JP4275987B2 - 電子時計のムーブメント構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子時計の変換部及び輪列駆動部の支持方法に関し、支持方法の基礎部材の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子時計の変換部であるコイル、ステータ、ロータは、同一部材で位置固定を行なっている。しかし変換部には、静止部材であるコイル、ステータと動作部材である高速回転を行なうロータとで構成されている為、本来、静止部材と動作部材である高速回転のロータとは適材の材質で位置固定する事が望ましい。よって、静止部材とロータを同一部材で位置固定を行うが該ロータの軸受けのみ貴石等を用いて異なる部材で行う場合が多々ある。(例えば、特許参考文献1参照。)。
【0003】
また、ロータばかりではなく回転を行う中間車及び指針車等の輪列駆動部の位置決め固定を行う部材は、電子時計のムーブメントを構成する他の静止部材と同一である事が多い。前記輪列駆動部も本来ロータ同様、静止部材とは異なる材質で位置固定される事が望ましい。
【0004】
上述から電子時計のムーブメントの外形形状をなし且つ構成部品を保持する基礎部材の材質は、静止部材の位置固定であれば考慮しないが、高速回転を行なうロータ及び輪列駆動部の位置固定を行なう為の耐摩耗性や潤滑油との相性等を考慮した材質を用いている。
【0005】
または、ロータ及び輪列駆動部のみ位置固定する軸受けに基礎部材の材質とは異なる貴石や金属を基礎部材に埋め込む事で対応している。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−258786号公報 (図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、基礎部材に支持される多くの静止部材は、耐摩耗性向上等の材質は不要であり位置固定が行われれば安価な材質でよい。しかし、基礎部材のほんの一部であるロータ及び輪列駆動部を支持する為に限られた材質を使用する事は、安価な材質を選択出来ない欠点を有していた。また、ロータ及び輪列駆動部のみ位置固定する軸受けに基礎部材の材質とは異なる貴石や金属を基礎部材に埋め込む事も基礎部材に安価な材質を用いても作業工程からして決して安くはならない。
【0008】
本発明の目的は、上述のような欠点を解消しムーブメントの基礎部材を静止部材と動作部材である高速回転のロータ及び輪列駆動部とは適材の材質で位置固定する事を提供することである。詳しくは、静止部材を位置固定する基礎部材と動作部材である高速回転のロータ及び輪列駆動部とを位置固定する輪列基礎部材から成る電子時計のムーブメント構造を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明の電子時計のムーブメント構造は、電気信号を回転運動に変換するコイル、ステータ及びロータから成る変換部と、該変換部の中の前記ロータの回転を伝達する中間車該中間車と噛合い且つ指針を設ける指針車とを有する輪列駆動部と、ムーブメントの外形形状をなし且つ構成部品を保持する樹脂部材で成形された基礎部材から成る電子時計において、前記変換部の中のロータと前記中間車と前記指針車により動作部材を構成し、また、前記ムーブメントの構成部品を成す前記変換部の中のコイルやステータなどにより静止部材を構成し、更に前記動作部材を位置決め固定するために金属部材で形成した輪列基礎部材を有しており、前記基礎部材には前記輪列基礎部材を位置決め固定するための位置決め固定部を設け、前記輪列基礎部材を前記基礎部材の位置決め固定部に固定した事を特徴とする。
【0012】
また、前記輪列基礎部材は、前記動作部材の高さ位置を調整するための曲げ部が形成されている事を特徴としている。
【0014】
さらに、前記位置決め固定部は前記基礎部材に形成した突起であり、前記輪列基礎部材の穴と係合することによって、前記輪列基礎部材は位置決め固定される事を特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。
図1は本発明の実施の形態を示す電子時計のムーブメントを裏蓋側からみた平面図、図2は本発明の実施の形態を示す電子時計のムーブメントの構成部品である輪列基礎部材の平面図、図3は本発明の実施の形態を示す電子時計のムーブメントの構成部品である輪列基礎部材にロータ及び輪列駆動部を配置した平面図、図4は本発明の実施の形態を示す電子時計のムーブメントの構成部品である基礎部材にコイル及びステータを配置した平面図、図5は本発明の実施の形態を示す電子時計のムーブメントの構成部品である基礎部材に輪列基礎部材、変換部、輪列駆動部を配置した平面図、図6は本発明の実施の形態を示す電子時計のムーブメント図1記載のA−A部の断面図である。
【0016】
図1において、1は電子時計のムーブメント、2はムーブメント1の外形形状及び構成部品を保持する基礎部材であるプレートである。
【0017】
図2において、3は本発明の重要な部材である輪列基礎部材である輪列下受であり、ムーブメント1の構成部品のうち回転運動を行う後述するロータ4及び輪列駆動部の位置固定を行うロータ下穴3a、五番下穴3b、中心穴3c、三番下穴3d、日の裏下穴3eを設けている。またロータ下穴3aと五番下穴3bの高さは異なる為曲げ部3fを設けている。更にロータ下穴3aと五番下穴3bの間に後述するステータ5が配置される所に穴3gを設けている。輪列下受3は、図4にて後述するムーブメント1の基礎部材となるプレート2にある突起2c及び2dに挿入する事でプレート2と位置固定が出来る穴3h及び3kを設けている。
