JP4289048B2 - 耐熱性ボトルの2段ブロー成形法 - Google Patents

耐熱性ボトルの2段ブロー成形法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、耐熱性ボトルの2段ブロー成形法に関し、特に角型や丸型など最終成形品形状によらずポリエチレンテレフタレート(PET)の耐熱性ボトルの軽量化や薄肉化を図ると同時に、一層の耐熱性の向上を図ることができるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂等を用いて有底のプリフォームを射出成形し、得られたプリフォームを加熱昇温後、二軸延伸ブロー成形を行ってボトル状容器を製造することが行われており、得られたボトル状容器は、透明性、表面光沢、耐衝撃性、ガスバリア性等に優れ、各種飲料、食品、液体洗剤などの容器として広く使用されている。
【0003】
このような飲料用のボトル状容器の中には、内容物を熱間で充填したり、内容物を充填した後、加熱殺菌や加熱滅菌を行う場合があり、ボトル状容器にこれらの温度に対する耐熱性が必要となる。
【0004】
このような耐熱性を有するボトルは、通常のブロー成形法で成形するだけでは得られず、耐熱性を与える種々のブロー成形法が提案されている。
【0005】
例えば特許文献1に記載の耐熱性と耐圧性を備えたボトルの成形方法では、最終的なボトルの大きさに対して、縦方向が1.0〜1.3倍、横方向が0.6〜1.0倍のキャビティを有する1次ブロー成形金型を用いて、ネック部から下の胴体部および底部を面積倍率で4〜22倍に延伸ブローする1次ブロー成形工程と、前記1次ブロー成形により成形した1次成形品を110℃〜255℃で加熱した後にブロー成形する2次ブロー成形工程とを経て成形するようにしている。
【0006】
このような成形方法によれば、口頸部及びネック直下白化部を除いたすべての部分、特に従来のボトルでは延伸されないため最も弱い部分である底部を完全に延伸することで、耐熱性・耐圧性を高めるようにしている。
【0007】
また、特許文献2に記載された耐熱及び耐圧性自立容器の製造方法では、口頸部、肩部、胴部及び底部からなる飽和ポリエステル樹脂製容器の製造法であって、有底筒状のパリソンの口頸部を除く胴部を最終形状の容器の胴部の大きさに対して縦方向を0.2〜5.0倍、周方向を0.3〜5.0倍に延伸する1次ブロー成形工程、さらに1次ブロー成形品を120〜250℃で加熱した後にブロー成形する2次ブロー成形工程、さらに容器底部を結晶化する工程を含んで成形するようにしている。
【0008】
このような製造方法によれば、胴部を延伸、収縮再延伸するとともに、再延伸しにくい底部を部分結晶化することで、耐熱性および耐圧性を高めるようにしている。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−200839号公報
【特許文献2】
特開平8−20064号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような1次ブロー成形工程と2次ブロー成形工程とを備える2段ブロー成形法で製造される耐熱性ボトルの耐熱性について、最終成形品の耐熱性を測定したところ必要な耐熱性を得られていない部分があり、充填温度によっては収縮が生じるなどの問題がある。
【0011】
そこで、耐熱性が低い部分が生じることについて検討を重ねたところ、1次ブロー成形後のヒートセットやヒートセット後の2次ブロー成形までの温度に不均一な温度分布が生じているという問題があることが分かった。
【0012】
この発明は上記従来技術の有する現状に鑑みてなされたもので、一層の耐熱性の向上を図るとともに、樹脂の使用量の削減と軽量化を図ることができる耐熱性ボトルの2段ブロー成形法を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためこの発明の請求項1記載の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法は、有底筒状のプリフォームを1次ブロー金型内で2軸延伸ブロー成形したのち、ヒートセットして加熱収縮させ、次いで2次ブロー金型内でブロー成形して耐熱性ボトルを成形するに際し、前記ヒートセット後、前記2次ブロー成形前に中間成形品の温度低下を防止するよう搬送経路をカバーで覆うとともに、内部を加熱して保温して前記2次ブロー成形するようにしたことを特徴とするものである。
