JP4288380B2 - ガスタービンのブレードのロータディスクへの改良型継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンのブレードのロータディスクへの改良型継手に関する。
【0002】
【発明の背景】
公知のように、ガスタービンは、圧縮機及び1つ又はそれ以上の段を備えるタービンからなる機械であり、これらの構成部品は回転シャフトにより互いに接続されて、燃焼チャンバが圧縮機とタービンの間に設けられる。
【0003】
高温及び高圧を有する燃焼チャンバからのガス出力は、対応する管を通してタービンの異なる段に到達し、該タービンの段が、ガスのエンタルピーをユーザが利用できる機械的エネルギーに変換する。
【0004】
2段を備えるタービンにおいては、ガスは、極めて高い温度及び圧力状態でタービンの第1の段で処理されて、第1の膨張を行う。
【0005】
次に、タービンの第2の段において前の段で用いられたものより低い温度及び圧力状態で第2の膨張を行う。
【0006】
また、特定のガスタービンから最大性能を得るためには、できるだけ高いガス温度が必要であるということも知られている。
【0007】
しかしながら、タービンが使用されている際に得ることが可能な最高温度値は、現在用いられている材料の耐性により制限される。
【0008】
また、ガスタービンにおいては、ロータブレードは、ロータディスクと単一体を構成せず、その基部延長部によってディスクの円周上に設けられた適当な座の中に保持されることも知られている。
【0009】
具体的には、現在用いられている座は、溝のついた輪郭を備える側面を有しており、その中に対応するブレードの基部すなわち根元の端部分が嵌め込まれる。
【0010】
従って、現在の技術において特に重要な問題は、機械の全ての作動状態においてブレードのロータディスクへの最適な接続を保証する問題である。
【0011】
要するに、損傷も他の同様な問題をも生じることなく、ディスクはブレードにより生じる荷重に十分にかつ確実に耐えなければならないという事実を考慮に入れると、ブレードをロータディスクに接続する方法は、あらゆるタービンの設計において重要な側面を持つということに注目されたい。
【0012】
事実、ロータブレードは、機械の作動中に、半径方向及びそれよりは少ない程度であるが軸方向の両方向の高い応力にさらされることが知られている。
【0013】
半径方向の応力は、タービンの高い回転速度により発生し、一方、軸方向の応力は、ブレードの輪郭付けされた表面上のガスの流れにより生じる作用により発生する。
【0014】
ガスの同じ流れは、応力の円周方向成分をブレードに伝え、この円周方向成分が、有用な動力を駆動シャフトに集めることを可能にする。
【0015】
しかしながら、ブレードの接続方法は、可能な限り最小寸法を用いて、ロータディスク及びブレードにより構成される組立体を可能な限り最小寸法に縮小するように、正確に限られたスペースを占めるようにしなければならない。
【0016】
更に、今日では、ガスタービンは、ますます高い性能レベルを備えるようになる傾向がある。
【0017】
このことは、回転速度及び燃焼温度の両方を増大させなければならないということを必要とする。その結果、タービンの段においてブレードに対して膨張するガスの温度も上昇することになる。
【0018】
実際には、このことが、タービンのブレードとロータディスクとの間の継手に掛かる応力の増大を引き起こし、ブレード及びロータディスクの適当な有効寿命を保証するのがますます困難になる。
【0019】
現在最も広く用いられている継手は、一般的に「松の木」形として知られている継手である。
【0020】
この継手は、その断面がひっくり返った松の木を思い出させる独特な形状を呈するように、ブレードの根元すなわち基部を形成することからなる。
【0021】
この独特の構成においては、根元の側面は、丸みのある輪郭を持つ一連の歯状突起を形成するような溝のついた輪郭を有しており、他方、その下端部において、根元は、2つの側面の2つの下部歯状突起の接続部により形成される。
【0022】
これらの根元は、座の側面の溝が根元の歯状突起に一致し、また座の底部における溝が根元の下端部に一致するようにロータディスクの円周上に設けられた、該根元に対して相補形の座又は結合スロットに接続される。
【0023】
従来の実施形態においては、ブレードの根元のためのこれらの座は、ロータディスクの軸線にほぼ平行な方向に延びている。
【0024】
一方、別の実施形態においては、根元のための座は、ディスク自体の軸線に対して傾斜した方向に実質的に延びる。
【0025】
