JP4293216B2 - 発光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、LEDチップ(発光ダイオードチップ)を利用した発光装置に関するものである。
従来から、複数個のLEDチップがフェースアップで直接搭載された金属ベース板と、金属ベース板に積層され各LEDチップの両電極それぞれがボンディングワイヤを介して接続される配線パターンが形成されたプリント配線板と、金属ベース板におけるLEDチップの搭載面側でLEDチップおよび当該LEDチップに接続されたボンディングワイヤをエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などにより封止した封止部とを備え、封止部をレンズ状の形状とすることで所望の配光特性を得るようにした発光装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、従来から、青色光ないし紫外光を放射するLEDチップと当該LEDチップから放射された光によって励起されてLEDチップの発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体とを組み合わせることにより、白色を含めLEDチップの発光色とは異なる色合いの混色光を得る技術が広く知られている。
特開2003−152225号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の発光装置では、LEDチップを金属ベース板に直接搭載しているので、金属ベース板とLEDチップとの線膨張率差に起因してLEDチップが破損してしまう恐れがあった。また、上記特許文献1に記載の発光装置では、外力が作用したときに当該外力が封止部を通してLEDチップおよび各ボンディングワイヤに伝達され、LEDチップの発光特性が変動したり、各ボンディングワイヤが断線してしまう恐れがあった。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、所望の配光特性を得ることができ且つ信頼性を高めることができる発光装置を提供することにある。
請求項1の発明は、LEDチップと、LEDチップが実装された実装基板と、当該実装基板におけるLEDチップの実装面側でLEDチップを囲みLEDチップから放射された光を反射するリフレクタであって前記実装面から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなる形状に形成されたリフレクタと、リフレクタの内側に透明樹脂材料を充填して形成されてLEDチップおよび当該LEDチップに電気的に接続されたボンディングワイヤを封止した封止部と、封止部およびリフレクタに重ねて配置されたレンズと、LEDチップから放射された光によって励起されてLEDチップの発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および透明材料により形成されたものであってレンズを覆いレンズの光出射面との間に空気層が形成される形で配設されるドーム状の色変換部材とを備え、実装基板は、熱伝導性材料からなる伝熱板の一面側にLEDチップへの給電路となるリードパターンが絶縁部を介して設けられるとともに伝熱板の前記一面の一部を露出させる窓孔が絶縁部に設けられてなり、LEDチップは、一表面側に一方の電極が形成されるとともに他表面側に他方の電極が形成されており、当該LEDチップと伝熱板との間に両者の線膨張率差に起因して当該LEDチップに働く応力を緩和するサブマウント部材であって窓孔の内側に配置されLEDチップと伝熱板とを熱結合させるサブマウント部材を介して伝熱板の前記一面に搭載され、各電極のうちサブマント部材側の電極が当該サブマウント部材に設けた導体パターンを介してボンディングワイヤと接続されるとともにサブマウント部材側とは反対側の電極がボンディングワイヤと直接接続されてなり、リフレクタは、実装基板側とは反対の表面の周部に、色変換部材を囲み色変換部材を位置決めする環状の位置決めリブが連続一体に突設されていることを特徴とする。
