JP4277946B2 - 祝儀袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、慶弔時に使用される祝儀袋・不祝儀袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、祝儀袋や金封・熨斗袋・不祝儀袋等の紙幣を収納する袋では、紙を折り畳んで複数の紙片が重なりあった形状の袋体とし、該袋体の胴部に水引を巻着して構成されている。一般的な構造とされるものは、一枚の紙(源紙)に左右略均等に縦方向に二つの折目を形成して左右部を左右中心に重ねるよう折り畳んだ後、上下略均等に横方向に二つの折目を形成して上下両部を上下中心側に折り畳んで袋体を形成し、該袋体の表面側に熨斗が付されるとともに、該袋体の上下略中央の胴部に水引が巻着されている。
【0003】
従来の祝儀袋に紙幣を入れる時は、まず、本体から水引を取り外し、折り曲げられている上下両部を伸ばした後、折り畳まれている紙片を開いて紙幣を入れ、再度元通りに折り畳んで水引を掛ける必要があったので、手間が掛かるという不具合がある。
特に、水引は逸脱を防止するため袋体の胴部に嵌合するように構成されており、その着脱において、袋体を左右から抑えて撓ませて外さねばならず袋体が崩れてしまったり、また、整えられている水引が崩れてしまったりする不具合がある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1に記載の技術のように、水引を取り外すことなく袋体への紙幣の出し入れをすることができるようにされた祝儀袋の構造が提案されている。
特許文献1に記載の技術では、水引を外さずとも袋体内部の紙幣を出し入れすることができるように、一枚の打ち抜かれた紙を折り畳んで袋状とし、紙厚のある袋体を形成して、祝儀袋や不祝儀袋としての重厚感を付加することができるようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−128183号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の技術では封筒状となるため、高級感を出すことは難しく、低額用となってしまうのである。そこで、本発明では、上述の従来技術に鑑み、一枚の紙を折り上げて袋体を形成しながらも、祝儀袋の表に紙の表裏を現出させるようにして祝儀袋としての意匠性を高めるとともに、水引の脱着無く紙幣の挿脱をすることが可能な金封の構成を提案する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、一枚の略矩形状の打抜加工された源紙を袋状に折り畳んで形成した袋体と該袋体の胴部に巻着した水引で構成される祝儀袋において、源紙の表裏を異なる色で構成するとともに、源紙の上下略中央を左右方向の折り目で谷折して、続いて、上下方向の2本の折目で左区画、中区画および右区画の三列に区画された源紙を、前記上下方向の2本の折目を同じ側に折り込んで、上方を開口した袋体を構成し、前記源紙の左区画または右区画における前記左右方向の折り目の上側の区画と下側の区画との間には三角形状の切欠が形成され、前記源紙の前記切欠が形成された側とは反対側の左区画または右区画における左右方向の折り目部分には切り込みが形成されており、前記源紙を上下方向の2本の折目により折り込むときには、前記左区画および右区画のうち前記切欠が形成されていない側の区画は折り込み方向内側の源紙のみを折り込んで、前記切欠が形成されている側の区画における左右方向の折り目の上側の区画と下側の区画との間に挿入することで、源紙の裏の一部が表面に現出する、ものである。
【0009】
請求項2においては、請求項1に記載の祝儀袋において、前記源紙を、縦二本、横二本の折目を構成して三行三列に区画し、一列目の二行と三行との間に切り込みを形成するものである。
【0010】
請求項3においては、請求項1又は請求項2に記載の祝儀袋において、前記袋体に、挟持片を形成して紙幣を挟持する紙幣台を挿入可能に構成したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施例に係る祝儀袋の全体的な構成を示した正面図である。
図2は祝儀袋の袋体の展開図、図3乃至図9は袋体の折り畳み工程を示す図である。図10は紙幣台に保持した紙幣を示す図、図11は祝儀袋の袋体に形成された袋を示す上面図、図12は祝儀袋の袋体に形成された袋に紙幣台を挿入した状態を示す上面図、図13は祝儀袋に紙幣を出し入れする様子を示す図である。
【0012】
