JP4284490B2 - erbB−2関連ペプチド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、erbB-2関連ペプチド、より詳しくは腫瘍に発現する腫瘍関連抗原の一つとして知られているerbB-2に対する抗体の産生に利用できるペプチド、並びに該ペプチドの発現系(DNA、ベクター、宿主細胞、発現産物など)、該ペプチドを用いて調製されるワクチンなどの医薬組成物および抗体に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
erbB-2は、乳癌、卵巣癌などの腫瘍の細胞表面に発現し、等電点約5.3、1255アミノ酸配列からなる分子量185KDの酸性糖蛋白質である(Yamamoto, T., et al., Nature, 319, 230-234(1986))。該erbB-2は、成人ではその発現が殆ど認められず、胎児期の形態形成に重要な役割を担っていることが知られている。また、生体内でのerbB-2の過剰発現が癌化を誘導することも知られている。
【0003】
これらのことから、erbB-2は癌関連蛋白として、癌治療のターゲットとなり得ることが示唆される。例えば、ヒト乳癌細胞に特異的に結合するマウスモノクローナル抗体を開示した米国特許第4,753,894号公報には、該モノクローナル抗体520C9が、erbB-2を発現しているSKBR-3細胞を特異的に認識することが記載されている。同様のことは、リングらによっても報告されている(Ring., et. al., Molecular Immunology ,28, 915 (1991))。
【0004】
近年、erbB-2発現細胞のアポトーシスを選択的に誘導する抗erbB-2マウスモノクローナル抗体CH401が報告された(Scand. J. Immunol., 39, 459-466 (1994); Jpn. J. Cancer Res., 85, 172-178 (1994)およびJpn. J. Cancer Res., 89, 562-570 (1998))。該抗体は、そのコンスタント領域をヒト型にしたマウス・ヒトキメラモノクローナル抗体であり、該抗体のエピトープは、erbB-2の膜表面領域293-370にあることが示唆されている。また、該抗体はイン・ビトロにおいてG1アレストを経てアポトーシスを誘導し、イン・ビトロにおいても著明な抗腫瘍効果が認められている(佐々木 茂ら, 第37回日本癌治療学会総会,10月(1999))。
【0005】
上記のようにerbB-2は、乳癌、卵巣癌などの腫瘍細胞表面に特異的に発現する蛋白抗原であることから、該抗原との結合能を有し、しかもこの結合によって腫瘍細胞にアポトーシスを誘導することができる抗体が提供できれば、該抗体はそれ自体で癌の治療に有効であり、またそのような抗体の産生を誘導するワクチンの開発を可能とすると考えられる。
【0006】
従って、このような癌細胞に対して選択的にアポトーシスを誘導することができる癌治療用の新たな抗体、およびより有効で安全に適用できるワクチンの開発が、癌に対する抗体療法において所望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、当業界で切望されている癌細胞にアポトーシスを誘導することができる抗体および該抗体を誘導し得るワクチンなどを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、これら抗体およびワクチンなどの製造のためのペプチド、即ち、erbB-2と交差反応性を示し且つアポトーシスを誘導することから癌治療のための抗体の製造に有用なペプチド、を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、上記ペプチドをコードするDNA、該DNAを挿入した組換え体発現ベクター、該ベクターを組込んだ宿主細胞および該細胞により産生される組換え体発現産物を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、上記ペプチドまたは組換え体発現ベクターを有効成分とする医薬組成物、特にワクチンである抗腫瘍医薬組成物(癌ワクチン)を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、研究を重ねた結果、抗erbB-2抗体に高い親和性を有する新規なアミノ酸配列を見出した。また、このアミノ酸配列を含むペプチド(erbB-2関連ペプチド)で免疫して得られる抗血清は、erbB-2と交差反応性を示し且つerbB-2発現細胞SV22に対してアポトーシス誘導活性を示すことを見出した。更に、上記ペプチドは、アポトーシス誘導能を持つ抗erbB-2抗体の製造に利用でき、またこのペプチドがワクチンとして利用できることを見出した。本発明はこれらの知見を基礎として完成されたものである。
【0012】
本発明の要旨は、下記(1)-(17)に示す通りである。
(1) (a)配列番号1から15で示されるいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドまたは(b)上記(a)に記載のアミノ酸配列からなるペプチドの少なくとも1種が融合または連結した配列からなり、erbB-2に対する抗体の産生を誘導する免疫原性を有するペプチド;
(2) (a)配列番号2または3で示されるアミノ酸配列からなるペプチドまたは(b)上記(a)に記載のアミノ酸配列からなるペプチドの少なくとも1種が融合または連結した配列からなり、erbB-2に対する抗体の産生を誘導する免疫原性を有するペプチド;
(3) CH401抗体と特異的に反応するものである上記(1)または(2)に記載のペプチド;
(4) 上記(1)または(2)に記載の少なくとも1種のペプチドと薬学的に許容される担体とからなり、erbB-2に対する抗体の産生を刺激または増強するための医薬組成物;
(5) ワクチンである上記(4)に記載の組成物;
(6) 配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるペプチドと薬学的に許容される担体とからなり、erbB-2を認識する抗体の産生を刺激または増強するための上記(4)または(5)に記載の組成物;
(7) 上記(1)または(2)に記載のペプチドをコードするDNA;
(8) 配列番号2または3で示されるアミノ酸配列からなるペプチドをコードするDNA;
(9) 上記(7)または(8)に記載のDNAの少なくとも1種を含有する組換え体発現ベクター;
(10) 上記(9)に記載の組換え体発現ベクターを組込んだ宿主細胞;
(11) 上記(10)に記載の宿主細胞によって産生される組換え体発現産物;
(12) 上記(9)に記載の組換体発現ベクターを有効成分とする医薬組成物;
(13) DNAワクチンである上記(12)に記載の組成物;
(14) リポソーム製剤形態である上記(4)、(5)、(6)、(12)または(13)に記載の組成物;
(15) 乳癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌および肺癌からなる群から選ばれる癌の処置に用いられる上記(4)、(5)、(6)、(12)、(13)または(14)に記載の組成物;
(16) (a)配列番号1から15で示されるいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドまたは(b)上記(a)に記載のアミノ酸配列からなるペプチドの少なくとも1種が融合または連結した配列からなり、erbB-2に対する抗体の産生を誘導する免疫原性を有するペプチドを含むerbB-2抗体認識抗原;および
(17) 上記(1)または(2)に記載のペプチドを主要抗原として調製された抗体。
【0013】
更に、本発明は下記(18)-(20)に記載の要旨の発明をも提供する。
(18) 前記(4)-(6)および(12)-(15)のいずれかに記載の組成物のワクチンとしての使用;
(19) 前記(4)-(6)および(12)-(15)のいずれかに記載の組成物の抗腫瘍、抗癌または癌転移抑制のための医薬としての使用;および
(20) erbB-2発現性の腫瘍または癌、特に、乳癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌および肺癌からなる群から選ばれる癌の処置のための前記(4)-(6)および(12)-(15)のいずれかに記載の組成物の使用。
【0014】
前記(1)-(3)に記載の本発明erbB-2関連ペプチドには、配列番号1から15に示されるいずれかのアミノ酸配列からなるペプチド((a)として記載)と共に、該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸残基を置換、欠失、付加もしくは挿入することにより改変されたアミノ酸配列からなり且つ改変前のアミノ酸配列からなるペプチドと同一機能乃至活性を有するペプチドが包含される。上記「同一機能乃至活性」は、具体的には抗erbB-2抗体の産生誘導能を挙げることができる。即ち、改変されたアミノ酸配列からなるペプチドを利用して産生される抗体が、erbB-2を認識すること(erbB-2に特異的に結合すること)を上記同一機能乃至活性とする。
【0015】
また、本発明erbB-2関連ペプチドには、上記(a)に記載の特定アミノ酸配列からなるペプチドの少なくとも1種が融合または連結した配列からなり、erbB-2に対する抗体の産生を誘導する免疫原性を有するペプチド((b)として記載)が包含される。
【0016】
ここで、「融合または連結した配列」からなるペプチドには、(b-1)配列番号1から15で示されるアミノ酸配列からなるペプチドの1種が複数個(2個以上、通常数個)結合するか、もしくは上記ペプチドの2種以上が相互に結合した配列からなるペプチド、(b-2)配列番号1から15で示されるアミノ酸配列からなるペプチドの1種もしくは2種以上と慣用のキャリア蛋白乃至ペプチドとが融合した配列からなるペプチド、および(b-3)配列番号1から15で示されるアミノ酸配列からなるペプチドの1種もしくは2種以上(複数個)を保有する多抗原性ペプチド(multiple antigen peptide: MAP)が包含される。
【0017】
