JP4282394B2 - ピアツーピア通信を確立するためのシステムおよび方法 - Google Patents

ピアツーピア通信を確立するためのシステムおよび方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の分野】
この発明は、一般に、ネットワークバス上の通信を制御することに関し、より具体的には、共通のバスを介して通信するネットワークデバイス間でピアツーピア通信を確立することに関する。
【0002】
【発明の背景】
自動車産業および航空宇宙産業によって用いられるマルチメディアエンターテイメントシステム、通信システム、プロセス制御システム、および診断システム等のシステムが、より複雑になるにつれて、追加のデバイスが互いと、またはセントラルコントローラ等と通信する必要性が生じる。伝統的には、これらのシステムは、さまざまなデバイス間の通信をサポートするためにそれらの間で延びる専用の配線を含んだ。システムがより集約され、通信要件が増加するにつれて、必要とされ得る専用の配線の量は、配線のために必要とされるスペースと、配線および付随する設備のコストとの両方の点において、大きくなりすぎた。さらに、専用配線の量が増えるにつれて、設置中または設置後に配線のある部分が損傷または故障し得る可能性に加えて、システムの全般的な複雑性も一般に高くなる。
【0003】
このような事情から、複数のネットワークデバイス間で共通の通信経路を提供するネットワークシステムが開発された。自動車および航空宇宙応用では、たとえば、ネットワークシステムは、さまざまな構成要素を監視し、さらには診断および状況情報を収集するために用いられ得る。この点に関して、さまざまな構成要素に影響を及ぼす歪み、加速度、圧力、および/または温度に関する診断および状況情報が、収集および分析され得る。
【0004】
それ以上の例によると、自動車、ミニバン、スポーツユーティリティビークル、航空機、またはボート等の乗物の乗員に対するマルチメディア情報の配信および通信をサポートするか、または、乗物等のシステムに適用され得るプロセス制御応用で用いられるネットワークバスアーキテクチャが現在開発されている。有利なことには、このネットワークバスは、ラジオ、カセットテーププレーヤ、またはコンパクトディスクプレーヤ等のうちの1つ以上によって生成されるストリーミング音声信号を含む音声信号を、選択された、乗物中のスピーカまたはヘッドホンジャックに送り得る。同様に、ネットワークバスは、乗物の乗員が所持する携帯電話との音声およびデータ通信と、ラップトップコンピュータまたはハンドヘルド計算装置等との通信とをサポートし得る。加えて、ネットワークバスは、テレビジョン受信機、ビデオカセットレコーダ、または他のビデオソースからのストリーミングビデオ信号を含むビデオ信号を1つ以上のビデオモニタに送り得る。このシステムは、信頼性の高いフォールトトレラントシステムを必要とする自動車エンジンおよびトランスミッション制御システム、ドライブバイワイヤシステム、ブレーキバイワイヤシステム、自動安全装置(passive restraint)システム、および/または衝突防止システム等のプロセス制御応用をサポートすることもできる。これらのシステムの各々は、開発中のネットワークアーキテクチャを用いて制御され得る多数のセンサおよびアクチュエータを含み得る。さらに、ネットワークバスシステムは、乗物の診断性能に関連した情報を送ることもできる。
【0005】
ネットワークバスに接続されるさまざまなデバイスに加えて、1つ以上のコントローラも通常、ネットワークバスに接続されて、コマンドをさまざまなリモートデバイスへと送信し、リモートデバイスからデータを受信する。とりわけ、これらのコマンドは、さまざまなデバイスがネットワークバスを介して情報を送信する様態を含め、さまざまなデバイスが機能すべき様態を特定する。
【0006】
伝統的には、上述のタイプのネットワークは、アナログフォーマットでデータを送信した。残念ながら、アナログ信号は、データ送信中に信号に導入されるノイズの影響を受けやすい。送信される信号のうちの多くが、初めに低い振幅を有すると仮定すると、このノイズが、信号を乱し、信号における解像度の損失を引起こすレベルにまで信号対ノイズ比を減じるおそれがある。さらに、これらのネットワークデバイスの多くは、コントローラからいくらかの距離をおいて点在しているため、ネットワークデバイスをコントローラに接続する電気線は、配線中のDC抵抗による信号劣化を引起こすのに十分なほど長くなり得る。
【0007】
これらの欠点を考慮に入れると、デジタルネットワークを用いることが有利であろう。しかし、多くの従来のデジタルネットワーク自体が、さまざまな問題点を抱えている。たとえば、多くの既存のデジタルネットワークは、各ネットワークデバイスが比較的高いレベルのプロセッサを有することを必要とする複雑なプロトコルに従って動作し、それゆえに、ネットワークデバイスのコストが高くなる。複雑なプロトコルはまた、データ収集および制御に必要ではないオーバーヘッドをバス上のメッセージに持ち込む。このオーバーヘッドによって、バス上で送信され得るデータサンプルの数が大きく制限され得る。これらのネットワークは、他の問題点も持つ。たとえば、それらは一般に、収集と制御との両方をサポートするわけではなく、それらは、通例、比較的短い長さにわたって拡張するネットワークをサポートするのみである。さらに、これらのネットワークは通例、かさばるネットワークデバイスインターフェイス、遅いネットワークデータレート、および/または低いネットワークデバイス数を有する。加えて、デジタルネットワークを含む多くのコンピュータシステムは、時間決定性の様態で作動しない。したがって、これらのコンピュータシステムは一般に、正確に繰返され、または解釈され、実行される、ネットワーク構成要素に対するイベントコマンドのトリガをスケジュールする能力を欠く。
【0008】
さらに、従来のネットワークシステムのうちのいくつかは、マスタ/スレーブ構成で動作し、バスコントローラはネットワークバス上のすべての通信を制御する。これらのネットワークシステムでは、バスコントローラは、ネットワークデバイスと通信するためのタイミングおよび、ネットワークデバイスのうちの1つまたはネットワークデバイスグループのいずれかに関連したコマンドを含む動作スケジュールを用いる。したがって、バスコントローラは、通信のためのタイミングのすべてまたは実質的にすべてを指令する。
【0009】
ネットワークバス上の通信競合が解消されるため、バスコントローラにネットワークバス上のすべての通信を制御させることは有利ではあるが、この構成にはいくつかの欠点が存在し得る。具体的に、いくつかの例では、ストリーミング音声信号を移す場合のように、いかなるネットワークコントローラによる妨げもない状態で1つ以上のネットワークデバイスから直接、他のネットワークデバイスへとデータを移すことが望ましい。
【0010】
ネットワークデバイス間でのピアツーピア通信を可能にするために、従来のネットワークシステムのうちのいくつかは、ネットワークデバイス間の直接的なアクセスを提供するために、さまざまなネットワークデバイス間で専用の配線を含む。しかし、上述のように、ネットワークシステムの重要な利点は、専用の配線を共通のネットワークバスと取替えることができることである。上述のネットワークシステムによって追加の専用配線が必要とされることは、この目標と矛盾し、設置中または設置後に配線のある部分が損傷または故障し得る可能性に加えて、配線および付随する設備のために上乗せされるコスト等の問題点を抱える。
【0011】
