JP4278010B2 - 光ピックアップ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクなど光情報記録媒体上に記録された光学情報を再生する光ピックアップ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光情報媒体である光ディスク(コンパクトディスク、CD)上に記録された光学情報であるピット状パターンを再生する光ピックアップ装置は各種光学系が知られている。
【0003】
その一例として図14に示されるような光ピックアップ装置10がある。レーザー光源11から出射した光束は、偏光ビームスプリッタ12、コリメータレンズ13、1/4波長板14を透過して円偏光の平行光束となる。この光束は、フォーカス制御およびトラッキング制御のための2次元アクチュエータ15により、フォーカシング方向とトラッキング方向に駆動される対物レンズ16により光ディスク20の透明基板21を介して情報記録面22上に集光される。この情報記録面22で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ16、1/4波長板14、コリメータレンズ13を透過して偏光ビームスプリッタ12に入射し、ここで反射して非点収差を発生する光学部材であるシリンドリカルレンズ18により非点収差が与えられ、光検出器30で受光される。光検出器30から出力される信号を用いて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、光ディスク20に記録された情報の読みとり信号が得られる。
【0004】
ところが、近年、CDのトラックピッチ1.6μm、最短ピッチ長0.83μmに対しトラックピッチ0.74μm、最短ピット長0.4μmと半分以下に高密度化されたCDと同程度のサイズ(但し、透明基板の厚さは、CDでは1.2mmであるのに対し0.6mmである)でより大容量化された光情報媒体である光ディスク(デジタルビデオディスク、DVD)が提案されている。そして、このDVDとCDとを読みとることができる光ピックアップ装置の開発が進んできている。その一つとして、特開平7−57271号公報に記載される光ピックアップ装置が提案されている。この装置は、DVDを再生する際には波面収差を0.07λrms以下となるような対物レンズを用い、CDを再生する際にはレーザー光源から出射した光束を少しデフォーカスした状態で情報記録面上に集光させることにより、DVDとCDを1つの集光光学系で再生できる光ピックアップ装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した公報に記載された光ピックアップ装置によると、記録密度が高く透明基板の厚さが薄いDVDを再生する際には、情報記録面上に形成されるレーザー光源から出射した光束(集光スポット)は回折限界の大きさにまで絞められ幾何光学的形状も略円形になるが、記録密度が低く透明基板の厚さも厚いCDを再生する際には、デフォーカスした状態で集光スポットを形成するので、集光スポットは回折限界の大きさにまで絞られていないが、光量は中央部に集中した核となり、この核スポットで情報を読みとることができる。しかしながら、このとき、波面収差が大きいので核の周囲には不要光としてのフレアが発生する。この発生したフレアは、CDから反射した光束を光検出器で受光するときに誤差要因となり、光検出器から出力されるフォーカシングエラー信号やトラッキングエラー信号さらには情報信号に誤差を与え、正確な位置制御や信号再生ができないという問題がある。このように、1つの対物レンズで異なる透明基板厚みを有する光情報記録媒体を再生する際には、一方の光情報記録媒体を再生する場合に良好な収差の状態にすると、他方では必ず収差の状態が悪くなりフレアが発生する。
【0006】
そこで、本発明では、異なる透明基板厚みを有する複数種類の光情報記録媒体の情報記録面上の情報を、1つの対物レンズにより再生する光ピックアップ装置において、一方の光情報記録媒体の情報を再生する際に生じるフレアの影響を減じ、正確なフォーカシングエラー信号またはトラッキングエラー信号または情報信号を得ることができる光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した目的は、以下の構成により達成することができる。
【0008】
(1)一つの対物レンズにより厚さt1の透明基板を有する第1の光情報記録媒体と、厚さt2(ただし、t2>t1)の透明基板を有する第2の光情報記録媒体の何れの光情報記録媒体も再生可能であり、前記対物レンズを含む光学系を介して光情報記録媒体の情報を再生する際に、第1の光情報記録媒体の情報を再生するときの前記対物レンズの光情報記録媒体側の開口数をNA1、第2の光情報記録媒体の情報を再生するときに必要な前記対物レンズの光情報記録媒体側の開口数をNA2(ただし、NA1>NA2)としたとき、前記光学系は、第1の光情報記録媒体の情報を再生する時に、開口数NA1の範囲の波面収差が0.07λrms以下で、かつ、前記第1の光情報記録媒体を再生する際の球面収差が、NA2の光束より(1/2)NA2の光束の方が補正過剰であり、前記対物レンズにより透明基板を介して情報記録面上にスポットを形成し、情報記録面からの反射光束を、非点収差素子を介して複数の受光素子が組み合わされて構成された多分割光検出器で受光し、該多分割光検出器上でのスポットの形状変化により、多分割受光面からの出力に基づいてフォーカスエラーの検出を行い、前記多分割光検出器の受光面の面積をDS、前記第1の光情報記録媒体からの反射光による前記多分割光検出器の受光面上でのスポットの面積をBSとしたとき、1.2≦DS/BS≦2.5であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【0012】
(2)前記多分割光検出器上でのスポットの形状変化による光量分布変化を該多分割光検出器で検出し、所定の演算を行うことでフォーカスエラー信号を生成するように構成するとともに、前記多分割光検出器上のスポットの形状が略円形のとき得られるフォーカスエラー信号の値が、そのスポットサイズにより変化するようにしたことを特徴とする(1)に記載の光ピックアップ装置。
