JP4279857B2 - 蒸気タービン、シール装置、及びそれらの制御方法 - Google Patents

蒸気タービン、シール装置、及びそれらの制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、蒸気によってエネルギーを得る蒸気タービン、蒸気タービンのロータ径方向外側に設けられ蒸気漏洩を抑制するシール装置、及びそれらの制御方法に関する。
蒸気タービンの効率を向上させる一手段として、蒸気タービンの起動及び停止等の非定常運転に要する時間を短縮することが有効なことが知られている。
通常、蒸気タービンを起動する際には、蒸気タービンを徐々に暖機することによって、動翼が取り付けられたロータとこのロータを内包するケーシングの熱容量差から生じる加熱による伸び差(熱伸び差)を制御する。これにより、ケーシングと比較して相対的に熱容量の小さいロータがケーシングに対して過度に伸びて軸振動(ラビング振動)が発生すること等を回避しながら、定常運転時の状態までゆっくり遷移させてから起動させる。このように、非定常運転に要する時間の短縮を図るためには、熱伸び差の問題を解消する必要がある。
こうした熱伸び差の問題を軽減して非定常運転時間の削減を図ったものとして、ロータに比べて熱容量が大きいケーシングの外周面に熱媒体が流通する通路を取り付け、これによりケーシング全体を予め加熱(又は冷却)する技術がある(特許文献1等参照)。
実開昭62−34103号公報
ところが、上記の技術はケーシング全体の暖機や冷却を前提としたものであり、ケーシングの暖機や冷却に必要となる蒸気が充分に準備できない場合にはその効果は小さく、実用には困難を伴うことがある。また、予加熱・予冷却をして非定常運転時間を短縮する他に、これと連携した定常運転時における効率向上についての方策は考慮されておらず、起動から停止までの一連の流れを考慮して総合的な観点から蒸気タービンの効率を向上させる必要もある。
本発明の目的は蒸気タービンの効率を向上させることにある。
本発明は、上記目的を達成するために、動翼が取り付けられたロータと、このロータを外周から取り囲むダイヤフラムと、このダイヤフラム及び前記ロータを内包し、上半部と下半部をフランジ部において締結して一体としたケーシングと、このケーシングと前記ロータとの前記ロータの軸方向における熱による伸縮差を計測する計測手段と、前記フランジ部に取り付けられ、前記フランジ部の加熱冷却を行う加熱冷却手段と、非定常運転時に前記計測手段の計測値が設定値に至るまで前記加熱冷却手段によって前記フランジ部を加熱又は冷却する制御部とを備えるものとする。
本発明によれば、非定常運転に要する時間を短縮しながらタービン稼働中の蒸気漏洩を抑制することができるので、蒸気タービンの効率を向上させることができる。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
まず、図1から図7を用いて本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態である蒸気タービンの側面図であり、図2は図1に示した蒸気タービンの断面図である。図3は図1に示した蒸気タービンのロータ付近の拡大図であり、図4は図1に示した蒸気タービンにおけるシール体を拡大して模式的に示した側面図である。
図示した蒸気タービンは、ロータ1と、ロータ1を外周から環状に取り囲むダイヤフラム2と、ダイヤフラム2及びロータ1を内包するケーシング3と、ケーシング3に固定され、ケーシング3とロータ1との熱による伸縮差(dとする)を計測する変位検出器4と、ケーシング3のフランジ部5に取り付けられ、フランジ部5の加熱冷却を行う加熱冷却装置6と、非定常運転時(蒸気タービンの起動時や停止時等)に変位検出器4の計測値に応じて加熱冷却装置6によってフランジ部5を加熱又は冷却する制御装置7と、ロータ1の外周側に形成される間隙にロータ1と対向して環状に設けられ、ロータ1側に突出する凸形状のシールフィン8を有するシール体9を主に備えている。
ロータ1はロータ1周方向に環状に配列された動翼10を有しており、このような環状の翼列がロータ1軸方向に所定の間隔を介して複数設けられている。また、ロータ1は、ケーシング3の軸封部(グランド部)11(図中左側),12(図中右側)においてケーシング3を貫通し、軸封部11側の端部を軸受13に、軸封部12側の端部を軸受14によって支持されている。
ダイヤフラム2は、ロータ1からロータ1径方向外側に設けられた内輪15と、内輪15からロータ1径方向外側に設けられた静翼16と、静翼16からロータ1径方向外側に設けられた外輪17とを有している。静翼16は上記のようにロータ1上の軸方向に複数の翼列を構成する動翼10と対応するように設けられており、環状に構成される各翼列毎にタービン段落を構成している。静翼16は蒸気入口部20(後述)からタービン内に引き込んだ蒸気を整流し、動翼10に流入させてロータ1を回転させる。
ケーシング3は複数に分割されている。本実施の形態ではケーシング3はロータ1の軸方向に沿うように2分割されており、組み立てたときに上部に位置する上半部18と、下部に位置する下半部19とを有している。上半部18及び下半部19はロータ1径方向外側に突出する肉厚な部分であるフランジ部5をそれぞれ2つずつ有している。上半部18と下半部19は、このフランジ部5を介して例えばボルト等によって締結されて一体となり、ケーシング3を構成している。このように上半部18と下半部19を結合するためにはフランジ部5にある程度の厚みが必要である。そのためケーシング3の他の部分と比較して熱容量が大きく、ケーシング3の熱容量の増大に大きく寄与している。なお、ケーシング3の分割数は2つのみに限られず、これ以上に分割しても勿論良い。
更に、ケーシング3はロータ1を回転させる蒸気が導入される蒸気入口部20を有している。蒸気入口部20は蒸気を供給する配管21と接続されており、配管21には蒸気の量を調節する流量調節バルブ22が設けられている。流量調節バルブ22は、制御部7と接続されており、制御装置7から送信される操作信号によって開度が制御されている。
変位検出器4は、ロータ1に臨むようにケーシング3の軸封部12側に固定されており、ケーシング3とロータ1とのロータ1軸方向における熱による伸縮差dを計測している。また、変位検出器4は制御装置7と接続されており、制御装置7へ計測値を検出信号として継続的に送信している。