この発明によれば、実装基板におけるLEDチップの実装面側でLEDチップを囲むリフレクタと、封止部およびリフレクタに重ねて配置されたレンズと、LEDチップから放射された光によって励起されてLEDチップの発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および透明材料により形成された色変換部材とを備えていることにより、LEDチップから放射された光と蛍光体から放射された光との混色光について所望の配光特性を得ることができ、また、LEDチップと伝熱板との間に、両者の線膨張率差に起因して当該LEDチップに働く応力を緩和するサブマウント部材であって窓孔の内側に配置されLEDチップと伝熱板とを熱結合させるサブマウント部材を介在させてあるので、前記線膨張率差に起因してLEDチップが破損するのを防止することができ、信頼性を高めることができる。また、色変換部材がレンズの光出射面との間に空気層が形成される形で配設されており、レンズに密着していないので、外力が作用したときに色変換部材に発生した応力がレンズおよび封止部を通してLEDチップおよび各ボンディングワイヤに伝達されるのを抑制できるから、LEDチップの発光特性が変動したり各ボンディングワイヤが断線したりするのを抑制でき、より信頼性を高めることができる。また、色変換部材がレンズの光出射面との間に空気層が形成される形で配設されているので、LEDチップから放射され封止部およびレンズを通して色変換部材に入射し当該色変換部材中の蛍光体の粒子により散乱された光のうちレンズ側へ散乱されてレンズを透過する光の光量を低減できて装置全体としての外部への光取り出し効率を向上できるという利点や、外部雰囲気中の水分が前記LEDチップに到達しにくくなるという利点や、色変換部材の蛍光体で発生した熱がLEDチップへ伝熱されるのを抑制することができるという利点がある。また、リフレクタにおける実装基板側とは反対の表面の周部に、色変換部材を囲み色変換部材を位置決めする環状の位置決めリブが連続一体に突設されているので、リフレクタに対して色変換部材を高精度に位置決めすることができる。
請求項1の発明では、所望の配光特性を得ることができ且つ信頼性を高めることができるという効果がある。
以下、本実施形態の発光装置について図1〜図5を参照しながら説明する。
本実施形態の発光装置1は、LEDチップ10と、LEDチップ10が実装された実装基板20と、実装基板20におけるLEDチップ10の実装面側でLEDチップ10を囲みLEDチップ10から放射された光を反射する枠状のリフレクタ40と、リフレクタ40の内側に透明樹脂材料を充填して形成されてLEDチップ10および当該LEDチップ10に電気的に接続されたボンディングワイヤ14,14を封止し且つ弾性を有する封止部50と、封止部50およびリフレクタ40に重ねて配置されるレンズ60と、LEDチップ10から放射された光によって励起されてLEDチップ10の発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および透明材料により形成されたものであってレンズ60の光出射面60b側にレンズ60を覆い光出射面60bとの間に空気層80が形成される形で配設されるドーム状の色変換部材70とを備えている。
なお、本実施形態の発光装置1は、例えばスポットライト、照明器具(例えば、スポットライト、シーリングライトなど)の光源として用いるものであり、例えば、シリカやアルミナなどのフィラーからなる充填材を含有し加熱時に低粘度化する樹脂シート(例えば、溶融シリカを高充填したエポキシ樹脂シートのような有機グリーンシート)により形成される絶縁層90を介して金属(例えば、Al、Cuなどの熱伝導率の高い金属)製の器具本体100に接合することで、LEDチップ10から器具本体100までの熱抵抗を小さくすることができて放熱性が向上し、LEDチップ10のジャンクション温度の温度上昇を抑制できるから、入力電力を大きくでき、光出力の高出力化を図れる。ここで、照明器具の光源として用いる場合には、所望の光出力が得られるように、器具本体100に複数個の発光装置1を接合して(なお、図5では、10個の発光装置1を有底円筒状の器具本体100の底壁の内底面において周方向に沿って等間隔で配置した例を示してある)、リード線あるいは各発光装置1を各別に露出させる複数の開口窓が形成された回路基板などを利用して複数個の発光装置1を直列接続したり並列接続したりすればよい。
