JP4286413B2 - 電力変換装置の直流電流検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自己消弧素子を用いた電力変換装置等における直流電流の検出に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の電流検出器としては、鉄心を使用したDCCT、ホール素子と鉄心を使用したホールCT、シャント抵抗などがあったが高電圧、大電流の変換装置に適用する場合には大型で高価になるという問題があった。一方、大電力半導体素子の単発パルス電流を計測する検出器としてロゴスキーコイルを利用した電流検出器(以下、ロゴスキー電流変換器と略す)が用いられている。このロゴスキー電流変換器としては、例えばEPE´97(1997年)第3.308頁から3.312頁のDEVEROPMENTS IN ROGOWSKI CURRENT TRANNSDUCERSに紹介されており、この中でFig2にコイルの等価回路と積分器の構成を、Fig3に積分器の周波数応答特性が示されているように応答性、精度を向上させるべく、積分器の回路定数の選定に注意が払われている。
【0003】
このロゴスキー電流変換器を電力変換装置の直流電流検出器として適用した場合の動作を説明する。図21と図22はそれぞれロゴスキー電流変換器とその各部動作波形を示すもので電力変換装置の直流母線1に流れる直流電流I、ロゴスキーコイル2の出力電圧Vin(Vin=μ0NAdI/dt、Nは巻数、Aはコイル断面積)、積分器3の出力電圧Voutの各動作を直流電流のパルス幅に対応させて比較している。
図22に示すように、直流電流は、無電流期間を有するパルス形状であるが、その直流電流が狭幅のパルス電流の連続であれば応答性よく、精度も確保できるが、広幅のパルス電流が連続する場合には電流ピーク期間に積分器のコンデンサC1が抵抗R1によって部分放電するために応答性、精度ともに悪化する。
【0004】
即ち、積分器の回路構成は純粋の積分器ではなく、直流〜低周波入力信号に対しては抵抗R1を付加することにより、積分器のゲインを下げてAMP自身のドリフトによる誤差を低減している。この抵抗の作用により、積分器入力の直流電流レベルが定常状態で零であればこの積分器の出力は零になる。
従って、同じスイッチング間隔の場合に、狭幅パルスでは電流零の期間が長くなるために積分器の時定数の選定により、積分器の出力も電流零期間に零まで減衰でき易い。さらに電流が流れている期間が短ければ、その間の積分器出力の減少も少ない。逆に広幅パルスの場合には電流零期間が短いために直流零期間中に積分器出力を零まで減衰しにくい。積分器の時定数を短くして減衰を速めると、電流の通電期間中の積分器出力が速く減衰してしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のロゴスキー電流変換器を電力変換装置の直流電流検出に適用する場合には、電力変換装置のスイッチング動作を行うPWM制御によりそのオンパルス幅は長短の広い範囲に分布し直流電流検出装置として十分な精度が得られなかった。逆に、検出精度を確保しようとすると、直流電流のパルス幅が制約され、電力変換装置の交流出力電圧が低減して電力変換装置の出力容量が低減するなどの問題点があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、直流電流のパルス形状に影響されることがなく、応答性、精度ともに向上できる電流検出方法および電力変換器の直流電流検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る直流電流検出装置は、自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えた構成のものにおいて、
ゲートパルスオンの信号が与えられた自己消弧素子のターンオン動作によりロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち上がる場合、
無電流期間予測手段は、上記ゲートパルスオンのタイミングを出力するものである。
【0008】
また、この発明の請求項2に係る直流電流検出装置は、同構成において、入力直流電源の両極間に接続された自己消弧素子とダイオードとの直列接続体、上記ダイオードの両極間に出力直流電源と直列に接続されたリアクトル、および上記自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器により降圧チョッパーを構成する電力変換装置であって、上記自己消弧素子に流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器からのゲートパルスオンのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするものである。
【0009】
また、この発明の請求項3に係る直流電流検出装置は、同構成において、ゲートパルスオフの信号が与えられた自己消弧素子のターンオフ動作によりロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち上がる場合、
無電流期間予測手段は、上記ゲートパルスオフのタイミングを出力するものである。
【0010】
また、この発明の請求項4に係る直流電流検出装置は、同構成において、入力直流電源の両極間に接続されたリアクトルと自己消弧素子との直列接続体、上記自己消弧素子の両極間に出力直流電源と直列に接続されたダイオード、および上記自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器により昇圧チョッパーを構成する電力変換装置であって、上記ダイオードに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器からのゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするものである。
【0011】
また、この発明の請求項5に係る直流電流検出装置は、同構成において、入力直流電源の両極間に相毎に接続された、正極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる正極側アームと負極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる負極側アームとの直列接続体、および上記両自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器を備え上記両アームの接続点から交流出力を取り出す2レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記正極側アームに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器から上記負極側自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするものである。
【0012】
また、この発明の請求項6に係る直流電流検出装置は、同構成において、2レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記負極側アームに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器から上記正極側自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするものである。
【0013】
また、この発明の請求項7に係る直流電流検出装置は、同構成において、正極、中性極および負極を有する入力直流電源の上記正負両極間に相毎に接続された、第1ないし第4の自己消弧素子の直列接続体、上記各自己消弧素子と逆並列接続されてそれぞれ第1ないし第4のアームを構成する第1ないし第4のダイオード、上記入力直流電源の中性極とそれぞれ上記第1、第2のアームの接続点および上記第3、第4のアームの接続点との間に接続された第5および第6のダイオード、および上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器を備え上記第2、第3のアームの接続点から交流出力を取り出す3レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記第1のアームに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器から上記第3の自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするものである。
【0014】
また、この発明の請求項8に係る直流電流検出装置は、同構成において、3レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記第4のアームに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器から上記第2の自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするものである。
【0015】
また、この発明の請求項9に係る直流電流検出装置は、同構成において、3レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記入力直流電源の中性極と上記第5および第6のダイオードとの間に流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器から上記第1および第4の自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするものである。
【0016】
また、この発明の請求項10に係る直流電流検出装置は、同構成において、ゲートパルスオフの信号が与えられた自己消弧素子のターンオフ動作により、それぞれ第1のロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち下がり、第2のロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち上がる場合、