【0013】
(3)前記多分割光検出器上のスポットの形状が所定の半径の略円形のときに前記所定の演算により得られるフォーカスエラー信号の値と、前記多分割光検出器上のスポットの形状が所定の楕円形のとき前記所定の演算により得られるフォーカスエラー信号の値とが等しくなるようにしたことを特徴とする(2)に記載の光ピックアップ装置。
【0015】
(4)前記光検出器の少なくとも第2の光情報記録媒体からの情報信号を検出する受光面を光情報記録媒体上に写像した場合光情報記録媒体上における面積が100μm2以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1に記載の光ピックアップ装置。
【0016】
(5)第1の光情報記録媒体の情報を再生する場合の前記対物レンズの光情報記録媒体側の開口数をNA1、第2の光情報記録媒体の情報を再生する場合の前記対物レンズの光情報記録媒体側の開口数をNA2(ただし、NA1>NA2)としたとき、前記光源から前記対物レンズを経て前記光検出器または前記多分割光検出器に向かうまでの光路中に、開口数NA2より大きく、開口数NA1より小さいリング状の光束遮蔽部を設けたことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1に記載の光ピックアップ装置。
【0023】
【発明の実施の形態】
光ピックアップ装置を説明する前に、まず、以下の実施の形態において使用される光情報記録媒体について説明する。
【0024】
本実施の形態においては、異なる透明基板厚みを有する2つの光情報記録媒体を使用する。すなわち、一方は透明基板211の厚さt1が0.6mmのデジタルビデオディスク(DVD)201、他方は透明基板212の厚さt2(>t1)が1.2mmのコンパクトディスク(CD)202である。そして、DVD201はトラックピッチ0.74μm、最短ピット長0.4μm、CD202はトラックピッチ1.6μm、最短ピット長0.83μmである。すなわち、透明基板が薄いDVD201の方が、情報記録面上に記録されている情報の記録密度が高くなっており、高密度光記録情報媒体となる。DVD201とCD202の透明基板は、通常ポリカーボネイトで形成されており、屈折率は1.58程度である。
【0025】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。図1は光ピックアップ装置の概略構成図であり、図2はDVD再生時のスポットを示した光検出器の正面図であり、図3は対物レンズを介した光束のスポット形状の概念的図および強度分布を表した図である。
【0026】
光ピックアップ装置10は、光源である半導体レーザー11(波長λ=635〜680nm)、偏光ビームスプリッタ12、コリメータレンズ13、1/4波長版14、対物レンズ16、非点収差を発生する非点収差素子であるシリンドリカルレンズ18、光検出器30、フォーカス制御およびトラッキング制御のための2次元アクチュエータ15などからなる。
【0027】
まず、DVD201の再生について説明する。
【0028】
半導体レーザー11から出射した光束は、偏光ビームスプリッタ12、コリメータレンズ13、1/4波長板14を透過して円偏光の平行光束となる。この光束は、対物レンズ16によりDVD201の透明基板211を介して情報記録面221上に集光される。そして、情報記録面221で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ16、1/4波長板14、コリメータレンズ13を透過して偏光ビームスプリッタ12に入射し、ここで反射してシリンドリカルレンズ18により非点収差が与えられ光検出器30上へ入射し、光検出器30から出力される信号を用いてDVD201に記録された情報の読みとり信号が得られる。また、光検出器30上でのスポットの形状変化による光量分布変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。すなわち、光検出器30からの出力を用いて、ここでは図示しない演算処理回路によってフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号が生成される。このフォーカスエラー信号に基づいて2次元アクチュエータ(フォーカス制御用)15が半導体レーザー11からの光をDVD201の情報記録面221上に結像するように対物レンズ16を移動させ、トラッキングエラー信号に基づいて2次元アクチュエータ(トラッキング制御用)15が半導体レーザー11からの光を所定のトラックに結像するように対物レンズ16を移動させる。
【0029】
ここで、対物レンズ16のNAは0.6とされ、DVD201の情報記録面221上に集光されているスポットの波面収差が0.07λrms以下である非球面の対物レンズ16が用いられる。従って、DVD201の情報記録面221上のスポットの幾何光学的形状は略円形となっており、かつ、回折限界の大きさまでに絞られたスポットとなりフレアが発生しない。
【0030】
本実施の形態では、フォーカスエラー信号は公知の非点収差法により検出している。すなわち、DVD201から反射した光束はシリンドリカルレンズ18により非点収差が与えられ、光検出器30により検出される。検出された光量により、図示しない演算処理回路によりフォーカスエラー信号が生成される。
【0031】
焦点位置の制御についてさらに説明する。光検出器30を光軸方向からみた図2(a)に示すように、光検出器30はフォーカスエラー信号検出用の多分割光検出器31を有している。この多分割光検出器31は、入射光を光電変換してその光量を測定する複数(本実施の形態では4つ)の受光素子(フォトダイオード)31a〜31dの受光面の組み合わせで構成され、シリンドリカルレンズ18を介して集光されたDVD201からの反射光束を受光素子31a〜31dの受光面で受光し、スポットの形状変化による光量分布変化を検出する。この4つの受光素子31a〜31dの受光面を分割する分割線Sは、DVD201の情報記録面221の情報トラックの写像を略方向が一致するように、また、他方の分割線は分割線Sに直交するように設けられる。なお、シリンドリカルレンズ18は、対物レンズ16により集光した光束がDVD201の情報記録面221上に結像している(波面収差が0.07λrms以下のとき、特に最良波面収差を得るベストピント位置が好ましい)ときに多分割検出器31の受光面上で略円形のスポットとなり(図2(a)参照)、焦点がずれたときにスポットの形状が変化、すなわち、前ピンあるいは後ピン時には楕円形のスポットとなる(図2(b)(c)参照)となるよう配置されている。
