JP4280829B2 - 耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼおよびその製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼ、該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子DNAを含有する組換えベクター、該組換えベクターで形質転換した形質転換体、および該形質転換体を用いた耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼの製造法に関する。
L‐アラビノースは細胞壁の構成糖であり、L‐アラビノースを主要成分とし、1,2‐α、1,3‐α、1,5‐α結合した多糖類がL‐アラビナンであり、ガラクトースやキシロースと結合した多糖類が、アラビノガラクタン(1,3‐α、1,6‐α結合)、アラビノキシラン(1,2‐α、1,3‐α結合)であり、植物の細胞壁多糖として広く存在する。これらアラビノースを含む多糖は、非常に分解が困難で、天然資源として有効に利用できないことが大きな問題点となっている。特にアラビノキシランを主成分とするヘミセルロースは、天然界において2番目に多量に存在する多糖であるにもかかわらず、有効な分解方法が開発されておらず、資源活用の必要性が望まれているバイオマスである。
これらのL‐アラビノース含有多糖の分解酵素には、エンド型分解酵素のエンドアラビナーゼとエキソ型分解酵素のα‐L‐アラビノフラノシダーゼがある。中でもα‐L‐アラビノフラノシダーゼはアラビノースと他の糖類との結合であるアラビノフラノシル基の結合を切断するため、L‐アラビノースを含有する複合多糖の分解に有効であると考えられている。実際にヘミセルロースの主成分であるアラビノキシランはキシラナーゼにより、βキシラン主鎖を分解することが可能であるが、アラビノフラノシル基側鎖を分解するα‐L‐アラビノフラノシダーゼを共存させないと効率的な分解ができない。
また、アラビノガラクタンやペクチンなどにもアラビノフラノシル基側鎖が存在し、同様に効率的な分解にはα‐L‐アラビノフラノシダーゼが必要である。
このように、α‐L‐アラビノフラノシダーゼは、L‐アラビノース含有多糖の分解に有効であることから、ヘミセルロース資源の燃料への変換、パルプの非木質化、植物資源の飼料への利用、ワイン発酵中におけるブドウのモノテルペングリコシドの加水分解、アラビノースの製造、ヘミセルロース含有廃水の処理など、様々な利用方法が期待されている。
以上のように、ヘミセルロースなどの植物多糖を有効に資源活用するためには、酵素の弱点の一つである耐熱性の高いα‐L‐アラビノフラノシダーゼの探索、開発が非常に重要となっている。さらに耐熱性の高い酵素が簡便に生産されることが望まれる。
上記に鑑み、本発明の目的は、耐熱性の高いアラビノフラノシダーゼを新たに見いだすとともに、該新規アラビノフラノシダーゼを遺伝子組換え技術を用いて大量生産するため、その製造手段となる、該アラビノフラノシダーゼをコードするDNA、該遺伝子DNAを含有する組換えベクター、該組換えベクターで形質転換した形質転換体を提供し、さらに該形質転換体を用いて耐熱性アラビノフラノシダーゼを大量生産することにある。
本発明者は、以上のような課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、好熱菌サーモトガ
マリティマ(Thermotoga maritima)より、耐熱性が高く、高温条件下で効率的に反応するα‐L‐アラビノフラノシダーゼをコードする遺伝子を単離・構造決定するとともに、遺伝子工学的手法によりα‐L‐アラビノフラノシダーゼの組換え酵素の大量生産、簡便な精製により効率的に生産することに成功し、さらに該組み換酵素が高い耐熱性と高温での効率的な反応を行うことを確認し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下(1)〜(7)に示すとおりである。
(1) 下記の性質を有するα‐L‐アラビノフラノシダーゼ。
(a)作用:p‐ニトロフェニル‐α‐L‐アラビノフラノシドを基質として作用させた場合、p‐ニトロフェノールを遊離する。
(b)至適温度:p‐ニトロフェニル‐α‐L‐アラビノフラノシドを基質としてpH7.0にて10分間反応させ、遊離するp‐ニトロフェノールの量を400nmの吸光度により測定する方法での反応至適温度は約90℃である。
(c)熱安定性:pH7.0にて90℃で保持したとき、少なくとも24時間以上酵素の失活が見られない。
(d)阻害剤:エチレンジアミン四酢酸、ジチオスレイトールでは阻害されない。
(e)金属イオンの影響:塩化マグネシウム、塩化カルシウムの添加により活性が促進も阻害もされない。
