JP4290386B2 - ハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型位相シフトマスク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハーフトーン型位相シフトマスクブランク、ハーフトーン型位相シフトマスク等に関し、特に、次世代の短波長露光光源であるArFエキシマレーザ(193nm)及びF2エキシマレーザ(157nm)に使用するに適したハーフトーン型位相シフトマスク及びその素材となるブランク等に関する。
【0002】
【従来の技術】
1Mbitに始まったDRAMの高集積化も、今日では64〜256MbitDRAMの量産体制が確立されるに至っている。この技術革新の中で露光光源は超高圧水銀灯のg線(436nm)からi線(365nm)、そしてKrFエキシマレーザ(248nm)へと短波長化されてきた。そして現在もなお、さらなる高集積化のための露光波長の短波長化が検討されている。しかし通常の光リソグラフィ法においては、露光波長の短波長化は解像度を改善する反面、同時に焦点深度の減少を招く。これは露光光学系の設計に対して負担を増大させるばかりでなく、プロセスの安定性を著しく低下させ、しいては製品の歩留まりに悪影響を及ぼすという問題を生ずる。
位相シフト法はこの様な問題に対して有効な超解像方法の一つである。位相シフト法では、微細パターンを転写するためのマスクとして位相シフトマスクが使用される。位相シフトマスクでは、マスク上のパターン部分を形成する位相シフター部とシフターの存在しない非パターン部分からなり、両者を透過してくる光の位相を180゜ずらすことで、パターン境界部分において光の相互干渉を発生させ、この効果により転写像のコントラストを向上させる。さらに、位相シフト法を用いることにより、必要な解像度を得るための焦点深度の増大をはかることが可能となり、クロム膜等からなる一般的な遮光パターンを持つ通常のマスクを用いた転写プロセスに比べ、同じ波長の光を用いながら解像度の改善とプロセスの適用性を同時に向上させることが可能である。位相シフトマスクは、位相シフター部の光透過特性により完全透過型(渋谷・レベンソン型)位相シフトマスクと、ハーフトーン型位相シフトマスクに大別することができる。前者は、位相シフター部の光透過率が非パターン部と同等な、露光波長に対してほぼ透明なマスクであり、一般的にラインアンドスペースの転写に有効であるといわれている。一方、後者は位相シフター部における光透過率が非パターン部の数%から数十%程度であり、半導体製造プロセスにおけるコンタクトホールや孤立パターンの作製に有効であるといわれている。このようなハーフトーン型位相シフトマスクとしては、単層型のハーフトーン型位相シフトマスクとして、例えば特開平5−127361号記載されたような、CrOX、CrNX、CrOXNY、CrOXNYCZ等のクロム系の材料からなる位相シフターを有するものや、特開平6―332152号公報に記載のMoSiO、MoSiON等のMoSi系の材料からなる位相シフターを有するもの、或いは特開平7―261370号公報に記載のSiN系又はSiO系の材料からなる位相シフターを有するもの等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
位相シフトマスクとの併用により、露光光の短波長化も進んでおり、近年ではより短波長の光としてフッ化アルゴン(ArF)の励起発光によるArFエキシマーレーザ光(193nm)の使用が検討されている。また、さらなる短波長光としてフッ素(F2)エキシマーレーザ光(157nm)の使用も提唱されている。
このような光の短波長化に伴い、使用する波長域は深紫外へ、さらには真空紫外領域へと移行するといわれているが、これに対応する位相シフトマスクおよび位相シフトマスクブランクにおいては、露光光が紫外領域に近くなると可視から近紫外領域の場合とは異なり、特に波長が250nmより短い領域では多くの物質において、光吸収の度合いが著しく大きくなるため所望の透過率の制御が難しくなる。位相シフターにおける透過率の設定は、パターン転写において使用されるレジストの感度やマスクの形式(透過型か、ハーフトーン型か)にもよるが、例えばハーフトーン型位相シフトマスクの場合、露光光の位相を所定の角度シフトさせる位相シフター膜厚において露光光の透過率が4%から20%の範囲で制御できることが望ましいとされている。
