JP4275424B2 - 高張力溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法、並びに高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

高張力溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法、並びに高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高張力溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法、並びに高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法に関し、特に、Si、Mn、Pなどの固溶強化元素の含有量が高い高張力鋼板への不めっきの発生を抑制するために有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の衝突安全性の向上及び地球環境保全における観点から、燃費改善のための軽量化を目的として、自動車鋼板への高張力溶融亜鉛めっき鋼板の適用が広く検討されている。
この高張力鋼板亜鉛めっき鋼板とは、Si、Mn、Pなどの固溶強化元素を多々含む高張力鋼板を下地鋼板とし、この下地鋼板に溶融亜鉛めっきを施すことで形成されてなるものであり、高強度・高加工性を有している。
【0003】
しかしながら、上記高張力鋼板に強度向上のために添加される上記固溶強化元素の添加量が増大すると、連続溶融亜鉛めっきライン(CGL:Continuous Galvanizing Line)にてめっき処理を行う前の焼鈍処理工程において、鋼板表面に固溶強化元素であるSiやMnなどの濃化層が生成されてしまう恐れがあった。この濃化層は、Feを還元させるための還元性雰囲気が、鋼板中に存在するSi、Mnなどにとっては酸化性雰囲気であることにより選択酸化され、鋼板表面にこれらの酸化物を蓄積させてしまうことで形成される。
【0004】
このような濃化層が鋼板表面に形成されてしまうと、鋼板と溶融亜鉛との濡れ性が著しく低下するため、めっき性が低下するとともに、特に、SiやMnの含有量が高い高張力鋼板の場合には、部分的にめっきがなされない、いわゆる不めっきが発生するという問題があった。
このような問題を解決するために、めっき処理における加熱に先立ち、高酸素分圧下で鋼板を強制的に酸化した後に還元することで、めっき性を向上させる手段が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、強酸化雰囲気中で加熱処理する前の鋼板にショットブラスト処理を施すことによって、めっき性を向上させる手段が提案されている(例えば、特許文献2)。
さらに、めっき処理を施す前にプレめっきを施すことで、めっき性を向上させる手段が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
さらに、下地鋼板となる高張力鋼板へのSi、Mn、及びPの添加量を最適化することで、めっき性を向上させる手段が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
さらに、めっき処理を施す前に再結晶焼鈍を施して、予め表面酸化物を生成しておき、この表面酸化物を酸洗除去した後、溶融亜鉛めっきを行うことで、めっき性を向上させる手段が提案されている(例えば、特許文献5及び特許文献6参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭55−1212865号公報
【特許文献2】
特開平6−158254号公報
【特許文献3】
特開昭58−104163号公報
【特許文献4】
特開平6−287684号公報
【特許文献5】
特開平7−70723号公報
【特許文献6】
特開平8−85858号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特許文献1で提案された手段においては、強制酸化における濃化層の制御が十分行われないという課題が未だ未解決のままであった。また、特に、Si濃度が0.5質量%以上含まれるような鋼中成分条件やめっき処理条件によっては、安定なめっきを確保することが困難であるという不具合があった。
【0009】
また、上述の特許文献2で提案された手段においては、高い濃度のSiを含む場合には、安定しためっきを確保することが困難であるという不具合があった。
さらに、上述の特許文献3で提案された手段においては、めっき処理を行うための設備や運転にかかるコストが増大してしまい、製造単価の上昇を招いてしまうという不具合があった。
【0010】
