JP4288083B2 - 入浴用担架 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、介護が必要とされる入浴者を介護人が入浴させるときに用いる入浴用担架に関するものであり、特に、浴槽と組み合わせて使用する入浴用担架に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の入浴用担架の一例が特開平2001−299863号(特許文献1)に開示されている。図1に示すように、この従来の入浴用担架1aは、概略、浴槽の周縁部上面に載置される略長方形の枠体10と、枠体10内に位置する入浴者を載せるための担架シート20と、担架シート20の左右両側を支持するための2本の支持用ベルト30、30から構成されている。
【0003】
より詳しく説明するに、上記枠体10は、概略、所定間隔(好ましくは、浴槽の幅にほぼ相当する間隔)で設けられた一対の左右把手管11、11と、これらの上部及び下部を連結する上部連結管12及び下部連結管13とにより構成されている。
【0004】
この枠体10の内側には、左右把手管11、11に沿って、該枠体10の長手方向に張設された一対の支持用ベルト(紐状体)30,30が設けられている。担架シート20は、長手方向中央部に向かうに従い徐々に幅が狭くなった略長方形状を有しており、その左右両側には、一対の筒状体22、22が一体に設けられている。そして、これらの筒状体22,22に支持用ベルト30,30がそれぞれ挿通されており、これらの一対の支持用ベルト30,30により担架シート20が枠体10内に支持されるようになっている。
【0005】
この支持用ベルト30,30の一方の端部は、上部連結管12に連結金具17a,17aを介して連結されており、また他方の端部には連結金具16,16を介してワイヤ15,15が連結されている。ワイヤ15,15は、下部連結管13の挿通孔17b,17bを介して枠体10の一方の把手管11の中を通り、該把手管11の内部に設けられハンドル14の回転により伸縮する牽引機構(図示せず)に連結されている。それにより、ハンドル14を回転操作することにより、支持用ベルト30、30を緊張または弛緩させて、担架シート20を上下に変位させることが可能な構造となっている。
【0006】
なお、前記牽引機構は、例えば実公平6−3576に記載されている入浴用の担架ネット巻取り機構のような機構であり、ハンドル14の回転により、下部連結管13側のワイヤ15,15を挿通孔17b,17bから枠体10内に引き寄せあるいは引き出すことが可能となっている。このワイヤ15,15も担架シート20を支持する紐状体を構成する。
【0007】
以上の構造により、浴槽(図示せず)の上部にこの入浴用担架1aを載置した状態で手でハンドル14を所定方向に回転させることによって、支持用ベルト30,30を前記枠体10の下部連結管13側に引き寄せ、担架シート20に横たわった入浴者を浴槽の上方へと上昇させたり、あるいは、ハンドル14を逆転させて支持用ベルト30,30の緊張を緩めて、入浴者を浴槽内へと下降させることが可能となっている。
【0008】
なお、前記担架シート20は、前述したように、長手方向中央部に向かうに従い徐々に幅が狭くなった略長方形状を有しており、合成繊維などの肌触りがよくかつ水はけのよい素材からなるネットシート21と、該ネットシート21の左右両側縁に一体に設けられた前記一対の筒状体22,22と、これらの筒状体22,22の間に設けられた複数の補強用ベルト23とから構成されている。
【0009】
この入浴用担架1aにおいては、入浴者の身体を支持するための担架シート20は、一般的な身長の入浴者の首から膝上までの程度の長さに設定されており、入浴者の頭部や膝下の脚部が担架シート20の前後からはみ出すようになっている。これは、入浴者の頭部をシャワー等で洗髪したり、入浴者の脚部のみを浴槽内の湯に浸し、足浴するためである。
【0010】
このため従来の入浴用担架1aでは、入浴者の頭部や脚部を支持するために、図2に示す頭部支持帯4と脚部支持帯5とが用いられてきた。頭部支持帯4は、一対の左右把手管11、11に筒状に巻きつけてそれらの間に張り渡すことが可能な帯部41と、帯部41の端部同士を連結して筒状にするための面ファスナー部42と、帯部41の上面にベルトなどにより着脱自在に取り付けられる枕部43とから構成されている。また、脚部支持帯5は、一対のワイヤ15,15に筒状に巻きつけてそれらの間に張り渡すことが可能な帯部51と、帯部51の端部同士を連結して筒状にするための面ファスナー部52から構成されている。