加熱冷却装置6はケーシング3の上半部18及び下半部19のフランジ部5にそれぞれ取り付けられている。加熱冷却装置6には、フランジ部5を加熱冷却するための熱媒体(例えば、作動流体である蒸気(水))を供給する配管23と、フランジ部5を加熱冷却した後の熱媒体を排出する配管24とが接続されている。配管23には流量調節バルブ25が設けられている。流量調節バルブ25の上流側には、加熱用の熱媒体が流通する配管26と、冷却用の熱媒体が流通する配管27が接続されており、配管26には加熱用の熱媒体の流量を調節する流量調節バルブ28が設けられており、配管27には冷却用の熱媒体の流量を調節する流量調節バルブ29が設けられている。各流量調節バルブ25,28,29はそれぞれ制御装置7と接続されており、制御装置7から送信される操作信号によってそれぞれのバルブの開度が制御されている。
シール体9は、図3及び図4において、ロータ1側に突き出ている凸形状のシールフィン8を有しており、ロータ1側に位置する面に凹凸部38を形成している。また、シール体9は、動翼10のロータ1径方向外側端部とケーシング3との間に形成される間隙30、ロータ1と内輪15(ダイヤフラム2)との間に形成される間隙31、及びロータ1とケーシング3との間に形成される間隙(軸封部)32に、ロータ1又は動翼10を外周側から取り囲むように環状に設けられている。ロータ1等の外周面上にはシールフィン8と対応するように設けられたシールフィン33によって凹凸部34が形成されている。この凹凸部34はシール体9に形成された凹凸部38と互いに接触することなく嵌り合うように構成されている(スタッガード型)。このように構成すると蒸気の流路がつづら折り状に形成されて蒸気の通過距離が長くなり、各間隙部30,31,32から漏洩する蒸気量が低下するのでタービン効率が向上する。なお、シールフィン8、及びこれに対応して設けられるシールフィン33の形状は図示したものに限られず、それぞれ凹凸部を形成して蒸気の通過距離を長くするものであれば良い。
また、本実施の形態におけるシール体9は、シールフィン8がシール体9に設けられた溝35にコーキングされて固定されたいわゆるコーキングシールである。コーキングシールは、シールフィン8自体が極めて薄く放熱性が良いためロータ1の熱変形による過大な軸振動(ラビング振動)が起こりにくく、また、先端部が損傷してもシールとしての機能が著しく低減することも少なくメンテナンスも容易であるという利点がある。更に、本実施の形態においては、ロータ1側のシールフィン33も溝39にコーキングされて固定されている。なお、図4に示したスタッガード型のシール体9の代替として、図5に示すような形状から成るシール体を利用しても良い。図5に示すシール体9Aは、シール体9A側のシールフィン8Aとこれに対応するロータ1等の側のシールフィン33Aとをロータ1径方向に所定の間隔だけ離して配置したものである(ダブルストリップ型)。
制御装置7は、上記のように、変位検出器4及び流量調節バルブ22,25,28,29と接続されており、変位検出器4からはケーシング3とロータ1との熱による伸縮差dの計測値が送信され、流量調節バルブ22,25,28,29には操作信号を送信する。制御装置7は、蒸気タービンのいわゆる非定常運転時(急激な温度変化によってケーシング3とロータ1との熱容量差によって伸縮差が生じるような場合を示し、例えば、蒸気タービンの起動時や停止時等が挙げられる。)において、変位検出器4から送信される伸縮差dの計測値に基づいて各バルブ22,25,28,29を開閉するタイミングを決定し、それを操作信号として各バルブ22,25,28,29に送信して適宜ケーシング3を予め加熱又は冷却し、これによりケーシング3とロータ1との熱容量差から生じる伸縮差dを制御している。
本実施の形態における制御装置7は、各バルブ22,25,28,29を開閉するタイミングを決定する指標として上記のように伸縮差dを用いており、下記のように大別して2種類の値を設定値として予め記憶している。
1つ目の設定値Lは、ロータ1及びケーシング3の全体を共に作動流体である蒸気で加熱するタイミングを示すものであり、シールフィン8及びシールフィン33の間隔やロータ1の伸縮率を考慮して決定する。制御装置7は、伸縮差dが設定値L以上になったら流量調節バルブ22を開いて蒸気を蒸気入口部20に導入し、ロータ1及びケーシング3を共に加熱する。なお、この設定値Lは最大でもシール体9のシールフィン8の間隔より小さく設定して、ケーシング3の伸縮によってシールフィン8とシールフィン33とが衝突しないように設定する。
また、2つ目の設定値Mは、ロータ1及びケーシング3の全体を蒸気のみで加熱するタイミングを示すものであり、ケーシング3及びロータ1の熱容量及び伸縮率を考慮して、加熱冷却装置6による加熱を停止した後の蒸気による加熱だけでケーシング3とロータ1の伸縮率が概ね等しくなるような値を採用するのが好ましい。制御装置7は伸縮差dが設定値M以下になったら流量調節バルブ25を閉じて加熱冷却装置6によるフランジ部5の加熱を停止する。なお、この値は少なくとも上記の設定値Lより小さく設定される。
一方、蒸気タービンを停止する際には、上記のように蒸気タービンの起動の際に用いる設定値L及び設定値Mに対して、設定値R及び設定値Sを用いる。設定値Rは設定値Lに対応し、蒸気の導入を停止してロータ1及びケーシング3を共に冷却するタイミングを示すものであり、シールフィン8及びシールフィン33の間隔やロータ1の伸縮率を考慮して決定する。また、設定値Sは設定値Mに対応し、ロータ1及びケーシング3を自然冷却のみで冷却するタイミングを示すものであり、加熱冷却装置6による冷却を停止した後に自然冷却だけでもケーシング3とロータ1の伸縮率が概ね等しくなるような値を採用するのが好ましい。なお、これらの設定値の説明については、重複を避けるため詳しい説明は省略したが、上記設定値L及び設定値Mと実質的に同じ性質を有するものである。
ここで図6を用いて、制御装置7による蒸気タービンの制御手順について説明する。
図6(a)は制御装置7の蒸気タービン起動時における処理内容を示すフローチャートであり、図6(b)は制御装置7の蒸気タービン停止時における処理内容を示すフローチャートである。