さらに、上述の特許文献4乃至特許文献6で提案された手段においては、Si含有量が高い鋼種では不めっきの発生を完全に防止できないという不具合があった。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特に、SiやMnなど固溶強化元素の含有量が高い高張力鋼板を下地鋼板とする場合であっても、不めっきを発生させることなく、めっき性の向上を可能とした高張力溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法、並びに高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法を提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、種々検討を重ねた結果、鋼板表層部に形成される酸化層を、微細析出物を分散させた領域を存在させるとともに、粒界酸化物或いは粒内酸化物を含んで構成することで、めっき処理前の焼鈍処理において、鋼板内部からのSiやMnの拡散を阻害し、鋼板表面への濃化層生成を妨げることが可能となり、不めっき発生のない高張力溶融亜鉛めっき鋼板を提供できることを見いだした。
【0012】
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものである
本発明の方法で得られる高張力溶融亜鉛めっき鋼板は、高張力鋼板からなる下地鋼板に、溶融亜鉛めっきを施してなる高張力溶融亜鉛めっき鋼板において、前記高張力鋼板が、C:0.001〜0.20質量%、Si:0.10〜2.00質量%、Mn:1.00〜3.00質量%、Nb及びTiから選択される1種又は2種以上:0.01〜0.50質量%、Mo:0.01〜1.00質量%、残部:Fe及び不可避的不純物から構成されているとともに、前記下地鋼板には、前記溶融亜鉛めっきと前記下地鋼板とが接する表層部に、粒界酸化物或いは粒内酸化物を含む酸化層が形成され、さらに、前記酸化層に直径20nm以下のNb−Mo系或いはTi−Mo系析出物が1個/μm3 以上分散されていることを特徴としている。
【0013】
また、前記高張力溶融亜鉛めっき鋼板、酸化層に、直径20nm以下のNb−Mo系或いはTi−Mo系析出物が10個/μm3 以上分散されていることが好ましい。
前記高張力溶融亜鉛めっき鋼板を、さらに合金化することで高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板が形成される。
【0014】
本発明における高張力溶融亜鉛めっき鋼板の第一の製造方法は、高張力鋼板からなる下地鋼板に、溶融亜鉛めっきを施してなる高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記下地鋼板が、C:0.001〜0.20質量%、Si:0.10〜2.00質量%、Mn:1.00〜3.00質量%、Nb及びTiから選択される1種又は2種以上:0.01〜0.50質量%、Mo:0.01〜1.00質量%、残部:Fe及び不可避的不純物から構成される高張力鋼板であり、前記下地鋼板に、圧下率50〜85%の条件下で冷間圧延処理を行う工程と、この冷間圧延処理後の鋼板に、還元性雰囲気下で再結晶温度に1〜120秒保持する再結晶焼鈍処理を行った後に冷却する工程と、この冷却後の鋼板を酸洗処理する工程と、この酸洗処理後の鋼板に還元性雰囲気でめっき処理前焼鈍処理を行う工程と、このめっき処理前焼鈍処理後の鋼板に溶融亜鉛めっきを行う工程と、を含むことをことを特徴としている。
【0015】
本発明における高張力溶融亜鉛めっき鋼板の第二の製造方法は、高張力鋼板からなる下地鋼板に、溶融亜鉛めっきを施してなる高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、 前記下地鋼板が、C:0.001〜0.20質量%、Si:0.10〜2.00質量%、Mn:1.00〜3.00質量%、Nb及びTiから選択される1種又は2種以上:0.01〜0.50質量%、Mo:0.01〜1.00質量%、残部:Fe及び不可避的不純物から構成される高張力鋼板であり、前記下地鋼板に、ショットブラスト処理を施す工程と、前記ショットブラスト処理後の下地鋼板に、圧下率30〜85%の条件下で冷間圧延処理を施す工程と、この冷間圧延処理後の鋼板に、還元性雰囲気下で再結晶温度に1〜120秒保持する再結晶焼鈍処理を行った後に冷却する工程と、この冷却後の鋼板を酸洗処理する工程と、この酸洗処理後の鋼板に還元性雰囲気でめっき処理前焼鈍処理を行う工程と、このめっき処理前焼鈍処理後の鋼板に溶融亜鉛めっきを行う工程と、を含むことを特徴としている。
本発明における高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、本発明における高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法によって溶融亜鉛めっきが施された前記下地鋼板に、さらに合金化処理を行う工程を含むことを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明における高張力溶融亜鉛めっき鋼板によれば、高張力鋼板における溶融亜鉛めっきとの界面近傍に、Nb−Mo系或いはTi−Mo系析出物を分散させ、Si−Mn系の粒界酸化物或いはSi−Mn系の粒内酸化物を含む酸化層を形成させたことによって、めっき前の焼鈍工程における高張力鋼板表面へのSiやMnの拡散を阻害するため、高張力鋼板表面への濃化層生成を抑制することが可能となる。すなわち、粒界酸化物或いは粒内酸化物としてSiやMnを固定して拡散させないとともに、粒界及び粒内に頻度高く存在するこれら酸化物が、750℃以上となる焼鈍においても鋼板内部からのSiやMnの移動の障壁となって、SiやMnの拡散を抑制するためである。よって、SiやMnなどの固溶強化元素を多々含んだ高張力鋼板であっても、不めっきの発生を抑制し、めっき性を向上させることが可能となるため、高強度・高加工性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板を提供することができる。