この耐熱性ボトルの2段ブロー成形法によれば、有底筒状のプリフォームを1次ブロー金型内で2軸延伸ブロー成形したのち、ヒートセットして加熱収縮させ、次いで2次ブロー金型内でブロー成形して耐熱性ボトルを成形するに際し、前記ヒートセット後、前記2次ブロー成形前に中間成形品の温度低下を防止するよう搬送経路をカバーで覆うとともに、内部を加熱して保温して前記2次ブロー成形するようにしており、ヒートセット後、2次ブロー成形前の搬送中の中間成形品の温度低下を、搬送経路をカバーで覆うとともに、内部を加熱することで防止して2次ブロー成形前の温度を高く保つことで、耐熱性を向上でき、特に風きり方向の温度分布を小さくしてボトル全体の耐熱性を向上できるようになる。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
さらに、この発明の請求項記載の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法は、請求項1記載の構成に加え、前記中間成形品の保温を、40〜80℃に加熱して行うようにしたことを特徴とするものである。
この耐熱性ボトルの2段ブロー成形法によれば、前記中間成形品の保温を、40〜80℃に加熱して行うようにしており、このような温度範囲とすることで搬送中の温度低下を5℃程度とし、2次ブロー成形前の中間成形品の温度を高く保つことで、耐熱性を向上でき、特に風きり方向の温度分布を小さくしてボトル全体の耐熱性を向上できるようになる。
また、この発明の請求項記載の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法は、請求項1または2記載の構成に加え、前記2次ブロー成形後、金型温度を100〜120℃に冷却し、クーリングエアを用いずに最終成形品を取り出すようにしたことを特徴とするものである。
この耐熱性ボトルの2段ブロー成形法によれば、前記2次ブロー成形後、金型温度を100〜120℃に冷却し、クーリングエアを用いずに製品を取り出すようにしており、2次ブロー金型を冷却することで最終成形品をそのまま取り出すことができるようになるとともに、成形性および一般耐熱性を確保できるようにしている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1および図2はこの発明の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法の一実施の形態にかかり、図1は概略工程図、図2は各工程における成形品の概略形状の説明図である。
【0021】
この耐熱性ボトルの2段ブロー成形法で成形される耐熱性ボトル10は、例えば未延伸の口部11およびサポートリング12と、延伸された肩部13、胴部14、接地部15および底凹部16とで構成され、自立可能な形状とされるとともに、胴部14にくびれた補強用ウエスト部17を備えるもので、この補強用ウエスト部17は、例えば胴部14の中央部1箇所に形成される。
【0022】
なお、この補強用ウエスト部17は、図3に示すように、中央部1箇所とする場合でもその位置を下寄りや上寄りにするもののほか、上下2箇所など複数箇所に形成する場合もある。
【0023】
このような補強用ウエスト部17を備えた耐熱性ボトル10を2段ブロー成形する場合には、図2に示すように、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を射出成形することで得られる有底筒状のプリフォーム20を加熱昇温するプリフォーム加熱工程と、この後、1次ブロー金型30内にセットして2軸延伸ブロー成形することで、最終成形品に比べて大きく延伸した中間成形品31を成形する1次ブロー成形工程と、これを取り出した中間成形品34をヒートセット(熱結晶化)して加熱収縮させるヒートセット工程と、この後、2次ブロー金型40内にセットし、2次ブロー成形することで所望の大きさ・形状の最終成品の耐熱性ボトル10に成形する2次ブロー成形工程とで通常の成形工程が構成される。
【0024】
なお、この実施の形態では、より耐熱性に優れた成品をえるため、図2に示すように、ヒートセット工程と2次ブロー成形工程との間に、保温工程を追加して成形工程を構成してある。
【0025】
このような2段ブロー成形法で補強用ウエスト部17を備えた耐熱性ボトルを成形する場合には、これまでは、プリフォーム加熱工程でプリフォームを均一に加熱した後、1次ブロー成形で胴部が筒状に成形された中間成形品を成形し、これをヒートセットしたのち、キャビティが最終成形品の形状とされたウエスト部17付きの2次ブロー金型にセットし、この2次ブロー金型のキャビティによって補強用ウエスト部17を成形するようにしていた。
【0026】