(f)分子量:質量分析器により測定した分子量は約55300ダルトンである。

(2) 配列番号1で表されるアミノ酸配列、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質。

(3) 上記(2)に記載のタンパク質をコードするDNA。

(4) 配列番号2で表される塩基配列を有するDNAであることを特徴とする、上記(3)記載のDNA。

(5) 上記(3)または(4)記載のDNAを含む組換えベクター。

(6) 上記(5)記載の組換えベクターで形質転換した形質転換体。

(7) 上記(6)記載の形質転換体を培養して耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼを製造することを特徴とする耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼの製造方法。
本発明によれば、極めて耐熱性が良好で、高温条件下で反応活性が高いα‐Lアラビノフラノシダーゼを提供でき、また、該α‐Lアラビノフラノシダーゼを効率よく大量生産可能となる。
本発明の耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼは好熱菌サーモトガ マリティマ(Thermotoga maritima)由来のもので、遺伝子工学的手法により得られたものである。本発明のα‐L‐アラビノフラノシダーゼ遺伝子は、好熱菌サーモトガ
マリティマ(Thermotoga maritima)の染色体DNAを鋳型とし、配列表の配列番号3及び4に示すプライマーを用いて、PCR法により増幅することにより得られる。
このα‐L‐アラビノフラノシダーゼ遺伝子を用いて、耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼを得るには、該遺伝子を例えば大腸菌発現ベクター等に挿入し、得られた組換えベクターを大腸菌等の適当な宿主に導入し、形質転換体を得、該形質転換体を培地に培養し、菌体あるいは培養物から得ることができる。
本発明の耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼは、上記した酵素学的性質を有し、極めて熱安定性が良好で、かつ、高い温度で酵素活性を発揮しうることが特徴であり、このような耐熱性のα‐L‐アラビノフラノシダーゼは従来みられないものである。例えば、従来公知のジオバチルス
ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)菌由来のα‐L‐アラビノフラノシダーゼの酵素活性は70℃で1時間後に半分に低下(Applied
and Environmental Microbiology, Vol.61,p170-174,1995)し、またサーモバチルス キシラニリティカス(Thermobacillus
xylanilyticus)由来の酵素活性も90℃で2時間後に半分に低下する(Applied and Environmental Microbiology,
Vol.66,p1734-1736,2000)が、本発明の耐熱性酵素は90℃で1日経過後も失活が見られない。また100℃でも7時間後に10%以上の酵素活性を維持する。
本発明の耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼは、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するが、この配列表の配列番号1のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するものであっても、耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質である限り、本発明に包含される。
また、本発明における耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼ遺伝子は、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列、あるいはこの配列表の配列番号1のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ、耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAであれば、特に限定されないが、具体的には、配列表の配列番号2に示される塩基配列を有するDNAを挙げることができる。