該MAPには、デンドリマー構造を有するものが含まれる。該デンドリマー構造の好ましい一つの具体例としては、例えばLys、Arg、Glu、Aspなどのジアミノモノカルボン酸もしくはモノアミノジカルボン酸であるアミノ酸を開始核部分とし、これに同様のアミノ酸(枝)を結合させ、この枝に更に同様のアミノ酸(枝)を結合させ、この結合操作を複数回繰返し、最後に得られる各枝の末端に配列番号1から15に示されるアミノ酸配列からなるペプチドの1種もしくは2種以上を結合させた構造を挙げることができる。その詳細は、後述するとおりである。
【0018】
本明細書におけるアミノ酸、ペプチド、塩基配列、核酸などの略号による表示は、IUPAC、IUBの規定、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」(特許庁編)および当該分野における慣用記号に従うものとする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明 erbB-2 関連ペプチド
本発明のerbB-2関連ペプチドは、erbB-2に対する抗体(抗erbB-2抗体)に特異的な結合性を有することにより特徴付けられる。
【0020】
ここで抗erbB-2抗体は、当該分野における通常の用語として使用され、erbB-2を認識する(erbB-2と結合する)特異抗体として定義される。当該抗体は、関連する他の表面抗原とは交差性を示さないのが好ましい。また、特にモノクローナル抗体であるのが好ましい。
【0021】
配列番号1から15に示されるアミノ酸配列は、抗erbB-2抗体との結合親和性を有するかもしくは抗erbB-2抗体の産生を誘導し得るアミノ酸配列として特徴付けらる。これらの各アミノ酸配列からなるペプチドが本発明erbB-2関連ペプチドのひとつの好適な具体例である。
【0022】
これらの具体的な本発明erbB-2関連ペプチドは、erbB-2の構造的特徴を保持あるいは提示しており、従って、該ペプチドによりその産生が誘導される抗体は、erbB-2に対して特異的な結合性を有する。かかる本発明ペプチドは、その抗原性などを考慮すると、少なくとも5アミノ酸配列の長さ、好ましくは8から60アミノ酸配列の長さ、より好ましくは10から30アミノ酸配列の長さあるいは10から20アミノ酸配列の長さからなっている。
【0023】
上記本発明ペプチドの内では、配列番号2または3(特に好ましくは配列番号2)に示されるアミノ酸配列からなるペプチドが好ましい。
【0024】
また、本発明ペプチドには、配列番号1から15に示されるいずれかのアミノ酸配列からなるか、またはこれらのアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸残基を置換、欠失、付加もしくは挿入することにより改変されたアミノ酸配列からなり且つ改変前のアミノ酸配列からなるペプチドと同一機能乃至活性を有するペプチドが包含される。
【0025】
更に、本発明ペプチド中には、erbB-2に特異的な抗体の産生能を有する免疫原性ペプチド、特に、erbB-2を発現する細胞に対してアポトーシスを誘導する作用を有する抗体の産生能を有する免疫原性ペプチドが包含される。
【0026】
配列番号1から15に示されるアミノ酸配列を有する本発明erbB-2関連ペプチドは、それら自体、erbB-2に特異的な抗体の産生を誘導する免疫原性を有しており、本発明免疫原性ペプチドの好適なひとつの具体例である。
【0027】
本発明免疫原性ペプチドの他の具体例としては、配列番号1から15に示されるアミノ酸配列からなるペプチドの少なくとも1種が融合または連結した配列からなり、且つerbB-2に対する抗体の産生を誘導する免疫原性を有するペプチドを例示することができる。このペプチドはより具体的には以下の(a)-(c)に示すペプチドを包含する。
【0028】
(a)配列番号1から15で示されるいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドの1種が複数個連結した配列からなるかまたは上記ペプチドの2種以上が相互に複数個連結した配列からなるペプチド、
(b)配列番号1から15で示されるいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドの1種または2種以上(複数個)が、例えば免疫原性を高めるかもしくは免疫応答を促進し得ることが知られている慣用のキャリア蛋白乃至ペプチドと融合したペプチド、および
(c)配列番号1から15で示されるいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドの1種または2種以上(複数個)を保有する多抗原性ペプチド(MAP)形態のペプチド。
【0029】
従って、本明細書において「ペプチド」なる用語は、アミノ酸残基が2個から50個程結合した所謂オリゴペプチドとともに、これらのオリゴペプチドが複数個結合したポリペプチド乃至蛋白をも包含するものとして用いられる。
【0030】
上記(a)-(c)において、配列番号1から15で示されるアミノ酸配列からなるペプチドは、これらのアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸残基を置換、欠失、付加もしくは挿入することにより改変されたアミノ酸配列からなり且つ改変前のアミノ酸配列からなるペプチドと同一機能乃至活性を有するペプチドであってもよい。
【0031】
本発明ペプチドがerbB-2に対する抗体の産生を誘導する免疫原性を有すること、即ち抗erbB-2抗体に特異的結合性を有することの確認は、本発明ペプチドと抗erbB-2抗体との反応性を試験することにより行うことができる。更に、本発明ペプチドを抗原として用いて産生される抗体とerbB-2との交差反応性を試験することによっても確認することができる。これらの試験はいずれも常法に従い行い得る。本発明ペプチドの抗erbB-2モノクローナル抗体への結合特異性の検出例および本発明ペプチドを利用して産生された抗体とerbB-2との反応性試験例の詳細は、後記実施例に示されている。
【0032】
後述する実施例においてペプチドNo.1からペプチドNo.15と呼称するペプチドは、配列番号1から15で示されるアミノ酸配列からなるペプチドのそれぞれを保有する多抗原性ペプチド形態(前記(c)に示す形態)を有しており、本発明ペプチドの好適な具体例である。これらの内でも配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを保有するもの(ペプチドNo.2)および配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを保有するもの(ペプチドNo.3)は好ましい。
【0033】
本発明erbB-2関連ペプチドの他の好適な例としては、前記(a)または(b)に示すものを挙げることができる。また、本発明erbB-2関連ペプチドの他の好ましい例としては、CH401抗体(前記文献参照)と特異的に反応する性質を有するものを挙げることができる。
【0034】
本発明 erbB-2 関連ペプチドの製造
本発明erbB-2関連ペプチドは、その有するアミノ酸配列情報に従って、一般的な化学合成法により製造することができる。該方法は、通常の液相法および固相法を包含する。
【0035】
ペプチドの化学合成法は、より詳しくは、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させて鎖を延長させていくステップワイズエロゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法とを包含する。本発明ペプチドの合成は、そのいずれによることもできる。
【0036】
上記ペプチド合成には一般的な各種の縮合法が採用できる。その具体例としては、例えばアジド法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法、DPPA(ジフェニルホスホリルアジド)法、DCC+添加物法(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシサクシンアミド、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドなどを添加物として使用)、ウッドワード法などを例示できる。
【0037】
これら各方法に利用できる溶媒も、この種ペプチド縮合反応に使用されることがよく知られている一般的なものから適宜選択することができる。その例としては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサホスホロアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチルなど、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0038】
尚、上記ペプチド合成反応に際して、反応に関与しないアミノ酸乃至ペプチドにおけるカルボキシル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエステル、エチルエステル、第三級ブチルエステルなどの低級アルキルエステル;例えばベンジルエステル、p-メトキシベンジルエステル、p-ニトロベンジルエステルなどのアラルキルエステルなどとして保護することができる。
【0039】
側鎖に官能基を有するアミノ酸、例えばTyrの水酸基は、アセチル基、ベンジル(Z)基、ベンジルオキシカルボニル(Boc)基、第三級ブチル基などで保護されてもよく、必ずしもかかる保護を行う必要もない。
【0040】
例えばArgのグアニジノ基は、ニトロ基、トシル基、2-メトキシベンゼンスルホニル基、メタンスルホニル基、Boc基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基などの適当な保護基により保護することができる。
【0041】
上記保護基を有するアミノ酸、ペプチドおよび最終的に得られる本発明erbB-2関連ペプチドにおけるこれら保護基の脱保護反応もまた慣用される方法に従って実施することができる。該方法としては、例えば接触還元法、液体アンモニア/ナトリウム、フッ化水素、臭化水素、塩化水素、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸などを用いる方法などを挙げることができる。