蒸気タービンを起動させる際には図6(a)に示すように、制御装置7は、まず、流量調節バルブ28を開くともに流量調節バルブ29を閉めて加熱用の熱媒体を流量調節バルブ25に導き、さらに流量調節バルブ25を開いて加熱用熱媒体を加熱冷却装置6に導く(S100)。これによりフランジ部5は加熱冷却装置6によって加熱され、その熱によってケーシング3は伸長し始める(S110)。
次に、所定時間が経過して伸縮差dが設定値L以上になったことを判断すると(S120)、制御装置7は流量調節バルブ22を開いて(S130)蒸気入口部20に蒸気を導く(S140)。この蒸気によりケーシング3及びロータ1はともに加熱されて、ケーシング3と比較して熱容量が小さいロータ1の方が容易に熱伸びするので伸縮差dはL付近から徐々に小さくなっていく。
次に、所定時間が経過して伸縮差dが設定値M以下になったことを判断すると(S150)、制御装置7は流量調節バルブ25,28を閉めて加熱冷却装置6への熱媒体の供給を停止する(S160)。これにより加熱冷却装置6によるフランジ部5の加熱は停止され(S170)、ケーシング3はロータ1とともに蒸気のみによって加熱されることになる。その後、蒸気の熱によってケーシング3とロータ1の伸縮差dは徐々に小さくなって最後にはほぼゼロとなり、蒸気タービンはそのまま定常運転に移行する(S180)。上記のように蒸気タービンを制御すると、熱容量の大きいケーシング3のフランジ部5を予め加熱しておくことにより伸縮差dの最大値を大幅に小さくすることができるので、蒸気タービンを起動する際に要する時間を大幅に短縮することができる。
一方、蒸気タービンを停止させる際には図6(b)に示すように、制御装置7は、まず、流量調節バルブ29を開くとともに流量調節バルブ28を閉めて冷却用の熱媒体を流量調節バルブ25に導き、さらに流量調節バルブ25を開いて冷却用熱媒体を加熱冷却装置6に導く(S200)。これによりフランジ部5は加熱冷却装置6によって冷却され、その冷却熱によってケーシング3は短縮し始める(S210)。
次に、所定時間が経過して伸縮差dが設定値R以上になったことを判断すると(S220)、制御装置7は流量調節バルブ22を閉じて(S230)蒸気入口部20に導いていた蒸気を停止する(S240)。これによりケーシング3及びロータ1はともに冷却されて、ケーシング3と比較して熱容量が小さいロータ1の方が容易に短縮するので伸縮差dは徐々に小さくなっていく。
次に、所定時間が経過して伸縮差dが設定値S以下になったことを判断すると(S250)、制御装置7は流量調節バルブ25,29を閉めて加熱冷却装置6への熱媒体の供給を停止する(S260)。これにより加熱冷却装置6によるフランジ部5の冷却は停止され(S270)、ケーシング3はロータ1とともに自然冷却されることになる。その後、ケーシング3とロータ1の伸縮差dは徐々に小さくなって最後にはほぼゼロとなり、そのまま蒸気タービンを停止させることができる(S280)。上記のように蒸気タービンを制御すると、熱容量の大きいケーシング3のフランジ部5を予め冷却しておくことにより伸縮差dの最大値を大幅に小さくすることができるので、蒸気タービンを停止する際に要する時間を大幅に短縮することができる。
次に本実施の形態の効果を図面を参照しつつ説明する。図7はラビリンスシールの構造を示す側面図である。
一般的な蒸気タービンでは、高速回転するロータ(回転物)とロータを外側から覆うケーシング等の静止物との間には、ロータと静止物の接触防止のために間隙が設けられる。しかし、この間隙からはロータを回転させる蒸気が漏洩してタービン効率が低下してしまうので、蒸気漏洩の抑制手段としてシール装置を設けることが知られている。こうしたシール装置の中には、図7に示すように、シール体80上のシールフィン81によって形成した凹凸部82と、ロータ83側に形成した凹凸部84とが互いに接触することなく嵌り合うように構成し、上記の間隙での蒸気漏洩を低減したものがある。このようなシール装置はラビリンスシールと呼ばれている。
ところで、このようなラビリンスシールを利用する場合において蒸気タービンを起動させたり停止させたりするときには、蒸気タービンを構成する部材の熱による伸縮差に注意を払う必要がある。上記のラビリンスシールの場合を例に挙げると、ケーシング85と比較して熱容量が小さいロータ83は加熱によってケーシング85より容易に伸びるので、ケーシング85とロータ83の間生じた伸縮差によってシール体80の凹凸部82とロータ83の凹凸部84とが接触してしまい、軸振動(ラビング振動)が発生することがある。過度なラビング振動はタービンの運転を停止しなければならない事態さえも引き起こす。
こうした軸振動が発生しないように、ロータとケーシングとの伸縮差を制御しながら非定常運転に要する時間を削減してタービン効率の向上を図った技術として、ロータに比べて熱容量が大きいケーシングの外周面に熱媒体が流通する通路を取り付けたものが知られている。ところが、この技術はケーシング全体の暖機や冷却を前提としたものであり、ケーシングの暖機や冷却に必要となる蒸気が充分に準備できない場合にはその効果は小さく、実用には困難を伴うことがある。
このような技術に対して、本実施の形態は、ケーシング3の上半部18と下半部19を結合する肉厚な部分であって、ケーシング3の熱容量に大きく寄与するフランジ部5に加熱冷却装置6を取り付け、変位検出器4で計測した伸縮差dに基づいてフランジ部5を加熱冷却する時間を制御装置7によって制御している。これによりケーシング3の他の部分に比べ熱容量が大きいフランジ部5を優先的に加熱冷却し、残りの部分は蒸気等によりロータ1とともに加熱冷却することができるので、ケーシング全体を予め加熱冷却する場合よりも使用する熱媒体の量やエネルギーを低減することができる。また、ロータ1とケーシング3の伸縮差dの最大値を大幅に小さくできるため、シールフィン8とシールフィン33の接触による変形や破壊を防ぐことができる。さらに、伸縮差dの最大値が小さくなったことによりシールフィンの間隔も狭めることが可能になるので、シール体9当たりのシールフィン8の枚数を増加することができ、シール体9の蒸気漏洩抑制機能を増大させることができる。このように本実施の形態によれば、非定常運転に要する時間を短縮しながらタービン稼働中の蒸気漏洩を抑制することができるので、蒸気タービンの効率を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては上半部18及び下半部19に取り付けられた各加熱冷却装置6に熱媒体を供給する系統として配管23のみを利用しているが、各加熱冷却装置6にそれぞれ独立した配管を接続しても良い。このように構成すれば、例えば、上半部18と下半部19に温度差が生じるような場合にも、各加熱冷却装置6に温度の異なる熱媒体を導入して、その温度差を補正することができる。さらに、ケーシング3のロータ1軸方向において加熱又は冷却を制御する必要がある場合(例えば、ロータ1軸方向に温度差が生じている場合等)には、加熱冷却装置6をロータ1軸方向に適宜分割したものをフランジ部5に取り付けてその分割した装置を独立して制御するよう構成しても良い。