実装基板20は、熱伝導性材料からなりLEDチップ10が一面側に搭載される矩形板状の伝熱板21と、伝熱板21に積層されたガラスエポキシ基板からなる絶縁性基材22とで構成されており、当該絶縁性基材22における伝熱板21側とは反対側の表面にLEDチップ10の図示しない各電極それぞれと電気的に接続される一対のリードパターン23が設けられるとともに、絶縁性基材22に、伝熱板21の上記一面の一部を露出させる窓孔24が設けられており、LEDチップ10で発生した熱が絶縁性基材22を介さずに後述のサブマウント部材30を介して伝熱板21に伝熱されるようになっている。ここにおいて、伝熱板21の熱伝導性材料として熱伝導率の高い金属であるCuを採用している(つまり、伝熱板21として金属板を採用している)が、熱伝導性材料としてはCuに限らず、例えば、Alのように熱伝導率の高い他の金属やこれら金属と同様に熱伝導率の高い非金属を採用してもよい。なお、伝熱板21と絶縁性基材22とは、絶縁性を有するシート状の接着フィルムからなる固着材25により固着されている。また、各リードパターン23は、Ni膜とAu膜との積層膜により構成されており、リフレクタ40よりも内側の部位がインナーリード部23aを構成し、枠体40よりも外側の部位がアウターリード部23bを構成している。また、絶縁性基材22は、窓孔24の周囲に、LEDチップ10から放射された光を反射する反射膜27が形成されている。ここで、反射膜27は、Ni膜とAg膜との積層膜により構成されている。また、本実施形態では、絶縁性基材22が、伝熱板21の上記一面の一部を露出させる窓孔24が設けられた絶縁部を構成しており、LEDチップ10への給電路となる上述のリードパターン23,23が伝熱板21の上記一面側に絶縁部である絶縁性基材22を介して設けられている。
LEDチップ10は、青色光を放射するGaN系青色LEDチップであり、結晶成長用基板としてサファイア基板に比べて格子定数や結晶構造がGaNに近く且つ導電性を有するn形のSiC基板からなる導電性基板11を用いており、導電性基板11の主表面側にGaN系化合物半導体材料により形成されて例えばダブルへテロ構造を有する積層構造部からなる発光部12がエピタキシャル成長法(例えば、MOVPE法など)により成長され、導電性基板11の裏面に図示しないカソード側の電極であるカソード電極(n電極)が形成され、発光部12の表面(導電性基板11の主表面側の最表面)に図示しないアノード側の電極であるアノード電極(p電極)が形成されている。要するに、LEDチップ10は、一表面側にアノード電極が形成されるとともに他表面側にカソード電極が形成されている。上記カソード電極および上記アノード電極は、Ni膜とAu膜との積層膜により構成してあるが、上記カソード電極および上記アノード電極の材料は特に限定するものではなく、良好なオーミック特性が得られる材料であればよく、例えば、Alなどを採用してもよい。なお、本実施形態では、LEDチップ10の発光部12が導電性基板11よりも伝熱板21から離れた側となるように実装基板20に実装されているが、LEDチップ10の発光部12が導電性基板11よりも伝熱板21に近い側となるように実装基板20に実装するようにしてもよい。光取り出し効率を考えた場合には、発光部12を伝熱板21から離れた側に配置することが望ましいが、本実施形態では導電性基板11と発光部12とが同程度の屈折率を有しているので、発光部12を伝熱板21に近い側に配置しても光の取り出し損失が大きくなりすぎることはない。
また、LEDチップ10は、上述の伝熱板21に、LEDチップ10のチップサイズよりも大きなサイズの矩形板状に形成されLEDチップ10と伝熱板21との線膨張率の差に起因してLEDチップ10に働く応力を緩和するサブマウント部材30を介して搭載されている。サブマウント部材30は、上記応力を緩和する機能だけでなく、LEDチップ10で発生した熱を伝熱板21においてLEDチップ10のチップサイズよりも広い範囲に伝熱させる熱伝導機能を有している。本実施形態では、サブマウント部材30の材料として熱伝導率が比較的高く且つ絶縁性を有するAlNを採用しており、LEDチップ10は、上記カソード電極がサブマウント部材30におけるLEDチップ10側の表面に設けられ上記カソード電極と接続される導体パターン31(図2参照)および金属細線(例えば、金細線、アルミニウム細線など)からなるボンディングワイヤ14を介して一方のリードパターン23と電気的に接続され、上記アノード電極がボンディングワイヤ14を介して他方のリードパターン23と電気的に接続されている。なお、LEDチップ10とサブマウント部材30とは、例えば、SnPb、AuSn、SnAgCuなどの半田や、銀ペーストなどを用いて接合すればよいが、AuSn、SnAgCuなどの鉛フリー半田を用いて接合することが好ましい。
サブマウント部材30の材料はAlNに限らず、線膨張率が導電性基板11の材料である6H−SiCに比較的近く且つ熱伝導率が比較的高い材料であればよく、例えば、複合SiC、Siなどを採用してもよい。
上述の封止部50の透明樹脂材料としては、シリコーン樹脂を用いており、封止部50がゲル状であって弾性を有している。