【0042】
ペプチドの化学合成法に従って得られる本発明erbB-2関連ペプチドは、通常の方法に従って適宜精製することができる。該方法としては、例えばイオン交換樹脂、分配クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、向流分配法などのペプチド化学の分野で汎用される方法を例示することができる。
【0043】
また、本発明erbB-2関連ペプチドは、当該ペプチドをコードするDNAを利用した遺伝子工学的手法に従って製造することができる。
【0044】
この遺伝子工学的手法は、常法に従うことができる。例えばDNAの合成、該DNAの発現を可能とする発現ベクターの製造、該ベクターの宿主細胞における発現などは、いずれも一般的な手法に準ずることができる(Molecular Cloning 2d. Ed., Cold Spring Harbor Lab. Press (1989);続生化学実験講座「遺伝子研究法I、II、III」、日本生化学会編(1986)など参照)。
【0045】
本発明erbB-2関連ペプチドをコードするDNAは、本発明により提供されるerbB-2関連ペプチドのアミノ酸配列情報に基づいて、常法に従い調製することができる(Science, 224, 1431 (1984); Biochem. Biophys. Res. Comm., 130, 692 (1985); Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 80, 5990 (1983) など参照)。
【0046】
より具体的には、DNAの合成は、ホスホルアミダイト法、トリエステル法などの化学合成法に従うことができる。また、例えば市販されている自動オリゴヌクレオチド合成装置を利用して合成することもできる。二本鎖断片は、化学合成した一本鎖生成物に、化学合成した相補鎖を適当な条件下でアニーリングさせるかまたは適当なプライマー配列と共にDNAポリメラーゼを用いて相補鎖を付加することによって得ることができる。
【0047】
上記で合成されるDNAは、これによってコードされるアミノ酸配列が改変されたものであることもできる。この改変されたアミノ酸配列をコードするDNAは、例えばオリゴヌクレオチドを用いた部位特異的変異導入法(Zoller, M., et al., Nucl. Acids Res., 10, 6487-6500 (1982))、カセット変異誘発法(Well, J., et al., Gene, 34, 315-323 (1985))などの公知方法によって得ることができる。
【0048】
本発明ペプチドの遺伝子工学的製造(発現)は、この分野で周知慣用の技術に従うことができる(例えばScience, 224, 1431 (1984); Biochem. Biophys. Res. Comm., 130, 692 (1985); Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 80, 5990 (1983)など参照)。 また、本発明ペプチドを融合ペプチド乃至融合蛋白として製造するに際しては、例えば大野らの方法「タンパク実験プロトコール1機能解析編、細胞工学別冊、実験プロトコールシリーズ、1997年、秀潤社」などを参考にすることができる。
【0049】
所望のペプチドは、その物理的性質、化学的性質などを利用した各種の分離操作により分離、精製することができる(例えば「生化学データーブックII」、1175-1259 頁、第1版第1刷、1980年 6月23日株式会社東京化学同人発行;Biochemistry, 25 (25), 8274-8277 (1986); Eur. J. Biochem., 163, 313-321 (1987)など参照)。該分離操作としては、具体的には、例えば、通常の再構成処理、蛋白沈澱剤による処理(塩析法)、遠心分離、浸透圧ショック法、超音波破砕、限外濾過、分子篩クロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの各種液体クロマトグラフィー、透析法、これらの組合せなどを例示することができる。
【0050】
本発明erbB-2関連ペプチドは、より好ましくは、erbB-2に特異的な抗体の産生能を有する免疫原性を高めた形態、例えば免疫原性を高めるキャリア蛋白との融合ペプチド形態、多抗原性ペプチド形態などに調製することができる。
【0051】
免疫原性を高めるキャリア蛋白との融合ペプチド形態である本発明erbB-2関連ペプチドは、免疫原性を高める慣用のキャリア蛋白をペプチドに結合させることにより収得できる。
【0052】
キャリア蛋白としては、免疫原性を高め得る限り特に制限はなく、担体効果(carrier effect)により免疫原性を与える各種のペプチドおよび生体の免疫応答を促進する各種のペプチドを包含する。該キャリア蛋白は、また抗腫瘍活性などの医薬作用を併せ持つペプチドであってもよい。
【0053】
本発明erbB-2関連ペプチドが概して医薬品分野で利用されることを考慮すると、上記キャリア蛋白としては、医薬として許容されるペプチドから選択されるのが好ましい。その具体例としては、例えばKLH、IL-12、GM-CSFなどのサイトカインの他、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-1、IL-2、TNF、TGF-β、アンジオスタチン、トロンボスポンジン、エンドスタチンなどを例示することができる。
【0054】
本発明におけるペプチドとキャリア蛋白との結合反応は、前記したペプチドの化学合成法に従い実施することができ、かくして融合ペプチド形態の本発明ペプチドを得ることができる。
【0055】
また、融合ペプチド形態の本発明ペプチドは、そのDNA配列情報に基づいて、例えばキャリア蛋白をコードするDNA乃至遺伝子などを利用して、前記した遺伝子組換え技術に従い製造することもできる。
【0056】
多抗原性ペプチド(multiple antigen peptide: MAP)形態の本発明erbB-2関連ペプチドは、例えば配列番号1から15に示されるアミノ酸配列のペプチドの複数個(同一でも異なっていてもよい)が基本分子に結合した形態として特徴付けられる。該MAP形態の本発明erbB-2関連ペプチドの好適な一例としては、例えばデンドリマー構造を有するものを挙げることができる。
【0057】
デンドリマーとは、一般に樹枝状形状乃至星形形状の立体配置を有する球状乃至その他の形状の分子として知られている。該分子は複数個の機能基を有する枝(繰返し単位)を有することにより特徴付けられる(例えば、特表昭60-500295号公報;特開昭63-99233号公報;特開平3-263431号公報;米国特許第4507466号明細書;同第4568737号明細書;Polymer Journal, 17, p.117 (1985); Angewandte Chem. Int. Engl., 29, 138-175 (1990); Macromolecures, 25, p.3247 (1992)など参照)。
【0058】
本発明MAPに利用できるデンドリマー構造は、開始部分となる核構造、該開始核に結合した繰返し単位(枝)で構成される内部層(世代)および各枝に結合して存在する機能基よりなる外表面を有するものであれば、特に制限されない。該デンドリマーの大きさ、形態、反応性などは、開始核部分、世代数および各世代に用いられる繰返し単位を適宜選択することによって調節でき、これらにも特に制限はない。適当な大きさなどを有するデンドリマーの製造は、例えば後記するように常法に従うことができ、また世代数を増やすことによって異なる大きさを有するデンドリマーを得ることができる(例えば米国特許第4694064号明細書など参照)。
【0059】
デンドリマー構造を有する本発明erbB-2関連ペプチド(MAP)の一例としては、例えば窒素原子を開始核部分とし、該核部分に結合する-CH2CH2CONHCH2CH2-構造からなる繰返し単位(枝)を有するデンドリマーの各枝の最外側末端に特定アミノ酸配列、例えば配列番号1から15で示されるいずれかのアミノ酸配列を有するerbB-2関連ペプチドの複数個を結合させたものを挙げることができる。他の例としては、例えばLys、Arg、Glu、Aspなどのアミノ酸のいずれかを開始核部分とし、該核部分に直接結合する繰返し単位として同様の各アミノ酸を利用し、各枝末端に同様に複数の特定アミノ酸配列を有するerbB-2関連ペプチドを結合させたものを挙げることができる。
【0060】
上記窒素原子を開始核部分とするデンドリマーは、常法に従い製造できる。またその構造物(融合乃至連結前の本発明erbB-2関連ペプチドを結合させるべきデンドリマー原料)は、市販品としても入手できる(Polysciences, Inc., 400 Vally Road, Warrington, PA, 18976 U.S.A.)。
【0061】
他方のアミノ酸を開始核部分とするデンドリマーは、例えば前記したペプチドの化学合成法に従い製造することができ、また、例えばFmoc8-Lys4-Lys2-Lys-βAla-Alko樹脂(渡辺化学工業社製)などとして市販のデンドリマー原料を利用して製造することもできる。
【0062】
より具体的には、上記デンドリマー原料は、次の如くして製造することができる。即ち、固相ペプチド合成用の樹脂に、スぺーサーを介してまたは介さずに、2つのアミノ基を同一のまたは同一でない保護基で保護したα,ω-ジアミノ酸を縮合反応させ、ついで保護基を除去し、更に同様の保護α,ω-ジアミノ酸の縮合反応および脱保護基反応を繰返す。
【0063】
固相ペプチド合成用の樹脂としては、通常のペプチド合成に汎用されているものをいずれも使用することができる。その例としては、例えばポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリスチレンポリエチレングリコール樹脂などの末端にクロロメチル基、4-(ヒドロキシメチル)フェノキシ基、4-((α-2',4'-ジメトキシフェニル)-9-フルオレニルメトキシカルボニルアミノメチル)フェノキシ基などを有するものを挙げることができる。スぺーサーとしては、1個または複数個のアミノ酸を挙げることができる。また、α,ω-ジアミノ酸としては、リジン、オルニチン、1,4-ジアミノ酪酸、1,3-ジアミノプロピオン酸などを挙げることができる。
