JP4290352B2 - 細胞シグナル応答型遺伝子転写制御系 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞内シグナル応答の酵素の基質となるアミノ酸配列及びカチオン性を与える塩基性アミノ酸を含有するペプチドを有する水溶性高分子からなる遺伝子複合体形成材料、遺伝子導入剤、及び当該遺伝子複合体材料と遺伝子とからなる遺伝子複合体、並びにこれを用いた遺伝子導入方法に関する。
本発明は、ペプチドのカチオン性部分と強固なイオンコンプレックスを形成して安定な遺伝子複合体となり、細胞のシグナル応答に応じてペプチドのカチオン性部分の正電荷が中和又は消失されることにより当該遺伝子複合体が細胞内において崩壊し遺伝子が開放され、特定の細胞において導入された遺伝子の活性化をはかることができる新規な材料及び方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
真核細胞の遺伝子は、塩基性蛋白質であるヒストンコアに規則正しく収納されている。ヒストンコアは、H2A、H2B、H3、及びH4と呼ばれる4種の蛋白質から形成されており、ひとつのヒストンコアに約200bpの遺伝子がコイル状に巻かれて収納されている。そして、ヒストンコアに巻かれた遺伝子が連続して繋がってクロマチン線維(ヌクレオソーム構造)を形成している。ヒストンコアと遺伝子とは、ヒストンコアの塩基性蛋白質のカチオン性部分と遺伝子のアニオン性部分とによる、ポリイオンコンプレックスに基づく相互作用により規則正しく巻き付けられている。
このようなヌクレオソーム構造となっている遺伝子はヒストンコアと安定な複合体を形成して転写が抑制されているが、転写因子の結合に伴ってヒストンアセチル化酵素(HAT)がリクルートされ、ヒストンコアを形成している塩基性蛋白質のリジンのアミノ基がアセチル化されることにより塩基性蛋白質の正電荷が中和され、クロマチンのヌクレオソーム構造が緩和され崩壊する。ヒストンコアから開放された遺伝子は転写が活性化される。このようなクロマチン線維の構造は、正電荷を持つヒストンコアの蛋白質と負電荷を持つ遺伝子とが静電的に安定な複合体を形成して遺伝子を収納している。そして、転写が必要となった場合には、ヒストンコアの塩基性蛋白質をアセチル化することにより塩基性蛋白質の正電荷を中和し、ヒストンコアと遺伝子との静電的な複合体の形成を崩壊させて転写の活性化を行っている。
【0003】
ところで、近年アンチセンス法や遺伝子導入法などの遺伝子治療が種々開発されている。遺伝子を細胞に導入する方法としてはウイルスなどの利用が効率のよさから採用されているが、アメリカで死者が出るなど安全面での問題が指摘されてきている。この方法に代えて、負荷電を有する遺伝子に正荷電を有する脂質や高分子を静電的に相互作用させて複合体を形成させ、これを細胞に導入する各種の方法が開発されている。
しかしながら、これらの方法では細胞導入効率を上げるために、複合体をより安定にする必要がある一方、複合体のままでは遺伝子の転写が抑制されることから、細胞内に導入された遺伝子の発現効率を上げるには細胞内に導入された複合体は速やかに崩壊し、転写可能な遺伝子の状態になる必要があるという、相矛盾する条件を満たさねばならず、既存の方法での遺伝子導入効率はきわめて低い。
このように、通常の状態においては安定な複合体を形成して遺伝子を安定に保持しているが、遺伝子の活性化が必要となった状態においては速やかに当該複合体が崩壊して遺伝子が遊離される複合体の開発が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、通常の状態においては安定な複合体を形成して遺伝子を安定に保持しているが、遺伝子の活性化が必要となった状態においては速やかに当該複合体が崩壊して遺伝子が遊離される複合体、及び当該複合体のための材料を提供することを目的としている。
また、本発明は、特定の酵素の作用により特異的に崩壊し得る遺伝子複合体、及び当該複合体のための材料を提供することを目的としている。
さらに、本発明は、遺伝子治療における遺伝子導入剤を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
天然の遺伝子のヌクレオソーム構造は、塩基性アミノ酸のアセチル化により、遺伝子の転写を活性化しており、これをモデルにして、本発明者らは細胞の細胞内シグナル応答を応用した遺伝子の活性化を検討した。即ち、カチオン性高分子と遺伝子とが荷電相互作用により強固なポリイオンコンプレックスを形成するが、当該カチオン性高分子にアニオン基を導入する、あるいはカチオン部を切断するなどして高分子鎖の正電荷を中和、あるいは除去することによりカチオン性高分子と遺伝子との荷電相互作用を減弱化して、遺伝子の転写活性を生じさせることを検討した。
そして、本発明者らは、カチオン性高分子にアニオン基を導入する方法、あるいはカチオン部分を除去する方法として、細胞内シグナル応答の利用を検討した。
【0006】
即ち、本発明は、細胞内シグナル応答の酵素の基質となるアミノ酸配列及びカチオン性を与える塩基性アミノ酸を含有するペプチドを有する水溶性高分子からなる遺伝子複合体形成材料、遺伝子導入剤、及び当該遺伝子複合体材料と遺伝子とからなる遺伝子複合体、並びにこれを用いた遺伝子導入方法に関する。
【0007】
