JP4286411B2 - フッ素樹脂系繊維、シート状物およびそれらの製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂系繊維、シート状物およびそれらの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、耐薬品性、低摩擦係数あるいは低誘電率はもちろん、捕集性、絡み性に優れ、さらに伸度が小さく寸法安定性の優れた、また成型加工時の変形が小さいシート状物を提供することができるフッ素樹脂系繊維、シート状物およびそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フッ素樹脂系繊維はその極めて優れた特性、例えば耐熱性、耐薬品性、低摩擦係数あるいは低誘電率などから、他の高分子材料に比べ特異な存在であり産業資材用途に広く利用されている。更にまたフッ素樹脂系繊維を用いたシート状物として織物、編み物、不織布、紙などが知られている。中でも四フッ化エチレン樹脂繊維は、四フッ化エチレン樹脂微粒子と高分子物質を混合して紡糸する製造方法により、3d(3.3dtex )程度の細さの繊維が商業的に得られている。
【0003】
しかし、トナー封止材については、トナーのカラー化によりトナーの微粒子化が進み、封止材に使用される繊維の細繊度化が要求されており、また、フィルター材においても、捕集効率の向上の面から、繊維の細繊度化が要求されており、さらに、プリント基板用材料においても、回路の微細化により、場所による誘電率のバラツキが生じることは好ましくなく、この用途でも、繊維の細繊度化が要求されている。さらにプリント基板用材料として、湿式抄紙による紙を用いた場合、現在商業的に提供されている延伸されたPTFE繊維は、繊維同士の絡み合いが弱く、バインダなしでは抄紙できないという問題があった。
【0004】
そこでPTFE繊維の未延伸糸を用い、未延伸糸の柔軟性と表面性、密着性あるいは該未延伸糸中に含まれる紡糸用の助剤の接着性の機能を活用することで、フッ素繊維のみからなる紙状物が得られている(特開平3−97993)。しかしこの方法により得られる紙状物は、未延伸糸を用いているために紙状物の伸度が大きく、寸法安定性に劣り、また成型加工時の変形が大きい欠点があった。
【0005】
一方、細い繊度の四フッ化エチレン樹脂繊維に関しては、特開昭63−126911号によれば、四フッ化エチレン樹脂微粒子と高分子物質を混合して海島複合紡糸することで、該繊維の極細品について繊度が0.09d(0.1dtex)のものが得られるとの提案がなされているが、しかし、かかる技術によって得られた極細繊維が、商業化されているという形跡も痕跡も見当たらない。
【0006】
また実用新案登録第2571634号によれば、フッ素樹脂系繊維をタフティングまたはニードルパンチにより立毛布帛とし、板ガラスで摩耗処理することにより、先端がフィブリル化して、すり減った状態のウインドガラススタビライザが得られるとの提案がなされている。しかし、かかる技術によって得られるシート状物は、繊維の先端のみがフィブリル化して摩耗しているだけであり、トナー封止材、フィルター材、プリント基板用材料に求められるシート状物全体での細繊度化には全く不十分であり、かつ、繊維同士の絡み合いを強くすることに関しても全く不十分であった。
【0007】
またフッ素樹脂系繊維は単繊維間の摩擦係数が極めて小さいために、例えばフェルトの原反より所定の寸法に切断した場合、切断面より単繊維が離脱し、一種のゴミとなって、塵埃を発生してしまう問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、フッ素樹脂系繊維の特性である耐熱性、耐薬品性、低誘電率あるいは低摩擦係数などの特性を損なうことなく、より微少な粉塵やトナーの捕集性に優れ、かつ、構成繊維同士の絡み性に優れ、さらに伸度が小さく寸法安定性の優れた、また成型加工時の変形が小さいシート状物を提供することができるフッ素樹脂系繊維、シート状物およびそれらの製造方法を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。すなわち、本発明のフッ素樹脂系繊維は、ウォータージェットパンチ処理により複数本に分割されてなる分割繊維を有する延伸されたポリ4フッ化エチレンからなる単繊維であって、かつ、該分割繊維の本数が該繊維の長さ方向で分布を持ち、かつ、該分割繊維の最小繊度が0.1dtex以下であることを特徴とするものである。
