JP4296944B2 - 溶接部の成形性および耐二次加工脆性に優れた冷延鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の内板、外板部品等に適用される、溶接部の成形性および耐二次加工脆性に優れた冷延鋼板、特に高強度冷延鋼板に関する。
近年、自動車の車体軽量化および衝突安全性能の観点から、自動車の内板、外板部品等に高強度鋼板の適用化が進められている。
このような状況の中、高強度鋼板の適用化技術として、レーザー溶接などの溶接方法により、引張強さや板厚の異なる鋼板をプレス成形前に接合し、接合されて一体化した鋼板をプレス成形する、いわゆるテーラードブランクと称される新技術が高い注目を集めている。この技術は、プレス成形時の工程省略やプレス部品点数の削減を可能にすることから、適用拡大が期待されている。
溶接することにより、溶接部の硬質化やHAZ(溶接熱影響部)の軟質化が生じるような鋼板にテーラードブランク技術を適用すると、張出し性等のプレス成形性の劣化やプレス成形後の靭性(耐二次加工脆性)の低下など溶接部性能の劣化が懸念される。このため、テーラードブランク技術を適用するには、溶接部の成形性および靱性を具備する鋼板であることが要求される。
こうした要求に対し、例えば、本願人は、特許文献1および2に、溶接部の成形性に優れたNb添加の極低炭素鋼板を製造する技術を提案した。
特開2000-303139号公報 特開2001-131690号公報
上記の特許文献1および2には、いずれも0.0040質量%以上の炭素を含有するNb添加IF(Interstitial Free)鋼において、鋼中NbCの微細分散を利用し、溶接時のオーステナイト粒の粗大化を抑制してHAZの軟化を改善する事により、伸びフランジ性、張出し性、深絞り性等の溶接部のプレス成形性に優れた高強度鋼板が開示されている。
しかしながら、本願人が、テーラードブランク技術を適用して、厳しいプレス成形が付与されるサイドパネルなどの自動車外板パネルを製造するための検討をさらに詳細に行なったところ、単に優れたプレス成形性を具備するだけではなく、成形後の耐二次加工脆性にも優れた鋼板であることが重要であることを見出した。
そこで、本発明の目的は、溶接部の成形性および耐二次加工脆性に優れた冷延鋼板、特にテーラードブランク用高強度鋼板を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(I) 質量%で、C:0.0040〜0.02%、Si:1.5%以下、Mn:0.5〜3.0%、P:0.01〜0.1%、S:0.02%以下、sol.Al:0.15〜1.5%、N:0.001〜0.005%およびNb:0.04〜0.2%を含有し、かつ、CおよびNbの含有量が下記(1)式を満足するとともに、AlおよびNの含有量が下記(2)式を満足し、残部鉄および不可避的不純物からなり、フェライトの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする溶接部の成形性および耐二次加工脆性に優れた冷延鋼板。

1.0≦(12/93)×(Nb/C)≦2.2 --------(1)
26≦(14/27)×(Al/N)≦400 --------(2)
(II) Ti:0.005〜0.08質量%をさらに含有することを特徴とする上記(I)に記載の溶接部の成形性および耐二次加工脆性に優れた冷延鋼板。
(III) B:0.0002〜0.002質量%をさらに含有することを特徴とする上記(I)又は(II)に記載の溶接部の成形性および耐二次加工脆性に優れた冷延鋼板。
(IV) 鋼板表面に亜鉛系めっき皮膜又は有機系皮膜を有する上記(I)、(II)又は(III)に記載の溶接部の成形性および耐二次加工脆性に優れた冷延鋼板。
本発明によれば、鋼組成成分およびフェライト平均粒径の適正化を図ることにより、溶接部の成形性および耐二次加工脆性に優れた冷延鋼板、特にテーラードブランク用高強度鋼板の提供が可能であり、かかる鋼板は、自動車産業界や鉄鋼業界において利用価値が大きい。
本発明者らは、テーラードブランク技術を適用した場合であっても、サイドパネルなどの自動車外板部品の製造が容易になるような優れたプレス成形性と耐二次加工脆性を有する鋼板を得るために、鋭意検討を重ねた。