本発明のシステムは、細胞内の異常シグナルを感知して遺伝子の転写・発現を活性化するという、これまでに全く無い概念を提案するものである。すなわち、細胞導入に必要な安定な複合体を形成させておいても、細胞内である種のシグナルを発している細胞でだけ、そのシグナルに応答して積極的に細胞内で複合体を崩壊させることができ、標的とする異常シグナルを発している細胞でだけ、導入した遺伝子の発現を可能にするものである。
この概念を用いれば、これまで不可能であった、真に細胞選択的な遺伝子治療が可能となる。すなわち、組織内の異常細胞でだけ治療のための遺伝子を働かせることができる。これまで、このように細胞内のシグナルを感知・応答して導入遺伝子の発現をコントロールする考え方は、存在しない。
【0008】
本発明で利用する細胞内シグナル応答は、細胞のシグナル伝達系におけるタンパクリン酸化シグナルとプロテアーゼシグナルなどである。
以下の説明においては、本発明の細胞内シグナル応答の例として、プロテアーゼシグナルの1種である細胞死のシグナル伝達で重要なカスパーゼ(酵素)シグナルのうち、カスパーゼ−3シグナルを用いて具体的に説明する。プロテアーゼシグナルは、タンパクを分解する細胞内シグナルで、種々の細胞内情報伝達で重要な役割をはたすものである。
カスパーゼ−3(Caspase−3)は、−DEVD−(−Asp−Glu−Val−Asp−)のアミノ酸配列をその基質とするものである。このアミノ酸配列にカチオン性を与える塩基性アミノ酸としてリジンを用いた。リン酸化シグナル応答の酵素の基質となるアミノ酸配列及びカチオン性を与える塩基性アミノ酸を含有するペプチドとして、
−AGDEVDGKKKKKK−
(−Ala−Gly−−Asp−Glu−Val−Asp−Gly−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−)
のアミノ酸配列を有するペプチドを調製した。
【0009】
また、水溶性高分子の高分子骨格としてはアクリル酸−メタクリル酸共重合体を用いた。即ち、前記のペプチドのN末端でメタクリル酸をアミド化し、N−ペプチド化メタクリル酸としたものと、アクリル酸アミドとを共重合して、本発明の遺伝子複合体形成材料を調製した。この合成法の概要を次の合成法Iで示される化学式で示す。
【0010】
【化1】
【0011】
得られた本発明の遺伝子複合体形成材料の模式図を図1に示す。
アクリル酸−メタクリル酸共重合体からなる水溶性高分子の骨格に、本発明の前記したプロテアーゼの基質となるアミノ酸配列及びカチオン性を与える塩基性アミノ酸を含有するペプチド(図1では黒丸印が付された線で示されている。)がぶら下がっている。そして、当該ペプチドのアミノ酸配列は、カスパーゼ−3の基質となる部分(図1の下側の四角で囲った左側。)、及びカチオン性を与える塩基性アミノ酸(図1の下側の四角で囲った右側。)を有している。図1において四角の枠で囲われていないアラニンやグリシンは前記した部分を結合させるために使用されるリンカーの役割を果たしている。
【0012】
図1に示される、カスパーゼ−3シグナル応答カチオン性高分子(以下、pAC高分子(pAC polymer)という。)の機能の概要を図2に示す。遺伝子(図2ではリボン状の2本鎖で示されている。)とpAC高分子とが複合体を形成した状態が図2の上段に示されている。この状態では、pAC高分子と遺伝子とが荷電相互作用により強固なポリイオンコンプレックスを形成しており、この状態のときにRNAポリメラーゼが接近してきても、RNAポリメラーゼは遺伝子の上に乗ることができず、転写することはできない。
この状態のときに、シグナル伝達系を介してカスパーゼ−3が活性化されると、カスパーゼ−3がpAC高分子の中の基質部分を認識して、この部分で選択的にペプチドを切断する。その結果、pAC高分子のカチオン性の部分が失われて、遺伝子との荷電相互作用を維持することができなくなり、遺伝子とpAC高分子との複合体が崩壊する。その結果、遺伝子は開放されRNAポリメラーゼによる転写が開始できるようになる。
【0013】
次に、この高分子と遺伝子との相互作用を検討した。
遺伝子として、緑色蛍光を発するGFP(Green Fluorescent Protein)をコードするプラスミドDNA(pQBI63)を用いた。前記ペプチド0.9mol%を含有するpAC高分子とプラスミドDNA(pQBI63)を混合して、種々のカチオンとアニオンの比(cation/anion)でゲル電気泳動を行った。結果を図3に図面に代わる写真で示す。図3の1番左側のレーンは1kbDNAマーカーであり、その右のレーンはプラスミドDNA(pQBI63)であり(カチオン:アニオン比=0)、その右レーンは順次カチオン:アニオン比が、それぞれ0.5(左側から3番目のレーン)、1.0(左側から4番目のレーン)、1.5(左側から5番目のレーン)、2.0(左側から6番目のレーン)、3.0(左側から7番目のレーン)となっており、一つおいて右のレーンが10.0(左側から9番目のレーン)である。ゲル電気泳動の条件は、100mMTBE緩衝液(pH7.4)中のアガロース(0.1g/10ml)を用いて、100Vで50分であった。
図3の左側から2番目のレーン(遺伝子のみ)では、2本の遺伝子のバンドがはっきりと観察できるが、カチオンの比が高くなる(pAC高分子の量が多くなる)に従って遺伝子のバンドが薄くなり、カチオン:アニオン比が10.0になると遺伝子のバンドは完全に消失することがわかった。これは、遺伝子がpAC高分子との荷電相互作用により強固な複合体を形成してゲル上で移動できなくなったことを表している。
【0014】
次にカスパーゼ−3による作用を検討した。