なお、上記アミノ酸の付加、欠失又は置換は周知技術である部位特定変異誘発(例えば、Nucleic Acids Research,Vol.10,p6487-6500,1982を参照)やランダム変異(例えば、Technique,Vol.1,p11-15,1989を参照)等それ自体周知の方法により実施することができる。
本発明における上記耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼ遺伝子を導入するための宿主としては、例えば、大腸菌、枯草菌、酵母等が挙げられ、これらにおいて本発明の耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼ遺伝子を上記各宿主において発現させるために、発現ベクターに該遺伝子を挿入して上記宿主を形質転換するが、例えば宿主としては大腸菌JM109,BL21(DE3)等を用い、発現ベクターとしては、pUC118、pET28a(+)、pET32a(+)等を用いればよい。
本発明においては上記形質転換体を宿主に好適な培地で培養し、培地中の菌体あるいは培養物等から、耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼを、粗酵素あるいは精製酵素の形態で得る。本酵素の精製においては、本酵素の耐熱性が極めて高いので、他の精製法と併用して加熱処理をすることが有用かつ便利である。
すなわち、上記培地から得られた菌体あるいは培養物処理液には、該宿主由来の様々なタンパク質等を包含するが、例えば80℃に加熱処理すれば、これら共雑タンパク質は変性し沈殿する。これに対して、本酵素は、この温度条件下では変性しにくく沈殿しないので、遠心分離等によりたやすく分離できる。また、この後、遠心上澄みを疎水、陰イオン交換、ゲル濾過等のカラムクロマトグラムにかければ、精製度の高い耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼを容易に得ることができる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例においては、酵素活性の測定において、基質として、人工基質であるp‐ニトロフェニルαーL‐アラビノフラノシドを使用し、酵素活性の発現により遊離するp‐ニトロフェノール由来の400nm付近の吸収を測定しているが、このような測定法はα‐L‐アラビノフラノシダーゼ酵素活性の測定法として広く知られているものである。
〔実施例1〕
(1)アラビノフラノシダーゼ遺伝子のクローニング
遺伝子のクローニングは、サーモトガ マリティマ(Thermotoga maritima)由来のゲノムDNAを鋳型とし、KOD-plus-DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)を用い、PCR増幅により行った。用いたオリゴヌクレオチドプライマーの配列は、上流:5’-CATATGTCCTACAGGATAGTGGTGGAT-3’(配列番号3)、下流:5’-GTCGACTTACTCCAATTCTACCTCAATCAC-3’(配列番号4)である。増幅反応は、94℃で2分間保温後、94℃ 15秒、55℃ 30秒、68℃ 1分からなる温度サイクルを25回繰り返すことにより行った。
Figure 0004280829
(3)塩基配列の決定
次に、上記(2)で得られた組換えプラスミドpETmabf1のインサート領域について塩基配列を決定した。シーケンシング反応は、アプライドバイシステムズ社製ビッグダイ・バージョン3キットを用い、ダイデオキシ法により行った。塩基配列の解析は、アプライドバイシステムズ社製DNAシーケンサー(プリズム310)により行った。決定した塩基配列および推定アミノ酸配列を配列表の配列番号2および1に示した。こうして塩基配列の決定されたpETmabf1は平成16年3月26日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM P-19752として寄託されている。こうしてα‐L‐アラビノフラノシダーゼの高発現プラスミドが構築された。
(4)組換えアラビノフラノシダーゼ遺伝子の発現
pETmabf1を東洋紡社製の大腸菌コンピテントセルBL21(DE3)(ノバジェン社製)に導入し、100μg/mlのアンピシリンを含むLB(1% トリプトン、0.5% 酵母エキス、1% 塩化ナトリウム)寒天プレート上、37℃で培養した。生育してきた単一コロニーを100μg/mlのアンピシリンを含むLB液体培地に植菌し、37℃で振とう培養した。600nmにおける吸光度が0.8に達したところで、終濃度0.5mMのイソプロピル‐β‐D‐チオガラクトピラノシドを加え、37℃でさらに5時間、振とう培養した。
(5)組換えアラビノフラノシダーゼの精製