さらに、使用する露光波長での透過率の制御に加え、ブランク製造工程、マスク製造工程さらにはウェハーへの転写工程において使用される多様な検査やアライメント光源へ適用できることも重要である。前述の検査やアライメント光源は、通常は露光光波長よりも長波長の光が用いられ、即ち、一世代又は二世代前の露光波長に近い波長が光源として用いらている。例えば、パターン外観検査においては、検査光波長において、透過型欠陥検査装置(例えばKLA300シリーズ等)を用いた検査が行われているため、検査波長(例えば、露光波長がKrFエキシマレーザ(248nm)の場合、検査波長は488nm又は364nm)に対する透過率が高すぎる(例えば40%以上)と検査が困難となる。多くの材料は、波長が長くなるにつれて透過率が増すため、位相シフター膜の設計において、検査波長等の露光光波長よりも長波長の所望の光の透過率を低く設定しようとすると、露光光に対する透過率も低くなってしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、上記背景の下でなされたものであり、特に露光波長の短波長化(140nm〜200nmの露光波長範囲)に対応し、ブランク製造工程、マスク製造工程さらにはウェハーへの転写工程において使用される多様な検査やアライメント光源へ適用することができるハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型位相シフトマスクを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の構成を有する。
(構成1) 微細パターンの露光、転写を施す際に用いる位相シフトマスクであって、露光光を透過させる光透過部分と、該光透過部分を通過した光に対して光の位相を所定量シフトさせる位相シフター部とを有し、前記光透過部と位相シフター部との境界部近傍にて各々を透過した光が互いに打ち消しあう様に光学特性を設計することで、被露光体表面に転写されるパターン境界部のコントラストを良好に保持、改善する位相シフトマスクを製造するために用いるハーフトーン型位相シフトマスクブランクであり、透明基板上に前記位相シフター部を形成するための位相シフター膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて、
前記位相シフター部は、主に露光光の透過率を制御する機能を有する少なくとも一層の透過率調整層と、主に露光光の位相を制御する少なくとも一層の位相調整層とを有し、
前記位相調整層は、少なくとも炭素を含む材料からなることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
(構成2) 前記炭素を含む材料が、珪素、及び酸素及び/又は窒素を含有することを特徴とする構成1に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
(構成3) 前記炭素を含む材料に、さらに、金属、リン(燐)、ホウ素から選ばれる一種又は二種以上を含有することを特徴とする構成2に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
(構成4) 構成1〜3から選ばれる一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおける、位相シフター膜を所望のパターンに加工して得られることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の構成1においては、主に露光光の透過率の強度を制御する機能を有する少なくとも一層の透過率調整層と、主に露光光の位相を制御する少なくとも一層の位相調整層とを有する位相シフター部において、位相調整層として用いられる薄膜材料に対して所望量の炭素を膜組成中に導入することで、透過率調整層との積層構造において、露光波長及び露光波長よりも長い波長の検査光、アライメント光の透過率の制御を行う際に、露光波長での透過率減少を軽微に抑えつつ、特に240nmから650nmにおける波長範囲における当該位相調整層の透過率を効果的に減衰、もしくは、波長に対する透過率変動の依存性を軽減することができる。その結果、140nm〜200nmの範囲の波長の露光光に対する透過率及び露光波長よりも長い波長の検査光、アライメント光の透過率の制御が可能となる。
尚、位相調整層は、主に位相を調整する機能を有するが、透過率を調整する機能も担うものである。一方、透過率調整層は、主に透過率を調整する機能を有するが、位相を調整する機能も担うものである。