種々のカチオンとアニオンの比(cation/anion)において、カスパーゼ−3による処理の前後においてゲル電気泳動を行った。結果を図4に図面に代わる写真で示す。図4の上段はカスパーゼ−3による処理前のものであり、下段はカズパーゼ−3の処理後のものである。図4のレーン1は1kbDNAマーカーであり、レーン2はプラスミドDNA(pQBI63)であり(カチオン:アニオン比=0)、レーン3〜8は順次カチオン:アニオン比が、それぞれ0.5(レーン3)、1.0(レーン4)、2.0(レーン5)、3.0(レーン6)、5.0(レーン7)、10.0(レーン8)である。ゲル電気泳動の条件は、100mMTBE緩衝液(pH7.4)中のアガロース(0.1g/10ml)を用いて、100Vで40分であった。
図4の上段の処理前では、前記した図3の場合と同様にレーン6〜8において遺伝子のバンドが観察できなくなっているが、下段のカスパーゼ−3による処理(0.12U/μl)後では遺伝子のバンドが観察できるようになってきている。これは、遺伝子がpAC高分子との荷電相互作用により強固な複合体を形成してゲル上で移動できなくなったが、カスパーゼ−3による処理が行われることにより、複合体が崩壊して遺伝子が開放されたことを示している。
【0015】
この例では、プロテアーゼシグナルを利用した方法を示してきた。この例で使用された高分子は、正荷電を有するペプチド(AGDEVDGKKKKKK)を担持したポリアクリルアミドを基本構造とする水溶性の高分子であり、導入したペプチドの正荷電部と高分子主鎖の間に、カスパーゼ−3で選択的に切断されるペプチド配列を組み込んである。この高分子を遺伝子と混合すると、静電相互作用で複合体を形成し、遺伝子転写は抑制される。しかし、カスパーゼ−3により、複合体内の高分子のペプチドが切断されると、高分子鎖から正荷電部が除去され、しかも残りの高分子部分には不荷電が残るように設計されているため、複合体は逆に負荷電同士の反発となり崩壊して遺伝子が開放される。
なお、この例ではプロテアーゼシグナルとしてカスパーゼ−3が使用されているが、これに限定されるものではなく用いるペプチド配列を標的とするプロテアーゼの基質配列とすることで、原理的にどんなプロテアーゼにも応用可能である。また、この例では水溶性高分子としてアクリル酸−メタクリル酸共重合体が使用されているが、使用できる高分子としては水溶性の高分子であれば、基本的にどんなものでも利用できる。プロテアーゼシグナルの異常も、肝炎や種々の炎症性疾患、アルツハイマーを初めとする多くの神経変性疾患でみられ、このシグナルを捕らえて、導入遺伝子を活性化できるシステムは極めて利用価値が高い。
【0016】
次に、リン酸化シグナル応答システムを利用した例を示す。
リン酸化シグナルは、各種細胞内キナーゼ(酵素)の活性化に基づくもので、標的タンパクをリン酸化することで、そのタンパクの活性を変化させて細胞内のシグナルを伝達するシステムである。細胞内情報伝達系では、最も基本的かつ多用されるシグナルである。ここでは、その例として基本的で重要なキナーゼであるプロテインキナーゼAのシグナルに応答するシステムを例示するが、他のキナーゼに対する基質配列を利用することで、全く同じシステムを他のキナーゼにも応用でき、本システムがプロテインキナーゼAに限定されるものではない。
具体的には、正荷電を有し、プロテインキナーゼAで選択的にリン酸化される基質ペプチド(ALRRASLG−NH2)を担持したポリアクリルアミドを基本骨格とする水溶性高分子を開発した。この高分子は、分子内に正荷電を多数有しているため、遺伝子と混合すると静電的に相互作用して複合体を形成する。その結果、遺伝子の転写に必要なタンパクが接近できず、遺伝子の転写発現が抑制される。しかし、プロテインキナーゼAでこの複合体内の基質ペプチドがリン酸化されると、高分子内にリン酸アニオンが導入されていくため、遺伝子と高分子の静電的相互作用が減弱して、遺伝子が複合体から開放され、遺伝子の転写が可能となり、活性化するというものである。高分子鎖としては、ここではポリアクリルアミドを基本骨格としたが、原理的には、水溶性の中性高分子であれば、どんなものでも利用可能である。リン酸化シグナルを形成するキナーゼの活性異常は、種々のガンや心臓疾患などで知られており、これらの異常シグナルを感知して遺伝子発現制御ができると、全く新しい薬物概念を創製することが可能である。
【0017】
アミノ酸配列にカチオン性を与える塩基性アミノ酸としてアルギニンを用い、リン酸化酵素の基質となるアミノ酸配列及びカチオン性を与える塩基性アミノ酸を含有するペプチドとして、
−ALRRASLG−NH2
(−Ala−Leu−−Arg−Arg−Ala−Ser−Leu−Gly−NH2)
のアミノ酸配列を有するペプチドを調製した。
【0018】
また、水溶性高分子の高分子骨格としては前記と同様にアクリル酸−メタクリル酸共重合体を用いた。即ち、前記のペプチドのN末端でメタクリル酸をアミド化し、N−ペプチド化メタクリル酸としたものと、アクリル酸アミドとを共重合して、本発明の遺伝子複合体形成材料を調製した。この合成法の概要を次の合成法IIで示す化学式で示す。
【0019】
【化2】
【0020】
プロテインキナーゼAシグナル応答性カチオン性高分子(以下、pAK高分子(pAK polymer)という。)の機能の概要を図5に示す。遺伝子(図5ではリボン状の2本鎖で示されている。)とpAK高分子とが複合体を形成した状態が図5の左側に示されている。この状態では、pAK高分子と遺伝子とが荷電相互作用により強固なポリイオンコンプレックスを形成しており、この状態のときにRNAポリメラーゼが接近してきても、RNAポリメラーゼは遺伝子の上に乗ることができず、転写することはできない。
