【0057】
(参考例2)
次に本発明の参考例2について説明する。
【0058】
参考例2において前述の参考例1と異なる点は複数の発光点(レーザチップ)による角度特性の最大光量角度差が0.5度以下のモノリシックなレーザ光源を選別して用いたことである。その他の構成および光学的作用は参考例1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0059】
図7は本発明の参考例2のレーザチップの出射方向による端部での光量低下を示したグラフである。同図において横軸が感光ドラム面における画像中心をゼロとおいたときの像高、縦軸が画像中心の光量に対する光量落ちの比率である。図8はモノリシックなレーザ光源の光量分布の一例である。同図において横軸がレーザ光軸を0度とおいたときの光線放射角度、縦軸が光量である。
【0060】
図7に示したようにレーザチップによっては製造誤差により、図8に示したようにレーザチップの放射角度が異なる場合が考えられる。例えばこの角度差Δθが0.2度のときの光量分布を示したものが図7である。
【0061】
従って、この角度差Δθは特にモノリシックなマルチレーザをレーザ光源として使用した場合にはレーザチップを相対的に傾けて調整するわけにはいかないために光量分布の補正が光学的には難しい。
【0062】
そこで参考例2においてはこの相対差を0.5度以下のものを選別することで比較的明るい光学系において、各レーザチップによる像面照度の差をレンジで10%以下に抑え問題のないレベルとしている。
【0063】
(参考例3)
次に本発明の参考例3について説明する。
【0064】
参考例3において前述の参考例1又は2と異なる点は補正手段としてレーザ光源の発光光量を被走査面上の走査位置により変化させることが可能なレーザ駆動回路を用いたことである。その他の構成および光学的作用は参考例1又は2と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0065】
即ち、参考例3ではレーザ駆動回路により、上記の各レーザチップによるレーザ放射角度の差に対して電気的に発光光量を像高によって変えることにより、各レーザチップによる感光ドラム面上の像面照度分布を一様にしている。
【0066】
このレーザ駆動回路は全てのレーザチップについて一括して制御可能であり、各レーザチップからのレーザ光は被走査面において同じ像面照度で発光させることが可能である。もしくはレーザ駆動回路は各レーザチップについて独立に制御可能であり、各レーザチップからのレーザ光は被走査面において異なった照度分布で発光させることが可能である。
【0067】
図9は電気的な補正を行う場合の動作を説明するためのブロック図である。同図に示したようにイメージプロセッサから送られてきた画像データはガンマが補正され、BD検出に同期して電気的な補正手段としてのレーザドライバ回路に送られる。またメモリー等から光量補正データを入手した光量補正回路は、レーザドライバ回路に補正のための信号を送る。レーザドライバ回路はこの補正信号に従って、半導体レーザを発光させる。これによりモノリシックなレーザ光源を使用することにより、被走査面の端部において発生する光量低下を補正することができる。
【0068】
さらにモノリシックなレーザ光源の各レーザチップの放射角度の中心のずれについても各々のレーザチップについて同様の補正を行うことにより被走査面上の光量分布を一様に補正することができる。
【0069】
(実施形態1)
図10は本発明の実施形態1のマルチビーム光源1からポリゴンミラー8までを示した副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。同図において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0070】
本実施形態において前述の参考例1、2又は3と異なる点は入射光学系にビームコンプレッサー84を設け、主走査方向のFnoを大きくしたことである。その他の構成および光学的作用は参考例1、2又は3と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0071】
即ち、同図において84はビームコンプレッサーであり、副走査方向に正のパワー(屈折力)を有する凸レンズ84aと、副走査方向に負のパワーを有する凹レンズ84bの2枚のアナモフィックレンズより成っており、レーザ光源からの複数のレーザ光の副走査方向の光束幅を小さくしている。
【0072】
モノリシックなレーザ光源を使用した走査光学系においては入射光学系の主走査方向のFnoを大きくすることで像面照度の不均一を補正する。これは主走査方向を暗くしたため光量が不足することが想定される。特にファーフィルドの広い方を副走査方向に使用している場合、副走査方向を明るくすることにより、効率的に光量を確保することが可能となる。
【0073】
一方、副走査方向の絞りを広げて光量を確保しようとすると、シリンドリカルレンズとポリゴンミラーの偏向面の距離を大きくとる必要があり、走査光学系の全長が長くなる。これを防ぐ方法として入射光学系に副走査方向のビーム径を小さくするビームコンプレッサーを入れることで対応可能である。即ち、副走査方向についてビームの発散角度を広くレーザ光を取り込んで、ビームコンプレッサーで副走査方向の光束幅を絞ることで、入射光学系に所望な副走査方向のビーム径とすることで、入射光学系の全長を比較的短くしたまま光学系を構成することができる。
【0074】
本実施形態においてレーザ光源1から出射した2つのレーザ光はコリメーターレンズ2により略平行レーザ光とされ、開口絞り3により副走査方向についての光束幅が規制され、ビームコンプレッサー84に入射し、光束幅を副走査方向に縮小する。これにより本実施形態では副走査方向については比較的明るい光学系でレーザ光源1のカップリング効率を改善させた上でシリンドリカルレンズ5に入射する副走査方向の光束幅を狭くすることができ、またシリンドリカルレンズ5とポリゴンミラー8の偏向面の距離を短くすることができる。
【0075】
尚、本実施形態ではビームコンプレッサー84として凸レンズ84aと凹レンズ84bの2枚のアナモフィックレンズより構成したが、これに限らず例えば2枚のプリズムで構成しても上述の実施形態1と同様な効果を得ることができる。
【0076】
[カラー画像形成装置]
