JP4284738B2 - 超音波流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の超音波流量計は図11に示されているように、流体の中に配置し超音波を送信する送信器1と、受信する受信器2と、送信器1を駆動する送信回路3と、被測定流体を伝搬した超音波を受信する受信機2の出力信号から受信判定し送信回路1に出力する受信検知回路4と、測定開始信号を送信回路3に出力する制御部5と、超音波の送信から受信、そして帰還までの繰り返しの回数を計測するカウンタ6と、1回目の超音波の送信開始から繰り返しの回数が所定回数に達するまでの時間を計測するタイマ7と、タイマ7の値から流量を求める演算部8とを備えていた。
【0003】
つぎに動作を説明する。まず制御部5が測定開始信号を送信回路3に出力する。測定開始信号を受けた送信回路3は送信器1を駆動し、送信器1は超音波を送信する。受信器2は被測定流体を伝搬してきた超音波を受信し受信信号を受信検知回路4に出力する。受信検知回路4は受信判定を行い超音波の受信を確認し送信回路3に出力を行う。受信検知回路4の出力を受けた送信回路3は再度超音波振動子1を駆動する。カウンタ6はこの超音波の送信から受信の回数を数え、この回数がカウンタ6の設定値(N回)に達した場合タイマ7を停止させる。タイマ7は測定開始からの時間を計測しており、この時のタイマ7の値t1は超音波の伝搬時間のN倍となる。この値をもとに演算部8は次の計算によって流量を求める。
【0004】
超音波の伝搬距離をL、被測定流体の流れる断面積をS、被測定流体の静止時の音速をC、被測定流体の流速をV、上流から下流方向への伝搬時間をt1、カウンタ7の設定値とした場合の流量Qを求める計算式を(式1)に示す。
【0005】
Q=S[{L/(t/N)}−C] (式1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の超音波流量計では、超音波の送信を一定周期毎におこなっており、受信器2は超音波の伝搬経路で反射した超音波や、以前の周期に送信した超音波の残響と重なり合ったものを受信するため、測定誤差が生じていた。
【0007】
またこの現象は伝搬時間によって程度が変化し伝搬時間は温度、ガス成分によって変動するため補正を行うことは不可能であり、この測定誤差を低減するという課題があった。
【0008】
また送信までの時間を遅延させる遅延回路を付加し、遅延量を時間的に変更することによって測定誤差を低減するという方法も考えられていたが、演算のために必要な遅延時間を正確に求めることができないため、測定精度を大幅に向上させることはできなかった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、駆動周波数変更部が駆動回路の駆動周波数を時間的に変更するものである。
【0010】
上記発明によれば駆動周波数変更部が時間的に超音波振動子の駆動周波数を変更するため、残響、反射波が受信信号に与える影響が一定でなく、分散平均化するため測定誤差を偏らせることがなく測定精度が向上する。
【0013】
本発明の請求項1に係る超音波流量計は、超音波信号を送信する送信器と、前記送信器を駆動する駆動回路と、前記送信器から送信され流体を伝搬した超音波信号を受信する受信器と、前記受信器の出力を受け超音波信号を検知する受信検知回路と、前記受信検知回路の出力を受け前記送信器へ出力し再度超音波の送信を行わせる帰還回路と、前記帰還回路の帰還回数を測定するカウンタと、前記送信器による超音波発信開始から前記カウンタがあらかじめ設定した終了回数に達するまでの時間を測定するタイマと、前記タイマの出力信号より流量を演算によって求める演算部と、前記駆動回路の駆動周波数を変更する駆動周波数変更部とを有する。
【0014】
そして、複数回の超音波の伝搬を連続して行いその総時間をタイマで計測しているので伝搬時間1回あたりの測定分解能が良くなると同時に、駆動周波数変更部が帰還動作毎に前記駆動回路の駆動周波数を変更するため、超音波の伝搬経路にくり返し送信によって発生する定在波が発生せず、残響、反射波が受信信号に与える影響が分散平均化するため測定誤差の偏りをなくすことができる。
【0015】
