JP4291024B2 - ダストシート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長繊維層と短繊維層を積層させてなるダストシートに関し、更に詳しくは床上のほこりや髪の毛、砂等のダストをより効率よく拭き取ることのできる家庭用または業務用の乾式清掃用不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フローリングやPタイルなどの滑性の高い床上の掃除には、不織布を基材とするダストシートが用いられている。このダストシートを掃除具(モップ柄にシート固定板が連結されている)のシート固定板に任意の手段で装着し、該モップ柄に適度な力を加えながら前後(或いは左右)に移動させることにより、床上のダストを捕集している。この様な不織布を用いたダストシートは安価で使い易いため急速に普及しており、各種ダストシートが提案されている(例えば特許文献1〜5)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−25763号
【特許文献2】
特開平09−21055号
【特許文献3】
特開平10−60761号
【特許文献4】
特開平11−19015号
【特許文献5】
特開2001−275909号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
床上のダストには髪の毛、塵埃、砂、煙草灰など様々な異物が混在しているので、ダストシートにはこれらに対する優れた捕集性が必要となる。またダストシートには一旦捕集したダストが脱落しない様なダスト保持性も必要となる。ところがダストの種類は多岐にわたり、特に砂や土の如き微細粒状ダストを捕集・保持する特性と、髪の毛や煙草灰、糸くずなどの様に比較的大きなダストを捕集・保持する特性は異なる。そこで各種ダストに対して優れた捕集性と保持性を与えるため、ダストシートに薬剤を添加したり、或いはダストシートを構成する繊維を熱融着させて捕集性や保持性を向上させている。しかしこれらの手法では薬剤添加に特殊加工を要したり、或いはダストシートの一部を熱融着させるために複雑な製造工程が必要となる。ダストシートは使い捨てられるため、低コスト化の要請が強く、高コスト化を招く薬品処理や、複雑な製法、特殊な繊維の使用は実状にそぐわない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は安価で且つ優れたダスト捕集性とダスト保持性を有するダストシートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成し得た本発明のダストシートとは、長繊維層と短繊維層が積層されたダストシートであって、該ダストシートは繊維同士の交絡によって一体化されており、前記短繊維層表面の静摩擦係数が0.5以下であって、且つ該ダストシートの剪断弾性率が60g/cm2・100%以上であることに要旨を有するダスト捕集性とダスト保持性に優れたダストシートである。
【0007】
本発明のダストシートは、ダストシートの目付が30g/m2〜200g/m2で、且つ厚みが0.5mm〜3.5mmであることが推奨される。
【0008】
また長繊維層の目付が10g/m2〜50g/m2の範囲であることが望ましく、更に短繊維層の目付が20g/m2〜190g/m2の範囲であることが好ましい。
【0009】
本発明のダストシートは、短繊維および/または長繊維がポリエステル系繊維であることが推奨される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のダストシートは、長繊維層と短繊維層を積層させてなるもので、繊維同士の交絡によって一体化されており、短繊維層表面の静摩擦係数を0.5以下とし、且つ該ダストシートの剪断弾性率を60g/cm2・100%以上とすることによって、優れたダスト捕集性とダスト保持性を高めている。
【0011】
即ち、本発明のダストシートは、長繊維層と短繊維層が積層され、該繊維層間が繊維同士の交絡によって一体化されている。長繊維層と短繊維層の一体化は、ニードルパンチ加工等の物理的交絡処理による繊維同士の交絡によって行なうことが望ましい。
【0012】
更に本発明では、上記構成を有するダストシートの静摩擦係数と剪断弾性率を特定することによって、優れたダスト捕集性とダスト保持性を確保している。
【0013】
静摩擦係数とは、ダストシート(短繊維層面)と床との静摩擦係数をいうが、該静摩擦係数は以下の方法によって得られる値である。
【0014】
静摩擦係数測定方法:(図2参照)