【0064】
保護基としては、Boc基、Fmoc基、Z基などを挙げることができる。機能基としては、アミノ基、カルボキシル基および水酸基を挙げることがきる。保護基の除去反応は、前述したペプチド合成法に従うことができる。枝の数は、繰返し単位の縮合と保護基の除去とをn回繰り返すことにより2nとなる。この枝数は、好ましくは2から16の範囲である。
【0065】
得られるデンドリマー原料の各枝末端の機能基に、特定アミノ酸配列のerbB-2関連ペプチドを結合させることにより、所望のMAP形態の本発明ペプチドを収得することができる。この結合反応は、前記したペプチド合成法に従うことができる。
【0066】
MAP形態の本発明ペプチドは、常法に従い、適当なマトリックス、例えばセファクリールS-300(ファルマシア社製)などの樹脂を用いたクロマトグラフィー操作などにより精製することができる。
【0067】
本発明MAPにおいて、各枝末端に結合させる特定アミノ酸配列のerbB-2関連ペプチドは、同一のものである必要はなく任意に組合せることもできる。異なるerbB-2関連ペプチドの組合せ例としては、例えば、配列番号2および配列番号3の各アミノ酸配列の組合せ、配列番号1から15に示される各アミノ酸配列のペプチドの組合せなどを例示することができる。このような複合型MAPは、投与対象における血中および組織中での安定性、結合された分子の免疫原性などの向上に役立ち、また本発明erbB-2関連ペプチドによるerbB-2抗体の産生をより高める場合がある。
【0068】
本発明MAPは、また、それが有するerbB-2関連ペプチドの一部として、もしくは開始核部分に結合させる形で、前記した免疫原性を高めるキャリア蛋白、IL-12、GM-CSFなどの免疫応答を促進するポリペプチドなどを結合させた複合型MAP形態とすることもできる。
【0069】
この複合型MAPの例としては、配列番号1から15で示されるアミノ酸配列のペプチドのいずれか1以上とIL-12、GM-CSFなどの免疫応答を促進するポリペプチドなどとを結合させた複合型MAP形態を例示することができる。
【0070】
MAP形態である本発明erbB-2関連ペプチドは、免疫原性において優れており、erbB-2に対する抗体の産生を誘起するかあるいは抗体産生を増加させる作用を奏し得る。このように、MAP形態である本発明erbB-2関連ペプチドは、癌に対するワクチンとしての作用を示す結果、制癌効果および癌転移抑制効果を奏し得る。
【0071】
MAP形態の本発明ペプチドは、更に、その内部に任意の薬剤、例えば免疫応答を促進させる作用を有する薬剤などを包み込んだ形態に調製することもできる。これは、目的とする抗体の誘起を更に助長したり、抗体産生を更に増加させ得るなどのより高い効果を挙げることができる利点がある。
【0072】
本発明医薬組成物
本発明は、本発明erbB-2関連ペプチドを有効成分として含有するヒトを含む動物のための医薬組成物をも提供する。
【0073】
該医薬組成物は、その有効成分(本発明erbB-2関連ペプチド)が癌関連抗原であるerbB-2に対する抗体と結合する作用を有することを利用して、例えば癌の診断剤などとして有用である。
【0074】
より好ましい本発明医薬組成物は、erbB-2に特異的な抗体の産生能を有する免疫原性ペプチドである本発明erbB-2関連ペプチドを有効成分として含有する医薬組成物である。
【0075】
免疫原性ペプチドである本発明erbB-2関連ペプチドは、その投与によって誘起または産生される抗体(または補体)に依存的な細胞障害活性化によるか、アポトーシス誘導活性によるか、あるいは細胞障害性T細胞の活性化によって、抗腫瘍作用を奏する医薬組成物の有効成分として有用である。
【0076】
本発明は、例えばerbB-2を認識する抗体の誘起を刺激するかまたは該抗体の産生を増強するためのワクチンとしての本発明組成物の使用;抗腫瘍、抗癌または癌転移抑制のための本発明組成物の使用;およびerbB-2発現性の腫瘍または癌、特に、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌および肺癌からなる群から選ばれる疾患の処置への本発明組成物の使用を包含する。
【0077】
本発明組成物は、例えば薬学的有効量の本発明erbB-2関連ペプチドと薬学的に許容される担体を含むワクチン組成物として調製することができる。
【0078】
用いられる薬学的に許容される担体は、当該分野において周知であり、調製される組成物の形態に応じて適宜選択することができる。例えば、組成物が水溶液形態に調製される場合、上記担体としては、水または生理学的緩衝液などを利用することができる。また、上記担体としては、例えばグリコール、グリセロール、オリーブ油のような注入可能な有機エステルなども使用することができる。
【0079】
本発明医薬組成物には、例えば有効成分およびその吸収性を安定化または増加させ得る任意成分を更に配合することができる。この任意成分としては、例えば、グルコース、スクロース、デキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸、グルタチオンなどの抗酸化剤、キレート剤、低分子タンパク質、アルブミンなどの安定化剤乃至賦形剤を例示することができる。
【0080】
本発明組成物には、製剤設計上汎用される任意の添加剤、例えば通常の各種の防腐剤、等張化剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤、吸収促進剤などを適宜配合することができる。これら添加剤の具体例としては、次のものを例示することかできる。例えば防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロヘキシジン、パラベン類(メチルパラベン、エチルパラベンなど)、チメロサールなどの真菌および細菌に有効な防腐剤を例示できる。等張化剤としては、例えばD-マンニトール、D-ソルビトール、D-キシリトール、グリセリン、ブドウ糖、マネトース、蔗糖、プロピレングリコールなどの多価アルコール類および塩化ナトリウムなどの電解質類を例示できる。安定化剤としては、例えばトコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、システインなどを例示できる。
【0081】
本発明組成物の具体的一形態としては、リポソーム製剤形態を挙げることができる。このリポソーム製剤形態は、酸性リン脂質を膜構成成分とするかあるいは中性リン脂質と酸性リン脂質とを膜構成成分とするリポソームに、本発明erbB-2関連ペプチドを保持させたものである。
【0082】
膜構成成分としての酸性リン脂質および中性リン脂質としては、特に制限はなく、この種のリポソーム製剤に慣用される各種脂質の一種を単独でまたは二種以上を混合して使用することができる。
【0083】
リポソーム膜は、酸性リン脂質を単独で用いるかまたは中性リン脂質と酸性リン脂質とを併用して、常法に従い形成される。中性リン脂質と併用される場合、酸性リン脂質の併用割合は、リポソーム膜構成成分中に0.1-100モル%程度、好ましくは1-90モル%、より好ましくは10-50モル%程度とするのがよい。
【0084】
上記リポソームの調製に当たっては、例えばコレステロールなどを添加することができる。これによりリン脂質の流動性を調製して、リポソームの調製をより簡便なものとすることができる。該コレステロールは、通常リン脂質に対して等量まで、好ましくは0.5倍重量から等重量の量で添加配合されるのが好ましい。
【0085】
リポソーム製剤中の有効成分と酸性リン脂質との配合割合は、有効成分に対して酸性リン脂質が0.5-100当量程度、好ましくは1-60当量程度、より好ましくは1.5-20当量程度とされるのがよい。
【0086】
有効成分とする本発明erbB-2関連ペプチドの全脂質に対する使用モル%は、数モル%から数十モル%程度、好ましくは5-10モル%程度、通常5モル%前後である。
【0087】
尚、リポソーム製剤の製造、濃縮、粒径コントロールなどは、常法に従い実施することができる。またリポソーム製剤には、所望により前記した各種の添加剤などを配合することもできる。
【0088】
上記リポソーム製剤の製造において、有効成分とする本発明erbB-2関連ペプチドは、これに脂肪酸(例えばベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸など)、アルキル基、コレステリル基などを結合させて用いることもできる。これらを結合させて調製するリポソーム製剤の製造もまた常法に従うことができる(Long Circulating Liposomes: old drugs, New therapeutics., M. C. Woodle, G. Storm, Eds: Springer-Verlag Berlin (1998) など参照)。
【0089】
本発明組成物(製剤)中に含まれる有効成分の量は、薬学的有効量である限り特に制限されず広範囲から選択することができる。
【0090】
通常、本発明erbB-2関連ペプチドは、製剤中に約0.00001-70重量%、好ましくは約0.0001-5重量%含有される量範囲から選択されるのが望ましい。また、上記製剤の投与量も、特に限定されず、所望の治療効果、投与方法(投与経路)、治療期間、患者の年齢、性別その他の条件などに応じて広範囲から適宜選択することができる。一般に、該投与量は、患者1日当たり体重1kg当たり、有効成分が約0.01μg-10mg、好ましくは約0.1μg-1mgとなる範囲から選ばれるのがよい。該製剤は1日当たり1回投与に限らず、数回に分けて投与することができる。
【0091】
本発明組成物は、好ましくは抗腫瘍ワクチンとして使用できる。その使用に際しては、薬学的有効量のアジュバントと併用されるのが抗腫瘍効果を高めるためにより好ましい。
【0092】