リフレクタ40は、円形状に開口した枠状の形状であって、LEDチップ10の側面から放射された光がレンズ60側へ反射されるように内側面40aの形状が設計されている。すなわち、リフレクタ40は、LEDチップ10の厚み方向においてLEDチップ10から離れるに従って開口面積が大きくなる形状(つまり、上記実装面から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなる形状)に形成されている。ここにおいて、リフレクタ40の材料としては、LEDチップ10から放射される光(ここでは、青色光)に対する反射率が比較的大きな材料(例えば、Alなど)を採用し、リフレクタ40の内側面40aを鏡面とすればよく、リフレクタ40は例えばアルミニウムの基材を絞り加工して形成すればよい。また、リフレクタ40は、絶縁性を有するシート状の接着フィルムからなる固着材26により実装基板20に固着されている。なお、本実施形態では、リフレクタ40を実装基板20に固着した後でリフレクタ40の内側に上記透明樹脂材料を充填(ポッティング)して熱硬化させることで封止部50を形成してある。
レンズ60は、封止部50側の光入射面60aが平面状に形成されるとともに光出射面60bが凸曲面状に形成された平凸レンズにより構成されている。ここにおいて、レンズ60は、シリコーンにより形成してあり(シリコーンの成形品により構成してあり)、封止部50と屈折率が同じ値となっているが、レンズ60は、シリコーンに限らず、例えば、アクリル樹脂などにより形成してもよい。
ところで、レンズ60とリフレクタ40とは互いの光軸が一致し且つ各光軸がLEDチップ10を通るように配置されており、レンズ60は、光出射面60bが、光入射面60aから入射した光を光出射面60bと上述の空気層80との境界で全反射させない凸曲面状に形成されている。ここで、レンズ60は、光出射面60bが球面の一部により形成されており、当該球面の中心がLEDチップ10の厚み方向に沿った発光部12の中心線上に位置するように配置されている。したがって、LEDチップ10から放射された光(LEDチップ10から放射されリフレクタ40に反射されることなくレンズ60の光入射面60aに入射された光およびLEDチップ10から放射されリフレクタ40の内側面40aで反射されてレンズ60の光入射面60aに入射した光)が光出射面60bと空気層80との境界で全反射されることなく色変換部材70まで到達しやすくなり、全光束を高めることができる。
色変換部材70は、シリコーンのような透明材料(透光性材料)とLEDチップ10から放射された青色光によって励起されてブロードな黄色系の光を放射する粒子状の黄色蛍光体とを混合した混合物の成形品により構成されている。したがって、本実施形態の発光装置1は、LEDチップ10から放射された青色光と黄色蛍光体から放射された光とが色変換部材70の外面70bを通して放射されることとなり、白色光を得ることができる。なお、色変換部材70の材料として用いる透明材料は、シリコーンに限らず、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ガラス、有機成分と無機成分とがnmレベルもしくは分子レベルで混合、結合した有機・無機ハイブリッド材料などを採用してもよい。また、色変換部材70の材料として用いる透明材料に混合する蛍光体も黄色蛍光体に限らず、例えば、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを混合しても白色光を得ることができる。
ここで、色変換部材70は、内面70aがレンズ60の光出射面60bに沿った形状に形成されている。したがって、レンズ60の光出射面60bの位置によらず法線方向における光出射面60bと色変換部材70の内面70aとの間の距離が略一定値となっている。なお、色変換部材70は、位置によらず法線方向に沿った肉厚が一様となるように成形されている。色変換部材70は、開口部の周縁をリフレクタ40に対して、例えば接着剤(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)を用いて接着すればよい。
ところで、上述のリフレクタ40は、実装基板20側とは反対の表面の周部に、色変換部材70を囲み色変換部材70を位置決めする環状の位置決めリブ41が連続一体に突設されている。しかして、本実施形態では、リフレクタ40に対して色変換部材70を高精度に位置決めすることができる。