【0011】
そして、入浴者の頭部のみを湯に浸す場合には、頭部支持帯4の面ファスナー部42を剥がして頭部支持帯4を入浴用担架1aから取り外すようになっており、また脚部のみを湯に浸す場合には、入浴者の脚部を持ち上げ、脚部支持帯5を取り外すようになっている。
【0012】
【特許文献1】
特開平2001−299863号
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の入浴用担架1aに使用されている頭部支持帯4や脚部支持帯5は、担架シート20とは別体に構成されているため、その着脱作業が煩雑であるという問題点があった。
【0014】
特に、頭部支持帯4は、入浴者の肩部が担架シート20により支持された状態で入浴者の頭部を支持するようになっているため、入浴者の肩部と頭部の間に段差が生じ、入浴者の安楽な姿勢の保持が困難であるという問題点があった。
【0015】
また、これらの頭部支持帯4や脚部支持帯5は、担架シート20とは別体として構成されているため、各支持帯4、5の入浴作業後における洗浄・消毒作業は、担架シート20とは別に行わなければならないという問題点があった。
【0016】
さらに、繰り返し取り外して洗浄していると、頭部支持帯4や脚部支持帯5の面ファスナー部42、52にゴミなどが付着したり、損耗したりして、締着力が低下するという問題もあった。
【0017】
さらに、頭部支持帯4や脚部支持帯5は、担架シート20とは別体として構成されているため、部品点数が多くなり、製造コストが上昇するという問題点もあった。
【0018】
上記問題点に鑑み、本発明は、入浴者の様々な身長や姿勢の維持に対応すると共に、取扱いが簡便で、洗浄・消毒作業においても利便性が高い入浴者用担架を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の入浴用担架は、浴槽の周縁部上面に載置される枠体と、該枠体内に位置する入浴者を載せるための担架シートと、前記担架シートの左右両側を支持するために前記枠体の内側に該枠体の長手方向に沿って張設された一対の紐状体と、を備えた入浴用担架において、
前記担架シートの入浴者の頭部側に頭部支持部を設け、該頭部支持部は、枕と、該枕を出し入れ自在に保持する前記担架シートに一体に設けられた袋状の枕収納部とから成り、前記袋状の枕収納部は、前記担架シートの頭部側の部分を表面シートと裏面シートから構成し、前記枕を前記表面シートと裏面シートとの間に出し入れする開口部を有していることを特徴とする。
【0020】
以上のような構成により、担架シートに頭部支持部が設けられているため、肩部と頭部の間に段差が生じることがない。また、前記袋状の枕収納部は、担架シートの頭部側の部分を表面シートと裏面シートから構成し、前記枕を出し入れする開口部を有しているので、枕の着脱も簡単であり、しかも枕の位置を最適位置へ容易に調整することができる。
【0021】
また、前記枕収納部を以上のような構成となっているので、枕は、入浴者の肩部や頚部により枕収納部に挟まれるため、枕のズレを防止することができる。
【0022】
さらに、前記枕の幅は、前記枕収納部の幅と略同寸であり、前記枕の挿脱方向における長さは、前記枕収納部の長さより長めに設定されていることが好ましい。
【0023】
枕の幅を枕収納部の幅と略同寸にすることにより、枕を枕収納部に対してスライドさせる際の枕の幅方向におけるズレや傾きが規制される。また、枕の挿脱方向における長さを枕収納部の長さより長めに設定することにより、枕収納部からはみ出した部分を下向きに折り曲げて使用でき、洗髪時などにおける首への負担を軽くすることが可能となる。
【0024】
また、本発明は、浴槽の周縁部上面に載置される枠体と、該枠体内に位置する入浴者を載せるための担架シートと、前記担架シートの左右両側を支持するために前記枠体の内側に該枠体の長手方向に沿って張設された一対の紐状体と、を備えた入浴用担架において、
前記担架シートの入浴者の脚部側に脚部支持部を設け、該脚部支持部は、前記一対の紐状体に巻きつけられてそれらの間に張り渡されるとともに該紐状体にそれぞれスライド可能に設けられたベルト部と該ベルト部の頭部側端と前記担架シートの脚部側端の間にそれぞれ連結して設けられた連結シートとから成り、