この1次ブロー金型により1次ブロー成形される中間成形品は、耐熱性を確保するため、口部およびサポートリング以外の延伸すべき他の部分を完全に延伸する必要があり、胴部はほぼ均一な薄肉に延伸するようにしている。
【0027】
ところが、この1次ブロー成形による均一な薄肉状態の中間成形品をヒートセット後に2次ブロー成形すると、補強用ウエスト部がさらに延伸され、胴部の他の部分に比べて一層薄肉となって補強の機能をなし得なくなってしまう問題があった。
【0028】
そこで、この2段ブロー成形法では、1次ブロー成形によって得られる中間成形品31の段階で、最終成形品の耐熱性ボトル10の補強用ウエスト部17に対応する部分を延伸しながら厚肉に保つことができるようにする。
【0029】
このため、この2段ブロー成形法では、1次ブロー成形の前工程のプリフォーム20の加熱工程を次のようにしている。
【0030】
すなわち、このプリフォーム加熱工程では、有底筒状のプリフォーム20を加熱昇温する場合に、最終成形品の耐熱性ボトル10の補強用ウエスト部17に対応する部分を他の部分に比べて低い温度として温度差を付与した状態にする。
【0031】
このプリフォーム20の加熱昇温は、例えばプリフォーム20の表面温度が100〜120℃、好ましくは110〜120℃となるように加熱するが、厚肉とすべき部分を、例えば表面温度で10℃程度低い温度とする。
【0032】
このようにプリフォーム20の一部分を低い温度にするには、例えば冷却エアをノズルから吹き付けることで行う。
なお、温度差を付与すべき部分をマスキングすることで、マスキング部分の加熱量を減少して温度の低い状態にしても良い。さらに、これらに限らず温度差を付与すべき部分のヒータを離すようにしたり、逆に他の部分のヒータを接近させるなど何らかの方法で温度差を付与できれば良い。
【0033】
このプリフォーム20に設ける温度差を付与する位置は、プリフォーム20の大きさと最終成品の耐熱性ボトル10の大きさの比率に応じた位置、例えば、接地部15からの高さの比率に応じた位置に形成しておく。
なお、補強用ウエスト部17を予め厚肉にする方法としては、プリフォームを加熱する工程で部分冷却などによって温度差を付与する場合に限らず、プリフォームを均一加熱し、1次ブロー成形の際にキャビティに形成する突起部などで樹脂の流れを抑制して部分的に厚肉にすることで対応するようにしても良い。
【0034】
このような一部分に温度差が付与されるプリフォーム20としては、例えば次のようなプリフォーム20を用いる。
【0035】
このプリフォーム20は、ブロー成形後の耐熱性ボトル10の接地部15から胴部14の下部(胴下部)に対応するプリフォーム20の側壁部21の下部(胴下部相当部)21aが段差なく厚肉とされた厚肉部22を備え、この厚肉部22を、図2(a)に示すように、側壁部21の外表面と内表面の中心軸と平行な線(鉛直線)に対する傾斜を変えることで底部23に向かって段差なく厚くするように形成してある。
【0036】
このように最終成形品で厚肉とすべき部分のプリフォームの温度を他の部分に対して低くして温度差を付与した状態のものを用いて行う1次ブロー成形工程は次のようにして行われる。
この1次ブロー成形には、1次ブロー金型30として最終成形品の耐熱性ボトル10の胴部の形状が角型や丸型のいずれであっても、キャビティ32の横断面形状が円形のもの(筒状のもの)が用いられる。
【0037】
このような温度差を付与したプリフォーム20は、円形横断面の筒状のキャビティが形成された1次ブロー金型30を用いて1次ブロー成形すると、温度差が付与されて温度の低い部分が他の部分に比べて延伸が抑えられ、他の部分に比べて厚肉の状態に延伸することができる。
【0038】
このようにプリフォーム20の加熱温度の低い部分の延伸が抑えられることを利用して1次ブロー成形後の部分的な厚肉の状態を得るようにする。
【0039】
したがって、プリフォーム20に形成する温度差を付与する部分の幅ついては、最終成形品に形成すべき補強用ウエスト部17の幅(上下方向のくぼみの幅)に応じてほぼ同等ないし広めとなるようにすれば良く、冷却エアを吹き付ける場合に、プリフォーム20の大きさと最終成形品の耐熱性ボトル10の大きさに応じた比率の幅で冷却することで、最終成形品の耐熱性ボトル10の補強用ウエスト部17の肉厚を厚肉にすることができる。
【0040】
なお、実験では、例えばプリフォーム20の表面温度を110℃に均一に加熱した後、温度差を付与する部分に対して常温の冷却エアを2秒吹き付けて冷却した。