本発明の請求項2に係る超音波流量計は駆動周波数変更部が周波数を変更するパターン数の整数倍を帰還回数とするため、それぞれの駆動周波数で発生する誤差を常に均一に演算に使用するので、帰還回数の変更時に演算結果が変動することがなく安定した測定結果を得ることができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る超音波流量計は駆動回路が送信器を駆動中に駆動周波数変更部が駆動周波数を変更するため、単一の周波数で送信器を駆動した場合と比較し送受信の感度に大きな変化がなく、周波数の変更によって補正を行う必要がなくなり、回路構成が簡単となると同時に、補正によって生じる誤差が発生しない。
【0017】
本発明の請求項4に係る超音波流量計は駆動周波数変更部の変更する周波数が、送・受信器間の超音波送受信感度がほぼ同じ周波数に変更するので、周波数の変更時に送受信の感度を送信出力あるいは受信感度によって補正する必要がなく、回路構成が簡単となると同時に、補正によって生じる誤差が発生しない。
【0018】
本発明の請求項5に係る超音波流量計は周波数を不規則に変更するため、送信信号の規則性を完全になくすことができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0020】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の超音波流量計を示すブロック図、図2は同超音波流量計の送信器の駆動周波数の変化を表す図である。
【0021】
図1において1は超音波信号を送信する送信器、2は送信器1から送信され流体を伝搬した超音波信号を受信する受信器、9は送信器1を駆動する駆動回路、10は受信器2の出力を受け超音波信号を検知する受信検知回路、11は超音波信号の伝搬時間を測定するタイマ、12はタイマ11の出力より流量を演算によって求める演算部、13は駆動回路9の駆動周波数を変更する駆動周波数変更部、14は駆動周波数変更部と駆動回路9とタイマに信号を出力する制御部である。
【0022】
次に動作、作用について説明すると、まず制御部14が駆動周波数を決定する信号を駆動周波数変更部13に出力し送信器1を駆動する周波数を決定する。次に制御部14が駆動回路9に送信開始信号を出力すると同時にタイマ11の時間計測をスタートさせる。駆動回路9は送信開始信号を受けると駆動周波数変更部によって決まる駆動周波数によって送信器1を駆動し超音波を送信させる。送信された超音波は流体中を伝搬し受信器2で受信され電気信号に変換され受信検知回路10に出力される。受信検知回路10では受信信号の受信タイミングを決定しタイマ11を停止させる。
【0023】
そして演算部12ではタイマ11で計測した伝搬時間より流量を演算によって求める。くり返し同じ動作を行うが、その都度制御部14は駆動周波数変更部13へ出力する信号を変化させ駆動回路9の駆動周波数を変更する。図2に駆動周波数の変動のよう子を示し、横軸は測定回数、縦軸に駆動周波数を示す。このように駆動周波数変更部13が送信器1の駆動周波数を時間的に変更し送信を行うため、残響、反射波が受信信号に与える影響が分散平均化するため測定誤差の偏りをなくすことができる。
【0024】
なお、この例では駆動周波数を不規則に変更しているが、一定のパターンで変更してもよい。また、一方向のみ超音波を送信して流量を求めているが、両方向へ超音波を送信してその逆数差より流量を求める方法においても同ように駆動周波数を変更する手法は有効である。
【0025】
(実施例2)
図3は本発明の実施例2の超音波流量計を示すブロック図、図4は同超音波流量計の送受信のタイミングと送信周波数を示す図である。
【0026】
本実施例2において、実施例1と異なる点は受信検知回路の出力を帰還信号として駆動回路15に帰還しその帰還回数をカウンタ16で計測している点と、カウンタ16の出力によって駆動周波数変更部13が駆動回路15の駆動周波数を変更している点である。
【0027】
なお、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0028】