図1に示す如く、本発明に係る祝儀袋1は、表に二色の配色が為されて意匠性の高い祝儀袋とされており、そして、水引5を祝儀袋1の袋体10の胴部から抜き外すこと無く、該祝儀袋1へ紙幣を挿脱可能としている。
なお、本発明に係る祝儀袋の構造は、祝儀袋に限定されるものではなく、紙幣等の金員を包む袋、例えば、金封、熨斗袋、不祝儀袋等にも応用される。
【0013】
図2に示す如く、祝儀袋1の袋体10を構成する源紙は、略矩形状であって、複数の切欠及び切り込みが形成された、一枚物の紙であり、表裏に異なる色が付されている。本実施例では、図2における紙面手前側を色面とし、該色面の裏面を白面とする。但し、紙の表裏面の意匠(色・模様)はこれに限定されるものではなく、所望に応じて変更することにより、様々な意匠の袋体10を形成することができる。
【0014】
ここでは、紙に形成される各折目によって三行三列の九つの区画に分け、それぞれ、図2に基づいて上下左右を設定し、上右区画11、上中区画12、上左区画13、中右区画14、中中区画15、中左区画16、下右区画17、下中区画18、下左区画19とする。折目は上下左右に二本ずつ設けており、上下略中央(若干下側)に左右方向の折目Lbを設け、上部から若干下側に左右方向の折目Lc・Lg・Lfを設け、左右略均等に上下方向の折目Ld・Leを形成している。こうして、前記中中区画15は紙幣3よりも一回り大きいように設計されて紙幣3を収納できるようにしている。中右区画14と下右区画17、中中区画15と下中区画18、中右区画14と下右区画17は、それぞれ略等しい上下左右方向長さに形成されている。
本実施例においては、図2紙面上左側から一列とし、同じく紙面上側から一行と表現する。例えば、中中区画15は二行二列目に位置することとなる。但し、本発明はこれらの表現に限定されるものではなく、図2に示す袋体10展開図は上下及び左右反転させることもでき、この場合、行列による表現は適宜変更されるものとする。
【0015】
次に、紙を折り畳んで袋体10とする手順に沿って、袋体10の構造について説明する。
【0016】
図3に示す如く、まず、中左区画16と中中区画15間に形成された折目Laを谷折りして、上左区画13と上中区画12とを重合するとともに、中左区画16と中中区画15とを重合する。
展開した状態において中左区画16と下左区画19、すなわち、一列二行目と一列三行目との間には、三角形の切欠24が形成されるとともに、中左区画16・中中区画15・下左区画19・下中区画18の接点まで連続する切り込み25が形成され、上左区画13と中左区画16は下左区画19を残した状態で他の部分と重合させることができるようにされている。
【0017】
次に、図4に示す如く、中中区画15と下中区画18、及び、中右区画14と下右区画17との間に形成された折目Lbを谷折りして、下中区画18、中中区画15及び中左区画16を重合するとともに、下右区画17と中右区画14を重合する。
この状態において、紙面手前側から見ると、下左区画19、下中区画18及び下右区画17が白面として表に現出し、上左区画13、上中区画12及び上右区画11が色面として表に現出している。
【0018】
続いて、図5に示す如く、上左区画13と中左区画16間に形成された折目Lcを谷折りして、紙面手前側から、上左区画13、下中区画18、中中区画15及び中左区画16を重合させる。
【0019】
続いて、図6に示す如く、下左区画19と下中区画18間に形成された折目Ldを谷折りして、下左区画19上に下中区画18を重合させ、さらに、中中区画15と中右区画14、及び、下右区画17と下中区画18間に形成された折目Leに沿って、中右区画14と下右区画17を重合した状態で、谷折りする。
【0020】
このとき、図7に示す如く、中右区画14と下右区画17との間に下左区画19を挿入する。展開した状態において中右区画14と下右区画17間には三角形状の切欠21が形成されており、下左区画19を中右区画14と下右区画17との間に挿入しやすい状態とするとともに、図8に示す如く、袋体10の表面において白面の下部形状に変化が付されて、意匠性が向上されている。
【0021】
そして、図9に示す如く、上右区画11と中右区画14との間に形成された折目Lfに沿って山折りし、上右区画11を中左区画16及び中右区画14と、中中区画15と間に折り込む。さらに、上中区画12と中中区画15との間に形成された折目Lgを山折りして、上中区画12を上右区画11と中中区画15との間に折り込む。上中区画12には、左右に切欠22・23が形成されて、紙が重合しがちである袋9内部に上中区画12の角が折れたり曲がったりすることなく折り込むことができるようにされている。