専用の配線を使用することの代替例として、他のネットワークシステムは、ネットワークデバイス間の通信がネットワークコントローラを通ることを必要とする。しかし、この代替例も望ましくはない。絶え間ない情報の流れは、多くの場合、一つのネットワークデバイスによって送信され、他のネットワークデバイスによって受信されるため、情報転送のタイミングが転送の成功に重要である。ネットワークコントローラを通して情報を転送することによって、情報が通らなければならない余分な要素が追加されるため、これによって、情報転送全体に必要以上に時間が追加される。
【0012】
【発明の概要】
上の背景を考慮に入れて、この発明のさまざまな実施例は、従来のネットワークシステムよりも効率的な様態で、ネットワーク内でピアツーピア通信を確立するためのシステムおよび方法を提供する。この発明のシステムおよび方法の実施例によって、いくつかの従来のネットワークシステムが必要とするような専用の配線がない状態でソースデバイスおよび受信デバイスが共通のネットワークバスを介してピアツーピア通信を確立することが可能になる。加えて、この発明のシステムおよび方法の実施例によって、バスコントローラによる妨げがない状態でネットワークデバイスがピアツーピア通信を確立することが可能となる。
【0013】
この発明の1つの局面に従うと、ネットワークバスを介してピアツーピア通信を確立するためのシステムは、バスコントローラと少なくとも1つのピアツーピアグループとを含み、各グループは、ソースデバイスと少なくとも1つの受信デバイスとを含む。バスコントローラおよびグループは、各々、ネットワークバスと電気通信し、バスコントローラは、ネットワークバス上の通信を制御する。バスコントローラは、1つのグループのソースデバイス上のデータを識別する読出コマンドを送信することができる。読出コマンドの送信時に、それぞれのグループのソースデバイスは、読出コマンドを受信することができる。一方、受信デバイスは、読出コマンドを検出することができる。この点に関して、受信デバイスは、バスコントローラからそれぞれのグループのソースデバイスに送信される読出コマンドを求めてネットワークバスを監視するように予め設定され得る。
【0014】
読出コマンドに応答して、それぞれのグループのソースデバイスは、読出コマンドによって識別されたデータをネットワークバス上に読出すことができ、その後、それぞれのグループの受信デバイスは、ソースデバイスから読出されたデータ等のデータをネットワークバスから自動的に読出すことができる。バスコントローラは、読出コマンドを送信する前に、グループのソースデバイスおよび受信デバイスにトリガコマンドを送信することもできる。この点に関して、グループのソースデバイスは、トリガコマンドを受信し、その後、データを入力することができる。受信デバイスは、トリガコマンドを受信し、その後、データを出力することができる。
【0015】
この発明の別の局面に従うと、バスコントローラは、それぞれのグループを識別するグループ識別子を含むトリガコマンドを送信することができる。この点に関して、ソースデバイスは、それぞれのグループ識別子を含むトリガコマンドを受信し、その後、トリガコマンドの受信に応答して、データを入力し、データをネットワークバス上に読出すことができる。受信デバイスも、それぞれのグループ識別子を含むトリガコマンドを受信することができる。しかし、ソースデバイスとは対照的に、受信デバイスは、トリガコマンドの受信に応答して、データを出力し、データをネットワークバス上に書込むことができる。各グループのソースデバイスおよび受信デバイスは、それぞれのグループを識別するグループ識別子を含むトリガコマンドを受信するように予め設定され得る。各グループのソースデバイスは、トリガコマンドの受信に応答して、予め定められた量のデータをネットワークバス上に読出すように予め設定され得る。また、各グループの受信デバイスは、トリガコマンドの受信に応答して、ネットワークバスから予め規定された量のデータを書込むように設定され得る。
【0016】
ピアツーピア通信を確立するための方法も提供される。したがって、この発明のさまざまな実施例のシステムおよび方法によって、専用の配線がない状態でソースデバイスおよび受信デバイスが共通のネットワークバスを介してピアツーピア通信を確立することが可能となる。加えて、この発明のさまざまな実施例のシステムおよび方法によって、バスコントローラによる妨げがない状態でネットワークデバイスがピアツーピア通信を確立することが可能となる。したがって、この発明の実施例のシステムおよび方法は、専用の配線の損傷または故障というリスクも減じながら、従来のネットワークシステムよりも費用がかからない様態で、より効率的なピアツーピア通信に対する備えをする。
【0017】
このように、一般的な用語でこの発明を説明してきたが、必ずしも一律の縮尺に従って描かれていない添付の図がここで参照される。
【0018】
[詳細な説明]
この発明の好ましい実施例が示される添付の図を参照しながら、以下でより完全にこの発明を説明する。しかし、この発明は、多くの異なる形で実現されてもよく、ここで示される実施例に限定されていると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、この開示が徹底的かつ完全であり、さらにはこの発明の範囲を当業者に完全に伝えるように、提供される。全体を通して、同じ番号が同様の要素を指す。
【0019】
上で簡単に、以下でより詳細に説明されるように、この発明は、ネットワークシステム内でピアツーピア通信を確立するためのシステムおよび方法を提供する。重要なことに、この発明のシステムおよび方法は、バスコントローラによる妨げがない状態で少なくとも部分的に通信する、ネットワークバスに接続される少なくとも1つのグループのネットワークデバイスを構成して、ストリーミング音声信号またはストリーミングビデオ信号の場合などにおいてより効率的な通信を可能にする。
【0020】
はじめに、この発明のシステム、方法、およびバスコントローラは、いずれのタイプのネットワークシステムにおいても実現され得ることに注目することが重要である。このネットワークシステムは、航空機、宇宙船、乗物、ビル、工場、または他のいずれかのパッケージ、構造、または環境に存在し得る。例として、この発明のシステム、方法、およびバスコントローラは、航空機のさまざまな構成要素についての性能および状況等を判断するために、バスコントローラとの通信を目的として共通のネットワークバスにそのすべてが接続されている複数のセンサおよびアクチュエータ等をネットワークが含んでいる、回転翼航空機内にあるネットワークシステム内で実現され得る。たとえば、ネットワークデバイスは、航空機のメインロータシステムの歪み、加速度、および圧力を監視するためのセンサを含み得る。
【0021】
この発明のシステム、方法、およびバスコントローラは、乗物の異なる構成要素に接続されるセンサおよびアクチュエータをネットワークシステムが含んでいる、自動車等の乗物内のネットワークシステムにおいても実現され得る。たとえば、ネットワークデバイスは、いくつかの例を挙げると、スロットル位置、油圧、水温、トランスミッション液圧、シート位置、アンチロックブレーキシステム、サスペンション、自動安全装置システム、およびステアリングシステムを監視するためのセンサを含み得る。代替的には、ネットワークデバイスは、バスコントローラからのコマンドに応答してある特定の機能を実行するためのアクチュエータを含み得る。自動車応用では、たとえば、ネットワークデバイスは、いくつかの例を挙げると、スロットル位置、アンチロックブレーキシステム、サスペンション、自動安全装置システム、およびアクティブサスペンションシステムを制御するためのアクチュエータを含み得る。