また、上記の実施の形態では、フランジ部5を加熱冷却する手段として、流体を熱源とした加熱冷却装置6を利用する場合について説明してきたが、フランジ部5を加熱冷却する手段はこれのみに限られない。上記の加熱冷却装置6以外を利用する場合を本実施の形態の変形例として以下において説明する。
図8は本発明の第1の実施の形態の変形例である蒸気タービンの側面図である。
図に示す蒸気タービンは、第1の実施の形態の蒸気タービンにおける加熱冷却装置6に代えて、フランジ部5の加熱冷却を電気によって行うヒータ・クーラ装置36と、ヒータ・クーラ装置36に電気を供給する電源部37とを備えている。なお、第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し説明は省略する。このように電気によって作動する加熱冷却手段(ヒータ・クーラ装置36)を利用して蒸気タービンを構成しても、第1の実施の形態と実質的に同様の効果を得ることができる。特に、本変形例のようにヒータ・クーラ装置36を用いれば、流体を熱媒体として利用する場合と比較してきめ細かい温度制御を容易に行うことができるので、伸縮差dをより正確に制御できるという顕著な効果が得られる。なお、この場合も、加熱冷却装置6同様、各ヒータ・クーラ装置36を個別に制御可能なように構成しても良いことは言うまでもない。
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態の主な特徴は、シール体をロータ1径方向外側に移動させた後にケーシング3のフランジ部5の加熱冷却を開始して、その加熱冷却を停止した後にシール体の位置を元に戻すことにより熱による伸縮差によって生じる問題を回避する点にある。
図9は本発明の第2の実施の形態である蒸気タービンの側面図であり、図10は図9に示した蒸気タービンの断面図である。図11(a)及び(b)は図10中に点線で示すXI部分の拡大図であり、図11(a)はシール体をロータ径方向外側に移動させた状態を示し、図11(b)はシール体が中立位置に位置している状態を示している。先の図と同じ部分には同じ符号を付し説明は省略する。
図示した蒸気タービンは、第1の実施の形態の蒸気タービンと異なるものとして、ロータ1の外周側に形成される間隙からの蒸気漏洩を抑制するシール体40,41,42と、シール体40,41,42をロータ1径方向外側に退避させる際に用いる蒸気(シール体用蒸気)を引き込む蒸気主配管43と、主配管43から引き込まれた蒸気を各シール体40,41,42へ供給する蒸気副配管44,45,46と、蒸気副配管43,44,45へ供給する蒸気の流量を調節する流量調節バルブ47と、伸縮差dに基づいてシール体40,41,42の駆動及び加熱冷却装置6によるフランジ部5の加熱冷却を制御する制御装置7Bとを主に備えている。
シール体40は、ロータ1の外周側に形成される間隙にロータ1と対向して環状に設けられロータ1側に突出する凸状のシールフィン48と、シール体40のロータ1径方向外側に設けられた凹部49に収納され、シール体用の蒸気から圧力を受けてシール体40を中立位置(後述)からロータ1の径方向外側へ移動させる圧力作用面50と、圧力作用面50のロータ1径方向外側に設けられ、シール体40が中立位置からロータ1の径方向外側へ向かって蒸気によって移動されるとシール体40をロータ1の径方向内側へ押さえ付けるバネ部材(弾性部材)51と、凹部49の側面に設けられ蒸気副配管44と接続された開口部であって、シール体用蒸気を凹部49内へ供給する蒸気供給口52とを有している。
また、シール体40は、いわゆるスタッガード型であり、シール体用蒸気が凹部49に供給されていない場合に位置する中立位置(図11(b)の状態)において、ロータ1側のシールフィン33によって形成される凹凸部とシールフィン48によって形成される凹凸部とが互いに接触することなく嵌り合うように構成されている。なお、シール体41,42については、シール体40と同様の構成から成り立っているので説明は省略する。
蒸気主配管43は、流量調節バルブ47の下流側において、蒸気副配管44及び蒸気副配管45に分岐している。蒸気副配管44はそのさらに下流側において蒸気副配管46と分岐している。蒸気副配管44,45,46はそれぞれ、シール体40,42,41の圧力作用面50が収納されている凹部49に設けられた各蒸気供給口52と接続され、各凹部49に蒸気を供給している。凹部49に供給された蒸気は、圧力作用面50に作用してシール体40をロータ1径方向外側に退避させ、バネ部材51による反力を受けるシール体40を所定の位置で静止させる。
制御装置7Bは、変位検出器4及び流量調節バルブ22,25,28,29,47と接続されており、変位検出器4からは伸縮差dの計測値が送信され、流量調節バルブ22,25,28,29,47に操作信号を送信する。これにより、制御装置7同様にケーシング3を予め加熱又は冷却して熱容量差から生じる伸縮差を制御するとともに、バルブ47を適宜開閉してシール体40,41,42のロータ1径方向の移動を制御している。
本実施の形態における制御装置7Bも、第1の実施の形態同様、各バルブ22,25,28,29,47を開閉するタイミングを決定するものとして伸縮差dを用いており、予め記憶しておく設定値として、第1の実施の形態で用いた2種類の設定値(設定値L,R及び設定値M,S)に加えて、3種類目の設定値である設定値N及び設定値Tを記憶している。設定値Nは蒸気タービンを起動する際に用いるものであり、設定値Tは蒸気タービンを停止する際に用いるものである。