【0032】
そして、4つの受光素子31a〜31dから出力された信号を所定の演算(対角の和の差をとる)を行うことによりフォーカスエラー信号を得る、すなわち、各受光素子31a〜31dの出力をA〜Dとすると、
フォーカスエラー信号=(A+C)−(B+D)
となる。そして、フォーカスエラー信号が0(零)となるように、このフォーカスエラー信号に基づいて2次元アクチュエータ(フォーカス制御用)15が対物レンズ16を移動させることにより、DVD201の回転により生じる面ブレに対して、常に焦点をベストピント位置に置くことができる。
【0033】
また、本実施の形態では、半導体レーザー11からの光束を半導体レーザー11とビームスプリッタ12との間に置かれた回折格子(図示せず)で0次回折光と±1次回折光の主ビームと2つの複ビームとに分離し、DVD201やCD202のトラックに対してわずかに傾けて結像させ、2つの複ビームの反射光量を光検出器30で検出を行う公知のスリービーム法により、図示しない処理回路によりトラッキングエラー信号が検出される。すなわち、多分割光検出器31を挟んで両側に2つの複スポット光検出器32、33を設け、この複スポット光検出器32、33によって回折格子で分離された2つの複ビームのスポット光束を受光する。この複スポット光検出器32、33で得られた信号を所定の演算(例えば、差をとる)を行うことによりトラッキングエラー信号を得る。複スポット光検出器32、33の出力をそれぞれSA、SBとすると、
トラッキングエラー信号=SA−SB
となる。そして、トラッキングエラー信号が0(零)となるように、このトラッキングエラー信号に基づいて2次元アクチュエータ(トラッキング制御用)15で対物レンズ16を駆動し、主スポットが所定のトラック上を走査するように情報記録面内のビーム位置を置くことができる。
【0034】
なお、本実施の形態においては、シリンドリカルレンズ18は情報記録面221上のトラックに対して光学的に45°傾けて配置するとともに、多分割光検出器31の各受光素子31a〜31dの分割線は情報記録面221のトラックに対して光学的に平行と垂直になるように配置し、また、多分割光検出器31と2つの複スポット光検出器32、33は多分割光検出器31の分割線の一方と略平行方向に配置している。
【0035】
このような対物レンズ16を用いた光ピックアップ装置10を用いてCD202を再生するに際しては、透明基板212が厚くなることでオーバーの球面収差が発生する。これを対物レンズ16を介した光束と、各位置での幾何光学的スポットの形状を概念的に示した図3(a)に基づいて説明する。なお、図3(a)においては、光ディスクの透明基板を空気換算して記載する。
【0036】
半導体レーザー11から射出された光束は、コリメータレンズ13によって平行光となって対物レンズ16に入射する。図3(a)においては、対物レンズ16に対して左から入射する。そして、入射した光束は、対物レンズ16によって屈折して収束光となる。この対物レンズ16は、DVD201を再生する際にスポットが絞れるよう0.6mm厚の透明基板211を介したときに球面収差が良好に補正されており(例えば0.07λrms以下)、光軸(図3(a)において一点鎖線)からの何れの高さの光線も合焦点の一点に集まる。しかしながら、CD202を再生する際には、透明基板212の厚さが1.2mmとなることでオーバーの球面収差が発生し光線は1点には集まらず、最もスポットが収束した形状(最小錯乱円)となるのは、近軸焦点位置cより後方の位置aとなる。このときのスポットサイズは大きくCD202のピット(情報)を読むことはできない。ところが、この最小錯乱円位置aより前側位置bにおいては、スポット全体の大きさは最小錯乱円よりも大きくなるが、その中央部に光量が集中した有する核が形成される。この核を用いることによりCD202のピット(情報)を読むことが可能となる。なお、情報を読むための最適な前側位置bは、前側位置bから近軸焦点位置cまでの距離の方が、前側位置bから最小錯乱円位置aまでの距離より短い。
【0037】
従って、CD202を再生する際には、対物レンズ16により情報記録面222上に集光された光スポットが再生に最適な核を有するように、光検出器30から出力に基づいて生成されるフォーカスエラー信号に基づいて2次元アクチュエータ(フォーカス制御用)15で対物レンズ16を駆動させる。このとき、光検出器30の多分割光検出器31の受光面上でのスポットの形状は、中心に光量の集中した核とその周囲のフレア光となり、主にこのスポットの核を検出する。DVD201を生成するときに多分割光検出器31上でスポットの形状が略円形となりフォーカスエラー信号が0(零)となるときに情報記録面221上でベストピント位置が得られるように検出光学系を調整した状態では、CD202の再生の際多分割光検出器31で同じくフォーカスエラー信号が0(零)となるようにフォーカシング制御を行うと、読み出しに最適な核が得られる位置に制御されず、やや近軸焦点寄りに制御される。このため、CD202を再生する際にはこのフォーカスエラー信号が0(零)ではない所定値となるように、換言すれば、受光面上でのスポットの核が楕円形となるように、フォーカスエラー信号に基づて2次元アクチュエータ(フォーカス制御用)15で対物レンズ16を駆動し、読み出しに適した核が得られるよう制御する。
【0038】