該連結シートは前記一対の紐状体とは分離して設けられており、前記ベルト部を脚部側にスライドさせると前記ベルト部の頭部側端と前記担架シートの脚部側端の間に張設され、前記ベルト部を前記担架シートの頭部方向にスライドさせると前記ベルト部の頭部側端と前記担架シートの脚部側端の間で下方に垂れ下がるようになっていることを特徴とする。
【0025】
以上のような構成によれば、脚部支持部の装着作業が不要になるだけでなく、担架シートとベルト部と連結シートが連結されているため、それらの洗浄・消毒作業を同時に行うことができる。
【0026】
また、連結シートが一対の紐状体とは分離して設けられ、紐状体には支持されていないため、ベルト部を頭部側にスライド移動させた際に、連結シートは下方に垂れ下がり、入浴作業の邪魔にならない。
【0027】
さらに、本発明は、浴槽の周縁部上面に載置される枠体と、該枠体内に位置する入浴者を載せるための担架シートと、前記担架シートの左右両側を支持するために前記枠体の内側に該枠体の長手方向に沿って張設された一対の紐状体と、を備えた入浴用担架において、
前記担架シートの入浴者の頭部側に頭部支持部を設けるとともに、前記担架シートの脚部側に脚部支持部を設け、
前記頭部支持部は、枕と、該枕を出し入れ自在に保持する前記担架シートと一体に設けられた袋状の枕収納部とから成り、前記袋状の枕収納部は、前記担架シートの頭部側の部分を表面シートと裏面シートから構成し、前記枕を前記表面シートと裏面シートとの間に出し入れする開口部を有しており、
前記脚部支持部は、前記一対の紐状体に巻きつけられてそれらの間に張り渡されるとともに、前記一対の紐状体にそれぞれスライド可能に支持されたベルト部と、該ベルト部の頭部側端と前記担架シートの脚部側端の間に設けられた連結シートとから成り、該連結シートは前記一対の紐状体とは分離して設けられており、前記ベルト部を脚部側にスライドさせると前記ベルト部の頭部側端と前記担架シートの脚部側端の間に張設され、前記ベルト部を前記担架シートの頭部方向にスライドさせると前記ベルト部の頭部側端と前記担架シートの脚部側端の間で下方に垂れ下がるようになっていることを特徴とする。
【0028】
このような頭部支持部と脚部支持部を設けることにより、頭部支持部と脚部支持部のそれぞれによる作用効果のほか、入浴者の様々な身長に容易に対応することが可能となるという効果がある。
【0029】
本発明の他の目的、作用及び効果は、以下の実施の形態及びその図面から明らかにされる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の入浴用担架の好適な実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0031】
図3は、本発明の入浴用担架の好適な実施形態に係る全体構成を示す斜視図である。なお、図1に示した従来の入浴用担架1aの構造と同一の機能を有する構成部材には、同一の符号を用いている。
【0032】
本発明の入浴用担架1は、概略、浴槽の周縁部上面に載置される略長方形の枠体10と、枠体10内に位置する入浴者を載せるための担架シート20と、担架シート20の左右両側を支持するための2本の支持用ベルト30,30(一対の紐状体)と、前記担架シート20の頭部側に位置する頭部支持部60と、脚部側に位置する脚部支持部70とから構成されている。
【0033】
より詳しく説明するに、上記枠体10は、概略、所定間隔(好ましくは、浴槽の幅にほぼ相当する間隔)で設けられた一対の左右把手管11、11と、これらの上部及び下部を連結する上部連結管12及び下部連結管13とにより構成されている。
【0034】
この枠体10の内側には、左右把手管11、11に沿って、該枠体10の長手方向に張設された一対の支持用ベルト(紐状体)30,30が設けられている。担架シート20は、長手方向中央部に向かうに従い徐々に幅が狭くなった略長方形状を有しており、その左右両側には、一対の筒状体22、22が一体に設けられている。そして、これらの筒状体22,22に前記支持用ベルト30,30がそれぞれ挿通されており、これらの一対の支持用ベルト30,30により担架シート20が枠体10内に支持されるようになっている。
【0035】