即ち、ハーフトーン型位相シフトマスクブランク(ハーフトーン型位相シフトマスク)における位相シフター膜として要求される露光光の位相シフト角をA(deg)とした場合、位相調整層による露光光の位相シフト量をφ1、透過率調整層による露光光の位相シフト量をφ2とすると、
0<φ2<φ1<A(deg)
という関係となる。
また、上層が主に位相シフト量を調整する機能を果たす層(位相調整層)とし、下層が主に透過率を調整する機能を果たす層(透過率調整層)となるようにする2層構造とする場合、例えば次のように膜設計が行われる。
即ち、上層(位相調整層)を通過する、波長λの露光光の位相シフト量φ(deg)をφ1とすると、位相調整層の膜厚dは、
d=(φ1/360)×λ/(n−1) …(式3)
で表される。ここで、nは波長λの光に対する位相調整層の屈折率である。
ハーフトーン位相シフター部の位相シフト量Φは、下層(透過率調整層)の位相シフト量をφ2としたときに、
Φ=φ1+φ2=A(deg)
となるように設計する必要がある。φ2の値は、概ね−20°≦φ2≦20°の範囲である。すなわちこの範囲の外だと下層の膜厚が厚すぎて、露光光の透過率を大きくすることができない。したがって、上層の膜厚dは
0.44×λ/(n−1)≦d≦0.56×λ/(n−1) …(式4)
の範囲で設計される。
という関係となる。
尚、位相シフター膜として要求される露光光の位相シフト角をA(deg)は、理想的には180°であるが、実用上は180°±5°の範囲に入ればよい。
また、位相調整層としては、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素など珪素を母体とした薄膜が紫外領域での露光光に対して、比較的高い透過率を得やすいという点から好ましい。さらにこれらの材料は屈折率の制御も容易であるため、位相シフターの要点である位相シフト角の制御性においても優れる。また、膜材料としての主骨格が酸化珪素や窒化珪素であることから、化学的耐久性にも優れる。ところで、元来、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素自体が持つ光学特性としては、250nm付近から急激に消衰係数が減少し、透過率が向上するため、例えばArFエキシマーレーザーの波長である193.4nmで所望の露光光透過率を設計した場合、それ以上の波長である257nmや364nm、さらには488nmや633nmといったマスク工程や転写工程において使用される代表的な波長において、透過率が高すぎる、あるいは波長間の透過率差異が大きすぎるといった問題が生じ、製造工程での適用性が満足されない場合が生じる。そこで、上記のように酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素など珪素を母体とした薄膜(珪素、及び酸素及び/又は窒素を含有する薄膜)に炭素を含ませることによって、露光波長での透過率減少を軽微に抑えつつ、特に240nmから650nmにおける波長範囲における当該位相調整層の透過率を効果的に減衰、もしくは、波長に対する透過率変動の依存性を軽減することができる。
【0007】
珪素、及び酸素及び/又は窒素、及び炭素を含有する薄膜は、珪素、炭素、窒素および酸素の含有量が、各々原子百分率において、珪素を10%〜60%、炭素を5%〜70%、窒素を0%〜80%、酸素を0%〜60%規定される範囲で含有し、さらにこれらの合量が少なくともハーフトーン型位相シフター部分を構成する組成全体の80%以上であることが好ましい。即ち、珪素が10%未満の場合、珪素と炭素、窒素、酸素等の結合が少なく、膜の緻密さを向上することができず、また60%より多いと、珪素それ自体による消衰係数が顕在化し十分な透過率が得にくくなる。また、炭素が5%未満の場合、珪素と炭素の結合が少なくなり、化学的耐久性に劣ってしまい、また、70%より多いと、炭素の特性が優位となり、例えば真空紫外での露光(ArF:193nm)で生じるオゾンなどによる膜質の劣化が顕著となる。一方、窒素と酸素については透過率を得るため相補的に用いる必要があり、一方が0%の場合他方を添加して補う必要がある。
理想的には、窒素については10%を下限とすることが望ましい。また、窒素が80%より多いと膜の骨格を形成する珪素の割合が少なくなり、緻密な組成が得られなくなる。酸素及び窒素の少なくとも一方を含有する場合、酸素が60%より多いと成膜時の安定性が十分でないため欠陥品質の良い膜が得られない。