ところで、CD202を再生する際には最適核状態のスポットで情報信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号を得るが、上述したようにこのときのスポットには核の周囲に信号を得るのに有害となる不要光であるフレアが発生している。このため、フォーカス位置がずれるとスポット形状が変化するがCD201再生時にはスポットの核の周囲に発生するフレアによりスポットの形状変化に伴って明確な光量分布の変化を示し難くなり、フォーカスエラー信号の感度低下や多少性能の劣化を起こす。主スポット(多分割光検出器31に入射するスポット)のフレアが複スポット光検出器32、33に入射する、あるいは、複スポットのフレアが多分割光検出器31に入射するなどの弊害も生じてくる。すなわち、このフレアが光検出器30に入射し、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号に誤差を与えることとなる。また、このフレア部により情報信号のジッターも増大する。そこで、鋭意検討した結果、このフレアの影響を減じ正確なフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を得ることができる光検出器30を見いだした。
【0039】
すなわち、多分割光検出器31の受光面の面積をDS、DVD201からの反射光による多分割光検出器31の受光面上でのスポットの面積をBSとしたとき、1.2≦DS/BS≦2.5とすることによって、フレアの影響を受けずに正確な情報信号やフォーカスエラー信号を得ることができる。
【0040】
この上限を越えると、フレアの影響でCD201再生時の合焦検出が正確に行うことができず、また、情報信号のジッターが増大する。下限を越えるとDVD202再生時の合焦検出範囲が狭くなり、また、対物レンズ16のシフトにより光検出器30上でのスポットのシフトによりスポットが多分割光検出器31上をはみ出してしまい、情報信号の振幅低下を起こす。この下限値は、有効系φ4mmの対物レンズが±0.3mmシフトしたときに相当する。
【0041】
また、多分割光検出器31の受光面の面積をDS、2つの複スポット光検出器32、33の各々の受光面の面積をSS、DVD201再生時の複スポット光検出器32、33の受光面上での複スポット面積をSBSとしたとき、SS/DS≦2であり、かつ、SBS/SS≧1.2とすることによって、トラッキングエラー信号へのフレアの影響を低減できる。
【0042】
この上限を越えると、主ビームのフレアの受光量が増大してバイアス分となりトラッキングエラー信号の支調度が低下し、また、対物レンズ16がシフトすることによる光検出器上でのスポットシフト時に複スポット光検出器32、33で受光されるフレアもシフトしトラッキングエラー信号のオフセットとなりトラッキング精度が低下する。また、下限を越えると、DVD202再生時の合焦検出範囲が狭くなり、また、対物レンズ16のシフトにより光検出器30上でのスポットのシフトによりスポットが光検出器31上をはみ出してしまい、情報信号の振幅低下を起こす。この下限値は、有効系φ4mmの対物レンズが±0.3mmシフトしたときに相当する。
【0043】
上述のようなCD202を再生する際に発生するフレアの問題を、多分割光検出器31の受光面積DSとDVD201再生時のスポットの面積BSとで規定したのは、同じ光学系を用いる限り、CD202再生時の多分割光検出器31上の受光面上でのスポットの核の輪郭が明瞭に判別できるものでないが、この大きさが、DVD201再生時の多分割光検出器31上の受光面上でのスポットの面積BSとはある一定の関係を有していることが判明したためである。
【0044】
なお、上述した多分割光検出器31の受光面の面積をDSとは、多分割光検出器31の各受光素子31a〜31dを分割する領域を含めた面積のことである。
【0045】
また、本実施の形態においては、多分割光検出器31の形状を円形をしたが、これに限られず、長方形や正方形やそれらの角を円弧状にしたものでもよいことはいうまでもない。
【0046】
さらに、楕円形状の発散光強度分布を有する半導体レーザーを、発散角の狭い方向(半導体レーザーチップの活性層に平行な方向)をトラックと直交するように配置することで、対物レンズに入射し、情報記録面で反射して光検出器上に達して、特に複スポット光検出器に入射する主スポットのフレア強度を弱めることができる。
【0047】
図3(b)は、円形で示す対物レンズ開口と、この対物レンズに入射する半導体レーザー光強度分布の方向の関係である。R方向は光ディスクのラジアル方向(トラックと直交)、T方向はタンジェンシャル方向(トラックと平行)である。R方向に発散角の狭い方向とすることで、この方向の対物レンズの開口周辺部に入射する光強度は低下される。図3(c)は、このR方向の断面強度分布を示したものである。中心強度を1としたガウス分布のとき開口周辺部の強度(リム強度)がわかれば、この断面内での各部分での強度がわかる。CDを再生する際に有効な核スポットを作る範囲は、対物レンズ開口の中心からおおよそ60〜70%の範囲であり、これより外側はフレアとなる。この範囲でのレーザー光強度をCD読み取りが有効に行えるよう50%以上とするとリム強度は14〜24%となる。この場合、DVD再生時のスポットはR方向に長手の楕円形状となる。
【0048】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について光検出器の正面図である図4に基づいて説明する。第1の実施の形態では光検出器30の受光面の面積を規定することによりCD201再生時に発生するフレアの影響を減じたが、対物レンズ16が2次元アクチュエータ(トラッキング制御用)15により光軸に対して直交方向に移動されることにより、図2において光検出器30上で左右方向にスポットが移動し、特に主スポットのフレアが各々の複スポット光検出器32、33上で非対称となることでのトラックオフセットの発生は、特に偏心の大きいCD202のトラッキング性能低下となりやすい。そこで、本実施の形態においては、第1の実施形態の光ピックアップ装置のうち、シリンドリカルレンズ18の配置と光検出器30の配置を変えることにより、対物レンズ16が移動して複スポット受光面上での対物レンズ16移動によるフレアの影響を減じて正確なフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を得るようにしたものである。
【0049】