上記第2のロゴスキー電流変換器の検出電流と当該自己消弧素子のターンオフ動作によっては変化しない電力変換装置の出力電流検出値とを加算した合成電流を求め、上記第1のロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットする無電流期間予測手段は、上記合成電流の零レベルを検出したタイミングを出力するものである。
【0017】
また、この発明の請求項11に係る直流電流検出装置は、同構成において、2レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記正極側アームに流れる電流を検出する正極側ロゴスキー電流変換器、上記負極側アームに流れる電流を検出する負極側ロゴスキー電流変換器、および上記交流出力電流を検出する交流電流検出器を備えたものにおいて、
上記負極側ロゴスキー電流変換器と交流電流検出器との出力和が零レベルとなるタイミングを検出して上記正極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する正極側リセット回路、および上記正極側ロゴスキー電流変換器と交流電流検出器との出力和が零レベルとなるタイミングを検出して上記負極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する負極側リセット回路を備えたものである。
【0018】
また、この発明の請求項12に係る直流電流検出装置は、同構成において、3レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記第1のアームに流れる電流を検出する正極側ロゴスキー電流変換器、上記第4のアームに流れる電流を検出する負極側ロゴスキー電流変換器、上記入力直流電源の中性極と上記第5および第6のダイオードとの間に流れる電流を検出する中性極側ロゴスキー電流変換器、および上記交流出力電流を検出する交流電流検出器を備えたものにおいて、
上記負極側ロゴスキー電流変換器の出力と上記中性極側ロゴスキー電流変換器の極性反転出力と上記交流電流検出器の出力との和が零レベルとなるタイミングを検出して上記正極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する正極側リセット回路、上記正極側ロゴスキー電流変換器の出力と上記中性極側ロゴスキー電流変換器の出力と上記交流電流検出器の極性反転出力との和が零レベルとなるタイミングを検出して上記負極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する負極側リセット回路、および上記正極側ロゴスキー電流変換器の極性反転出力と上記負極側ロゴスキー電流変換器の出力と上記交流電流検出器の出力との和が零レベルとなるタイミングを検出して上記中性極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する中性極側リセット回路を備えたものである。
【0019】
また、この発明の請求項13に係る直流電流検出装置は、同構成において、交流出力電流が零レベルとなるタイミングを検出し、当該タイミングから所定時間リセット回路の出力を禁止するようにしたものである。
【0020】
また、この発明の請求項14に係る直流電流検出装置は、請求項5に記載のロゴスキー電流変換器の出力と請求項6に記載のロゴスキー電流変換器の出力とを加算、または請求項11に記載の正極側ロゴスキー電流変換器の出力と負極側ロゴスキー電流変換器の出力とを加算して2レベルインバータの交流出力電流を検出する加算器を備えたものである。
【0021】
また、この発明の請求項15に係る直流電流検出装置は、請求項7に記載のロゴスキー電流変換器の出力と請求項8に記載のロゴスキー電流変換器の出力と請求項9に記載のロゴスキー電流変換器の出力とを加算、または請求項12に記載の正極側ロゴスキー電流変換器の出力と負極側ロゴスキー電流変換器の出力と中性極側ロゴスキー電流変換器の出力とを加算して3レベルインバータの交流出力電流を検出する加算器を備えたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。図1において、4は積分器3のコンデンサC1を短絡するスイッチ、5はこのスイッチ4にオン指令を発生するリセットパルス発生器、6はこのリセットパルス発生器5の発生タイミングを決定する無電流期間予測手段である。
【0023】
次に動作について、図2の動作波形を参照して説明する。無電流期間予測手段6は直流電流の無電流期間を予測して、各部の動作波形に示すように直流電流Iの無電流期間にリセットパルス発生器5からリセットパルス(同図(c))を発生させる。直流電流Iが広幅パルスであれば、積分器3の出力Voutは直流電流Iの発生期間中に積分器3のコンデンサC1と抵抗R1とで決まる時定数で減衰して無電流に切り替わるタイミングでは逆極性のレベルまで急減衰して保持されるが、リセットパルスによってスイッチ4が閉路すると、積分器3のコンデンサC1がスイッチ4を通って急速放電して積分器3の出力Vout(同図(d))は零になる。続いて直流電流Iが立ち上がるタイミングでは積分器3の出力Voutは零から立ち上がるようになり、直流電流Iに応答する。
なお、上記実施の形態1では、直流電流Iの無電流期間の発生タイミング毎に積分器3をリセットするようにしたので広幅パルスの繰り返し波形の直流電流を検出する場合にも応答性や精度が確保でき、また従来の鉄心入りの電流検出器と異なり、鉄心が不要のロゴスキー電流変換器が適用できることにより、小型で安価な電流検出器を得ることができる。
【0024】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、何らかの方法により直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段からの信号に基づき無電流期間に積分器をリセットする方法を述べたが、各種電力変換装置に適用した場合の具体的な無電流期間予測手段について説明する。図3は降圧チョッパーへの適用例を示すもので、10aは正極Pと負極Nとを有する入力直流電源、11aはGTOなど自己消弧型の半導体素子(以下自己消弧素子と略す)、12aはダイオードで、この自己消弧素子11aとダイオード12aとの中間接続点と上記入力直流電源10aの負極Nとの間にリアクトル13aと出力直流電源14aとが直列接続されて周知の降圧チョッパーが構成される。2aと3aはそれぞれロゴスキーコイルと積分器であって直流入力電源10aの正極P側の直流電流、即ち、自己消弧素子11aに流れる直流電流Ipを検出する。
6aは上記降圧チョッパーのゲートパルス発生器であって、自己消弧素子11aへゲート信号として出力するとともに、例えば、ワンショットマルチバイブレータからなるリセットパルス発生器5aにも出力される。4aは上記積分器3aのスイッチであって、このリセットパルス発生器5aの出力により閉路動作する。
【0025】
ゲートパルス発生器6aから自己消弧素子11aへゲートパルスオンの信号(以下、オンパルスと称す)が与えられると、自己消弧素子11aが導通して入力直流電源10aから自己消弧素子11a、リアクトル13a、出力直流電源14aの経路で入力直流電流Ipが流れる。ゲートパルスをオフすると自己消弧素子11aは不導通になり、出力直流電流Ioはリアクトル13a、出力直流電源14a、ダイオード12aの経路で環流する。従って入力直流電流Ipは図4(c)の動作波形に図示の如く、自己消弧素子11aのスイッチングの状態に応じてパルス状の波形になる。厳密に言えば、自己消弧素子11aのターンオン、ターンオフ動作には数μ秒〜数10μ秒の時間遅れがあるために、ゲートパルス(同図(a))のオン、オフのタイミングよりも遅れて入力直流電流Ipは立ち上がり、立ち下がる。リセットパルスの発生タイミングは、このゲートパルスと直流入力電流Ipの動作時間差を利用しており、即ち、ここでは無電流期間予測手段としてゲートパルス発生器6aのオンパルスの発生タイミングを採用しており、図4(b)の動作波形に図示の如く、ゲートパルスの立ち上がり(オン)のタイミングで、上記動作時間差以内の幅のリセットパルス(パルス幅は、例えば2μS程度)を積分器3aのリセットスイッチ4aに与えている。無電流期間予測手段を以上のように構成することにより、直流電流検出器の応答性、精度を確保できる。
【0026】
実施の形態3.
さらに、他の電力変換装置へ適用した場合の具体的な無電流期間予測手段について説明する。図5は昇圧チョッパーへの適用例を示すもので、10bは正極Pと負極Nを有する出力直流電源、11bは自己消弧素子、12bはダイオード、この自己消弧素子11bとダイオード12bとの中間接続点と上記出力直流電源10bの負極Nとの間にリアクトル13bと入力直流電源14bとが直列接続されて周知の昇圧チョッパーが構成される。2bと3bはそれぞれロゴスキーコイルと積分器であって出力直流電源10bの正極P側の直流電流、即ち、ダイオード12bに流れる直流電流Ipを検出する。6bは上記昇圧チョッパーのゲートパルス発生器であって、自己消弧素子11bへゲート信号として出力するとともにリセットパルス発生器5bにも出力される。4bは上記積分器3bのスイッチであって、このリセットパルス発生器5bの出力により閉路動作する。
【0027】
ゲートパルス発生器6bから自己消弧素子11bへオンパルスが与えられると、自己消弧素子11bが導通して入力直流電源14bから、リアクトル13b、自己消弧素子11bの経路で直流入力電流Ioが流れる。ゲートパルスをオフすると自己消弧素子11bは不導通になり、入力直流電流Ioはダイオード12b、出力直流電源10bの経路で流れる。従って出力直流電流Ipは図6(c)の動作波形に図示の如く、自己消弧素子11bのスイッチングの状態に応じてパルス状の波形になる。厳密に言えば、自己消弧素子11bのターンオン、ターンオフ動作には数μ秒〜数10μ秒の時間遅れがあるために、ゲートパルス(同図(a))のオン、オフのタイミングよりも遅れて出力直流電流Ipは立ち上がり、立ち下がる。リセットパルスの発生タイミングはゲートパルスと電流Ipの動作時間差を利用しており、即ち、ここでは、無電流期間予測手段としてゲートパルス発生器6bのゲートパルスオフの信号の発生タイミングを採用しており、図6(b)の動作波形に図示の如く、ゲートパルスの立ち下がり(オフ)のタイミングで、上記動作時間差以内の幅のリセットパルスを積分器3bのリセットスイッチ4bに与えている。無電流期間予測手段を以上のように構成することにより、直流電流検出器の応答性、精度を確保できる。
【0028】
実施の形態4.