このプリフォーム20を用いて、これまでと同様に2段ブロー成形を行って最終成形品として角型ボトルおよび丸型ボトルを得た。例えば図4に角型ボトルの場合の肉厚分布の測定結果を示すように、得られた最終成形品である角型および丸型の耐熱性ボトル10は、いずれもその胴部14をほぼ均一な肉厚にすることができ、しかも接地部15から80mmの高さの補強用ウエスト部17はいずれも胴部14より薄肉にならずほぼ同等にすることができた。
また、成形安定性についても1次成形金型を別々に用意する場合に比べてなんら問題がないことを確認した。
したがって、この1次ブロー成形工程では、最終成形品の形状が角型、丸型のいずれであっても1次ブロー金型を共通の横断面形状が円形のキャビティを備えた金型とすることができ、型替えの必要をなくすことができ、金型製作のコスト低減を図ることもできる。
【0041】
さらに、このプリフォーム20を用いる1次ブロー成形では、耐熱性を確保するためには、口部11およびサポートリング12以外の延伸すべき他の部分のうち補強用ウエスト部17に対応する部分を除いて偏肉が生じないようにできるだけ均一に延伸する必要がある。
そこで、1次ブロー成形として2軸延伸ブロー成形する中間成形品31の延伸倍率を、例えば縦倍率を2.5〜3.5倍、横倍率を4〜5.5倍の範囲として2軸延伸ブロー成形することで比較的高延伸状態にし、薄肉化を図り、特に中間成形品31の底部に肉が残らないようにする。
【0042】
このような延伸倍率の範囲とすることで、1次ブロー成形として行われる2軸延伸ブロー成形による中間成形品31は、口部11およびサポートリング12以外の延伸すべき他の部分13〜16のうち補強用ウエスト部17に対応する部分を除いてほぼ均一に延伸されて薄肉化され、底部も偏肉のない状態に成形されるとともに、この後の工程のヒートセットによって加熱収縮した場合に均一に熱結晶化することができ、しかも最終工程の2次ブロー成形に適した大きさにすることができる。
【0043】
この1次ブロー成形では、例えばプリフォーム20の温度差付与部分以外を110℃に加熱するとともに、温度差を10℃与えた状態にし、1次ブロー金型30の底部を除くキャビティ32を140℃、キャビティ32の底部を30℃に加熱し、常温のブロー気体(圧縮空気)を2秒間吹き込んで2軸延伸ブロー成形を行う。
【0044】
この2軸延伸ブロー成形された中間成形品31は、図2(c)に示すように、1次ブロー金型30の型温140℃で型内収縮後に中間成形品34として取り出される。
【0045】
このような1次ブロー成形では、延伸倍率が小さいと中間成形品31の底部に肉が残って底部の軽量化が図れず、しかも底部の厚肉部分がヒートセットの際の加熱によって白化してしまう。また、最終成形品の耐熱性ボトル10の耐熱性を確保するためには、ヒートセットのための加熱温度を190〜200℃の範囲にする必要があるが、加熱による熱収縮によって小さくなると、2次ブロー成形によっても所定の大きさの耐熱性ボトル10に成形できなくなってしまう。
【0046】
したがって、これらの条件を満たすように1次ブロー成形による延伸倍率を定めている。
【0047】
一方、このような2軸延伸ブロー成形法により1次ブロー成形される中間成形品31は、その表面積の大きさで見ると、1次ブロー金型30のキャビティ32の表面積が、最終成形品の耐熱性ボトル10の表面積に対して1.3〜2.0倍、好ましくは1.4〜2.0倍とすることで得られる。
【0048】
なお、1次ブロー成形では、型内収縮が生じることから、型内収縮後の中間成形品34の表面積では、最終成形品の耐熱ボトル10の表面積に対して1.0〜1.5倍、好ましくは1.1〜1.5倍とすれば良い。
【0049】
このような表面積の大きさの1次ブロー成形による中間成形品31を成形することで、所定の耐熱性を有し、所望の大きさの耐熱性ボトルを2段ブロー成形することができる。
【0050】
なお、例えば図2(b)に示したキャビティ32の形状では、表面積が624.07cmであり、同図(c)の型内収縮後の中間成形品34の表面積は471.58cmであり、同図(e)の最終成形品の耐熱ボトル10の表面積が420.1cmであることから、最終成形品に対するそれぞれの比は、中間成形品(キャビティ)31で1.49、型内収縮後の中間成形品34で1.12となっている。
【0051】
こうして得られた補強用ウエスト部17に対応する部分が厚肉とされ、他の延伸部分がほぼ均一に薄肉化された1次ブロー成形におる中間成形品31は、型内収縮後の中間成形品34がヒートセットされる。
【0052】
このヒートセット工程では、例えばパネルヒータ35が用いられ、表面温度を700〜800℃として型内収縮後の中間成形品34の胴部表面温度が190〜200℃、底部表面温度が150〜160℃となるように加熱し、7.5〜8秒のヒートセットが行われ、熱結晶化を図る。