また、上記の珪素、及び酸素及び/又は窒素、及び炭素を含有する薄膜にさらに、金属、リン(燐)、ホウ素から選ばれる一種又は二種以上を含有してもよい。金属としては、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、クロム、あるいは他の遷移金属が挙げられる。金属、リン(燐)、ホウ素から選ばれる一種又は二種以上を含有することによって、位相調整層それ自体の消衰係数を制御せしめるために、特には消衰係数を増加せしめることができる。尚、含有量としては、原子百分率で、20%以下が好ましい。これより多いと、短波長領域での透過率を確保することが困難となると共に、耐薬性が悪化する恐れがある。同様の理由により、前記含有量は、10%以下、さらには5%以下とすることが好ましい。
【0008】
位相調整層の成膜方法については一般的な成膜方法として、スパッタ成膜法、熱あるいはプラズマを利用した気相化学堆積法(CVD)、イオンビーム堆積法、(電子線)蒸着法などが使用できる。いずれの成膜方法を採用するかは基本的に、材料の種類や性状、あるいは所望の膜質により適宜選択すれば良いが、膜質の制御性の広さや量産性を考慮した場合、現在のところではスパッタ法が好適である。スパッタ成膜法の場合、ターゲットとスパッタガスの組み合わせにより、実質的な膜成分を定めることが可能である。その組み合わせは多岐に及ぶが、例えば本発明にある膜を作製する場合には、スパッタターゲットとして珪素または珪素を含むターゲット(例えば薄膜に金属を含む場合は、珪素と金属)を用い、スパッタガスとして炭素を含むガス、例えばメタン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレンなどと、窒素を含むガス、例えば窒素、一酸窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素、笑気ガス、アンモニアガスなど、あるいは炭素と酸素を同時に含む一酸化炭素、二酸化炭素を用い、さらにはアルゴン、キセノン、ヘリウム、もしくはこれらを含むガスを適宜混合して用いることが可能である。また、スパッタターゲットとして炭素を含むターゲットや窒化珪素を含むターゲット、あるいは炭化珪素を含むターゲット、さらにはこれら素材の複合ターゲットを用いることも可能であり、その際のガスとしては、スパッタ効率と最終的に目的とする膜組成に見合った成分が添加できるようなガス種を選択、混合して用いればよい。また、スパッタの際の電力印加方式、スパッタ出力、ガス圧、基板加熱の有無等に関しては用いる材料系、目的の膜特性に応じ適宜選択すればよい。
【0009】
また、本発明における透過率調整層としては、クロム、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム等の一種又は二種以上の合金からなる金属膜、又はこれらの金属又は合金の酸化物、窒化物、酸窒化物、シリサイド等をからなる材料を挙げることができる。
尚、位相調整層は、窒素を含むことにより屈折率が大きくなり、膜厚を薄くすることができて微細加工性に有利である観点、及び酸素を含有することにより高透過性が得られるという観点から、珪素、酸素、窒素、炭素を含む膜とすることが好ましい。また、二酸化炭素ガスを用いた反応性スパッタリングによって成膜することが、成膜安定性や膜応力低減の観点から好ましいと考えられる。
【0010】
尚、本発明においては、位相シフター膜は透過率調整層と位相調整層との2層構造に限らず、例えば透過率調整層と位相調整層を交互に積層した多層構造も含まれる。
尚、本発明における透明基板としては、合成石英基板等を用いることができ、特にF2エキシマレーザを露光光として用いる場合は、Fドープ合成石英基板、フッ化カルシウム基板等を用いることができる。
【0011】
【実施例】
以下、炭素導入の効果を明確にするために行った実験に基づいて、本実施例を説明する。
(実施例1)
実施例1においては、窒化珪素を母体とする膜に炭素を導入する検討を実施した。
直流反応性スパッタにおいてターゲットにはSiとCが1対1の焼結SiCターゲットを使用し、膜組成を適宜変化させる目的で、ターゲットの被スパッタ領域に珪素もしくは炭素の単体元素からなる小片(チップ)を配置し、面積比を変えて膜組成を変化せしめた。スパッタガスには窒素を40sccmとして導入した。この際の装置のベース圧力は1×10-4Pa以下であり、スパッタ中の圧力は4×10-1Paとした。