【0017】
本発明における高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板によれば、本発明における高張力溶融亜鉛めっき鋼板と同様の効果を得ることができる。
本発明における高張力溶融亜鉛めっき鋼板の第一及び第二の製造方法によれば、本発明における高張力溶融亜鉛めっき鋼板を、容易に実現することができる。
特に、本発明における高張力溶融亜鉛めっき鋼板の第二の製造方法によれば、下地鋼板に、ショットブラスト処理を施したことによって、酸化層が形成される下地鋼板の表層部に局所的に歪みを導入することが可能となる。このため、冷間圧延処理を圧下率30%程度の条件下で行っても、下地鋼板の表面に形成されるSiやMnなどからなる濃化層を、Mn/Si比やMn+Siの全体量が減少する方向に変化させることが可能となる。
【0018】
本発明における高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法によれば、本発明における高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を容易に実現することができる。
以下、本発明における各数値限定の臨界的意義について説明する。
〔下地鋼板となる高張力鋼板のC含有量:0.001〜0.20質量%〕
C(炭素)は、低温で生成するマルテンサイト相或いはベイナイト相の生成や、Ti(チタン)やNb(ニオブ)の炭化物を析出させることで、強度を向上させることを可能としている。しかし、Cを過剰に添加してしまうと、スポット溶接性が劣化するため、その上限は0.20質量%とすることが望ましい。一方、製造コストなどを考慮して、その下限は0.001質量%とすることが望ましい。
【0019】
〔下地鋼板となる高張力鋼板のSi含有量:0.10〜2.00質量%〕
Si(ケイ素)は、固溶強化を行うとともに、フェライト相中の固溶C量を減少させることで、加工性を向上させることを可能としている。よって、高強度・高加工性の高張力冷延鋼板には必須の元素であり、これらの特性を得るために、その下限は0.1.質量%とすることが望ましい。一方、Siを過剰に添加してしまうと、加工性の阻害してしまうとともに、溶融亜鉛めっき処理前の酸洗処理でSi酸化物が多量に残留して不めっきが発生するため、その上限は2.00質量%とすることが望ましい。
【0020】
〔下地鋼板となる高張力鋼板のMn含有量:1.00〜3.00質量%〕
Mn(マンガン)は、焼入れ性に寄与し、マルテンサイト相を生成させることで、強度を向上させることを可能としており、高強度の高張力鋼板とするために必須の元素である。ここで、1.00質量%未満の添加では、その効果が認められないため、その下限を1.00質量%としている。なお、MnとSiとの組成比(Mn/Si)は、還元性雰囲気中で焼鈍する場合に生成する濃化層の形態を左右する要因となる。つまり、濃化層がSiO2 であると酸洗処理で除去しにくく、濃化層がMn−Si系又はMn系であると比較的酸洗処理で除去しやすくなるため、Mn/Siを高くすることが望ましい。しかし、Mnの添加物量が3.00質量%を超えると、過度に硬化し延性を劣化させるとともに、スポット溶接性及びめっき性を著しく損なう結果となるため、その上限は3.00質量%とすることが望ましい。
【0021】
〔下地鋼板となる高張力鋼板のNb或いはTiの含有量:0.01〜0.50質量%〕
Nb及びTiは、いずれも微細な炭化物を形成する元素であり、再結晶時に結晶の粗大化を防ぎ、微細な結晶組織とするとともに、再結晶温度を上昇させることを可能としている。そして、再結晶焼鈍処理後の高張力鋼板の表面層に、緻密な粒界酸化物を多々含む内部酸化層の発達に寄与し、高張力鋼板のめっき性を向上させることを可能としている。この微細な炭化物が緻密な内部酸化層形成に寄与する機構は、次のように考えられる。微細な炭化物は、前述のように再結晶温度を上昇させるという働きがある上、鋼の強度を向上させるために、同じ圧下率であれば冷間圧延処理後の鋼板表層にはより多くの歪みを導入できる効果がある。焼鈍工程の加熱過程における表層の変化を考えると、微細炭化物が少ない場合は、再結晶が進んだ後内部酸化層形成が進むのに対し、微細炭化物が多い場合は、この微細炭化物により再結晶温度が上昇し、表層の再結晶が終わらないうちに内部酸化が進行し、加えて表層の局所的歪みが多いことから、より酸素が内部に拡散しやすくなって緻密な内部酸化層が形成されると考えられる。上記効果を得るためには、Nb及びTiいずれの元素であっても0.01質量%以上の添加が必要であるため、その下限を0.01質量%とすることが望ましい。一方、これらの元素が0.50質量%を超えて多量に添加されると、加工性やスポット溶接性が低下するので、その上限を0.50質量%とすることが望ましい。
【0022】
〔下地鋼板となる高張力鋼板のMo含有量:0.01〜1.00質量%〕