動作、作用について説明すると、まづに制御部14が駆動回路15に送信開始信号を出力すると同時にタイマ11の時間計測をスタートさせる。駆動回路15は送信開始信号を受けると駆動周波数変更部の初期値によって決まる駆動周波数によって送信器1を駆動し超音波を送信させる。送信された超音波は流体中を伝搬し受信器2で受信され電気信号に変換され受信検知回路10に出力される。受信検知回路10では受信信号の受信タイミングを決定し受信検知信号を駆動回路15に出力する。駆動周波数変更部13はカウンタ16の出力を受け駆動周波数を変更するよう駆動回路へ信号を出力する。駆動回路15は受信検知信号を受けると再度駆動周波数変更部13で決まる駆動周波数で送信器1を駆動する。図2にカウンタの値と駆動周波数の変化を示す。カウンタ16にはあらかじめ終了帰還回数が設定してあり、その回数に達し駆動回路15への帰還信号出力を停止すると同時にタイマ11を停止させ時間計測を終了させる。演算部12ではタイマ11で測定した時間より終了帰還回数を考慮し演算によって流量を求める。このように駆動周波数変更部13が送信器1の駆動周波数を帰還回数に応じて変更し送信を行うため、超音波の伝搬経路の残響、反射波が受信信号に与える影響が分散平均化するため測定誤差の偏りをなくすことができる。
【0029】
また、終了帰還回数を周波数の変更パターン数(たとえば変更する駆動周波数を90KHz、100KHz、110KHzとするとパターン数は3となる)の整数倍とすることによって、それぞれの周波数で生じる誤差を均一に演算に用いるため誤差が平均、分散化するので測定誤差が偏ることない。
【0030】
(実施例3)
図5は本発明の実施例3の超音波流量計を示すブロック図、図6は同超音波流量計の駆動波形を示す図、図7は同超音波流量計の送受信器間の信号感度を示す図である。本実施例3において、実施例1と異なる点は測定毎に駆動回路9の駆動周波数を変更するのではなく、駆動回路出力を駆動周波数変更部13に入力し駆動中に周波数を変更している点である。
【0031】
なお、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0032】
動作、作用について説明すると、駆動回路9が送信器1を駆動する信号を駆動周波数変更部13にも入力し、送信器1を駆動する駆動周波数をその都度変更する。
【0033】
図6に駆動周波数の変化の様子を示す。図6のように駆動周波数は駆動周期毎に変化する。また図7に駆動周波数の変更範囲と送受器間の感度を示す。図7で示すf1からf2の間を均一に駆動周波数を変更するように設定しているので、単独周波数faとfbで駆動した場合の差と比較して測定毎の差が小さくなるので、送受信の感度に大きな変化がなく、周波数の変更によって感度補正を行う必要がなくなり、回路構成が簡単となると同時に、補正によって生じる誤差が発生しない。
【0034】
(実施例4)
図8は本発明の実施例4の超音波流量計のブロック図、図9は同超音波流量計の駆動周波数と送受信器間の感度を示す図である。
【0035】
本実施例2において、実施例1と異なる点は駆動周波数変更部13が周波数設定部A17、周波数設定部B18、周波数設定部C19、周波数設定部D20、と周波数設定部A17−D20の出力を選択し駆動回路9に出力する周波数選定回路21によって構成されており、周波数設定部A17−D20が設定している駆動周波数のすべてが送受信器間の感度がほぼ等しい周波数であることである。
【0036】
なお、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0037】
図9に送受信器間の感度と駆動周波数の関係を示す。このように周波数設定部A17−D20の設定している周波数がそれぞれf1−f4にあたり、駆動周波数を変更しても送受信器間の感度が変わらないので、周波数を変更した時に送受信の感度を送信出力あるいは受信感度によって補正する必要がなく、回路構成が簡単となると同時に、補正によって生じる誤差が発生しない。
【0038】
ここでは送受信器間の感度を既知のものとして周波数設定部の周波数をあらかじめ設定していたが、駆動周波数を変更し送受信を行い送受信器間の感度を調べ、送受信器間の感度がほぼ同じ駆動周波数を選択することもできる。この場合、周波数設定部はメモリーなどの書き換え可能なものを使用すればその都度最適な周波数を書き込むことができるので、簡単に本発明の構成を実現することができる。
【0039】
(実施例5)
図10は本発明の実施例5の超音波流量計を示すブロック図である。
【0040】
本実施例5において、実施例1と異なる点は周波数変更部の入力が乱数テーブル21となっている点である。
【0041】
なお、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0042】