以上の折り畳み工程によって、袋体10が折り上げられる。この状態において、袋体10の表には白面の中右区画14と、色面の下左区画19が現出し、袋体10の裏には白面の中中区画15が現出している。
【0022】
最後に、袋体10の表の中右区画14に、熨斗6を接着したうえ、袋体10の胴部に水引5を巻着して、図1に示す祝儀袋1が完成する。なお、所望によって帯4を袋体10の表に接着することもできる。
上述の如く構成した祝儀袋1は、該祝儀袋1の表に、袋体10を構成する紙の表裏面である色面と白面とが現出した意匠性の高い祝儀袋1となり、また、紙が複数層に重合されて紙厚感が付され、祝儀・不祝儀袋として重厚感ある祝儀袋1とされている。さらに、祝儀袋1は袋状でありながら、紙幣3を畳んで包むという感覚を与えることができ、従来の紙幣3を包むという感覚を失うことない祝儀袋1とすることができる。
【0023】
次に、上述の如く折り上げた袋体10に紙幣3を挿入する。
図10に示す如く、袋体10に収納される紙幣3は、紙幣台2に保持されている。紙幣台2は、袋体10を構成する紙の中中区画15よりも幾分小さく、紙幣3より幾分大きい。そして、紙幣台2の長尺方向を上下とすると、上下にU字状の切り込みが形成されて、挟持片2a・2aが一体的に形成されており、該挟持片2a・2aと紙幣台2本体により紙幣3の長尺方向の端部を挟むことによって、紙幣台2に紙幣3が良好に保持されている。
【0024】
袋体10に紙幣3を挿入するときには、折り込まれている上中区画12と上右区画11を袋体10内部から引き出して折目Lf及び折目Lgを伸ばした状態とすると、図11及び図12に示す如く、袋体10を略上面から見ると、中中区画15、中左区画16及び下中区画18によって袋9が形成されている。該袋9内に、紙幣台2の紙幣3がある面が、中左区画16及び下中区画18側に面するようにして、紙幣台2を挿入する。
【0025】
続いて、上右区画11と中右区画14との間に形成された折目Lfに沿って山折りし、上右区画11を紙幣台2と中中区画15と間に折り込む。これにより、紙幣台2は上方への動きを規制されて、袋体10から抜け出ることのない状態となる。このようにして、袋体10をのり付けしなくとも、紙幣の脱落を防止することができるようにしている。
そして、紙幣3は紙幣台2に固定されることにより、紙幣3が折れたり皺寄ったりすることが無く、また、紙幣台2を厚紙で形成することにより祝儀袋1に程良い強さを付加することができる。さらに、袋体10の胴部が左右方向に縮められて袋体10の上部が開口しても、見えるのは中中区画15と紙幣台2であり、該紙幣台2によって紙幣3が隠蔽されている。
【0026】
なお、前述の袋体10の折り畳み工程において、紙幣台2を袋体10に収納することもできる。すなわち、紙幣台2を、袋体10が展開されている最初の状態において、中中区画15上に載置し、紙幣台2を組み込んだ状態で折り畳んでいったり、或いは、袋体10の折り畳み工程の後期において、折目Lfを折って上右区画11を袋9内部に折り込む前に紙幣台2を袋9に挿入したりすることもできる。
【0027】
一方、祝儀袋1から、該祝儀袋1に収納されている紙幣3を取り出すときには、図12に示す如く、折り込まれている上中区画12と上右区画11を袋体10内部から引き出して折目Lf及び折目Lgを伸ばし、中中区画15、中右区画14及び下中区画18により形成されている袋9を開口させた状態とし、紙幣台2とともに紙幣3を袋体10から取り出す。
【0028】
上述の如く、本発明に係る祝儀袋1では、袋の胴部に巻着されている水引5を脱着することなく、紙幣3を挿脱することができる。従って、祝儀袋1と水引5が、購入時の美しい状態が保持された状態で、祝儀袋1を相手に渡すことができる。
また、一度に多数開封する際には、従来の祝儀袋1の開封作業と比較して、水引5を脱着する作業を省くことができるので、早く処理できる。
さらに、祝儀袋1の袋体をのり付けによる封をしていないので、一旦紙幣3を該祝儀袋1に収納した後でも、確認等のために出し入れすることができ、また、開封作業時に早く処理することができる。
【0029】
なお、祝儀袋1を受け取った側は、従来の祝儀袋1を開くときと同様に、水引5を袋体10の胴部から抜き出して、袋体10を展開して、祝儀袋1に収納されている紙幣3を取り出すこともできる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0031】