【0022】
さらに、ネットワークデバイスは、音声またはビデオソースを含み得る。この点に関して、ネットワークデバイスは、無線受信機、テープカセットプレーヤ、コンパクトディスクプレーヤ、携帯電話受信機、または、いくつかの例ではストリーミング音声信号を含む音声信号をネットワークバスに提供するための他の音声ソースを含み得る。これに対応して、ネットワークデバイスは、ネットワークバスから音声信号を受信するための、さらには対応する可聴出力を提供するためのスピーカまたはヘッドホンジャック等を含み得る。同様に、ネットワークデバイスは、テレビジョン受信機、ビデオカセットプレーヤ、または、ストリーミングビデオ信号を含むビデオ信号をネットワークバスに提供するための他のビデオソースを含み得る。したがって、ネットワークデバイスは、ビデオ信号を受信するための、さらにはビデオ信号に基づいた画像を表示するためのビデオモニタ等を含み得る。
【0023】
この発明から逸脱することなく、特定のいずれかのプロトコルおよびネットワーク構造においてこの発明が用いられ得ることも理解される。しかし、1つの有利な実施例では、この発明のシステム、方法、およびバスコントローラは、2000年12月12日に出願された「ネットワークを介してデジタル方式でデータチャネルとコントローラとをインタフェースさせるためのネットワークデバイスインターフェイス」(“Network Device Interface for Digitally Interfacing Data Channels to A Controller via A Network”)と題された米国特許出願第09/735,146号と、2000年12月14日に出願された「共通のバスを介してリモートデバイスをデジタル方式で制御するためのネットワークコントローラ」(“Network Controller for Digitally Controlling Remote Device via A Common Bus”)と題された米国特許出願第09/736,878号とに記載されるプロトコルおよびネットワーク構造内で実現され、これら両方の内容は、ここで引用により援用される。このプロトコルおよびネットワーク構造は、多くの従来のデジタルネットワークと比較して、数多くの利点を提供する。
【0024】
具体的には、上述のように、多くの既存のデジタルネットワークは、各ネットワークデバイスが比較的高いレベルのプロセッサを有することを要求する複雑なプロトコルに従って動作する。これによって、ネットワークデバイスのコストが上昇し得る。さらに、ハイレベルプロトコルは、バス上のメッセージにオーバーヘッドを持ち込むおそれがあり、これは、バス上で送信され得るデータサンプルの数を大きく制限し得る。これらのネットワークはまた、一般に、収集と制御との両方をサポートするわけではなく、それらは、通例、比較的短い長さにわたって拡張するネットワークをサポートするのみである。さらに、これらのネットワークは、通例、かさばるネットワークデバイスインターフェイス、遅いネットワークデータレート、および/または低いネットワークデバイス数を有する。加えて、デジタルネットワークを含む多くのコンピュータシステムは、時間決定性の様態で作動せず、したがって、精密なタイミングで繰返され、または解釈され、実行される、ネットワーク構成要素に対するトリガコマンドをスケジュールする能力を欠く。
【0025】
従来のデジタルネットワークシステムに関するこれらの欠点を考慮に入れて、米国特許出願第09/735,146号および第09/736,878号のデジタルネットワーク構造およびプロトコルは、それほど複雑ではないデバイスが実現されることを可能にする低レベル命令セットを用いる。新しく開発されたネットワークシステムおよびプロトコルはまた、データレートを上げ、精密なタイミングでのデータ収集またはネットワークバス上での他の動作を可能にするコマンド構造を用いる。
【0026】
この発明の1つの有利な実施例では、このネットワーク構造およびプロトコルの既存のコマンド構造に、この発明の機能が追加される。この実施例では、この発明のシステム、方法、および機能は、米国特許出願第09/735,146号および第09/736,878号のデジタルネットワーク構造およびプロトコル内で実現される。具体的には、以下で説明されるコマンドは、プロトコルのそれと同じ構造で実現され得、通信構造は同じである。
【0027】
図1を参照して、この発明が実現され得る、一般化されたネットワークシステムが例示される。具体的には、図1は、ホストコンピュータまたはバスコントローラ12、ネットワークバス14、およびいくつかのネットワークデバイス16−20を有する共通のネットワークシステム10を例示する。この構成では、バスコントローラは、通例、ネットワーク10の設定および制御を提供する。さらに、個別のネットワークデバイスは、バス上のネットワークデバイスを一意的に定義する、割当てられた識別子またはアドレスを含む。動作において、バスコントローラは通例、コマンドに従うことになっているネットワークデバイスのアドレスとともに、コマンドをネットワークバスを介してネットワークデバイスに送信する。コマンドとともに送信されるアドレスによって指定されるネットワークデバイスは、コマンドに関連した動作を実行し、バスコントローラまたは別のネットワークデバイスのいずれかに送信されるべきデータをネットワークバス上に置くことによって、応答し得る。追加的に、または代替的には、指定されたネットワークデバイスは、センサ等のネットワークデバイス内で入来データ測定を開始することによってトリガコマンド等のコマンドに応答し得るか、または、アクチュエータ等のネットワークデバイス内で出力部に値を移し得る。
【0028】
いくつかの実施例では、1つ以上のネットワークデバイスは、ネットワーク10に接続されるネットワークデバイスインターフェイス(NDI)(図示せず)を含み得る。NDIは、センサまたはアクチュエータにかかわらず、トランスデューサがバスコントローラ12と直接通信できない実施例において用いられる。NDIは、バスコントローラからのコマンドを受信および解釈し、バスコントローラからのコマンドおよびデータに基づいて、センサからのデータ受信またはアクチュエータの起動等の信号コンディショニングを制御する。NDIは、センサおよび/またはアクチュエータからのデータおよび/またはメッセージを記憶するためのスタックメモリブロックを含み得る。この実施例では、バスコントローラは、スタックメモリの上部にデータを入れ、またはスタックメモリの上部からデータを取出すことができる。また、NDIは、データを受信し、フォーマットし、信号コンディショニングデバイスからバスコントローラへと送信することができる。この発明は、ネットワークデバイス16−20間のピアツーピア通信に焦点を当てているため、以下のさまざまな実施例は、バスコントローラとNDIとの間の通信には言及せず、代わりに、バスコントローラと通信するものとしてネットワークデバイスを説明する。いくつかの実施例では、ネットワークデバイスは、バスコントローラと適切に通信するために必要とされる構成要素を含み、他の実施例では、ネットワークデバイスは、NDIに関連づけられることが理解されなければならない。したがって、以下で説明されるネットワークデバイスのさまざまな通信は、ネットワークデバイスまたはネットワークデバイスに関連したNDIのいずれかによって実行され得る。このようなNDIの完全で詳細な開示は、米国特許出願第09/736,878号において提供されている。
【0029】