【0018】
図3において、4はロータ、7は五番車、8は四番車、9は三番車、10は日の裏車であり輪列下受3はロータ4及び輪列駆動部のみを位置固定する事がわかる。なお、五番車7、三番車9、日の裏車10は中間車である。また四番車8は指針車である。
【0019】
図4において、5はステータ、6はコイルであり、共にプレート2に設けられたチューブ2a及び2bにより位置固定されている。プレート2には突起2c及び2dが設けられ前記輪列下受3の穴3h及び3kに入り込む。
【0020】
図5及び図6を用いて本発明の電子時計のムーブメント構造の特徴である基礎部材部であるプレート2と輪列基礎部材である輪列下受3の関係について説明する。図5及び図6において、ムーブメント1の静止部材の殆どを支持するプレート2に対して回転運動を行なう輪列駆動部を支持する輪列下受3は必要な部分のみ配されている事が分かる。これで、ムーブメント1の静止部材を支持する基礎部材と回転運動を支持する輪列支持部材とは完全に独立され各々の適正に併せた材質を選ぶ事が出来る。
【0021】
また、多くの電子時計のムーブメントで見られるロータ4と五番車7の軸受け部の高さが異なる事は、輪列支持部材である輪列下受3金属部材であっても曲げ部3f(図2参照)を設ける事で安価な輪列支持部材を提供する事が出来る。更に、ロータ4と五番車7との間にはステータ5が配置される事が必須である事から、曲げ部3fでなく穴3gを設ける事でステータ5形状に影響されず輪列下受3にロータ下穴3aを配置する事が出来る。
【0022】
以上のように本発明によれば、電子時計のムーブメントの変換部において、静止部材であるコイル、ステータと高速回転を行うロータに各々適材の材質により位置固定を行う事が可能である。また、ロータばかりではなく輪列駆動部をも含め一体化した輪列基礎部材を導入する事でムーブメントの静止部材と回転駆動部材とで完全に切り離す事が出来、互いの性能を干渉せず容易に各々に適材した材質に特化できる事となる。
【0023】
よって多くの静止部材を支持する基礎部材は、耐摩耗性向上等の材質特性が不要になり位置固定が可能なより安価な材質を選択できる。またロータ及び輪列駆動部を支持する輪列支持部材を一体化する事で、ロータや輪列駆動部各所に基礎部材の材質とは異なる貴石や金属を基礎部材に埋め込む事も不要であり安価な組込作業が可能となる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、静止部材あるいは動作部材を位置固定する基礎部材を異なる材質とした事で、各々の基礎部材を完全に切り離す事が出来ることにより全体のコストダウンを図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す電子時計のムーブメントを裏蓋側からみた平面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す電子時計のムーブメントの構成部品である輪列基礎部材の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す電子時計のムーブメントの構成部品である輪列基礎部材にロータ及び輪列駆動部を配置した平面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す電子時計のムーブメントの構成部品である基礎部材にコイル及びステータを配置した平面図である。
【図5】本発明の実施の形態を示す電子時計のムーブメントの構成部品である基礎部材に輪列基礎部材、変換部、輪列駆動部を配置した平面図である。
【図6】本発明の実施の形態を示す電子時計のムーブメントである図1記載のA−A部の断面図である。
【符号の説明】
1 ムーブメント
2 プレート
3 輪列下受
3f 曲げ部
3g 穴
4 ロータ
5 ステータ
6 コイル
7 五番車
8 四番車
9 三番車
10 日の裏車

Claims (3)

  1. 電気信号を回転運動に変換するコイル、ステータ及びロータから成る変換部と、該変換部の中の前記ロータの回転を伝達する中間車該中間車と噛合い且つ指針を設ける指針車とを有する輪列駆動部と、ムーブメントの外形形状をなし且つ構成部品を保持する樹脂部材で成形された基礎部材から成る電子時計において、
    前記変換部の中のロータと前記中間車と前記指針車により動作部材を構成し、また、前記ムーブメントの構成部品を成す前記変換部の中のコイルやステータなどにより静止部材を構成し、更に前記動作部材を位置決め固定するために金属部材で形成した輪列基礎部材を有しており、前記基礎部材には前記輪列基礎部材を位置決め固定するための位置決め固定部を設け、前記輪列基礎部材を前記基礎部材の位置決め固定部に固定した事を特徴とする電子時計のムーブメント構造。
  2. 前記輪列基礎部材は、前記動作部材の高さ位置を調整するための曲げ部が形成されている事を特徴とする請求項1記載の電子時計のムーブメント構造。
  3. 前記位置決め固定部は前記基礎部材に形成した突起であり、前記輪列基礎部材の穴と係合することによって、前記輪列基礎部材は位置決め固定される事を特徴とする請求項1記載の電子時計のムーブメント構造。
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