この結果、Ac点を超える高温域での溶接における粗大オーステナイト粒の生成を抑制して、オーステナイト(γ)相からフェライト(α)相への変態後のフェライト粒の微細化を図り、延性および靭性を向上させる事が必要であり、このためには、高温でも安定な微細析出物を鋼中に分散させる事が重要であり、高温において安定な微細析出物として、CおよびNbで形成されるNb炭化物と共に、AlおよびNで形成されるAl窒化物を活用する事が有効であることが分かった。以下にその内容を説明する。なお、鋼組成成分の含有量の単位である「質量%」は、以下では単に「%」で示す。
C:0.0065〜0.0090%、Si:0.05〜0.5%、Mn:1.6〜1.8%、P:0.01〜0.05%、S:0.007〜0.015%、sol.Al:0.05〜3.5%、N:0.002〜0.004%およびNb:0.02〜0.23%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物である、引張り強さTS:445〜468MPa、フェライトの平均粒径:5.2〜10.6μm、板厚:0.7mmの連続焼鈍−合金化溶融亜鉛めっき処理した種々の供試鋼板について、素材ままおよびレーザー溶接した鋼板の円筒深絞り成形後の縦割れ遷移温度(℃)と、レーザー溶接した鋼板の限界張出し高さ(mm)を求め、CおよびNbの原子当量比である(12/93)×(Nb/C)の値、AlおよびNの原子当量比である(14/27)×(Al/N)の値で整理した結果を図1に示す。ここで、図1中の記号「○」、「△」および「×」は、溶接部のない鋼板(素材まま)の縦割れ遷移温度、溶接部を有する鋼板(溶接材)の縦割れ遷移温度および溶接部を有する鋼板の限界張出し高さが表1に示す範囲である場合を意味する。
Figure 0004296944
なお、レーザー溶接は、出力3kW、溶接速度4m/minとして、焦点位置を鋼板表面に設定して実施した。また、素材およびレーザー溶接材の耐二次加工脆性は、図2に示すように鋼板を絞り比2.0にて円筒深絞り成形して成形カップを作製した後、この成形カップを冷媒中に固設した円錐台状の台座に被せ、成形カップの底面に対して負荷し、成形カップが縦割れしない最低温度Tc(縦割れ遷移温度)を測定し、この測定値から評価した。更に、レーザー溶接した鋼板の張出し性は、図3に示すように、直径100mmで先端の曲率半径Rが50mmである球頭ポンチを用い、孔径が153mmであり、ダイス肩の曲率半径が10mmであり、ビード位置が直径180mm位置であり、しわ押え力が100トンであるダイスで、防錆油で潤滑した供試鋼板を挟持した状態で、供試鋼板の中央部を球頭ポンチで押込んでいく張出し成形試験を実施し、割れが発生する限界張出し高さを求めて評価した。
図1から、溶接した供試鋼板において、低い縦割れ遷移温度と高い限界張出し高さを得るには、(12/93)×(Nb/C)の値と(14/27)×(Al/N)の値の双方の適正範囲が存在することが判る。つまり、(12/93)×(Nb/C)の値が1.0未満では、縦割れ遷移温度は、素材ままでは−60℃以下と低いが、溶接材では−25℃超えと高く、溶接後の耐二次加工脆性は低下しており、また、溶接材の限界張出し高さは27.0mm未満と低い。溶接材の縦割れ試験および張出し試験後の割れはいずれも溶接熱影響部で発生していることから、溶接熱影響部におけるフェライト粒の粗粒化に伴う靭性低下や局部延性の低下により、割れが発生したと考えられる。
また、(12/93)×(Nb/C)の値が2.2を超える場合、溶接材の張出し高さは低く縦割れ遷移温度は高い。割れの発生した溶接部では、Nb炭化物の析出により溶接熱影響部のフェライトの粗粒化は抑制されていることから、過剰なNb炭化物による延性の低下が割れの原因と考えられる。
これに対し、(12/93)×(Nb/C)の値が1.0〜2.2の範囲では、溶接材の縦割れ遷移温度は−50℃以下と低く、限界張出し高さは27.0〜27.5mmと高いことから、耐二次加工脆性および成形性ともに良好であることが判る。(12/93)×(Nb/C)の値が上記範囲だと、溶接部の延性および靱性に好ましい微細フェライト組織が得られているものと推定される。