このヒートセット工程では、中間成形品34を底部を上にし、口部を下にした状態で加熱することで口部などの熱変形を防止する。
これまでのヒートセットヒータを構成するパネルヒータ35を中間成形品34の中心軸から一定の距離に配置して各部の表面温度を測定すると、図5に示すように、肩部の温度が他の胴部に比べて低くなっていることが分かった。
そこで、この発明では、ヒートセットヒータを構成するパネルヒータ35を、例えば上下に3分割し、中間成形品34の肩部分のすぼまった部分に対しても均一に加熱できるように、下部のパネルヒータ35cを上部および中間部のパネルヒータ35a,35bよりも中間成形品34に接近して配置する。
【0053】
このように中間成形品34の肩部を加熱するパネルヒータ35cを接近させることでこの部分の加熱量を増大でき、ヒートセットによる熱結晶化を1層促進できる。
これにより、各部の温度をほぼ均一に加熱することができ、より均一な結晶化を図ることができ、最終成形品の肩部分の耐熱性を向上することができるとともに、ボトル全体のより一層の耐熱性を向上することができる。
【0054】
なお、ヒートセット工程での中間成形品34の肩部を他の部分と同等に加熱する方法としては、パネルヒータを接近して配置する場合に限らず、肩部の形状に沿うよう傾斜して配置するようにすれば、中間成形品34の表面からの距離をほぼ一定にして加熱でき、一層温度差を小さくすることができる。また、パネルヒータで加熱する場合に限らず、他の加熱装置を用いて部分的に肩部の加熱量を増大して全体を均一に加熱するようにしても良い。
【0055】
このようなヒートセット工程では、加熱収縮が生じる結果、例えば1次ブロー成形工程の型内収縮後の中間成形品34に対して表面積で0.77倍程度に収縮した中間体36となる。
【0056】
こうして得られるヒートセット後の中間成形品36は、補強用ウエスト部17は厚肉とされ、概観上は最終成品のボトル形状にかかわらず胴部は円筒形とされる。そして、この中間成形品36の胴径は、例えば最終成形品の耐熱性ボトル10の胴径が丸形ボトルの場合の67mm、角形ボトルの場合の60mmに対して、50〜60mmとされる。
この後、最終工程として2次ブロー成形が行われる。
【0057】
ヒートセット後の中間成形品36を用いる2次ブロー成形では、パネルヒータ35で構成されたヒートセットオーブンから中間成形品36が搬送されて2次ブロー金型40に至るまでの間に、わずかではあるが温度低下が生じる。
特に、中間成形品36を回転させずに一定の向きで搬送すると、温度が低下するだけでなく、温度分布が生じてしまい、特に風きり効果として搬送方向の前面、両側面、後面の順に冷却され易く、搬送中の雰囲気温度が低ければ低いほどその影響が大きくなる。
そこで、この搬送経路に保温工程として保温装置37を設け、搬送経路内を加熱雰囲気にする。
【0058】
これまでの搬送工程では、例えば35℃程度の雰囲気温度で4〜5秒間の搬送中に180℃程度の中間成形品36が12〜13℃程度の温度低下が生じる場合がある。
【0059】
そこで、この保温工程では、保温装置37で搬送装置に影響を及ぼさない程度でできるだけ温度を高めて搬送するようにしている。
この保温装置37は、搬送経路を覆うカバーと、内部を加熱するヒータとで構成される。
そして、この保温装置37で、例えば40〜80℃、好ましくは70〜80℃程度の加熱雰囲気として中間成形品36を搬送することで、温度低下を5〜6℃と半減するようにしている。
これにより、搬送に伴う温度分布の発生を抑えることができ、耐熱性の向上を図ることができる。
【0060】
次に、最終工程としての2次ブロー成形が行われ、この2次ブロー成形工程では、角型や丸型など最終成形品の耐熱性ボトル10の形状で補強用ウエスト部17などに対応するキャビティ41が形成された2次ブロー金型40が用いられ、ブロー気体を吹き込んでブロー成形が行われる。
ここでは、2次ブロー気体として加熱気体が用いられ、例えば100〜200℃の加熱エアを用いる。
【0061】
この2次ブロー成形の成形条件は、例えば2次ブロー金型40は、キャビティ41が160℃に加熱されるとともに、キャビティ41の底部が30〜100℃に加熱され、100〜200℃の加熱エアをブロー気体として吹き込んで約2〜2.5秒でブロー成形が行われる。
そして、2次ブロー成形金型40の型温が140℃で最終成形品10が取り出される。
【0062】