アジュバントとしては、この種ワクチンに慣用されるものをいずれも制限なく使用できる。その例としては、例えばフロイント完全アジュバント、ムラミルジペプチド、水酸化アルミニウム、BCG、IL-12、N-アセチルムラミン-L-アラニル-D-イソグルタミン(MDP)、サイモシンα1、QS-21などを例示することができる。併用されるアジュバントの量は、その投与後、ヒトまたは他の動物に対する免疫反応の一部として表出するおそれのある皮膚の軟化、痛み、紅斑、発熱、頭痛、筋肉痛などの症状の程度に応じて適宜決定することができる。通常、患者1日当たり体重1kg当たり、約0.1-1000μg、好ましくは約1μg-数百μgの範囲から選ばれるのが適当である。
【0093】
本発明組成物は、例えば免疫応答促進ペプチド、癌化学療法剤(抗癌剤)などの他の公知の医薬品などと併用することができる。併用薬としての癌化学療法剤には、5-フルオロウラシル(5-FU)を代表例として、各種のアルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質製剤、抗腫瘍性植物成分製剤、抗腫瘍活性を有するサイトカインなどが含まれる。これら併用薬の投与量は、当該併用薬の薬学的有効量に依存して適宜決定することができる。例えばGM-CSFを併用薬として用いる場合、該GM-CSFは通常患者1日当たり体重1kg当たり、約0.1-1000μg、好ましくは約1μg-数百μgの範囲で投与される。
【0094】
また、併用薬を利用するに際しては、前記したように、MAP形態である本発明erbB-2関連ペプチドの内部にこれを包み込んだ形態で利用することもできる。
【0095】
更に、併用薬の利用に当たっては、該併用薬を含有し得る適当な室のあるマイクロデバイスのような薬物送達系物質であって、本発明erbB-2関連ペプチドを含むものを利用することもできる。
【0096】
薬物送達系物質は、非毒性且つ生分解性であるのが好ましい。その例としては、例えばリポソーム、透過性もしくは半透過性の膜を含有するマイクロカプセル、他の室を有するマイクロデバイスなどの生物学的物質などを挙げることができる。
【0097】
薬物送達系物質と本発明erbB-2関連ペプチドとは、常法に従い結合させることができる(例えば、Harlow and Lane, Antibodies: A laboratory manual, Cold Spring Harbor Lab. Press (1988): Hermanson, Bioconjugate Techniques, Academic Press (1996) など参照)。
【0098】
また、制癌剤、抗癌活性を有するサイトカインなどを含む本発明組成物は、例えばナンバらの文献(Liposomal applications to cancer therapy, Y. Namba, N. Oku, J., Bioact. Compat. Polymers, 8, 158-177 (1993))などを参照して製造することができる。
【0099】
本発明組成物は、癌の診断剤として利用することもできる。この場合、有効成分である本発明erbB-2関連ペプチドは、癌診断剤としての抗erbB-2抗体の検出のために、例えば標識化することができる。この標識化は、常法に従い、放射性化合物、蛍光物質、酵素、ビオチン、造影剤などを利用して行うことができる。
【0100】
かかる診断剤の利用によれば、癌組織、癌細胞、血液などの体液などの各種サンプル中の抗erbB-2抗体が検出できる。この検出結果は、例えば癌の診断、病態の把握などに有用である。
【0101】
本発明 erbB-2 関連ペプチドをコードする DNA
本発明は、本発明erbB-2関連ペプチドをコードするDNAをも提供する。このDNAは、前記した本発明erbB-2関連ペプチドの遺伝子工学的手法による製造に有用である。また、このDNAはこれを有効成分とするDNAワクチンの調製にも好適に利用することができる。
【0102】
本発明erbB-2関連ペプチドをコードするDNAは、前記した通り、該ペプチドのアミノ酸配列情報に基づいて適宜決定および調製することができる。好ましいDNAは、抗erbB-2抗体の産生能を有する免疫原性ペプチドである本発明erbB-2関連ペプチド(配列番号1から15で示されるいずれかのアミノ酸配列からなるペプチド、該ペプチドを含む融合ペプチドなど)をコードするDNAである。更に好ましいそれは、前記した特に好ましい本発明erbB-2関連ペプチド(配列番号2または3に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、該ペプチドを含む融合ペプチドなど)をコードするDNAである。
【0103】
DNAワクチンは、抗erbB-2抗体の産生能を有する免疫原性ペプチドである本発明erbB-2関連ペプチドをコードするDNA自体または該DNAを含みこれによってコードされる本発明erbB-2関連ペプチドの発現を可能とする組換え発現ベクターを有効成分とする。
【0104】
該DNAワクチンは、ヒトを含む哺乳類の癌細胞または癌組織を標的とするワクチンとして有用であり、前記した本発明erbB-2関連ペプチドを有効成分とする組成物と同様の使用において有用である。
【0105】
DNAワクチンは、医薬として許容される担体を利用して常法に従い医薬組成物形態に調製することができる。該担体としては、例えば、滅菌生理食塩水、滅菌緩衝化生理食塩水などの生理的に許容できる溶液を挙げることができる。
【0106】
また、該組成物は、前記した本発明erbB-2関連ペプチドを有効成分とする組成物の場合と同じくリポソーム製剤であることができ、アジュバントなどと併用することもできる。
【0107】
更に、該組成物には、任意の薬剤、添加物などを含ませることもできる。その例としては、例えばカルシウムイオンなどのDNAの細胞内取込みの助けとなる薬剤を例示することができる。また、前記リポソームおよび例えばフルオロカーボン乳剤、コクリエート(cochleate)、チューブル(tubule)、金粒子、生分解性マイクロスフェア、カチオン性ポリマーなどのトランスフェクションを容易にする薬剤乃至添加物をも使用することができる。
【0108】
ワクチン宿主に導入される発現可能なDNAの量は、広い範囲から選択される。それらの量は、例えば使用される転写および翻訳プロモーターの強さにも依存する。免疫応答の大きさは、タンパク質発現のレベルと発現された遺伝子産物の免疫原性によっても影響される。非経口投与に適したDNAワクチンの効果的投与範囲は、DNAとして一般的に約1ng-5mg、好ましくは約100ng-2.5mg、より好ましくは約1-750μg、特に好ましくは約10-300μgの範囲である。これは、通常、直接、筋肉組織に投与される。また、皮下注射、真皮導入、皮膚圧痕、腹腔内送達、静脈内送達、吸入送達などの他の投与方法によることも可能である。
【0109】
本発明DNAワクチンは、一度のみの投与によるのではなく、初回投与後の状態をみながら、1から複数回の追加ワクチン投与を行うことにより投与されるのが好ましい。これによって、所望の効果をより高めることが可能となる。また、DNAワクチン投与後、前記した本発明erbB-2関連ペプチドからなる組成物で追加免疫することも可能である。更に、前記した各種併用薬の併用もワクチン投与による治療効果を高める可能性がある。
【0110】
尚、本発明DNAワクチンにおいて、所望のDNAを発現可能とする組換え発現ベクターの製造に当たっては、この種のDNAワクチンに慣用されるかあるいは当該利用が可能とされる各種の発現ベクターを制限なく利用することができる。その製造は常法に従うことができる。
【0111】
本発明抗体
本発明erbB-2関連ペプチドは、これを抗原として新たな抗体を製造することができる。該抗体としては、例えば、erbB-2に結合性を有し、それ故、erbB-2を発現する細胞(例えばSK-RB-3細胞などの乳癌細胞)に結合して、該細胞の増殖を抑制したり、転移を抑制する活性を発揮する抗体(中和抗体)を挙げることができる。本発明はかかる抗体をも提供する。
【0112】
本発明抗体の製造は、本発明erbB-2関連ペプチドが抗erbB-2抗体の産生能を有する免疫原性ペプチドであることの確認手段としても把握することができる。即ち本発明抗体が製造できれば、本発明erbB-2関連ペプチドが所望の抗体産生能を有していることが確認できる。
【0113】
本発明抗体は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の両者を包含する。これらはいずれも、本発明erbB-2関連ペプチドを免疫抗原として利用して、慣用される技術に従って製造することができる。
【0114】
モノクローナル抗体の製造は、例えば免疫抗原で免疫した哺乳動物の形質細胞(免疫細胞)と哺乳動物の形質細胞腫細胞(ミエローマ細胞)との融合細胞(ハイブリドーマ、hybridoma)を作成し、これより所望のerbB-2を認識する抗体(モノクローナル抗体)を産生するクローンを選択し、該クローンを培養することにより実施できる。このモノクローナル抗体の製造操作などは、基本的には常法に従うことができる(例えばHanfland, P., Chem. Phys. Lipids, 15, 105 (1975): Hanfland, P., Chem. Phys. Lipids, 10, 201 (1976): Koscielak, J., Eur. J. Biochem., 37, 214 (1978) など参照)。
【0115】
該方法において、免疫抗原で免疫される哺乳動物としては、特に制限はない。細胞融合に使用される形質細胞腫細胞との適合性を考慮すれば、一般には、マウス、ラットなどが有利に用いられる。免疫は一般的方法により、例えば免疫抗原を哺乳動物に静脈内、皮内、皮下、腹腔内注射などにより投与することにより実施できる。
【0116】
より具体的には、例えばマウスの場合、免疫抗原を生理食塩水含有リン酸緩衝液(PBS)、生理食塩水などで適当濃度に希釈し、所望により通常のアジュバントと併用して、供試動物に2-14日毎に数回、総投与量が約1-500μg/マウス程度になるように投与するのが好ましい。アジュバントとしては、百日咳ワクチン、完全フロインドアジュバント、アラムなどを好ましく利用できる。また免疫細胞としては、上記最終投与の約3日後に摘出した脾細胞を使用するのが好ましい。
【0117】