以上説明した本実施形態の発光装置1では、実装基板20におけるLEDチップ10の上記実装面側でLEDチップ10を囲むリフレクタ40と、封止部50およびリフレクタ40に重ねて配置されたレンズ60と、LEDチップ10から放射された光によって励起されてLEDチップ10の発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体およびシリコーンのような透明材料により形成された色変換部材70とを備えているので、LEDチップ10から放射された光と蛍光体から放射された光との混色光について所望の配光特性を得ることができる。
また、本実施形態の発光装置1では、LEDチップ10と実装基板20の伝熱板21との間に、両者の線膨張率差に起因してLEDチップ10に働く応力を緩和するサブマウント部材であって窓孔24の内側に配置されLEDチップ10と伝熱板21とを熱結合させるサブマウント部材30を介在させてあるので、上記線膨張率差に起因してLEDチップ10が破損するのを防止することができ、信頼性を高めることができる。
また、本実施形態の発光装置1では、色変換部材70をレンズ60の光出射面60bとの間に空気層80が形成される形で配設すればよくレンズ60に密着させる必要がないので、色変換部材70へ外力が作用したときに色変換部材70に発生した応力がレンズ60および封止部50を通してLEDチップ10および各ボンディングワイヤ14,14に伝達されるのを抑制できるから、上記外力によるLEDチップ10の発光特性の変動や各ボンディングワイヤ14,14の断線が起こりにくくなり、信頼性が向上する。また、色変換部材70とレンズ60との間に上記空気層80が形成されていることにより、外部雰囲気中の水分がLEDチップ10に到達しにくくなるという利点や、色変換部材70の蛍光体で発生した熱がLEDチップ10へ伝熱されるのを抑制することができるという利点がある。
また、本実施形態の発光装置1では、色変換部材70とレンズ60との間に上記空気層80が形成されていることにより、LEDチップ10から放射され封止部50およびレンズ60を通して色変換部材70に入射し当該色変換部材70中の黄色蛍光体の粒子により散乱された光のうちレンズ60側へ散乱されてレンズ60を透過する光の光量を低減できて装置全体としての外部への光取り出し効率を向上できるという利点がある。
ここで、図6(a),(b)に示すように、色変換部材70の光軸とLEDチップ10の光軸とが一致しており、色変換部材70における光軸方向の中央の位置PでLEDチップ10からの青色光が全方位に散乱されたとし、色変換部材70と空気層80との界面での全反射角をφa、色変換部材70と当該色変換部材70の外側の媒質である空気との界面での全反射角をφb、位置Pで散乱された光に関して色変換部材70の内面70a側のエスケープコーンECaの広がり角を2θa、位置Pで散乱された光に関して色変換部材70の外面70b側のエスケープコーンECbの広がり角を2θbとすれば、図6(a)に示すように全反射角φa,φbが40°のときには2θa=60°、2θb=98°となり、図6(b)に示すように全反射角φa,φbが50°のときには2θa=76°、2θb=134°となる。
ここにおいて、色変換部材70に用いている透明材料の屈折率をn、位置Pで散乱され内面70a側のエスケープコーンECaを通して放出される青色光の最大放出効率をηとすれば、η=(1/4n2)×100〔%〕で表されるので、上述のように透明材料としてシリコーン樹脂を用いている場合には、n=1.4として、η≒13%となる。したがって、色変換部材70とレンズ60との間に空気層80が形成されていない場合には、位置Pで散乱された青色光の50%がレンズ60に戻ってしまうのに対して、空気層80を形成したことにより、位置Pで散乱された青色光の13%しかレンズ60に戻らなくなるので、青色光による封止部50の劣化を抑制できる。なお、エスケープコーンECaを通して放出される青色光を少なくするには、色変換部材70の厚みを大きくすることが望ましい。
ところで、上述の実施形態では、LEDチップ10として、発光色が青色の青色LEDチップを採用しており、導電性基板11としてSiC基板を採用しているが、SiC基板の代わりにGaN基板を用いてもよく、SiC基板やGaN基板を用いた場合には結晶成長用基板として絶縁体であるサファイア基板を用いている場合に比べて、結晶成長用基板の熱伝導率が高く結晶成長用基板の熱抵抗を小さくできる。また、LEDチップ10の発光色は青色に限らず、例えば、赤色、緑色などでもよい。すなわち、LEDチップ10の発光部12の材料はGaN系化合物半導体材料に限らず、LEDチップ10の発光色に応じて、GaAs系化合物半導体材料やGaP系化合物半導体材料などを採用してもよい。また、導電性基板11もSiC基板に限らず、発光部12の材料に応じて、例えば、GaAs基板、GsP基板などから適宜選択すればよい。