この状態のときに、シグナル伝達系を介してプロテインキナーゼAが活性化されると、プロテインキナーゼAがpAK高分子の中の基質部分を認識して、リン酸化する。その結果、pAK高分子のカチオン性の部分が失われて、遺伝子との荷電相互作用を維持することができなくなり、遺伝子とpAK高分子との複合体が崩壊する。その結果、遺伝子は開放されRNAポリメラーゼによる転写が開始できるようになる。
【0021】
次に、この高分子と遺伝子との相互作用を検討した。
遺伝子としては前記と同様に、緑色蛍光を発するGFP(Green Fluorescent Protein)をコードするプラスミドDNA(pET16b)を用いた。前記ペプチド0.9mol%を含有するpAK高分子とプラスミドDNA(pET16b)を混合して、種々のカチオンとアニオンの比(cation/anion)でゲル電気泳動を行った。結果を図6に図面に代わる写真で示す。図6の1番左側のレーンはプラスミドDNA(pET16b)であり(カチオン:アニオン比=0)、その右レーンは順次カチオン:アニオン比が、それぞれ0.16(左側から2番目のレーン)、0.32(左側から3番目のレーン)、0.5(左側から4番目のレーン)、0.65(左側から5番目のレーン)、0.97(左側から6番目のレーン)となっており、一つおいて右のレーンが3.25(左側から8番目のレーン)である。ゲル電気泳動の条件は、100mMTBE緩衝液(pH7.4)中のアガロース(0.1g/10ml)を用いて、100Vで50分であった。
図6の左側から1番目のレーン(遺伝子のみ)では、2本の遺伝子のバンドがはっきりと観察できるが、カチオンの比が高くなる(pAK高分子の量が多くなる)に従って遺伝子のバンドが薄くなり、カチオン:アニオン比が3.25になると遺伝子のバンドは完全に消失することがわかった。これは、遺伝子がpAK高分子との荷電相互作用により強固な複合体を形成してゲル上で移動できなくなったことを表している。
【0022】
次にプロテインキナーゼAによる作用を検討した。
カチオンとアニオンの比(cation/anion)が3.2の場合について、プロテインキナーゼAによる処理の前後においてゲル電気泳動を行った。結果を図7に図面に代わる写真で示す。図7のレーン1は1kbDNAマーカーであり、レーン2はプラスミドDNA(pET16b)であり、レーン3はプラスミドDNA(pET16b)とpAK高分子との複合体であり、レーン4はレーン3の複合体をプロテインキナーゼAで処理した後のものである。ゲル電気泳動の条件は、100mMTBE緩衝液(pH7.4)中のアガロース(0.1g/10ml)を用いて、100Vで40分であった。
図7のレーン2(遺伝子のみ)では2本の遺伝子のバンドが見られるが、これにpAK高分子を加えて複合体にすると遺伝子のバンドは消失する(レーン3)、これをプロテインキナーゼAでリン酸化処理すると再び遺伝子のバンドが観察できるようになる(レーン4)。
これは、遺伝子がpAK高分子との荷電相互作用により強固な複合体を形成してゲル上で移動できなくなったが、プロテインキナーゼAによる処理が行われることにより、複合体が崩壊して遺伝子が開放されたことを示している。
【0023】
次に、複合体を用いたプロテインキナーゼAシグナルによる転写活性化実験を行った。
遺伝子(pQBI63)から発現させたGHPの蛍光を、遺伝子−pAK蛋白質複合体、及び当該複合体に活性型プロテインキナーゼAを加えてリン酸化した溶液のそれぞれについてGFPを発現させ、その蛍光を測定した。結果を図8に示す。図8の縦軸は蛍光強度を示し、横軸は波長(nm)を示す。図8中の実線は遺伝子(pQBI63)から発現させたGFPの蛍光を示し、黒丸印(●)を付した線は遺伝子−pAK蛋白質複合体から発現させたGFPの蛍光を示し、黒三角印(▲)を付した線は当該複合体をリン酸化処理したものから発現させたGFPの蛍光を示す。
図8の結果から明らかなように、遺伝子(pQBI63)から発現するGFPは約505nm付近に強度の蛍光強度を示すが、本発明のpAK高分子との複合体を形成した場合(図8の黒丸印(●)を付した線)にはこの特徴的な蛍光が消失することがわかる。そして、この複合体をプロテインキナーゼAで処理してペプチド部分をリン酸化した場合(図8の黒三角印(▲)を付した線)には、元の遺伝子から得られるGFPとほぼ同じ位置にほぼ同じ強度の蛍光を観察することができ、リン酸化により遺伝子が複合体から開放され、転写が活性化されることがわかった。
【0024】
【発明の実施の形態】
以上のように、本発明は細胞内の異常シグナルを感知して遺伝子の転写・発現を活性化するという、これまでに全く無い概念に基づくものであり、例えば細胞への遺伝子の導入に際して細胞導入に必要な安定な複合体を形成させておいても、細胞内である種のシグナルを発している細胞でだけ、そのシグナルに応答して積極的に細胞内で複合体を崩壊させることができ、標的とする異常シグナルを発している細胞に選択的に導入した遺伝子の発現を可能にするものである。
本発明は、細胞内シグナル応答の酵素の基質となるアミノ酸配列及びカチオン性を与える塩基性アミノ酸を含有するペプチドを有する水溶性高分子からなる遺伝子複合体形成材料、遺伝子導入剤、及び当該遺伝子複合体材料と遺伝子とからなる遺伝子複合体、並びにこれを用いた遺伝子導入方法を提供するものである。
【0025】