設定値N及び設定値Tは、ロータ1及びケーシング3の熱による伸縮が収束することにより、蒸気タービンを定常運転へ移行可能なタイミング又は蒸気タービンを停止可能なタイミングを示すものであり、加熱冷却した結果ロータ1とケーシング3の伸縮率が概ね均等になるタイミングを考慮して決定する。制御装置7Bは、伸縮差dが設定値N又はT以下になったら流量調節バルブ47を閉じて蒸気副配管への蒸気供給を停止し、フランジ部5の加熱冷却を開始する際にロータ1径方向外側に退避させたシール体40,41,42(後述)を中立位置に移動させる。なお、この設定値N,Tはそれぞれ設定値M,Sより小さく設定される。
ここで図12を用いて、制御装置7Bによる蒸気タービンの制御手順について説明する。
図12(a)は制御送致7Bの蒸気タービン起動時における処理内容を示すフローチャートであり、図12(b)は制御装置7Bの蒸気タービン停止時における処理内容を示すフローチャートである。
蒸気タービンを起動させる際には図12(a)に示すように、制御装置7Bは、まず、流量調節バルブ47を開いて蒸気副配管44,45,46へシール体用蒸気を供給する(S300)。このように供給された蒸気は蒸気副配管44,45,46を介してシール体40,41,42の各圧力作用面50に作用し、各シール体40,41,42をロータ1径方向外側に退避させる(S310)。
シール体40,41,42を退避させた後、制御装置7Bは、第1の実施の形態の制御装置7がS100からS170において行った処理と同じ処理を行ってフランジ部5の加熱を停止する(S320からS390)。これによりケーシング3はロータ1とともに蒸気入口部20から導入される蒸気のみによって加熱され、伸縮差dは設定値Mから更に小さくなっていく。
次に、所定時間が経過して伸縮差dが設定値N以下になったことを判断すると(S400)、制御装置7Bは、流量調節バルブ47を閉じ(S410)、シール体40,41,42を中立位置に戻す(S420)。その後、蒸気の熱によってケーシング3とロータ1の伸縮差dは徐々に小さくなって遂にはほぼゼロとなり、蒸気タービンはそのまま定常運転に移行する(S430)。
また、蒸気タービンを停止させる際にも上記同様、図12(b)に示すように、制御装置7Bによって各シール体40,41,42をロータ1径方向外側に退避させて、ケーシング3及びロータ1の冷却を開始する。所定の工程を経て伸縮差dが設定値T以下になったら流量調節バルブ47を閉じてシール体40,41,42を中立位置に戻し、蒸気タービンを停止させる(S500からS630)。
上記のように蒸気タービンを制御すると、第1の実施の形態で説明した効果に加えて、シールフィン48,33同士が接触する恐れのある非定常運転時にシール体40,41,42を退避させることができ、シールフィン48,33同士の接触による損傷等を確実に避けることができるので、蒸気タービンの信頼度を向上することができる。更に、シールフィン48,33同士が互いに嵌り合って優れた蒸気漏洩機能を発揮するスタッガード型のシール体を利用しても非定常運転時にシールフィン48,33同士が接触することが確実に避けられるので、非定常運転時におけるケーシング3とロータ1の伸縮差を考慮する必要がなくなる。従って、第1の実施の形態と比較してシールフィン48の間隔を一層小さくすることができ、定常運転時における蒸気漏洩量を一層効果的に抑制することができる。このように本実施の形態によれば、非定常運転の時間を短縮するとともに定常運転における蒸気漏洩を一層抑制することができるので、蒸気タービンの起動から停止までの一連の動作においてタービン効率を向上させることができる。
なお、本実施の形態の説明においては説明を簡略化するために、ロータ1径方向に進退可能なシール体として、ロータ1と内輪15との間に形成される間隙31に設けたシール体42と、ロータ1とケーシング3との間に形成される間隙32に設けたシール体40,41とを例に挙げて説明したが、これらの場所の他にも動翼10の先端部とケーシング3との間に形成される間隙30等に同様の構成から成るシール体を設けても勿論良く、上記の説明はシール体の取り付け箇所を限定するものではない。
また、上記の説明では、シール体40,41,42をロータ1径方向外側に退避させる際に用いる蒸気(シール体用蒸気)の供給源ついては、特に言及しなかったが、作動流体から得る方法や、作動流体の系統と異なる系統から蒸気を得る方法等を利用して良い。この場合、前者の方法には作動流体を利用することでタービン効率が向上するという利点があり、後者の方法にはシール体を移動させるための蒸気圧を確実に確保することができるという利点がある。
続いて本発明の第3の実施の形態について説明する。
本実施の形態は、シール体をロータ1径方向外側に退避させることなく制御装置7Bによって伸縮差dの制御を行う点は第1の実施の形態と同様であるが、この場合にシールフィン同士が接触すると予見できるときにはシール体を退避させてシール体をロータ1径方向外側に退避させる時間を最小限に抑えるように蒸気タービンを制御する点に特徴がある。また、本実施の形態の蒸気タービンの機械的な構造は第2の実施の形態と同じであり、各部分の説明は省略する。
本実施の形態における制御装置7Bも、第2の実施の形態同様、各バルブ22,25,28,29,47を開閉するタイミングを決定するものとして伸縮差dを用いており、予め記憶しておく設定値として、第2の実施の形態で用いた3種類の設定値(設定値L,R、設定値M,S、及び設定値N,T)に加えて、4種類目の設定値である設定値Zを記憶している。
設定値Zは、シール体40,41,42のシールフィン48が他の部材(例えばシールフィン33)と接触して軸振動等が発生することを防止するためのものであり、熱による伸縮によってシールフィン48,33同士が接触しないよう配慮して決定する。制御装置7Bは伸縮差dが設定値Z以上になったら流量調節バルブ47を開いてシール体40,41,42をロータ1径方向外側に退避させる。なお、この設定値Zは設定値L及び設定値Rより大きく設定される。
図13を用いて、本実施の形態における制御装置7Bによる蒸気タービンの制御手順について説明する。
