JP4288873B2 - アクチュエータおよびアクチュエータの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電圧を印加したときに変形する性質、所謂圧電逆効果、を有する歪み素子を利用したアクチュエータ、およびアクチュエータの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電圧を印加したときに歪みが生じて変形する性質、所謂圧電逆効果、を有する圧電素子を利用したアクチュエータがあった。圧電素子を利用したアクチュエータでは、圧電素子の歪み量(変位量)が小さいことから、該変位量を拡大する機構部(変位拡大機構部)を設けなければならず、本体が大型化するという問題や、変位拡大機構部の組立に手間がかかるという問題があった。
【0003】
なお、変位拡大機構部は、特開平4−25640号公報に示されている、てこの原理を応用した機械式拡大機構部や、パスカルの原理を応用した液体式拡大機構部等であった。
【0004】
最近になって、上記変位拡大機構部を圧電素子そのもので構成したアクチュエータが提案されている(特開平6−216424号)。このアクチュエータは、中空のコイルばねの全長にわたって螺旋状に帯状の圧電素子を巻回した構成であった。このアクチュエータは、上記圧電素子に電圧を印加したときに、圧電素子の歪みによるねじりモーメントをコイルばねの全長にわたって作用させることで、該コイルバネを軸方向に変位させるというものであった。また、コイルバネの軸方向の変位量については、コイルバネの巻数を増加させれば大きくできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記アクチュエータは、帯状の圧電素子を中空のコイルばねの全長にわたって螺旋状に巻回して組み立てており、帯状の圧電素子を螺旋状に巻回するという工程が非常に手間のかかる工程であったため、製造コストが嵩み高価であった。
【0006】
この発明の目的は、簡単な構造で大きな変位が得られる、小型で安価なアクチュエータ、および該アクチュエータの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明のアクチュエータは、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0016】
(1)圧電逆効果の性質を有する歪み素子を備えたアクチュエータであって、
上記歪み素子は、コイル状に巻回されており、
上記歪み素子の上面には、内周側または外周側の一方の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極が形成されており、
上記歪み素子の下面には、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極が形成されている。
【0017】
この構成では、コイル状に巻回した歪み素子の上面に内周側または外周側の一方の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成し、歪み素子の下面に上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成している。2本並べた電極については、その全体を歪み素子上に形成することが望ましい形状であることから、電極の幅は歪み素子の幅の1/2以下とすることが適当であるが、電極が歪み素子の外側や内側に突出する1/2を越える大きさであっても特に問題は生じない。
【0018】
歪み素子の上面および下面に形成されている電極間に電圧が印加されると、コイル状に巻回されている歪み素子は全長にわたってねじれが生じ、軸方向に変位する。このときの軸方向の変位量は、歪み素子の巻き数等によって調整できるので十分な大きさの変位量が簡単に得られる。
【0019】
また、コイル状に巻回した歪み素子は押し出し成形等で簡単に成形できる、しかも該歪み素子の内周面および外周面に対する電極の形成も印刷やメッキ法等で簡単に行える。したがって、この発明にかかるアクチュエータはその製造工程に手間のかかる工程がなく、安価にできる。
【0020】
(2)圧電逆効果の性質を有する歪み素子を備えたアクチュエータであって、
コイル状に巻回された金属コイルを備え、
上記金属コイルの上面には、内周側または外周側の一方の側部に沿ってその幅が該金属コイルの幅よりも狭い歪み素子が形成されており、
上記金属コイルの下面には、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該金属コイルの幅よりも狭い歪み素子が形成されており、
さらに、上記歪み素子の表面には電極が形成されている。
【0021】
この構成では、コイル状に巻回されている金属コイルの上面には内周側または外周側の一方の側部に沿ってその幅が該金属コイルの幅よりも狭い歪み素子が形成されており、金属コイルの下面には上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該金属コイルの幅よりも狭い歪み素子が形成されている。金属コイルの上面および下面に形成されている歪み素子の表面にはそれぞれ電極が形成されている。
【0022】
これらの電極と金属コイルとの間に電圧が印加されると、金属コイルにねじれが生じ、該金属コイルが軸方向に変位する。このときの軸方向の変位量は、金属コイルの巻き数等によって調整できるので十分な大きさの変位量が簡単に得られる。
【0023】
また、上述したように公知の水熱合成を利用すれば、コイル状に巻回されている金属コイルの外周面や内周面に簡単に歪み素子を形成することができる。また、この歪み素子の表面(ここで言う表面とは金属コイルとの当接面に対向する側の面である。)に対する電極の形成も印刷やメッキ法等の公知の手法で簡単に行える。
【0027】
(3)圧電逆効果の性質を有する歪み素子を備えたアクチュエータであって、
上記歪み素子は、コイル状に巻回されており、
上記歪み素子の内周面には、上端または下端の一方の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極が形成されており、
上記歪み素子の外周面には、内周面とは反対側の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極が形成されている。
【0028】
(4)圧電逆効果の性質を有する歪み素子を備えたアクチュエータであって、
コイル状に巻回された金属コイルを備え、
上記金属コイルの内周面には、上端または下端の一方の端部に沿ってその高さが該金属コイルの高さよりも低い歪み素子が形成されており、
上記金属コイルの外周面には、内周面とは反対側の端部に沿ってその高さが該金属コイルの高さよりも低い歪み素子が形成されており、
さらに、上記歪み素子の表面には電極が形成されている。
【0030】
上記(3)、(4)は、上記(1)、(2)において上面および下面に形成していた、歪み素子および電極の形成位置を内周面と外周面に形成したものであり、上記(1)、(2)のものと同様の効果を奏する。
【0041】
(5)上記歪み素子に対して並列に誘電体が設けられている。
【0042】
この構成では、歪み素子に対して並列に接続された誘電体を設けたので、歪み素子に対する電圧の印加がオフされたときに、誘電体に溜まっている電荷を利用して歪み素子の初期状態への復帰を制限することができる。すなわち、誘電体に溜まっている電荷を利用して歪み素子の初期状態への復帰を制限することができる。
【0043】
(6)上記歪み素子は、積層された歪み素子である。
【0044】
この構成では、積層された歪み素子を用いたので、各々の圧電素子を薄くできる。バイモルフ型圧電素子においては、厚みが薄いほど変位が大きくなり、変位によって生じる力が小さくなる。複数の圧電素子を積層したことにより電圧を印加したときに大きな力を生じさせることができるとともに、大きな変位が得られる。したがって、アクチュエータを一層小型に構成することができる。
【0045】
また、この発明のアクチュエータの製造方法は、以下の工程からなる。
【0046】
(1)円筒形の型の表面にチタンまたはチタン化合物のコーティング膜を形成し、
上記円筒形の型の表面に形成した上記コーティング膜をコイル状に成形し、
水熱合成により上記コイル状に成形したコーティング膜に圧電逆効果の性質を有する歪み素子の結晶膜を成膜し、
この成膜した上記歪み素子を上記円筒形の型から取り外し、
この歪み素子の上面に対して、その内周側または外周側の一方の側部に沿って、その幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成し、且つ、この歪み素子の下面に対して、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成する。
【0047】
このアクチュエータの製造方法では、円筒形の型の表面にコイル状に成形されたチタンまたはチタン化合物のコーティング膜の上に歪み素子の結晶膜が水熱合成によりコイル状に形成される。したがって、型から取り外すことにより、コイル状の歪み素子が製造できる。そして、この歪み素子の上面に対して、その内周側または外周側の一方の側部に沿って、その幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成し、且つ、この歪み素子の下面に対して、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成する。
【0048】
(2)円筒形の型の表面にチタンまたはチタン化合物のコーティング膜を形成し、
上記円筒形の型の表面に形成した上記コーティング膜をコイル状に成形し、
水熱合成により上記コイル状に成形したコーティング膜に圧電逆効果の性質を有する歪み素子の結晶膜を形成し、
