JP4292433B2 - 石炭液化反応における生成物推算方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は石炭より液体炭化水素燃料を生成する技術に係わり、更に詳しくはコンピュータを用いて多品種の石炭を原料として任意にスケールアップされた多段気泡塔液化反応器の各気泡塔(反応槽)出口の気相および液相の各反応生成物の流出量を推定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭から直接液体炭化水素燃料を生成するプロセスは、直接石炭液化法としてIGプロセスをはじめとして数多くのプロセスが開発されてきた(The Chemistry and Techno1ogy of Coal,J.G.Speight,marce1dekker,Inc.1994、NEDOLプロセス、日本コールオイル株式会社カタログ)。これらのプロセスはいずれも高温高圧下で石炭を水添分解し液化するもので、微粉化された石炭が炭化水素溶剤に分散されたスラリーとして高温高圧の反応器に供給される。反応器の前段にはスラリー予熱器が設置され室温の石炭スラリーを比較的短時問で反応温度近傍まで加熱するのが一般的である。
【0003】
NEDOLプロセスの石炭液化反応は450℃程度の温度と170kg/cm2 程度の高圧下で石炭と溶剤と触媒で形成されたスラリー中に水素ガスを吹き込むことで石炭を水添分解し、液体の炭化水素を生成させる気液固相異相系反応である。反応器の形式はパイロットプラント規模でも少なくとも3塔の気泡塔(反応槽)が直列に連結した完全混合槽列反応器であり、下流の気泡塔反応器ほど水添分解が進行し低分子化される。
【0004】
低分子化されたベンゼン、トルエン、フェノール類等の低沸点の炭化水素は上記高温高圧下であっても気液平衡関係からその大部分が気相に存在すると推定され、相対的に液相の低沸点成分の存在量が減少する。また低・中沸点の液化油の一部も気相に存在しているものと予想される。そのため気泡塔反応器内の液相の流量が減少し、下流の気泡塔反応器ほど液相の滞留時間が長くなる傾向にあり、極端な場合は液相のコーキングトラブルまで発展する。
【0005】
このように直列多段気泡塔液化反応器は、各々の気泡塔反応器のプロセス条件である反応温度、反応圧力、流入する液状炭化水素の組成および水素ガス量によって固有の気液平衡状態が形成され、液相の滞留時間、即ち反応時間も固有の値となる特徴があり、総反応時間は各気泡塔反応器の液相滞留時間を合計した値となる。
【0006】
液化反応塔内部で無機ガスや炭化水素ガスおよび液化油が気相側と液相側にどのような比率で存在するかは高温高圧下での気液平衡にかかわる問題であるが、この種の気液平衡計算が困難でかつ非常に煩雑なためほとんど検討されていなかった。
【0007】
このため従来は、直列多段気泡塔石炭液化反応器の設計において、常温常圧の石炭スラリーの供給体積速度と、液化反応が液相の均一系反応であると仮定した見かけの滞留時間を掛け合わせた値を反応容積とし、気泡塔1塔の容積は、反応容積を気泡塔数で割った値を採用していた。したがって各塔での滞留時間はすべて同等と看做して反応器出口での各成分の流出量を推定していた。
【0008】
同様に石炭液化反応の反応速度を直列多段気泡塔石炭液化反応器での実験データから求める場合は、常温常圧の石炭スラリーの供給体積速度と反応容器容積から見かけの滞留時間を求めていた。あるいは、当該反応は気相と液相の不均一系反応であるが、ある仮定条件を設定する、たとえば液化反応が液相の均一系反応であると仮定して滞留時間を見積もり、当該条件下における解析解を求めて各反応生成物成分の反応速度を推定していた(反応工学、橋本健治著、培風館、1993年)。
【0009】
ところで、一般に反応生成物の生成量を推算する場合や、これとは逆に生成量から反応速度定数を求める場合、まず何らかの反応モデルを設定し、反応経路を定め、反応速度式をたてて生成量推算や反応速度解析を行う。ところが、石炭液化反応では、原料の石炭も反応生成物である液化油もいずれも複雑な組成の混合物であるため、その反応は通常の化学反応のような量論式では記述できない。そこで、石炭や液化油を性状の似かよった混合物の小グループに分割し、この小グループをあたかも通常の化学式における純物質のように取り扱って反応解析を行う手法が用いられている。これまでも、グループの分割の仕方や反応経路が異なる数多くの反応モデルが提案されている(石炭転換利用技術、真田雄三編、アイシーピー、1994)。
【0010】
一般的な傾向として、石炭や液化油を細かく分割して多くのグループを作り、グループ間に多数の反応経路を設定した複雑な反応モデルの方が実験データとの一致は良い。しかしながら、複雑な反応モデルを用いて反応量を推定する場合、実験的に求めなければならないパラメータが非常に多くなり、これに伴って反応速度解析が困難となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
石炭液化プラントのフィジビリティースタディを行う場合、液化反応器のサイズや塔数はプラントの建設コストに大きな影響を与える重要な要素である。そして液化反応器のサイズや塔数を最適化するためには多くのケーススタディを行う必要がある。すなわち、種々のサイズの反応器について、いろいろな操作条件下での液化生成物の各成分の生成量を推算しなければならない。
【0012】
ところがこれまで行われてきた生成量の推算方法は、すでに述べたように見かけの滞留時間を用いており、反応器のスケールや形状、塔数の変更に対応できるものとはいえなかった。ましてや反応温度や水素ガス吹き込み量などの操作条件の変更は滞留時間には全く反映されず、推算方法としてはまことに不十分なものであった。
【0013】
石炭液化プラントのフィジビリティースタディを実施するためには、各反応塔内部の気液平衡を考慮して気相および液相の流量を推算し、これに基づいて各塔ごとの真の滞留時間をもとめ、この真の滞留時間を使って液化生成物の生成量を推算できる推算手法が求められたのである。
【0014】
また、真の滞留時間を使って生成量を推算する場合、推算に用いる反応速度定数もまた真の滞留時間に基づいた反応速度定数でなければならない。石炭液化反応の反応速度を直列多段気泡塔石炭液化反応器での実験データから求める場合にも、各反応塔内部の気液平衡を考慮して気相および液相の流量を推算し、これに基づいて各塔ごとの真の滞留時間を求め、この真の滞留時間を使って液化反応の反応速度定数を推算できる推算手法が求められたのである。
【0015】
ところで、真の滞留時間を用いて液化生成物の生成量を推算したり、反応速度定数を算出したりする場合、トライアンドエラーで計算を収束させる手法が必須となる。これは真の滞留時間自体が液化生成物の生成量の関数であるためである。このため過度に複雑な反応モデルを用いるとトライアンドエラー計算が収束しにくくなり、推算ができなくなる。特に石炭液化反応の反応速度を直列多段気泡塔石炭液化反応器での実験データから求める場合、複雑な反応モデルでは反応速度定数などのパラメータを得るための解析が非常に困難となる。
【0016】