また、他の電力変換装置へ適用した場合の具体的な無電流期間予測手段について説明する。図7は2レベルインバータへの適用例を示すもので、10cは正極Pと負極Nとを有する入力直流電源、11Pと11Nは自己消弧素子であって直列接続されてこの入力直流電源10cの正極Pと負極Nとの間に接続され、12Pと12Nはダイオードであってそれぞれこの自己消弧素子11Pと11Nとに逆並列接続され、上記自己消弧素子11Pと11Nとの中間接続点から交流出力端子AC(このAC端子側には一般にインダクタンス要素を含む交流電源あるいは交流電動機などが接続されるが、省略して図示している。)を得るようにして周知の2レベルインバータの1相分が構成される。2Pと3Pはそれぞれロゴスキーコイルと積分器であって、自己消弧素子11Pとダイオード12Pとからなる正極側アームに流れる直流電流Ipを検出する。2Nと3Nはそれぞれロゴスキーコイルと積分器であって、自己消弧素子11Nとダイオード12Nからなる負極側アームに流れる直流電流Inを検出する。6cは上記2レベルインバータのゲートパルス発生器であって、自己消弧素子11Pと11Nとへゲート信号として出力するとともにリセットパルス発生器5Pと5Nとにも出力される。4Pと4Nはそれぞれ上記積分器3Pと3Nのスイッチであって、このリセットパルス発生器5Pと5Nの出力により閉路動作する。
【0029】
図8に示す動作波形において、電力変換装置の出力電流Ioが図7に図示される極性(以下、正極性と定義する)で流れている場合(図8の[I])には、ゲートパルス発生器6cから自己消弧素子11Pへオンパルスが与えられている状態では入力直流電源10cの正極Pから自己消弧素子11Pを通って電力変換装置の出力電流Ioが流れる。次に自己消弧素子11Pへゲートパルスオフの信号(以下、オフパルスと称す)を与えると、自己消弧素子11Pは不導通になり、入力直流電源10cの負極Nからダイオード12Nを通って電力変換装置の出力電流Ioが流れる。自己消弧素子11Pへのオフパルス発生時点から直流短絡防止期間Td後に自己消弧素子11Nにオンパルスが与えられるが、電力変換装置の出力電流Ioはダイオード12Nを通って流れ続け、次の自己消弧素子11Pへのオンパルスにより自己消弧素子11Pが導通するとダイオード12Nの電流は自己消弧素子11Pに転流する。
【0030】
次に電力変換装置の出力電流Ioの極性が図示と逆極性の場合(図8の[II])には、自己消弧素子11Pにオンパルスが与えられても出力電流Ioはダイオード12Pを通って入力直流電源10cの正極Pへ流れ、次の自己消弧素子11Nのオンパルスにより、自己消弧素子11Nが導通するとダイオード12Pの電流は自己消弧素子11Nに転流する。その後、自己消弧素子11Nのオフパルスにより、自己消弧素子11Nの電流はダイオード12Pに転流し、続いてTd後に自己消弧素子11Pにオンパルスを与えても自己消弧素子11Nにオンパルスが与えられるまでダイオード12Pを流れ続ける。このようにP側およびN側の直流電流IpおよびInは図示(図8(e)(f)(i)(j))のごとく、自己消弧素子11Pおよび11Nのスイッチング状態に応じてパルス状の波形になり、しかも自己消弧素子11Pおよび11Nのスイッチング動作遅れにより、直流電流IpおよびInの立ち上がり、立ち下がり動作もゲートパルス発生時点から時間遅れが生じる。
【0031】
リセットパルスの発生タイミングは図8(c)(d)の動作波形に示すように、P側の直流電流Ipを検出する積分器3Pのスイッチ4Pに対しては自己消弧素子11Nへのオンパルスの立ち下がりタイミング(すなわち自己消弧素子11Nへのオフパルスのタイミング)でリセットパルス発生器5Pによりリセットパルスを発生して閉路し、N側の直流電流Inを検出する積分器3Nのスイッチ4Nに対しては自己消弧素子11Pへのオンパルスの立ち下がりタイミング(すなわち自己消弧素子11Pへのオフパルスのタイミング)でリセットパルス発生器5Nによりリセットパルスを発生して閉路する。このように無電流期間予測手段を構成することにより、交流出力電流Ioの極性に関係なく直流電流の無電流期間に積分器のリセット動作が確実に行え、直流電流検出器の応答性、精度を確保できる。
【0032】
実施の形態5.
また、他の電力変換装置へ適用した場合の具体的な無電流期間予測手段について説明する。図9は3レベルインバータへの適用例を示すもので、10pと10nとは直列接続の構成で正極P、中性極C、負極Nを有する入力直流電源、11P1、11P2、11N2、11N1は第1ないし第4の自己消弧素子であって直列接続されてこの入力直流電源10pの正極Pと入力直流電源10nの負極Nとの間に接続され、12P1、12P2、12N2、12N1は第1ないし第4のダイオードであってそれぞれこの自己消弧素子11P1、11P2、11N2、11N1に逆並列接続され、15Pおよび15Nは第5および第6のダイオードであってそれぞれ上記入力直流電源10pと入力直流電源10nとの中間接続点である中性極Cと上記自己消弧素子11P1と11P2との中間接続点との間および上記中性極Cと上記自己消弧素子11N2と11N1との中間接続点との間に接続され、上記自己消弧素子11P2と11N2との中間接続点から交流出力端子AC(このAC端子側には一般にインダクタンス要素を含む交流電源あるいは交流電動機などが接続されるが、省略して図示している。)を得るようにして周知の3レベルインバータの1相分が構成される。
【0033】
2Pと3Pはそれぞれロゴスキーコイルと積分器であって、自己消弧素子11P1とダイオード12P1とからなる第1のアームに流れる直流電流Ipを検出する。2Nと3Nはそれぞれロゴスキーコイルと積分器であって、自己消弧素子11N1とダイオード12N1とからなる第4のアームに流れる直流電流Inを検出する。2Cと3Cはそれぞれロゴスキーコイルと積分器であって、入力直流電源10pおよび10nの中間接続点である中性極Cとダイオード15Pおよびダイオード15Nとの間に流れる直流電流Icを検出する。6dは上記3レベルインバータのゲートパルス発生器であって、自己消弧素子11P1、11P2、11N2、11N1へゲート信号として出力するとともにリセットパルス発生器5P、5N、5Cにも出力される。4P、4N、4Cはそれぞれ上記積分器3P、3N、3Cのスイッチであって、このリセットパルス発生器5P、5N、5Cの出力により閉路動作する。
【0034】
図10に示す動作波形において、電力変換装置の出力電流Ioが図9に図示される極性(以下、正極性と定義する)で流れている場合(図10の[I])には、ゲートパルス発生器6dから自己消弧素子11P2と11N2とへオンパルスが与えられている状態では入力直流電源10pおよび10nの中性極C側からダイオード15Pと自己消弧素子11P2とを通って電力変換装置の出力電流Ioが流れる。次に自己消弧素子11N2へオフパルスを与えると自己消弧素子11N2は不導通になるが、出力電流Ioはダイオード15Pと自己消弧素子11P2とを通って流れ続け、自己消弧素子11N2へのオフパルス発生時点から直流短絡防止期間Td後に自己消弧素子11P1にオンパルスを与えると、電力変換装置の出力電流Ioはダイオード15Pから自己消弧素子11P1に転流して入力直流電源10pの正極Pから自己消弧素子11P1と11P2とを通って出力電流Ioは流れる。
【0035】
次に自己消弧素子11P1にオフパルスを与えると自己消弧素子11P1は不導通になり、出力電流Ioは再度ダイオード15Pに転流して流れる。自己消弧素子11P1へのオフパルス発生時点からTd後に再度、自己消弧素子11N2へオンパルスを与えても出力電流Ioの通流経路は変化しない。次に自己消弧素子11P2にオフパルスを与えると自己消弧素子11P2が不導通になり、出力電流Ioは入力直流電源10nの負極Nからダイオード12N1と12N2とを通って流れ、さらにTd後に自己消弧素子11N1へオンパルスが与えられても出力電流Ioの通流経路は変化せず、自己消弧素子11N1へオフパルスを与えてそのTd後に自己消弧素子11P2に再度オンパルスを与えた時点で出力電流Ioは中性極Cからダイオード15Pと自己消弧素子11P2とを通って流れる。