(バスコントローラ12を含む)NDIおよび/または各ネットワークデバイス16−20は一般に、構成および較正データを記憶するトランスデューサ電子データシート(Transducer Electronic Data Sheet)(TEDS)と呼ばれるメモリセットを含む。TEDS内に含まれるメモリ領域のうちのいくつかは、ユーザによって変更可能ではない。他の領域は、以下で説明される論理アドレスおよびグループアドレス等のデータ用の必須のユーザ領域およびASCII記述領域であり、これ以上の他の領域は必須ではない。
【0030】
バスコントローラ12は、共通のネットワークバス14を介してネットワークデバイス16−20に接続するため、バスコントローラは、ネットワーク10を制御するために各ネットワークデバイスへの専用の接続部を必要としない。代わりに、バスコントローラは、アドレス指定方式を用いて各ネットワークデバイスを割当て、制御する。ネットワークを作動させるために、各ネットワークデバイスには、論理アドレスとグローバルアドレスと、設定される場合には1つ以上のグループアドレスとを含む1つ以上のアドレスが割当てられる。論理アドレスとは、コマンドまたは要求をある特定のネットワークデバイスに向けるためにバスコントローラが用いる、単一のネットワークデバイスによって認識されるアドレスである。一方、グローバルアドレスとは、ユニバーサルデータおよびコマンドを交換するためにバスコントローラが用いる、ネットワーク上のすべてのネットワークデバイスによって認識されるアドレスである。たとえば、グローバルアドレス方式によって、バスコントローラがすべてのネットワークデバイスを全般的に初期設定またはリセットすることが可能になる。グループアドレスとは、グループデータおよびコマンドを交換するためにバスコントローラが用い得る、ネットワーク上のある特定のネットワークデバイスグループによって認識され得るアドレスである。たとえば、グループアドレス方式によって、バスコントローラがさまざまなサンプルレートでネットワークデバイスグループのために時間決定性トリガをセットアップすることが可能となる。加えて、以下で説明されるように、グループアドレス方式によって、バスコントローラによる妨げがない状態でネットワークデバイスグループがネットワークバス上でピアツーピア通信を確立することが可能になり得る。
【0031】
上述のように、グローバルアドレスは、グローバルデータおよびコマンドの交換のために用いられる。グループアドレスは、多数のネットワークデバイス16−20によって認識され得、かつネットワーク10上のネットワークデバイスのグループまたはサブセットへのコマンドおよびデータの交換のために用いられ得るアドレスである。ネットワークデバイスに記憶されるグループマスクが、グループアドレスに関連する。1つの実施例のグループマスクは、16の予め定められたネットワークアドレスを表わす16ビットワードであり、「1」にセットされた各ビットは、リモートデバイスが属するグループのアドレスを表わす。
【0032】
一例として、1つの実施例では、グローバルアドレスは、0000hexとして割当てられる。この実施例では、バスコントローラ12がアドレス0000hexを送信すると、すべてのネットワークデバイス16−20がコマンドに従う。さらに、1つの実施例では、ネットワークデバイスのグループマスク内で利用可能な範囲を表わす0001hexから000fhexの範囲内でグループアドレスが選択される。この実施例では、バスコントローラがこの範囲内のアドレスをネットワークデバイスに送信すると、ネットワークデバイスは、グループアドレスを、それが記憶したグループマスクと比較する。グループアドレスに対応するグループマスク内のビットがセットされると、ネットワークデバイスは、グループアドレスに関連したコマンドを解釈し、それに従う。たとえば、ネットワークデバイスが、記憶されたグループマスク100000001100binを有するならば、ネットワークデバイスは、グループアドレス000fhex、0003hex、および0002hexに属する。バスコントローラは通例、サービスコマンド、システムのトリガ、システムのリセット、またはネットワーク10のテスト、およびピアツーピア通信の確立のためにグローバルアドレスおよびグループアドレスを用いる。
【0033】
上述のように、いくつかのネットワークシステムは、バスコントローラによる妨げがない状態でのネットワークデバイス間の通信を望むプロセスとともに用いられる。たとえば、いくつかのネットワークシステムは、受信デバイスを含む他のネットワークデバイスと直接通信することによって最も効率的な様態で作動し得る、音声ソースまたはビデオソース等のソースデバイスを含むネットワークデバイスを含み得る。この点に関して、上述のように、ネットワークデバイス16−20は、無線受信機、テープカセットプレーヤ、コンパクトディスクプレーヤ、携帯電話受信機、または、いくつかの例ではストリーミング音声信号を含む音声信号をネットワークバス14に提供するための他の音声ソース等のソースデバイスを含み得る。追加的に、または代替的には、ネットワークデバイスは、テレビジョン受信機、ビデオカセットプレーヤ、または、ストリーミングビデオ信号を含むビデオ信号をネットワークバスに提供するための他のビデオソース等のソースデバイスを含み得る。ストリーミング音声信号等の信号をネットワークバスから受信し、対応する出力を提供するために、ネットワークシステムは、スピーカまたはヘッドホンジャック等の受信ネットワークデバイスを含み得る。同様に、ストリーミングビデオ信号等の信号を受信し、ビデオ信号に基づいた画像を表示するために、ネットワークデバイスは、ビデオモニタ等を含み得る。
【0034】
例として、図2および図4は、自動車に組み込まれる図1のネットワークシステムを示す。この実施例のネットワークシステム10は、ネットワークバス上の通信を制御するためにネットワークバス14に接続されるバスコントローラ12を含む。このネットワークシステムは、自動車上で異なる機能を実行するための、センサ、アクチュエータ、マルチメディアデバイス等の複数のネットワークデバイス16−20をさらに含む。
【0035】
重要なことに、ネットワークシステム10は、バスコントローラによる妨げがない状態でネットワークバスを介してデータを送受信するために用いられる少なくとも1つのグループのネットワークデバイス24−28をさらに含む。この点に関して、各グループは、1つのソースデバイスと少なくとも1つの受信デバイスとを含む。示される例では、ネットワークデバイスは、テープカセットプレーヤ24と2対のスピーカ26および28とを含む。テープカセットプレーヤ24は、ネットワークトラフィックを提供するために選択された唯一のソースである。1対のスピーカ26と1対のスピーカ28とは両方とも、カセットプレーヤからデータを受信するためのエクスプレスライト(Express Write)設定を用いて設定される。上述のように、ネットワークデバイスは、論理アドレスおよびグループアドレスを含む。この点に関して、示される例では、各ネットワークデバイスは、表1で示されるように、割当てられた論理アドレスおよび少なくとも1つのグループアドレスを有する。
【0036】
【表1】
Figure 0004282394
【0037】