図1に作成した各種炭素導入窒化珪素膜の透過率特性を示す。比較のため各サンプルの膜厚はほぼ80nmに統一した。結果からも明らかなように、膜中の珪素の多い膜において、特に250nm近傍から500nm近傍の領域に渡って高い透過率が得られていることが分かる。これに対して膜中の炭素の含有量を増加させるに従い、特に300nm〜350nm付近を中心に透過率が減衰し始め、250nm付近からの透過率の上昇勾配も抑えられることが示されている。これらのサンプルにおける193nmにおける透過率減衰は約5%程度であったが、特に300nm近傍での透過率減衰は30%以上であった。従って、露光波長(140nm〜200nm)における透過率の減少を抑えつつ、検査等に用いられる波長(240nm〜650nm)における透過率を効果的に減少することが可能であることが判る。
また、露光光を193nmとし、検査などに使用される光を257nm又は365nmとした場合でも、透過率減衰を低い程度に抑えつつ、の透過率を効果的に減衰させることが可能である。
なお、膜中に実質的に炭素を導入することにより膜の屈折率が変化し、位相シフター膜として要求される位相角を得るための膜厚が変化する。従って、ハーフトーン型位相シフトマスクにおける位相シフター膜の位相調整層として、上記のような珪素、窒素及び炭素から実質的になる薄膜を用いるには、透過率調整層と合わせてその透過率及び位相差が、位相シフター膜に要求される所望の値となるように調整することによってハーフトーン型位相シフトマスクにおける位相シフター膜としての機能を達成することができる。
【0012】
(実施例2)
本実施例2においては、酸化珪素を母体とする膜に炭素を導入する検討を実施した。
酸化珪素に炭素を導入した膜を得る方法としては、珪素のターゲットを用い、直流反応性スパッタにおいてスパッタガスとして窒素10sccmと固定し、二酸化炭素と一酸化炭素を合量で30sccmとして、混合比を変えて検討した。この際の装置のベース圧力は1×10-4Pa以下であり、スパッタ中の圧力は4×10-1Paとした。
実施例2で得られた膜についても、成膜時のガス分圧における炭素比が上昇するにしたがって、効果的に250〜650nm付近の透過率を減衰させることが可能であった。この他に同様の効果を検証する方法として、酸化珪素のターゲットを用いたRF反応性スパッタにおいて、ターゲット上に炭素の単体元素からなる小片(チップ)を配置して、窒素ガスをスパッタガスとして導入する方法においても、同等の効果を確認した。
尚、本実施例2においても、ハーフトーン型位相シフトマスクにおける位相シフター膜の位相調整層として、上記のような珪素、酸素及び炭素から実質的になる薄膜を用いるには、透過率調整層と合わせてその透過率及び位相差が、位相シフター膜に要求される所望の値となるように調整することによってハーフトーン型位相シフトマスクにおける位相シフター膜としての機能を達成することができる。
以上により、本実施例においても実施例1と同様に膜中に炭素を導入した位相調整膜を作成することにより目的とした透過率制御が可能である。
【0013】
(実施例3)
実施例3では金属元素を含む珪素と窒素と酸素を母体とする膜に炭素を導入する検討を実施した。
成膜方法としては、10atm%のタンタルを含む珪素のターゲットを用い、直流反応性スパッタにおいてスパッタガスとして窒素10sccmと固定し、二酸化炭素と一酸化炭素を合量で30sccmとして、混合比を変えて検討した。この際の装置のベース圧力は1×10-4Pa以下であり、スパッタ中の圧力は4×10-1Paとした。
本実施例で得られた膜についても、成膜時のガス分圧における炭素比が上昇するにしたがって、効果的に250〜650nm付近の透過率を減衰させることが可能であった。
尚、本実施例3においても、ハーフトーン型位相シフトマスクにおける位相シフター膜の位相調整層として、上記のようなタンタル、珪素、酸素及び炭素から実質的になる薄膜を用いるには、透過率調整層と合わせてその透過率及び位相差が、位相シフター膜に要求される所望の値となるように調整することによってハーフトーン型位相シフトマスクにおける位相シフター膜としての機能を達成することができる。
以上により、本実施例においても実施例1と同様に膜中に炭素を導入した位相調整膜を作成することにより目的とした透過率制御が可能であった。
【0014】
尚、上記実施例において、成膜に関しても方法に限定されるわけではなく、成膜方式やターゲットおよびガスの組成、他成膜条件を好適に設定すればよい。
【0015】
【発明の効果】