この形式の継手は、特に応力が集中する領域を有しており、それら領域は、より具体的には、溝の底部、座の底部、及び各歯状突起の溝での基部であるとして判断することができ、これらが実際の継手の輪郭を構成する。
【0026】
【発明の概要】
従って、本発明の主目的は、前述の不利な点を解消し、具体的には応力集中を減少させることを可能にする、従って、機械の回転速度を増大させるか、流体の温度を上昇させるか、又はこれら要因を適当に組み合わせることを可能にする、ガスタービンのブレードのロータディスクへの改良型継手を提供することである。
【0027】
本発明の別の目的は、タービンの異なる段のブレードを必要に応じて容易に組み立てたり分解したりすることを可能にする、ガスタービンのブレードのロータディスクへの改良型継手を提供することである。
【0028】
本発明の別の目的はまた、高い信頼性がある、ガスタービンのブレードのロータディスクへの改良型継手を提供することである。
【0029】
本発明の更に別の目的は、現在用いられている継手で得ることができる有効寿命よりも更に長い構成部品の有効寿命を得ることである。
【0030】
本発明の更に別の目的は、特に簡単でかつ機能的であり、しかも比較的低コストであり、また従来の加工によって製作することができる、ガスタービンのブレードのロータディスクへの改良型継手を提供することである。
【0031】
本発明によるこれらの目的及び他の事項は、請求項1に記載したような、ガスタービンのブレードのロータディスクへの改良型継手を提供することにより達成される。
【0032】
別の特徴は、後続の請求項に示される。
【0033】
本発明によると、力が集中する領域における最大応力値を低下させることで、構成部品の寿命を著しく増大させるように定めることも可能になった。
【0034】
本発明によるガスタービンのブレードのロータディスクへの改良型継手の特徴と利点は、添付の1組の概略図を参照して非限定的実施例によりなされる以下の記述から一層明らかになるであろう。
【0035】
【発明の実施の形態】
図1は、公知技術による、ガスタービンのブレード12の根元すなわち基部とロータディスク22の座すなわち端スロット20との間の継手を示す。
【0036】
ブレード12の根元すなわち基部10は、底部で収束する2つの側面を備えるほぼ逆二等辺三角形の特徴のある形状を有する。この形状は、根元10の軸線Yに対して対称形である。
【0037】
この2つの側面すなわちフランクは、丸みのある輪郭を持つ一連の歯状突起14を形成するような溝のついた輪郭を有する。
【0038】
図1に示す実施例では、3つの歯状突起14が根元10の各側面に対して設けられる。
【0039】
根元10の下端部16が、根元10自体の2つの側面の2つの下部歯状突起14の接続部により形成される。
【0040】
これらの根元10は、座20の側面の溝24が根元10の歯状突起14に一致し、また座20の底部における内端溝26が根元10の下端部16に一致するように、ロータディスク22の円周上に設けられた、該根元に対して相補形の座又は結合スロット20に接続される。
【0041】
図2(A)及び図2(B)は、本発明による継手のそれぞれ根元10及び該根元10に相補形の座20の部分的輪郭を示す。
【0042】
図示した実施例においては、根元10は各側面について4つの歯状突起14を有する。
【0043】
根元10の側面の下端部にある別の歯状突起14は、他の側面にある同様の歯状突起14に接続部により接続され、根元10の下端部16を形成する。
【0044】
それに対応して、座20は各側面において4つの溝24を有する。
【0045】
座20の側面の下端部にある別の溝24は、他の側面にある同様の溝24に接続部により接続され、座20の内端溝26を形成する。
【0046】
図2(B)は、座20の輪郭を特徴づけ、結果的には座20自体に対して相補形である根元10の輪郭もまた特徴づけることになる幾何学的変数を示す。
【0047】
一連の溝24は、座20の軸線Yに対して角度β1だけ傾斜した線Xに沿って延びる。
【0048】
結果として、座20の側面もまたこの傾斜に従って延びる。
【0049】
4つの溝24は、座20の軸線Yに対して角度α1及び角度α2の傾斜を持つ平坦な面を有しており、ここで、α1はロータディスク22の外部に向いた面の角度である。
【0050】
従って、溝24の2つの面は、α1からα2を差し引いたものに等しい溝角度αgを形成する。
【0051】
溝24は、半径R4の円弧により底部で接続される。
【0052】
更に、4つの溝24の間及び下部溝24と内端溝26との間には、半径R4の円弧による4つの接続部がある。
【0053】
上部溝24の角度α1を持つ面は、半径R3の円弧によりロータディスク22の外部に向かって接続される。