スポンジ20(厚さ8mm、幅55mm、長さ95mm、密度0.024g/cc)の床接地面にダストシート21の短繊維層面が床に接地する様に貼付した後、該スポンジをプラスチックケース22(肉厚0.5mm、深さ6mm、内幅58mm、内長さ99mm)の枠に入れてからダストシートの該短繊維層面を下にして床23(表面仕上げイサムフロア;V硬質アクリル防塵塗料(イサム塗料(株))に載置する。そして該プラスチックケース22が床面に対して平行に移動する様に該ケース外枠中央部分24にひも25に結びつけ、ひもの他端にはばね秤26を取り付ける。そして該プラスチックケースに荷重:183g(荷重3.5g/cm2;尚、ダストシート、スポンジ、プラスチックケースの質量も含む)を負荷(錘27をスポンジ20に載せる)してから、ばね秤を上方向(図中矢印方向)に引張り、プラスチックケースが水平方向に動き出した時(初動)の力(ばね秤の値)を測定する。静摩擦係数(F)はF=f(プラスチックが動き出した時のばね秤の目盛り)/g(荷重:グラム)から求められる値である。尚、ひもの任意の位置に滑車28を介在させてばね秤を垂直に引張り、プラスチックケースを水平に移動させる。
【0015】
静摩擦係数が大きくなると例えば図1に示す様にダストがダストシートの進行方向縁部近傍11に集積されるため、ダストシート内部12(ダストシートの床接地面相当)で捕集するダスト量が少なくなる。したがってダストシートの表面を有効利用して、ダスト捕集量を増大させるには、ダストシートの短繊維層表面と床面との静摩擦係数を0.5以下に抑えなければならない。
【0016】
尚、短繊維層表面には無数の毛羽が存在しており、また使用時に適度な負荷がかるため、静摩擦係数を低下させてもダストに対して十分な捕集性と保持性を維持できる。好ましい静摩擦係数は0.2以上である。
【0017】
本発明において剪断弾性率とは、使用前(ダスト付着前)のダストシートの剪断弾性率をいい、以下の方法によって測定される値である。
【0018】
剪断弾性率:図3参照
アルミ板30(50mm×100mm×1mm)の片面に両面テープ31(ニチバン製ナイスタックNW−50)を貼り(50mm×50mm)、該部分にダストシート21(50mm×50mm)を添着させ、更にその上に上記アルミ板と同様に両面テープを貼った他のアルミ板32を貼り合わせて試験片とし、該試験片のアルミ板端部を試験機(東洋ボールドイン社製「テンシロン」)によって剪断変形速度0.5mm/minの速さで剪断方向(図中矢印方向)に引っ張った時のダストシートの歪みと応力の関係から求められる値である。尚、本発明では5%剪断弾性率(応力歪曲線からダストシート厚さの5%に歪みが生じた時点の応力を求め、その値を剪断面積で除した後、ダストシート厚さ100%に換算した値)を剪断弾性率とする。
【0019】
剪断弾性率が低いと使用時にかかる負荷が小さくても該負荷によってダストシートが剪断変形を起こしてへたりを生じ易く、また短繊維層表面近傍の繊維編目が開き易くなるため、ダスト捕集性及びダスト保持性(特に微細粒状のダストに対する捕集性、保持性)が低下する。したがって十分なダスト捕集性及びダスト保持性を有する実用性のあるダストシートとするには、剪断弾性率で60g/cm2・100%以上を確保することが必要である。より好ましくは70g/cm2・100%以上、80g/cm2・100%以上である。
【0020】
本発明では、ダストシートを構成する短繊維層:長繊維層の比率(単位は質量%、ダストシート全質量に対する割合)を60:40〜95:5とすることが好ましく、より好ましくは63:37〜90:10とすることが望ましい。短繊維層が95質量%を超えると、長繊維層による強度保持力が低下し、使用時にダストシートが破れ易くなる。一方、長繊維層が40質量%を超えると短繊維層の割合が減少してダスト保持性が低下する。
【0021】
また本発明では、ダストシートの目付け(短繊維層目付と長繊維層目付の合計)を30〜200g/m2とすることが好ましい。目付が30g/m2未満になると、繊維とダストとの絡まり(繊維とダストの接触面積)が少なくなるためダストシートのダスト捕集性、及びダスト保持性が低下することがある。一方、目付が200g/m2を超えても、ダストシートの保持性が飽和するため、コストが高くなるだけである。したがって、上記した短繊維層と長繊維層の総目付が30〜200g/m2の範囲となる様にすることが望ましい。ダストシートのより好ましい目付は35〜150g/m2、更に好ましくは40〜120g/m2である。
【0022】