従来の動作では、ソースデバイス24は、バスコントローラ12からの別個のコマンドによって受信デバイス26および28と通信し得る。この点に関して、バスコントローラは、グループ内のすべてのネットワークデバイスに共通するグループアドレスに従って、トリガコマンドをネットワークバス14を介してグループに対して送信し得る。ネットワークバスからのトリガコマンドの受信時に、それぞれのグループのソースデバイスは、データを入力し、カセットプレーヤ内のレジスタ内でデータを保持する。同時に、それぞれのグループの受信デバイスは、受信デバイスの中のレジスタ内に保持されるデータを出力し得る。たとえば、バスコントローラがトリガコマンドをグループアドレス「1」に送信した場合、カセットプレーヤ24は、挿入されたカセットテープから音声データサンプル等のデータを入力し得、第1のセットのステレオスピーカ26および第2のセットのステレオスピーカ28は、可聴出力の形の音声データサンプル等の、スピーカ内に現在記憶されているデータを出力し得る。
【0038】
従来の動作でのトリガコマンドに従うと、バスコントローラ12は、ソースデバイスの論理アドレスを用いて、データ量を表わす読出コマンドをソースデバイスに送信するであろう。ここで用いられるような用語「読出」は、ネットワークバス14の観点から読出されるデータを示すために用いられる。たとえば、バスコントローラは、読出‐データ、ダブルワード、およびアドレス24を送信することによって、読出コマンドをカセットプレーヤ24に送信し得る。読出コマンドの受信時、カセットプレーヤは、2ワード(たとえば、32ビット)のデータ(たとえば、カセットテープからカセットプレーヤに以前に入力されたステレオの左右チャネルデータ)をネットワークバス14上に読出し、次に、バスコントローラがそのデータをネットワークバスから受信し得る。
【0039】
データの受信後、バスコントローラ12は、書込コマンドをそれぞれのグループの受信デバイスに送信し、この後に、データが書込まれる。読出コマンドと同様に、ここで用いられるような用語「書込」は、ネットワークバスの観点から書込まれるデータを示すために用いられる。この点に関して、書込コマンドは、ネットワークバス14から書込むべきデータの量を示し得、1つの受信デバイスの場合には論理アドレスによって、または多数の受信デバイスの場合にはグループアドレスによって所望の受信デバイスを示し得る。たとえば、バスコントローラは、書込‐データ、ダブルワード、およびアドレス42を送信して、第1のセットの左右スピーカ26がネットワークバスから2ワードのデータを書込むように命令し得る。代替的に、バスコントローラは、同じコマンドをグループアドレス1に送信して、第1のセットのスピーカ26と第2のセットのスピーカ28との両方ともがネットワークバスから2ワードのデータを書込むように命令することもできる。
【0040】
それぞれのグループのソースデバイスと受信デバイスとの間の通信がバスコントローラ12を通ることが必要とされることにより、通信は、多数のステップ、したがって、大きな量の処理時間を必要とする。この点に関して、この発明のシステムおよび方法は、バスコントローラを通らずに直接ソースデバイスと受信デバイスとの間で通信することに備える。図3を参照して、直接の通信を可能にするために、1つの実施例では、1つ以上の受信デバイスが、エクスプレスライトプロセスに設定され得る。以下で説明されるように、ある特定のソースデバイスにアドレス指定された読出コマンドがネットワークバス上に発行されるとき、受信デバイス内では、エクスプレスライトプロセスが受信デバイスに書込コマンドを実行させる。この点に関して、読出コマンドがソースデバイスに対してネットワークバス上に読出すように命令するデータの量は一般に、受信デバイスがネットワークバスから書込むように設定される量と等しい。その設定は、いくつの様態で達成されてもよいが、好ましい実施例では、それぞれのソースデバイスのアドレスおよびデータ量とともに、エクスプレスライトプロセスをイネーブルにするフラグが、受信デバイスのTEDS内に含まれるセットソースレジスタに記憶される(ブロック32)。図2に示されるように、たとえば、第1のセットのスピーカ26のセットソースレジスタは、エクスプレスライト、2ワード、およびアドレス24でセットされ得る。この様態で、第1のセットのスピーカは、一度に2ワードで、論理アドレス24にセットされたソースデバイス、つまり、テープカセットプレーヤ24とのピアツーピア通信のために設定される。
【0041】
一旦受信デバイスが設定されると、設定された受信デバイスは、それらのセットソースレジスタ内でリストされるソースアドレスに対してアドレス指定された読出コマンドを求めてネットワークバス14を監視する。ピアツーピア通信を開始するために、バスコントローラ12は、好ましくは、以前のように、グループのすべてのネットワークデバイスに共通するグループアドレスに従ってグループのうちの1つにトリガコマンドを送信することによって、動作する(ブロック34)。ネットワークバスからのトリガコマンドの受信時に、ソースデバイスは、データを入力し、受信デバイスは、データを出力する(ブロック36)。トリガコマンドの後、バスコントローラは、データ量を示す読出コマンドをソースデバイスの論理アドレスに従ってソースデバイスに送信する(ブロック38)。この点に関して、読出コマンド内に含まれるデータ量は、受信デバイスのセットソースレジスタに対して設定されるデータ量と等しい。
【0042】
読出コマンドの受信時に、ソースデバイスは、指示されたデータ量をネットワークバス14上に読出す(ブロック40およびブロック42)。しかし、ソースデバイスと受信デバイスとの間の通信のための従来の方法とは異なり、受信デバイスは、受信デバイスのセットソースレジスタ内で設定されたアドレスに対して送信される読出コマンドを求めてネットワークバスを監視している。したがって、受信デバイスのセットソースレジスタ内にそのアドレスが記憶されているソースデバイスに対してアドレス指定された読出コマンドを、それぞれの受信デバイスが検出すると、受信デバイスは、受信デバイスのセットソースレジスタ内で示されるデータ量をネットワークバスからそれぞれの受信デバイス上に自動的に書込む(ブロック44およびブロック46)。たとえば、図2に例示される実施例では、バスコントローラ12が、論理アドレス24のカセットプレーヤ24に読出コマンドを送信し、ダブルワードを指示した場合、第1のセットのスピーカ26および第2のセットのスピーカ28が読出コマンドを検出するであろう。なぜならば、論理アドレス24が各スピーカのそれぞれのセットソースレジスタに対して設定されているためである。読出コマンドの検出後、第1のスピーカセットおよび第2のスピーカセットは、データがネットワークバス上に読出されるのを待ち、その後、ネットワークバス14からデータを自動的に書込み得る。データが受信デバイスに書込まれた後、データは、データレジスタ内等において受信デバイスに記憶され得、その後、バスコントローラからそれぞれの受信デバイスに送信される後続のトリガコマンドを受けて出力され得る。
【0043】
ここで図4を参照して、この発明の別の実施例では、各グループの受信デバイスのみがピアツーピア通信のために設定されているわけではなく、各グループのソースデバイスも同様に設定される。上述のように、バスコントローラ12は、グループアドレス指定方式を用いてネットワーク上のある特定のネットワークデバイスグループをアドレス指定してグループデータおよびコマンドを交換し得る。この点に関して、各グループのソースデバイスおよび受信デバイスは、セットソースレジスタ内でグループ標識の形のグループアドレスを割当てられることによって、ピアツーピア通信のために設定され得る。図4に示されるように、システムは、CDプレーヤ30の形の第2のソースデバイスと、ヘッドホンジャック48の形の第3の受信デバイスとをさらに含む。したがって、図4に示される例では、2つの異なるグループが、2つの異なるグループ標識、つまり、2および3を割当てられ得る。この点に関して、示される例では、各ネットワークデバイスは、表2に示されるように、割当てられた論理アドレスと少なくとも1つのグループアドレスとグループ標識とを有する。