本実施の形態においては、シリンドリカルレンズ18は情報記録面221上のトラックに対して光学的に平行または直角に配置する(トラックと平行な方向または直交する方向に非点収差を発生するようにシリンドリカルレンズ18を配置する)とともに、多分割光検出器31の各受光素子31a〜31dの分割線は情報記録面221のトラックに対して光学的に45°傾けて配置し、また、多分割光検出器31と2つの複スポット光検出器32、33とを結ぶ線を多分割光検出器31の分割線に対して45°傾けて配置する(図4(a)参照)。
【0050】
上述のように、シリンドリカルレンズ18により発生する非点収差がトラックと光学的に平行または直交する方向になるようにシリンドリカルレンズ18を配置することにより、対物レンズ16が移動(シフト)すると、スポットが図4において上下方向に移動するので、複スポット光検出器32、33に入射する主スポットのフレア光量はともに同じ量だけ変化することになり、複スポット光検出器32、33からの出力の差によって生成されるトラッキングエラー信号に対しては相殺され、スポットの移動に伴い生じるCD201再生時のフレアの影響を減じ、正確なトラッキングエラー信号を検出することができる。
【0051】
また、多分割光検出器31の各受光素子31a〜31dの分割線は非点収差発生方向に合わせ、情報記録面221のトラックに対して光学的に45°傾けて配置しているので、フォーカスエラー信号も正確に検出できる。勿論、このとき、多分割光検出器31の受光面の面積をDS、DVD201からの反射光による多分割光検出器31の受光面上でのスポットの面積をBSとしたとき、1.2≦DS/BS≦2.5とすることによって、CD202再生時フレアの影響を受けずに正確な情報信号、フォーカスエラー信号を得ることができる。
【0052】
なお、本実施の形態ではスリービーム法によりトラッキングエラーを検出したが、位相差検出法(DPD法)によるトラッキングエラー信号検出を行う場合、多分割光検出器31を更に図4(b)のように縦方向に受光素子31b、31dを各々2分割に細分化(31b、31b′、31c、31c′)し、この細分化した受光素子の対角の和の差をとることにより、若しくは、図4(c)のように各受光素子31a〜31d全てをさらに細分化(31a〜31d、31a′〜31d′)した8分割光検出器としてもよい。
【0053】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について多分割光検出器の正面図である図5に基づいて説明する。第3の実施の形態は、上述した第1および第2の実施の形態において、多分割光検出器31を図5のように分割する領域を変えたものである。従って、その他については第1または第2の実施の形態と同じであるので説明を省略し、ここではこの多分割光検出器31について説明する。
【0054】
第1および第2の実施の形態においては、DVD再生時にはフォーカスエラー信号を0(零)となるように、かつ、CD再生時にはフォーカスエラー信号を0(零)以外の所定値になるように、フォーカスエラー信号に基づいて2次元アクチュエータ(フォーカス制御用)15が対物レンズ16を移動させフォーカシングを行った。これは、多分割光検出器31の各受光素子31a〜31dを分割する分割線が、略円形のスポット形状の中心を通り、その略円形のスポットサイズにかかわらず対角和の差が0(零)となるように設定されていたため、CD再生時に最適核となるフォーカス状態と、多分割光検出器31により検出されるフォーカスエラー信号が0(零)となるフォーカス状態とにずれが出る。従って、第1および第2の実施の形態ではDVD再生時とCD再生時とで異なる制御を行うことになり、制御系が複雑になる。そこで、この制御系を簡単にするために図5に示すような多分割光検出器31を用いる。
【0055】
図5には、多分割光検出器31とDVD再生時のスポット形状およびCD再生時のスポットの核形状を示している。本実施の形態における多分割光検出器31は、4つの受光素子31a〜31dからなっている。この多分割光検出器31は、その受光面上に円形のスポットのサイズ(半径)が異なると各受光素子31a〜31dからの出力を所定の演算(対角和の差)をして得られたフォーカスエラー信号が異なるように、換言すると、スポットのサイズにより変化するように、4つの受光素子31a〜31dを分割している。因みに、第1の実施の形態で示した多分割光検出器31のような分割では、円形のスポットのサイズ(半径)が変化しても、受光素子31a〜31d各々から出力される信号の強度比は等しく、フォーカスエラー信号も常に同じとなる。
【0056】
さらに、本実施の形態では、これら4つの受光素子31a〜31dは、DVD再生時のスポット形状が略円形(対物レンズ16がベストピント位置にあるとき)をなしているとき、および、CD再生時のスポットの核形状が所定の楕円形(対物レンズ16が最適核状態の位置にあるとき)をなしているときの両方において、多分割光検出器31に入射している該スポットあるいは該スポットの核が各受光素子31a〜31dの受光面に当たっているスポットの面積が等しくなるようになっている。従って、DVD再生時の多分割光検出器31上のスポットの形状が所定の半径の略円形のときに得られるフォーカスエラー信号の値と、CD再生時の多分割光検出器31上のスポットの核の形状が所定の楕円形のときに得られるフォーカスエラー信号とが、ともに0(零)になるように多分割光検出器31の各受光素子31a〜31dを分割しているので、合焦制御系が簡単にできる。
【0057】
勿論、このとき、多分割光検出器31の受光面の面積をDS、DVD201からの反射光による多分割光検出器31の受光面上でのスポットの面積をBSとしたとき、1.2≦DS/BS≦2.5とすることによって、フレアの影響を受けずに正確な情報信号、フォーカスエラー信号を得ることができる。
【0058】
(第4の実施の形態)
次の第4の実施の形態について説明する。上述した第1〜第3の実施の形態では非点収差法によりフォーカスエラー信号を得たが、CD再生時にフレアが発生する本願の光ピックアップ装置においては、ナイフエッジ法によりフォーカスエラー信号を得ることが好ましい。これは、ナイフエッジ法では、光検出器上でのスポットが絞られた状態となるため、受光器面積を小さくしてフレア分をさけるのが容易であり、また、対物レンズがシフトしても光検出器上でのスポットがシフトせずフレアシフトの影響が少ないためである。特に、非点収差法によれば、CD再生時には発生する球面収差の影響でフォーカスエラー信号のSカーブが非対称となりやすく、また、検出感度も低いため、フォーカス制御範囲が狭い。これに対して、ナイフエッジ法によれば、非点収差法に比べ球面収差の影響が少なくなり検出感度が高くSカーブも対称形になるため、制御が容易となる。