菌体を遠心分離(5、000g、10分)により回収し(湿菌体重量 17g)、20mM トリスー塩酸(pH8.0)、1μg/mlリゾチームおよび1μg/mlデオキシリボヌクレアーゼIを加えた。ピペッティングにより菌体をよく懸濁し、コンスタントセルディスラプター(セルディスラプションシステムズ社製)により2.3Mpaで菌体を破砕した。沈澱を遠心分離により除去(20000g、20分)し、上精を回収後、80℃で30分間加熱処理をした。沈澱を遠心分離により除去(20000g、20分)し、上精に終濃度1.5%となるように30%硫酸ストレプトマイシン溶液を加え、4℃で一晩放置した。沈殿物を遠心分離により除去(20000g、20分)し、上精を回収し、終濃度1Mとなるように硫酸アンモニウムを加えた。本タンパク質溶液を20mM トリスー塩酸(pH8.0)、1M 硫酸アンモニウムで平衡化したアマシャム社製のHi-Trap Phenyl FF(5ml)カラムに添加し、硫酸アンモニウムの濃度勾配(1→0M)により吸着タンパク質を溶出した。アラビノフラノシダーゼの活性を示す画分を回収し、20mM トリスー塩酸(pH8.0)に対して透析した。上精を、20mM トリスー塩酸(pH8.0)で平衡化したアマシャム社製のHi-Trap DEAE FF(5ml)カラムに添加し、0.1M塩化ナトリウムを含む20mM トリスー塩酸(pH8.0)で洗浄し、塩化ナトリウムの濃度勾配(0.1M→0.4M)により吸着タンパク質を溶出した。アラビノフラノシダーゼの活性を示す画分を回収し、20mM トリスー塩酸(pH7.0)に対して透析した。本方法により、湿菌体重量1gあたり20mgの精製酵素を得ることができた。
(6)タンパク質の分子量
パーセプティブ社製質量分析器ボイジャーLSにより分子量分析を行ったところ、55267ダルトンであった。これは、アミノ酸配列から計算される55284ダルトンとほぼ一致していた。また、アマシャム社製ゲル濾過カラムSuperose 6 10/300GLカラム(10×300mm)を用い、20mM トリスー塩酸(pH7.0)、0.2M 塩化ナトリウム、流速0.5ml/min、室温で分析したところ、331キロダルトンの位置に溶出され、本酵素が6量体を形成することが判明した。
(7)タンパク質の諸性質
アラビノフラノシダーゼ活性の酵素活性の測定は30℃で行い、400nmにおける吸光度の変化をモニターすることにより反応速度を決定した。
(a)酵素活性
以下の合成基質(すべてシグマ社製)を終濃度1mMとなるように0.1M トリスー塩酸(pH7.0)に溶解し、80℃で活性を測定した。p‐ニトロフェニル α‐L‐アラビノフラノシド、p‐ニトロフェニル α‐L‐アラビノピラノシド、p‐ニトロフェニル β‐D‐キシロピラノシド、p‐ニトロフェニル α‐L‐フコピラノシド,α‐L‐ラムノピラノシド、p‐ニトロフェニル α‐D‐キシロピラノシド、p‐ニトロフェニル β‐D‐グルコピラノシド、p‐ニトロフェニル β‐D‐ガラクトピラノシド、p‐ニトロフェニル β‐D‐フコピラノシド、p‐ニトロフェニル β‐D‐マンノピラノシド。その結果、p‐ニトロフェニル α‐L‐アラビノフラノシドおよびp‐ニトロフェニル β‐D‐キシロピラノシドに対してのみ活性を示した。速度論的パラメータは、p‐ニトロフェニル α‐L‐アラビノフラノシドに対するミカエリス定数が0.42mM、ターンオーバーが22回毎秒であった。p‐ニトロフェニル β‐D‐キシロピラノシドに対しては、p‐ニトロフェニル α‐L‐アラビノフラノシドの1000分の1程度の活性を示したので本酵素の主たる活性はα‐L‐アラビノフラノシダーゼであることが判明した。
(b)耐熱性
高温での酵素活性の半減期は、20mM トリスー塩酸(pH7.0)に溶解した0.4μg/μlの酵素液を90℃で保温し、一定時間ごとに酵素液の一部を分取し、0.1M トリスー塩酸(pH7.0)、1mM p‐ニトロフェニル α‐L‐アラビノフラノシドを含む活性測定液中、30℃で残存活性を測定することにより決定した。その結果、図1に示すように、90℃において、少なくとも24時間は酵素の失活が見られなかった(図1、黒丸)。これは、ジオバチルス
ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)由来α‐L‐アラビノフラノシダーゼの70℃における半減期1時間(Applied
and Environmental Microbiology,Vol.61,p170-174,1995)よりもはるかに耐熱性であり、サーモバチルス キシラニリティカス(Thermobacillus
xylanilyticus)由来α‐L‐アラビノフラノシダーゼの90℃における半減期2時間(Applied and Environmental