【0044】
【表2】
Figure 0004282394
【0045】
例示されるように、グループは、1つよりも多くの受信デバイスを含み得るが、各グループは、1つのソースデバイスしか含まない。なぜならば、1つのソースデバイスしか、一度にデータをネットワークバス14に対して読出せないためである。しかし、1つのグループは1つのソースデバイスしか含み得ないが、同じソースデバイスが多数のグループに含まれてもよい。図4の例示される実施例では、すべてのネットワークデバイスが、それぞれのグループアドレスリスト内でアドレス2および3を含むため、グループアドレスに従ったグループのうちの1つに対するトリガコマンドは、すべてのネットワークデバイスに共通する。図5を参照して、各グループのソースデバイスと受信デバイスとの間の直接の通信を可能にするために、それぞれのソースデバイスおよび受信デバイスは、エクスプレスリード/ライト(Express Read/Write)プロセスに設定される(ブロック50)。
【0046】
各グループは、いくつかの異なる様態のうちのいずれかに従ってエクスプレスリード/ライトプロセスに設定され得る。しかし、好ましい実施例では、各グループをエクスプレスリード/ライトプロセスに設定するために、それぞれのソースデバイスおよび受信デバイスは、それぞれのグループ標識およびデータ量とともに、エクスプレスリード/ライトプロセスをイネーブルにするフラグを備えて設定され、これらのすべては、それぞれの受信デバイスのセットソースレジスタおよびそれぞれのソースデバイスのセットソースレジスタ内に記憶され得る。以下で説明されるように、一旦エクスプレスリード/ライトプロセスに設定されると、セットソースレジスタ内のアドレスを含むトリガコマンドがネットワークバス14上に発行されるとき、エクスプレスリード/ライトプロセスは、それぞれのソースデバイスに読出コマンドを実行させる。同様に、セットソースレジスタ内のアドレスを含むトリガコマンドがネットワークバス上に発行されるとき、エクスプレスリード/ライトプロセスは、受信デバイスに書込コマンドを実行させる。受信デバイスは、ソースデバイスが以前にネットワークバス上に読出したデータをネットワークバスから書込むため、ソースデバイスがネットワークバス上に読出すデータ量は、ネットワークバスから受信デバイスによって書込まれるように設定されたデータ量と等しい。
【0047】
それぞれのグループのソースデバイスと受信デバイスとの間でピアツーピア通信を開始するために、バスコントローラ12は、グループ識別子のうちの1つとともにトリガコマンドをネットワークバス14上に送信する(ブロック52)。たとえば、バスコントローラが、テープカセットプレーヤ24とヘッドホンジャック48との間で直接の通信を開始することを望む場合、バスコントローラは、グループ識別子アドレス3とともにトリガコマンドを送信するであろう。同じ様態で、バスコントローラ12が、CDプレーヤ30と、第1のセットのスピーカ26および第2のセットのスピーカ28との間で直接の通信を開始することを望む場合、バスコントローラは、グループ識別子アドレス2とともにトリガコマンドを送信するであろう。
【0048】
トリガコマンドおよびグループ識別子の送信後、それぞれのグループ内のソースデバイスは、ネットワークバス14からトリガコマンドを受信し、その後、トリガコマンドに応答して、内部の先入れ先出し(FIFO)メモリ内等にデータを入力する(ブロック54およびブロック56)。たとえば、グループ識別子2とともにトリガコマンドが送信された後は、カセットプレーヤとCDプレーヤとの両方ともがグループ2のメンバーであるため、カセットプレーヤ24およびCDプレーヤ30が、挿入されたカセットテープまたはコンパクトディスクから音声データサンプル等のデータを入力する。同様に、トリガコマンドおよびグループ識別子の送信後、それぞれのグループ内の受信デバイスは、トリガコマンドを受信し、トリガコマンドに応答して、それぞれの受信デバイスの内部のFIFOメモリ等からデータを出力する(ブロック58およびブロック60)。たとえば、グループ識別子2とともにトリガコマンドが送信された後、第1のセットのスピーカ26、第2のセットのスピーカ28、およびヘッドホンジャック48すべてが、可聴出力の形の音声データサンプル等のデータを出力する。なぜならば、受信デバイスのすべてがグループ2のメンバーであるためである。
【0049】
ソースデバイスがトリガコマンドに応答してデータを入力した後、セットソースレジスタ内で設定されたそれぞれのグループ識別子を有するソースデバイスは、セットソースレジスタ内で設定されたデータの量をネットワークバス14上に読出す。この点に関して、データは、ソースデバイスのFIFOメモリから読出され得る。たとえば、図4に例示するように、CDプレーヤ30が、グループ識別子2を伴ったトリガコマンドに応答してデータサンプルを入力した後、CDプレーヤは、4ワードのデータをネットワークバス上に読出す。なぜならば、CDプレーヤは、そのセットソースレジスタ内で設定されたグループ2を有するためである(ブロック62)。同様に、受信デバイスが、トリガコマンドに応答してデータを出力した後、セットソースレジスタ内で設定されたそれぞれのグループ識別子を有する受信デバイスは、セットソースレジスタ内で設定されたデータの量をネットワークバスから書込む。この点に関して、データは、それぞれの受信デバイスのFIFOメモリから書込まれ得る。たとえば、第1のセットのスピーカ26および第2のセットのスピーカ28が、グループ識別子2を伴ったトリガコマンドに応答してデータサンプルを出力した後、第1のセットのスピーカおよび第2のセットのスピーカは、4ワードのデータをネットワークバスから書込み、内部のFIFOメモリ内等にワードを記憶する(ブロック64)。
【0050】
上の例に引き続いて、次のトリガコマンドはグループ3に対して発行されると仮定する。この点に関して、上のCDプレーヤ30と同様の様態で、トリガコマンドによって、カセットプレーヤ24が4ワードのデータをヘッドホンジャック48に対して基本的に渡すことになる。有利なことには、グループアドレス2と3との間でトリガコマンドを交互にすることによって、結果として、それぞれのソースデバイスおよび受信デバイスの時間決定性サンプリングレートが保たれるように、適切な量のデータがそれぞれのソースデバイスと受信デバイスとの間で渡される。
【0051】
ソースデバイスによってネットワークバス上に読出されるデータは、トリガコマンドに応答してそれぞれのソースデバイスによって入力されたデータ出力を含み得るが、これは、データ入力の量が、それぞれのソースデバイスのセットソースレジスタ内で設定されるデータの量と等しい場合に特に当てはまることが理解されるべきである。同様に、受信デバイスによって入力されるデータ出力は、それぞれの受信デバイスによってネットワークバスから書込まれたデータを含み得るが、これは、データ入力の量が、セットソースレジスタ内で設定されるデータの量と等しい場合に特に当てはまる。しかし、ソースデバイスおよび受信デバイスがFIFOメモリを含む好ましい実施例では、受信デバイスによってネットワークバス上に読出されるデータ量と、受信デバイスによって出力されるデータ量とは、それぞれ、ソースデバイスおよび受信デバイスのFIFOメモリに記憶されるデータを含む。したがって、ソースデバイスによって入力されるデータの量はその後、ネットワークバス上に後に読出されるように、それぞれのソースデバイスのFIFOメモリに記憶される。同様に、受信デバイスによってネットワークバスから書込まれるデータの量はその後、受信デバイスによって後に出力されるように、受信デバイスのFIFOメモリに記憶される。したがって、ソースデバイスによって入力され、その後ネットワークバス上に読出されるデータと、ネットワークバスから書込まれ、その後受信デバイスによって出力されるデータとは、時間決定性の様態でソースデバイスおよび受信デバイスに対して出入りするようにサイクルし得る。