一方、反応モデルを簡略化しすぎると実際の反応現象を表現できなくなってしまうという問題があった。すでに述べたように石炭液化反応では、原料の石炭も反応生成物である液化油もいずれも複雑な組成の混合物であるため、その反応は通常の化学反応のような量論式では記述できない。このような反応をあまり単純化しすぎると、石炭の種類による反応性の違いや、液化生成物の成分毎の生成量の差を表現できないのである。
【0017】
すなわち、真の滞留時間を用いて推算するためには、実際の反応現象を表現できる程度の複雑さを有し、かつ反応速度定数などのパラメータを得るための解析が困難にならない程度の簡便な反応モデルを構築し、実際にそのパラメータを決定することが求められたのである。
【0018】
本発明は、上記の要請に鑑みてなされたもので、実際の反応現象を表現でき、石炭液化反応において真の滞留時間を使って液化生成物の生成量を推算できる推算シミュレートする手法を得ることを目的としている。
【0019】
ところで、液化しようとする石炭は、炭種、産地などによって組成や性状が大きく異なっている。このため、上記したように実際の反応現象を表現できる程度の複雑さを有し、かつ反応速度定数などのパラメータを得るための解析が困難にならない程度の簡便な反応モデルを構築したとしても、その反応モデルに基づいて実際に石炭の液化を行なう場合、その炭種(原料炭)に適した反応温度、反応圧力、反応時間の選定をするために、ベンチスケールプラントやパイロットプラントなどを用いて連続実証運転を行ない、得られた炭化水素燃料の収量と成分の比率などを評価し、最適な条件を設定する必要があり、炭種の異なるごとに多額の開発費用と多くの時間を必要とする。このため、炭種が異なる場合であっても、その原料炭に適した反応温度、反応圧力、反応時間などの液化反応条件、反応速度定数を容易に選定できる手法の開発が強く望まれている。
【0020】
本発明は、上記の要請に鑑みてなされたもので、多額の開発費用を必要とする実験および連続装置による実証を必要とせずに異なる炭種に対する反応速度定数を容易に求められるようにすることを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、コンピュータを用いて、高温高圧の槽型反応器で構成された石炭液化反応器の流出物の成分別流出量を、気液平衡を考慮した滞留時間に基づいて推定する方法と、コンピュータを用いて、石炭液化反応の反応速度定数をN槽からなる高温高圧の槽列反応器の第N槽の成分別流出量の実験値より、気液平衡を考慮した滞留時間に基づいて推定する方法とを考案し、さらに気液平衡を考慮した滞留時間を用いて推算するのに適した、実際の反応現象を表現できる程度の複雑さを有し、かつ反応速度定数などのパラメータを得るための解析が困難にならない程度の簡便な反応モデルを構築し、実際にそのパラメータを決定することによって解決された。
【0022】
また、その反応モデルを用いて石炭化度の異なる複数の炭種について液化反応を速度解析して反応速度定数を求め、これらの求めた反応速度定数を炭種性状が特定できる石炭の成分と関係づけることにより解決した。
【0023】
すなわち、本発明に係る石炭液化反応における生成物推算方法は、第1には、石炭スラリーに水素ガスを吹込んで液化反応させる反応槽における出口流出物の成分別流出量を推定する方法でおいて、流出物の成分別流出量を仮定して反応槽内で気相および液相とに区分して反応槽滞留時間を計算し、この反応槽滞留時間と反応器の流入物の成分別流入量と、予め設定した石炭液化反応モデルから導かれる一次不可逆反応速度式とから流出物の成分別流出量を計算し、前記仮定成分別流出量と計算で得た成分別流出量が一定の誤差範囲内で一致するまで計算を繰り返して成分別流出量を推算決定することを特徴としている。また、高温高圧の槽型反応器で構成された石炭液化反応器の流出物の成分別流出量を推定する方法であって、まず流出物の成分別流出量を仮定してその組成の混合物の反応槽内での気液平衡組成を計算し、さらに反応槽内での気相と液相の体積流量を計算し、この体積流量と経験式より算出した反応槽内でのガスホールドアップより気相および液相の反応槽滞留時間を計算し、この反応槽滞留時間と反応器の流入物の成分別流入量と特定の石炭液化反応モデルより導かれる一次不可逆反応速度式から流出物の成分別流出量を計算し、最初に仮定した成分別流出量と計算で得た成分別流出量を比較し、この二つの成分別流出量が各成分毎に一定の誤差範囲内で一致するまで一連の計算を繰り返すようにすればよい。
【0024】
第3の石炭液化反応における生成物推算方法は、石炭液化反応の反応速度定数をN槽からなる高温高圧の槽列反応器の第N槽の成分別流出量の実測値より推定する方法であって、まず反応速度定数を仮定し、仮定した反応速度定数を用いて第N槽までの各槽の流出物の成分別流出量を順次計算し、第N槽の成分別流出量の計算値と実測値を比較し、この二組の成分別流出量が各成分毎に一定の誤差の範囲内で一致するまで一連の計算を繰り返すことを特徴とする。
【0025】
第4の石炭液化反応における生成物推算方法は、石炭液化反応の反応速度定数をN槽からなる高温高圧の槽列反応器の第N槽の成分別流出量の実測値より推定する方法であって、まず反応速度定数を仮定し、仮定した反応速度定数を用いて第N−1槽までの各槽の流出物の成分別流出量を順次計算し、第N−1槽の成分別流出量と第N槽の成分別流出量から新たに反応速度定数を計算し、最初に仮定した反応速度定数と新たに計算で得た反応速度定数を比較し、この二組の反応速度定数が各反応速度定数毎に一定の誤差範囲内で一致するまで一連の計算を繰り返すことを特徴としている。
【0026】
第5の石炭液化反応における生成物推算方法は、高温高圧の気泡塔反応器で構成された石炭液化反応器の流出物の成分別流出量を推定する方法であって、水分と灰分を除いた石炭を液化反応性の高い成分および液化反応性の低い成分およびきわめて液化しにくい成分の3成分に、液化油および固体の液化生成物を低沸点液化油成分および中沸点液化油成分および高沸点液化油成分および液化油を含むアスファルテン類成分の4成分に、その他の液化生成物を低級炭化水素ガスおよび一酸化炭素と二酸化炭素ガスおよび水および硫化水素とアンモニアの4成分に区分し、石炭および液化生成物各成分に水素を加えた12成分の間で、一次不可逆反応の逐次反応と並列反応が組み合わされた反応経路に沿って石炭が液化生成物に分解し、さらに一部の液化生成物がより分子量が小さい他の液化反応物に分解する反応モデルより導かれる一次不可逆反応速度式を用いることを特徴とする。
【0027】
更に、石炭液化反応の反応速度定数をN槽からなる高温高圧の槽列反応器の第N槽の成分別流出量の実測値より推定する方法であって、水分と灰分を除いた石炭を液化反応性の高い成分および液化反応性の低い成分およびきわめて液化しにくい成分の3成分に、液化油および固体の液化生成物を低沸点液化油成分および中沸点液化油成分および高沸点液化油成分および液化油を合むアスファルテン類成分の4成分に、その他の液化生成物を低級炭化水素ガスおよび一酸化炭素と二酸化炭素ガスおよび水および硫化水素とアンモニアの4成分に区分し、石炭および液化生成物各成分に水素を加えた12成分の間で、一次不可逆反応の逐次反応と並列反応が組み合わされた反応経路に沿って石炭が液化生成物に分解し、さらに一部の液化生成物がより分子量が小さい他の液化反応物に分解する反応モデルより導かれる一次不可逆反応速度式を用いる構成とすることも可能である。
【0028】
