JP4290343B2 - 気体燃料の燃焼を改善するための装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、最適の燃焼を可能にする比率で気体燃料と支燃性物質を混合することにより、特に、弱い圧力下で供給され、炭化水素を含む可燃性ガスについて、無煙燃焼を達成するように設計された装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
バーナーが、外部から空気を補給せずに、完全に自動的に動作できるようにするためには、燃焼すべきガスの流量と、燃焼に必要な空気の流量との比が、常時、化学量論的比以上でなければならないことは知られている。同様に、石油精製所や、油またはガスの生産現場における、例えば、硫化水素を含有する残留ガス、または、炭化水素を含有する排出ガスのバーナーが、最適燃焼を達成するためには、炭化水素を含むガスの燃焼は、業界で一般に「3つのT」と呼ばれる3つの主要条件を満たさなければならない。
【0003】
実際には、燃焼に必要な空気量が不十分で、3つのT、すなわち、火炎温度(Temperature)、燃焼前の空気とガスの混合物の混合時間(Temps)、ならびに、混合物に付与される乱流(Turbulence)の各条件が遵守されていない場合には、これらのガスまたは排気ガスの不完全燃焼により、吐気を催させるような悪臭と、特に、不完全燃焼の炭化水素を主成分とする濃い黒煙が発生し、環境に害を及ぼすことになる。
【0004】
このような不完全燃焼、特に、燃焼現場での黒煙発生の大きな原因は、主に空気量の不足による。空気量が不足すると、不完全燃焼した炭化水素を含まない完全燃焼が妨げられる。実際、例えば、燃焼すべきガスの流量が大きく、この可燃性ガスの供給圧力が非常に低い場合には、市販されているバーナーは、一般に、効率が不足するため、バーナーの供給管の出口で、ガスの圧力により火炎の通気が十分に促進されない。従って、例えば、水蒸気を用いて、燃料と支燃性物質混合物のエネルギーを供給する等、当技術分野で利用可能なあらゆる手段により、燃焼に必要な空気を外部から補給する必要がある。
【0005】
噴射器を横断する水蒸気、または、「駆動流体」として作用する他の流体、例えば、圧縮空気を用いて、あるいは、燃焼に必要な空気および乱流を誘導する強力な送風機により、大量の空気から十分な混合物のエネルギーを獲得する装置が提案されてきた。これらの装置は、一般に効率が低く、その効率の低さを補うために、大量の駆動流体を使用しなければならないが、排除すべきガスの燃焼現場で、必要な流量の駆動流体が常に入手可能であるわけではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
その結果、例えば、駆動流体として水蒸気を用いる場合には、大量消費が起こり、使用流量が大きいために、次のような問題が生じる:
−管および噴射器内を流体が通過することにより、大きな騒音が発生する;
−火炎が冷却するため、ガスの燃焼の適切な条件を確実にすることができない。例えば、H2S等の酸性ガスは、完全な酸化のために、700℃の温度を必要とするが、このような条件では達成されないことから、有毒排出物および悪臭が発生する;
−水蒸気の生成に依存するので、現場のエネルギー収支が不足する。
【0007】
油およびガス生産の分野では、一般に、利用できる水蒸気がなく、燃焼用ガスの圧力が低すぎて、駆動ガスとして作用することができない。すなわち、それ自体で燃焼に必要な空気を十分に連行し、十分な燃料と支燃性物質混合物のエネルギーを獲得することができない。従って、炭化水素を含有するこれらのガスの燃焼は、不完全となり、燃焼現場から濃い黒煙を発生する。
【0008】
そこで、バーナーの製造業者は、バーナーの下に配置した強力な電気送風機群を用いて、自動弁により、燃焼能力に合わせて、ガスの配分を段階的に行うことにより、燃焼用の空気を供給することから成る、バーナーの火炎通気システムを考案した。このシステムは、複雑な機械設備により操作されており、例えば、操作中の弁が閉じた位置のままであるとき、製油所の燃焼すべきガス収集器に危険な障害を形成する可能性があるため、許容不可能な故障が発生する恐れがある。さらに、この火炎通気システムは、信頼性が低く、燃焼ガスが、非常に引火しやすい液体炭化水素(凝縮液と呼ばれる)を含む場合、バーナーの下に位置する送風機に垂れ落ちる可能性があり、安全上問題があるにも拘わらず、設備費用および運転コストが高いことが明らかになっている。