この成膜した上記歪み素子を上記円筒形の型から取り外し、
この歪み素子の内周面に対して、上端または下端の一方の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成し、且つ、この歪み素子の外周面に対して、内周面とは反対側の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成するアクチュエータの製造方法。
【0049】
(3)撥水性の樹脂を基材とする円筒形の型の表面に親水性の領域をコイル状に形成し、
圧電逆効果の性質を有する歪み素子の微粒子を懸濁した溶液中に上記円筒形の型を浸漬し、該円筒形の型を引き上げ、
円筒形の型から付着している歪み素子を取り外し、
この歪み素子の上面に対して、その内周側または外周側の一方の側部に沿って、その幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成し、且つ、この歪み素子の下面に対して、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成する。
【0050】
(4)撥水性の樹脂を基材とする円筒形の型の表面に親水性の領域をコイル状に形成し、
圧電逆効果の性質を有する歪み素子の微粒子を懸濁した溶液中に上記円筒形の型を浸漬し、該円筒形の型を引き上げ、
円筒形の型から付着している歪み素子を取り外し、
この歪み素子の内周面に対して、上端または下端の一方の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成し、且つ、この歪み素子の外周面に対して、内周面とは反対側の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成する。
【0051】
(5)親水性の樹脂を基材とする円筒形の型の表面に親水性の領域がコイル状になるように撥水処理を行い、
圧電逆効果の性質を有する歪み素子の微粒子を懸濁した溶液中に上記円筒形の型を浸漬し、該円筒形の型を引き上げ、
円筒形の型から付着している歪み素子を取り外し、
この歪み素子の上面に対して、その内周側または外周側の一方の側部に沿って、その幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成し、且つ、この歪み素子の下面に対して、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成する。
【0052】
(6)親水性の樹脂を基材とする円筒形の型の表面に親水性の領域がコイル状になるように撥水処理を行い、
圧電逆効果の性質を有する歪み素子の微粒子を懸濁した溶液中に上記円筒形の型を浸漬し、該円筒形の型を引き上げ、
円筒形の型から付着している歪み素子を取り外し、
この歪み素子の内周面に対して、上端または下端の一方の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成し、且つ、この歪み素子の外周面に対して、内周面とは反対側の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成する。
【0053】
(7)圧電逆効果の性質を有する歪み素子の微粒子を容器内に積層しながら、レーザ光を照射して上記歪み素子の微粒子を溶融焼結によりコイル状に形成し、
このコイル状に形成した歪み素子の上面に対して、その内周側または外周側の一方の側部に沿って、その幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成し、且つ、この歪み素子の下面に対して、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成する。
【0054】
(8)圧電逆効果の性質を有する歪み素子の微粒子を容器内に積層しながら、レーザ光を照射して上記歪み素子の微粒子を溶融焼結によりコイル状に形成し、
このコイル状に形成した歪み素子の内周面に対して、上端または下端の一方の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成し、且つ、この歪み素子の外周面に対して、内周面とは反対側の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成する。
【0055】
(9)コイル状に巻回された金属コイルの上面に対して、この金属コイルの内周側または外周側の一方の側部に沿って、圧電逆効果の性質を有する歪み素子を、その幅が該金属コイルの幅よりも狭く形成し、
また、この金属コイルの下面に対して、上面とは反対側の側部に沿って、歪み素子を、その幅が該金属コイルの幅よりも狭い電極を形成し、
さらに、上記歪み素子の表面に、電極を形成する。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について説明する。図1は、この発明の実施形態であるアクチュエータの外観を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は図1(A)に示すA方向の矢視図、図1(C)は図1(A)に示すB−B方向の断面図である。この実施形態のアクチュエータは、図示するように歪み素子である圧電セラミック1をコイル状に巻回し、該圧電セラミック1の内周面および外周面に電極2(2a、2b)を形成したものである。圧電セラミック1は、公知の分極処理により、内周面および外周面に形成されている電極2a、2b間に電圧が印加されたとき(電極2aに正、電極2bに負)(図1(C)参照)、内周側が縮み、外周側が伸びる方向に変形するように結晶の向きが調整されている。
【0059】
なお、圧電セラミック1は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系であってもよいし、チタン酸バリウム系やチタン酸鉛系等であってもよい。また、ポリフッカビニリデン(PVDF)のような高分子圧電材であってもよい。
【0060】
次に、この実施形態のアクチュエータの製造工程について説明する。まず、最初に圧電セラミック1をコイル状に成形する。例えば、スラリーよりも粘性が高く、グリーンシートよりも粘性が低い原料を用いて、周知の押し出し成形でコイル状に成形してもよいし、原料を型に流し込んでコイル状に成形してもよい。圧電セラミック1をコイル状に成形すると、成形した圧電セラミック1を焼き固める(所謂焼成工程を行う)。次に、焼き固めたコイル状の圧電セラミック1の内周面および外周面に電極2a、2bを形成する。例えば、印刷やメッキ法等の公知の加工により圧電セラミック1の略全長にわたって電極2a、2bを形成する。電極2a、2bの形成が完了すると、圧電セラミック1を130℃程度に加熱しながら、該電極2a、2b間に高電圧をかける分極処理を行って、結晶の方向を調整する。分極処理が完了すると、最後に、圧電セラミック1の温度を80℃程度に下げて加熱するエージングを行う。以上の工程により、コイル状に巻回された圧電セラミック1を備えたアクチュエータが製造できる。
【0061】
また、コイル状の圧電セラミックについては、以下の方法で製造してもよい。
【0062】
図2は、コイル状の圧電セラミックの製造工程を示す図である。この圧電セラッミクの製造では円筒形の型40が利用される(図2(A)参照)。円筒型の型40は、フッ素やポリテトラフルオロエチレン等、低表面エネルギーの素材から形成されている。図2(A)に示す円筒形の型40の表面全体にチタンをコーティングする(チタンコートする。)(図2(B)参照)。円筒形の型40の表面にコーティングされるチタンコートの膜厚は5〜30μmである。
【0063】
次に、円筒形の型40の表面全体にコーティングしたチタンコートをコイル状に成形する(図2(C)参照)。公知のエッチングやレーザカット(レーザ光を照射してコイル状にカットする。)により、型40の表面全体にコーティングしたチタンコートをコイル状に成形できる。型40の表面にチタンコートをコイル状に成形すると、水熱合成によりコイル状に成形されているチタンコート膜に圧電セラミック、例えばPZT、を成膜する(図2(D)参照)。
【0064】
水熱合成は、周知のように高温の水、特に高温高圧の水、の中で行われる結晶育成方法である。上記水熱合成により成膜される圧電セラミックの厚さは、100μm程度である。また、水熱合成の処理温度は150℃である。
【0065】
上記水熱合成により、圧電セラミックはコイル状に成形されたチタンコートに成膜されることから、コイル状に成膜される。このコイル状に成膜された圧電セラミックを型40から取り外す(図2(E)参照)。これにより、コイル状の圧電セラミック1が製造できる。コイル状の圧電セラミック1は、所定の溶剤で型40を溶解することにより、該型40から簡単に取り外せる。
【0066】
ここで取り外したコイル状の圧電セラミックの外周面に電極2を形成することにより、コイル状のアクチュエータが製造される。
【0067】
なお、分極処理は必要に応じて行えばよい。また、圧電セラミック1の内周面には、型40の表面にコーティングしたチタンコート膜が残っており、電極2として利用できる。
【0068】
また、型40から取り外した圧電セラミック1を、再度水熱合成することにより、その内周面のチタンコート膜に圧電セラッミク1を成膜できる。これにより、積層されたコイル状の圧電セラミック(2層の圧電セラミック)が製造できる。
【0069】
さらに、型40から取り外したコイル状の圧電セラミックの外周面全体にチタンコート(厚さ5〜 30μm)を施した後、上記水熱合成により圧電セラミックを成膜することで、3層以上に積層された圧電セラミックが製造できる。
【0070】