【0059】
そこで、第4の実施の形態として、ナイフエッジ法の一種であるフーコー法によってフォーカスエラー信号を得るようにする。フーコー法は、光ディスクで反射して戻ってくる光束を分割素子により複数の領域に分割し、分割された光束をそれぞれ2分割光受光素子で検出する方法である。図6(a)は、第4の実施の形態を示す光ピックアップ装置の概略構成図であり、図6(b)は、対分割光検出器の光軸方向から見た図である。なお、第1の実施例と同じ機能のものは同じ番号を付与し、説明を省略する。
【0060】
本実施の形態においては、第1の実施の形態のシリンドリカルレンズ18の代わりに分割素子である屋根型プリズム19を用い、図6(b)に示すような多分割光検出器31を用いた。屋根型プリズム19は、光ディスク(DVDやCD)から反射し対物レンズ16、コリメータレンズ13により収束光束となった光束を2つの領域に分割する光学素子である。分割された一方の光束は多分割光検出器31の受光素子31a、31bに入射し、他方の光束は受光素子31c、31dに入射する。そして、受光素子31a〜31dの各出力をA〜Dとすると、フォーカスエラー信号は、(A−B)+(D−C)によって得られる。分割された各々の光束は、ナイフエッジでけられて半分になった光束と同じに考えられる。そのため、CD再生時に発生するフレアがけられ、このフレアの影響を減じてSカーブが対称形となり、フォーカスエラー信号が正確に検出でき、また、2次元アクチュエータ(フォーカス制御用)15による対物レンズ16のフォーカス制御が容易となる。
【0061】
なお、本実施の形態のように分割素子を、収束光束を2つの領域に分割する屋根型プリズム19ではなく、4つの領域に分割する四角錐型プリズムでもよく、この場合、DPD法でのトラッキングエラー検出が容易となる。また、ビームスプリッタ12と分割素子とを一体化したホログラムビームスプリッタであってもよく、光検出器と半導体レーザー11を一体化した投受光モジュールとし易い。
【0062】
以上説明した第1〜第4の実施の形態において、好ましく使用される対物レンズ16の例を以下に説明する。
【0063】
以下の対物レンズ16の例においては、コリメータレンズ13は、設計を最適にすることにより対物レンズ16へは略無収差の平行光束を入射させることができるため、以下の例においては略無収差の平行光束を出射できるコリメータレンズ13を使用することを前提として、対物レンズ16へ光束が入射して以降の構成を示す。また、図示はしていないが対物レンズ16とコリメータレンズ13との間に絞りを入れている。なお、対物レンズ16の光源側の配置される絞りを第1面として、ここから順に第i番目のレンズ面の曲率半径をri、第i番目の面と第i+1番目の面のと間の距離をdi、その間隔のレーザー光源の光束の波長での屈折率をniで表している。
【0064】
また、光学面に非球面を用いた場合は、下記の式1に基づくものとする。
【0065】
【数1】
【0066】
但し、Xは光軸方向の軸、Hは光軸と垂直方向の軸、光の進行方向を正とする。また、rは近軸曲率半径、Kは円錐係数、Ajは非球面係数、Pjは非球面のべき数(べき数は、4,6,8,10若しくは4,6,8,10,12とする)である。
【0067】
(対物レンズ例1)
表1に対物レンズ例1を示す。
【0068】
【表1】
【0069】
本実施例では光源波長λ=680nm、NAは0.63である。第2の光ディスクであるCDの読み出しに必要なNAはλ/1.75=0.39である。
【0070】
図7は、本実施例の対物レンズの基板厚みt1=0.6mmのときの球面収差を示す図である。
【0071】
図7において、この対物レンズでは、基板厚みt1=0.6mmのときに、球面収差を(1/2)NA2付近(NA≒0.2)の高さで補正過剰(オーバー)、NA2付近(NA≒0.4)の高さでは、完全に補正している。球面収差カーブでは、(1/2)NA2よりNA2の高さにかけて補正不足(アンダー)の方向となっている。このときのNA=0.63での最良波面収差は約0.02λrmsである。
【0072】
図8は、この対物レンズで基板厚みt2=1.2mmのときの、NAと最良波面収差及びそのときのデフォーカス量の関係を示す図である。
【0073】
図8において、対物レンズの(1/2)NA2の高さの光束をNA2の高さの光束より過剰に補正しておくことにより、NA2の高さの光束は(1/2)NA2の高さの光束よりアンダーとなっており、基板厚みが厚くなることによって発生するオーバーの球面収差を減少させることができる。NA=0.41のときに大凡0.07λrmsとなり、マレシャルの限界内となる。NA2(NA=0.39)での最良波面収差は0.05λrmsとなり本対物レンズで充分CD(第2の光ディスク)を読み取ることができる。又、t1=0.6mmのDVD(第1の光ディスク)の読み取りもNA=0.63で波面収差0.02λrmsと充分に小さく良好に行える。
【0074】
従って、対物レンズ16としては、NA2の範囲内で厚さt2=1.2mmの透明基板を介したときに発生する球面収差を低減する方向の球面収差を有し、特に、t1=0.6mmの透明基板介したときNA2の光束より(1/2)NA2の光束の方が補正過剰であることにより、DVDもCDも良好に再生することができる。
【0075】
なお、この例では、対物レンズにより球面収差をt=0.6mmの基板厚みのときに、(1/2)NA2の高さの光束をNA2の高さの光束より補正過剰(オーバー)となるようにしたが、これは例えばコリメーターレンズによってでも良く、要はレーザ光源を発した光束がt=0.6mmの基板を介して光ディスクの情報記録面上に集光されたときに、トータルとして(1/2)NA2の高さの光束がNA2の高さの光束より補正過剰(オーバー)なっていれば良い。
【0076】