ダストシートの厚みは特に限定されないが、厚みが薄すぎると十分なダスト保持容積を確保できなくなるため、ダスト保持性が低下すると共に、ダスト捕集性も低下するので望ましくない。一方、ダストシートを厚くするとダスト保持容積は増大するが、過度に厚くすると保持効果が飽和するため高コストとなる。また剪断応力に対してダストシートが変形し易くなる。したがって十分なダスト捕集性及びダスト保持性を付与する観点からダストシートの厚みは好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは0.8mm以上であって、好ましくは3.5mm以下、より好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは2.5mm以下とすることが望ましい。
【0023】
尚、ダストシートの密度が低すぎてもダスト保持性が低下するため、密度は0.015g/cc以上であることが好ましく、より好ましくは0.016g/cc以上、更に好ましくは0.02g/cc以上である。逆に密度が高くなりすぎてもダスト保持性が低下することから密度は0.2g/cc以下とすることが好ましく、より好ましくは0.188g/cc以下、更に好ましくは0.15g/cc以下とすることが望ましい。
【0024】
本発明の長繊維層を構成する長繊維及び短繊維層を構成する短繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの各種熱可塑性樹脂繊維を用いることができ、特にポリエステル系繊維を用いることが推奨される。また繊維を2種以上組み合せた混繊や複数の成分からなる合成繊維などで長繊維層を構成したものを用いてもよいが、ポリエステル系繊維を用いると上記特性を有するダストシートを容易に構成できるので望ましい。
【0025】
長繊維の繊度は特に限定されないが、繊度が0.5〜12デシテックス(dtex)であることが望ましい。繊度が0.5dtex未満では、使用時にダストシートの腰が弱くなることがあるので好ましくない。逆に繊度が12dtexを超えると、長繊維層の剛性が高くなることがある。より好ましい繊度は1〜10dtexである。
【0026】
本発明で用いる長繊維層の目付けは特に限定されないが、10〜50g/m2が好ましい。目付けが10g/m2未満では、長繊維層の厚みが薄くなりすぎて使用時に破れ易くなることがある。逆に、目付けが50g/m2を超えると長繊維層自体の剛性が高くなり、短繊維層を積層させてダストシートとする際のニードルパンチ加工等の交絡処理が困難になることがある。より優れた効果を発揮する上で特に好ましい目付けは、15〜45g/m2である。
【0027】
長繊維には必要に応じて着色剤、耐光剤、難燃剤、抗菌剤など任意の添加剤を添加してもよい。
【0028】
本発明で用いる長繊維層の製造方法は特に限定されないが、例えばスパンボンド法によって得られる長繊維ウエッブを長繊維層として用いればよい。該長繊維ウエッブの取扱性を向上させるためにエンボス加工を施してもよい。
【0029】
一方、短繊維層を構成する短繊維の繊度は、特に限定されないが、繊度が細くなるとカード処理でネップが出来易く、均質な短繊維ウエッブが得られ難くなることがある。この様な短繊維ウエッブを用いて構成したダストシートでは、ダスト捕集性及びダスト保持性に偏りが生じるため、ダストシートの効率的な使用ができなくなることがある。また使用時にダストシートがへたりやすくなり、ダスト保持性が低下することもある。逆に、繊度が太くなると繊維の剛性が高まるため望ましくない。また繊度が太くなるとダストを絡めにくくなり、ダスト捕集性とダスト保持性が低下するので好ましくない。したがって短繊維の繊度は0.5〜30dtexであることが好ましく、より好ましくは1〜15dtexである。
【0030】
繊維の繊維長は特に限定されず、一般的な長さの短繊維を使用すればよい。
【0031】
短繊維層の目付けも特に限定されないが、目付けが小さ過ぎると厚みが薄くなって使用時にへたり易くなると共に、ダスト捕集性、保持性も低下することがある。一方、目付が大きすぎると剛性が高くなることがある。したがって短繊維層の目付けは20〜190g/m2とすることが望ましい。
【0032】
尚、短繊維には、必要に応じて着色剤、耐光剤、難燃剤、抗菌剤などが添加されていても良い。
【0033】
本発明のダストシートは上記特性を満足する長繊維層と短繊維層を積層させた後、該積層間を繊維が交絡して一体化している積層体であることが望ましい。この際に積層させる短繊維層と長繊維層は、夫々上記目付の範囲内であって、且つダストシート全体の目付も上記範囲内となる様に夫々の目付量を調節することが望ましい。目付が大きくなりすぎると、高コストになるばかりでなく、短繊維層を積層させて一体化する際の交絡処理も不十分となり、剪断弾性率が低下する。
【0034】