このように、型40を用いてコイル状の圧電セラミック1を製造する方法では、チタン基材の厚さを5〜 30μmに抑えられるので、アクチュエータの変形時の阻害力が小さい。また、積層構造のコイル状の圧電セラミック1が製造できるので、変位が大きく、且つ変位によって生じる力も大きいアクチュエータが実現できる。さらに、水熱合成により成膜した圧電セラミック1を型40から取り外さなければ、圧電セラミック1の形状を保持した輸送が簡単に行える。
【0071】
なお、型40の表面全体にコーティングする膜はチタンを主成分とするチタン化合物であってもよい。
【0072】
また、水熱合成を利用してコイル状の圧電セラミック1を製造する方法を示したが、コイル状の圧電セラミックは以下に示す方法でも製造できる。
【0073】
図3は、コイル状の圧電セラミックの製造工程を示す図である。。この圧電セラッミクの製造方法も円筒形の型41が利用される(図3(A)参照)。この円筒型の型41は、その素材が撥水性または親水性である。図3(A)に示す円筒形の型41の表面にコイル状に親水性の領域を形成する(図3(B)参照)。例えば、型41の素材が撥水性であれば、型41の表面に形成するコイル状の領域にレーザ光、紫外線等を照射し、その部分を親水性にする。一方、型41が親水性の素材から形成されたものであれば、型41の表面に形成するコイル状の領域でない箇所にレーザ光、紫外線等を照射し、その部分を撥水性にする。
【0074】
次に、PZT等、圧電セラミックの微粒子を懸濁したアルコール水溶液に、親水性の領域をコイル状に形成した型41を浸漬し、該アルコール水溶液から引き上げる(図3(C)参照)。アルコール水溶液に浸漬された型41は、親水性の領域に圧電セラミックの微粒子を懸濁したアルコール水溶液(懸濁液)が付着し、撥水性の領域にはこの懸濁液が付着しない。したがって、懸濁液から引き上げられた型41には、コイル状に圧電セラミックの微粒子が付着している。
【0075】
上記懸濁液から引き上げた型41を乾燥させた後、該型41に付着している圧電セラミックスの粒子間を結合させるために、所謂HIP加工(熱間加圧加工)を行う(図3(D)参照)。HIP加工は、高圧に耐える容器に液体を満たし、その中に型41を入れたゴム容器を入れ、上記液体に高温、高圧をかけて、型41の表面に付着している圧電セラミックの微粒子を圧縮することにより、粒子間を結合させる加工である。
【0076】
上記HIP加工後に、型41からコイル状に形成された圧電セラミックスを取り外す(図3(E)参照)。これにより、コイル状の圧電セラミック1が製造される。コイル状の圧電セラミック1は、所定の溶剤で型41を溶解することにより、該型41から簡単に取り外すことができる。
【0077】
ここで製造されたコイル状の圧電セラミックの厚さは、上記懸濁液の濃度や、懸濁液から型41を引き上げる引き上げ速度で調整できる。その厚さが、略100μmになるように、上記懸濁液の濃度や、懸濁液から型41を引き上げる引き上げ速度を決定する。
【0078】
ここで、製造されたコイル状の圧電セラミック1の内周面および外周面に電極2a、2bを形成し、必要に応じて分極処理を行うことでコイル状のアクチュエータが製造できる。
【0079】
また、型41から取り外し、電極2を形成した、たコイル状の圧電セラミック1を、再度圧電セラミックの微粒子を懸濁したアルコール水溶液に浸漬し、該アルコール水溶液から引き上げることにより、積層構造の圧電セラミックが製造できる。
【0080】
さらに、上記HIP加工を行うことなく、コイル状の圧電セラミック1を型41から取り外してもよい。この場合、圧電セラミック1の微粒子が粒子間で結合していないので、分極処理を行ったときに十分に分極が行え、圧電効率の向上が図れる。
【0081】
この場合、型41の親水性の領域に予め電極2を形成して、蒸気混濁液に浸漬させる。そして、混濁液から引き上げた型41の表面に金属フィルム等を電極2として貼り付け、分極処理を行う。これにより、圧電セラミック1に対して分極処理が行える。
【0082】
この方法で製造された圧電セラミック1も、上記水熱合成で製造した場合と同様の効果が得られる。
【0083】
さらに、型40、41を用いないでコイル状の圧電セラミック1を製造する方法について説明する。この方法は、最近一般化しつつある金属粉末を容器内に積層しながらレーザ光線のエネルギーで上記金属粉末を所望の形状に溶融焼結する方法である。この方法では、図4(A)(B)に示すように、不活性ガスを充填した加圧層42にPZT等の圧電セラミックの微粒子を積層しながら、加圧層42内の積層されている圧電セラミックの微粒子にレーザ光を照射する。レーザ光が照射された部分では、圧電セラミックの微粒子が溶融焼結する。レーザ光は、この溶融焼結により、コイル状の圧電セラミック1が形成されるように照射される。この方法でも、図4(C)に示すコイル状の圧電セラミック1が簡単に製造できる。また、後述するゼンマイ状の圧電セラミック1等、他の形状の圧電セラミック1も製造できる。
【0084】
また、加圧層42に積層する圧電セラミックを微粒子としたので、他の金属と同程度の温度で焼結が行える。また、加圧層42に十分な蒸気圧を加えることで、溶融焼結時におけるPZT中の鉛の気化を抑えることができ、作業の安全性も確保できる。
【0085】
上記方法で製造されたコイル状の圧電セラミック1の内周面および外周面に電極2a、2bを形成し、必要に応じて分極処理を行うことによりコイル状のアクチュエータが製造できる。
【0086】
このように、この実施形態のアクチュエータはその製造工程が簡単であり、手間のかかる工程もないことから、製造コストが安価である。また、コイルの巻き数等によって変位量が調整できるので、従来のように変位拡大機構部を用いなくてもよいので(単に巻き数を調整するだけでよいので、)、小型である。
【0087】
次に、この実施形態のアクチュエータの動作について説明する。コイル状に巻回されている圧電セラミック1の内周面および外周面に形成されている電極2a、2b間に電圧が印加されると(電極2aに正、電極2bに負)、コイル状に巻回されている圧電セラミック1は圧電逆効果により内周側が縮み、外周側が伸びる方向に変形する。したがって、この実施形態のアクチュエータはコイルの径を縮小する方向に変位(変形)する。
【0088】
ここで、アクチュエータの一方の端部が固定されていると(例えば、図1(A)に示す右側端部)、他方の端部がこの変形にともなって回転する(図1(A)に示す右側端部が図示する方向に回転する。)。このとき、他方の端部の回転方向は圧電セラミック1の巻回方向によって決まり、他方の端部の回転数は圧電セラミック1の巻き数や電極2a、2b間の印加電圧等によって決まる。
【0089】
また、この実施形態のアクチュエータは電極2a、2b間に電圧が印加されつづけていると変化後の状態(コイル径が縮小した状態)を維持しつづけるが、電圧の印加が停止されると電圧が印加される前の状態(コイル径が縮小する前の状態)、すなわち初期状態、に復帰する。したがって、電極2a、2b間に対する電圧の印加を停止することによって、アクチュエータの他方の端部を電圧の印加時とは逆向きに回転させることができる。
【0090】
このように、この実施形態のアクチュエータは、従来の超音波モータのように複雑な構成のドライバ回路を必要とせず、電極2a、2b間に対して電圧の印加制御が行える簡単なスイッチング回路で回転動作を制御することができる。
【0091】
また、この実施形態のアクチュエータは、コイル状に成形した圧電セラミック1の内周面および外周面にそれぞれ電極2a、2bを形成した簡単な構成であり、また、圧電セラミック1は押し出し成形や上記図2〜図4に示した方法等で簡単にコイル状に成形でき、またコイル状に成形された圧電セラミック1の内周面および外周面に対する電極2a、2bも印刷やメッキ法等の公知の手法で簡単に形成できる。したがって、この実施形態のアクチュエータは製造工程が簡単であり、手間がかからないので安価にできる。
【0092】
また、電極2a、2b間に逆電圧(電極2aに負、電極2bに正)が印加できるように上記スイッチング回路を構成しておけば、固定されていない他方の端部の回転数を略2倍にできる。また、高速度で初期状態に復帰させることもできる。さらに、電極間2a、2b間にLCRによる減衰回路を設けておけば、回転時の速度制御が行える。
【0093】
次に、この発明にかかるアクチュエータの別の実施形態について説明する。図5は、この実施形態にかかるアクチュエータの外観を示す図であり、図5(A)は正面図、図5(B)は図5(A)に示すA方向の矢視図、図5(C)は図5(A)に示すB−B方向の断面図である。この実施形態のアクチュエータは、金属コイル3の外周面および内周面にそれぞれ歪み素子である圧電セラミック1a、1bを形成し、これらの圧電セラミック1a、1bの表面(ここで言う表面とは金属コイル3との接合面に対向する面である。)に電極2a、2bを形成したものである。圧電セラミック1a、1bおよび電極2a、2bは金属コイル3の略全長にわたって形成されている。
【0094】
金属コイル3の内周面に形成されている圧電セラミック1aは、表面に形成されている電極2a−金属コイル3間に電圧が印加されたときに(電極2aに正、金属コイル3に負)(図5(C)参照)、縮む方向に変形するように分極処理がなされている。また、金属コイル3の外周面に形成されている圧電セラミック1bは、表面に形成されている電極2b−金属コイル3間に電圧が印加されたときに(電極2bに正、金属コイル3に負)(図5(C)参照)、伸びる方向に変形するように分極処理がなされている。
【0095】