本発明で利用する酵素は、細胞におけるシグナル伝達系、シグナル応答系に関与している酵素であればよく、タンパクリン酸化シグナルとプロテアーゼシグナルなどに関連している酵素である。好ましくは、細胞の種類、例えば腫瘍細胞などに特異的に作用しているシグナル応答に関与する酵素がよい。前記した例では、プロテアーゼシグナルの例としてカスパーゼ−3を用い、リン酸化シグナルの例としてプロテインキナーゼAを用いたものを示してきたが、本発明の酵素としては、用いるペプチド配列を標的とする酵素の基質配列とすることで、原理的にどのような酵素にも応用可能であり、前記で例示した酵素に限定されるものではない。
【0026】
本発明のペプチドは、細胞内シグナル応答の酵素の基質となるアミノ酸配列及びカチオン性を与える塩基性アミノ酸を含有するものであり、このほかにリン酸化シグナル応答の酵素の基質となるアミノ酸配列、及びカチオン性を与える塩基性アミノ酸からなる部分を結合させるリンカーとなるアミノ酸配列や、水溶性高分子の骨格に結合するためのリンカーとなる配列を有してもよい。本発明のペプチドの長さは特に制限は無く、かなり長いものであってもよいが、製造の容易さなどを考慮すれば10〜50アミノ酸、10〜30アミノ酸、又は10〜20アミノ酸程度が好ましい。
本発明のペプチドの細胞内シグナル応答の酵素の基質となるアミノ酸配列としては、標的とする酵素により選択的に認識されるものであり、認識箇所又はその近傍においてリン酸化されたり、または切断されるものが好ましい。標的とする酵素の作用により、ペプチドにカチオン性を与えている部分のカチオン性が中和されたり、又は当該箇所が切断により分離されることにより、カチオン性のペプチドのカチオン性が失われることになればよい。
また、本発明のペプチドのカチオン性を与える塩基性アミノ酸を含有する部分としては、リジン、アルギニン、ヒスチジンなどの塩基性のアミノ酸を少なくとも1個以上、好ましくは2個以上含有ものであればよい。相互作用をさせたい遺伝子に応じて本発明のペプチドのカチオン性を調整することができる。
【0027】
本発明の高分子の骨格としては、水溶性の高分子であれば特に制限はなく、生体内において格別の生理活性を持っていないものが好ましいが、生体親和性を有するものがよい。また、この高分子の骨格に前記した本発明のペプチドを結合させて使用するのであるから、ペプチドを結合することができる官能基を有するものが好ましい。前記した例ではアクリル酸、メタクリル酸系の高分子が例示されているが、これに限定されるものではない。
本発明の高分子の大きさ、分子量についても特に制限は無く、使用される遺伝子の長さ、細胞への親和性などを考慮して適宜決めることができる。また、本発明の高分子は、共重合体でもホモポリマーでも、ブロック重合体のいずれのものでもよく、特に制限はない。
本発明の高分子は、水溶性で生体親和性があればよく、不溶性の物質にペプチドが担持されている場合には、水溶性の高分子を形成できるモノマーを使用することにより、重合体として水溶性の高分子にすることもできる。
【0028】
本発明の遺伝子複合体形成材料は、前記した本発明のペプチドを結合した水溶性の高分子からなるものであり、その製造方法としては、公知の方法を採用することができる。前記の製造例では、メタクリル酸モノマーにペプチドを結合させて得られたモノマーを重合させることにより製造する例を示してきたが、この方法に制限されるものではない。ペプチド部分を別途製造してモノマーを修飾して重合させてもよいし、別途製造されたペプチドを用いて水溶性の高分子を修飾してもよい。
【0029】
本発明の遺伝子としては、アニオン性のものであればよく、DNAでもRNAでもよいが通常はDNAが好ましい。遺伝子の長さは極端に長かったり短いものでなければ、任意のものでよいが、通常は10〜5000塩基、20〜2000塩基程度のものがよい。使用される遺伝子の長さに応じて高分子の大きさを調整することもできる。また、使用する遺伝子の電荷に応じて本発明の遺伝子複合体形成材料の使用量や、本発明の遺伝子複合体形成材料のカチオン性の電荷量を調整することができる。
【0030】
本発明の遺伝子複合体形成材料は、カチオン性のペプチド部分を有し遺伝子と強固なイオンコンプレックスを形成して、安定な遺伝子複合体として使用することができる。この遺伝子複合体は細胞において特定のシグナル応答に対応した酵素の作用により特異的にカチオン性を喪失して崩壊し、遺伝子を開放することができる。したがって、本発明の遺伝子複合体形成材料を生体への遺伝子導入剤として使用することができ、本発明は遺伝子複合体形成材料と遺伝子からなる遺伝子複合体を用いた遺伝子導入方法を提供するものである。
導入される遺伝子は、アンチセンスでもよく、また特定の蛋白質を発現する遺伝子であってもよい。本発明の方法によれば、細胞に非特異的に遺伝子複合体が導入されても、シグナル応答が有る細胞のみに特異的に遺伝子複合体から遺伝子が開放されることになり、結果として細胞特異的に遺伝子を導入する方法を提供するものである。
【0031】
本発明は細胞のシグナル応答に応じて特異的に反応させることができるために、シグナル応答に起因する各種の疾患の治療や予防に利用することができる。
例えば、プロテアーゼシグナルの異常は、肝炎や種々の炎症性疾患、アルツハイマーを初めとする多くの神経変性疾患でみられ、このシグナルを捕らえて、導入遺伝子を活性化できるシステムは極めて利用価値が高い。また、リン酸化シグナルを形成するキナーゼの活性の異常は、種々のガンや心臓疾患などで知られており、これらの異常シグナルを感知して遺伝子発現制御ができると、全く新しい薬物概念を創製することが可能である。
