JP4293578B2 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体放電を用いた自発光形式の平板ディスプレイであるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にPDPは、2枚の対向するガラス基板にそれぞれ規則的に配列した一対の電極を設け、その間にNe,Xe等を主体とするガスを封入した構造になっている。そして、これらの電極間に電圧を印加し、電極周辺の微小なセル内で放電を発生させることにより、各セルを発光させて表示を行うようにしている。情報表示をするためには、規則的に並んだセルを選択的に放電発光させる。このPDPには、電極が放電空間に露出している直流型(DC型)と絶縁層で覆われている交流型(AC型)の2タイプがあり、双方とも表示機能や駆動方法の違いによって、さらにリフレッシュ駆動方式とメモリー駆動方式とに分類される。
【0003】
図1にAC型PDPの一構成例を示す。この図は前面板と背面板を離した状態で示したもので、図示のように2枚のガラス基板1,2が互いに平行に且つ対向して配設されており、両者は背面板となるガラス基板2上に互いに平行に設けられたリブ3により一定の間隔に保持されるようになっている。前面板となるガラス基板1の背面側には透明電極である維持電極4と金属電極であるバス電極5とで構成される複合電極が互いに平行に形成され、これを覆って誘電体層6が形成されており、さらにその上に保護層7(MgO層)が形成されている。また、背面板となるガラス基板2の前面側には前記複合電極と直交するようにリブ3の間に位置してアドレス電極8が互いに平行に形成されており、これを覆って誘電体層9が形成され、さらにリブ3の壁面とセル底面を覆うようにして蛍光体10が設けられている。このAC型PDPは面放電型であって、前面板上の複合電極間に交流電圧を印加し、放電させる構造である。そしてこの放電により生じる紫外線により蛍光体10を発光させ、前面板を透過する光を観察者が視認するようになっている。
【0004】
このようにPDPにおいては、リブにより放電空間が区画されるが、通常の場合、表示領域のみならずその外側にも同様な形状のリブが形成される。これはダミーリブと呼ばれるもので、ディスプレイとしての点灯表示に直接寄与しないものである。このようなダミーリブは、パネル化時において周囲でガラス基板が撓むときの影響が表示領域に及ぶのを少なくするために設けられる。また、スクリーン印刷により蛍光体ペーストの充填を行う時に、スクリーン版の撓みにより表示領域両端で条件が異なるの防ぎ、充填量が不均一とならないようにするため、余裕を持たせる意味でも形成される。或いは、サンドブラストによりリブを形成する時、両端部では多く削り取られてリブが細くなるが、表示領域に影響のないところにダミーリブを設けるようにしておけば、そのダミーリブが細くなっても表示には関係がないという意味でもダミーリブが形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したAC型PDPは、一般にアドレス電極と平行したリブのみから形成されている。したがって、リブが隣接する方向には異常放電は殆ど走らないが、リブが延びる方向には異常放電の発生が存在し得る。そして、周辺部では異常放電が出やすいこともあって、ダミーリブ部に起因した異常放電も存在する。
【0006】
また、PDPは前面板と背面板とを貼り合わせることで形成されるが、貼り合わせ時にパネル内を排気することから、その際にリブに押圧力がかかるため、特に大きな押圧力がかかる基板周辺部のダミーリブの強度は大きい方が良いといった問題もある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ダミーリブに起因する異常放電を抑制するとともに、ダミーリブの強度も向上させたPDPを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、表示領域にて放電空間を区画するように形成されたリブと表示領域の外側に形成されたダミーリブとを有するPDPにおいて、表示領域に形成されたリブがライン状であって、表示領域の外側に形成されたダミーリブが、基板表面に形成された電極と平行な平行部分と、その平行部分に直交する直交部分とからなり、この直交部分には頂部からリブが形成された基板表面に達する間隙が存在し、ダミーリブにおける直交部分の間隙はそれぞれの放電空間に対して存在するように配置されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
図2にダミーリブの一例を示す。この例は図1に示すタイプのAC型PDPについてのものであり、同図に示されるように、表示領域のリブ3の外側に複数本(図では3本)のダミーリブ11が形成されており、図示はしないが反対側にも同様な複数本のダミーリブが形成されている。これらのダミーリブ11はそれぞれ表示領域のリブ3と平行な平行部分11aと、その平行部分11aに直交する直交部分11bとからなる。そして、直交部分11bには頂部から基板表面に達する間隙αが設けられている。図1で説明したように、表示領域のリブ3は基板表面に形成されたアドレス電極8と平行に形成されており、したがってダミーリブ11の平行部分11aはアドレス電極8と平行な向きに、また直交部分11bはアドレス電極8と直交する向きになっている。