次に、この実施形態のアクチュエータの製造工程について説明する。まず、最初に金属コイル3の内周面および外周面に対して圧電セラミック1a、1bを形成する。例えば、特開平5−136476号に開示されている水熱合成を利用すれば、簡単に金属コイル3の略全長にわたって圧電セラミック1a、1bを形成することができる。この水熱合成を利用した場合、金属コイル3の略全長にわたって形成されている圧電素子1a、1bについては、分極もなされている。しかし、水熱合成では圧電素子1a、1bの分極方向がそれぞれ金属コイル3に向かう方向になっている。このため、図5(C)に示すように電圧を印加すると、内周面側の圧電素子1aと外周面側の圧電素子1bとが互いに金属コイル3を伸ばす方向に変形するため、金属コイル3がほとんど変形しない。なお、図5(C)に示す電圧の印加ではなく、電極2a、2b間に電圧を印加すれば(例えば、電極2aに正、電極2bに負)、金属コイル3に変形を生じさせられるが、この場合金属コイル3において十分な変形量を得るには電極2a、2b間に比較的大きい電圧(電圧値)を印加しなければならない。
【0096】
しかし、
▲1▼水熱合成により金属コイル3の略全長にわたって圧電セラミック1a、1bが形成された後、キューリー点温度まで加熱冷却を行って、圧電セラミック1a、1bの分極の解消を行い、
▲2▼圧電セラミック1a、1bに電極2a、2bを形成し、
▲3▼圧電セラミック1a、1bの分極方向を同じ向きに調整する分極処理(再分極処理)を行えば、
図5(C)に示す方法により、比較的小さい電圧(電圧値)の印加で金属コイル3において十分な変形量を得ることができる。
【0097】
また、水熱合成を利用しないで、他の方法で圧電セラミック1a、1bを金属コイル3の略全長にわたって形成し、上記焼成工程を行って圧電セラミック1を焼き固め、その後上述した方法で圧電セラミック1a、1bの表面に電極2a、2bを形成し、分極処理、エージングを行ってもよい。
【0098】
以上の工程により、この実施形態のアクチュエータが製造できる。
【0099】
このように、この実施形態のアクチュエータもその製造工程に手間がかかる工程がなく、簡単に製造できることから安価である。
【0100】
次に、この実施形態のアクチュエータの動作について説明する。電極2a、2b−金属コイル3間に電圧を印加されたとき(電極2a、2bに正、金属コイル3に負)、圧電逆効果により金属コイル3の内周面に形成されている圧電セラミック1aが縮み、金属コイル3の外周面に形成されている圧電セラミック1bが伸びる。金属コイル3は、この圧電セラミック1の変形により、コイルの径を縮小する方向に変形する。
【0101】
したがって、上記実施形態で説明したように、金属コイル3の一方の端部を固定しておけば、(このアクチュエータの一方の端部を固定しておけば(例えば図5(A)に示す右側端部))、他方の端部がこの径を縮小させる変形にともなって回転する(例えば図5(A)に示す右側端部が図示する方向に回転する。)。このとき、他方の端部の回転方向は圧電セラミック1a、1bの巻回方向によって決まり、他方の端部の回転数は圧電セラミック1a、1bの巻き数および電極2a、2b間の印加電圧によって決まる。
【0102】
また、この実施形態のアクチュエータも電圧の印加が停止されると電圧が印加される前の初期状態に復帰する。したがって、電極2a、2b間に対する電圧の印加を停止することによって、アクチュエータの他方の端部を電圧の印加時とは逆向きに回転させることができる。
【0103】
このように、この実施形態のアクチュエータも、従来の超音波モータのように複雑な構成のドライバ回路を必要とせず、電極2a、2b間に対して電圧の印加制御が行える簡単なスイッチング回路で回転動作を制御することができる。
【0104】
また、この実施形態のアクチュエータは、金属コイル3の内周面および外周面に圧電セラミック1a、1bを形成し、さらに圧電セラミック1a、1bの表面に電極2a、2bを形成した簡単な構成である。また、圧電セラミック1a、1bは公知の水熱合成により簡単に金属コイル3の内周面および外周面に形成でき、圧電セラミック1a、1b表面に対する電極2a、2bの形成も印刷やメッキ法等の公知の加工技術で簡単に行える。したがって、この実施形態のアクチュエータも製造工程に手間のかかる工程がなく、安価にできる。
【0105】
また、上記実施形態のアクチュエータと同様に、電極2a、2b−金属コイル3間に逆電圧(電極2aに負、電極2bに正)が印加できるように上記スイッチング回路を構成しておけば、他方の端部の回転数を2倍にできる。また、高速度で初期状態に復帰させることもできる。さらに、電極間2a、2b間にLCRによる減衰回路を設ければ、回転動作の速度制御等も行える。
【0106】
なお、図5では金属コイル3の内周面および外周面にそれぞれ圧電セラミック1a、1bを形成したアクチュエータを示したが、内周面または外周面の一方にのみ圧電セラミック1を形成したアクチュエータであってもよい。
【0107】
以下、図5に示したアクチュエータの利用例について説明する。なお、図1に示したアクチュエータに置き換えても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0108】
図6に示す利用例は、ベース10に固定されたシャフト11にアクチュエータを嵌挿したものである。アクチュエータの一方の端部は図に示すA部においてベース10に固定されており、他方の端部は図に示すB部においてシャフト11に対して回転自在に取り付けられている円盤12に固定されている。
【0109】
この利用例では、アクチュエータの電極2a、2b−金属コイル3間に対して電圧が印加され、アクチュエータの固定されていない端部が回転すると、該回転にともなって円盤12が回転する。この円盤12の回転動作で、例えば現金自動預け払い機(ATM)の紙葉類の振り分けフラッパを駆動させたり、液体のバルブを開閉させることができる。
【0110】
また、ベース10に対してシャフト11を回転自在に取り付けておけば、該シャフト11を回転させる機構部にも利用できる。
【0111】
また、図7に示す利用例では、アクチュエータの電極2a、2b−金属コイル3間に対して電圧を印加すると、上述したアクチュエータの回転にともなってシャフト11が回転する。シャフト11は図示するようにネジ15、16により螺合されており、該シャフト11は回転によって軸方向にスライドする構成である。ネジ15は装置本体に取り付けられており、ネジ16はシャフト11に取り付けられている。
【0112】
また、図8および図9に示すように、筒状のシャフト20の内側にアクチュエータを取り付けてもよい。このように、アクチュエータを筒状のシャフト20内に実装すると、外力の影響を抑えることができるので、工作機械等の揺動装置に対して有効である。なお、図8はアクチュエータの一方の端部が図中に示すA部でベース21に固定されており、他方の端部がB部でシャフト20の内周面に固定されている。したがって、アクチュエータの電極2a、2b−金属コイル3間に対して電圧を印加したときに、シャフト20を回転させることができる。また、図9はアクチュエータの一方の端部が図中に示すA部においてシャフト20の内周面に固定されており、他方の端部が図中に示すB部においてこのシャフト20に挿入されている円盤22に固定されている。円盤22はシャフト20に対して回転自在に取り付けられている。したがって、アクチュエータの電極2a、2b−金属コイル3間に対して電圧を印加したときに、シャフト20に挿入されている円盤22を回転させる。
【0113】
さらに、この実施形態のアクチュエータは、図10に示すようにクラッチにも利用できる。図10では、25が被動軸であり、アクチュエータにこの被動軸25が挿入されている。アクチュエータの一方の端部は図中に示すA部において駆動軸26に固定されている。
【0114】
アクチュエータの電極2a、2b−金属コイル3間に対して電圧を印加していないとき、金属コイル3の内径が被動軸25の外径よりも大きいので、駆動軸26の回転が被動軸25に伝わらない。一方、アクチュエータの電極2a、2b−金属コイル3間に対して電圧を印加すると金属コイル3の内径が縮小して内周面が被動軸25の外周面に圧接した状態となり、駆動軸26の回転が被動軸25に伝達される。このように、上記実施形態のアクチュエータはクラッチとして利用することも可能である。
【0115】
また、電極2a、2b−金属コイル3間に電圧を印加していないとき、金属コイル3の内径が被動軸25の外径よりも小さく金属コイル3の内周面が被動軸25の外周面に圧接しており、アクチュエータの電極2a、2b−金属コイル3間に電圧が印加されたときに金属コイル3の内径が被動軸25の外径よりも大きくなるアクチュエータであれば、電圧を印加したときに被動軸25に伝達されていた駆動軸26の回転を遮断するクラッチとして利用することもできる(遮断クラッチとして利用できる。)。
【0116】
また、被動軸25を固定しておけば、この実施形態のアクチュエータをブレーキとして利用することもできる。
【0117】
さらに、ハードディスクやフロッピィディスク等の磁気記録媒体に磁気データを書き込む装置における磁気ヘッドの駆動機構部にも上記アクチュエータが利用できる。図11は、上記アクチュエータを適用したハードディスク装置を示す概略の上面図である。図11において51は磁気データが記録されるディスク51である。このディスク51は図示していないモータにより回転される。52は、ディスク51に対して磁気データの書込みや読取を行う磁気ヘッドである。磁気ヘッド52はレバー53の一方の端部に取り付けられている。レバー53の他方の端部は本体のベース54に固定された回転軸55に自在に取り付けられている。レバー53の回動(図中に矢示する方向)により、磁気ヘッド52が対向する位置がディスク51の半径方向に移動する。
【0118】
ハードディスク装置における磁気データの書込み動作や読取動作については周知であるので、ここでは説明を省略する。
【0119】