図13(a)は制御送致7Bの蒸気タービン起動時における処理内容を示すフローチャートであり、図13(b)は制御装置7Bの蒸気タービン停止時における処理内容を示すフローチャートである。
蒸気タービンを起動させる際には図13(a)に示すように、制御装置7Bは、まず、流量調節バルブ28を開くともに流量調節バルブ29を閉めて加熱用の熱媒体を流量調節バルブ25に導き、さらに流量調節バルブ25を開いて加熱用熱媒体を加熱冷却装置6に導く(S700)。これによりフランジ部5は加熱冷却装置6によって加熱され、その熱によってケーシング3は伸長し始める(S710)。
次に、所定時間が経過して伸縮差dが設定値L以上になったことを判断した後に(S720)、さらに伸縮差dが設定値Z以上になるかどうかもチェックする(S730)。もし、伸縮差dが設定値Z以上になることがあればシールフィン48,33同士が接触する恐れがあると判断し、制御装置7Bは流量調節バルブ47を開いて(S740)各シール体40,41,42をロータ1径方向外側に退避させる(S750)。
S730で伸縮差dが設定値Zより小さいと判断した後、又は、S750でシール体を退避した後には、流量調節バルブ22を開き(S760)、蒸気入口部20に蒸気を導く(S770)。この蒸気によりケーシング3及びロータ1が共に加熱され始めるが、この処理を終えた後にも伸縮差dが設定値Z以上になるかどうかをチェックする(S780)。もし、伸縮差dが設定値Z以上になっていればシール体40,41,42がS750で既に退避しているか否かを判断した後に(S790)、S740及びS750同様にシール体40,41,42を退避させる(S800及びS810)。
S780で伸縮差dが設定値Zより小さいと判断した後、S790でシール体40,41,42が退避済みであると判断した後、又は、S810でシール体40,41,42を退避させた後には、蒸気入口部20に導入された蒸気及びフランジ部5の加熱によって伸縮差dが設定値M以下になった否かを判断する(S820)。伸縮差dが設定値M以下になったら流量調節バルブ25,28を閉じて(S830)、フランジ部5の加熱を停止する(S840)。これによりケーシング3はロータ1とともに蒸気入口部20から導入される蒸気のみによって加熱され、伸縮差dは設定値Mから更に小さくなっていく。
次に、所定時間が経過して伸縮差dが設定値N以下になったことを判断したら(S850)、この処理に至るまでにシール体40,41,42がロータ1径方向外側に退避されているかどうかを判断する(例えば、流量調節バルブ47が開いているか否かを判断する)(S860)。ここで、もし、シール体40,41,42が退避済みであることが判断されたら、流量調節バルブ47を閉じて(S870)、シール体40,41,42を中立位置に移動させる(S880)。
S860でシール体40,41,42が中立位置にあると判断された後、又は、S880でシール体40,41,42を中立位置に戻した後には、蒸気の熱によってケーシング3とロータ1の伸縮差dは徐々に小さくなって最後にはほぼゼロとなり、蒸気タービンはそのまま定常運転に移行する(S890)。
また、蒸気タービンを停止させる際にも上記同様、図13(b)に示すように、第1の実施の形態の制御を基本としながらケーシング3とロータ1を冷却し、伸縮差dが設定値R以上になった後(S920)から設定値S以下になるまで(S1020)の間に、伸縮差dが設定値Zを超える場合があるかどうかを判断することでシールフィン48,33同士が接触しないようにシール体40,41,42を制御する(S900からS1040)。その後に、伸縮差dが設定値T以下になったら(S1050)、シール体40,41,42がロータ1径方向外側に退避されているか否かを判断して(S1060)、必要に応じてシール体40,41,42を中立位置に戻し(S1070及びS1080)、蒸気タービンを停止させる(S1090)。
上記のように蒸気タービンを制御すると、上記の第2の実施の形態よりもシール体40,41,42を中立位置に保持する時間が長くなるので、蒸気漏洩量を更に低減させることができ、蒸気タービンの起動から停止までの一連の動作においてタービン効率を更に向上させることができる。
なお、上記の説明においては、伸縮差dが設定値Z以上になるか否かを判断する処理は、図13(a)中のS730及びS780、又は図13(b)中のS930及びS980においてのみ行ったが、これに限らず、非定常運転時に伸縮差dが設定値Z以上となるか否かを常に監視するように制御しても勿論良い。このように制御すれば、突発的な事故等の想定外の事象によって伸縮差dが大きくなった場合にもシールフィン33,48の損傷を防止することができる。
本発明の第1の実施の形態である蒸気タービンの側面図である。 本発明の第1の実施の形態である蒸気タービンの断面図である。 本発明の第1の実施の形態である蒸気タービンのロータ付近の拡大図である。 本発明の第1の実施の形態である蒸気タービンにおけるシール体を拡大して模式的に示した側面図である。 本発明の第1の実施の形態である蒸気タービンにおける他のシール体を拡大して模式的に示した側面図である。 本発明の第1の実施の形態である蒸気タービンにおける制御装置7の蒸気タービン起動時及び停止時における処理内容を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態の比較例である蒸気タービンにおける一般的なシール体を拡大して模式的に示した側面図である。 本発明の第1の実施の形態の変形例である蒸気タービンの側面図である。 本発明の第2の実施の形態である蒸気タービンの側面図である。 本発明の第2の実施の形態である蒸気タービンの断面図である。 図10中のXI部分の拡大図である。 本発明の第2の実施の形態である蒸気タービンにおける制御装置7Bの蒸気タービン起動時及び停止時における処理内容を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態である蒸気タービンにおける制御装置7Bの蒸気タービン起動時及び停止時における処理内容を示すフローチャートである。
符号の説明
d 伸縮差
L,R 設定値
M,S 設定値
N,T 設定値
Z 設定値
1 ロータ
2 ダイヤフラム
3 ケーシング
4 変位検出器
5 フランジ部
6 加熱冷却装置
7 制御装置