【0036】
次に電力変換装置の出力電流Ioの極性が図示と逆極性の場合(図10の[II])には、自己消弧素子11P2と11N2とにオンパルスが与えられている状態では出力電流Ioは自己消弧素子11N2とダイオード15Nとを通って中性極C側へ流れる。次に自己消弧素子11N2へオフパルスを与えると自己消弧素子11N2が不導通になり、出力電流Ioはダイオード12P2と12P1とを通って入力直流電源10pの正極Pへ流れる。そのTd後に自己消弧素子11P1へオンパルスを与えても出力電流Ioの通流経路は変化せず、自己消弧素子11P1へオフパルスを与えてそのTd後に自己消弧素子11N2に再度オンパルスを与えた時点で出力電流Ioは自己消弧素子11N2とダイオード15Nとを通って中性極C側へ流れる。次に自己消弧素子11P2にオフパルスを与えても出力電流Ioの通流経路は変化せず、そのTd後に自己消弧素子11N1へオンパルスを与えるとダイオード15Nから自己消弧素子11N1へ転流し、出力電流Ioは自己消弧素子11N2と11N1とを通って入力直流電源10nの負極Nへ流れる。
【0037】
次に自己消弧素子11N1へオフパルスを与えると自己消弧素子11N1が不導通になり、出力電流Ioは再度自己消弧素子11N2とダイオード15Nを通って中性極C側へ流れる。そのTd後に自己消弧素子11P2にオンパルスを与えても出力電流Ioの通流経路は変化しない。このようにP側、C側およびN側の直流電流Ip、IcおよびInは図示(図10(h)(i)(j)(n)(o)(p))のごとく、自己消弧素子11P1、11P2,11N2、11N1のスイッチング状態に応じてパルス状の波形になり、しかも自己消弧素子11P1、11P2,11N2、11N1のスイッチング動作遅れにより、直流電流Ip、IcおよびInの立ち上がり、立ち下がり動作もゲートパルス発生時点から時間遅れが生じる。
【0038】
リセットパルスの発生タイミングは図10(e)(f)(g)の動作波形に示すように、P側の直流電流Ipを検出する積分器3Pのスイッチ4Pに対しては自己消弧素子11N2へのオンパルスの立ち下がりタイミング(すなわち自己消弧素子11N2のオフパルスのタイミング)でリセットパルス発生器5Pによりリセットパルスを発生して閉路し、N側の直流電流Inを検出する積分器3Nのスイッチ4Nに対しては自己消弧素子11P2へのオンパルスの立ち下がりタイミング(すなわち自己消弧素子11P2のオフパルスのタイミング)でリセットパルス発生器5Nによりリセットパルスを発生して閉路し、C側の直流電流Icを検出する積分器3Cのスイッチ4Cに対しては自己消弧素子11P1へのオンパルスの立ち下がりタイミング(すなわち自己消弧素子11P1のオフパルスのタイミング)でリセットパルス発生器5CPにより発生するリセットパルスと自己消弧素子11N1へのオンパルスの立ち下がりタイミング(すなわち自己消弧素子11N1のオフパルスのタイミング)でリセットパルス発生器5CNにより発生するリセットパルスのOR回路5COの出力によってリセットパルスを発生して閉路する。このように無電流期間予測手段を構成することにより、交流出力電流Ioの極性に関係なく直流電流の無電流期間に積分器のリセット動作が確実に行え、直流電流検出器の応答性、精度を確保できる。
【0039】
実施の形態6.
なお、上記実施の形態2〜5では無電流期間予測手段として各種の電力変換装置におけるゲートパルス発生器からのスイッチングタイミングを利用して構成したものを述べたが、その他の原理に基づく具体的な無電流期間予測手段について説明する。図11は2レベルインバータへの適用例を示すもので、出力端AC側に従来型の交流電流検出器である出力電流検出器16が付加されている以外は上記図7と同じ主回路で構成されている。17PはN側の直流電流Inを検出する積分器3Nの出力VoutNと上記出力電流検出器16の出力VoutOとを加算する加算器、18Pはこの加算器17Pの出力の0レベルを検出する0レベル検出器であって、その出力はリセットパルス発生器5Pへ与えられる。19は極性反転器であって、上記出力電流検出器16の出力VoutOの極性を反転する。17NはP側の直流電流Ipを検出する積分器3Pの出力VoutPと上記極性反転器19の出力とを加算する加算器、18Nはこの加算器17Nの出力の0レベルを検出する0レベル検出器であって、その出力はリセットパルス発生器5Nへ与えられる。
【0040】
次に動作について図12を参照して説明する。なお、出力電流Ioの極性は図示の正極性で一定と仮定しているが、負極性の場合も同様の動作となる。また、説明の重複を避けるために主回路の動作については省略する。2レベルインバータにおいては上記図7および図8における主回路の詳細な動作説明からも理解されるように各部の電流には次の関係式が成り立つ。
Io=Ip−In (1)
上記(1)式から直流電流IpおよびInは次のように展開できる。
Ip=Io+In (2)
In=Ip−Io (3)
【0041】
この実施の形態6における無電流期間予測手段は上記(2)および(3)式に基づき、直流電流IpおよびInの無電流期間を予測するものである。ゲートパルス発生器6Cから自己消弧素子11Pへオフパルスが与えられると自己消弧素子11Pは不導通になり、P側の直流電流Ipが0になるとともに交流出力電流Ioはダイオード12Nを通って流れる。その結果、Io=−Inになることにより、IoとInが分かれば上記(2)式からIp=0になるタイミングを予測できる。交流出力電流Ioの極性が正極性の場合には自己消弧素子11NをゲートオフしてからTd後に自己消弧素子11Pをゲートオンすると交流出力電流Ioはダイオード12Nから自己消弧素子11Pに転流して流れる。その結果、Io=Ipになることにより、IoとIpが分かれば上記(3)式からIn=0になるタイミングを予測できる。
【0042】
加算器17PはIpの予測のために上記(2)式の演算をIoおよびInの検出値であるVoutOおよびVoutNを利用して行い、また、加算器17NはInの予測のために上記(3)式の演算をIoおよびIpの検出値であるVoutOおよびVoutPを利用して行う。その結果、上記加算器17Pおよび17Nの出力は実際の直流電流IpおよびInの波形と同じものを得る(図12(h)(i))。0レベル検出器18Pおよび18Nは上記加算器17Pおよび17Nの出力の0レベルを検出してL出力する(図12(j)(k))。リセットパルス発生器5Pおよび5Nは上記0レベル検出器18Pおよび18Nの出力の立ち下がり時点(すなわちIpおよびInの電流が0に変化する時点)の直後にリセットパルスを発生する(図12(l)(m))。このように無電流期間予測手段を構成することにより、直流電流の無電流期間の初期に積分器のリセット動作が確実に行え、直流電流検出器の応答性、精度を確保できる。
【0043】
なお、自己の積分器の出力自体から無電流期間を求め当該自己の積分器をリセットすることも考えられるが、以下の理由で望ましい結果は得られない。即ち、自己の積分器の出力の立ち下がりのタイミングでリセットする方法は、電流のリップル変動等を考慮した場合、電流が零にならない、従って、無電流期間でないときにもリセットがかかり、誤差が増加するという欠点がある。
また、自己の積分器の出力の0レベルを検出する方法は、複雑な波形の通電電流を積分している期間中の累積誤差により、電流零点を正確に検出できない場合がある。これに対し、この実施の形態6による方法は、加算する交流出力電流Ioはこの直流電流の急変時に変化しないので、実質的に、自己の積分器ではなく、対側の積分器、例えば積分器3Pのリセットを行うための無電流期間の予測は、対側の積分器3Nを対象に、その出力が零から立ち上がるタイミングを検出することになるので、積分器の誤差が小さく正確な予測が可能となる訳である。
【0044】
実施の形態7.