また、高温高圧の気泡塔反応器で構成された石炭液化反応器の流出物の成分別流出量を推定する方法であって、液化油もしくは固体の液化生成物を低沸点液化油成分および中沸点液化油成分および高沸点液化油成分および液化油を合むアスファルテン類成分の4成分に、その他の液化生成物を低級炭化水素ガスのグループおよび一酸化炭素と二酸化炭素ガスのグループおよび水および硫化水素とアンモニアグループの4成分に区分する際に、炭素数1から3までの炭化水素化合物の集まりを低級炭化水素ガスとし、常圧での沸点が220℃未満でかつ低級炭化水素ガスを含まない液化油を低沸点液化油成分とし、常圧での沸点が220℃以上350℃未満である液化油を中沸点液化油成分とし、常圧での沸点が350℃以上538℃未満である液化油を高沸点液化油成分とし、常圧での沸点が538℃以上の液化油とテトラヒドロフランに可溶な固体成分を液化油を合むアスファルテン類成分とすることもできる。
【0029】
あるいは、石炭液化反応の反応速度定数をN槽からなる高温高圧の槽列反応器の第N槽の成分別流出量の実測値より推定する方法であって、液化油もしくは固体の液化生成物を低沸点液化油成分および中沸点液化油成分および高沸点液化油成分および液化油を合むアスファルテン類成分の4成分に、その他の液化生成物を低級炭化水素ガスのグループおよび一酸化炭素と二酸化炭素ガスのグループおよび水および硫化水素とアンモニアグループの4成分に区分する際に、炭素数1から3までの炭化水素化合物の集まりを低級炭化水素ガスとし、常圧での沸点が220℃未満でかつ低級炭化水素ガスを含まない液化油を低沸点液化油成分とし、常圧での沸点が220℃以上350℃未満である液化油を中沸点液化油成分とし、常圧での沸点が350C以上538℃未満である液化油を高沸点液化油成分とし、常圧での沸点が538℃以上の液化油とテトラヒドロフランに可溶な固体成分の液化油を合むアスファルテン類成分とする構成も可能である。
【0030】
加えて、高温高圧の気泡塔反応器で構成された石炭液化反応器の流出物の成分別流出量を推定する方法であって、灰分を除いた石炭を液化反応性の高い成分および液化反応性の低い成分およびきわめて液化しにくい成分の3成分に分割する際に、石炭から液化生成物への転化反応の一次不可逆反応速度定数が450℃で0.5/min以上である石炭の成分を液化反応性の高い成分とし、0.5/min未満かつ10-4/min以上である石炭の成分を液化反応性の低い成分とし、10-4/min未満である石炭の成分をきわめて液化しにくい成分とすることを特徴としてなる。
【0031】
さらに、本発明に係る石炭液化反応における生成物推算方法は、石炭スラリーに水素ガスを吹込んで液化反応させる反応槽における出口流出物の成分別流出量を推定する方法であって、石炭化度の異なる複数種類の石炭スラリーのそれぞれについて、予め設定した石炭液化反応モデルに従って前記流出物の成分別流出量を仮定するとともに、前記反応槽内を気相と液相とに区分してこれらの反応槽滞留時間を計算し、この反応槽滞留時間と、前記反応槽への流入物の成分別流入量と、前記石炭液化反応モデルから導かれる一次不可逆反応速度式とから前記流出物の成分別流出量を計算し、この計算した成分別流出量と前記仮定した成分別流出量とが一定の誤差範囲内で一致する前記一次不可逆反応速度式の反応速度定数を求めたのち、各炭種について得られた前記反応速度定数に基づいて、石炭の成分と反応速度定数との関係式を求め、この求めた関係式を任意の石炭種に適用して前記反応速度定数を演算して前記石炭液化反応モデルにより前記流出物の成分別流出量を推算する、ことを特徴としている。
【0032】
このように構成した本発明は、石炭化度の異なる石炭を液化する場合、求めた関係式にその石炭の成分を代入することにより、その石炭に対する反応速度定数を容易に求めることができる。したがって、従来、炭種の異なるごとに必要としていたベンチスケールプラントやパイロットプラントを用いた連続実証運転が不要となり、石炭液化の開発に要する費用と時間とを大幅に削減することができる。原料炭種の選定、反応温度、反応圧力、反応時間等の反応条件の検討が可能となり、ひいては反応器(反応槽)形状の最適化も可能となる。
【0033】
前記の反応速度定数と石炭の成分との関係式は、水分と灰分とを除いた石炭を液化反応性の高い成分、液化反応性の低い成分およびきわめて液化しにくい成分の3成分に区分し、前記流出物のうち、液化油および固体の液化生成物を低沸点液化油成分、中沸点液化油成分、高沸点液化油成分および液化油を含むアスファルテン類成分の4成分に区分し、前記流出物のうち、その他の液化生成物を低級炭化水素ガス、一酸化炭素ガスと二酸化炭素ガス、水および硫化水素とアンモニアの4成分に区分し、前記石炭の液化反応性の低い成分から前記アスファルテン類成分を生ずる反応の反応速度定数をK32前記アスファルテン類成分から前記高沸点液化油成分を生ずる反応の反応速度定数をK43、前記高沸点液化油成分から中沸点液化油成分を生ずる反応の反応速度定数をK54、前記アスファルテン類成分から前記低沸点液化油成分を生ずる反応の反応速度定数をK63、前記アスファルテン類成分から前記低級炭化水素ガスを生ずる反応の反応速度定数をK73、前記アスファルテン類成分から前記水を生ずる反応の反応速度定数をK103、前記アスファルテン類成分から前記硫化水素とアンモニアとを生ずる反応の反応速度定数をK93、前記石炭の液化反応性の高い成分から前記一酸化炭素ガスと二酸化炭素ガスとを生ずる反応の反応速度定数をK81、前記水素と前記アスファルテン類成分との反応の反応速度定数をK10としたときに、
【数10】
【数11】
【数12】
【数13】
【数14】
【数15】
【数16】
【数17】
【数18】
と表すことができる。
【0034】
ただし、H/Cは乾燥石炭中に含まれる水素原子と炭素原子との比、Oは乾燥石炭中に含まれる酸素の重量の割合、Nは乾燥石炭中に含まれる窒素の重量の割合、Sは乾燥石炭中に含まれる硫黄の重量の割合、VMは乾燥石炭中に含まれる揮発分の重量の割合である。また、A32は横軸に(H/C)×VM、縦軸にK32を対数目盛りで取ったときの数式10で表される直線の傾き、K320はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×VMにおけるK32の値であり、B32は前記直線の切片の一部であって、K32=K320としたときに−A32{(H/C)×VM}に等しい値を表し、A43は横軸に(H/C)×VM、縦軸にK43を対数目盛りで取ったときの数式11で表される直線の傾き、K430はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×VMにおけるK43の値であり、B43は前記直線の切片の一部であって、K43=K430 としたときに−A43{(H/C)×VM}に等しい値を表し、A54は横軸に(H/C)×VM、縦軸にK54を対数目盛りで取ったときの数式12で表される直線の傾き、K540 はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×VMにおけるK54の値であり、B54前記直線の切片の一部であって、K54=K540 としたときに−A54{(H/C)×VM}に等しい値を表し、A63は横軸に(H/C)×VM、縦軸にK63対数目盛りで取ったときの数式13で表される直線の傾き、K630はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×VMにおけるK63の値であり、B63は前記直線の切片の一部であって、K63=K630 