【0010】
また、かかるフッ素樹脂系繊維の製造方法は、マトリックス紡糸法、エマルジョン紡糸またはペースト押出し法により紡糸した後、焼成し、次いで熱延伸して得られるフッ素樹脂系繊維を、ウォータージェットパンチ処理するか、もしくは、擦り潰しあるいは叩解して、フィブリル化することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のシート状物の製造方法は、マトリックス紡糸法、エマルジョン紡糸またはペースト押出し法により紡糸した後、焼成し、次いで熱延伸して得られるフッ素樹脂系繊維を含む繊維基材で構成されるシート状物に、ウォータージェットパンチ処理するか、もしくは、擦り潰しあるいは叩解して、該フッ素樹脂系繊維をフィブリル化することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまりフッ素樹脂系繊維の特性である耐熱性、耐薬品性、低誘電率あるいは低摩擦係数などの特性を損なうことなく、より微少な粉塵やトナーの捕集性に優れ、かつ、構成繊維同士の絡み性に優れ、さらに伸度が小さく寸法安定性の優れた、また成型加工時の変形が小さいシート状物を提供することができるフッ素樹脂系繊維について、鋭意検討し、特定なフィブリルを有する繊維にしてみたところ、意外にもかかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0013】
本発明の提供する延伸糸のフッ素樹脂系繊維の最小繊度は0.1dtex以下が好ましい。なぜなら最小繊度が0.1dtex以下のフィブリル化した繊維では、シート化したときに、強酸・強アルカリ・高温薬剤あるいは高温ガスなどに含まれる微細な粉塵を効率的に濾過するフィルター機能を発揮することができることを見出した。
【0014】
本発明のフッ素樹脂系繊維としては、重合体の繰り返し構造単位の90%以上が、主鎖または側鎖にフッ素原子を1個以上含むモノマーで構成された繊維であればいずれのものでも使用できるが、フッ素原子数の多いモノマーで構成された繊維ほど好ましく、例えば4フッ化エチレン- 6フッ化プロピレン共重合体(FEP) 、4フッ化エチレン- パーフロロアルコキシ基共重合体(PFA)または4フッ化エチレン- オレフィン共重合体(ETFE)などが例示できる。さらに好ましくはポリ4フッ化エチレン(PTFE)を用いることが、耐熱性あるいは誘電率の点からよい。
【0015】
また、かかるフッ素樹脂系繊維は、従来公知のマトリックス紡糸法により製造されるものがよいが、さらにまた従来公知のエマルジョン紡糸またはペースト押出しなどによって得られるものも差し支えなく用いられる。
【0016】
ここでいうマトリックス紡糸法とは、例えば特公昭42−3691号公報(米国特許第2、772,444号明細書)にあるように、ビスコースをマトリックスとしたポリテトラフルオロエチレンの分散液を湿式紡糸し、次いで340〜400℃で焼成・熱融着した後に熱延伸する製法である。また、エマルジョン紡糸法とは、ポリテトラフルオロエチレンのエマルジョン溶液に、例えばセルロース系などの適当なバインダを混合して紡糸した後、エマルジョン溶媒を脱離せしめ、さらに該糸条を焼結・延伸せしめることによって、バインダ成分のみを除去し得る製法である。さらにまたペースト押出し法とは、ポリテトラフルオロエチレンの粉末をワックス状潤滑剤と混練したものから棒状物を成型加工した後に、該潤滑剤を除去し、しかる後に延伸処理する製法である。
【0017】
本発明のフッ素樹脂系繊維としては、該ペースト押出し法により得られる棒状物をスリット加工して得られる繊維状物も含む。さらにまた、ポリテトラフルオロエチレンの粉末を高温・高圧下で円柱状に成型加工した後に外周にそって薄く幅広のフィルム形状に切断して、さらにスリット加工し、熱延伸することで得られる繊維状物も差し支えなく用いることができる。
【0018】
本発明のかかる分割繊維を有するフッ素樹脂系繊維は、ウォータージェットパンチ処理により製造される。かかるウォータージェットパンチ処理の水圧としては、4.9×10N/m 〜19.6×10N/mが良い。なぜなら水圧が4.9×10N/m 未満では物理的衝撃が十分でないため繊維が分割せず、さらに19.6×10N/m を越える高い圧力では、ウォータージェットパンチ装置のノズルが水圧に耐えられず破壊してしまうためである。