次に動作、作用を説明すると、乱数テーブル21は制御部14の出力を受け、不規則な周波数信号を周波数変更部へ出力する。このように周波数を完全に不規則に変更するため、送信信号の規則性を完全になくすことができる。このため誤差が平均、分散化するので測定誤差が偏ることない。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかのように本発明の超音波流量計によれば次の効果が得られる。
【0044】
請求項1に係る超音波流量計は駆動周波数変更部が送信器の駆動周波数を時間的に変更し送信を行うため、残響、反射波が受信信号に与える影響が分散平均化するため測定誤差の偏りがなくなり、高精度の超音波流量計が実現できる。
【0045】
また、請求項2に係る超音波流量計は複数回の超音波の伝搬を連続して行いその総時間をタイマで計測しているので伝搬時間1回あたりの測定分解能が良くなると同時に、駆動周波数変更部が帰還動作毎に前記駆動回路の駆動周波数を変更するため、超音波の伝搬経路にくり返し送信によって発生する定在波が発生せず、残響、反射波が受信信号に与える影響が分散平均化するため測定誤差の偏りがなくなり高精度の超音波流量計が実現できる。
【0046】
また、請求項3に係る超音波流量計は駆動周波数変更部が周波数を変更するパターン数の整数倍を帰還回数とするため、それぞれの駆動周波数で発生する誤差を常に均一に演算に使用するので、帰還回数の変更時に演算結果が変動することがなく安定した測定結果を得、高精度の超音波流量計が実現できる。
【0047】
また、請求項4に係る超音波流量計は駆動回路が送信器を駆動中に駆動周波数変更部が駆動周波数を変更するため、単一の周波数で送信器を駆動した場合と比較し送受信の感度に大きな変化がなく、周波数の変更によって補正を行う必要がなくなり、回路構成が簡単となると同時に、補正によって生じる誤差が発生せず高精度の超音波流量計が実現できる。
【0048】
また、請求項5に係る超音波流量計は駆動周波数変更部の変更する周波数が、送・受信器間の超音波送受信感度がほぼ同じ周波数に変更するので、周波数の変更時に送受信の感度を送信出力あるいは受信感度によって補正する必要がなく、回路構成が簡単となると同時に、補正によって生じる誤差が発生せず高精度の超音波流量計が実現できる。
【0049】
また、請求項6に係る超音波流量計は周波数を不規則に変更するため、送信信号の規則性を完全になくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における超音波流量計のブロック図
【図2】同超音波流量計の送信器における駆動周波数の変化を表す図
【図3】本発明の実施例2における超音波流量計のブロック図
【図4】同超音波流量計の送受信のタイミングと送信周波数を示す図
【図5】本発明の実施例3における超音波流量計のブロック図
【図6】同超音波流量計の駆動波形を示す図
【図7】同超音波流量計の送受信器間の信号感度特性図
【図8】本発明の実施例4における超音波流量計のブロック図
【図9】同超音波流量計の駆動周波数と送受信器間の感度特性図
【図10】本発明の実施例5における超音波流量計のブロック図
【図11】従来の超音波流量計のブロック図
【符号の説明】
1 送信器
2 受信器
9 駆動回路
10 受信検知回路
11 タイマ
12 演算部
13 駆動周波数変更部
14 制御部
15 駆動回路
16 カウンタ
Claims (5)
- 超音波信号を送信する送信器と、前記送信器を駆動する駆動回路と、前記送信器から送信され流体を伝搬した超音波信号を受信する受信器と、前記受信器の出力を受け超音波信号を検知する受信検知回路と、前記受信検知回路の出力を受け前記送信器へ出力し再度超音波の送信を行わせる帰還回路と、前記帰還回路の帰還回数を測定するカウンタと、前記送信器による超音波発信開始から前記カウンタがあらかじめ設定した終了回数に達するまでの時間を測定するタイマと、前記タイマの出力より流量を演算によって求める演算部とを有し、前記駆動回路の駆動周波数を変更する駆動周波数変更部とを有し、帰還動作毎に前記駆動回路の駆動周波数を変更する超音波流量計。
- 駆動周波数変更部が周波数を変更するパターン数の整数倍を帰還回数とした請求項1記載の超音波流量計。
- 駆動回路が送信器を駆動中に駆動周波数変更部が駆動周波数を変更する請求項1記載の超音波流量計。
- 駆動周波数変更部の変更する周波数が、送信器と受信器間の超音波送受信感度がほぼ同じ周波数に変更する請求項1記載の超音波流量計。
- 周波数を不規則に変更する請求項1記載の超音波流量計。
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