Microbiology,Vol.66,p1734-1736,2000)よりも耐熱性の高いことを示す。同様に、100℃における失活は図1、白丸に示すように、20分以内に半分に低下したが、その後はゆるやかに失活した。7時間経過後も約10%の活性を維持していた。
(c)活性の温度依存性
本酵素の活性の温度依存性を30℃から95℃の温度範囲で測定した。0.1M トリス‐塩酸(pH7.0)、1mM p‐ニトロフェニル α‐L‐アラビノフラノシドを含む活性測定液中に酵素液を添加し、各温度で10分間保温し、氷水中で冷却し反応を停止し、直ちに400nmにおける吸光度を測定した。その結果、図2に示すように、本酵素は90℃に至適温度を持つことが判明した。また、50から85℃の温度範囲でアレニウスプロットは直線を与え、触媒反応の活性化エネルギーは65kJ/molと算出された。これは、ジオバチルス
ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)由来のα-L-アラビノフラノシダーゼの触媒反応の活性化エネルギー70kJ/mol(Applied
and Environmental Microbiology,Vol.61,p170-174,1995)よりも小さかった。以上のことから、本酵素の耐熱性が高く、高温で効率的に反応する酵素であることが判明した。
(d)二価金属の影響
0.1M トリスー塩酸(pH7.0)、1mM p‐ニトロフェニル α‐L‐アラビノフラノシド、および10mM 塩化マグネシウム、塩化カルシウムのいずれかを加え酵素反応の測定を行った。その結果、これらの二価金属は活性を促進することも阻害することもないことが判明した。
(e)阻害剤の影響
0.1M トリスー塩酸(pH7.0)、1mM p‐ニトロフェニル α‐L‐アラビノフラノシド、および終濃度50mMのエチレンジアミン四酢酸を加えても活性を促進することも阻害することもないことが判明した。また、0.1M トリスー塩酸(pH7.0)、1mM p‐ニトロフェニル α‐L‐アラビノフラノシド、および終濃度10mMのジチオスレイトールを加えても活性を促進することも阻害することもないことが判明した。
(f)分子量
本酵素の分子量をパーセプティブ社の質量分析計ボイジャーにより測定したところ、55284ダルトンを与えた。また、アマシャム社製のスーパーロース 6 10/300 GL カラムを用い、20mM トリスー塩酸緩衝液(pH7.0)、0.2M 塩化ナトリウム溶液中、流速毎分0.5mlでゲル濾過により分子量を測定したところ332キロダルトンを与えた。このことから、本酵素が6量体で機能すると推定された。
サーモトガ マリティマ(Themotogamaritima)由来アラビノフラノシダーゼ活性の高温下における失活の過程を示すグラフである。 サーモトガ マリティマ(Themotogamaritima)由来アラビノフラノシダーゼ活性の温度依存性を測定した結果を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 下記の性質を有するα‐L‐アラビノフラノシダーゼ。
    (1)作用:p‐ニトロフェニル‐α‐L‐アラビノフラノシドを基質として作用させた場合、p‐ニトロフェノールを遊離する。
    (2)至適温度:p‐ニトロフェニル‐α‐L‐アラビノフラノシドを基質としてpH7.0にて10分間反応させ、遊離するp‐ニトロフェノールの量を400nmの吸光度により測定する方法での反応至適温度は約90℃である。
    (3)熱安定性:pH7.0にて90℃で保持したとき、少なくとも24時間以上酵素の失活が見られない。
    (4)阻害剤:エチレンジアミン四酢酸、ジチオスレイトールでは阻害されない。
    (5)金属イオンの影響:塩化マグネシウム、塩化カルシウムの添加により活性が促進も阻害もされない。
    (6)分子量:質量分析器により測定した分子量は約55300ダルトンである。
  2. 配列番号1で表されるアミノ酸配列、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質。
  3. 請求項2に記載のタンパク質をコードするDNA。
  4. 配列番号2で表される塩基配列を有するDNAであることを特徴とする、請求項3記載のDNA。
  5. 請求項3または4記載のDNAを含む組換えベクター。
  6. 請求項5記載の組換えベクターで形質転換した形質転換体。
  7. 請求項6記載の形質転換体を培養して耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼを製造することを特徴とする耐熱性α‐L‐アラビノフラノシダーゼの製造方法。
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