【0019】
また上記ウォータージェットパンチの処理時間は、5〜20秒間が好ましい。なぜなら処理時間が、5秒未満では物理的衝撃の作用する時間が短いため、繊維が分割せず、また処理時間が20秒を越えると、ウォータージェットマシンの試料コンベア上に該繊維が絡みつき、容易に剥がれなくなったり、あるいは、分割繊維が細かく切断されて、処理水とともに流れてしまうためである。
【0020】
また上記ウォータージェットパンチ処理時の延伸糸のフッ素繊維の形態は、フッ素繊維のフィラメントを、かせに巻くかあるいはボビンから直接巻き上げつつ、連続的にウォータージェットパンチ処理することが好ましい。かせに巻く場合は、トータル繊度が30万dtex以下が好ましい。なぜなら30万dtexを越える糸量では、水流の直接当たる面積が小さくなり、十分な物理的衝撃を得られないからである。
【0021】
割繊維を有するフッ素樹脂系繊維は、機械的な擦り潰しあるいは叩解することで、フィブリル化またはパルプ化することができる。機械的な擦り潰し手段としては、例えば乳鉢に該繊維を投入し、乳棒を用いて60分以上連続的に処理することで得ることができる。フッ素樹脂系繊維パルプの濾水度は、JIS P-8121(カナダ標準形)に基づいて測定したものである。
【0022】
本発明のシート状物は、該フッ素樹脂系繊維を好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上含むものがよい。なぜなら該フッ素樹脂系繊維の含有率が、5重量%未満であるシート状物は、フィルターとして用いた場合、微小な粉塵を捕捉することができず、従来フィルター並の捕集効率しか示さないからである。さらにまた該フッ素樹脂系繊維の含有率が、50重量%未満のシート状物では、プリント基板用材料として用いた場合、繊維の分散性が悪く、シート状物の各部で誘電率が不均一であるようなプリント基板用材料しか得ることができないからである。
【0023】
さらに本発明のかかるシート状物は、シート状物の空隙を微小化したり、あるいは、該フッ素樹脂系繊維の分散性を向上したものを提供することができる。かかるシート状物は、微小粒子化するカラープリンタ用のトナー封止材や、あるいは、より微小な粉塵を捕捉できるフィルター材、場所によって誘電率にバラツキの生じないプリント基板用材料などを提供するために有効に使用されるものである。
【0024】
また、本発明のシート状物によれば、該フッ素樹脂系繊維の延伸糸のみを用いて、バインダーを用いない湿式抄紙によるプリント基板用材料を提供することもできるものである。かかるプリント基板用材料は、該フッ素樹脂系繊維の延伸糸を用いているため、未延伸糸を用いたものより、伸度の小さい寸法安定性の優れた、また、成型加工時の変形が小さいプリント基板用材料を提供することができる。
【0025】
また本発明は、例えばフェルトの原反より所定の寸法に切断した場合、切断面より単繊維が離脱し、一種のゴミとなって発生してしまう問題があったが、フィブリル化して繊維同士の絡みが強くなった延伸糸のフッ素樹脂系繊維を用いることで、フッ素樹脂系繊維の離脱の極めて少ないシート状物を提供することができるものである。
【0026】
本発明でいうシート状物としては、織物・編み物・不織布・紙があり、さらにこれらを組み合わせて得られる構造体も含むものである。これらシート状物は従来公知の方法で製造される。タテ糸とヨコ糸を直角に配列し、上下に交差させることで織物が得られ、また糸でループを作り、そのループにまた糸をくぐらせてループを作ることを繰り返していくことで編み物が得られる。不織布は、短繊維をカーディングして、ウェッブ成形体とした後、ニードルパンチあるいはウォータージェットパンチ処理などにより、繊維を絡合一体化して得ることができる。また、紙は湿式抄紙することで得ることができる。上記湿式抄紙により得られる紙は、紙を構成している延伸糸のフッ素樹脂系繊維がフィブリル化して延伸単繊維が複数本数に分割していることより、繊維同士の絡みが向上しているため、延伸糸のフッ素樹脂系繊維100%で、すなわちバインダーなしで紙の形状を保持することが可能である。