【0032】
【実施例】
次に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
実施例1 (プロテアーゼシグナル応答性高分子の合成)
前記した合成法Iに示される方法により製造した。即ち、まず、基質ペプチド型モノマーを合成し、これとアクリルアミドをラジカル共重合して目的物を得る。基質ペプチド型モノマーは、N-メタクリロイルアラニンを合成し、これと他のFmocアミノ酸を用いて、固相合成により自動ペプチド合成装置で合成した。
【0034】
(1)N−メタクリロイルアラニンの合成
水酸化ナトリウム(1.24g)、L−アラニン(2.76g)を純水に溶解し、氷冷下、メタクリロイルクロリド(3ml)をTHF(15ml)に溶解した溶液と水酸化ナトリウム(1.21g)を含む水溶液(17ml)を同時に滴下した。その後、室温で4時間撹拌し、2M塩酸で酸性にして酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥後、減圧濃縮し、エーテルで洗浄して、減圧乾燥して目的物を得た。収量1.76g(36%)。
【0035】
(2)ペプチド型モノマーの合成
各Fmoc−アミノ酸(0.8mmol)を反応容器に秤取り、自動合成装置によりペプチドを合成した。反応終了後、ペプチド樹脂をトリフルオロ酢酸(9.5ml)、純水(0.25ml)、トリイソプロピルシラン(0.25ml)の混合溶液に加え、2時間放置して吸引ろ過した。樹脂をトリフルオロ酢酸で洗浄し、洗浄液とろ液をあわせ、その10倍量のエーテルを加えて、析出したペプチドをろ取し、減圧乾燥した。粗ペプチドは、逆相HPLCにより精製した。(0.1 % TFA水溶液/0.1%TFA−アセトニトリル=15%→50%(15分)。これにより36mgのペプチド型モノマーを得た。
【0036】
(3)高分子の合成
アクリルアミド14mg及び前記(2)で得たペプチド型モノマー25mgを純水2mlに溶解し、2分間窒素バブリングした。これに、過硫酸アンモニウム2.9mM、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン5.8mMを加えて重合した。1時間後、溶液を分画分子量25000の透析膜バッグに入れ、純水に対して1日透析した。その後、溶液を凍結乾燥して目的高分子を得た。
【0037】
実施例2 (DNAとの複合体の合成)
DNAとしてpQBI63(0.1μg,アニオン荷電として0.46nmol/μl)に対し、実施例1で合成した高分子を荷電比で0,0.5,1.0,1.5,2.0,3.0,5.0,10.0となるように加え、PBSで全量を10μlとして30分間室温で放置して、目的の遺伝子複合体を得た。
これらをそれぞれゲル電気泳動で分析した。結果を図3に示す。
【0038】
実施例3 (カスパーゼ−3シグナルによる複合体の崩壊とDNAの開放実験)DNAとしてpQBI63(0.1μg,アニオン荷電として0.46nmol/μl)に対し、実施例1で合成した高分子を荷電比で0,0.5,1.0,1.5,2.0,3.0,5.0,10.0となるように加え、アッセイバッファー(50mM Hepes,100mM NaCl,0.1% CHAPS,1mM EDTA,10% glycerol,10mM DTT)を2.0μl加え、滅菌水で全量を10μlとした。30分後、カスパーゼ−3(2U,4μl)を添加して30分間インキュベートし、ゲル電気泳動で分析した。
結果を図4に示す。
【0039】
実施例4 (リン酸化シグナル応答性高分子の製造)
前記した合成法IIにしたがって製造した。即ち、まず、基質ペプチド型モノマーを合成し、これとアクリルアミドをラジカル共重合して目的物を得る。基質ペプチド型モノマーは、N-メタクリロイルアラニンを合成し、これと他のFmocアミノ酸を用いて、固相合成により自動ペプチド合成装置で合成した。
(1)N−メタクリロイルアラニンの合成
水酸化ナトリウム(1.24g)、L−アラニン(2.76g)を純粋に溶解し、氷冷下、メタクリロイルクロリド(3ml)をTHF(15ml)に溶解した溶液と水酸化ナトリウム(1.21g)を含む水溶液(17ml)を同時に滴下した。その後、室温で4時間撹拌し、2M塩酸で酸性にして酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥後、減圧濃縮し、エーテルで洗浄して、減圧乾燥して目的物を得た。収量1.76g(36%)。
【0040】
(2)ペプチド型モノマーの合成
反応容器に各Fmocアミノ酸(0.78mmol)づつとり、自動合成装置によりペプチドを合成した。反応終了後、ペプチド樹脂をトリフルオロ酢酸(9.5ml)、純水(0.25ml)、トリイソプロピルシラン(0.25ml)の混合溶液に加え、2時間放置して吸引ろ過した。樹脂をトリフルオロ酢酸で洗浄し、洗浄液とろ液をあわせ、その10倍量のエーテルを加えて、析出したペプチドをろ取し、減圧乾燥した。粗ペプチドは、逆相HPLCにより精製した。(0.1% TFA水溶液/0.1%TFA−アセトニトリル=15%→50%(15分)。これにより34.4mgのペプチド型モノマーを得た。
【0041】
(3)正電荷高分子の合成
アクリルアミド20mg(0.28mmol)を純水2mlに溶解し、2分間窒素バブリングした。これに、過硫酸アンモニウム(1.32mg,5.78μmol)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(1.77μl)を加えて重合した。1時間後、溶液を分画分子量25000の透析膜バッグに入れ、純水に対して1日透析した。その後、溶液を凍結乾燥して目的高分子を得た。