上記免疫細胞と融合される他方の親細胞としての哺乳動物の形質細胞腫細胞としては、既に公知の種々のものを使用できる。融合反応も、公知の方法、例えばマイルスタイン(Milstein)らの方法(Method in Enzymology, 73, 3 (1981))などに準じて行うことができる。得られるハイブリドーマの分離とクローニングも、常法に従い実施できる。
【0118】
目的抗体産生株の検索は、例えばELISA法(Engvall, E., Meth. Enzymol., 70, 419-439 (1980))、プラーク法、スポット法、凝集反応法、オクタロニー(ochterlony)法、ラジオイムノアッセイ(RIA)法などの一般に抗体の検出に用いられている種々の方法(「ハイブリドーマ法とモノクローナル抗体」、株式会社R&Dプラニング発行、第30-53 頁、昭和57年3月5日)に従い実施することができる。この検索には前記免疫抗原およびerbB-2が利用できる。
【0119】
得られる所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培地で継代培養することができ、また液体窒素中で長期間保存することができる。ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の採取は、該ハイブリドーマを常法に従って培養してその培養上清として得る方法、ハイブリドーマをこれと適合性のある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
【0120】
上記方法に従い得られる抗体産生ハイブリドーマ培養上清、マウス腹水などは、これらをそのまま粗製抗体液として用いることができ、また常法に従って、硫酸アンミモニウム分画、塩析、ゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー、プロテインAカラムクロマトグラフィーなどのアフィニテイクロマトグラフィーなどにより精製して、精製抗体として利用することができる。
【0121】
【発明の効果】
本発明は、癌組織または癌細胞表面上に発現するerbB-2の部分アミノ酸配列を有する新規なペプチドなどを提供する。これらのペプチドなどは、例えば抗癌活性を持つ治療用抗体の産生に応用可能であり、また癌ワクチンなどとして医薬品分野に応用可能である。従って、本発明は、癌治療効果の向上に寄与する癌治療方法などをも提供する。
【0122】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、用いた略号は、既に本明細書中に示したものであるか、または以下の通りである。
TBS:トリス塩酸生理食塩水緩衝液
TC:テトラサイクリン
KM:カナマイシン
PEG/NaCl:ポリエチレングリコール/塩化ナトリウム
TFA:トリフルオロ酢酸
【0123】
【実施例1】
erbB-2関連ペプチドの合成およびその抗erbB-2抗体との結合親和性
(1)erbB-2関連ペプチドの合成
erbB-2発現細胞のアポトーシスを選択的に誘導する抗erbB-2マウスモノクローナル抗体CH401のエピトープは、erbB-2の膜表面領域293-370にあると推測されている(Jpn. J. Cancer Res., 85, 172-178 (1994): Jpn. J. Cancer Res., 89, 562-570 (1998))。このことから、ヒトerbB-2のN末端領域の配列143番目から370番目の間のアミノ酸配列のいずれか20残基ずつを有するペプチド22種類のそれぞれを以下の方法により合成した。
【0124】
即ち、全自動ペプチド合成機(ACT357、アドバンストケムテック社製)を使用し、同社のプログラムに従い、Fmoc/NMP、HOBt法〔Fmoc:9-フルオレニルメトキシカルボニル、NMP:N-メチルピロリドン、HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール〕による各ペプチドの固相合成を実施した。
【0125】
C端フリー(OH)のペプチドは、配列番号1-22に示されるアミノ酸配列に従って、C端アミノ酸に相当するFmoc-アミノ酸-Alko樹脂0.25mmolに、C端より2番目以降の各アミノ酸に相当するFmoc-アミノ酸を順次、合成プログラムに従い伸長反応させた。
【0126】
またC端アミドの各ペプチドは、Fmoc-NH-SAL樹脂0.25mmolにC端アミノ酸に相当するFmoc-アミノ酸を合成プログラムに従い縮合反応させ、その後、C端より2番目以降の各アミノ酸に相当するFmoc-アミノ酸を順次縮合反応させて鎖伸長を行った。
【0127】
各反応終了後、プログラムに従って、N端Fmoc基の脱保護反応を行った。
【0128】
得られた各ペプチド-樹脂をポリプロピレン製のミニカラム(アシスト社製)に回収し、メタノール洗浄後、真空で乾燥し、以下の操作に付してペプチドを樹脂から切り出し、側鎖の脱保護反応を行った。即ち、各樹脂にリエージェントK(Reagent K; 82.5%TFA, 5%フェノール, 5%H2O, 5%チオアニソール(Thioanisole)および2.5%エタンジチオール)2mlを加え、ミニカラム中で60分間反応させた。
【0129】
次いで、反応液を冷ジエチルエーテル8ml中に滴下して反応を停止させ、同時にペプチドを沈殿させた。更に、ミニカラムをTFA2mlにて洗浄し、冷ジエチルエーテル5mlを追加し、遠心し、沈殿をジエチルエーテル10mlで4回洗浄後、約5mlの50%アセトニトリルでペプチドを可溶化し、凍結乾燥した。更に可溶化と凍結乾燥操作を2回繰り返して、所望の粗凍結乾燥品を得た。
【0130】
これをオクタデシルカラム(直径20×250mm、YMC社製)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分画し、所望のペプチドを単離した。
【0131】
尚、上記において用いた樹脂およびアミノ酸誘導体は、いずれも渡辺化学工業社製のものである。
【0132】
かくして単離された各ペプチドは、アミノ酸配列分析およびマススペクトロメトリーによる分子量測定により同定した。
【0133】
(2)多抗原性ペプチド(デンドリマーペプチド)の合成
上記(1)で得たerbB-2関連ペプチドの多抗原性ペプチド(MAP: multi antigen peptide)を、Fmoc-MAP-Alko樹脂(渡辺化学工業社製)を用いて合成した。
【0134】
Fmoc-MAP-Alko樹脂(Fmoc8-Lys4-Lys2-Lys-βAla-Alko樹脂)とerbB-2関連ペプチドとの反応は、上記(1)の固相合成法と同様にして実施した。
【0135】
得られたMAPの構造は、アミノ酸残基を一文字表示により示せば、それぞれ以下の通りである。
【0136】
配列番号1のペプチドのMAP(ペプチドNo.1):
(RSLTEILKGGVLIQRNPQLC-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号2のペプチドのMAP(ペプチドNo.2):
(VLIQRNPQLCYQDTILWKDI-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号3のペプチドのMAP(ペプチドNo.3):
(YQDTILWKDIFHKNNQLALT-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号4のペプチドのMAP(ペプチドNo.4):
(FHKNNQLALTLIDTNRSRAC-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号5のペプチドのMAP(ペプチドNo.5):
(LIDTNRSRACHPCSPMCKGS-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号6のペプチドのMAP(ペプチドNo.6):
(HPCSPMCKGSRCWGESSEDC-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号7のペプチドのMAP(ペプチドNo.7):
(RCWGESSEDCQSLTRTVCAG-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号8のペプチドのMAP(ペプチドNo.8):
(QSLTRTVCAGGCARCKGPLP-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号9のペプチドのMAP(ペプチドNo.9):
(GCARCKGPLPTDCCHEQCAA-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号10のペプチドのMAP(ペプチドNo.10):
(TDCCHEQCAAGCTGPKHSDC-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号11のペプチドのMAP(ペプチドNo.11):
GCTGPKHSDCLACLHFNHSG-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号12のペプチドのMAP(ペプチドNo.12):
(LACLHFNHSGICELHCPALV-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号13のペプチドのMAP(ペプチドNo.13):
(ICELHCPALVTYNTDTFESM-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号14のペプチドのMAP(ペプチドNo.14):
(TYNTDTFESMPNPEGRYTFG-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号15のペプチドのMAP(ペプチドNo.15):
(PNPEGRYTFGASCVTACPYN-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号16のペプチドのMAP(ペプチドNo.16):