【0010】
このタイプのPDPでは、背面板のアドレス電極と前面板の複合電極との交点ごとに個々の放電空間が設けられるが、ダミーリブ11における直交部分11bの間隙αは、それぞれの放電空間に対応して存在するように配置する。
【0011】
また、直交部分11aの間隙αの幅は、隣接するリブ間距離に対して1/10〜1/2の寸法であることが好ましい。1/2を越えるとダミーリブ11の強度を大きくすることができない。1/10に満たないとパネル化時の排気を十分に行うことができないか、排気に時間がかかるという問題が生じる。
【0012】
【実施例】
まず、背面板となるガラス基板の上にアドレス電極をパターン形成した後、それを覆って誘電体層を形成し、その誘電体層の上にサンドブラスト法でライン状のリブを形成した。この場合、図2に示す如く、有効表示領域にあるリブ3の外側(実際には両外側)にダミーリブ部として複数本(図では3本)のダミーリブ11を形成した。形成したリブ3とダミーリブ11のピッチは360μm、高さは120μm、リブ頂部の開口巾は300μmである。そして、ダミーリブ11の長さ方向にピッチ1080μmで直交部分を形成し、その直交部分の中央に幅100μmの間隙を設けた。
【0013】
このリブまでを形成した後、開口ライン幅200μmのスクリーン版を使用し、スクリーン印刷機によりリブ空間への蛍光体ペーストの充填を行った。具体的には、緑色の発光色の蛍光体を含むペースト(蛍光体:化成オプトニクス社製「P1−G1S」35wt%、樹脂固形分6.8wt%、溶剤58.2wt%)を所定リブ間に充填し、120℃で30分間乾燥させた。同様に青色の発光色の蛍光体を含むペースト(蛍光体:化成オプトニクス社製「KX−501A」27wt%、樹脂固形分7.8wt%、溶剤65.2wt%)、赤色の発光色の蛍光体を含むペースト(蛍光体:化成オプトニクス社製「KX−504A」35wt%、樹脂固形分4.1wt%、溶剤57.9wt%)にてそれぞれのリブ間に充填し、同様に乾燥させた。このようにして蛍光体ペーストの充填工程を行った後、最後に焼成工程を経てリブ空間に蛍光面を形成した。
【0014】
上記の如くリブ空間に蛍光面を形成した背面板に対し、別途作製した前面板を貼り合わせることにより、R,G,Bの3原色が視認される面放電型のAC型カラーPDPを作製した。貼り合わせ時において力のかかるダミーリブに変形や欠けは見られなかった。
【0015】
また、このようにして作製したAC型カラーPDPを駆動させたところ、ダミーリブ部において従来のような異常放電は起こらなかった。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、表示領域にて放電空間を区画するように形成されたリブと表示領域の外側に形成されたダミーリブとを有するPDPにおいて、表示領域に形成されたリブがライン状であって、表示領域の外側に形成されたダミーリブが、基板表面に形成された電極と平行な平行部分と、その平行部分に直交する直交部分とからなり、この直交部分には頂部からリブが形成された基板表面に達する間隙が存在し、ダミーリブにおける直交部分の間隙はそれぞれの放電空間に対して存在するように配置されている構成としたので、ダミーリブ部において従来のような異常放電は起こらず、結果的にダミーリブ部に起因する異常放電を抑制することができる。また、平行部分と直交部分とが支え合うことでダミーリブの強度が向上するので、パネル化時における強い押圧力にも十分に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマディスプレイパネルの一例をその前面板と背面板とを離間状態で示す斜視図である。
【図2】ダミーリブの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1,2 ガラス基板
3 リブ
4 維持電極
5 バス電極
6 誘電体槽
7 保護槽
8 アドレス電極
9 誘電体槽
10 蛍光体
11 ダミーリブ
11a 平行部分
11b 直交部分
α 間隙

Claims (2)

  1. 表示領域にて放電空間を区画するように形成されたリブと表示領域の外側に形成されたダミーリブとを有するプラズマディスプレイパネルにおいて、表示領域に形成されたリブがライン状であって、表示領域の外側に形成されたダミーリブが、基板表面に形成された電極と平行な平行部分と、その平行部分に直交する直交部分とからなり、この直交部分には頂部からリブが形成された基板表面に達する間隙が存在し、ダミーリブにおける直交部分の間隙はそれぞれの放電空間に対して存在するように配置されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記直交部分の間隙の幅が隣接するリブ間距離に対して1/10〜1/2の寸法である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
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