図12は、磁気ヘッドをディスクの半径方向に移動させるヘッド駆動部の構成を示す図である。このヘッド駆動部に上記実施形態のコイル状のアクチュエータが適用されている。図示するように、ベース54に固定された回転軸55がアクチュエータに挿入されている。アクチュエータの内径は、回転軸55の外形よりも大きい。アクチュエータの一方の端部(図における下側の端部)は回転軸55に固定されており、他方の端部はレバー53に固定されている。
【0120】
上述したように、アクチュエータの電極2a、2b−金属コイル3間に対して電圧を印加すると、アクチュエータは内径が小さくなる方向に変形する。このアクチュエータの変形によりレバー53が回動され、磁気ヘッド52がディスク51の半径方向に移動される。したがって、アクチュエータの電極2a、2b−金属コイル3間に対して印加する電圧を調整し、アクチュエータの変形量を制御することにより、磁気ヘッド52をディスク51に対して適当な位置に移動させることができる。
【0121】
このように、この実施形態のアクチュエータを利用することにより、磁気ヘッド52を駆動する駆動機構部の構成が簡単になるので、装置本体の小型化、軽量化が実現できる。また、圧電セラミックは時定数が非常に小さいことから、ディスク51に対するアクセスタイムを短縮することができる。また、圧電セラミックは、消費電力が小さいので、装置本体の消費電力を低下させることできる。さらに、磁気ヘッド52の位置決め制御が電圧制御により行えるので、この駆動機構部を動作させる回路構成が簡単であり、本体のコストダウンが図れる。
【0122】
なお、上記説明では磁気ヘッドの駆動部として利用した例であったが、光ピックアップヘッドを駆動する駆動機構部等にも、この実施形態のアクチュエータを適用できる。
【0123】
次に、この発明の別の実施形態にかかるアクチュエータについて説明する。図13はこの実施形態にかかるアクチュエータを示す図である。図13(A)は正面図、図13(B)は図13(A)に示すA方向の矢視図、図13(C)は図13(A)に示すB方向の矢視図、図13(D)は図13(B)に示すC−C方向の断面拡大図である。この実施形態のアクチュエータは、図示するようにコイル状に巻回した圧電セラミック1の上面および下面に電極2(2a、2b)を形成したものである。圧電セラミック1の上面に形成されている電極2aは、圧電セラミック1の幅よりも細く、圧電セラミック1の外周に沿って形成されている。一方、圧電セラミック1の下面に形成されている電極2bは、圧電セラミック1の幅よりも細く、圧電セラミック1の内周に沿って形成されている。電極2a、2bの幅は、コイル状に巻回されている圧電セラミック1の幅の略1/2である。電極2a、2bの幅は圧電セラミック1の幅の1/2以下であることが望ましい。また、電極2a、2bは圧電セラミック1の略全長にわたって形成されている。圧電セラミック1は、上面および下面に形成されている電極2a、2b間に電圧が印加されると(電極2aに正、電極2bに負)、図13(D)に示すように電極2a、2bが形成されている対角線方向に伸び、電極2a、2bが形成されていない対角線方向に縮むように分極処理がなされている。
【0124】
次に、この実施形態のアクチュエータの製造工程について説明する。この実施形態のアクチュエータの製造工程は、図1に示したものと略同じである。まず、最初に圧電セラミック1をコイル状に成形し、コイル状に成形した圧電セラミック1を焼き固め(所謂焼成工程を行う)、焼き固めたコイル状の圧電セラミック1の上面および下面に電極2a、2bを形成する。このとき、電極2a、2bは圧電セラミック1の幅全体に形成する。その後、分極処理、エージングを行った後、電極2aについては圧電セラミック1の内周部側の不要部分を削除し、電極2bについては圧電セラミック1の外周部側の不要部分を削除する。以上の工程で、この実施形態のアクチュエータが製造できる。また、不必要な部分をマスキングし無電解メッキ法によって電極を形成してもよい。
【0125】
さらには、上記図2〜図4に示した方法によりコイル状の圧電セラミック1を成形し、その後電極2a、2b形成、分極処理、を行ってもよい。
【0126】
このように、この実施形態のアクチュエータも簡単に製造でき、手間のかかる工程がないことから安価にできる。
【0127】
この実施形態のアクチュエータの動作について説明する。コイル状に巻回されている圧電セラミック1の上面および下面に形成されている電極2a、2b間に電圧を印加したとき(電極2aに正、電極2bに負)、圧電セラミック1が幅方向(図中に示す矢印方向)にねじれ、コイル状に巻回された圧電セラミック1がコイルの軸方向に伸びる。このように、この実施形態のアクチュエータは電極2a、2b間に電圧を印加することによって軸方向に変位する。また、この実施形態のアクチュエータも、上記実施形態のものと同様に、電極2a、2b間に対する電圧の印加制御が行える簡単なスイッチング回路で軸方向の変位を制御することができる。
【0128】
次に、上記実施形態のアクチュエータと同様に、軸方向に変位するアクチュエータの別の実施形態について説明する。図14はこの実施形態にかかるアクチュエータを示す図である。図14(A)は正面図、図14(B)は図14(A)に示すA方向の矢視図、図14(C)は図14(A)に示すB方向の矢視図、図14(D)は図14(B)に示すC−C方向の断面図である。この実施形態のアクチュエータは、コイル状に巻回した金属コイル3の上面および下面にそれぞれ圧電セラミック1a、1bを形成するとともに、この圧電セラミック1a、1bの表面に電極2(2a、2b)を形成したものである。金属コイル3の上面に形成されている圧電セラミック1aは外周側の側部に沿って巻回方向に形成されており、金属コイル3の下面に形成されている圧電セラミック1は内周側の側部に沿って巻回方向に形成されている。圧電セラミック1a、1bの幅は、コイル状に巻回されている金属コイル3の幅の略1/2である。なお、好ましくは圧電セラミック1a、1bの幅は、コイル状に巻回されている金属コイル3の幅の1/2以下である。また、圧電セラミック1a、1bは金属コイル3の略全長にわたって形成されている。さらに、この実施形態の圧電セラミック1a、1bは、電極2a、2b−金属コイル3間に電圧が印加されると(電極2a、2bに正、金属コイル3に負)、図14(D)において紙面に対して垂直方向に伸びるように分極調整がなされている。
【0129】
次に、この実施形態のアクチュエータの製造工程について説明する。この実施形態のアクチュエータの製造工程は、図5に示したものと略同じである。まず、最初に水熱合成により金属コイル3の上面および下面に圧電セラミック1a、1bを形成する。このとき、金属コイル3の上面については外周側の必要な部分にのみ圧電セラミック1aを形成し、金属コイル3の下面については内周側の必要な部分にのみ圧電セラミック1bを形成する。
【0130】
ここで、水熱合成により金属コイル3の略全長にわたって圧電セラミック1a、1bを形成した場合、圧電セラミック1a、1bは分極方向が金属コイル3に向かう向きであり、電極2a、2b−金属コイル3間に電圧を印加した場合(電極2a、2bに正、金属コイル3に負)紙面に対して垂直方向に伸びる向きに分極調整がなされている。したがって、上記図5のアクチュエータの製造工程で説明した、圧電セラミック1a、1bの分極を解消し、再度分極方向を調整する分極処理については行わなくてもよい。
【0131】
また、水熱合成を利用しないで、他の方法で圧電セラミック1a、1bを金属コイル3の略全長にわたって形成し、上記焼成工程を行って圧電セラミック1を焼き固め、その後上述した方法で圧電セラミック1a、1bの表面に電極2a、2bを形成し、分極処理、エージングを行ってもよい。以上の工程により、この実施形態のアクチュエータが製造される。
【0132】
このように、この実施形態のアクチュエータも簡単に製造でき、手間のかかる工程がないので安価にできる。
【0133】
次に、この実施形態のアクチュエータの動作について説明する。アクチュエータの電極2a、2b−金属コイル3間に電圧を印加すると(電極2a、2bに正、金属コイル3に負)、圧電セラミック1a、1bの変位により金属コイル3が幅方向にねじれ、金属コイル3が軸方向に伸びる。このように、この実施形態のアクチュエータは電極2a、2b間に電圧を印加することによって軸方向に変位する。また、この実施形態のアクチュエータも、上記実施形態のものと同様に、電極2a、2b間に対する電圧の印加制御が行える簡単なスイッチング回路で軸方向の変位を制御することができる。
【0134】
さらに、図14に示したアクチュエータに対して、図15に示すように金属コイル3の上面および下面にそれぞれ圧電セラミック1c、1dを追加してもよい。圧電セラミック1c、1dは、表面に形成されている電極2c、2d−金属コイル3間に電圧が印加されたとき、図15(D)において紙面に対して垂直方向に縮むように分極調整がなされている。したがって、電極2a〜2d−金属コイル3間に電圧を印加すると(電極2a〜2dに正、金属コイル3に負)、図14に示したアクチュエータよりも金属コイル3に生じるねじれが大きい。したがって、この実施形態のアクチュエータは図14に示したものよりも軸方向に一層大きな変位を生じる。
【0135】
また、図15に示したアクチュエータでは金属コイル3の上面および下面にそれぞれ2本ずつ圧電セラミック1a〜1dを並べて形成しているが、上面または下面の一方の面にのみ圧電セラミック1が2本並べられたものであってもよい。なお、水熱合成により金属コイル3の上面および下面に圧電セラミック1a〜1dを形成した場合には、圧電セラミック1c、1dの分極方向も金属コイル3に向かう向きになっているため、上記図2のアクチュエータの製造工程で説明した、圧電セラミック1a、1bの分極を解消し、再度分極方向を調整する分極処理が行われる。
【0136】