また、(12/93)×(Nb/C)の値が1.0〜2.2の範囲であっても、耐二次加工脆性および成形性の双方が必ずしも良好であるとは限らない。すなわち、(12/93)×(Nb/C)の値が1.0〜2.2の範囲であるものの、(14/27)×(Al/N)の値が26未満では、溶接材の縦割れ遷移温度は−50℃超え−25以下と高く、耐二次加工脆性は改善されない。一方、(14/27)×(Al/N)量が400を超える場合には、(12/93)×(Nb/C)の値が1.0〜2.2の範囲であっても、溶接材の張出し性および耐二次加工脆性ともに低下しており、これは過剰なAl窒化物による延性の低下によるものと考えられる。
そして、(12/93)×(Nb/C)の値が1.0〜2.2の範囲であり、かつ(14/27)×(Al/N)の値が26〜400の範囲である場合に、張出し性および耐二次加工脆性のいずれもが良好であり、これは鋼中のAl窒化物の適量化により、溶接部の延性および靱性に有効な微細フェライト粒が得られていることによるものと推定される。
以上から、本発明では、溶接後に良好な張出し性と耐二次加工脆性を得るため、(12/93)×(Nb/C)の値および(14/27)×(Al/N)の値をそれぞれ1.0〜2.2および26〜400の範囲に限定した。
図4は、C:0.0070%、Si:0.25%、Mn:1.2%、P:0.07%、S:0.008%、sol.Al0.2%、N:0.0025%、Nb:0.10%およびB:0.0005%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物である、板厚:0.7mmの冷延鋼板を830〜870℃の温度において90秒〜1時間熱処理した焼鈍板(TS:450〜473MPa)について、レーザー溶接材の縦割れ遷移温度におよぼす冷延鋼板(素材まま)のフェライト平均粒径の影響を示すものである。レーザー溶接および縦割れ遷移温度の測定は上記と同様の方法にて実施した。
図4に示す結果から、レーザー溶接材の縦割れ遷移温度は、冷延鋼板(素材まま)のフェライト平均粒径の増大に伴って上昇しており、−50℃以下の低温の特性を得るには、素材ままの状態においてフェライト平均粒径を10μm以下にすればよいことがわかる。これらの試験では、いずれも冷延鋼板の溶接をレーザー溶接で実施しているが、本発明では、溶接温度がAc点を超える溶接方法であれば、マッシュルーム溶接等の他の溶接方法で実施してもよく、この場合にも、レーザー溶接の場合と同様の結果が得られる。
以上のように、溶接材において優れた張出し性と耐二次加工脆性を得るには、微細Nb炭化物と微細Al窒化物を有効活用するとともに、フェライト平均粒径を10μm以下とする事が重要である事を見出した。
以上の知見に基づき、自動車内板、外板部品にテーラードブランク技術を適用する際に求められる高いプレス成形性と耐二次加工脆性を有する鋼板を安定して製造する技術を発明するに至った。
そこで、まず、本発明において、鋼組成成分およびフェライト粒径を限定した理由について説明する。
(1)鋼組成成分
・C:0.0040〜0.02%
Nbと結合して形成される炭化物は、溶接時のオーステナイト粒の粗大化を抑制してγ相からα相への変態後のフェライトの微細化に影響をおよぼし、溶接材のプレス成形性と耐二次加工脆性の向上に寄与する。しかしながら、Cの含有量が0.0040%未満では、本発明で意図するプレス成形性と耐二次加工脆性の向上に寄与する炭化物が十分に得られない。また、Cが0.02%を超えると、冷延鋼板(素材まま)の延性が低下し、溶接材の良好なプレス成形性および耐二次加工脆性が得られない。このため、C量は0.0040〜0.02%の範囲とし、より好ましくは、0.0050〜0.0080%の範囲とする。
・Si:1.5%以下
Siは鋼板の強化に有効な元素である。しかし、Siの添加量が1.5%を超えると、鋼板の表面性状が劣化するため、本発明では、Si含有量を1.5%以下とする。
・Mn:0.5〜3.0%
Mnは、鋼板の強化に有効な元素であるが、Mn含有量が0.5%未満では、鋼板の強化能が十分に得られない。一方、Mn含有量が3.0%を超えると、Mnの鋳造偏析により、延性の低下が顕著になる。このため、Mn含有量は0.5〜3.0%の範囲とする。
・P:0.01〜0.1%
Pは、鋼板の強化に有効な元素であるが、P含有量が0.01%未満では、鋼板の強化能が十分に得られない。また、P含有量が0.1%を超えると、Pの鋳造偏析により、プレス成形時のパネル表面外観の劣化が著しくなるばかりか、Pのフェライト粒界偏析に起因したフェライト粒界強度の低下により、本発明の意図する良好な耐二次加工脆性が得られない。このため、P含有量は0.01〜0.1%の範囲とする。