【0027】
本発明のトナー封止材は、フィブリル化して分割したフッ素樹脂系繊維を織物、不織布または紙に加工して得ることができる。該繊維を用いることで、トナー封止材の空隙は微小化し、微粒子であるカラートナー用のシール機能を十分満たすことができる。またフィブリル化した延伸糸のフッ素樹脂系繊維を用いることで繊維同士の絡みが向上し、所定の寸法に切断しても切断面から離脱する繊維が極めて少なく、ゴミの発生を防ぐことができる。このトナー封止材は、上記のフィブリル化した延伸糸のフッ素樹脂系繊維の例えば植毛体を加熱処理してフェルト化することなどで得ることができる。
【0028】
また本発明のフィルター材は、フィブリル化した延伸糸のフッ素樹脂系繊維を織物、不織布または紙に加工して得ることができる。この加工法は例えばポリ四フッ化エチレンを用いた基布に、本発明による延伸ポリ四フッ化エチレン繊維のカット綿を配し、例えばニードルパンチを施して基布と一体化させることでも得ることができる。該繊維を用いてフィルター材を加工することで、フィルターの表面積は飛躍的に向上し捕集効率が改善する。さらにフィルターの表面積が増加し、かつ、フィルターの通気量をフィブリル化処理していないフッ素樹脂系繊維よりなるフィルター並に抑えることができるため、圧力損失が低く、捕集効率の高いフィルター材を提供することができる。
【0029】
本発明のプリント基板用材料は、フィブリル化した延伸糸のフッ素樹脂系繊維を織物または紙に加工して得ることができる。該繊維よりなる織物または紙に銅箔を積層し、熱硬化性樹脂を接着剤として真空プレス処理することで得ることができる。前記の熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂およびイソシアネート樹脂から選ばれる少なくとも1種を使用することにより、耐熱面から実用性に優れたものを提供することができる。
【0030】
上記真空プレス処理は、該繊維よりなる織物または紙に銅箔を積層した試料を、真空雰囲気下に置き、熱硬化性樹脂の熱硬化する温度以上に設定し、さらに圧力を加える処理である。真空プレス処理により得られた銅張積層板の表面をエッチング処理することで、誘電率測定用の試料を得ることができる。
【0031】
該フッ素樹脂系繊維を用いてプリント基板用材料を加工することで、構成繊維の分散性が向上し、誘電率が均一なプリント基板用材料を得ることができる。
【0032】
また本発明のフィブリル化した延伸糸のフッ素樹脂系繊維よりなるシート状物を得る方法として、分割していない従来の延伸フッ素樹脂系繊維を公知の方法でシート状物に加工し、しかる後にウォータージェットパンチ処理することで得ることができる。この方法によりシート状物の表面を選択的にフィブリル化することができ、またウォータージェットパンチの処理条件によってフィブリル化の割合も調節することができる。
【0033】
【実施例】
以下実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
PTFEマルチフィラメント(東レ・ファインケミカル製TOYOFLON400D−60F−200)を、600回かせに巻き、15秒間ウォータージェットパンチ処理し、フィブリル化する。水圧は14.7×106N/m2 である。得られたマルチフィラメント1を70mmにカットしてステープルファイバー1とした。つづいてPTFEマルチフィラメントよりなる織物(東レ・ファインケミカル製TOYOFLON #4378)の表裏両側に、上記のフィブリル化したステープルファイバー1を配した後、350×10本/m でニードルパンチ処理して一体化し、フェルト加工物1を得た。
(実施例2)
実施例1で得られたマルチフィラメント1を、2.0mmにカットしてステープルファイバー2を得た。このステープルファイバー2にフッ素系界面活性剤サーフロン(旭硝子株式会社製SURFLON S−131)を1重量%添加して、水に分散させ、湿式抄紙することで紙1を得た。さらにこの紙1にエポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製EPICLON 1121N−80M)を含浸して、155℃に10分間保持し、樹脂を半硬化した。この樹脂含浸シートを5枚積層し、上下に銅箔(日鉱グールド・フォイル株式会社製JTC −1/2 Oz)を設けて一体化し、170℃、2.94×106N/m2 で60分間真空プレス処理することでプリント基板用材料1を得た。