としたときに−A63{(H/C)×VM}に等しい値を表し、A73は横軸に(H/C)×(VM−O)、縦軸にK73を対数目盛りで取ったときの数式14で表される直線の傾き、K730 はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×(VM−O)におけるK73の値であり、B73は前記直線の切片の一部であって、K73=K730としたときに−A73{(H/C)×(VM−O)}に等しい値を表し、A103は横軸に(H/C)×O、縦軸にK103を対数目盛りで取ったときの数式15で表される直線の傾き、K1030はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×OにおけるK103の値であり、B103は前記直線の切片の一部であって、K103=K1030としたときに−A103{(H/C)×O}に等しい値を表し、A93は横軸に(N+S)、縦軸にK93を対数目盛りで取ったときの数式16で表される直線の傾き、K930はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(N+S)におけるK93の値であり、B93は前記直線の切片の一部であって、K93=K930としたときに−A93(N+S)に等しい値を表し、A81は横軸に(H/C)×O、縦軸にK81を対数目盛りで取ったときの数式17で表される直線の傾き、K810 はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×OにおけるK81の値であり、B81は前記直線の切片の一部であって、K81=K810としたときに−A81{(H/C)×O}に等しい値を表し、A10は横軸に(H/C)×VM、縦軸にK10を対数目盛りで取ったときの数式18で表される直線の傾き、K100はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×VMにおけるK10の値であり、B10は前記直線の切片の一部であって、K10=K100としたときに−A10{(H/C)×VM}に等しい値を表す。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の具体的実施の形態を図面を参照して説明する。まず、石炭液化反応プロセスの概略構成ブロックを図2に示している。微粉化された石炭40〜50重量%、テトラリンなどの溶剤60〜50重量%、および微粉末状天然パイライトなどの触媒0.5〜3重量%をスラリータンク10にて混練し、製造された石炭スラリーをポンプ12によってスラリー予熱器14に圧送する。予熱器14に導入される前に水素添加が行われる。スラリーは常温から反応温度直前の400℃程度まで昇温された後、直列多段に配置された反応塔(反応槽)16(16a、16b、16c)に導入される。スラリーには各反応塔16a〜16cに導入される直前部で各々水素添加が行われ、液化反応が行われる。最終段から流出される生成物は高温気液分離器18、スラリー熱交換器20を経て低温気液分離器22に導入されるが、高温気液分離器18から分離される液分はいわゆる重油成分として、低温気液分離器22から分離される液分はいわゆる軽油成分として抽出され、同時にガス成分も取り出される。
【0036】
このような石炭液化反応プロセスにおいて、各反応塔16での生成物量を推算するために、本発明の反応モデルは次のように構成されている。図1は本発明の反応モデルをわかりやすく図示したものである。本発明の反応モデルでは液化反応生成物を炭素数が1〜3の低級炭化水素ガスである有機ガス(図1中の記号OG)、炭素数が4の炭化水素から沸点220℃未満のオイルである低沸点液化油(同O1)、沸点が220℃以上350℃未満のオイルである中沸点液化油(同O2)、沸点が350℃以上538℃未満のオイルである高沸点液化油(同O3)、沸点538℃以上のオイル及びアスファルテン、プレアスフアルチンからなるアスファルテン類(同PAAO)、二酸化炭素及び一酸化炭素(同IOG1)、水(同IOG2)、アンモニア及び硫化水素(同IOG3)に分け、灰分を除く石炭を液化反応速度の早い成分(図1中の記号CA)、比較的遅い成分(同CB)、ほとんど反応しない成分(同CI)に分けた。また原料物質として水素(同H)を組み込んだ。そしてこれらの成分の間に図1中の矢印で示した反応経路を設定した。この反応は、原料物質の濃度に比例した速さで矢印の方向へのみ進行する一次不可逆反応である。図1に反応経路が設定されていない反応はほとんど進行せず事実上無視できるとみなした。
【0037】
この反応モデルで石炭をCA、CB、CIの三成分に分けたのは、発明者らが実験により得た知見に基づくものである。発明者らは、石炭にはおおむね400℃以上の温度ではきわめて迅速に液化生成物に転化する成分とゆっくりと液化生成物に転化する成分、および実用的な時間範囲内ではほとんどその転化が無視できる成分の少なくとも三種類の成分が存在し、その反応経路も異なることを見いだした。その反応速度は石炭の種類によって多少異なるが、おおむね石炭から液化生成物への転化反応の一次不可逆反応速度定数が450℃で0.5/min以上である石炭の成分をCA、0.5/min未満かつ10-4/min以上である石炭の成分をCB、10-4/min未満である石炭の成分をCIと看做すことができる。
【0038】
各反応経路の反応速度定数kijの温度依存性は次式のアレニウス式で与えられる。
【数19】
【0039】
ここでk0ijは頻度因子、Eijは活性化エネルギーと呼ばれ、個々の反応速度定数毎に与えられる定数である。またRはガス定数、Tは温度である。本発明の発明者は種々の石炭について実験を行い、k0ijとEijの値が石炭の種類毎に異なることを発見した。さらに石炭の三種類の成分CA、CB、CIの成分比も炭種によって異なることを発見した。これは言い換えれば、図1に示される反応モデルは、炭種毎に異なった頻度因子、活性化エネルギー、成分比を用いることによって数多くの炭種に対して適用できるということである。
【0040】
図1の反応モデルからは表1に示す1組の反応速度式が得られる。この1組の反応速度式は一階の連立微分方程式であり、この連立微分方程式を反応装置個々の境界条件下で解くことによって、その反応装置での液化生成物の生成量を求めることができる。
【表1】
【0041】
表1の連立一階微分方程式の境界条件は液化反応装置の装置形式、寸法、温度、圧力から決定される。大多数の石炭液化反応装置は、高温高圧下で石炭スラリー中に水素ガスを吹き込んでスラリー中に微細な気泡を発生させる、いわゆる気泡塔と呼ばれる装置形式をとる。本発明者らは既存の気泡塔形式の石炭液化反応装置の操作条件を検討した結果、その大部分は反応工学でいうところの完全混合槽型の反応器と看做すことができるという事実を見出した。ゆえに本発明では完全混合槽の気泡塔反応器の境界条件下で表1の連立一階微分方程式を解くこととした。
【0042】
完全混合槽型の反応器では反応器内の温度、圧力、組成は均一である。それゆえ反応器内の組成は反応器出口からの流出物の組成に等しい。第一反応器すなわち気泡塔第一塔内での滞留時間をτ1とすると表1の連立一階微分方程式は容易に積分でき、表2の連立方程式を与える。