物理的交絡処理とは、繊維同士を交絡(絡まりあい)によって積層させた繊維層同士を一体化させる処理をいい、この様な物理的交絡処理技術としては、ニードルパンチ加工やウォータージェット加工、エアジェット加工等が例示される。具体的な処理条件は特に限定されないが、ダストシートの剪断弾性率が上記値となる様に加工条件を適宜調整することが推奨され、より好ましくはダストシートの目付けや厚みが上記値となる様に加工条件を調整することが望ましい。たとえばニードルパンチ加工の場合、針の種類(太さ)や針深さと打ち込み本数を調整すればよい。
【0035】
上記の様に本発明のダストシートは、長繊維層と短繊維層を積層させた後、物理的交絡処理を施して一体化したものであるが、上記静摩擦係数と剪断弾性率を有するダストシートとするには、該シート内で繊維を3次元的な配向状態にすることが望ましい。
【0036】
繊維の3次元的配向状態とは、繊維がシート厚み方向(垂直方向)、シート幅方向(水平方向)、シート縦方向(幅方向の繊維に2次元的に交差する方向)に配向している状態をいう。好ましくはシート厚み方向の配向状態が、短繊維層側の繊維と長繊維層側の繊維が夫々異なる繊維層内で交絡している状態が好ましい。繊維をシート厚み方向に配向させることによって剪断弾性率を高めることができる。
【0037】
また繊維をシート厚み方向に配向させるには、一方の面から物理的交絡処理を施せばよいが、更に剪断弾性率を高めるには、物理的交絡処理を少なくとも両面(短繊維層側からと長繊維層側から)に施すことが望ましい。また両面から交絡処理を行なう場合、長繊維層と短繊維層を積層させた後に物理的交絡処理を施して相互に交絡させればよい。物理的交絡処理を両面から行なえば、短繊維が長繊維層の繊維間隙に入り込んで交絡するため、剪断弾性率を高めつつ、ダストシートの形体も保持できる。上記本発明の条件を満足するダストシートを得るには、特に最初に短繊維層側から物理的交絡処理を施した後に、長繊維層側からも物理的交絡処理を施し、更に短繊維層側から再度物理的交絡処理を施すことが推奨される。
【0038】
尚、物理的交絡処理は最初に短繊維層側から行なった後に長繊維層側から行なうことが推奨される。先に長繊維層側からの物理的交絡処理を行なうと、交絡が不十分になり、一体性が確保できない。したがってシート厚み方向に配向している短繊維の少なくとも一部は、長繊維層側へ配向している状態となっている。
【0039】
また長繊維層側から物理的交絡処理を行なった後に、再度短繊維層側から物理的交絡処理を施すことによって、厚み方向に配向している繊維数が増えて剪断弾性率が高まると共に、厚み方向に配向している繊維の配向状態がより複雑となり、一段と優れたダスト捕集性とダスト保持性が発揮されるからである。ダストシート内部の繊維配向状態(特に厚み方向の配向状態)を複雑化すれば、より優れたダスト保持性が得られるので望ましい。再度短繊維層側から物理的交絡処理を施した場合、シート厚み方向に配向している繊維の状態は次の様になっていると考えられる。即ち、まず短繊維側から交絡処理を施すことによって短繊維層の一部は長繊維層側に向けて配向した状態になる。この状態では短繊維が単に長繊維の繊維間に侵入しているため、該短繊維によるアンカー効果は生じているものの、十分な剪断弾性率を有するとは言えない。ところが長繊維側からの交絡処理によって、該厚み方向に配向した短繊維の一部が再び短繊維側に押し戻されるため、長繊維層側から短繊維層内に向けて繊維が配向する様になり、アンカー効果が高まる。そして再度短繊維側から交絡処理を施すと、更に厚み方向に配向する短繊維が増える等、ダストシート内部は複雑な交絡構造となる。この様に物理的交絡処理を複数回施すことによって、繊維が相互に交絡すると共に、複雑な配向構造なるため剪断弾性率が高まり、しかもダストシート内部に取り込まれた砂などの微細粒状のダストに対して高い保持性能を示すと考えられる。
【0040】
尚、再度短繊維層側から物理的交絡処理を行なう場合、再度短繊維層側から物理的交絡処理を施す際のニードル数等の交絡手段の数は、最初に短繊維層に施した物理的交絡処理の交絡手段の数よりも多くすることが望ましい。上記の様に2段階に分けて短繊維層側から物理的交絡処理を施すと、ダストシートの寸法安定性を維持しつつ、長繊維層の破壊も防止できるので望ましい。
【0041】
本発明のダストシートは、図1に示す様な掃除具(モップ柄13には固定板14が連結されている)の固定板14に、任意の手段で装着して用いることが望ましいが、使用形態については特に限定されない。
【0042】
【実施例】
ダストシート(試料)の特性を下記方法によって調べた。
・目付量:JIS L1906の5.2
・厚さ :JIS L1906の5.1(荷重2KPa)
・静摩擦係数:
図2に示す様にスポンジ20(厚さ8mm、幅55mm、長さ95mm、密度0.024g/cc)の床接地面側にダストシート21の短繊維層側が床に接地する様に貼付(両面テープで添着)した後、該スポンジをプラスチックケース22(肉厚0.5mm、深さ6mm、内幅58mm、内長さ99mm)の枠に入れてからダストシート貼付面側を下にして床23(表面仕上げイサムフロア;V硬質アクリル防塵塗料(イサム塗料(株))に載置し、該プラスチックケース22が床面に対して平行に移動する様に該ケース外枠中央部分24にひも25を結びつけ、ひもの他端にはばね秤26を取付け、該プラスチックケース(上面)の荷重が183g:3.5g/cm2、尚、ダストシート、スポンジ、プラスチックケースの質量も含む)となる様に錘27を載せてからひもを引張り、プラスチックケースが水平方向に動き出した時(初動)の力(ばね秤の値)を測定した。該値に基づいて短繊維層面の静摩擦係数[F=f(プラスチックが動き出した時のばね秤の目盛り)/g(荷重:グラム)]を算出した。尚、ひもの任意の位置に滑車28を介在させてばね秤を上方向(図中矢印方向;垂直)に引張り、プラスチックケースを水平に移動させた。
【0043】
・剪断弾性率(g/cm2・100%):
アルミ板30(50mm×100mm×1mm)の片面に両面テープ31(ニチバン製ナイスタックNW−50)を貼り(50mm×50mm)、該部分にダストシート21(50mm×50mm)を添着させ、更にその上に上記アルミ板と同様に両面テープを貼った他のアルミ板32を貼り合わせて試験片とし(図3参照)、該試験片のアルミ板端部を試験機(東洋ボールドイン社製「テンシロン」)によって剪断変形速度0.5mm/minの速さで剪断方向に引っ張った時のダストシートの歪みと応力の関係から応力歪曲線を求め、該曲線のダストシート厚さの5%に歪みが生じた時点の応力値を求め、その値を剪断面積で除した後、ダストシート厚さ100%に換算して求めた。
【0044】
・クリーニング評価方法:
床は「表面仕上げイサムフロア−V硬質アクリル防塵塗料[イサム塗料(株)]」によって表面仕上げをした(尚、試験時の床は完全な乾燥状態である)。掃除具にはスリーエムダストモップ(DKIT−M 幅9cm、長さ61cm、重さ910g)を用い、該掃除具に試料を取り付けて床上のダスト[髪の毛(理髪店より収集した平均長さ2cmの髪の毛)0.5g、煙草と灰(マイルドセブン チャコールフィルター揉み解し1gと灰1gの混合)2g、土砂(JIS Z8901の4種,5種,6種を同比率混合)10g]を拭き取った。尚、ダストは床上に均一に撒き(幅55cm、長さ30cm内)、ダストモップの柄を30度程度傾けて一方向(手前から奥方向)に5m押して拭き取りを行なった。拭き取り後、試料に付着している各ダストの質量を測定した。拭き取り時にモップにかかる荷重は3.5g/cm2となる様にした。
【0045】
・集塵率(塵取面積100cm2、目付100g当たりの集塵率):
D=((Pd/Td)/(S×M))×(100cm2×100g/m2)%
D:集塵率
S:試料が床と接した総面積 549cm2
Pd:試料に付着したダスト量(g)
Td:床に散布したダスト量(g)
M :試料目付(g/cm2
100cm2: 面積
100g/m2: 目付
【0046】
試料No.1
ポリエステル樹脂を使用し、スパンボンド法によって得られた長繊維層(繊度2.2dtex、目付15g/m2)に、ポリエステル繊維(繊度2.2デシテックス(dtex)、繊維長51mm)をカーディング加工して得られた短繊維層(目付30g/m2)を積層させ、該積層体の短繊維層側からニードルパンチ加工(針深さ11mm、打ち込み本数35本/cm2)を施し、長繊維層側からもニードルパンチ加工(針深さ11mm、打ち込み本数65本/cm2)を施した後、再度短繊維層側からニードルパンチ加工(針深さ6.5mm、打ち込み本数65本/cm2)を施してダストシートを得た。
【0047】
試料No.2
ポリエステル樹脂を使用し、スパンボンド法によって得られた長繊維層(繊度2.2dtex、目付15g/m2)に、ポリエステル繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm)をカーディング加工して得られた短繊維層(目付55g/m2)を積層させた後、試料No.1と同様のニードルパンチ加工を施してダストシートを得た。
【0048】
試料No.3
ポリエステル樹脂を使用し、スパンボンド法によって得られた長繊維層(繊度2.2dtex、目付30g/m2)に、ポリエステル繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm)をカーディング加工して得られた短繊維層(目付120g/m2)を積層させ、該積層体の短繊維層側からニードルパンチ加工(針深さ11mm、打ち込み本数40本/cm2)を施し、長繊維層側からもニードルパンチ加工(針深さ11mm、打ち込み本数70本/cm2)を施した後、再度短繊維層側からニードルパンチ加工(針深さ6.5mm、打ち込み本数70本/cm2)を施してダストシートを得た。