8 シールフィン
9 シール体
10 動翼
18 上半部
19 下半部
30〜32 間隙
33 シールフィン
34 凹部
35 溝部
36 ヒータ・クーラ装置
37 電源部
40〜42 シール体
48 シールフィン
49 凹部
50 圧力作用面
51 バネ部材
52 蒸気供給口

Claims (15)

  1. 動翼が取り付けられたロータと、
    このロータを外周から取り囲むダイヤフラムと、
    このダイヤフラム及び前記ロータを内包し、上半部と下半部をフランジ部において締結して一体としたケーシングと、
    このケーシングと前記ロータとの前記ロータの軸方向における熱による伸縮差を計測する計測手段と、
    前記フランジ部に取り付けられ、前記フランジ部の加熱冷却を行う加熱冷却手段と、
    非定常運転時に前記計測手段の計測値が前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気のみで加熱冷却するタイミングを示す設定値に至るまで前記加熱冷却手段によって前記フランジ部を加熱又は冷却する制御部とを備えることを特徴とする蒸気タービン。
  2. 動翼が取り付けられたロータと、
    このロータを外周から取り囲むダイヤフラムと、
    このダイヤフラム及び前記ロータを内包し、上半部と下半部をフランジ部において締結して一体としたケーシングと、
    このケーシングと前記ロータとの前記ロータの軸方向における熱による伸縮差を計測する計測手段と、
    前記フランジ部に取り付けられ、前記フランジ部の加熱冷却を行う加熱冷却手段と、
    前記ロータの外周側に形成される間隙に前記ロータと対向して環状に設けられ、前記ロータ側に突出する凸部を有するシール体と、
    このシール体を中立位置から前記ロータの径方向外側に移動させるシール体駆動部と、
    非定常運転開始時に、前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気のみで加熱冷却するタイミングを示す設定値に前記計測手段の計測値が至るまで前記加熱冷却手段によって前記フランジ部を加熱又は冷却するとともに、前記シール体の凸部が他の部材と接触することを防止するための他の設定値に前記計測値が達した場合には前記シール体駆動部によって前記シール体を前記ロータの径方向外側に退避させる制御部とを備えることを特徴とする蒸気タービン。
  3. 動翼が取り付けられたロータと、
    このロータを外周から取り囲むダイヤフラムと、
    このダイヤフラム及び前記ロータを内包し、上半部と下半部をフランジ部において締結して一体としたケーシングと、
    このケーシングと前記ロータとの前記ロータの軸方向における熱による伸縮差を計測する計測手段と、
    前記フランジ部に取り付けられ、前記フランジ部の加熱冷却を行う加熱冷却手段と、
    前記ロータの外周側に形成される間隙に前記ロータと対向して環状に設けられ、前記ロータ側に突出する凸部を有するシール体と、
    このシール体を中立位置から前記ロータの径方向外側に移動させるシール体駆動部と、
    非定常運転開始時に前記シール体駆動部によって前記シール体を前記ロータの径方向外側に退避させるとともに前記加熱冷却手段によって前記フランジ部の加熱又は冷却を開始し、前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気で加熱冷却するタイミングを示す第1の設定値に前記計測手段の計測値が達したときに前記ケーシング内への蒸気の導入を開始又は停止し、前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気のみで加熱冷却するタイミングを示す第2の設定値に前記計測値が達したときに前記加熱冷却手段による前記フランジ部の加熱又は冷却を停止し、前記ロータ及び前記ケーシングの熱による伸縮が収束したタイミングを示す第3の設定値に前記計測値が達したときに前記シール体を前記シール体駆動部によって元の位置まで戻す制御部とを備えることを特徴とする蒸気タービン。
  4. 請求項1記載の蒸気タービンにおいて、
    前記加熱冷却手段は作動流体を熱媒体として前記フランジ部の加熱冷却を行っていることを特徴とする蒸気タービン。
  5. 請求項1記載の蒸気タービンにおいて、
    前記加熱冷却手段は電気によって作動するヒータ・クーラ装置であることを特徴とする蒸気タービン。
  6. 請求項2記載の蒸気タービンにおいて、
    前記ロータの外周面上には前記シール体の凸部が形成する凹凸部と対応する他の凹凸部が形成されていることを特徴とする蒸気タービン。
  7. 請求項6記載の蒸気タービンにおいて、
    前記シール体の凸部が形成する凹凸部は、前記ロータの外周面上に形成される他の凹凸部と互いに接触することなく嵌り合うように構成されていることを特徴とする蒸気タービン。
  8. 請求項2記載の蒸気タービンにおいて、
    前記シール体は、前記動翼の前記ロータ径方向外側端部と前記ケーシングとの間、前記ロータと前記ダイヤフラムの間、前記ロータが前記ケーシングを貫通する軸封部における前記ロータと前記ケーシングの間のうち少なくとも1箇所に設けられていることを特徴とする蒸気タービン。
  9. 請求項2記載の蒸気タービンにおいて、
    前記シール体駆動部は、前記シール体が中立位置から前記ロータの径方向外側に移動すると前記ロータの径方向内側へ前記シール体を押し付ける弾性部材と、流体から圧力を受けて前記ロータの径方向外側へ前記シール体を中立位置から移動させる圧力作用面と、この圧力作用面に圧力を与える流体を供給する流体供給部とを有することを特徴とする蒸気タービン。
  10. 請求項9記載の蒸気タービンにおいて、
    前記圧力作用面に圧力を与える流体は前記ロータに供給される作動流体の系統と異なる系統から供給されることを特徴とする蒸気タービン。
  11. 動翼が取り付けられたロータ、このロータを外周から取り囲むダイヤフラム、このダイヤフラム及び前記ロータを内包し、上半部と下半部をフランジ部において締結して一体としたケーシングを有する蒸気タービンに設けられるシール装置において、
    前記ケーシングと前記ロータとの前記ロータの軸方向における熱による伸縮差を計測する計測手段と、