【0009】
フランス国特許出願公開第2,095,661号には、駆動流体として、圧力をかけたガス(種類は特定されていない)を用いる空気アスピレーターが記載されている。この空気アスピレーターは、複数のガス噴射管を備え、これらの管は、大気に通じるベンチュリ管の入口に、同心円状の2つの環に沿って配置され、それらの軸は、ベンチュリ管の軸に平行である。
【0010】
米国特許第2,403,431号には、大気に通じるベンチュリ管の入口に配置された複数の噴射管を備える可燃性ガスバーナーが記載されている。これらの管は、ベンチュリ管の軸に平行であり、可燃性ガスと空気の予備混合物が供給され、この予備混合物は、上流に配置され、かつ、大気に通じる、あるいは、圧力をかけた空気源に接続された別のベンチュリ管から送られる。
【0011】
本発明の出願人が所有する欧州特許第99,828号は、空気を誘導しながら、可燃性流体の混合物を燃焼するための装置を提案しているが、これら流体は、ベンチュリ管を形成するバーナー本体中に、この本体の軸に沿って、同軸上に配置された横断面が円形の噴射器を用いて導入される。このような装置は、厳密な機械加工を必要とするため、実施が非常に難しいという大きな問題を呈する。さらに、装置の効率、特に、バーナーを形成するベンチュリ管末広部内における流体の噴射速度プロフィールの均一性を高めるため、性能を改善することが望まれる。
【0012】
従って、本発明の出願人は、ガスの最適燃焼、特に、無煙燃焼を達成するのに必要な条件を改善しながら、低い圧力下で供給され、かつ、炭化水素を含有するガスの燃焼に十分な量の空気を供給するため、上記の技術的構想を満たし、単純で、信頼性が高いと同時に、生産現場である製油所等において、低コストでも優れた解決策をみいだすべく、研究を重ねた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
その結果、本発明は、空気の存在下で燃焼しやすい炭化水素を含有するガスの燃焼のための装置であって、この可燃性ガスが、ベンチュリ管を形成する本体の軸中に位置する管を含む中央供給管を介して到達する装置において、複数のガス供給管が、ベンチュリ管を形成する本体の中央供給管の周りに、少なくとも1つの環に沿って配置され、これら管の少なくとも末端が、ベンチュリ管の末広部の壁とほぼ平行な軸を有することを特徴とする、装置の提供を目的とする。
【0014】
このように、本発明に従う装置には、特に、可燃性ガスの圧力が低く、しかも、凝縮液を含む場合でも、炭化水素含有ガスの完全な無煙燃焼を達成するという利点がある。
【0015】
本発明に従う装置の他の利点および特徴は、実施例が示された添付の図面、図1、図2aおよび2bを参照にしながら行う以下の説明から明らかになるであろう。
【0016】
【実施例】
図1および2aに示すような本発明による装置は、ベンチュリ管を形成する本体2の中心かつ入口に配置された可燃性ガスの中央供給管1を含む。本体2は、一般に、「収斂部」と呼ばれる円錐台下部3を含み、これに、「カラー」と呼ばれる円筒部4が続く。この円筒部3には、「末広部」と呼ばれる円錐台上部5が続いている。
【0017】
ガス中央供給管1は、横断面が環状で、本体2とほぼ同軸の管を含む。この中央管は、外部から延び、収斂部3内を通過して、本体2内の所定地点、一般的には、収斂部3とカラー4との接合部の高さまで延びる。
【0018】
本発明によれば、複数の補足管6が、中央供給管1の周りに設けられる。少なくとも、本発明に従う装置は、環状に配置された3本の管を備え、管の最大数は、ベンチュリ管2を形成する本体の寸法に応じて異なり、数十本まで増やすことができる。管6の配置は、図2aおよび2bから明らかなように、一般に、規則的かつ環状である。
【0019】
好ましくは、補足管6は、ほぼ同じで、横断面がほぼ円形であり、中央供給管1の周りに環状に配置され、少なくとも、それらの末端の軸は、ベンチュリ管を形成する本体の末広部5の壁にほぼ平行であり、これによって、ベンチュリ管を形成する本体の軸AAに対し角度αを成して、本体内に可燃性ガスを噴射することができる。それらの下部8は、円筒形で、本体2の軸AAにほぼ平行であるが、図1からわかるように、軸AAに対する上部7の傾斜角αは、同じ軸AAに対する末広部5の傾斜角とほぼ等しい。図には示していない本発明の他の実施例では、管の軸は、ベンチュリ管を形成する本体の軸に対して、末広部が本体の軸に対して成す角度とほぼ等しい角度を形成する。