(対物レンズ例2)
図9は対物レンズ例2を用いた光学系の断面図と要部拡大図である。更に詳しくは、図9(a)は第1の光情報記録媒体(DVD)の再生の光学系断面図で、図9(b)は第2の光情報記録媒体(CD)の再生の光学系断面図で、更に図9(c)は波面収差での段差境界部に対応する対物レンズの面形状拡大図である。図で、第1の光情報記録媒体(DVD)の場合、レーザ光源からの発散光は平行光に変換する図示しないコリメータレンズを通り、更に絞りS1を経て、平行光を集光する無限共役型の対物レンズ41を通る。対物レンズ41の光源側の面は面S2と、面S2との段差を介して接続された面S2′とを有し光軸から光軸と直交する方向で高い方の光束は面S2′を、低い方の光束は面S2を通るようになっている。対物レンズ41を通った光は第1の光情報記録媒体71の透明基板81を通り情報記録面91に集光する。同様にして、第2の光情報記録媒体(CD)の場合、対物レンズ41を通った光は第2の光情報記録媒体72の透明基板82を通り情報記録面92に集光するようになっている。
【0077】
本対物レンズ例の数値データを「表2」、「表3」に示す。
【0078】
第1の光情報記録媒体の透明基板の厚みd1=0.6mm、第2の光情報記録媒体の透明基板の厚みd2=1.2mmの例である。比較例及び実施例とも焦点距離f=3.40(mm)、光情報記録媒体側開口数NA1=0.60、対物レンズの横倍率m=0、光源波長λ=635(nm)である。
【0079】
【表2】
【0080】
なお、「表2」でS2は光軸から光軸と直交する方向に0.6NA1の高さまでのデータ、面S2′は0.6NA1からNA1までのデータ、面S2′のd′=2.5998とは面S2′の形状を非球面形状式に従って光軸まで延長したときの光軸との交点と、面S3と光軸との交点との光軸上の間隔を表している。
【0081】
【表3】
【0082】
なお、コリメータレンズのデータは記載していないがコリメータレンズの設計を最適にすることにより対物レンズへは略無収差の平行光を入射させることができる。
【0083】
この対物レンズ例の波面収差を図を参照して説明すると、図10はDVD用光情報記録媒体の透明基板を介したときの実施例と比較例の波面収差図で、図11はCD用光情報記録媒体の透明基板を介したときの実施例と比較例の波面収差図である。図で、横軸は開口数(NA)、縦軸は波面収差(λ)で、実線が実施例で、点線が比較例である。実施例では図10、11に示すように透明基板を介したとき、波面収差が連続的でなく段差を有しており、段差の境界部の開口数NAが大きい方の波面収差量をW1、NAが小さい方の波面収差量をW2とすると、実施例では第1の光情報記録媒体(DVD)のときW1=−0.09λ、W2=+0.05λ、m=0、δ=0.14λとなり、
W1−W2=mλ−δ
|m|≦10(mは0を含む整数)
0<δ<0.34λ
を満足することにより、DVDもCDも良好な再生ができる。
【0084】
以上説明した本発明にさらに読み出し性能を向上させるために、半導体レーザー11から対物レンズ16を経て光検出器30に向かうまでの光路中に、図12に示すようなリング状の光束遮蔽部を設けるとよい。この光束遮蔽部は、開口数NA2(CD再生時の対物レンズのCD側の必要開口数)より大きく、開口数NA1(DVD再生時の対物レンズのDVD側の必要開口数)より小さいリング状の光束を遮蔽する部材である。
【0085】
図13は、本実施例の集光光学系でt=1.2mmの基板を介したときの第2の光ディスクの情報読み取りに必要なNA2の範囲で、波面収差を最良とする位置でのデフォーカスを含んだ球面収差図である。
【0086】
図13において、軸上よりNA2までの領域が情報読み取りに有効な光束であり、その外側のNA2〜NA1までの領域は読み取りに寄与せずノイズ成分となる光束である。この光束中NA1に近い部分は極めて大きな球面収差を持つことによりデフォーカスした状態となっており、大きなノイズ要因とはならない。NA2に近い部分は、読み取りに有効な光束に隣接したフレア光となりこの光束が情報記録面で情報ピットで変調され、光検出器に入射すると大きなノイズとなりジッター劣化をまねく。この為、NA2の領域より大きくNA1より小さい開口中に光束を遮蔽するリング状のマスクを設けてやることにより、ノイズ増大要因となる光束の光検出器への入射を防ぐことができる。
【0087】
このマスク部の外径は、大き過ぎると光量ロスの増大、第1の光情報記録媒体からの情報読み出し性能の劣化をまねく。よって、ノイズ成分となる光束の遮蔽は必要最低限となるのが良く、具体的にはNA2の範囲で最良波面収差となる焦点位置より、焦点深度の1〜2倍後方に焦点を結ぶ光束までをカットしてやる。焦点深度は2λ/NA2で与えられ、λ=680nm,NA=0.39のとき約2.2μmであり、本集光光学系ではNA0.42の光束に相当する。又、NA0.47で約4.7μm後方となり、焦点深度の2倍となる。よって、光束遮蔽リングの内側はNA0.39、外側は0.42〜0.47としてやるのが良い。
【0088】
このマスクは必ずしも光束を吸収させることによる遮蔽でなく、反射、散乱、屈折、回折等の作用に基づいたものでも良く、光検出器に戻る光束をカットできれば良い。又、このマスクは独立した1部品としてではなく、コリメータレンズ、対物レンズ、ビームスプリッタ等他の光学素子と一体化させても良い。特に対物レンズの入射側光学面若しくは出射側光学面に一体に設けるのが、トラッキングにより対物レンズがシフトしても情報記録面に入射する光束中の遮蔽部分がシフトせず好ましい。
【0089】
又、このマスクはレーザ光源から対物レンズを経て情報記録面で反射され、光検出器に向かう光路中のどの場所であっても良い。特にビームスプリッターより光検出器への光路中に配置した場合、レーザ光源からの光束をより有効に情報記録面上に導くことができ書き込みを行う場合効率が良く好ましい。
【0090】
以上説明した実施の形態において、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、情報信号などを読みとるための光検出器30(多分割光検出器31や複スポット光検出器32、33)の少なくともCDの情報信号を検出する受光面を光情報記録媒体上に写像した場合、その光情報記録媒体上における面積が100μm2以下とすることにより、さらにフレアの影響を減じ、正確な情報信号を得ることができる。