以上詳述したように、ハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型位相シフトマスクにおける位相シフター層の位相調整層に炭素を含むことにより、透過率調整層との積層構造において、露光波長及び露光波長よりも長い波長の検査光、アライメント光の透過率の制御を行う際に、露光波長での透過率減少を軽微に抑えつつ、特に240nmから650nmにおける波長範囲における当該位相調整層の透過率を効果的に減衰、もしくは、波長に対する透過率変動の依存性を軽減することができる。その結果、特に露光波長の短波長化(140nm〜200nmの露光波長範囲)に対応し、ブランク製造工程、マスク製造工程さらにはウェハーへの転写工程において使用される多様な検査やアライメント光源へ適用することができるハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型位相シフトマスクを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例1にかかる炭素導入効果をあらわす位相シフト膜材料の透過率特性の変化示す図である。
Claims (10)
- 微細パターンの露光、転写を施す際に用いる位相シフトマスクであって、140nmから200nmの範囲の波長の露光光を透過させる光透過部分と、該光透過部分を通過した光に対して光の位相を所定量シフトさせる位相シフター部とを有し、前記光透過部と位相シフター部との境界部近傍にて各々を透過した光が互いに打ち消しあう様に光学特性を設計することで、被露光体表面に転写されるパターン境界部のコントラストを良好に保持、改善する位相シフトマスクを製造するために用いるハーフトーン型位相シフトマスクブランクであり、透明基板上に前記位相シフター部を形成するための位相シフター膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて、
前記位相シフター膜は、主に露光光の透過率を制御する機能を有する少なくとも一層の透過率調整層と、主に露光光の位相を制御する少なくとも一層の位相調整層とを有し、前記位相調整層は、珪素と炭素とからなる材料に、酸素及び窒素のうち少なくとも1以上の元素を含有させた材料から実質的になり、炭素と珪素の含有量比における前記炭素の含有量は、原子百分率比で1:4を超え、かつ4:1以下である
ことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。 - 前記位相調整層を構成する材料に、さらに、リン(燐)、ホウ素から選ばれる一種又は二種を含有させた
ことを特徴とする請求項1記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。 - 前記位相調整層は、露光光の位相シフト量が、前記透過率調整層による露光光の位相シフト量より大きいことを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 前記透過率調整層による露光光の位相シフト量φ2は、−20°≦ φ2 ≦20°を満たすことを特徴とする、請求項3に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 前記位相調整層を構成する材料は、炭素と珪素の原子百分率による含有率比が、1:1を超え、かつ4:1以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 前記位相シフター部を形成するための位相シフター膜は、一層の透過率調整層と、一層の位相調整層からなる二層によってなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 250nmより短い波長領域の露光光に対する透過率が4〜20%であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 前記透過率調整層には、クロム、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウムのうち一種又は二種以上の合金、又はこれら金属または合金の酸化物、窒化物、酸窒化物、シリサイドからなる材料を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 請求項1〜8から選ばれる一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおける、位相シフター膜を所望のパターンに加工して得られる
ことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク。 - 140〜200nmの露光波長を適用し、請求項9記載のハーフトーン型位相シフトマスクを用いた、ウエハーへの転写工程を有する、半導体の製造方法。
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