【0049】
試料No.4
ポリエステル樹脂をスパンボンド法によって得られた長繊維層[(繊度2.2dtex)目付15g/m2]に、ポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(繊度4.4dtex、繊維長51mm、低融点ポリエステルの融点110℃)10質量%とポリエステル繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm)90質量%をカーディング加工して得られた短繊維層(目付55g/m2)を積層させ、資料No.1と同様にしてニードルパンチ加工を施した。得られた該ダストシートを熱処理機(ホットエアースルー方式)を用いて処理速度2m/min,150℃,108秒間処理を施してダストシートを得た。
【0050】
試料No.5(市販品)
市販されているダストシートを用いて上記性能試験を行なった。該ダストシートは繊度1.8dtexのポリエステル短繊維、繊度7.9dtexのポリエステル短繊維、繊度2.3dtexのポリエステル長繊維から構成されている。尚、該ダストシートは目付62.8g/m2、厚さ2.2mm、密度0.031g/ccであった。
【0051】
試料No.6(市販品)
市販されているダストシートを用いて上記特性の実験を行なった。該ダストシートはポリエステル短繊維(4.4dtex、繊維長51mm)から構成されており、該短繊維層は複数積層されている。尚、該ダストシートは目付80.0g/m2、厚さ1.8mm、密度0.044g/ccであった。
【0052】
資料No.7(市販品)
市販されているダストシートを用いて上記特性の実験を行なった。該ダストシートはポリプロピレンネット(孔径10mm、開孔間の隙間3mm、厚さ15μm)にポリエステル短繊維層(2.4デニール、繊維長51mm)が積層されている。尚、該ダストシートは物理的交絡処理が施されており、目付61.8g/m2、厚さ1.1mm、密度0.055g/ccであった。
結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 0004291024
【0054】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、本発明のダストシートは優れたダスト捕集性とダスト保持性を有する。また本発明のダストシートは高コストの原因となる複合繊維を用いることなく、且つ溶融結合処理等の処理も不要であるため、安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ダストシートの使用例を示す概略断面図である。
【図2】 本発明の静摩擦係数の測定方法を示す概略断面図である。
【図3】 本発明の剪断弾性率の測定方法を示す概略断面図である。
【符号の説明】
11 ダストシートの進行方向縁部近傍
12 ダストシート内部
13 モップ柄
14 固定板
20 スポンジ
21 ダストシート
22 プラスチックケース
23 床
24 プラスチックケース外枠中央部分
25 ひも
26 ばね秤
27 錘
28 滑車
30,32 アルミ板
31 両面テープ

Claims (5)

  1. 長繊維層と短繊維層が積層されたダストシートであって、該ダストシートは、最初に短繊維層側から物理的交絡処理を施した後に、長繊維層側からも物理的交絡処理を施し、更に短繊維層側から再度物理的交絡処理を施し、繊維同士交絡させることによって一体化されており、前記短繊維層表面の静摩擦係数が0.5以下であって、且つ該ダストシートの剪断弾性率が60g/cm・100%以上であることを特徴とするダスト捕集性とダスト保持性に優れたダストシート。
  2. 前記ダストシートは、目付が30g/m〜200g/mで、且つ厚みが0.5mm〜3.5mmである請求項1に記載のダストシート。
  3. 前記長繊維層の目付が10g/m〜50g/mの範囲である請求項1または2に記載のダストシート。
  4. 前記短繊維層の目付が20g/m〜190g/mの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載のダストシート。
  5. 前記短繊維および/または長繊維がポリエステル系繊維である請求項1〜4のいずれかに記載のダストシート。
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