【表2】
【0043】
表2の各式で右辺の無次元成分比にスラリー相中の存在量をとっているのは、石炭液化反応の進行には触媒が必要であり、その触媒はスラリー相にしか存在しないため、図1の反応はすべてスラリー相で進行し、気相では反応は進行しないと看做しているからである。同様の理由から滞留時間にはスラリー相の滞留時間τ1Sを適用している。
【0044】
表2の連立方程式中で既知なのは反応速度定数kijと反応器入口での各成分の組成比mi,0のみである。反応器出口での各成分の組成比mi,1およびスラリー相中の各成分の組成比mi,1Sとスラリー相滞留時間τ1Sは未知である。ただしτ1Sはmi,1Sが与えられれば既知の実験式より求めることができる。mi,1Sはmi,1が与えられれば気液平衡計算より求めることができる。従って表2の連立方程式中の真の独立変数はmi,1のみである。
【0045】
しかしながら、気液平衡の関係式は非常に複雑であり、表2の連立方程式に気液平衡関係を代入してmi,1Sやτ1Sを消去するのは現実として不可能である。
そこで本発明の方法では、目的関数を設定して制限条件付きの最適化問題として数値解析法によりこの問題を解くこととした。すなわち以下にて表現される最適化問題の目的関数F(x)を最小化する変数ベクトルXを求める問題に帰着させるのである。
【数20】
【0046】
具体的には完全混合槽の気泡塔反応器の液化生成物の生成量を求める場合は、以下の目的関数と制限条件を設定する。
【数21】
【0047】
さらに詳しく本発明の方法を説明すると、まずmi,1の値を仮定し、この仮定の組成で気液平衡計算を行ってmi,1Sを求め、さらに実験式からガスホールドアップを計算しτ1Sを求めた。それからこのmi,1Sとτ1Sを表2の連立方程式中に代入しmi,1を計算した。最初に仮定した(mi,1)aと算出された(mi,1)cはたいてい一致しない。そこでその差を小さくするように(mi,1)aを新たに仮定し直して再計算するのである。そして目的関数が最少となるまでこの計算ループを繰り返して反応器出口組成mi,1を得る。このmi,1に気泡塔第二塔で注入される水素ガスを加えた組成を新たにmi,1とし第二反応器すなわち気泡塔第二塔の入口組成とする。そして第一塔の場合と同じ繰り返し計算を行うことによって第二塔出口組成mi,2を得る。同時にτ2Sおよびガス相滞留時間τ2Gも得ることがてきる。上述した一連の計算アルゴリズムを図3に示す。
【0048】
さてそれでは、石炭液化反応の反応速度定数をN槽からなる高温高圧の槽列反応器の第N槽の成分別流出量の実測値より推定する場合はどうであろうか。N=1の場合、すなわちmi,0とmi,1の値が既知である場合は、スラリー相中の各成分の組成比mi,1Sは気液平衡計算から求められ、スラリー相滞留時間τ1Sは確定する。よって、反応速度定数kijは繰り返し計算をすることなく求めることができる。
【0049】
ところがN≧2の場合はmi,n(1≦n<N)が未知数でありτnSも求まらない。そこで完全混合槽の気泡塔反応器の液化生成物の生成量を求める場合と同様に、目的関数を設定して制限条件付きの最適化問題として数値解析法によりこの問題を解くこととした。さらに、本発明者らは反応速度定数を求める場合、目的関数の取り方によって間接法と直接法の2通りの解法が可能なことを見いだした。
【0050】
間接法では求める反応速度定数を間接的に操作変数とし、N槽目の気泡塔反応器出口流量mi,Nの関数を目的関数に取る。
【数22】
【0051】
間接法では以下の計算アルゴリズムを用いて反応速度定数kijを求める。まずkijの値を反応速度定数が既知で性質の似通った石炭の反応速度定数の値などで仮定する。この仮定値(kij)aを用いて第n塔の出口流量mi,nを順次計算し、最終的に第N塔の出口流量(mi,N)cを求める。そうすると第N塔については出ロ流量の実測値(mi,N)oが分かっているので、この(mi,N)oと計算値(mi,N)cを比較し、その差を小さくするようにkijを新たに仮定し直して再計算するのである。そして目的関数が最小となるまでこの計算ループを繰り返して反応速度定数kijを得る。
【0052】
間接法はN=2の場合は計算の収束が早いが、Nが3以上の場合は、局所最適解の数が多くなり全域最適解に到達するのが困難となる。このためN≧3の場合は直接法を用いることが望ましい。
直接法では求める反応速度定数kijの関数を目的関数に取る。
【数23】
【0053】
直接法では以下の計算アルゴリズムを用いて反応速度定数kijを求める。まずkijの値を反応速度定数が既知で性質の似通った石炭の反応速度定数の値などで仮定する。この仮定値(kij)aを用いて第n塔の出口流量を順次計算しmi、N−1を求める。そうすると第N塔についてはN=1の場合と同様であるから反応速度定数(kij)cを求めることができる。この(kij)cと(kij)aよりF(kij)を計算し、目的関数が最小となるまでこの計算ループを繰り返して反応速度定数kijを得る。
【0054】
ところで、本発明者等の研究によると、図1に示した反応定数k32、k43、k54、k63、k10は、乾燥石炭中の水素原子と炭素原子との比(H/C)と乾燥石炭中の揮発分(VM)の含有割合との積{(H/C)×VM}に依存していることがわかった。また、同図のk73は乾燥石炭中の揮発分の含有割合と酸素の含有割合との差(VM−O)と前記H/Cとの積{(H/C)×(VM−O)}に依存し、k103 とk81とはH/Cと乾燥石炭中の酸素の含有割合(O)との積{(H/C)×O}に依存し、k93は乾燥石炭中の窒素と硫黄との含有割合(N+S)に依存していることがわかった。
【0055】
そこで、上記した計算アルゴリズムを用いて石炭化度(炭素の含有率)が異なる複数の炭種について反応速度定数kijを求め、これらの求めた反応速度定数kijと上記の石炭の成分との関係を求め、速度反応定数を石炭の成分をパラメータとする関係式(関数式)として表す。
【0056】
これにより、炭種の異なる石炭を液化する場合、その石炭の成分を分析し、分析値を求めた関数式に代入することにより、その石炭の液化過程における反応速度定数を容易に求めることができ、ベンチスケールプラントやパイロットプラントを用いた連続実証運転が不要となり、石炭液化の開発に要する費用と時間とを大幅に削減することができる。また、原料炭種の選定、反応温度、反応圧力、反応時間等の反応条件の検討が可能となり、ひいては反応器(反応槽)形状の最適化も可能となる。
【0057】
【実施例】
さらに本発明のより詳細な計算方法を以下の実施例を用いて説明する。
(実施例1)
本発明のプログラムを用いて気泡塔3塔直列からなる石炭液化反応器の反応器出口流量を推算した例を示す。原料炭A炭の本実施例での反応温度でのkijおよび[CA]、[CB]、[CI]は実験によって得た。また気泡塔の寸法、反応温度、反応圧力および各成分の第1塔の入ロ流量Mi,0は表3及び表4に記してある。
【表3】
【表4】
【0058】
気液平衡計算を行う際は、混合物であるO1、O2、O3は表5に示した代表沸点Tbと密度ρi、平均分子量Wiを有する炭化水素化合物として扱った。
【表5】
【0059】
気液平衡計算法にはRKS法を用いた。表3には気液平衡計算により行られた各反応塔のスラリー相出ロ流量Mi、kSの値が記してある。