即ち、請求項1に示す如く、一枚の略矩形状の打抜加工された源紙を袋状に折り畳んで形成した袋体と該袋体の胴部に巻着した水引で構成される祝儀袋において、源紙の表裏を異なる色で構成するとともに、源紙の上下略中央を左右方向の折り目で谷折して、続いて、上下方向の2本の折目で左区画、中区画および右区画の三列に区画された源紙を、前記上下方向の2本の折目を同じ側に折り込んで、上方を開口した袋体を構成し、前記源紙の左区画または右区画における前記左右方向の折り目の上側の区画と下側の区画との間には三角形状の切欠が形成され、前記源紙の前記切欠が形成された側とは反対側の左区画または右区画における左右方向の折り目部分には切り込みが形成されており、前記源紙を上下方向の2本の折目により折り込むときには、前記左区画および右区画のうち前記切欠が形成されていない側の区画は折り込み方向内側の源紙のみを折り込んで、前記切欠が形成されている側の区画における左右方向の折り目の上側の区画と下側の区画との間に挿入することで、源紙の裏の一部が表面に現出するので、表裏に異なる配色をした紙を使用すれば祝儀袋の表に二色が配置され意匠性が向上される。また、水引を外さずとも、袋体の上部より紙幣を挿脱することができる。
また、三角形状の切欠が形成されているので、源紙の前記左区画および右区画のうち前記切欠が形成されていない側の区画を、前記切欠が形成されている側の区画における左右方向の折り目の上側の区画と下側の区画との間に挿入する際に、挿入しやすい状態とするとともに、袋体の表面において形状に変化が付されて、意匠性が向上される。
【0032】
請求項2に示す如く、請求項1に記載の祝儀袋において、前記源紙を、縦二本、横二本の折目を構成して三行三列に区画し、一列目の二行と三行との間に切り込みを形成するので、一行三列目の表裏一面と、三行二列目の表裏他面とを祝儀袋の表に現出することができる。
【0033】
請求項3に示す如く、請求項1又は請求項2に記載の祝儀袋において、前記袋体に、挟持片を形成して紙幣を挟持する紙幣台を挿入可能に構成したので、紙幣が折れたり曲がったりすることなく良好に保持できるとともに、祝儀袋に程よい剛性を付加できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る祝儀袋の全体的な構成を示した正面図。
【図2】 祝儀袋の袋体の展開図。
【図3】 袋体の折り畳み工程を示す図。
【図4】 袋体の折り畳み工程を示す図。
【図5】 袋体の折り畳み工程を示す図。
【図6】 袋体の折り畳み工程を示す図。
【図7】 袋体の折り畳み工程を示す図。
【図8】 袋体の折り畳み工程を示す図。
【図9】 袋体の折り畳み工程を示す図。
【図10】 紙幣台に保持した紙幣を示す図。
【図11】 祝儀袋の袋体に形成された袋を示す上面図。
【図12】 祝儀袋の袋体に形成された袋に紙幣台を挿入した状態を示す上面図。
【図13】 祝儀袋に紙幣を出し入れする様子を示す図。
【符号の説明】
1 祝儀袋
2 紙幣台
2a 挟持片
3 紙幣
5 水引
10 袋体
16 中左区画(一列二行目)
19 下左区画(一列三行目)
25 切り込み
Claims (3)
- 一枚の略矩形状の打抜加工された源紙を袋状に折り畳んで形成した袋体と該袋体の胴部に巻着した水引で構成される祝儀袋において、
源紙の表裏を異なる色で構成するとともに、
源紙の上下略中央を左右方向の折り目で谷折して、続いて、上下方向の2本の折目で左区画、中区画および右区画の三列に区画された源紙を、前記上下方向の2本の折目を同じ側に折り込んで、上方を開口した袋体を構成し、
前記源紙の左区画または右区画における前記左右方向の折り目の上側の区画と下側の区画との間には三角形状の切欠が形成され、
前記源紙の前記切欠が形成された側とは反対側の左区画または右区画における左右方向の折り目部分には切り込みが形成されており、
前記源紙を上下方向の2本の折目により折り込むときには、前記左区画および右区画のうち前記切欠が形成されていない側の区画は折り込み方向内側の源紙のみを折り込んで、前記切欠が形成されている側の区画における左右方向の折り目の上側の区画と下側の区画との間に挿入することで、源紙の裏の一部が表面に現出する、
ことを特徴とする祝儀袋。 - 請求項1に記載の祝儀袋において、
前記源紙を、縦二本、横二本の折目を構成して三行三列に区画し、一列目の二行と三行との間に切り込みを形成することを特徴とする祝儀袋。 - 請求項1又は請求項2に記載の祝儀袋において、
前記袋体に、挟持片を形成して紙幣を挟持する紙幣台を挿入可能に構成したことを特徴とする祝儀袋。
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