なお、上記実施の形態6では2レベルインバータにおける無電流期間予測手段として交流出力電流および直流電源の対の極側の直流電流の各検出値からの演算により予測するように構成したものを述べたが、交流出力電流Ioに瞬時変動が生じた場合にも対応可能な具体的な無電流期間予測手段について説明する。
【0045】
なお、この交流出力電流の瞬時変動要因としては、以下のものが考えられる。
(1)交流出力電流のリップル成分
インバータ、コンバータのスイッチング周波数に依存して発生する。特に交流出力電流瞬時値の零点付近ではリップルの影響が必ず生じる。GCTのスイッチング周波数が1kHzであればリップル周波数も一般的には1kHzとなる。IGBTにも適用すれば10kHz程度になる。
(2)交流電源電圧の急変、負荷の急変
(3)出力電流制御の不調による電流のハンチングなど
電流制御系のハンチング周波数であり、100〜500Hz程度となる。
【0046】
図13は2レベルインバータへの適用例を示すもので、図11の回路構成に対して次の回路を付加している。即ち、18Oは0レベル検出器であって、出力端AC側の出力電流検出器16の出力VoutOの0レベルを検出する。20はオフディレイ回路であって、この0レベル検出器18Oの出力をオフディレイ動作により、電流の0期間を所定時間延長させた信号を出力する。21Pおよび21NはAND回路であって、このオフディレイ回路20の出力とそれぞれリセットパルス発生器5Pおよび5NとのAND動作をして、この出力はそれぞれスイッチ4Pおよび4Nへ与えられる。
【0047】
次に動作について図14を参照して説明する。図において交流出力電流Ioが2レベルインバータの各動作モード期間中に1回づつ、正極性から負極性に急変して復帰した場合を示している。直流電流Ip、Inを予測する加算器17P、17Nの出力波形(図14(h)(i))は実電流と同様になり、電流の0点を通過する頻度が多くなる。そのために0レベル検出器18P、18Nの出力がHレベルからLレベルに落ち込む頻度が多くなり、リセットパルス発生器5P、5Nの出力のリセットパルス数が増加する(図14(n)(o))。交流出力電流Ioの極性反転時間が短い場合には、リセットパルス幅にもよるが、強制的に作られる電流の零期間が増加するために電流検出精度が悪くなる。このような不具合を無くすために交流出力電流Ioの出力電流検出器16の出力VoutOから0レベル検出器18Oとオフディレイ回路20から交流出力電流Ioの零期間を延長した信号(図14(m))を得て、上記リセットパルス発生器5P、5Nの出力とのANDにより、スイッチ4P、4Nへのリセットパルス信号(図14(p)(q))を発生させて余分なリセット動作を禁止している。
【0048】
なお、オフディレイ回路20のオフディレイ時間は零点設定レベルと電流の時間変化率により設定されるが、零検出点で連続2発のリセットパルスが発生するのを防ぐとすると、少なくともリセットパルス幅の2倍以上は必要であり、5〜10μS程度のオフディレイ時間を設定することになる。
【0049】
このように無電流期間予測手段を構成することにより、交流出力電流の極性が急変する場合にも余分なリセット動作を抑制できるとともに必要なリセット動作が確実に行え、直流電流検出器の応答性、精度を確保できる。
【0050】
実施の形態8.
なお、上記実施の形態6、7では交流出力電流検出器を利用した無電流期間予測手段を2レベルインバータへ適用した場合について述べたが、3レベルインバータへ適用する場合について説明する。図15は3レベルインバータへの適用例を示すもので、出力端AC側に従来型の出力電流検出器16が付加されている以外は上記図9と同じ主回路で構成されている。17P1はN側の直流電流Inを検出する積分器3Nの出力VoutNとC側の直流電流Icを検出する積分器3Cの出力VoutCの極性反転器19Cを介して得られる信号と上記出力電流検出器16の出力VoutOとを加算する加算器、17C1はP側の直流電流Ipを検出する積分器3Pの出力VoutPの極性反転器19Pを介して得られる信号と上記VoutOと上記VoutNとを加算する加算器、17N1は上記VoutOの極性反転器19Oを介して得られる信号と上記VoutPとVoutCとを加算する加算器、18O、18P、18C、18Nは0レベル検出器であってそれぞれ上記VoutO、上記加算器17P1、17C1、17N1が入力信号として与えられる。20はオフディレイ回路であって、この0レベル検出器18Oの出力に接続される。5P、5C、5Nはリセットパルス発生器であって、それぞれ上記0レベル検出器18P、18C、18Nの出力に接続される。21P、21C、21NはAND回路であって、上記オフディレイ回路20の出力とそれぞれ上記リセットパルス発生器5P、5C、5Nの出力とのAND動作を行い、その出力はそれぞれスイッチ4P、4C、4Nに与えられる。
【0051】
次に動作について図16を参照して説明する。なお、交流出力電流Ioの極性は図示の正極性で一定電流中に負極性への急変が一瞬生じた場合を想定している。なお、交流出力電流Ioの極性が負極性の場合も同様の動作となる。また、説明の重複を避けるために主回路の動作については省略する。3レベルインバータにおいては上記図9および図10における主回路の詳細な動作説明からも理解されるように各部の電流には次の関係式が成り立つ。
【0052】
Io=Ip−In+Ic (4)
上記(4)式から直流電流Ip、IcおよびInは次のように展開できる。
Ip=Io+In−Ic (5)
Ic=Io−Ip+In (6)
In=−Io+Ip+Ic (7)
【0053】
この実施の形態8における無電流期間予測手段は上記(5)、(6)および(7)式に基づき、Ip、IcおよびInの無電流期間を予測するものである。ゲートパルス発生器6dから自己消弧素子11P1と11P2とにオンパルスが与えられて、P側の直流電流Ip=交流出力電流Ioの状態から自己消弧素子11P1へオフパルスが与えられると、自己消弧素子11P1は不導通になり、P側の直流電流Ipが0になるとともに交流出力電流Ioはダイオード15Pと自己消弧素子11P2とを通って流れて、Io=Icになる。続いて自己消弧素子11N2にオンパルスを与えてから自己消弧素子11P2にオフパルスを与えると自己消弧素子11P2は不導通になり、交流出力電流Ioはダイオード12N1と12N2とを通って流れて、Io=−Inになる。
【0054】
このように交流出力電流Ioは自己消弧素子11P1、11P2、11N1、11N2のスイッチング状態に応じて、直流電源のP側、C側、N側のいずれかに流れる。加算器17P1、17C1、17N1は各部の電流検出信号であるVoutO、VoutP、VoutC、VoutNを利用して、それぞれ上記の(5)、(6)、(7)式に基づいてIp、Ic、Inの予測値を演算している(図16(l)(m)(n))。0レベル検出器18P、18Cおよび18Nは図16では省略しているが、上記加算器17P1、17C1および17N1の出力の0レベルを検出してL出力する。リセットパルス発生器5P、5Cおよび5Nは上記0レベル検出器18P、18Cおよび18Nの出力の立ち下がり時点(すなわちIp、IcおよびInの電流が0に変化する時点)の直後にリセットパルスを発生する(図16(q)(r)(s))。
【0055】
次に交流出力電流Ioが一瞬、負極性まで急変する場合について説明する。図16において自己消弧素子11P2と11N2とにオンパルスを与えている期間に交流出力電流Ioが図示(図16(e))の如く変動した場合には交流出力電流Ioの0レベル検出器18Oの出力は2度、Lレベルに落ち込み(図16(o))、リセットパルス発生器5Cの出力にも同じタイミングでリセット信号が発生する(図16(r))が、オフディレイ回路20の出力(図16(p))によりAND回路21Cの出力ではリセットパルスの発生が禁止される(図16(u))。
【0056】
このように無電流期間予測手段を構成することにより、直流電流の無電流期間の初期に積分器のリセット動作が確実に行え、また、交流出力電流の極性が急変する場合にも余分なリセット動作を抑制でき、直流電流検出器の応答性、精度を確保できる。
【0057】
実施の形態9.