スラリー相滞留時間τnSはMi、kSと反応器中のスラリー相の占有体積Vsより計算できる。
【数24】
【0060】
ここでεgはガスホールドアップと呼ばれる値で、全反応体積中にガス相が占める割合である。εgの推算方法としてはいくつかの実験式が提案されされている。本実施例では数式25の修正NEDOL式を用いた。
【数25】
【0061】
表3は第1塔で60kg/h、第2塔で130kg/h、第3塔で5kg/hの水素を注入した場合である。第2塔および第3塔ではO1〜O3のオイル成分がすべてガス相側に移動しいわゆるドライアップと呼ばれる状態になっている。このような状態は反応器中でコーキングを引き起こすため非常に好ましくない状態である。そこで表4に示すように水素ガス注入量を増やし、第1塔で138kg/h、第2塔で346kg/h、第3塔で34kg/hの水素を注入したところ各塔とも適量のスラリー流量が得られ、τn,Sもすべて1時間以内に収まることが解った。
(実施例2)
本発明のプログラムを用いて気泡塔3塔直列からなる石炭液化反応器の反応器出口流量の実測データより反応速度定数を算出した例を示す。原料炭Bの[CA]、[CB]、[CI]は別途実験より求めてある。またこの石炭液化反応器の前段にはスラリー予熱器が設けてありスラリーは反応温度近傍まで予熱されてから第1反応塔に入る。この予熱段階でCAの液化生成物への転化反応すなわちCA→O3、CA→PAAO、CA→IOG1の3経路の反応はほぼ終了しており、この反応速度解析では無視した。従ってk31、k41、k81の値はこの反応速度解析からは求めなかった。
【0062】
表6に反応速度解析より求めたB炭の反応速度定数を示す。また、表7にこの反応速度解析に用いた実測データと表6の反応速度定数を使って各気泡塔の出ロ流量を推算した結果を示す。
【表6】
【表7】
【0063】
表において、斜体の数字が実測データである。3塔目の出口流量の推算値と実験値はよく一致しており、表6の反応速度定数がB炭の液化特性を忠実に再現していることが示されている。
(実施例3)
3つの気泡塔(反応槽)を直列接続した反応器を用いて図1に示した反応モデルに基づき、褐炭であるアダロ炭、石炭度の高い亜瀝青炭であるタニトハルム炭、瀝青炭である池島炭のそれぞれについて、上記した直接法による計算アルゴリズムにより図1に示した反応速度定数のうち、k32、k43、k54、k63、k73、k103 、k93、k81、k10を求めた。
【0064】
表8は、アダロ炭、タニトハルム炭、池島炭のそれぞれについての成分の分析値と、液化反応処理によって得られた成分を実測して上記の反応モデルと計算アルゴリズムとによって求めた反応速度定数とを示したものである。
【表8】
【0065】
表8中、第1カラムのVMは乾燥石炭中に含まれる揮発成分の無次元割合を示し、FCは同じく不揮発性炭素の割合を示している。これらは、工業分析によって求めた。また、第2カラムのC、H、N、S、Oは、それぞれ乾燥石炭中に含まれる炭素、水素、窒素、硫黄、酸素の重量割合(無次元)を示し、元素分析によって求めたものである。そして、表8の第3カラムは、第1カラムと第2カラムとから求めた反応速度定数を演算するためのパラメータである。ただし、H/Cは、乾燥石炭中の水素原子と炭素原子との比であって、炭素原子は第2カラムのCの値を12で割って求めている。
【0066】
さらに、第4カラムのCA、CB、CI、PAAOは、それぞれ図1のCA、CB、CI、PAAOに対応しており、実験により求めた値である。そして、第5カラムは、上記の反応モデルを用いて理論的に解析(シミュレーション)して得た反応速度定数である。
これらの反応速度定数のうち、K32、K43、K54、K63、K10について、横軸に(H/C)×VM、縦軸に対数目盛りとした反応速度定数Kとして各炭種についての反応速度定数をプロットすると、図4のようになる。そこで、これらのプロットした点に基づいてK32、K43、K54、K63、K10と(H/C)×VMとの関係を表す直線の式(反応速度定数を求める関数式)を求めると、
【数26】
【数27】
【数28】
【数29】
【数30】
が得られる。
【0067】
ただし、ここにAnは、それぞれの直線の傾きであり、Bnは(H/C)×VM=0における縦軸の切片の一部である。しかし、この実施例においては、Kn0 として図4に示したタニトハルム炭の(H/C)×VMに対応した位置における縦軸とKnの直線との交点の反応速度定数を用いてBnを求めている(以下に述べる他の反応速度定数を求める式においても同様である)。
【0068】
このようにして求めたK32、K43、K54、K63、K10の式は、
【数31】
【数32】
【数33】
【数34】
【数35】
のようになる。
【0069】
また、表8のK73について、横軸に(H/C)×(VM−O)を取り、縦軸に対数目盛りの反応速度定数を取ると、図5のようにプロットされる。
この図5からK73と(H/C)×(VM−O)との関係式を求めると、
【数36】
が得られる。ここに、A73は直線の傾きであり、B73は縦軸の切片の一部である。そして、前記と同様にして係数K730 に直線K73上のタニトハルム炭の値を代入してB73の値を求めると、
【数37】
が得られる。
【0070】
さらに、表8のK103、K81について、横軸に(H/C)×O、縦軸に反応速度定数の対数目盛りを取ると、図6のようになる。そして、前記と同様にしてK103、K81について直線の式を求めると、
【数38】
【数39】
となり、さらに、前記と同様にして
【数40】
【数41】
が得られる。
【0071】
同様にして表8のK93について、横軸にN+S、縦軸に反応速度定数の対数目盛りを取ると図7のようになる。したがって、
【数42】
の関係式が得られ、
【数43】
が得られる。
【0072】
表9は、アダロ炭、タニトハルム炭、池島炭のそれぞれについて、表8の第5カラムに示した解析的に求めた反応速度定数K32〜K10と、上記のようにして得た反応速度定数を算出する関数式に表8の第3カラムのパラメータを代入して求めた反応速度定数(関数式の計算値)とを対比して示したものである。反応速度定数の解析値と計算値との間にはいくらか差があるが、実用上問題となる差ではない。
【表9】
【0073】
次に、3つの気泡塔を直列接続した石炭液化反応器を用い、アダロ炭、タニトハルム炭、池島炭のそれぞれについて、上記の関数式の計算により求めた表9右欄の反応速度定数を図1に示した反応モデルに適用して石炭液化反応をシミュレーション解析し、最終生成物の推算を行なって実際得られた最終生成物の測定値と比較した。ただし、図1に示したCA→PAAOの反応とCA→O3の反応とは、前記実施例と同様に無視している。そして、使用したスラリーは、微粉炭をテトラリンなどの炭化水素溶剤に分散させたもので、石炭濃度が45重量%、触媒である天然パイライトの濃度が3重量%である。
【0074】
表10は、アダロ炭の液化に使用した反応塔(反応槽)の寸法と、解析した反応時間、エンタルピー差、放熱量などを示したものである。また、表11〜表13は、それぞれアダロ炭に対する反応器入口(第1塔入口)における各成分の推定値、第1塔出口における各成分の推定値(推算値)、第2塔出口における各成分の推定値である。また、表14は、アダロ炭に対する第3塔出口における流出物の各成分の推定値(推算値)と実測値とを示したものである。そして、図8は、アダロ炭に対する各反応塔における流出物(生成物の収量)の解析値と第3塔の出口における実測値とを示したものである。