この支持用ベルト30,30の一方の端部は、上部連結管12に連結金具17a,17aを介して連結されており、また他方の端部には連結金具16,16を介してワイヤ(一対の紐状体)15,15が連結されている。ワイヤ15,15は、下部連結管13の挿通孔17b、17bを介して枠体10の一方の把手管11の中を通り、一方の把手管11の内部に設けられ、ハンドル14の回転により伸縮する牽引機構(図示せず)に連結されている。それにより、ハンドル14を回転操作することにより、支持用ベルト30,30を緊張または弛緩させて、担架シート20を上下に変位させることが可能な構造となっている。
【0036】
なお、前記牽引機構は、前述したように、例えば実公平6−3576に記載されている入浴用の担架ネット巻取り機構のような機構であり、ハンドル14の回転により、下部連結管13側のワイヤ15,15を挿通孔17b,17bから枠体10内に引き込むことが可能となっている。このワイヤ15,15も担架シート20を支持する紐状体を構成する。
【0037】
浴槽(図示せず)の上部にこの入浴用担架1を載置した状態で、ハンドル14を所定方向に回転させることによって、支持用ベルト30を前記枠体10の下部連結管13側に引き寄せ、担架シート20に横たわった入浴者を浴槽の上方へと上昇させたり、あるいは、ハンドル14を逆転させて支持用ベルト30の緊張を緩めて、入浴者を浴槽内にへと下降させることが可能となっている。
【0038】
なお、前記担架シート20は、前述したように、長手方向中央部に向かうに従い徐々に幅が狭くなった略長方形状を有しており、合成繊維などの肌触りがよくかつ水はけのよい素材からなるネットシート21から形成されている。そして、このネットシート21の左右両側縁に、前記一対の筒状体22,22がそれぞれ一体に設けられるとともに、これら筒状体22,22の間に複数の補強用ベルト23が設けられている。
【0039】
図4及び図5に示すように、頭部支持部60は、担架シート20の頭部側に位置し、着脱自在の枕61と、枕61を出し入れ自在に保持するために担架シート20と一体に袋状に形成された枕収納部62とから構成される。
【0040】
枕61は、内部クッション材とそれを収納する袋状体から構成されている。また、枕収納部62は、担架シート20の頭部側を表面シート21aと裏面シート21bから構成し、これらのシート21a,21bとの間に形成される袋状の構造を備えている。そして、枕61は、この枕収納部62の開口部63から挿入され、その結果、枕収納部62に出し入れ自在に保持されている。
【0041】
枕61の幅は、枕収納部62の幅と略同寸であり、このため、枕61を枕収納部62に対してスライドさせる際の枕61の幅方向におけるズレや傾きが規制されている。また、枕61の挿脱方向における長さは、枕収納部62の長さよりいくらか長くなっており、このため、枕61を枕収納部62内に収納した状態ではみ出した部分を下側に折り曲げることが可能である。なお、枕収納部62および枕61は、入浴者の頭部や上半身が浴槽の底部に接触する部分を保護できるようなサイズに設定することが好ましい。
【0042】
図6は、枕61を枕収納部62から引き出した状態を示している。この状態でも、入浴者の肩部や頚部により枕収納部62が圧迫されるため、枕61が枕収納部62の表面シート21aと裏面シート21bにより挟まれ脱落しない。このように、枕61を適宜枕収納部62により引き出すことにより、入浴者の身長の違いに対応できるようになっている。
【0043】
図3及び図6に示すように、脚部支持部70は、ワイヤ15,15に巻きつけられてそれらの間に張り渡されるとともに該ワイヤ15,15にスライド可能に支持されるベルト71と、ベルト71の頭部側端と担架シート20の脚部側端の間に設けられた連結シート72とから構成される。
【0044】
ベルト71の両端部には、ループ部73,73が設けられており、各ループ部の内部にワイヤ15,15が通されている。このため、ベルト71は、ワイヤ15,15にガイドされながら、担架シート20に対して頭部側や脚部側へスライドさせることができる。これにより、入浴者の身長の違いに対応することも可能になる。なお、図3は、ベルト71を脚部側に移動した状態を示し、また図6は、ベルト71を頭部側に移動した状態を示している。ベルト71を頭部側に移動した場合、連結シート72は下方に撓むため、入浴作業の邪魔にならない。
【0045】