なお、上記実施の形態4では自己消弧素子のオフのタイミングを利用した無電流期間予測手段を2レベルインバータへ適用した場合について述べたが、このように構成される直流電流検出器を利用して2レベルインバータの交流出力電流を検出する方法について説明する。図17は、上記図7に交流出力電流Ioを検出する回路を付加したものであって、17O2はP側直流電流Ipの検出信号VoutPとN側直流電流Inの検出信号VoutNの極性反転器19Nを介して得られる信号とを加算する加算器で交流出力電流の検出信号Io2を出力する。
2レベルインバータにおける各部電流関係式は上記(1)式で得られ、この関係式に基づいて交流出力電流の検出信号Io2を演算するように構成している。すなわち、Io2=VoutP−VoutNとなる。
【0058】
図18はこの動作波形を示すもので、このようにして得られた交流出力電流検出信号Io2(同図(j))には積分器3P、3Nのリセット動作直前のオフセット分が現われる。この動作波形図ではこのオフセット分を誇張して図示しているが、実際上、積分器の適切な選定と本発明による繰り返しリセット手段によりこのオフセット値を1%以下にすることができ、一般的にインバータの交流出力電流の検出精度としては十分許容できる。
このように交流出力電流の検出回路を構成することにより、交流出力が低い周波数であっても応答性、精度を確保でき、また従来の鉄心を用いた交流電流検出器を省略できるために電力変換装置が安価にできる。
【0059】
実施の形態10.
なお、上記実施の形態9では自己消弧素子のオフのタイミングを利用した無電流期間予測手段による直流電流検出器を利用した交流出力電流の検出方法を2レベルインバータへ適用した場合について述べたが、3レベルインバータの出力電流を検出する方法について説明する。図19は、上記図9に交流出力電流Ioを検出する回路を付加したものであって、17O3はP側直流電流Ipの検出信号VoutPとN側直流電流Inの検出信号VoutNの極性反転器19Nを介して得られる信号とC側直流電流Icの検出信号VoutCとを加算する加算器で交流出力電流の検出信号Io3を出力する。3レベルインバータにおける各部電流関係式は上記(4)式で得られ、この関係式に基づいて交流出力電流の検出信号Io3を演算するように構成している。すなわち、Io3=VoutP−VoutN+VoutCとなる。
【0060】
図20はこの動作波形を示すもので、このようにして得られた出力電流検出信号Io3(同図(o))には積分器3P、3Nのリセット動作直前のオフセット分が現われる。この動作波形図ではこのオフセット分を誇張して図示しているが、実際上、積分器の適切な選定と本発明による繰り返しリセット手段によりこのオフセット値を1%以下にすることができ、一般的にインバータの交流出力電流の検出精度としては十分許容できる。
このように交流出力電流の検出回路を構成することにより、交流出力が低い周波数であっても応答性、精度を確保でき、また従来の鉄心を用いた交流電流検出器を省略できるために電力変換装置が安価にできる。
【0061】
なお、先の実施の形態2ないし10では、いずれも自己消弧素子を使用した電力変換器に適用した場合について説明したが、何らかの方法で直流電流の無電流期間を予測することが可能であれば、この発明は、実施の形態1に示した通り、電力変換器とは特に関係のない装置における直流電流の検出に適用することができ同等の効果を奏する。
【0062】
また、先の実施の形態2では、電力変換器として降圧チョッパーの所定の直流電流の検出に適用した場合について説明したが、これに限られることはなく、ゲートパルスオンの信号が与えられた自己消弧素子のターンオン動作によりロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち上がるという動作関係が存在するケースには、上記ゲートパルスオンのタイミングで積分器の出力を零にリセットすることで、この発明を同様に適用することができ同等の効果を奏する。
【0063】
また、先の実施の形態3ないし5では、昇圧チョッパー、2レベルインバータ、3レベルインバータの所定の直流電流の検出に適用した場合について説明したが、これに限られることはなく、ゲートパルスオフの信号が与えられた自己消弧素子のターンオフ動作によりロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち上がるという動作関係が存在するケースには、上記ゲートパルスオフのタイミングで積分器の出力を零にリセットすることで、この発明を同様に適用することができ同等の効果を奏する。
【0064】
更に、先の実施の形態6ないし8では、2レベルインバータ、3レベルインバータの所定の直流電流の検出に適用した場合について説明したが、これに限られることはなく、ゲートパルスオフの信号が与えられた自己消弧素子のターンオフ動作により、それぞれ第1のロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち下がり、第2のロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち上がるという動作関係が存在するケースには、上記合成電流の零レベルを検出したタイミングで上記第1のロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットすることで、この発明を同様に適用することができ同等の効果を奏する。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、この発明の請求項1に係る直流電流検出装置は、自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えた構成のものにおいて、
ゲートパルスオンの信号が与えられた自己消弧素子のターンオン動作によりロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち上がる場合、
無電流期間予測手段は、上記ゲートパルスオンのタイミングを出力するので、自己消弧素子へのゲートパルスオンの信号を利用して応答性、精度の良好な直流電流の検出が可能となる。
【0066】
また、この発明の請求項2に係る直流電流検出装置は、同構成において、入力直流電源の両極間に接続された自己消弧素子とダイオードとの直列接続体、上記ダイオードの両極間に出力直流電源と直列に接続されたリアクトル、および上記自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器により降圧チョッパーを構成する電力変換装置であって、上記自己消弧素子に流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器からのゲートパルスオンのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするので、自己消弧素子へのゲートパルスオンの信号を利用して、降圧チョッパーにおける自己消弧素子に流れる直流電流の、応答性、精度の優れた検出が可能となる。
【0067】
また、この発明の請求項3に係る直流電流検出装置は、同構成において、ゲートパルスオフの信号が与えられた自己消弧素子のターンオフ動作によりロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち上がる場合、
無電流期間予測手段は、上記ゲートパルスオフのタイミングを出力するので、自己消弧素子へのゲートパルスオフの信号を利用して応答性、精度の良好な直流電流の検出が可能となる。
【0068】
また、この発明の請求項4に係る直流電流検出装置は、同構成において、入力直流電源の両極間に接続されたリアクトルと自己消弧素子との直列接続体、上記自己消弧素子の両極間に出力直流電源と直列に接続されたダイオード、および上記自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器により昇圧チョッパーを構成する電力変換装置であって、上記ダイオードに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器からのゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするので、ダイオードへのゲートパルスオフの信号を利用して、昇圧チョッパーにおけるダイオードに流れる直流電流の、応答性、精度の優れた検出が可能となる。
【0069】
また、この発明の請求項5に係る直流電流検出装置は、同構成において、入力直流電源の両極間に相毎に接続された、正極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる正極側アームと負極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる負極側アームとの直列接続体、および上記両自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器を備え上記両アームの接続点から交流出力を取り出す2レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記正極側アームに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器から上記負極側自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするので、自己消弧素子へのゲートパルスオフの信号を利用して、2レベルインバータの正極側アームに流れる直流電流の、応答性、精度の優れた検出が可能となる。
【0070】
また、この発明の請求項6に係る直流電流検出装置は、同構成において、2レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記負極側アームに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器から上記正極側自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするので、自己消弧素子へのゲートパルスオフの信号を利用して、2レベルインバータの負極側アームに流れる直流電流の、応答性、精度の優れた検出が可能となる。
【0071】
また、この発明の請求項7に係る直流電流検出装置は、同構成において、正極、中性極および負極を有する入力直流電源の上記正負両極間に相毎に接続された、第1ないし第4の自己消弧素子の直列接続体、上記各自己消弧素子と逆並列接続されてそれぞれ第1ないし第4のアームを構成する第1ないし第4のダイオード、上記入力直流電源の中性極とそれぞれ上記第1、第2のアームの接続点および上記第3、第4のアームの接続点との間に接続された第5および第6のダイオード、および上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器を備え上記第2、第3のアームの接続点から交流出力を取り出す3レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記第1のアームに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器から上記第3の自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするので、自己消弧素子へのゲートパルスオフの信号を利用して、3レベルインバータの第1のアームに流れる直流電流の、応答性、精度の優れた検出が可能となる。
【0072】
また、この発明の請求項8に係る直流電流検出装置は、同構成において、3レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記第4のアームに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器から上記第2の自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするので、自己消弧素子へのゲートパルスオフの信号を利用して、3レベルインバータの第4のアームに流れる直流電流の、応答性、精度の優れた検出が可能となる。
【0073】
また、この発明の請求項9に係る直流電流検出装置は、同構成において、3レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記入力直流電源の中性極と上記第5および第6のダイオードとの間に流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備えたものにおいて、