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【0075】
表15は、タニトハルム炭の液化に使用した反応塔の寸法と、解析した反応時間、エンタルピー差、放熱量などを示したものである。また、表16〜表19は、タニトハルム炭に対する第1塔入口の各成分の推定値、第1塔出口の各成分の推定値、第2塔出口の各成分の推定値、第3塔出口の推定値と実測値とを示したものである。そして、図9は、タニトハルム炭に対する各反応塔における生成物の解析値と第3塔の出口における生成物の実測値を示したものである。
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【0076】
表20は、池島炭の液化に使用した反応塔の寸法と、解析した反応時間、エンタルピー差、放熱量などを示したものである。また、表21〜表24は、池島炭に対する第1塔入口部における各成分の推定値、第1塔出口部における各成分の推定値、第2塔出口部における各成分の推定値、第3塔出口部における各成分の推定値と実測値である。そして、図10は、池島炭に対する各反応塔における生成物の解析値と第3塔の出口における生成物の実測値を示したものである。
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【0077】
これらの結果から、前記した関数式によって求めた反応速度定数を用いて図1の反応モデルによって液化反応を解析することにより、きわめて実測値に近い反応生成物を推算することができる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明の推算方法を用いることによって、石炭液化反応器の各組成の出ロ流量を正確かつ簡便に推算することが可能となった。また実測データより反応速度定数を算出することが可能となった。これによって石炭液化反応器のシミュレーションが可能となり、フィジビリティスタディや運転制御に関してさまざまな予測が可能となった。
【0079】
また、本発明によれば、石炭の成分を変数とする関数式を用いて反応速度定数を演算して求めるようにしているため、石炭化度の異なる任意の石炭を液化する場合、関係式にその石炭の成分を代入することにより、その石炭に対する反応速度定数を容易に求めることができ、炭種の異なるごとに必要としていたベンチスケールプラントやパイロットプラントを用いた連続実証運転が不要となり、石炭液化の開発に要する費用と時間とを大幅に削減することができる。原料炭種の選定、反応温度、反応圧力、反応時間等の反応条件の検討が可能となり、ひいては反応器(反応槽)形状の最適化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプログラムに用いられる石炭液化反応モデルの図である。
【図2】石炭液化反応プロセスの概略構成ブロック図である。
【図3】本発明の反応塔流出量計算アルゴリズムの流れ図である。
【図4】石炭中の水素原子と炭素原子との比と揮発分の割合との積と、図1中のK32、K43、K54、K63、K10との関係を示す図である。
【図5】乾燥石炭中の水素原子と炭素原子との比と揮発成分の割合と酸素の割合との差との積と、図1中のK73との関係を示す図である。
【図6】乾燥石炭中の水素原子と炭素原子との比と酸素の割合との積と、図1中のK103、K81との関係を示す図である。
【図7】乾燥石炭中の窒素の割合と硫黄の割合との和と、図1中のK93との関係を示す図である。
【図8】本発明に係る関数式により求めた反応速度定数を用いて解析したアダロ炭の生成物の量と実測した生成物の量との関係を示す図である。
【図9】本発明に係る関係式により求めた反応速度定数を用いて解析したタニトハルム炭の生成物の量と実測した生成物の量との関係を示す図である。
【図10】本発明に係る関係式により求めた反応速度定数を用いて解析した池島炭の生成物の量と実測した生成物の量との関係を示す図である。
Claims (7)
- 石炭スラリーに水素ガスを吹込んで液化反応させる反応槽における出口流出物の成分別流出量を推定する方法において、流出物の成分別流出量を仮定して反応槽内で気相および液相とに区分して反応槽滞留時間を計算し、この反応槽滞留時間と反応器の流入物の成分別流入量と、予め設定した石炭液化反応モデルから導かれる一次不可逆反応速度式とから流出物の成分別流出量を計算し、前記仮定成分別流出量と計算で得た成分別流出量が一定の誤差範囲内で一致するまで計算を繰り返して成分別流出量を推算決定することを特徴とする石炭液化反応における生成物推算方法。
- 高温高圧の槽型反応器で構成された石炭液化反応器の流出物の成分別流出量を推定する方法であって、流出物の成分別流出量を仮定してその組成の混合物の反応槽内での気液平衡組成を計算し、前記反応槽内での気相と液相の体積流量を計算し、この体積流量と経験式より算出した反応槽内でのガスホールドアップより気相および液相の反応槽滞留時間を計算し、この反応槽滞留時間と反応器の流入物の成分別流入量と特定の石炭液化反応モデルより導かれる一次不可逆反応速度式から流出物の成分別流出量を計算し、最初に仮定した成分別流出量と計算で得た成分別流出量を比較し、この二つの成分別流出量が各成分毎に一定の誤差範囲内で一致するまで一連の計算を繰り返すことを特徴とする石炭液化反応における生成物推算方法。
- 高温高圧の気泡塔反応器で構成された石炭液化反応器の流出物の成分別流出量を推定する方法であって、水分と灰分を除いた石炭を液化反応性の高い成分および液化反応性の低い成分およびきわめて液化しにくい成分の3成分に、液化油および固体の液化生成物を低沸点液化油成分および中沸点液化油成分および高沸点液化油成分および液化油を含むアスファルテン類成分の4成分に、その他の液化生成物を低級炭化水素ガスおよび一酸化炭素と二酸化炭素ガスおよび水および硫化水素とアンモニアの4成分に区分し、石炭および液化生成物各成分に水素を加えた12成分の間で、一次不可逆反応の逐次反応と並列反応が組み合わされた反応経路に沿って石炭が液化生成物に分解し、さらに一部の液化生成物がより分子量が小さい他の液化反応物に分解する反応モデルより導かれる一次不可逆反応速度式を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の石炭液化反応における生成物推算方法。
- 高温高圧の気泡塔反応器で構成された石炭液化反応器の流出物の成分別流出量を推定する方法であって、液化油もしくは固体の液化生成物を低沸点液化油成分および中沸点液化油成分および高沸点液化油成分および液化油を合むアスファルテン類成分の4成分に、その他の液化生成物を低級炭化水素ガスのグループおよび一酸化炭素と二酸化炭素ガスのグループおよび水および硫化水素とアンモニアグループの4成分に区分する際に、炭素数1から3までの炭化水素化合物の集まりを低級炭化水素ガスとし、常圧での沸点が220℃未満でかつ低級炭化水素ガスを含まない液化油を低沸点液化油成分とし、常圧での沸点が220℃以上350℃未満である液化油を中沸点液化油成分とし、常圧での沸点が350℃以上538℃未満である液化油を高沸点液化油成分とし、常圧での沸点が538℃以上の液化油とテトラヒドロフランに可溶な固体成分を液化油を合むアスファルテン類成分とすることを特徴とする請求項3に記載の石炭液化反応における生成物推算方法。