このように図13〜図15に示したアクチュエータはコイルの軸方向に変位する点で上記図1に示したアクチュエータと異なっているが、上述したように図1に示したアクチュエータと同様に、その製造工程において手間のかかる工程がないことから、簡単に製造できるので安価である。
【0137】
また、上記図13に示したアクチュエータではコイル状に形成した圧電セラミック1の上面および下面に該圧電素子1の幅よりも狭い電極1a、1bを形成するとしたが、図16に示すようにコイル状に形成した圧電セラミック1の内周面および外周面に該圧電素子1の高さよりも低い電極1a、1bを形成しても同様の効果を奏するアクチュエータを得ることができる。
【0138】
また、上記図14に示したアクチュエータでは金属コイル3の上面および下面にこの金属コイル3の幅よりも狭い圧電セラミック1a、1b、および電極1a、1bを形成するとしたが、図17に示すように金属コイル3の内周面および外周面に該金属コイル3の高さよりも低い圧電セラミック1a、1b、および電極1a、1bを形成しても同様の効果を奏するアクチュエータを得ることができる。
【0139】
さらに、上記図15に示したアクチュエータでは金属コイル3の上面および下面にこの金属コイル3の幅よりも狭い圧電セラミック1a〜1d、および電極1a〜1dを形成するとしたが、図18に示すように金属コイル3の内周面および外周面に該金属コイル3の高さよりも低い圧電セラミック1a〜1d、および電極1a〜1dを形成しても同様の効果を奏するアクチュエータを得ることができる。
【0140】
上記実施形態のアクチュエータは、軸方向に変位することから、例えば自動車等のサスペンションバネとしての利用が考えられる。圧電セラミック1を適用したアクチュエータは周知のように振動のセンシングおよび電圧の印加制御による振動の減衰を電子的に制御することができるので柔軟な制御が行えると言われている。また、オイルダンパが不要になることから、適用した自動車についてはコストを大幅にダウンさせることができる。
【0141】
また、自動車等で利用されている燃料噴射装置バルブの調整構造において、ニードルの駆動機構部として上記アクチュエータを用いてもよい。
【0142】
また、上述した全ての実施形態において、圧電セラミック1または金属コイル3の形状を図19(A)や図19(B)に示す形状に形成してもよい。図19(A)、(B)に示す形状は、一般にたけのこバネと呼ばれる形状であり、特に軸方向に大きな変位が得られるバネ形状である。図19(A)、(B)は、たけのこバネの断面を示している。
【0143】
次に、この発明の別の実施形態のアクチュエータについて説明する。図20(A)はこの実施形態にかかるアクチュエータを示す図であり、図20(B)はこのアクチュエータの下面図(図20(A)に示すA方向の矢視図)である。この実施形態のアクチュエータは、帯状の圧電セラミック1の上面にその幅が圧電セラミック1の幅の半分以下である電極2aを一方の側部に沿って形成し、帯状の圧電セラミック1の下面にその幅が圧電セラミック1の幅の半分以下である電極2bを他方の側部に沿って形成したものである。この図からも明らかなようにこの実施形態のアクチュエータは、上記図13に示したアクチュエータにおける圧電セラミック1を帯状(所謂トーションバー)にしたものである。
【0144】
また、このトーションバー型のアクチュエータの別の実施形態としては図21および図22に示すものが考えられる。図21は図14に示したアクチュエータにおける金属コイル3を帯状の金属板3aに置き換えたものであり、図22は図15に示したアクチュエータにおける金属コイル3を帯状の金属板3aに置き換えたものである。
【0145】
図20〜図22に示したアクチュエータは、それぞれ図13〜図15に示したアクチュエータと略同様の工程で製造できる。
【0146】
なお、図22では金属板3aの両面にそれぞれ2本の圧電セラミック1a〜1dを並べて形成したものを示しているが、2本の圧電セラミック1が形成されている面はどちらか一方の面だけであってもよい。
【0147】
次に、これらのアクチュエータの動作について説明する。図20〜図22に示したアクチュエータは、電極2a、2b間(図20)、電極2a、2b−金属板3a間(図21)、電極2a〜2d−金属板3a間(図22)に、電圧を印加したときに、図中に示す方向にねじれが生じる。
【0148】
上記図20〜図22に示したアクチュエータの利用例としては、図23に示すようにアクチュエータにフラッパ30を取り付け、電圧の印加制御によって生じる、ねじれで該フラッパ30を図中に示す矢印方向に回動させるものが考えられる。
【0149】
さらに、この発明の別の実施形態にかかるアクチュエータについて説明する。図24はこの実施形態のアクチュエータを示す図であり、図24(A)は上面図、図24(B)は図24(A)に示すA−A方向の断面図である。この実施形態のアクチュエータは、図1または図5に示したコイルバネ形状のアクチュエータをゼンマイ形状にしたものである。なお、図中に示す35はうず状(ゼンマイ形状)に巻回した圧電セラミック1または金属コイル3の中心に取り付けたシャフトである。
【0150】
なお、図25(A)は図1に示したアクチュエータをゼンマイ形状としたアクチュエータについて図19(B)に示すB部の構成を示す図であり、図25(B)は図5に示したアクチュエータをゼンマイ形状としたアクチュエータについて図24(B)に示すB部の構成を示す図である。
【0151】
また、この実施形態のアクチュエータについては、図1、図5に示したアクチュエータと略同様の方法で製造できる。製造工程についてはここでは説明を省略する。
【0152】
なお、図2および図3に示した方法では製造できない。
【0153】
この実施形態のアクチュエータは、電極2a、2b間または電極2a、2b−金属コイル3間に電圧を印加すると、うず状に巻回しているコイル部分においてコイルの径が縮小する方向に変位する。この変位によりコイルの中心に設けられているシャフト35が回転する。
【0154】
この実施形態のアクチュエータは、上記図11に示したハードディスク装置におけるヘッドの回転駆動に適用できる。図26は、ヘッドをディスクの半径方向に移動させるヘッド駆動部の構成を示す図である。このヘッド駆動部に上記実施形態のコイル状のアクチュエータが適用されている。この実施形態のアクチュエータは、ベース54に回転自在に取り付けられた回転軸55が挿入されている。アクチュエータの内径は、回転軸55の外形よりも大きい。アクチュエータの一方の端部は回転軸55に固定されており、他方の端部はフリーである。
【0155】
なお、レバー53は、回転軸55に固定されている。
【0156】
上述したように、アクチュエータの電極2a、2b−金属コイル3間に対して電圧を印加すると、アクチュエータは内径が小さくなる方向に変形する。このアクチュエータの変形により、回転軸55が回転する。この回転軸55の回転にともなってレバー53が回動し、磁気ヘッド52がディスク51の半径方向に移動する。したがって、アクチュエータの電極2a、2b−金属コイル3間に対して印加する電圧を調整し、アクチュエータの変形量を制御することにより、磁気ヘッド52をディスク51に対して適当な位置に移動させることができる。
【0157】
このように、磁気ヘッド52を駆動する駆動機構部の構成が簡単になることから、装置本体の小型化、軽量化が実現できる。また、圧電セラミックは時定数が非常に小さいことから、ディスク51に対するアクセスタイムを短縮することができる。また、圧電セラミックは、消費電力が小さいので、装置本体の消費電力を低下させられる。さらに、磁気ヘッド52の位置決め制御が電圧制御により行えるので、この駆動機構部を動作させる回路構成を簡単にでき、本体のコストダウンが図れる。
【0158】
さらに、従来種々の機器、例えば時計、で利用されているゼンマイをこのアクチュエータに置き換えれば、巻き締められるときに機械的にエネルギーを蓄積させて、発電することができる。さらには、後述するように圧電ゼンマイを積層構造とし、且つ一部をコンデンサとして形成すれば電荷の蓄積が可能になり、ゼンマイの巻きほぐし時にも発電させることができる。
【0159】
このようにエネルギーの発生と蓄積とが行える上記ゼンマイ形状のアクチュエータを利用することで、時計等、各種機器の小型化や、コストダウンが実現できる。
【0160】
また、図27に示すように両端部をうず状に巻回してもよい。この図27に示すアクチュエータは、電極2a、2b間または電極2a、2b−金属コイル3間に電圧を印加すると、うず状に巻回している両端部のコイル部においてコイルの径を縮小する方向に変位するので、2本のシャフト35a、35bが互いに逆向きに回転する。
【0161】
次に、圧電セラミック1に対して並列に誘電体を設けたアクチュエータの実施形態について説明する。なお、上述したどの実施形態のアクチュエータであっても、圧電セラミック1(1a〜1d)に対して並列に誘電体を設ければ、以下に示す効果が得られる。
【0162】
周知のように、誘電体はコンデンサとして機能する。図28に、圧電セラミック1にコンデンサC1を並列に接続した回路を示す。なお、この図においてPSは電源であり、SWは圧電セラミック1に対して電圧の印加を制御(オン/オフ)するスイッチである。
【0163】
図28に示す回路では、スイッチSWを閉じると、圧電セラミック1に電圧が印加され、上述したようにアクチュエータが変位する。また、スイッチSWが開されたときには、コンデンサC1に電荷が溜まっているので、圧電セラミック1においては電圧が印加されている状態がつづき、アクチュエータが初期状態に復帰しない。このように、圧電セラミック1(1a〜1d)に対して並列に設けたコンデンサ(誘電体)により、アクチュエータの初期状態への復帰を制限することができる。また、コンデンサC1の容量を調整すれば、スイッチSWが開されてからアクチュエータが初期状態への復帰を開始するまでの時間が制御できる。また、コンデンサC1に溜まった電荷を放電させる放電回路を設けておけば、この放電回路の時定数を調整することで、スイッチSWが開されてからアクチュエータが初期状態に戻るまでの時間や、復帰時の速度制御も行える。