・S:0.02%以下
Sは、熱間圧延時の鋼板の脆化を抑えるため、S含有量は0.02%以下とする。
・sol.Al:0.15〜1.5%
Nと結合して形成されるAl窒化物は、上記Nb炭化物と同様、溶接時のオーステナイトの粗大化抑制に伴うフェライト粒の微細化に有効であり、溶接材の成形性と耐二次加工脆性を向上させる効果を有する。しかしながら、sol.Al含有量が0.15%未満ではこの向上効果が小さい。また、sol.Al含有量が1.5%を超えると、溶接時にAl酸化物が形成がされやすくなり、これに伴って、溶接材の延性低下が顕著になる。このため、sol.Al含有量は0.15〜1.5%の範囲とする。
・N:0.001〜0.005%
Nは、Alと形成される窒化物により、本発明の目的とする溶接材の張出し性および耐二次加工脆性に有効な微細フェライト粒形成に大きな影響をおよぼす重要な元素である。しかしながら、N含有量が0.001%未満では、上記Al窒化物による効果が小さい。また、N含有量が0.005%を超えると、Al窒化物による局部延性の低下が著しくなる。このため、N含有量は、0.001〜0.005%の範囲とする。
・Nb:0.04〜0.2%
Cと結合して形成されるNb炭化物は、溶接材の張出し性および耐二次加工脆性に好ましい微細フェライト組織を形成する。この微細フェライト組織を得るには、Nb含有量が0.04%以上であることが必要である。また、Nb含有量が0.2%を超えると、焼鈍時のフェライトの再結晶が遅滞化して未再結晶組織が残留しやすくなり、鋼板の延性低下が顕著になる。このため、Nb含有量は、0.04〜0.2%の範囲とし、より好適には0.07〜0.13%の範囲とする。
本発明では、上記鋼組成成分に限定するのに加えて、さらに、上述したように、CおよびNbの含有量が1.0≦(12/93)×(Nb/C)≦2.2を満足するとともに、AlおよびNの含有量が26≦(14/27)×(Al/N)≦400を満足し、かつ、フェライトの平均粒径が10μm以下であることが必要である。
・CおよびNbの含有量が1.0≦(12/93)×(Nb/C)≦2.2を満足すること
CおよびNbの含有量(%)で規定される(12/93)×(Nb/C)の値は、溶接材の張出し性と耐二次加工脆性に影響をおよぼす炭化物の形態を制御するための重要なパラメーターであり、図1に示すように、(12/93)×(Nb/C)の値が1.0未満の時には、溶接熱影響部の粗粒化抑制に対する析出物の寄与は小さく、張出し性および耐二次加工脆性のいずれもが低い。また、(12/93)×(Nb/C)の値が2.2を超えると、過剰な析出物により、局部延性が低下するため、張出し性および耐二次加工脆性がともに低下する。このため、(12/93)×(Nb/C)の値は1.0〜2.2の範囲とし、より好適には1.4〜1.9の範囲とする。
・AlおよびNの含有量が26≦(14/27)×(Al/N)≦400を満足すること
AlおよびNの含有量(%)で規定される(14/27)×(Al/N)の値は、溶接材の張出し性と耐二次加工脆性に影響をおよぼす窒化物の形態を制御するための重要なパラメーターであり、図1に示すように、(14/27)×(Al/N)の値が26未満の時には、溶接熱影響部の粗粒化抑制に対する析出物の寄与は小さく、張出し性および耐二次加工脆性のいずれもが低い。また、(14/27)×(Al/N)の値が400を超えると、過剰な析出物により、局部延性が低下するため、張出し性および耐二次加工脆性がともに低下する。このため、(14/27)×(Al/N)の値は26〜400の範囲とし、より好適には35〜200の範囲とする。
本発明は、鋼中に上記鋼組成成分を含有させることを必須とするが、更に必要に応じて、Ti:0.005〜0.08%およびB:0.0002〜0.002%を添加することが出来る。
・Ti:0.005〜0.08%
上記のような溶接材の張出し性と耐二次加工脆性の向上に寄与するフェライトの細粒化の点から、Tiを0.005%以上添加することは好ましい。しかし、Tiの添加量が0.08%を超えると、過剰なTi析出物の存在により、焼鈍時におけるフェライト再結晶を遅滞化させ、未再結晶組織の残留による延性低下が著しくなる。したがって、Tiを添加する場合、その添加量は0.005〜0.08%の範囲とする。