- 高温高圧の気泡塔反応器で構成された石炭液化反応器の流出物の成分別流出量を推定する方法であって、灰分を除いた石炭を液化反応性の高い成分および液化反応性の低い成分およびきわめて液化しにくい成分の3成分に分割する際に、石炭から液化生成物への転化反応の一次不可逆反応速度定数が450℃で0.5/min以上である石炭の成分を液化反応性の高い成分とし、0.5/min未満かつ10−4/min以上である石炭の成分を液化反応性の低い成分とし、10−4/min未満である石炭の成分をきわめて液化しにくい成分とすることを特徴とする請求項3に記載の石炭液化反応における生成物推算方法。
- 石炭スラリーに水素ガスを吹込んで液化反応させる反応槽における出口流出物の成分別流出量を推定する方法であって、
石炭化度の異なる複数種類の石炭スラリーのそれぞれについて、
予め設定した石炭液化反応モデルに従って前記流出物の成分別流出量を仮定するとともに、前記反応槽内を気相と液相とに区分してこれらの反応槽滞留時間を計算し、
この反応槽滞留時間と、前記反応槽への流入物の成分別流入量と、前記石炭液化反応モデルから導かれる一次不可逆反応速度式とから前記流出物の成分別流出量を計算し、
この計算した成分別流出量と前記仮定した成分別流出量とが一定の誤差範囲内で一致する前記一次不可逆反応速度式の反応速度定数を求めたのち、
各炭種について得られた前記反応速度定数に基づいて、石炭の成分と反応速度定数との関係式を求め、この求めた関係式を任意の石炭種に適用して前記反応速度定数を演算して前記石炭液化反応モデルにより前記流出物の成分別流出量を推算する、
ことを特徴とする石炭液化反応における生成物推算方法。 - 前記関係式は、
水分と灰分とを除いた石炭を液化反応性の高い成分、液化反応性の低い成分およびきわめて液化しにくい成分の3成分に区分し、
前記流出物のうち、液化油および固体の液化生成物を低沸点液化油成分、中沸点液化油成分、高沸点液化油成分および液化油を含むアスファルテン類成分の4成分に区分し、
前記流出物のうち、その他の液化生成物を低級炭化水素ガス、一酸化炭素ガスと二酸化炭素ガス、水および硫化水素とアンモニアの4成分に区分し、
前記石炭の液化反応性の低い成分から前記アスファルテン類成分を生ずる反応の反応速度定数をK32、前記アスファルテン類成分から前記高沸点液化油成分を生ずる反応の反応速度定数をK43、前記高沸点液化油成分から中沸点液化油成分を生ずる反応の反応速度定数をK54前記アスファルテン類成分から前記低沸点液化油成分を生ずる反応の反応速度定数をK63、前記アスファルテン類成分から前記低級炭化水素ガスを生ずる反応の反応速度定数をK73、前記アスファルテン類成分から前記水を生ずる反応の反応速度定数をK103、前記アスファルテン類成分から前記硫化水素とアンモニアとを生ずる反応の反応速度定数をK93、前記石炭の液化反応性の高い成分から前記一酸化炭素ガスと二酸化炭素ガスとを生ずる反応の反応速度定数をK81、前記水素と前記アスファルテン類成分との反応の反応速度定数をK10としたときに、
ただし、H/Cは乾燥石炭中に含まれる水素原子と炭素原子との比、Oは乾燥石炭中に含まれる酸素の重量の割合、Nは乾燥石炭中に含まれる窒素の重量の割合、Sは乾燥石炭中に含まれる硫黄の重量の割合、VMは乾燥石炭中に含まれる揮発分の重量の割合であり、
A32は横軸に(H/C)×VM、縦軸にK32を対数目盛りで取ったときの数式1で表される直線の傾き、K320はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×VMにおけるK32値であり、B32は前記直線の切片の一部であって、K32=K320としたときに−A32{(H/C)×VM}に等しい値を表し、
A43は横軸に(H/C)×VM、縦軸にK43を対数目盛りで取ったときの数式2で表される直線の傾き、K430はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×VMにおけるK43の値であり、B43は前記直線の切片の一部であって、K43=K430としたときに−A43{(H/C)×VM}に等しい値を表し、
A54は横軸に(H/C)×VM、縦軸にK54を対数目盛りで取ったときの数式3で表される直線の傾き、K540はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×VMにおけるK54の値であり、B54は前記直線の切片の一部であって、K54=K540としたときに−A54{(H/C)×VM}に等しい値を表し、
A63は横軸に(H/C)×VM、縦軸にK63を対数目盛りで取ったときの数式4で表される直線の傾き、K630はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×VMにおけるK63の値であり、B63は前記直線の切片の一部であって、K63=K630としたときに−A63{(H/C)×VM}に等しい値を表し、
A73は横軸に(H/C)×(VM−O)、縦軸にK73を対数目盛りで取ったときの数式5で表される直線の傾き、K730はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×(VM−O)におけるK73の値であり、B73は前記直線の切片の一部であって、K73=K730としたときに−A73{(H/C)×(VM−O)}に等しい値を表し、
A103は横軸に(H/C)×O、縦軸にK103を対数目盛りで取ったときの数式6で表される直線の傾き、K1030はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×OにおけるK103の値であり、B103は前記直線の切片の一部であって、K103=K1030としたときに−A103{(H/C)×O}に等しい値を表し、
A93は横軸に(N+S)、縦軸にK93を対数目盛りで取ったときの数式7で表される直線の傾き、K930はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(N+S)におけるK93の値であり、B93は前記直線の切片の一部であって、K93=K930としたときに−A93(N+S)に等しい値を表し、
A81は横軸に(H/C)×O、縦軸にK81を対数目盛りで取ったときの数式8で表される直線の傾き、K810はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×OにおけるK81の値であり、B81は前記直線の切片の一部であって、K81=K810としたときに−A81{(H/C)×O}に等しい値を表し、
A10は横軸に(H/C)×VM、縦軸にK10を対数目盛りで取ったときの数式9で表される直線の傾き、K100はその直線の縦軸の切片一部であって、前記関係式を求めるために用いた所定の石炭種の(H/C)×VMにおけるK10の値であり、B10は前記直線の切片の一部であって、K10=K100としたときに−A10{(H/C)×VM}に等しい値を表す。
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