【0164】
上記コンデンサC1はアクチュエータの動作を制御するスイッチング回路に設けてもよいし、またアクチュエータに一体形成してもよい。
【0165】
以下、上記コンデンサC1を一体形成したアクチュエータの製造工程について説明する。金属コイル3や金属板3aに圧電セラミック1(1a〜1d)を形成し、さらに圧電セラミック1の表面に電極2(1a〜1d)を形成するまでの工程は、上述したアクチュエータの製造工程における工程と同じである。ここでは、説明がわかりやすいように、帯状の金属板3aの上面に圧電セラミック1およびこの圧電セラミック1の表面に電極2が形成されたものを例示しながら、これ以後の工程を説明する。
【0166】
図29(A)は、金属板3に圧電セラミック1および電極2が形成されており、分極処理が行われていない状態である。ここで、圧電セラミック1および電極2の一部(図中に破線で囲んだ部分)を他の部分から切り離し、電気的に接続されていない状態にする(図29(B)参照)。そして、切り離した一部については分極処理を行わないで、その他の部分に対して分極処理を行う。すなわち、切り離した一部については高電圧を印加しない。分極処理が完了するとエージングを行い、エージングの完了後に上記切り離した一部と、分極処理を施した部分とを電気的に接続する電極5を形成する(図29(C)参照)。
【0167】
上記工程で製造されたアクチュエータは、電極1−金属板3間に電圧が印加されると、分極処理が施されていない部分については圧電逆効果が生じないが、分極処理が施された部分において圧電逆効果が生じるので、所定の変位が生じる。一方、圧電セラミック1は元々誘電体であるので、コンデンサとして機能する。したがって、分極処理が施されていない部分が図28に示したコンデンサC1として機能する。このように、アクチュエータの製造工程を若干変更するだけで、誘電体が圧電セラミック1に並列に接続されたアクチュエータを製造することができる。もちろん、誘電特性にまさる他の材料でコンデンサC1を形成してもよい。
【0168】
さらに、上記全ての実施形態のアクチュエータに用いられる圧電セラミック1は積層型のものであってもよい。積層型の圧電セラミック1は、図30に示すように複数枚の圧電セラミック1を電極2を挟んで積層したものである。
【0169】
なお、電極2は、圧電セラミック1の層間だけでなく、アクチュエータの表裏面にも形成されている。
【0170】
バイモルフ型の圧電素子においては厚みが薄いほど変位が大きいが、変位によって生じる力が小さい。しかし、複数の圧電素子を積層することで大きな力を生じさせることができ、また大きな変位も得られることから、アクチュエータを一層小型に構成することができる。また、積層されている圧電セラミック1の積層間については固着したタイプのものであってもよいし、固着していないタイプのものであってもよい。
【0171】
上記積層型のアクチュエータは、例えば、図31に示すように、分極方向が上方向である圧電セラミック1を電極2を挟んで6層に重ね合わせ、表裏面および層間の電極2を交互に正極、負極として電圧を印加した場合、各層の圧電セラミック1は電極2を挟んで上下に位置する圧電セラミック1の伸縮方向が交互に逆方向になる。この場合、上下に位置する圧電セラミック1が相反する方向に変形する。このため、各層間において生じる摩擦が、圧電セラミック1の変形を阻止する向きに作用し、この分だけ生じる力が小さくなる。
【0172】
そこで、図32(A)に示すように、電極2を挟んで上下に位置する圧電セラミック1の分極方向が逆向きになるように積層する。また、各電極2に対して同図に示すように結線し、電圧を印加することで上側3層の圧電セラミック1が伸びる方向に変形し、下側3層の圧電セラミック1が縮む方向に変形する。
【0173】
図32(A)に示す方法は、上側3層と下側3層との間に位置する電極2に電圧を印加しいない。その他の電極2に対して交互に正電圧、負電圧を印加している。
【0174】
この場合、相反する方向に変形する圧電セラミック1が上下に位置する箇所は、1箇所になる(図31に示すアクチュエータでは5ヶ所ある。)。このため、図31に示すアクチュエータに比べて、圧電セラミック1の変形を阻止する向きに作用する力を抑えることができ、より大きな力を発生させることができる。
【0175】
また、図32(A)に示すアクチュエータは、以下に示すように簡単に製造できる。
【0176】
電極2として機能するチタン基材の表裏面に圧電セラミック1を上記水熱合成により成膜すると、上記電極2(チタン基材)の表裏面に成膜された圧電セラミック1の分極方向は電極2に向かう方向となる(図32(B)参照)。したがって、水熱合成により上記電極2(チタン基材)の表裏面に圧電セラミック1を成膜した物(図32(B)に示す物)を3つ重ねることにより、図32(A)に示すアクチュエータが製造できる。
【0177】
また、中間に配置する物については成膜された圧電セラミック1の表裏面に電極2を形成しなくてもよい。上側と下側とに配置する物についてのみ、成膜された圧電セラミック1の表裏面に電極2を形成すればよい。その理由は、中間に配置される物は、上側と下側に配置される物に形成された電極2を共有できるからである。
【0178】
また、図33に示すように誘電層からなるコンデンサ60を挟んで、図32(B)に示す物を上下に配置しても良い。この場合、電源回路を切って荷電を停止してもコンデンサ60(誘電体)に電荷が保持されるので、変位を一定時間保つことができる。圧電セラミック1は、本来誘電材料であり荷電により分極充電されるが、内部抵抗は無限大ではないので、この内部抵抗値に応じた時間で放電し、アクチュエータの変形が復帰する。より充電効率のよい誘電材を変形動作への寄与効果の少ない箇所に配置すればより変形の保持効果が顕著になる。
【0179】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、その構造が簡単であり、製造工程に手間のかかる工程がないので、製造コストが安価である。また、アクチュエータ自体も小型であるので、このアクチュエータを適用した装置の小型化やコストダウンが容易に実現できる。
【0180】
また、この発明によれば、コイル状やゼンマイ状に形成された歪み素子を簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図2】この発明の実施形態であるアクチュエータに適用されるコイル状の圧電セラミックの製造工程を説明する図である。
【図3】この発明の実施形態であるアクチュエータに適用されるコイル状の圧電セラミックの製造工程を説明する図である。
【図4】この発明の実施形態であるアクチュエータに適用されるコイル状の圧電セラミックの製造工程を説明する図である。
【図5】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図6】この発明の実施形態であるアクチュエータの応用例を示す図である。
【図7】この発明の実施形態であるアクチュエータの応用例を示す図である。
【図8】この発明の実施形態であるアクチュエータの応用例を示す図である。
【図9】この発明の実施形態であるアクチュエータの応用例を示す図である。
【図10】この発明の実施形態であるアクチュエータの応用例を示す図である。
【図11】この発明の実施形態であるアクチュエータの応用例を示す図である。
【図12】この発明の実施形態であるアクチュエータの応用例を示す図である。
【図13】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図14】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図15】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図16】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図17】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図18】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図19】たけのこバネの断面形状を示す図である。
【図20】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図21】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図22】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図23】この発明の実施形態であるアクチュエータの応用例を示す図である。
【図24】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図25】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図26】この発明の実施形態であるアクチュエータの応用例を示す図である。
【図27】この発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す図である。
【図28】この発明の別の実施形態であるアクチュエータの等化回路を示す図である。
【図29】この発明の別の実施形態であるアクチュエータの製造工程を説明する図である。
【図30】積層型の圧電セラミックを示す図である。
【図31】積層型の圧電セラミックを示す図である。
【図32】積層型の圧電セラミックを示す図である。