【0052】
この点で、グループ識別子は、単に特別なタイプのグループアドレスにすぎないことも理解されるべきである。この点に関して、さらには、各グループのソースデバイスおよび受信デバイスはそれぞれ、データの読出または書込の前にデータを入力または出力するため、それぞれのネットワークデバイスのセットソースレジスタ内に含まれる各グループ識別子は、それぞれのネットワークデバイスのグループアドレスリスト内にも含まれなければならない。したがって、たとえば、カセットプレーヤ24およびCDプレーヤ30をエクスプレスリード/ライトプロセスのためにサポートするためには、グループ識別子3および2がそれぞれ、カセットプレーヤおよびCDプレーヤのセットソースレジスタおよびグループアドレスリストに記憶されなければならない。同様に、第1のセットのスピーカ26と第2のセットのスピーカ28とヘッドホンジャック48とをエクスプレスリード/ライトプロセスのためにサポートするためには、グループ識別子2および3がそれぞれ、スピーカおよびヘッドホンジャックのセットソースレジスタおよびグループアドレスリストに記憶されなければならない。
【0053】
図4に例示される実施例の適切な動作を可能にするために、受信デバイスは、好ましくは、FIFO記憶場所内等のデータをバッファリングすることができる。データバッファの追加は、システムの3つの特性を説明する。第1に、上述のように、1つ以上の受信デバイスがグループ内に含まれ得るが、1つのソースデバイスしかグループ内に含まれ得ない。第2に、1つのソースデバイスしかグループ内に含まれ得ないため、各グループ識別子は、ある特定のソースデバイスに独自のものでなければならない。第3に、同じく上述のように、各グループの各ネットワークデバイスは、それぞれのネットワークデバイスのセットソースレジスタおよびグループアドレスリストの両方の中にそれぞれのグループ識別子を含む。
【0054】
したがって、この発明のさまざまな実施例によって、ネットワークシステム内でピアツーピア通信を確立するためのシステムおよび方法が提供される。この発明の実施例によって、ネットワークデバイスが従来のシステムおよび方法よりも少ない数の動作でピアツーピア通信を確立し、したがって、従来のシステムおよび方法よりも完了までにより短い時間しか必要としないことが可能となる。この点に関して、ソースデバイスおよび受信デバイスは、いくつかの従来のネットワークシステムによって必要とされるような専用の配線がない状態で共通のネットワークバスを介してピアツーピア通信を確立することができる。加えて、この発明のさまざまな実施例のシステムおよび方法によって、バスコントローラによる妨げがない状態でネットワークデバイスがピアツーピア通信を確立することが可能となる。
【0055】
上述の説明および関連の図において呈示された教示の利益を享受する、この発明に関係する当業者には、この発明の多くの変形例および他の実施例が思い浮かぶであろう。したがって、この発明は開示された特定の実施例に限定されておらず、変形例および他の実施例が、添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されることが理解されるべきである。ここでは特定の用語が用いられたが、これらは、総称的および説明的な意味でのみ用いられ、限定目的で用いられてはいない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のシステムおよび方法が実現され得る一般的なネットワークシステムのブロック図である。
【図2】 この発明の1つの実施例に従ってこの発明のシステムおよび方法が実現され得るネットワークシステムのブロック図であって、ネットワークシステムは、ソースデバイスおよび受信デバイスが最も効率的にピアツーピアで通信する乗り物内にあることを示す、ブロック図である。
【図3】 この発明の1つの実施例に従ってネットワークシステム内でピアツーピア通信を確立するための方法を例示するフローチャートの図である。
【図4】 この発明の別の実施例に従ってこの発明のシステムおよび方法が実現され得るネットワークシステムのブロック図であって、ネットワークシステムは、ソースデバイスおよび受信デバイスが最も効率的にピアツーピアで通信する乗り物内にあることを示す、ブロック図である。
【図5】 この発明の別の実施例に従ってネットワークシステム内でピアツーピア通信を確立するための方法を例示するフローチャートの図である。
【符号の説明】
10 ネットワークシステム、12 バスコントローラ、14 ネットワークバス、24 テープカセットプレーヤ、26 第1のセットのスピーカ、28 第2のセットのスピーカ、30 CDプレーヤ、48 ヘッドホンジャック。

Claims (12)

  1. ネットワークバスを介してピアツーピア通信を確立するためのシステムであって、前記システムは、
    前記ネットワークバスと電気通信して前記ネットワークバス上の通信を制御するバスコントローラと、
    少なくとも1つのピアツーピアグループとを含み、各グループは、
    前記ネットワークバスと電気通信するソースデバイスと、
    前記ネットワークバスと電気通信する少なくとも1つの受信デバイスとを含み、
    前記バスコントローラは、1つのグループの前記ソースデバイス上のデータを識別する読出コマンドを送信することができ、
    それぞれのグループの前記ソースデバイスは、前記読出コマンドを受信することができ、
    前記それぞれのグループの前記少なくとも1つの受信デバイスは、前記読出コマンドを検出することができ、
    前記それぞれのグループの前記ソースデバイスは、前記読出コマンドに応答して、前記読出コマンドによって識別されたデータを前記ネットワークバス上に読出すことができ、前記それぞれのグループの前記少なくとも1つの受信デバイスは、前記読出コマンドの検出に応答して、前記ネットワークバスからのデータを自動的に書込むことができる、ピアツーピア通信を確立するためのシステム。
  2. 前記バスコントローラはさらに、前記読出コマンドを送信する前に、少なくとも1つのグループの前記ソースデバイスおよび少なくとも1つの受信デバイスにトリガコマンドを送信することができ、
    前記少なくとも1つのグループの前記ソースデバイスは、前記トリガコマンドを受信し、その後、データを入力することができ、
    前記少なくとも1つのグループの前記少なくとも1つの受信デバイスは、前記トリガコマンドを受信し、その後、データを出力することができる、請求項1に記載のシステム。
  3. 各グループの前記少なくとも1つの受信デバイスは、前記バスコントローラから前記それぞれのグループの前記ソースデバイスへと送信される読出コマンドを求めて前記ネットワークバスを監視するように予め設定される、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記バスコントローラは、前記それぞれのグループを識別するグループ識別子を含むトリガコマンドを送信することができ、
    前記識別されたグループの前記ソースデバイスおよび少なくとも1つの受信デバイスは、前記トリガコマンドを受信することができ、