(GASCVTACPYNYLSTDVGS-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号17のペプチドのMAP(ペプチドNo.17):
(PYNYLSTDVGSCTLVCPLHNQE-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号18のペプチドのMAP(ペプチドNo.18):
(TLVCPLHNQEVTAEDGTQR-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号19のペプチドのMAP(ペプチドNo.19):
(VTAEDGTQRCEKCSKPCARV-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号20のペプチドのMAP(ペプチドNo.20):
(EKCSKPCARVCYGLGMEHLR-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号21のペプチドのMAP(ペプチドNo.21):
(YGLGMEHLREVRAVTSANI-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
配列番号22のペプチドのMAP(ペプチドNo.22):
(EVRAVTSANIQEFAGCKKI-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
尚、上記各MAPの構造を示す式において、BはβAlaを示し、これはスペーサーとして3個連結させて利用した。
【0137】
【実施例2】
MAP化erbB-2関連ペプチドとCH401抗体との結合親和性(ELISA)
実施例1の(2)で得たMAP形態の本発明erbB-2関連ペプチド(ペプチドNo.1-No.22)の0.1M NaHCO3溶液を100ng/100μlの濃度で96穴マイクロタイタープレートの各ウエル(ヌンク社製)に添加し、4℃にて一昼夜固定した。
【0138】
上清を除き、400mlのブロッキング溶液(3%BSA、0.1%スキムミルク、0.02%ツイーン20を含むTBS、pH7.5)を加え、37℃で4時間ブロッキングを行った。
【0139】
上清を除き、1次抗体としてのマウスモノクローナル抗体のCH401抗体(抗erbB-2抗体)を100μlずつ添加した。室温にて2時間振盪しながら反応させた。反応後、上清を除き、各ウェルを400μlの洗浄液(0.05%ツィーン20を含むTBS)で6回洗浄し、予め調製しておいたブロッキング溶液で5000倍に希釈した2次抗体(抗マウスIgG-HRP、サンタクルズ・バイオテクノロジー社製、カタログ番号: SC-2031、ロット番号: C089)を100μlずつ添加し、室温にて振盪しながら1.5時間反応させた。反応後、各ウェルを400μlの洗浄液で4回洗浄し、検出試薬(TMB Microwell; KPL社製、カタログ番号:50-76-04, ロット番号: WF075)100μlを加え、室温30分間静置した。
【0140】
1N塩酸を100μl添加して反応を停止させた後、各ウェルの450nmの吸光度を測定し、(OD450-OD620)の値を算出した。吸光度の測定にはラボシステムズ(Labosystems)社製のマルチスキャンを使用した。本発明erbB-2関連ペプチドを固定していないウェルをブランクとし、その値を差し引いた値を各ウェルの吸光度とした。
【0141】
結果を図1(縦軸:450nmの吸光度、横軸:使用した各ペプチド)に示す。
【0142】
図1に示されるようにerbB-2発現細胞のアポトーシスを選択的に誘導するCH401マウスモノクローナル抗体のエピトープとされているerbB-2の膜表面領域の292番目から370番目のアミノ酸配列領域内の部分配列に相応するペプチドNo.16-No.22の各ペプチドは、意外にもCH401抗体との結合親和性は低く、むしろよりN端に近い部分の配列に相当する各ペプチドの方が、CH401抗体との結合親和性は高かった。なかでもCH401抗体との結合親和性は、ペプチドNo.3(163-182番目に相当)が最も強く、特にペプチドNo.1(143-162番目に相当)からペプチドNo.5(183-202番目に相当)が、より高い親和性を有することが明らかとなった。
【0143】
【実施例3】
抗erbB-2抗体エピトープの解析
(1)erbB-2関連ペプチドの合成
実施例2に従う試験において、CH401抗体との結合親和性が高いことが確認されたペプチドNo.1(143-162番目に相当)からペプチドNo.5(183-202番目に相当)の間の所定のアミノ酸配列(ヒトerbB-2のN末端領域の配列143番目から202番目の間の20残基ずつ、2残基ずつずらしたもの)を有するペプチド16種類のそれぞれを実施例1-(1)と同様にして合成、単離および同定した。
【0144】
(2)多抗原性ペプチド(デンドリマーペプチド)の合成
上記(1)で得たerbB-2関連ペプチドの多抗原性ペプチド(MAP: multi antigen peptide)を、実施例1-(2)と同様にして合成した。得られたペプチドをそれぞれペプチドNo.448-451, 453-456, 493-496および497-500という。
【0145】
得られた各MAPの構造を実施例1-(2)と同様にして以下に示す。尚、ペプチドNo.1-5は、前記実施例1-(2)で得られたものである。
【0146】
ペプチドNo.1(erbB-2(143-162)-BBB-MAP):
(RSLTEILKGGVLIQRNPQLC-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドペプチドNo.448(erbB-2(145-164)-BBB-MAP):
(LTEILKGGVLIQRNPQLCYQ-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドペプチドNo.449(erbB-2(147-166)-BBB-MAP):
(EILKGGVLIQRNPQLCYQDT-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドペプチドNo.450(erbB-2(149-168)-BBB-MAP):
(LKGGVLIQRNPQLCYQDTIL-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドペプチドNo.451(erbB-2(151-170)-BBB-MAP):
(GGVLIQRNPQLCYQDTILWK-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.2(erbB-2(153-172)-BBB-MAP):
(VLIQRNPQLCYQDTILWKDI-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.453(erbB-2(155-174)-BBB-MAP):
(IQRNPQLCYQDTILWKDIFH-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.454(erbB-2(157-176)-BBB-MAP):
(RNPQLCYQDTILWKDIFHKN-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.455(erbB-2(159-178)-BBB-MAP):
(PQLCYQDTILWKDIFHKNNQ-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.456(erbB-2(161-180)-BBB-MAP):
(LCYQDTILWKDIFHKNNQLA-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.3(erbB-2(163-182)-BBB-MAP):
(YQDTILWKDIFHKNNQLALT-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.493(erbB-2(165-184)-BBB-MAP):
(DTILWKDIFHKNNQLALTLI-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.494(erbB-2(167-186)-BBB-MAP):
(ILWKDIFHKNNQLALTLIDT-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.495(erbB-2(169-188)-BBB-MAP):
(WKDIFHKNNQLALTLIDTNR-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.496(erbB-2(171-190)-BBB-MAP):
(DIFHKNNQLALTLIDTNRSR-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.4(erbB-2(173-192)-BBB-MAP):
(FHKNNQLALTLIDTNRSRAC-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.497(erbB-2(175-194)-BBB-MAP):
(KNNQLALTLIDTNRSRACHP-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.498(erbB-2(177-196)-BBB-MAP):
(NQLALTLIDTNRSRACHPCS-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.499(erbB-2(179-198)-BBB-MAP):
(LALTLIDTNRSRACHPCSPM-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.500(erbB-2(181-200)-BBB-MAP):
(LTLIDTNRSRACHPCSPMCK-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
ペプチドNo.5(erbB-2(183-202)-BBB-MAP):