以下、上記入浴用担架1を使用する際の作用効果について説明する。最初に、入浴者を入浴用担架1の上にのせる際、入浴者の身長に合わせて、頭部支持部60の枕61を適宜引き出すとともに、脚部支持部70のベルト71を適宜スライドさせる。
【0046】
この際、枕収納部62は、担架シート20と一体に設けられているため、肩部と頭部の間に段差が生じることがない。また、ベルト71の位置を適宜調節することにより、入浴者の脹脛部を連結シート72により支持することができる。歩行困難な入浴者の場合、ほとんどが足首に何らかの問題を抱えているが、このようにベルト71の位置を調節することにより、足首に脚部の重さが集中することを回避することができる。
【0047】
先ず、入浴用担架1を浴槽の上面に載置し、頭部支持部の枕61と脚部支持部70のベルト71の位置を以上のように適宜設定したのち、その状態で入浴者を担架の上に載せる。そして、洗髪する際には、枕61の頭部側端が入浴者の頚部を支える位置まで枕61を枕収納部62内に押入れ、入浴者の頭部を湯に浸す。また、枕61が枕収納部62からはみ出した部分を下向きに折り曲げ、その折り曲げた部分が入浴者の頚部にくるようにしてもよい。枕61により入浴者の頚部が支持されるため、頚部の負担が軽減されるとともに、容易にその最適位置に枕61を移動することができる。前述したように、枕61は入浴者の肩部や頚部により枕収納部62に挟まれるため、枕61のズレが防止される。
【0048】
さらに、足を洗浄したり足浴したりする際には、ベルト71を頭部側にスライドさせ、ベルト71により大腿部を支持させ、足を湯に浸す。さらに、脚部を洗浄する際には、ハンドル14を回転して支持用ベルト30を弛緩させるとともに、ベルト71を頭部側にさらにスライドさせ、大腿部までが湯に浸るようにする。この際、連結シート72がワイヤ15,15には支持されていないため、連結シート72は下方に垂れ下がり、入浴作業の邪魔にならない。
【0049】
このように、入浴作業における入浴者の姿勢は、入浴者の身長や入浴部位により細かく調整する必要があるが、本発明の入浴用担架1の頭部支持部60と脚部支持部70により、迅速且つ容易に対応することができる。
【0050】
入浴作業が終了すると、洗浄・消毒作業を行う。枕61は、簡単に枕収納部62から分離できる。また、担架シート20には、枕収納部62と連結シート72とベルト71とが一体に設けられているため、その洗浄・消毒作業を同時に行うことができる。
【0051】
好ましくは、枕収納部62の表面シート21aと裏面シート21bや連結シート72に、担架シート20のネットシート21と同一の材質を用い、また、ベルト71に、担架シート20の補強用ベルト23と同一の材質を用いることで、同一の洗剤や消毒剤を用いることができる。
【0052】
また、担架シート20を製造する際には、枕収納部62と連結シート72とベルト71とを一体に製造することができるため、製造コストを削減することができる。
【0053】
なお、以上の実施形態では、担架シート20の形状は長手方向中央部に向かうに従い徐々に幅が狭くなった略長方形状であるが、本発明の担架シートはそのような形状に限定されるものではなく、たとえば長方形状など他の形状でもよい。また、支持用ベルトもロープ状のものであってもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、頭部支持部と脚部支持部により、入浴者の様々な身長や姿勢の維持に対応できるだけでなく、取扱いが簡便で、洗浄・消毒作業においても利便性が高い入浴者用担架を提供することができる。
【0055】
さらに、本発明においては、面ファスナーを用いていないため、面ファスナーのゴミを除去するための洗浄作業を行う必要がない。
【0056】
さらに、本発明の入浴用担架の頭部支持部と脚部支持部は、その構成部材が担架シートに設けられているため、入浴用担架の枠体等が設計変更された際にも、そのまま使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の入浴用担架を示す斜視図である。
【図2】 従来の入浴用担架に頭部支持帯4や脚部支持帯5を取付けた状体を示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る入浴用担架を示す斜視図であって、枕61が枕収納部62に収容され、またベルト71が略脚部側いっぱいに移動された状態を示している。
【図4】 図3に示す頭部支持部60を入浴者の頭部側から見た部分斜視図である。