・B:0.0002〜0.002%
Bは、本発明の意図する溶接部のフェライトを細粒化するとともに、フェライト粒界強度を上昇させる効果を有する元素であり、この効果はB添加量が0.0002%以上で認められる。しかし、Bの添加量が0.002%を超えると、溶接時にオーステナイト粒界にBが偏析し易くなり、粒界偏析Bによるγ相からα相への変態抑制に伴ない、低温変態相が増大し、溶接部の延性が著しく低下する。したがって、Bを添加する場合、その添加量は0.0002〜0.002%の範囲とする。
本発明の上記鋼組成以外は、残部鉄および不可避的不純物であるが、この不可避的不純物というのは、本発明の目的とする特性に悪影響を及ぼさない範囲に不可避的に鋼中に混入(含有)する不純物を意味する。
(2)フェライトの平均粒径が10μm以下であること
本発明では、上記鋼組成に限定した上で、フェライトの平均粒径が10μm以下であることが必要である。素材ままの状態においてフェライト平均粒径を10μm以下にすれば、図4に示すように、溶接材の縦割れ遷移温度が−50℃以下の低温の特性を得ることができるからである。
次に、本発明に従う冷延鋼板の製造方法の一例について以下で説明する。
まず、上記(1)に示す鋼組成成分と同様の組成の鋼を溶製し、鋳造した後、熱間圧延を施す。溶製方法および鋳造方法は、特に限定する必要はなく、成分偏析等、特に組織が不均一にならなければ良い。熱間圧延前のスラブの加熱については特に規定する必要はなく、鋳造後直ちに圧延を開始しても良いし、或いは一旦スラブを冷却し、加熱してから実施しても良い。
熱間粗圧延した後、熱間仕上圧延を施し、コイルに巻き取る。熱間仕上圧延は、鋼板表層部の熱延組織の粗大化および圧延負荷の増大を抑えるため、Ar点以上で実施する。コイル巻取段階において、Nb炭化物およびAl窒化物の析出促進により、固溶炭素および固溶窒素による焼鈍板の延性への悪影響を抑制するため、巻取温度の下限は500℃とし、熱延コイルの酸洗性および表層フェライト組織の粗粒化の抑制の観点から、巻取温度の上限は700℃とするのが好ましい。尚、より好ましい巻取温度の範囲は、550〜650℃である。
続いて、熱延コイルを冷間圧延した後、連続焼鈍または連続溶融亜鉛めっき処理を施す。冷間圧延は、プレス成形性に好ましい等軸再結晶フェライト粒を得るため、50%以上、より好ましくは65%以上の圧延率にて実施する。
また、焼鈍時の加熱温度は、フェライトの再結晶温度以上とするが、900℃を超える高温ではフェライトが粗粒化し、本発明の意図する平均粒径が10μm以下の微細フェライト組織が安定して得られなくなる。このため、加熱温度の上限は900℃とすることが好ましく、より好ましい加熱温度は880℃以下とする。
焼鈍後の冷却条件は特に限定する必要がなく、また冷却段階において、必要に応じて溶融亜鉛めっき処理を施すことが出来る。この場合、純亜鉛めっき処理でも良いし、合金化亜鉛めっき処理でも良い。また、冷延鋼板に電気亜鉛めっき、化成処理等の表面処理を施すことも出来る。更に、このようにして得られた鋼板に有機系皮膜処理を施しても、本発明の目的とする特性を損なうことはない。
次に、本発明の実施例について以下で説明する。
表2に示す成分の鋼(No.1〜7:本発明鋼、No.8〜15:比較鋼)を実験室にて溶製し、板厚50mmのスラブとした。このスラブを板厚30mmまで分塊圧延した後、1250℃1時間、大気中で加熱してから、熱間圧延を実施した。880℃で仕上圧延を施し、600℃で巻取相当の熱処理を施して、板厚2.8mmの熱延板を作製した。この熱延板を酸洗した後、板厚0.7mmまで冷間圧延(圧延率75%)し、その後、引き続いて連続焼鈍または連続溶融亜鉛めっき相当の熱処理を施した。連続焼鈍は830℃で2分間加熱した後、室温まで冷却する熱処理を、また、連続溶融亜鉛めっきは830℃で2分間加熱後、冷却段階において460℃で亜鉛めっき浸漬し、その後550℃まで加熱して室温まで冷却する熱処理を実施した。このようにして得られた焼鈍板に0.5%の調質圧延を施し、実験用供試材を作製した。
Figure 0004296944
各供試材を用いて、フェライト平均粒径の他、引張特性(降伏応力YS、引張り強さTSおよび伸びEl)および縦割れ遷移温度を測定した。
また、上記供試材をレーザー溶接して溶接材とし、この溶接材の限界張出し高さおよび縦割れ遷移温度を測定し、テーラードブランク技術の適用の可否について評価した。