【図33】積層型の圧電セラミックを示す図である。
【符号の説明】
1(1a〜1d)−圧電セラミック
2(2a〜2d)−電極
3−金属コイル
3a−金属板
40−型
Claims (19)
- 圧電逆効果の性質を有する歪み素子を備えたアクチュエータであって、
上記歪み素子は、コイル状に巻回されており、
上記歪み素子の上面には、内周側または外周側の一方の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極が形成されており、
上記歪み素子の下面には、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極が形成されているアクチュエータ。 - 圧電逆効果の性質を有する歪み素子を備えたアクチュエータであって、
コイル状に巻回された金属コイルを備え、
上記金属コイルの上面には、内周側または外周側の一方の側部に沿ってその幅が該金属コイルの幅よりも狭い歪み素子が形成されており、
上記金属コイルの下面には、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該金属コイルの幅よりも狭い歪み素子が形成されており、
さらに、上記歪み素子の表面には電極が形成されているアクチュエータ。 - 圧電逆効果の性質を有する歪み素子を備えたアクチュエータであって、
上記歪み素子は、コイル状に巻回されており、
上記歪み素子の内周面には、上端または下端の一方の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極が形成されており、
上記歪み素子の外周面には、内周面とは反対側の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極が形成されているアクチュエータ。 - 圧電逆効果の性質を有する歪み素子を備えたアクチュエータであって、
コイル状に巻回された金属コイルを備え、
上記金属コイルの内周面には、上端または下端の一方の端部に沿ってその高さが該金属コイルの高さよりも低い歪み素子が形成されており、
上記金属コイルの外周面には、内周面とは反対側の端部に沿ってその高さが該金属コイルの高さよりも低い歪み素子が形成されており、
さらに、上記歪み素子の表面には電極が形成されているアクチュエータ。 - 上記歪み素子に対して並列に誘電体が設けられている請求項1〜4のいずれかに記載のアクチュエータ。
- 上記歪み素子は、積層された歪み素子である請求項1〜5のいずれかに記載のアクチュエータ。
- 円筒形の型の表面にチタンまたはチタン化合物のコーティング膜を形成し、
上記円筒形の型の表面に形成した上記コーティング膜をコイル状に成形し、
水熱合成により上記コイル状に成形したコーティング膜に圧電逆効果の性質を有する歪み素子の結晶膜を成膜し、
この成膜した上記歪み素子を上記円筒形の型から取り外し、
この歪み素子の上面に対して、その内周側または外周側の一方の側部に沿って、その幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成し、且つ、この歪み素子の下面に対して、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成する、アクチュエータの製造方法。 - 円筒形の型の表面にチタンまたはチタン化合物のコーティング膜を形成し、
上記円筒形の型の表面に形成した上記コーティング膜をコイル状に成形し、
水熱合成により上記コイル状に成形したコーティング膜に圧電逆効果の性質を有する歪み素子の結晶膜を形成し、
この成膜した上記歪み素子を上記円筒形の型から取り外し、
この歪み素子の内周面に対して、上端または下端の一方の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成し、且つ、この歪み素子の外周面に対して、内周面とは反対側の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成するアクチュエータの製造方法。 - 上記円筒形の型から取り外した上記歪み素子に対して、電極を形成する前に、水熱合成により、この歪み素子の内周面に圧電逆効果の性質を有する歪み素子の結晶膜を形成する請求項7または8に記載のアクチュエータの製造方法。
- 上記円筒形の型から取り外した上記歪み素子に対して、電極を形成する前に、この歪み素子の外周面にチタンまたはチタン化合物のコーティング膜を形成し、
さらに、水熱合成により上記歪み素子の外周面に形成したコーティング膜に圧電逆効果の性質を有する歪み素子の結晶膜を形成する請求項7〜9のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。 - 撥水性の樹脂を基材とする円筒形の型の表面に親水性の領域をコイル状に形成し、
圧電逆効果の性質を有する歪み素子の微粒子を懸濁した溶液中に上記円筒形の型を浸漬し、該円筒形の型を引き上げ、
円筒形の型から付着している歪み素子を取り外し、
この歪み素子の上面に対して、その内周側または外周側の一方の側部に沿って、その幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成し、且つ、この歪み素子の下面に対して、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成する、アクチュエータの製造方法。 - 撥水性の樹脂を基材とする円筒形の型の表面に親水性の領域をコイル状に形成し、
圧電逆効果の性質を有する歪み素子の微粒子を懸濁した溶液中に上記円筒形の型を浸漬し、該円筒形の型を引き上げ、
円筒形の型から付着している歪み素子を取り外し、
この歪み素子の内周面に対して、上端または下端の一方の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成し、且つ、この歪み素子の外周面に対して、内周面とは反対側の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成するアクチュエータの製造方法。 - 親水性の樹脂を基材とする円筒形の型の表面に親水性の領域がコイル状になるように撥水処理を行い、
圧電逆効果の性質を有する歪み素子の微粒子を懸濁した溶液中に上記円筒形の型を浸漬し、該円筒形の型を引き上げ、
円筒形の型から付着している歪み素子を取り外し、
この歪み素子の上面に対して、その内周側または外周側の一方の側部に沿って、その幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成し、且つ、この歪み素子の下面に対して、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成する、アクチュエータの製造方法。 - 親水性の樹脂を基材とする円筒形の型の表面に親水性の領域がコイル状になるように撥水処理を行い、
圧電逆効果の性質を有する歪み素子の微粒子を懸濁した溶液中に上記円筒形の型を浸漬し、該円筒形の型を引き上げ、
円筒形の型から付着している歪み素子を取り外し、
この歪み素子の内周面に対して、上端または下端の一方の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成し、且つ、この歪み素子の外周面に対して、内周面とは反対側の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成するアクチュエータの製造方法。 - 上記円筒形の型から歪み素子を取り外す前に、該円筒形の型に対して熱間加圧処理を行う請求項11〜14のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
- 圧電逆効果の性質を有する歪み素子の微粒子を容器内に積層しながら、レーザ光を照射して上記歪み素子の微粒子を溶融焼結によりコイル状に形成し、
このコイル状に形成した歪み素子の上面に対して、その内周側または外周側の一方の側部に沿って、その幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成し、且つ、この歪み素子の下面に対して、上面とは反対側の側部に沿ってその幅が該歪み素子の幅よりも狭い電極を形成する、アクチュエータの製造方法。 - 圧電逆効果の性質を有する歪み素子の微粒子を容器内に積層しながら、レーザ光を照射して上記歪み素子の微粒子を溶融焼結によりコイル状に形成し、
このコイル状に形成した歪み素子の内周面に対して、上端または下端の一方の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成し、且つ、この歪み素子の外周面に対して、内周面とは反対側の端部に沿ってその高さが該歪み素子の高さよりも低い電極を形成するアクチュエータの製造方法。 - コイル状に巻回された金属コイルの上面に対して、この金属コイルの内周側または外周側の一方の側部に沿って、圧電逆効果の性質を有する歪み素子を、その幅が該金属コイルの幅よりも狭く形成し、
また、この金属コイルの下面に対して、上面とは反対側の側部に沿って、歪み素子を、その幅が該金属コイルの幅よりも狭い電極を形成し、
さらに、上記歪み素子の表面に、電極を形成するアクチュエータの製造方法。 - コイル状に巻回された金属コイルの内周面に対して、この金属コイルの上端または下端の一方の端部に沿って、圧電逆効果の性質を有する歪み素子を、その高さが該金属コイルの高さよりも低く形成し、
また、この金属コイルの外周面に対して、内周面とは反対側の端部に沿って、歪み素子を、その高さが該金属コイルの高さよりも低く形成し、
さらに、上記歪み素子の表面に、電極を形成するアクチュエータの製造方法。
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