また、上述の実施形態では、1個のサブマウント部材30に対して1個のLEDチップ10を接合してあるが、図7に示すように、1個のサブマウント部材30に対して複数個のLEDチップ10を接合するようにしてもよく、複数個のLEDチップ10として発光色が同じものを用いてもよいし、発光色の異なる複数種のものを用いてもよい。なお、図7に示した例では、AlNなどの熱伝導性が高く且つ電気絶縁性が高い材料からなるサブマウント部材30における伝熱板21側とは反対側の表面に、LEDチップ10が接合されて電気的に接続される導体パターン31を8個設けるとともに、一方のリードパターン23との連絡用の導体パターン32を設けてあり、サブマウント部材30に搭載された8個のLEDチップ10が導体パターン31およびボンディングワイヤ14を介して直列接続されており、当該8個のLEDチップ10の直列回路の一端側のLEDチップ10(図7における左側中央のLEDチップ10)のアノード電極がボンディングワイヤ14を介して連絡用の導体パターン32と電気的に接続されるとともに当該導体パターン32がサブマウント部材30の外側へ延出されたボンディングワイヤ14を介して一方のリードパターン23(図3参照)と電気的に接続され、上記直列回路の他端側のLEDチップ10が接合された導体パターン31(図7における左下の導体パターン31)がサブマウント部材30の外側へ延出されたボンディングワイヤ14を介して他方の導体パターン23(図3参照)と電気的に接続される。
実施形態を示す概略断面図である。 同上を示し、一部破断した概略分解斜視図である。 同上を示す要部概略平面図である。 同上における絶縁性基材を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略断面図である。 同上を用いた照明器具を示し、(a)は要部概略平面図、(b)は要部概略断面図である。 同上の要部説明図である。 同上の他の構成例の要部概略平面図である。
符号の説明
10 LEDチップ
14 ボンディングワイヤ
20 実装基板
21 伝熱板
22 絶縁性基材(絶縁部)
23 リードパターン
24 窓孔
30 サブマウント部材
40 リフレクタ
50 封止部
60 レンズ
60a 光入射面
60b 光出射面
70 色変換部材
80 空気層

Claims (1)

  1. LEDチップと、LEDチップが実装された実装基板と、当該実装基板におけるLEDチップの実装面側でLEDチップを囲みLEDチップから放射された光を反射するリフレクタであって前記実装面から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなる形状に形成されたリフレクタと、リフレクタの内側に透明樹脂材料を充填して形成されてLEDチップおよび当該LEDチップに電気的に接続されたボンディングワイヤを封止した封止部と、封止部およびリフレクタに重ねて配置されたレンズと、LEDチップから放射された光によって励起されてLEDチップの発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および透明材料により形成されたものであってレンズを覆いレンズの光出射面との間に空気層が形成される形で配設されるドーム状の色変換部材とを備え、実装基板は、熱伝導性材料からなる伝熱板の一面側にLEDチップへの給電路となるリードパターンが絶縁部を介して設けられるとともに伝熱板の前記一面の一部を露出させる窓孔が絶縁部に設けられてなり、LEDチップは、一表面側に一方の電極が形成されるとともに他表面側に他方の電極が形成されており、当該LEDチップと伝熱板との間に両者の線膨張率差に起因して当該LEDチップに働く応力を緩和するサブマウント部材であって窓孔の内側に配置されLEDチップと伝熱板とを熱結合させるサブマウント部材を介して伝熱板の前記一面に搭載され、各電極のうちサブマント部材側の電極が当該サブマウント部材に設けた導体パターンを介してボンディングワイヤと接続されるとともにサブマウント部材側とは反対側の電極がボンディングワイヤと直接接続されてなり、リフレクタは、実装基板側とは反対の表面の周部に、色変換部材を囲み色変換部材を位置決めする環状の位置決めリブが連続一体に突設されていることを特徴とする発光装置。
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