【0042】
実施例5 (高分子と遺伝子の複合体形成)
DNAとしては、緑色蛍光タンパクをコードしたプラスミド型遺伝子pQBI63を用いた。DNA(0.1μg, アニオン荷電量として0.46nmol/μl)に正電荷がDNAの負電荷に対して0、0.55,1.10,1.65,2.20,3.3,5.5,11倍となるように加え、転写用緩衝液2.0μl400 mM Hepes(pH 7.5),160 mM塩化マグネシウム, 10mMスペルミジン, 200mM DTT) を加え、滅菌水で全量を10μlとして、目的の遺伝子複合体を得た。それぞれの溶液から少量を取り、ゲル電気泳動により複合体形成を評価した。結果を図6に示す。
【0043】
実施例6 (複合体中の高分子のプロテインキナーゼAによるリン酸化)
上述の複合体溶液にATP水溶液(18mM,2.3μl)、PKAサブユニット(25U/μl)を加え、2時間室温で放置した。各々の溶液を少量取り、ゲル電気泳動により複合体の崩壊とDNAの開放を評価した。結果を図7に示す。
【0044】
実施例6 (複合体を用いたプロテインキナーゼAシグナルによる転写活性化)DNA(pQBI63,GFPをコード;150μg/ml)水溶液6.5μl(DNA,1μg)にアミノ酸混合液2.5μl、S30Premix without amino acids溶液(10μl),T7S30 Extract7.5μlを加え、PBS緩衝液で全量を30.2μlとしたものをコントロールとした。また、この溶液にDNAの代わりに合成した高分子を電荷比が10となるように加えて作成した複合体を用いた溶液、およびこの複合体にあらかじめATP水溶液(45.4mM,1.3μl),、塩化マグネシウム水溶液(45.4mM,1.5μl)、活性型プロテインキナーゼA(25U/ml,1.0μl)を加えた溶液を添加して、リン酸化した溶液をそれぞれ、S30 premix,T7 Extract for Circular System,Amino Acids mixtureを添加して37℃で2時間インキュベートし、氷水に5分間浸した。それぞれの溶液を滅菌水で250μlに希釈して蛍光を測定した。結果を図8に示す。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、遺伝子と強固なイオンコンプレックスを形成して遺伝子複合体を提供するものであり、本発明の遺伝子複合体は細胞のシグナル応答に対して特異的に反応して遺伝子を開放することができる。このために本発明の遺伝子複合体形成材料は、シグナル応答の特定の酵素に選択的に認識され得るアミノ酸配列及び遺伝子とイオンコンプレックスを形成し得るカチオン性の部分のアミノ酸配列を有するペプチドが結合した水溶性高分子からなることを特徴としている。
本発明の遺伝子複合体を使用することにより、導入時は安定な遺伝子複合体として生体内に効率よく導入することができ、標的とする特定の細胞において特異的に当該遺伝子複合体を崩壊させて遺伝子を開放し、効率よく、滑選択的に生体内に遺伝子を導入することができる。
本発明の方法によれば、プロテアーゼシグナルの異常も、肝炎や種々の炎症性疾患、アルツハイマーを初めとする多くの神経変性疾患でみられ、また、リン酸化シグナルを形成するキナーゼの活性異常は、種々のガンや心臓疾患などで知られており、このシグナルを捕らえて、これらの異常細胞に効率よく、簡便に、かつ選択的に遺伝子を導入させることができ、当該細胞において導入遺伝子を活性化することができる。本発明はこのような全く新しい薬物概念の創製を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の遺伝子複合体形成材料におけるカスパーゼ−3シグナルによる相互作用の概要を模式的に示したものである。
【図2】図2は、本発明の遺伝子複合体形成材料におけるカスパーゼ−3シグナルによる相互作用及びRNAポリメラーゼの概要を模式的に示したものである。
【図3】図3は、本発明のpAC高分子とプラスミドDNA(pQBI63)を混合して、種々のカチオンとアニオンの比(cation/anion)でゲル電気泳動を行った結果を示す図面に代わる写真である。図3の1番左側のレーンは1kbDNAマーカーであり、その右のレーンはプラスミドDNA(pQBI63)であり(カチオン:アニオン比=0)、その右レーンは順次カチオン:アニオン比が、それぞれ0.5(左側から3番目のレーン)、1.0(左側から4番目のレーン)、1.5(左側から5番目のレーン)、2.0(左側から6番目のレーン)、3.0(左側から7番目のレーン)となっており、一つおいて右のレーンが10.0(左側から9番目のレーン)である。
【図4】図4は、本発明のpAC高分子とプラスミドDNA(pQBI63)を種々のカチオンとアニオンの比(cation/anion)において、カスパーゼ−3による処理の前後においてゲル電気泳動を行った結果を示す図面に代わる写真である。図4の上段はカスパーゼ−3による処理前のものであり、下段はカズパーゼ−3の処理後のものである。図4のレーン1は1kbDNAマーカーであり、レーン2はプラスミドDNA(pQBI63)であり(カチオン:アニオン比=0)、レーン3〜8は順次カチオン:アニオン比が、それぞれ0.5(レーン3)、1.0(レーン4)、2.0(レーン5)、3.0(レーン6)、5.0(レーン7)、10.0(レーン8)である。