【0091】
なお、以上において説明した各実施の形態では半導体レーザー11から出射した光束をコリメータレンズ13で一旦平行光にしたのちに対物レンズ16で光情報記録媒体上に集光、いわゆる無限系の対物レンズ16を用いた例で示したが、これに限られず、コリメータレンズを用いずに、あるいは、コリメータレンズをカップリングレンズに変えて、半導体レーザーからの発散光を対物レンズで集光、いわゆる有限系の対物レンズを用いてもよい。
【0092】
また、非点収差を発生させる非点収差素子としては、光軸に対し偏心させた平行平面板、レンズなどであってもよい。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、異なる透明基板厚みを有する複数種類の光情報記録媒体の情報記録面上の情報を、1つの対物レンズにより再生する光ピックアップ装置において、一方の光情報記録媒体の情報を再生する際に生じるフレアの影響を減じ、正確なフォーカシングエラー信号またはトラッキングエラー信号または情報信号を得ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ピックアップ装置の概略構成図である。
【図2】DVD再生時のスポットを示した光検出器の正面図である。
【図3】対物レンズを介した光束のスポット形状の概念的図および強度分布を示す図である。
【図4】第2の実施の形態の光検出器の正面図である。
【図5】第3の実施の形態の多分割光検出器の正面図である。
【図6】第4の実施の形態を示す光ピックアップ装置の概略構成図(a)と多分割光検出器の正面図(b)である。
【図7】対物レンズ例1の球面収差を示す図である。
【図8】対物レンズ例1の最良波面収差とデフォーカス量の関係を示す図である。
【図9】対物レンズ例2を用いた光学系の断面図と要部拡大図である。
【図10】対物レンズ例2を用いDVDの透明基板を介したときの波面収差図である。
【図11】対物レンズ例2を用いCDの透明基板を介したときの波面収差図である。
【図12】光束遮蔽部を示す図である。
【図13】球面収差図である。
【図14】従来の光ピックアップ装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 光ピックアップ装置
11 半導体レーザー(レーザー光源)
12 (偏光)ビームスプリッタ
13 コリメータレンズ
14 1/4波長板
15 2次元アクチュエータ
16 対物レンズ
20 光情報記録媒体(光ディスク)
21 透明基板
22 情報記録面
18 シリンドリカルレンズ(非点収差素子)
19 屋根型プリズム(分割素子)
30 光検出器
31 多分割光検出器
31a〜31d 受光素子
32,33 複スポット光検出器
Claims (5)
- 一つの対物レンズにより厚さt1の透明基板を有する第1の光情報記録媒体と、厚さt2(ただし、t2>t1)の透明基板を有する第2の光情報記録媒体の何れの光情報記録媒体も再生可能であり、
前記対物レンズを含む光学系を介して光情報記録媒体の情報を再生する際に、第1の光情報記録媒体の情報を再生するときの前記対物レンズの光情報記録媒体側の開口数をNA1、第2の光情報記録媒体の情報を再生するときに必要な前記対物レンズの光情報記録媒体側の開口数をNA2(ただし、NA1>NA2)としたとき、
前記光学系は、第1の光情報記録媒体の情報を再生する時に、開口数NA1の範囲の波面収差が0.07λrms以下で、かつ、前記第1の光情報記録媒体を再生する際の球面収差が、NA2の光束より(1/2)NA2の光束の方が補正過剰であり、
前記対物レンズにより透明基板を介して情報記録面上にスポットを形成し、情報記録面からの反射光束を、非点収差素子を介して複数の受光素子が組み合わされて構成された多分割光検出器で受光し、該多分割光検出器上でのスポットの形状変化により、多分割受光面からの出力に基づいてフォーカスエラーの検出を行い、
前記多分割光検出器の受光面の面積をDS、前記第1の光情報記録媒体からの反射光による前記多分割光検出器の受光面上でのスポットの面積をBSとしたとき、1.2≦DS/BS≦2.5であることを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記多分割光検出器上でのスポットの形状変化による光量分布変化を該多分割光検出器で検出し、所定の演算を行うことでフォーカスエラー信号を生成するように構成するとともに、
前記多分割光検出器上のスポットの形状が略円形のとき得られるフォーカスエラー信号の値が、そのスポットサイズにより変化するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。 - 前記多分割光検出器上のスポットの形状が所定の半径の略円形のときに前記所定の演算により得られるフォーカスエラー信号の値と、前記多分割光検出器上のスポットの形状が所定の楕円形のとき前記所定の演算により得られるフォーカスエラー信号の値とが等しくなるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光検出器の少なくとも第2の光情報記録媒体からの情報信号を検出する受光面を光情報記録媒体上に写像した場合光情報記録媒体上における面積が100μm 2 以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
- 第1の光情報記録媒体の情報を再生する場合の前記対物レンズの光情報記録媒体側の開口数をNA1、第2の光情報記録媒体の情報を再生する場合の前記対物レンズの光情報記録媒体側の開口数をNA2(ただし、NA1>NA2)としたとき、
前記光源から前記対物レンズを経て前記光検出器または前記多分割光検出器に向かうまでの光路中に、開口数NA2より大きく、開口数NA1より小さいリング状の光束遮蔽部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
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