(実施例3)
PTFEステープルファイバー(東レ・ファインケミカル製TOYOFLON6.7d×70mm)をカーディング処理し、PTFEマルチフィラメントよりなる織物(東レ・ファインケミカル製TOYOFLON #4378)の表裏両側に積層して、350×10本/mでニードルパンチ処理して一体化し、フェルト加工物を得た。このフェルト加工物を水圧14.7×10N/mで15秒間ウォータージェットパンチ処理し、表面のフィブリル化したフェルト加工物2を得た。
参考例1
PTFEステープルファイバー(東レ・ファインケミカル製TOYOFLON6.7d×70mm)にフッ素系界面活性剤サーフロン(旭硝子株式会社製SURFLON S−131)を1重量%添加し、わずかな水とともに乳鉢に採取して、擦り潰し処理を120分間実施することで、濾水度が700mlであるフィブリル化(パルプ化)したPTFE繊維1を得た。このPTFE繊維1を湿式抄紙することで紙を得た。さらにこの紙にエポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製EPICLON 1121N−80M)を含浸して、155℃に10分間保持し、樹脂を半硬化した。この樹脂含浸シートを5枚積層し、上下に銅箔(日鉱グールド・フォイル株式会社製JTC −1/2 Oz)を設けて一体化し、170℃、2.94×10N/mで60分間真空プレス処理することでプリント基板用材料2を得た。
(実施例
実施例2で得られた紙1を、160℃、29.4×10N/mの条件でカレンダー処理し、熱融着による結合を生じせしめて強力の向上したシート状物1を得た。
(比較例1)
PTFEマルチフィラメントよりなる織物(東レ・ファインケミカル製TOYOFLON #4378)の表裏両側にPTFEステープルファイバー(東レ・ファインケミカル製TOYOFLON 6.7d×70mm)を配して、350×10本/mでニードルパンチ処理して一体化し、フェルト加工物3を得た。
(比較例2)
PTFEステープルファイバー(東レ・ファインケミカル製TOYOFLON6.7d×20mm )を湿式抄紙したが、シート強度が弱く、紙に加工できなかった。そこでこのPTFEステープルファイバーに、水系エポキシ樹脂バインダーを50重量%添加し、湿式抄紙後に155℃に10分間保持し、樹脂を半硬化させて樹脂含浸シートを得た。この樹脂含浸シートを5枚積層し、上下に銅箔(日鉱グールド・フォイル株式会社製JTC −1/2 Oz)を設けて一体化し、170℃、2.94×10N/mで60分間真空プレス処理することでプリント基板用材料3を得た。
(比較例3)
エマルジョン紡糸法によって得たPTFEを主成分とする4mm長にカットしたPTFE未延伸糸50%と延伸加工し6mm長にカットしたPTFE繊維50%とを配合し、水中で攪拌混合した原料を用いて、湿式抄紙することで紙2を得た。この紙2を遠赤外線ヒーターを用いて400℃で1分間加熱処理し、更に電気式恒温器を用いて380℃で2時間加熱処理し、シート状物2を得た。
【0034】
実施例1と参考例1で用いたステープルファイバー1とパルプ化したPTFE繊維1について、繊維の分割本数を測定した。また、実施例1〜4、参考例1及び比較例1〜3で作製したシート状物の評価方法は次の方法により行った。これらの結果を表1と表2に示す。
[繊維の分割本数]電子顕微鏡写真を1000倍の倍率で撮影し、繊維の長さ方向に5μmごとに存在する繊維の直径を読みとる。分割されていない繊維の断面積と読み取った繊維径から求めた断面積との比から分割本数を求める。
[通気量]JIS L 1096フラジール形法にて測定。
[捕集効率]重量法にて測定。風速0.08m/s、使用ダストJIS試験用10種、ダスト濃度14×10- kg/m、ダスト負荷時間300秒の条件でサンプルにダストを負荷した際の捕集量および漏れ量を測定して捕集効率を計算した。
[切断面よりの離脱]ステンレス製のトリミング用片刃カミソリで試料に長さが3cmの切断面を入れ、この切断面より離脱した単繊維の数を数えた。