【図5】図5は、本発明のリン酸化シグナルによる相互作用の概要を模式的に示したものである。
【図6】図6は、本発明のpAK高分子とプラスミドDNA(pET16b)を混合して、種々のカチオンとアニオンの比(cation/anion)でゲル電気泳動を行った結果を示す図面に代わる写真である。図6の1番左側のレーンはプラスミドDNA(pET16b)であり(カチオン:アニオン比=0)、その右レーンは順次カチオン:アニオン比が、それぞれ0.16(左側から2番目のレーン)、0.32(左側から3番目のレーン)、0.5(左側から4番目のレーン)、0.65(左側から5番目のレーン)、0.97(左側から6番目のレーン)となっており、一つおいて右のレーンが3.25(左側から8番目のレーン)である。
【図7】図7は、カチオンとアニオンの比(cation/anion)が3.2の場合について、プロテインキナーゼAによる処理の前後においてゲル電気泳動を行った結果を示す図面に代わる写真である。図7のレーン1は1kbDNAマーカーであり、レーン2はプラスミドDNA(pET16b)であり、レーン3はプラスミドDNA(pET16b)とpAK高分子との複合体であり、レーン4はレーン3の複合体をプロテインキナーゼAで処理した後のものである。
【図8】図8は、遺伝子(pQBI63)、遺伝子−pAK蛋白質複合体、及び当該複合体に活性型プロテインキナーゼAを加えて処理した溶液を添加してリン酸化した溶液のそれぞれについてGFPを発現させ、その蛍光を測定した結果を示す。図8の縦軸は蛍光強度を示し、横軸は波長(nm)を示す。図8中の実線は遺伝子(pQBI63)から発現させたGFPの蛍光を示し、黒丸印(●)を付した線は遺伝子−pAK蛋白質複合体から発現させたGFPの蛍光を示し、黒三角印(▲)を付した線は当該複合体をリン酸化処理したものから発現させたGFPの蛍光を示す。
Claims (7)
- 細胞内シグナル応答の酵素の基質となるアミノ酸配列及びカチオン性を与える塩基性アミノ酸を含有するペプチドを有する水溶性高分子からなる遺伝子複合体形成材料からなる遺伝子導入剤であって、
(i)カチオン性を与える塩基性アミノ酸が、リジン及び/又はアルギニンであり、
カチオン性を与える塩基性アミノ酸が、細胞内シグナル応答の酵素の作用により切断されて分離されることにより、正電荷を消失するものであり、
細胞内シグナル応答の酵素が、プロテアーゼシグナルに関与する酵素であり、
ペプチドのアミノ酸配列が、アミノ酸の1文字表記でX1X2DEVDX3(K)n(X1−3は任意のアミノ酸、nは、3以上)で表され、
水溶性高分子が、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はそれらの誘導体からなる高分子である、遺伝子導入剤、
又は、
(ii)カチオン性を与える塩基性アミノ酸が、リジン及び/又はアルギニンであり、
ペプチド中の塩基性アミノ酸が有する正荷電が、細胞内シグナル応答の酵素の作用によりリン酸化されて正電荷が中和されるものであり、
細胞内シグナル応答の酵素が、タンパクリン酸化シグナルに関与する酵素であり、
ペプチドのアミノ酸配列が、アミノ酸の1文字表記でX1LRRX2SLX3(X1−3は任意のアミノ酸)で表され、
水溶性高分子が、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はそれらの誘導体からなる高分子である、遺伝子導入剤。 - (i)カチオン性を与える塩基性アミノ酸が、リジン及び/又はアルギニンであり、
カチオン性を与える塩基性アミノ酸が、細胞内シグナル応答の酵素の作用により切断されて分離されることにより、正電荷を消失するものであり、
細胞内シグナル応答の酵素が、プロテアーゼシグナルに関与する酵素であり、
ペプチドのアミノ酸配列が、アミノ酸の1文字表記でX1X2DEVDX3(K)n(X1−3は任意のアミノ酸、nは、3以上)で表され、
水溶性高分子が、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はそれらの誘導体からなる高分子である、請求項1に記載の遺伝子導入剤。 - (ii)カチオン性を与える塩基性アミノ酸が、リジン及び/又はアルギニンであり、
ペプチド中の塩基性アミノ酸が有する正荷電が、細胞内シグナル応答の酵素の作用によりリン酸化されて正電荷が中和されるものであり、
細胞内シグナル応答の酵素が、タンパクリン酸化シグナルに関与する酵素であり、
ペプチドのアミノ酸配列が、アミノ酸の1文字表記でX1LRRX2SLX3(X1−3は任意のアミノ酸)で表され、
水溶性高分子が、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はそれらの誘導体からなる高分子である、請求項1に記載の遺伝子導入剤。 - 遺伝子が、DNAである請求項1〜3の何れかに記載の遺伝子導入剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子導入剤、及び遺伝子からなる遺伝子複合体。
- 遺伝子が、DNAである請求項5に記載の遺伝子複合体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子導入剤及び遺伝子からなる遺伝子複合体を用いて、遺伝子を生体内(ヒトを除く)に導入する方法。
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