上記ゲートパルス発生器から上記第1および第4の自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするので、自己消弧素子へのゲートパルスオフの信号を利用して、3レベルインバータの入力直流電源の中性極と第5および第6のダイオードとの間に流れる直流電流の、応答性、精度の優れた検出が可能となる。
【0074】
また、この発明の請求項10に係る直流電流検出装置は、同構成において、ゲートパルスオフの信号が与えられた自己消弧素子のターンオフ動作により、それぞれ第1のロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち下がり、第2のロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち上がる場合、
上記第2のロゴスキー電流変換器の検出電流と当該自己消弧素子のターンオフ動作によっては変化しない電力変換装置の出力電流検出値とを加算した合成電流を求め、上記第1のロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットする無電流期間予測手段は、上記合成電流の零レベルを検出したタイミングを出力するので、第2のロゴスキー電流変換器の検出出力の立ち上がり現象を利用した第1のロゴスキー電流変換器による、応答性、精度の優れた電流検出が可能となる。
【0075】
また、この発明の請求項11に係る直流電流検出装置は、同構成において、2レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記正極側アームに流れる電流を検出する正極側ロゴスキー電流変換器、上記負極側アームに流れる電流を検出する負極側ロゴスキー電流変換器、および上記交流出力電流を検出する交流電流検出器を備えたものにおいて、
上記負極側ロゴスキー電流変換器と交流電流検出器との出力和が零レベルとなるタイミングを検出して上記正極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する正極側リセット回路、および上記正極側ロゴスキー電流変換器と交流電流検出器との出力和が零レベルとなるタイミングを検出して上記負極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する負極側リセット回路を備えたので、それぞれ関連する他のロゴスキー電流変換器の検出出力の立ち上がり現象を利用して、2レベルインバータにおける正極側アームおよび負極側アームに流れる直流電流の、応答性、精度の優れた検出が可能となる。
【0076】
また、この発明の請求項12に係る直流電流検出装置は、同構成において、3レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記第1のアームに流れる電流を検出する正極側ロゴスキー電流変換器、上記第4のアームに流れる電流を検出する負極側ロゴスキー電流変換器、上記入力直流電源の中性極と上記第5および第6のダイオードとの間に流れる電流を検出する中性極側ロゴスキー電流変換器、および上記交流出力電流を検出する交流電流検出器を備えたものにおいて、
上記負極側ロゴスキー電流変換器の出力と上記中性極側ロゴスキー電流変換器の極性反転出力と上記交流電流検出器の出力との和が零レベルとなるタイミングを検出して上記正極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する正極側リセット回路、上記正極側ロゴスキー電流変換器の出力と上記中性極側ロゴスキー電流変換器の出力と上記交流電流検出器の極性反転出力との和が零レベルとなるタイミングを検出して上記負極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する負極側リセット回路、および上記正極側ロゴスキー電流変換器の極性反転出力と上記負極側ロゴスキー電流変換器の出力と上記交流電流検出器の出力との和が零レベルとなるタイミングを検出して上記中性極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する中性極側リセット回路を備えたので、それぞれ関連する他のロゴスキー電流変換器の検出出力の立ち上がり現象を利用して、3レベルインバータにおける第1のアーム、第4のアームおよび入力直流電源の中性極と第5、第6のダイオードとの間に流れる直流電流の、応答性、精度の優れた検出が可能となる。
【0077】
また、この発明の請求項13に係る直流電流検出装置は、同構成において、交流出力電流が零レベルとなるタイミングを検出し、当該タイミングから所定時間リセット回路の出力を禁止するようにしたので、交流出力電流の瞬時変動に基づく誤ったリセット動作を防止して直流電流の検出精度を高く維持することができる。
【0078】
また、この発明の請求項14に係る直流電流検出装置は、請求項5に記載のロゴスキー電流変換器の出力と請求項6に記載のロゴスキー電流変換器の出力とを加算、または請求項11に記載の正極側ロゴスキー電流変換器の出力と負極側ロゴスキー電流変換器の出力とを加算して2レベルインバータの交流出力電流を検出する加算器を備えたので、低い周波数域でも優れた応答性、精度を有し、しかも安価に2レベルインバータの交流出力電流の検出が可能となる。
【0079】
また、この発明の請求項15に係る直流電流検出装置は、請求項7に記載のロゴスキー電流変換器の出力と請求項8に記載のロゴスキー電流変換器の出力と請求項9に記載のロゴスキー電流変換器の出力とを加算、または請求項12に記載の正極側ロゴスキー電流変換器の出力と負極側ロゴスキー電流変換器の出力と中性極側ロゴスキー電流変換器の出力とを加算して3レベルインバータの交流出力電流を検出する加算器を備えたので、低い周波数域でも優れた応答性、精度を有し、しかも安価に3レベルインバータの交流出力電流の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1における直流電流検出装置を示す回路構成図である。
【図2】 図1の直流電流検出装置の動作を説明する動作波形図である。
【図3】 この発明の実施の形態2における直流電流検出装置を示す回路構成図である。
【図4】 図3の直流電流検出装置の動作を説明する動作波形図である。
【図5】 この発明の実施の形態3における直流電流検出装置を示す回路構成図である。
【図6】 図5の直流電流検出装置の動作を説明する動作波形図である。
【図7】 この発明の実施の形態4における直流電流検出装置を示す回路構成図である。
【図8】 図7の直流電流検出装置の動作を説明する動作波形図である。
【図9】 この発明の実施の形態5における直流電流検出装置を示す回路構成図である。
【図10】 図9の直流電流検出装置の動作を説明する動作波形図である。
【図11】 この発明の実施の形態6における直流電流検出装置を示す回路構成図である。
【図12】 図11の直流電流検出装置の動作を説明する動作波形図である。
【図13】 この発明の実施の形態7における直流電流検出装置を示す回路構成図である。
【図14】 図13の直流電流検出装置の動作を説明する動作波形図である。
【図15】 この発明の実施の形態8における直流電流検出装置を示す回路構成図である。
【図16】 図15の直流電流検出装置の動作を説明する動作波形図である。
【図17】 この発明の実施の形態9における直流電流検出装置を示す回路構成図である。
【図18】 図17の直流電流検出装置の動作を説明する動作波形図である。
【図19】 この発明の実施の形態10における直流電流検出装置を示す回路構成図である。
【図20】 図19の直流電流検出装置の動作を説明する動作波形図である。
【図21】 従来の直流電流検出装置を示す回路構成図である。
【図22】 図21の直流電流検出装置の動作を説明する動作波形図である。
【符号の説明】
1 直流母線、2,2a,2b,2P,2N,2C ロゴスキーコイル、
3,3a,3b,3P,3N,3C 積分器、
4,4a,4b,4P,4N,4C スイッチ、
5,5a,5b,5P,5N,5C リセットパルス発生器、
6 無電流期間予測手段、6a,6b,6c,6d ゲートパルス発生器、
10a,10b,10c,10p,10n 直流電源、
11a,11b,11P,11N,11P1,11P2,11N1,11N2 自己消弧素子、
12a,12b,12P,12N,12P1,12P2,12N1,12N2 ダイオード、
13a,13b リアクトル、15P,15N ダイオード、
16 交流出力電流検出器、
17P,17N,17P1,17C1,17N1 加算器、
18P,18N,18C,18O 0レベル検出器、
19,19P,19C,19N,19O 極性反転器、
20 オフディレイ回路、21P,21N,21C AND回路。
Claims (15)
- 自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えたものにおいて、
ゲートパルスオンの信号が与えられた自己消弧素子のターンオン動作によりロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち上がる場合、
上記無電流期間予測手段は、上記ゲートパルスオンのタイミングを出力することを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。 - 自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えたものにおいて、
入力直流電源の両極間に接続された自己消弧素子とダイオードとの直列接続体、上記ダイオードの両極間に出力直流電源と直列に接続されたリアクトル、および上記自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器により降圧チョッパーを構成する電力変換装置であって、上記自己消弧素子に流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備え、
上記ゲートパルス発生器からのゲートパルスオンのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットすることを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。 - 自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えたものにおいて、
ゲートパルスオフの信号が与えられた自己消弧素子のターンオフ動作によりロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち上がる場合、
上記無電流期間予測手段は、上記ゲートパルスオフのタイミングを出力することを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。 - 自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えたものにおいて、
入力直流電源の両極間に接続されたリアクトルと自己消弧素子との直列接続体、上記自己消弧素子の両極間に出力直流電源と直列に接続されたダイオード、および上記自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器により昇圧チョッパーを構成する電力変換装置であって、上記ダイオードに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備え、
上記ゲートパルス発生器からのゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットすることを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。 - 自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えたものにおいて、