【図5】 図3に示す頭部支持部60の部分断面図である。
【図6】 図3に示す入浴用担架を示す斜視図であって、枕61を枕収納部62から部分的に引き出すとともに、ベルト71を頭部側に移動させて連結シートが下方に垂れ下がった状態を示している。
【符号の説明】
1 入浴用担架(本発明)
1a 入浴用担架(従来構造)
4 頭部支持帯
5 脚部支持帯
10 枠体
11 左右把手管
12 上部連結管
13 下部連結管
14 ハンドル
15 ワイヤ(一対の紐状体)
16 連結金具
17a 連結金具
17b 挿通孔
20 担架シート
21 ネットシート
21a 表面シート
21b 裏面シート
22 筒状体
23 補強用ベルト
30 支持用ベルト(一対の紐状体)
60 頭部支持部
61 枕
62 枕収納部
63 開口部
70 脚部支持部
71 ベルト
72 連結シート
73 ループ部

Claims (5)

  1. 浴槽の周縁部上面に載置される枠体と、該枠体内に位置する入浴者を載せるための担架シートと、前記担架シートの左右両側を支持するために前記枠体の内側に該枠体の長手方向に沿って張設された一対の紐状体と、を備えた入浴用担架において、
    前記担架シートの入浴者の頭部側に頭部支持部を設け、該頭部支持部は、枕と、該枕を出し入れ自在に保持する前記担架シートに一体に設けられた袋状の枕収納部とから成り、前記袋状の枕収納部は、前記担架シートの頭部側の部分を表面シートと裏面シートから構成し、前記枕を前記表面シートと裏面シートとの間に出し入れする開口部を有していることを特徴とする入浴用担架。
  2. 前記枕の幅は、前記枕収納部の幅と略同じであり、前記枕の出し入れ方向における長さは、前記枕収納部の長さより長めに設定されている請求項1記載の入浴用担架。
  3. 浴槽の周縁部上面に載置される枠体と、該枠体内に位置する入浴者を載せるための担架シートと、前記担架シートの左右両側を支持するために前記枠体の内側に該枠体の長手方向に沿って張設された一対の紐状体と、を備えた入浴用担架において、
    前記担架シートの入浴者の脚部側に脚部支持部を設け、該脚部支持部は、前記一対の紐状体に巻きつけられてそれらの間に張り渡されるとともに該紐状体にそれぞれスライド可能に設けられたベルト部と該ベルト部の頭部側端と前記担架シートの脚部側端の間にそれぞれ連結して設けられた連結シートとから成り、
    該連結シートは前記一対の紐状体とは分離して設けられており、前記ベルト部を脚部側にスライドさせると前記ベルト部の頭部側端と前記担架シートの脚部側端の間に張設され、前記ベルト部を前記担架シートの頭部方向にスライドさせると前記ベルト部の頭部側端と前記担架シートの脚部側端の間で下方に垂れ下がるようになっていることを特徴とする入浴用担架。
  4. 前記ベルト部の両端部にはループ部が設けられており、前記一対の紐状体が各ループの内部に挿通している請求項記載の入浴用担架。
  5. 浴槽の周縁部上面に載置される枠体と、該枠体内に位置する入浴者を載せるための担架シートと、前記担架シートの左右両側を支持するために前記枠体の内側に該枠体の長手方向に沿って張設された一対の紐状体と、を備えた入浴用担架において、
    前記担架シートの入浴者の頭部側に頭部支持部を設けるとともに、前記担架シートの脚部側に脚部支持部を設け、
    前記頭部支持部は、枕と、該枕を出し入れ自在に保持する前記担架シートと一体に設けられた袋状の枕収納部とから成り、前記袋状の枕収納部は、前記担架シートの頭部側の部分を表面シートと裏面シートから構成し、前記枕を前記表面シートと裏面シートとの間に出し入れする開口部を有しており、
    前記脚部支持部は、前記一対の紐状体に巻きつけられてそれらの間に張り渡されるとともに、前記一対の紐状体にそれぞれスライド可能に支持されたベルト部と、該ベルト部の頭部側端と前記担架シートの脚部側端の間に設けられた連結シートとから成り、該連結シートは前記一対の紐状体とは分離して設けられており、前記ベルト部を脚部側にスライドさせると前記ベルト部の頭部側端と前記担架シートの脚部側端の間に張設され、前記ベルト部を前記担架シートの頭部方向にスライドさせると前記ベルト部の頭部側端と前記担架シートの脚部側端の間で下方に垂れ下がるようになっていることを特徴とする入浴用担架。
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