(LIDTNRSRACHPCSPMCKGS-BBB)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla
【0147】
【実施例4】
MAP化erbB-2関連ペプチドとCH401抗体との結合親和性(ELISA)
実施例1の(2)で得たMAP形態の本発明erbB-2関連ペプチド(ペプチドNo.1-No.5)と実施例3の(2)で得たMAP形態の本発明erbB-2関連ペプチド(ペプチドNo.448-451, 453-456, 493-496および497-500)とを用いて、実施例3と同様にしてMAP化erbB-2関連ペプチドとCH401抗体との結合親和性(ELISA)試験を繰り返した。但し、CH401抗体は1.127mg/ml濃度で用い、450nm吸光度は50倍希釈して測定した。
【0148】
CH401抗体を添加したウェルと添加しなかったウェル(ブランク)とについて、それぞれ吸光度を求めた結果を、図4(縦軸:450nmの吸光度、横軸:使用した各ペプチド)に示す。
【0149】
図4に示されるようにerbB-2発現細胞のアポトーシスを選択的に誘導するCH401マウスモノクローナル抗体と反応性の高いerbB-2関連ペプチドは、ペプチドNo.453, 454, 455, 456, 3, 493および494であり、このことから、該CH401抗体のエピトープは、上記各ペプチドが共通して有する167番目から174番目のアミノ酸配列であることが明らかとなった。
【0150】
【実施例5】
erbB-2関連ペプチドによる抗体の調製
(1)免疫:
実施例1の(2)で得たMAP形態の各種のerbB-2関連ペプチドをそれぞれ100μg/mlの濃度でPBSに溶解した。これをフロイント完全アジュヴァントと合わせて(1:1、容量比)エマルジョンを作製した。
【0151】
3匹/ペプチドでBALB/cマウスのそれぞれに、上記エマルジョンの0.2ml/1匹(ペプチド量5μg/1匹1回)を皮下投与して免疫した。投与は2週間毎に行い(但し、2回目の投与以降ではフロイント不完全アジュヴァントを用いた)、各投与の1週間後にそれぞれのマウスの後尾より採血して、抗血清を調製した。
【0152】
1回目投与後に得た抗血清を「1st」、2回目のそれを「2nd」、また3回目のそれを「3rd」とする。
【0153】
(2)抗血清の力価測定(ELISA):
上記(1)で得た各抗血清(3匹/ペプチドx22=66サンプル)のerbB-2に対する力価を実施例2に記載の方法に順じてELISA法により測定した。
【0154】
その結果を表1に示す。
【0155】
【表1】
Figure 0004284490
表1に示す結果より、抗体価は、ペプチドNo.3が最も高い値を示した。
【0156】
これらのマウスは4回免疫の後、1週間後に全採血して抗血清を得、この抗血清より、50%飽和硫酸アンモニウム(SAS)カットの後、プロティンG-セファロース(ファルマシア社)によりIgGを精製して、精製抗体を得た。
【0157】
【実施例6】
抗体のerbB-2に対する結合能のFACs解析
erbB-2を過剰発現している細胞株SV22細胞株(Scand. J. Immunol., 39, 459-466 (1994))に、実施例5の(1)で調製した各マウス精製抗体を1次抗体として5-10μg/チューブ)添加し、2次抗体としてFITC標識抗マウスIgG抗体(和光純薬社、106細胞に対して30倍希釈液10μlを添加)を用いて蛍光染色し、FACSキヤリバー・フローサイトメーターにより解析した。
【0158】
対照として、抗erbB-2モノクローナル抗体(15821A, ファーミンジェン社)5μg/チューブおよびCH401の10μg/チューブのそれぞれを用いて、同様の操作を実施した。
【0159】
その結果、精製抗体のうち、ペプチドNo.2に対する本発明抗体は、SV22細胞を認識することが明らかとなった。
【0160】
【実施例7】
抗体のerbB-2に対する結合能の組織染色による解析
erbB-2を発現しているヒト癌細胞株SK-BR-3細胞株(ATCC No. HTB30, 米国特許第4,753,894号)およびMCF-7細胞(ATCC No. HTB22)をスライドグラス上で培養し、これを10%パラホルムアルデヒドで固定し、5%NSS(正常羊血清、コスモバイオ社)-PBSでブロックキングした後、100倍希釈したマウス精製抗体(実施例5の(1)で調製したもの)あるいは抗erbB-2モノクローナル抗体(15821A, ファーミンジェン社)の10倍希釈液を添加した。そして2次抗体として500倍希釈したHRP複合抗マウスIgG抗体(ファルマシア社)を用いて、DAB(3,3'-ジアミノベンジジン・4塩酸塩)溶液により発色させた。
【0161】
その結果、ペプチドNo.2に対する抗体(実施例5の(1)で調製したマウス精製抗体)および抗erbB-2モノクローナル抗体は、いずれもSK-BR-3細胞を認識することが確認された。また、この抗体は、erbB-2を発現しない細胞であるMCF-7細胞は認識しないことも確認された。
【0162】
【実施例8】
erbB-2発現細胞SV22に対する抗体のアポトーシス誘導活性
erbB-2発現細胞SV22に対する抗体のアポトーシス誘導活性を次の通り検討した。
【0163】
即ち、SV22細胞を10%FBS-DMEM培養液1ml当たり4x10 E5細胞の細胞密度になるようにウエルに播いて、細胞をウエルに付着させた後、実施例5の(1)で調製した各マウス精製抗体100nMを含む10%FBS-DMEM培地を各ウエルに添加した。
【0164】
37℃、5%炭酸ガスで48時間インキュベートした後、細胞を回収して、0.5%のトリパン・ブルーで染色し、生細胞数(×105)および死細胞数(×104)を計測した。
【0165】
本発明抗体としてペプチドNo.2を用いて実施例5に従って調製した精製抗体を用いて得られた結果を、コントロール(なんらの抗体をも使用しなかった場合)および対照(本発明抗体に代えてモノクローナル抗体CH401を使用した場合)の各結果と共に、図2および図3に示す。
【0166】
図2および図3に示す結果より、ペプチドNo.2に対する本発明抗体は、抗体CH401と同程度の細胞障害活性を有することが明らかとなった。
【0167】
また、TUNNL法(TdT-mediated dUTP nick labelling method, J. Cell Biol., 119, 493-501 (1992))を用いた解析では、この培養系において約10%の細胞がアポトーシスを起こしていることが確認された。この解析はAPO-DIRECTキット(ファーミンジェン社)を用いたフローサイトメトリーにより実施した。
【0168】
尚、他のペプチド(ペプチドNo.1および3-22)に対する抗体は、FACS、細胞染色、イムノブロッティングのいずれの方法によっても、erbB-2を認識しないことが確認された。
【0169】
以上のことから、erbB-2のN末端のアミノ酸配列番号153番目から172番目のアミノ酸残基からなるペプチドNo.2は、細胞外ドメインに相当しα−ヘリックス構造を取っていると推定される。このペプチドNo.2の有するアミノ酸配列領域が、該ペプチドを用いて作製した抗erbB-2抗体と結合する領域であると考えられる。
【0170】
また、この領域部位に対するポリクローナル抗体が、細胞障害性を有することが確認されたことから、細胞障害性はCH401抗体の固有な性質ではなく、このペプチドNo.2の有するアミノ酸配列を認識する抗体中に、この性質を保有するものが存在すると考えられる。つまり、ペプチドNo.2の有するアミノ酸配列を用いて得られる抗体中には、erbB-2発現癌細胞に対してアポトーシスを誘導することができるものが存在しており、それ故、該ペプチドは癌に対するワクチンとして有用であると考えられる。
【0171】
【配列表】
Figure 0004284490
Figure 0004284490
Figure 0004284490
Figure 0004284490
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Figure 0004284490
Figure 0004284490

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2に示す方法により求められた本発明ペプチドと抗erbB-2抗体との結合親和性を示すグラフである。
【図2】本発明ペプチドにより産生された本発明抗体のerbB-2発現細胞SV22に対する細胞傷害活性を示す図である。
【図3】本発明ペプチドにより産生された本発明抗体のerbB-2発現細胞SV22に対するアポトーシス誘導作用を示す図である。
【図4】実施例4に示す方法により求められた本発明ペプチドと抗erbB-2抗体との結合親和性を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 以下の(a)または(b)に記載のペプチド。
    (a) 配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるペプチド
    (b) (a)に記載のアミノ酸配列からなるペプチドが融合または連結した配列からなり、erbB-2に対する抗体の産生を誘導する免疫原性を有するペプチド
  2. 請求項1に記載のペプチドと薬学的に許容される担体とからなり、erbB-2に対する抗体の産生を刺激または増強するための医薬組成物。
  3. ワクチンである請求項2に記載の組成物。
  4. 配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるペプチドをコードするDNA。
  5. 請求項4に記載のDNAを含有する組換え体発現ベクター。
  6. 請求項5に記載の組換え体発現ベクターを組込んだ宿主細胞。
  7. 請求項6に記載の宿主細胞によって産生される組換え体発現産物。
  8. 請求項1に記載のペプチドを抗原として調製された抗体。
  9. 請求項1に記載のペプチドを抗原として調製された抗体と薬学的に許容される担体とからなる医薬組成物。
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