このような2次ブロー成形によれば、2次ブロー金型40のキャビティ41に比べてヒートセットで熱収縮された小さい中間成形品36を2次ブロー金型40に容易にセットして2次ブロー成形することができるとともに、補強用ウエスト部17の肉厚が薄くなく他の部分と同等の耐熱性ボトル10を成形することができる。
【0063】
例えば500ml用の耐熱性ボトル10をブロー成形して得た場合の肉厚分布の測定結果は、既に図4で説明したように、最終成形品である耐熱性ボトル10の胴部14をほぼ均一な肉厚にすることができ、しかも接地部15から80mmの高さの補強用ウエスト部17は胴部14より薄肉にならずほぼ同等にすることができた。なお、この耐熱性ボトル10では、表面積が420.1cmとなり、ヒートセット後の中間成形品36に対して1.15倍となっている。
【0064】
また、1次ブロー金型を円筒状の共通のものを用いて、2次ブロー成形で角型ボトルおよび丸型ボトルをそれぞれ成形した場合にも、ボトル各部の肉厚分布に何ら問題がなく、1次ブロー金型を共通化できることを確認した。
さらに、1次ブロー金型としてキャビティが円筒状のものを用いることで、1次ブロー金型のキャビティを予め角型にしたものを用いる場合に比べ、各部を均一に延伸でき、これにより、最終成形品での耐熱性も向上し、無負荷状態で加熱した場合の収縮量を測定した(TMA評価)結果(図6参照)からも収縮量が少なく耐熱性に優れることを確認している。
【0065】
そして、こうして得られた耐熱性ボトル10では、延伸結晶化度および熱結晶化度が高く、白化等の問題もなく、ボトル各部の耐熱性の違いも少なく耐熱性に優れた耐熱性ボトル10を成形することができる。
【0066】
さらに、ブロー気体として加熱エアを用いることで、得られた耐熱性ボトル10に加熱した内容物を充填したり、内容物を充填後に加熱殺菌などを行う場合の耐熱性ボトルの収縮を抑えることができる。
【0067】
例えば一般耐熱性試験として85℃で充填後、75℃・3分間のシャワー殺菌を行う場合と、高耐熱性試験として91℃で充填後、75℃・3分間のシャワー殺菌を行う場合とのそれぞれについて、2次ブロー成形に用いるブロー気体の温度を110℃、160℃とした場合と、常温のブロー気体を用いた場合のボトルの収縮量を測定した結果、加熱したブロー気体を用いることで、内容物充填後の収縮量を抑えることができ、しかもブロー気体の温度が高い方が収縮量が小さくなることを確認した。
【0068】
なお、一般耐熱性試験を満足する充填温度が85〜87℃程度の耐熱性ボトルを2段ブロー成形後、成品を取り出す場合に、2次ブロー金型40の型温を通常、140℃程度としてク−リングエアを用いて冷却後取り出すようにしているが、2次ブロー金型40の型温を、100〜120℃、好ましくは110〜115℃として、2次ブロー成形後成品を取り出すようにすることで、冷却に必要なクーリングエアが必要なく、そのまま最終成形品を取り出すことができると同時、2次ブロー成形工程での成形性および最終成形品としての一般耐熱性を確保することができる。
2次ブロー金型の型温が100℃未満になると、耐熱性を確保することが難しく、120℃を超えて高くすると、取り出しにクーリングエアが必要となる。
このような2段ブロー成形法によれば、全工程で必要なクーリングエアなどの高圧エアを大幅に削減することができ、実験では高圧エアの使用量を半減することも可能となった。
【0069】
また、この耐熱性ボトルの2段ブロー成形法によれば、軽量化と樹脂の使用量削減を図ることができ、しかも連続した延伸状態となることから、1次ブロー成形後の中間成形品を加熱してヒートセットする場合でも、局部的な熱収縮を防止して2次ブロー成形することができ、耐熱性に優れたボトルを成形することができる。
【0070】
さらに、こうして得られるペットボトル等の耐熱性ボトルでは、薄肉化を図ることができるので、廃棄する場合に簡単に押し潰すことができ、リサイクルなどのための回収も容易となる。
【0071】
なお、上記実施の形態では、具体例として500mlのペットボトルを成形する場合を例に説明したが、これに限らず、他の容積の場合ボトル状容器に同様に適用することができる。
【0072】
【発明の効果】
以上、一実施の形態とともに具体的に説明したようにこの発明の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法によれば、有底筒状のプリフォームを1次ブロー金型内で2軸延伸ブロー成形したのち、ヒートセットして加熱収縮させ、次いで2次ブロー金型内でブロー成形して耐熱性ボトルを成形するに際し、前記ヒートセット後、前記2次ブロー成形前に中間成形体の温度低下を防止するよう搬送経路をカバーで覆うとともに、内部を加熱して保温して前記2次ブロー成形するようにしたので、ヒートセット後、2次ブロー成形前の搬送中の中間成形体の温度低下を、搬送経路をカバーで覆うとともに、内部を加熱することで防止することができ、2次ブロー成形前の温度を高く保つことで、耐熱性を向上することができるとともに、特に風きり方向の温度分布を小さくしてボトル全体の耐熱性を向上することができる。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