なお、引張特性はJIS(日本工業規格)Z 2241に準拠した方法にて、また、フェライト平均粒径はJIS G O552に記載された切断法にて求めた。縦割れ遷移温度は、図2に示すように絞り比2.0にて円筒深絞り成形したカップを用いて種々の温度の圧潰試験により測定し、また、限界張出し高さは、図3と同様な条件の張出し成形試験により求めた。
表3にこれらの結果を示す。
Figure 0004296944

Figure 0004296944
本発明成分範囲内の本発明鋼板No.1〜14では、連続焼鈍材(CAL)と連続溶融亜鉛めっき材(CGL)のいずれも、フェライトの平均粒径が5.3〜8.8μmであり、10μm以下の微細組織を有する。また、素材ままでの縦割れ遷移温度は、CAL材で−80〜−110℃、CGL材で−60〜−95℃と低く、溶接材での縦割れ遷移温度もまた、CAl材で−60〜−90℃、CGL材で−50〜−85℃と−50℃以下の低温の特性が得られており、耐二次加工脆性が良好である。また、溶接材の限界張出し高さはCAL材が27.0〜28.5mm、CGL材が27.0〜28.8mmであり、いずれも良好な張出し性を有する。
一方、本発明成分範囲外の比較鋼板No.15〜30は、溶接材の張出し性と耐二次加工脆性の少なくとも一方が劣っている。すなわち、比較鋼No.15〜20では、CAL材およびCGL材ともに、溶接材の限界張出し高さが23〜25.3mmと低く、また、溶接材の縦割れ遷移温度は−15〜−40℃と高い。比較鋼No.21〜26では、CAL材およびCGL材のいずれもが、溶接材の限界張出し高さが27.0〜27.6mmと高く、張出し性は良好であるが、溶接材の縦割れ遷移温度は−20〜−40℃と高いことから、耐二次加工脆性が低い。比較鋼No.27〜30では、CAL材およびCGL材ともに、溶接材の限界張出し高さが22.9〜23.8mmであり、溶接材の縦割れ遷移温度が−10〜−20℃であり、張出し性および耐二次加工脆性ともに劣っている。
本発明によれば、鋼組成成分およびフェライト平均粒径の適正化を図ることにより、溶接部の成形性および耐二次加工脆性に優れた冷延鋼板、特にテーラードブランク用高強度鋼板の提供が可能であり、かかる鋼板は、自動車産業界や鉄鋼業界において利用価値が大きい。
縦割れ遷移温度および限界張出し高さにおよぼす(12/93)×(Nb/C)の値と、(14/27)×(Al/N)の値の影響を示す図である。 縦割れ遷移温度を測定する試験方法を説明するための図である。 張出し性を評価する試験方法を説明するための図である。 溶接材の縦割れ遷移温度におよぼすフェライト平均粒径の影響を示す図である。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.0040〜0.02%、Si:1.5%以下、Mn:0.5〜3.0%、P:0.01〜0.1%、S:0.02%以下、sol.Al:0.15〜1.5%、N:0.001〜0.005%およびNb:0.04〜0.2%を含有し、かつ、CおよびNbの含有量が下記(1)式を満足するとともに、AlおよびNの含有量が下記(2)式を満足し、残部鉄および不可避的不純物からなり、フェライトの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする溶接部の成形性および耐二次加工脆性にれた冷延鋼板。

    1.0≦(12/93)×(Nb/C)≦2.2 --------(1)
    26≦(14/27)×(Al/N)≦400 --------(2)
  2. Ti:0.005〜0.08質量%をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の溶接部の成形性および耐二次加工脆性に優れた冷延鋼板。
  3. B:0.0002〜0.002質量%をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接部の成形性および耐二次加工脆性に優れた冷延鋼板。
  4. 鋼板表面に亜鉛系めっき皮膜又は有機系皮膜を有する請求項1、2又は3に記載の溶接部の成形性および耐二次加工脆性に優れた冷延鋼板。
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