【0054】
内端溝26は、座20の軸線Yに対して角度α1で配置された2つの対称形の上部面を有する逆オメガの形状になっている。
【0055】
これらの面は、対になって互いに対称形である4つの円周の4つの弧により互いに接続される。
【0056】
より具体的には、それらの上部面は、最初に、半径R1と、内端溝26の底部に対する高さH1及び座20の軸線Yに対する距離D1により定まる中心と持つ円弧により接続される。
【0057】
この円弧に続いて、半径R2と、内端溝26の底部に対する高さH2及び座20の軸線Yに対する距離D2により定まる中心とを持つ円弧が配置される。
【0058】
相補的関係で、図2(A)に見られるように、根元10の歯状突起14もまた、根元10の軸線Yに対して同じ角度α1及びα2の傾斜を持つ平坦な面を有しており、ここで、α1はブレード12の方に向いた面の角度である。
【0059】
従って、歯状突起14の2つの面は、α1からα2を差し引いたものに等しく、従って溝角度αgに等しい噛み合い角度αdを形成する。
【0060】
歯状突起14は、半径R4の円弧により接続される。
【0061】
更に、4つの歯状突起14の間及び下部歯状突起14と根元の下端部16との間には、半径R4の円弧による4つの接続部が存在する。
【0062】
上部歯状突起14の角度α1を持つ面は、半径R3の円弧によりブレード12に接続される。
【0063】
下端部16は、根元10の軸線Yに対して第2の角度α1で配置された2つの対称形の上部面を有する逆オメガの形状になっている。
【0064】
これらの面は、対になって互いに対称形である4つの円周の4つの弧により互いに接続される。
【0065】
より具体的には、それらの上部面は、最初に、半径R1と、根元10の下端部16に対する高さH1及び根元10自体の軸線Yに対する距離D1により定まる中心とを持つ円弧により接続される。
【0066】
この円弧に続いて、半径R2と、根元10の下端部16に対する高さH2及び根元10自体の軸線Yに対する距離D2により定まる中心とを持つ円弧が配置される。
【0067】
要約すると、根元10の2つの側面の8つの歯状突起14及び根元10自体の下端部16は、座20の2つの側面の8つの溝24及び座20自体の内端溝26内にそれぞれ挿入される。
【0068】
更に、根元10及び座20の2つの半径R3の接続部もまた、根元10を軸方向に沿って対応する座20に滑り込ませることにより行なわれる、根元の座20への挿入と同時に互いに嵌合させられる。
【0069】
応力の分析を本発明に適用することによって、本発明は、応力の集中を低下させ、ブレード12の根元10とロータディスク22の座20との間の接触の輪郭について好適な幾何学的形状を示すことを可能にした。
【0070】
半径R1、R2、R3及びR4と、高さH1及びH2と、距離D1及びD2と、角度α1、α2及びβ1との間の比率が、基本的なものであると考えなければならない。
【0071】
事実、これらの比率が、根元10の下端部16の構成だけでなく歯状突起14の構成をも決定し、これが本発明による改良型継手をもたらすことになる。
【0072】
本発明によると、半径R4を基準として、下記の比率が存在する場合に継手は最適化されていると判断された。
【0073】
R3とR4の間の比率は、極値を含む1.8から2.2の間にあり、
R1とR4の間の比率は、極値を含む1.8から2.2の間にあり、
R2とR4の間の比率は、極値を含む5.5から6の間にある。
【0074】
同時に、角度については、下記の比率が存在しなければならない。
【0075】
角度α1は、極値を含む42°から48°の間にあり、
角度α2は、極値を含む94°から100°の間にあり、
角度β1は、極値を含む17°から23°の間にある。
【0076】
これらの比率の場合には、噛み合い角度αdに等しい溝角度αgは、極値を含む46°から58°の間にある。
【0077】
高さH1及びH2と距離D1及びD2とは、根元10の全体的な寸法の直接の結果として、すなわち実質的に根元10の高さを決定した後に決定される。
【0078】
従って、本発明によると、図2(A)及び図2(B)に示す実施形態による4つの歯状突起14を備える根元10又は5つの歯状突起14を備える根元10を用いることによって最良の結果が得られるということが分かった。
【0079】
以上の説明により、本発明によるガスタービンのロータディスクへのブレード用の改良型継手の特徴だけでなくその利点を明らかにしたが、それら利点には以下のことが含まれることに注目されたい。すなわち、
−構成部品の有効寿命が増大すること、
−機械の回転速度の増大、流体の温度の上昇、又はこの2つの点を適当に組み合わせること、及び