    前記フランジ部に取り付けられ、前記フランジ部の加熱冷却を行う加熱冷却手段と、
    前記ロータの外周側に形成される間隙に前記ロータと対向して環状に設けられ、前記ロータ側に突出する凸部を有するシール体と、
    このシール体を中立位置から前記ロータの径方向外側に移動させるシール体駆動部と、
    非定常運転開始時に、前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気のみで加熱冷却するタイミングを示す設定値に前記計測手段の計測値が至るまで前記加熱冷却手段に よって前記フランジ部を加熱又は冷却するとともに、前記シール体の凸部が他の部材と接触することを防止する他の設定値に前記計測値が達した場合には前記 シール体駆動部によって前記シール体を前記ロータの径方向外側に退避させる制御部とを備えることを特徴とするシール装置。
  12. 動翼が取り付けられたロータと、
    このロータを外周から取り囲むダイヤフラムと、
    このダイヤフラム及び前記ロータを内包し、上半部と下半部をフランジ部において締結して一体としたケーシングとを備える蒸気タービンの制御方法において
    非定常運転開始時前記フランジ部の加熱又は冷却を開始し、
    前記ケーシングと前記ロータとの前記ロータの軸方向における熱による伸縮差が、前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気で加熱冷却するタイミングを示す設定値達したときに前記ケーシング内への蒸気の導入を開始又は停止し、
    前記ケーシングと前記ロータの前記伸縮差が、前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気のみで加熱冷却するタイミングを示す他の設定値達したときに前記フランジ部の加熱又は冷却を停止することを特徴とする蒸気タービンの制御方法。
  13. 動翼が取り付けられたロータと、
    このロータを外周から取り囲むダイヤフラムと、
    このダイヤフラム及び前記ロータを内包し、上半部と下半部をフランジ部において締結して一体としたケーシングと
    前記ロータの外周側に形成される間隙に前記ロータと対向して環状に設けられ、前記ロータ側に突出する凸部を有するシール体とを備える蒸気タービンの制御方法において
    非定常運転開始時前記フランジ部の加熱又は冷却を開始し、
    前記ケーシングと前記ロータとの前記ロータの軸方向における熱による伸縮差が、前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気で加熱冷却するタイミングを示す第1の設定値達したときに前記ケーシング内への蒸気の導入を開始又は停止し、
    前記ケーシングと前記ロータの前記伸縮差が、前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気のみで加熱冷却するタイミングを示す第2の設定値達したときに、前記フランジ部の加熱又は冷却を停止し、
    前記ケーシングと前記ロータの前記伸縮差が、前記シール体の凸部が他の部材と接触することを防止するための第3の設定値達した場合には、中立位置にある前記シール体を前記ロータの径方向外側に退避させることを特徴とする蒸気タービンの制御方法。
  14. 動翼が取り付けられたロータと、
    このロータを外周から取り囲むダイヤフラムと、
    このダイヤフラム及び前記ロータを内包し、上半部と下半部をフランジ部において締結して一体としたケーシングと
    前記ロータの外周側に形成される間隙に前記ロータと対向して環状に設けられ、前記ロータ側に突出する凸部を有するシール体とを備える蒸気タービンの制御方法において、
    非定常運転開始時に、中立位置にある前記シール体を前記ロータの径方向外側に退避させるととも前記フランジ部の加熱又は冷却を開始し、
    前記ケーシングと前記ロータとの前記ロータの軸方向における熱による伸縮差が、前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気で加熱冷却するタイミングを示す第1の設定値達したときに前記ケーシング内への蒸気の導入を開始又は停止し、
    前記ケーシングと前記ロータの前記伸縮差が、前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気のみで加熱冷却するタイミングを示す第2の設定値達したときに前記フランジ部の加熱又は冷却を停止し、
    前記ケーシングと前記ロータの前記伸縮差が、定常運転に移行可能なタイミングを示す第3の設定値達したときに前記シール体を前記中立位置まで戻すことを特徴とする蒸気タービンの制御方法。
  15. 動翼が取り付けられたロータ、このロータを外周から取り囲むダイヤフラム、このダイヤフラム及び前記ロータを内包し、上半部と下半部をフランジ部において締結して一体としたケーシング、及び、前記ロータの外周側に形成される間隙に前記ロータと対向して環状に設けられ、前記ロータ側に突出する凸部を有するシール体を備える蒸気タービンに設けられるシール装置の制御方法において
    非定常運転開始時前記フランジ部の加熱又は冷却が開始されてから
    前記ケーシングと前記ロータとの前記ロータの軸方向における熱による伸縮差が、前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気で加熱冷却するタイミングを示す第1の設定値達したときに前記ケーシング内への蒸気の導入が開始又は停止され
    前記ケーシングと前記ロータの前記伸縮差が、前記ロータ及び前記ケーシングを蒸気のみで加熱冷却するタイミングを示す第2の設定値達したときに前記フランジ部の加熱又は冷却が停止されるまでの間に
    前記ケーシングと前記ロータの前記伸縮差が、前記シール体の凸部が他の部材と接触することを防止するための第3の設定値達した場合には、中立位置にある前記シール体を前記ロータの径方向外側に退避させることを特徴とする蒸気タービンに設けられるシール装置の制御方法。
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