入力直流電源の両極間に相毎に接続された、正極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる正極側アームと負極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる負極側アームとの直列接続体、および上記両自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器を備え上記両アームの接続点から交流出力を取り出す2レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記正極側アームに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備え、
上記ゲートパルス発生器から上記負極側自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットすることを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。 - 自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えたものにおいて、
入力直流電源の両極間に相毎に接続された、正極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる正極側アームと負極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる負極側アームとの直列接続体、および上記両自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器を備え上記両アームの接続点から交流出力を取り出す2レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記負極側アームに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備え、
上記ゲートパルス発生器から上記正極側自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットすることを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。 - 自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えたものにおいて、
正極、中性極および負極を有する入力直流電源の上記正負両極間に相毎に接続された、第1ないし第4の自己消弧素子の直列接続体、上記各自己消弧素子と逆並列接続されてそれぞれ第1ないし第4のアームを構成する第1ないし第4のダイオード、上記入力直流電源の中性極とそれぞれ上記第1、第2のアームの接続点および上記第3、第4のアームの接続点との間に接続された第5および第6のダイオード、および上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器を備え上記第2、第3のアームの接続点から交流出力を取り出す3レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記第1のアームに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備え、
上記ゲートパルス発生器から上記第3の自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットすることを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。 - 自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えたものにおいて、
正極、中性極および負極を有する入力直流電源の上記正負両極間に相毎に接続された、第1ないし第4の自己消弧素子の直列接続体、上記各自己消弧素子と逆並列接続されてそれぞれ第1ないし第4のアームを構成する第1ないし第4のダイオード、上記入力直流電源の中性極とそれぞれ上記第1、第2のアームの接続点および上記第3、第4のアームの接続点との間に接続された第5および第6のダイオード、および上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器を備え上記第2、第3のアームの接続点から交流出力を取り出す3レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記第4のアームに流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備え、
上記ゲートパルス発生器から上記第2の自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットすることを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。 - 自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えたものにおいて、
正極、中性極および負極を有する入力直流電源の上記正負両極間に相毎に接続された、第1ないし第4の自己消弧素子の直列接続体、上記各自己消弧素子と逆並列接続されてそれぞれ第1ないし第4のアームを構成する第1ないし第4のダイオード、上記入力直流電源の中性極とそれぞれ上記第1、第2のアームの接続点および上記第3、第4のアームの接続点との間に接続された第5および第6のダイオード、および上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器を備え上記第2、第3のアームの接続点から交流出力を取り出す3レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記入力直流電源の中性極と上記第5および第6のダイオードとの間に流れる電流を検出するロゴスキー電流変換器を備え、
上記ゲートパルス発生器から上記第1および第4の自己消弧素子に供給されるゲートパルスオフのタイミングを検出して上記ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットすることを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。 - 自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えたものにおいて、
ゲートパルスオフの信号が与えられた自己消弧素子のターンオフ動作により、それぞれ第1のロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち下がり、第2のロゴスキー電流変換器の被検出電流が立ち上がる場合、
上記第2のロゴスキー電流変換器の検出電流と当該自己消弧素子のターンオフ動作によっては変化しない電力変換装置の出力電流検出値とを加算した合成電流を求め、上記第1のロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットする無電流期間予測手段は、上記合成電流の零レベルを検出したタイミングを出力することを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。 - 自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えたものにおいて、
入力直流電源の両極間に相毎に接続された、正極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる正極側アームと負極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる負極側アームとの直列接続体、および上記両自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器を備え上記両アームの接続点から交流出力を取り出す2レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記正極側アームに流れる電流を検出する正極側ロゴスキー電流変換器、上記負極側アームに流れる電流を検出する負極側ロゴスキー電流変換器、および上記交流出力電流を検出する交流電流検出器を備え、
上記負極側ロゴスキー電流変換器と交流電流検出器との出力和が零レベルとなるタイミングを検出して上記正極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する正極側リセット回路、および上記正極側ロゴスキー電流変換器と交流電流検出器との出力和が零レベルとなるタイミングを検出して上記負極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する負極側リセット回路を備えたことを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。 - 自己消弧素子を用いた電力変換装置に流れる、無電流期間を有する直流電流を、ロゴスキーコイルとその出力を積分する積分器とからなるロゴスキー電流変換器により検出する直流電流検出装置であって、
上記直流電流の無電流期間を予測する無電流期間予測手段、およびこの無電流期間の予測タイミングで上記積分器の出力を零にリセットするリセット手段を備えたものにおいて、
正極、中性極および負極を有する入力直流電源の上記正負両極間に相毎に接続された、第1ないし第4の自己消弧素子の直列接続体、上記各自己消弧素子と逆並列接続されてそれぞれ第1ないし第4のアームを構成する第1ないし第4のダイオード、上記入力直流電源の中性極とそれぞれ上記第1、第2のアームの接続点および上記第3、第4のアームの接続点との間に接続された第5および第6のダイオード、および上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生器を備え上記第2、第3のアームの接続点から交流出力を取り出す3レベルインバータを構成する電力変換装置であって、上記第1のアームに流れる電流を検出する正極側ロゴスキー電流変換器、上記第4のアームに流れる電流を検出する負極側ロゴスキー電流変換器、上記入力直流電源の中性極と上記第5および第6のダイオードとの間に流れる電流を検出する中性極側ロゴスキー電流変換器、および上記交流出力電流を検出する交流電流検出器を備え、
上記負極側ロゴスキー電流変換器の出力と上記中性極側ロゴスキー電流変換器の極性反転出力と上記交流電流検出器の出力との和が零レベルとなるタイミングを検出して上記正極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する正極側リセット回路、上記正極側ロゴスキー電流変換器の出力と上記中性極側ロゴスキー電流変換器の出力と上記交流電流検出器の極性反転出力との和が零レベルとなるタイミングを検出して上記負極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する負極側リセット回路、および上記正極側ロゴスキー電流変換器の極性反転出力と上記負極側ロゴスキー電流変換器の出力と上記交流電流検出器の出力との和が零レベルとなるタイミングを検出して上記中性極側ロゴスキー電流変換器の積分器の出力を零にリセットするリセット信号を発生する中性極側リセット回路を備えたことを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。 - 交流出力電流が零レベルとなるタイミングを検出し、当該タイミングから所定時間リセット回路の出力を禁止するようにしたことを特徴とする請求項11または12に記載の電力変換装置の直流電流検出装置。
- 請求項5に記載のロゴスキー電流変換器の出力と請求項6に記載のロゴスキー電流変換器の出力とを加算、または請求項11に記載の正極側ロゴスキー電流変換器の出力と負極側ロゴスキー電流変換器の出力とを加算して2レベルインバータの交流出力電流を検出する加算器を備えたことを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。
- 請求項7に記載のロゴスキー電流変換器の出力と請求項8に記載のロゴスキー電流変換器の出力と請求項9に記載のロゴスキー電流変換器の出力とを加算、または請求項12に記載の正極側ロゴスキー電流変換器の出力と負極側ロゴスキー電流変換器の出力と中性極側ロゴスキー電流変換器の出力とを加算して3レベルインバータの交流出力電流を検出する加算器を備えたことを特徴とする電力変換装置の直流電流検出装置。
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