    前記それぞれのグループの前記ソースデバイスは、前記トリガコマンドを受信したことに応答して、データを入力し、データを前記ネットワークバス上に読出すことができ、
    前記それぞれのグループの前記少なくとも1つの受信デバイスは、前記トリガコマンドを受信したことに応答して、データを出力し、前記ネットワークバスからデータを書込むことができる、請求項1に記載のシステム。
  5. 各グループの前記ソースデバイスおよび前記少なくとも1つの受信デバイスは、前記それぞれのグループを識別するグループ識別子を含むトリガコマンドを受信するように予め設定され、
    各グループの前記ソースデバイスはさらに、前記トリガコマンドを受信したことに応答して、予め定められた量のデータを前記ネットワークバス上に読出すように設定され、
    各グループの前記少なくとも1つの受信デバイスは、前記トリガコマンドを受信したことに応答して、前記ネットワークバスから予め規定された量のデータを書込むように設定される、請求項4に記載のシステム。
  6. 共通のネットワークバスを介して通信する複数のネットワークデバイスを含むネットワーク内でピアツーピア通信を確立するための方法であって、
    前記複数のネットワークデバイスは、少なくとも1つのピアツーピアグループを含み、各グループは、ソースデバイスと少なくとも1つの受信デバイスとを含み、前記方法は、
    読出コマンドを前記ネットワークバス上に送信するステップを含み、前記読出コマンドは、1つのグループの前記ソースデバイス上のデータを識別し、前記方法はさらに、
    送信された前記読出コマンドをそれぞれのグループの前記ソースデバイスで受信し、送信された前記読出コマンドを前記それぞれのグループの前記少なくとも1つの受信デバイスで検出するステップと、
    前記それぞれのグループの前記ソースデバイスから前記ネットワークバス上に前記識別されたデータを読出し、その後、前記それぞれのグループの前記少なくとも1つの受信デバイス上に前記ネットワークバスからのデータを自動的に書込むステップとを含む、ピアツーピア通信を確立するための方法。
  7. 少なくとも1つのグループの前記ソースデバイスおよび少なくとも1つの受信デバイスにトリガコマンドを送信するステップと、
    前記少なくとも1つのグループの前記ソースデバイスにデータを入力し、前記少なくとも1つのグループの前記少なくとも1つの受信デバイスからデータを出力するステップとをさらに含み、
    トリガの送信およびデータの入力は、前記読出コマンドを送信する前に行なわれる、請求項6に記載の方法。
  8. 前記読出コマンドを送信する前に、前記それぞれのグループの前記ソースデバイスに送信される読出コマンドを検出するように各グループの前記少なくとも1つの受信デバイスを予め設定するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
  9. ネットワークバスを介してピアツーピア通信を確立するためのシステムであって、前記システムは、
    前記ネットワークバスと電気通信して前記ネットワークバス上の通信を制御するバスコントローラを含み、前記バスコントローラは、グループ識別子を含むトリガコマンドを前記ネットワークバス上に送信することができ、前記システムはさらに、
    少なくとも1つのピアツーピアグループを含み、各グループは、
    前記ネットワークバスと電気通信するソースデバイスを含み、前記ソースデバイスは、少なくとも1つのそれぞれのグループ識別子と関連づけられ、前記ソースデバイスは、それぞれのグループ識別子を含むトリガコマンドを受信し、その後、前記トリガコマンドを受信したことに応答して、データを入力し、前記ネットワークバス上にデータを読出すことができ、前記各グループはさらに、
    前記ネットワークバスと電気通信する少なくとも1つの受信デバイスを含み、前記少なくとも1つの受信デバイスは、少なくとも1つのグループ識別子と関連づけられ、前記少なくとも1つの受信デバイスは、前記それぞれのグループ識別子を含むトリガコマンドを受信することができ、前記少なくとも1つの受信デバイスは、前記トリガコマンドを受信したことに応答して、データを出力し、前記ネットワークバスからデータを書込むことができ
    前記バスコントローラは、それぞれのグループの前記ソースデバイスと関連づけられ、かつそれぞれの前記ソースデバイス上のデータを識別する読出コマンドを送信することができ、
    それぞれのグループの前記ソースデバイスは、前記読出コマンドを受信し、その後、前記識別されたデータを前記ネットワークバス上に読出すことができ、
    前記少なくとも1つの受信デバイスは、前記読出コマンドを検出し、その後、前記それぞれのグループの前記ソースデバイスが前記識別されたデータを前記ネットワークバス上に読出した後、前記ネットワークバスからデータを自動的に書込むことができる、ピアツーピア通信を確立するためのシステム。
  10. 各グループの前記ソースデバイスおよび前記少なくとも1つの受信デバイスは、それぞれのグループを識別するグループ識別子を含むトリガコマンドを受信するように予め設定され、
    各グループの前記ソースデバイスはさらに、前記トリガコマンドを受信したことに応答して、予め定められた量のデータを前記ネットワークバス上に読出すように設定され、
    各グループの前記少なくとも1つの受信デバイスは、前記トリガコマンドを受信したことに応答して、前記ネットワークバスから予め規定された量のデータを書込むように設定される、請求項9に記載のシステム。
  11. 共通のネットワークバスを介して通信する複数のネットワークデバイスを含むネットワーク内でピアツーピア通信を確立するための方法であって、
    前記複数のネットワークデバイスは、少なくとも1つのピアツーピアグループを含み、各グループは、ソースデバイスと少なくとも1つの受信デバイスとを含み、前記方法は、
    トリガコマンドを前記ネットワークバス上に送信するステップを含み、前記トリガコマンドは、それぞれのグループを識別するグループ識別子を含み、前記方法はさらに、
    送信された前記トリガコマンドを前記それぞれのグループの前記ソースデバイスおよび少なくとも1つの受信デバイスで受信するステップと、
    前記グループ識別子によって識別されるグループのソースデバイスに、データを入力し、前記グループ識別子によって識別されたグループの前記少なくとも1つの受信デバイスからデータを出力するステップと、
    前記グループ識別子によって識別されたグループのソースデバイスにおいてデータを前記ネットワークバス上に読出し、前記グループ識別子によって識別されたグループの前記少なくとも1つの受信デバイスにおいてデータを前記ネットワークバスから書込むステップとを含む、ピアツーピア通信を確立するための方法。
  12. トリガコマンドを送信する前に、それぞれのグループ識別子を含むトリガコマンドを受信するように各グループの前記ソースデバイスおよび前記少なくとも1つの受信デバイスを予め設定するステップをさらに含み、
    前記ソースデバイスを設定するステップはさらに、それぞれのトリガコマンドを受信したことに応答して、予め定められた量のデータを前記ネットワークバス上に読出すように前記ソースデバイスを設定するステップを含み、
    前記少なくとも1つの受信デバイスを設定するステップはさらに、それぞれのトリガコマンドを受信したことに応答して、予め規定された量のデータを前記ネットワークバスから書込むように前記少なくとも1つの受信デバイスを設定するステップを含む、請求項12に記載の方法。
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