さらに、この発明の請求項記載の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法によれば、前記中間体の保温を、40〜80℃に加熱して行うようにしたので、このような温度範囲とすることで搬送中の温度低下を5℃程度にでき、2次ブロー成形前の中間体の温度を高く保つことで、耐熱性を向上することができるとともに、特に風きり方向の温度分布を小さくしてボトル全体の耐熱性を向上することができる。
また、この発明の請求項記載の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法によれば、前記2次ブロー成形後、金型温度を100〜120℃に冷却し、クーリングエアを用いずに製品を取り出すようにしたので、2次ブロー金型を冷却することで成品をそのまま取り出すことができるとともに、2次ブロー成形での成形性および最終製品としての一般耐熱性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法の一実施の形態にかかる概略工程図である。
【図2】この発明の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法の一実施の形態にかかる各工程における中間成形品等の概略形状の説明図である。
【図3】この発明の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法の他の実施の形態にかかる最終成品の概略形状の説明図である。
【図4】この発明の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法の一実施の形態にかかる角型ボトルの最終成品の肉厚分布の測定結果を示すグラフである。
【図5】従来の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法によるヒートセット時の各部の温度測定結果を最終成品の対応する位置とともに示すグラフである。
【図6】この発明の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法の一実施の形態にかかり1次ブロー成形金型のキャビティの横断面形状を丸型と角型とした場合の最終成品の収縮量の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 耐熱性ボトル
11 口部
12 サポートリング
13 肩部
14 胴部
15 接地部
16 底凹部
17 補強用ウエスト部
20 プリフォーム
21 側壁部
21a 下部(胴下部相当部)
22 厚肉部
23 底部
30 1次ブロー金型(横断面形状が円形)
31 中間成形品
32 キャビティ
33 突出部
34 型内収縮後中間成形品
35 パネルヒータ
35a 上部のパネルヒータ
35b 中間部のパネルヒータ
35c 下部のパネルヒータ
36 中間成形品
37 保温装置
40 2次ブロー金型
41 キャビティ(最終成形品形状)

Claims (3)

  1. 有底筒状のプリフォームを1次ブロー金型内で2軸延伸ブロー成形したのち、ヒートセットして加熱収縮させ、次いで2次ブロー金型内でブロー成形して耐熱性ボトルを成形するに際し、
    前記ヒートセット後、前記2次ブロー成形前に中間成形品の温度低下を防止するよう搬送経路をカバーで覆うとともに、内部を加熱して保温して前記2次ブロー成形するようにしたことを特徴とする耐熱性ボトルの2段ブロー成形法。
  2. 前記中間成形品の保温を、40〜80℃に加熱して行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法。
  3. 前記2次ブロー成形後、金型温度を100〜120℃に冷却し、クーリングエアを用いずに最終成形品を取り出すようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の耐熱性ボトルの2段ブロー成形法。
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