図11は本発明の実施態様のカラー画像形成装置の要部概略図である。本実施形態は、光走査装置(光走査光学系)を4個並べ各々並行して像担持体である感光ドラム面上に画像情報を記録するタンデムタイプのカラー画像形成装置である。図11において、60はカラー画像形成装置、11,12,13,14は各々実施形態1、2、3、4に示したいずれかの構成を有する光走査装置、21,22,23,24は各々像担持体としての感光ドラム、31,32,33,34は各々現像器、51は搬送ベルトである。尚、図11においては現像器で現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器(不図示)と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器(不図示)とを有している。
【0077】
図11において、カラー画像形成装置60には、パーソナルコンピュータ等の外部機器52からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ53によって、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。これらの画像データは、それぞれ光走査装置11,12,13,14に入力される。そして、これらの光走査装置からは、各画像データに応じて変調された複数の光ビーム41,42,43,44が射出され、これらの光ビームによって感光ドラム21,22,23,24の感光面が主走査方向に走査される。
【0078】
本実施態様におけるカラー画像形成装置は光走査装置(11,12,13,14)を4個並べ、各々がC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各色に対応し、各々平行して感光ドラム21,22,23,24面上に画像信号(画像情報)を記録し、カラー画像を高速に印字するものである。
【0079】
本実施態様におけるカラー画像形成装置は上述の如く4つの光走査装置11,12,13,14により各々の画像データに基づいた複数の光ビームを用いて各色の潜像を各々対応する感光ドラム21,22,23,24面上に形成している。その後、記録材に多重転写して1枚のフルカラー画像を形成している。
【0080】
前記外部機器52としては、例えばCCDセンサを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置60とで、カラーデジタル複写機が構成される。
【0081】
尚、本発明ではカラー画像形成装置に実施形態1、2,3又は4の光走査装置を適用したが、もちろんモノクロ画像形成装置に適用しても良い。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば前述の如く被走査面上の像面照度の不均一を補正する補正手段を設けることにより、通常のレーザ光源(100μm前後のビーム間隔を有する光源)によりオーバーフィルド走査光学系を構成することができ、これにより高速で高解像度の画像を得ることができる光走査装置及びそれを用いた画像形成装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例1の主走査断面図
【図2】 本発明の参考例1の光学系を展開したときの説明図
【図3】 モノリシックなレーザ光源付近の説明図
【図4】 レーザ光の光量分布を示した光量分布図
【図5】 本発明の参考例1の透過率分布フィルターの透過率を示した光量分布図
【図6】 主走査方向のファーフィルド分布と端部の光量落ちとの関係を示したグラフ
【図7】 本発明の参考例2のレーザチップの出射方向による端部での光量低下を示したグラフ
【図8】 モノリシックなレーザ光源の光量分布を示した説明図
【図9】 本発明の参考例3の電気的な補正を行う場合の動作を説明するブロック図
【図10】 本発明の実施形態1の主要部分の副走査断面図
【図11】 本発明の光走査装置を用いたカラー画像形成装置の副走査断面図
【図12】 従来の光走査装置の要部概略図
【符号の説明】
1 レーザ光源
2 コリメーターレンズ
3 開口絞り
4 ビームエクスパンダー
5 シリンドリカルレンズ
6 補正手段
7 折り返しミラー
8 偏向手段
9 走査光学系
10 アナモフィック非球面レンズ
15 被走査面
11、12、13、14 光走査装置
21、22、23、24 像担持体(感光ドラム)
31、32、33、34 現像器
41 搬送ベルト
51 マルチビームレーザー
52 外部機器
53 プリンタコントローラ
60 カラー画像形成装置
Claims (2)
- 主走査方向及び副走査方向に間隔を有する複数の発光点を備えたモノリシックなレーザ光源と、前記レーザ光源から出射した複数のレーザ光の各々を変換するコリメータレンズと、前記コリメータレンズから出射した複数のレーザ光を偏向反射させる偏向手段と、前記偏向手段の偏向面で偏向反射された複数のレーザ光を被走査面上に結像させる走査光学系と、を有する光走査装置において、
前記レーザ光源から出射した複数のレーザ光は、主走査断面内において、前記偏向手段の偏向面の主走査方向の幅よりも広い光束幅で前記偏向手段の偏向面に入射しており、
前記複数のレーザ光間の前記被走査面上での像面照度の不均一を補正するために、前記レーザ光源から出射した複数のレーザ光の各々の主走査方向の光束幅を広げる主走査方向に負のパワーを有するビームエクスパンダーが前記レーザ光源と前記偏向手段の間に設けられており、
前記レーザ光源1から出射した複数のレーザ光の各々の副走査方向の光束幅を狭めるビームコンプレッサーが前記レーザ光源と前記ビームエクスパンダーの間に設けられていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1に記載の光走査装置と、前記被走査面に配置された感光ドラムと、前記光走査装置で走査されたレーザ光によって前記感光ドラムの上に形成された潜像をトナー像として現像する現像器と、前記現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器と、外部機器から入力されたデータを画像信号に変換して前記光走査装置に出力せしめるプリンタコントローラと、を有することを特徴とする画像形成装置。
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