−公知技術による継手の場合が既にそうであるように、輪郭はブローチ加工することによって常に得ることができるので、公知技術と比較して低コストであること、
が含まれる。
【0080】
終りに当たって、その全てが本発明の技術的範囲に含まれることになる多くの修正及び変更が、ガスタービンのロータディスクへのブレードのためにこのように設計された改良継手に対してなされ得るということは明らかである。更に、全ての細部は、技術的に均等の要素と置き換えることができる。
【0081】
実施においては、何れもの材料、形態、及び寸法が、技術上の要求に従って使用されることができる。
【0082】
従って、本発明の保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【0083】
特許請求の範囲において記載する参照番号は、本発明の範囲を限定するためではなく、理解を容易にすることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 公知技術による、ブレードの根元とロータディスクの「松の木」形の座又は端スロットとの間の継手を示す断面図である。
【図2】 (A)は、本発明の説明に従って製作されたブレードの根元の部分的な輪郭を示す断面図であり、(B)は、(A)のブレードの根元が挿入されるロータディスクの座又は端スロットの部分的輪郭を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ブレードの根元
12 ブレード
14 歯状突起
16 根元の下端部
20 座
22 ロータディスク
24 溝
26 内端溝
Y 根元の軸線
Claims (4)
- 各ブレード(12)の根元(10)が、該ブレードに対して相補形であるロータディスク(22)の座(20)内に挿入され、
前記根元(10)が逆二等辺三角形の形状であり、底部で収束する2つの側面の各々が一連の歯状突起(14)を形成するように溝のついた輪郭を有し、
前記根元(10)の下端部(16)が、該根元(10)の2つの側面の前記歯状突起(14)のうちの下部の2つが結合した接続部により形成され、
前記根元(10)の歯状突起(14)が前記座(20)の側面に設けられた溝(24)に一致し、また前記根元(10)の下端部(16)は前記座(20)の底部に設けられた内端溝(26)と一致している形式の、ガスタービンのブレード(12)のロータディスク(22)への改良型継手であって、
前記一連の溝(24)は、前記座(20)の軸線(Y)に対して、極値を含む17°から23°の間の角度β1だけ傾斜する線(X)に沿って延びており、また、前記溝(24)は、前記座(20)の軸線(Y)に対して角度α1及びα2の傾斜をもつ平坦な面を有しており、ここで、α1は前記ロータディスク(22)の外部に向いた前記面の角度で、極値を含む42°から48°の間にあり、一方、α2は極値を含む94°から100°の間にあり、
前記溝(24)は半径R 4 の円弧により底部で接続され、前記溝(24)の間は同じく半径R 4 を有する円弧により接続され、前記溝(24)の角度α 1 を有する面は、半径R 3 の円弧により前記ロータディスク(22)の外部に向かって接続され、前記内端溝(26)は、前記座(20)の軸線に対して第2の角度α 1 で配置された2つの対称形の上部面を有する逆オメガの形状になっており、対になって互いに対称形である4つの円弧、具体的には、最初は半径R 1 の円弧、続いて半径R 2 の円弧により互いに接続されており、ここで、前記半径R 1 、R 2 及びR 3 は、前記半径R 4 に対する下記の比率、
1.8≦R 3 /R 4 ≦2.2、
1.8≦R 1 /R 4 ≦2.2、
5.5≦R 2 /R 4 ≦6.0
を有することを特徴とする継手。 - 前記半径R1の円弧による接続部は、前記内端溝(26)の底部に対する高さH1及び前記座(20)の軸線に対する距離D1により定まる点を中心として用いて形成され、また、前記半径R2の円弧による接続部は、前記内端溝(26)の底部に対する高さH2及び前記座(20)の軸線に対する距離D2により定まる点を中心として用いて形成され、従って前記中心は前記座(20)の深さの全体寸法を基にして定められることを特徴とする、請求項1に記載の継手。
- 前記角度α1から前記角度α2を差し引いたものに等しい、溝についての角度αgは、極値を含む46°から58°の間にあることを特徴とする、請求項1に記載の継手。
- 前記座(20)は、対になって対称形である8つの溝(24)と内端溝(26)とを有することを特徴とする、請求項1に記載の継手。
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