【0020】
これらの管は、図2bから明らかなように、ベンチュリ管2を形成する本体の軸AAに中心が位置する複数の環に沿って、可燃性ガスの中央供給管の周りに環状に配置することができる。
【0021】
一般に、補足管6はすべて、同じ深さまで本体2内に入り込んでおり、その深さは、中央供給管1が本体2に入り込む深さに等しいか、これより浅くてよい。この中央供給管の直径は様々であるが、環状に配置された管の直径より大きいのが好ましい。
【0022】
各管6は、第1に、下部の直径が、少なくとも1つの環に沿って、環状に配置された管すべての直径と等しくなり、第2に、これらが、1%〜33%、好ましくは、5〜33%の可燃性ガスを輸送できるように、寸法決定する。さらに、少なくとも1つの環に沿って配置された管の末端には、噴射ノズルのようなガス噴射装置を備えることができる。
【0023】
中央供給管1、ならびに、少なくとも1つの環に沿って配置された補足管6はすべて、同じ可燃性ガス供給管9に接続することができる。この場合、これらの管は、供給管9を介して、可燃性ガス供給源に接続する。この可燃性ガス供給源は、例えば、炭化水素、硫化水素H2Sまたはこれらガスの混合物から成るものでよい。
【0024】
燃焼は、本体2内の、管1および6の出口で起こるが、中央管1と補足管6が同時に存在するため、従来のバーナーで認められるものより、優れたガスの速度配分が行われ、これによって、駆動流体と燃料、すなわち、管から出る可燃性ガスと、誘導される流体、すなわち、空気の両者間に交換、ならびに乱流が促進される。その結果、空気連行の性能が高くなり、これは、空気中の可燃性ガスの全体希釈率により定量化することができ、約40である(比較対照として、従来のバーナーは、希釈率が3〜10である)。さらに、本発明に従う装置による空気連行は、装置が、非常に低い圧力下の駆動流体を供給される場合でも、非常に多量である。
【0025】
本発明の出願人は、「燃焼ピット(burn pit)」と呼ばれる地中バーナーについて試験を実施した。単一の燃焼用ガスの供給管と、1本の中央供給管だけを含むベンチュリ管から成る従来のバーナーを用いた場合、ガスの不完全燃焼を証明する濃い黒煙の発生を確認した。反対に、可燃性ガスの高流量および低圧力という同じ条件で、本発明に従う装置を作動させたところ、無煙燃焼が達成された。さらに、火炎中に付随する凝縮液も無煙で燃焼された。従来のバーナーで完全燃焼を達成するためには、この30倍のガス圧力を必要としたであろう。
【0026】
他方で、本発明による装置を使用すると、酸化窒素の減少に好適な運転条件、例えば、燃焼用空気の段階的供給、火炎温度の均一化による火炎の超高温領域の排除等が実施され、これは、確実な利点を提供する。というのは、燃焼時に生成される酸化窒素は、酸性化現象、光化学汚染、オゾン層の減少、ならびに、温室効果の増大に寄与することが証明されているからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従う装置を概略的に示す、I−Iに沿った断面図である。
【図2a】 ベンチュリ管を形成する本体の軸上に中心を有する単一環に沿って環状に配置された複数の管を備える図1の装置を概略的に示す頂面図である。
【図2b】 2つの環に配分された複数の管を備える図1の装置の他の実施例を概略的に示す頂面図である。
Claims (3)
- 空気の存在下で燃焼しやすい炭化水素を含有するガスを燃焼するための装置であって、この可燃性ガスが、ベンチュリ管(2)を形成する本体の軸上に位置する管から成る中央供給管(1)を介して供給される装置において、複数のガス供給管(6)が、ベンチュリ管(2)を形成する本体の中央供給管(1)の周りに、少なくとも1つの環に沿って配置され、これら管の少なくとも末端が、ベンチュリ管の末広部(5)の壁とほぼ平行な軸を有し、各軸同士がベンチュリ管(2)の出口側に向けて互いに離間していくことを特徴とする装置。
- 中央供給管(1)の直径が、環状に配置された複数の管の直径とは異なる請求項1に記載の装置。
- 中央供給管(1)の直径が、環状に配置された複数の管の直径より大きい請求項2に記載の装置。
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