[誘電率]JIS C 6481に記載の方法で測定。プリント基板用材料の銅箔を規定の形状にエッチングにより処理し、しかる後に変圧器ブリッジ法測定回路に組み込み測定。誘電率は電極面積、電極間距離および測定用コンデンサの静電容量から計算で求めた。測定周波数は1MHzで実施した。
[伸び]JIS P 8132に記載の方法で測定。試験片のサイズは長さ200mm、幅15mmであり、つかみ間隔は180mmにて測定した。
【0035】
【表1】
Figure 0004286411
【0036】
表1の試験結果から明らかなようにフィブリル化した繊維は、分割繊維の本数が繊維の長さ方向で分布を持っている。
【0037】
【表2】
Figure 0004286411
【0038】
表2から明らかなように、フェルト加工物に関しては、目付・通気量は実施例と比較例がほぼ同じ水準でありながら捕集効率は実施例の方が優れている。また切断面からの短繊維の離脱も実施例の方が少なく優れている。さらにまたプリント基板用材料に関しては、誘電率のバラツキも実施例の方が小さく従来プリント基板用材料より優れている。シート状物の場合、未延伸糸を使用した比較例よりも実施例の方が伸度が小さく、寸法安定性に優れ、また成型加工時の形状が安定なシート状物が得られた。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、フッ素樹脂系繊維の特性である耐熱性、耐薬品性、低誘電率あるいは低摩擦係数などの特性を損なうことなく、捕集効果、トナー封止効果、さらに構成繊維同士の絡み性、分散性に優れたフッ素樹脂系繊維を提供することができるので、特にトナー封止材、フィルター材、プリント基板用材料に好適な素材を提供することができる。

Claims (12)

  1. ウォータージェットパンチ処理により複数本に分割されてなる分割繊維を有する延伸されたポリ4フッ化エチレンからなる単繊維であって、かつ、該分割繊維の本数が該繊維の長さ方向で分布を持ち、かつ、該分割繊維の最小繊度が0.1dtex以下であることを特徴とするフッ素樹脂系繊維。
  2. 前記ウォータージェットパンチ処理の水圧が水圧が14.7×10 N/m 〜19.6×10 N/m であることを特徴とする請求項1に記載のフッ素樹脂系繊維。
  3. 該フッ素樹脂系繊維が、該繊維の長さ方向に分割繊維の本数を数えたとき、該本数が1本から6500本の間で分布している請求項1または2記載のフッ素樹脂系繊維。
  4. 繊維基材で構成されるシート状物において、該繊維基材を構成する繊維として、ウォータージェットパンチ処理により複数本に分割されてなる分割繊維を有する延伸された単繊維であって、かつ、該分割繊維の本数が繊維の長さ方向で分布を持ち、かつ、該分割繊維の最小繊度が0.1dtex以下であるフッ素樹脂系繊維が含まれていることを特徴とするシート状物。
  5. 該フッ素樹脂系繊維が、該シート状物中に5重量%以上含まれているものである請求項4記載のシート状物。
  6. 該シート状物が、織物、編物、不織布および紙から選ばれた少なくとも1種である請求項4または5記載のシート状物。
  7. 該紙が、延伸されたフッ素樹脂系繊維のみからなるものである請求項記載のシート状物。
  8. 該シート状物が、フィルター材用、トナー封止材用またはプリント基板用である請求項4〜7のいずれかに記載のシート状物。
  9. マトリックス紡糸法、エマルジョン紡糸またはペースト押出し法により紡糸した後、焼成し、次いで熱延伸して得られるフッ素樹脂系焼成繊維を、ウォータージェットパンチ処理して、フィブリル化することを特徴とするフッ素樹脂系繊維の製造方法。
  10. 該ウォータージェットパンチ処理が、水圧が14.7×10N/m〜19.6×10N/mで、処理時間が5〜20秒間である請求項9記載のフッ素樹脂系繊維の製造方法。
  11. マトリックス紡糸法、エマルジョン紡糸またはペースト押出し法により紡糸した後、焼成し、次いで熱延伸して得られるフッ素樹脂系繊維を含む繊維基材で構成されるシート状物に、ウォータージェットパンチ処理して、該フッ素樹脂系繊維をフィブリル化することを特徴とするシート状物の製造方法。
  12. 該ウォータージェットパンチ処理が、水圧が14.7×10N/m〜19.6×10N/mで処理時間が5〜20秒間である請求項11記載のシート状物の製造方法。
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