Mo(モリブデン)は、Nb或いはTiと複合添加させることで、これらNbーMo或いはTi−Mo系析出物のサイズを微細化することが可能となる。例えば、0.05質量%Nb添加材と、0.05質量%Nb−0.30質量%Mo複合添加材との析出物の大きさを比較すると、前者の大きさが20〜50nmであるのに対し、後者の大きさが10nm以下の析出物を形成することができる。このように、高張力鋼板の表層面に微細な析出物を分散させること、また、固溶したMoが再結晶を抑制する効果を有することにより、高張力鋼板におけるめっき性を向上させることを可能としている。上記効果を発現させるために、その下限は0.01質量%とすることが望ましい。一方、Moの添加量が1.00質量%を超えると、熱間圧延処理後の高張力鋼板における表面性状が良好ではなくなるため、その上限は1.00質量%とすることが望ましい。
【0023】
〔溶融亜鉛めっきと下地鋼板とが接する表層部に形成された酸化層に分散されるNb−Mo系或いはTi−Mo系析出物:直径20μm以下で、1個/μm3 以上〕
下地鋼板となる高張力鋼板を上述したような構成材料から形成することによって、下地鋼板における表層部には、粒界酸化物或いは緻密に存在する粒内酸化物からなる酸化層が形成される。この酸化層内には、Nb−Mo系或いはTi−Mo系の析出物が分散された状態となる。このNb−Mo系或いはTi−Mo系析出物の直径サイズを20μm以下、その密度1個/μm3 とすることで、高張力鋼板のめっき性を向上させることが可能となる。また、その中でもこの直径20μm以下のNb−Mo系或いはTi−Mo系の析出物が10個/μm3 分散されている場合には、高張力鋼板のめっき性をさらに向上させることが可能となる。
【0024】
さらに、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の高張力溶融亜鉛めっき鋼板の一構成例を示す断面図である。
本実施形態における高張力溶融亜鉛めっき鋼板10は、下地鋼板となる高張力鋼板1の一面に、溶融亜鉛めっき2が施されており、この溶融亜鉛めっき2と接する高張力鋼板(下地鋼板)1の表層部には、酸化層3が形成されている。
【0025】
高張力鋼板1は、C:0.001〜0.20質量%、Si:0.10〜2.00質量%、Mn:1.00〜3.00質量%、Nb及びTiから選択される1種又は2種以上:0.01〜0.50質量%、Mo:0.01〜1.00質量%、残部:Fe及び不可避的不純物から構成されている。
ここで、高張力鋼板1の構成材料として、Cを0.001〜0.20質量%含んだことによって、TiやNbの炭化物を析出させることができるため、高強度を実現させることが可能となる。また、Siを0.10〜2.00質量%含んだことによって、高強度・高加工性を向上させることが可能となる。さらに、Mnを1.00〜3.00質量%含んだことによって、高強度を実現させることが可能となる。なお、MnとSiとの組成比(Mn/Si)は、還元性雰囲気下で焼鈍処理する際に高張力鋼板1表面に、酸洗処理に有利なMn−Si系或いはMn系の濃化層を生成するため、Mn/Siをより高くすることが望ましい。さらに、Nb或いはTiを0.01〜0.50質量%含んだことによって、高張力鋼板1の表層部に後述して詳細を述べる酸化層3を形成させることが可能となり、めっき性を向上させることが可能となる。さらに、Moを0.01〜1.00質量%含んだことによって、NbやTiと複合添加することにより、 後述する20nm以下の微細な析出物を析出させることが可能となる。
【0026】
酸化層3は、高張力鋼板(下地鋼板)1の表面から内部に10μm程度まで入り込んだ範囲の表層部に形成され、高張力鋼板1を構成する多結晶固体の各結晶界面(粒界)に酸化物を有する粒界酸化物或いは緻密に存在する粒内酸化物を多く含んだ緻密な構造を有している。また、めっき界面から10μmまでの深さの領域には、図4に示すような直径20nm以下であるNb−Mo系或いはTi−Mo系析出物3aが、1個/μm3 以上分散した領域が存在する。また、さらにめっき性に優れる場合には、前述の直径20nm以下であるNb−Mo系或いはTi−Mo系析出物3aが、10個/μm3 以上分散した領域が存在する。
【0027】
次に、本発明における高張力溶融亜鉛めっき鋼板10の製造方法について、説明する。
まず、下地鋼板となる高張力鋼板を形成する溶鋼を、C:0.001〜0.20質量%、Si:0.10〜2.00質量%、Mn:1.00〜3.00質量%、Nb及びTiから選択される1種又は2種以上:0.01〜0.50質量%、Mo:0.01〜1.00質量%、残部:Fe及び不可避的不純物から構成する。そして、上記好適成分組成に調整した溶鋼をスラブに形成しておく。
【0028】
次に、このスラブに、熱間圧延処理を行う。ここで、NbーMo系或いはTiーMo系析出物を微細に析出させるために、比較的高温、好ましくは1100℃以上のスラブ加熱温度で熱間圧延処理を行うようにすることが望ましい。
次いで、この熱間圧延処理後の鋼板に酸洗処理を行い、熱間圧延処理によって鋼板の表面に形成された金属酸化物の被膜(スケール)を除去する。
【0029】
次いで、この鋼板に、冷間圧延処理を行う。ここで、冷間圧延処理における圧下率は、50%以上とすることが好ましい。これは、50%未満であると、鋼板表面に付与される表面歪み量が少ないため、焼鈍過程において、圧下率が高い場合に比べて酸素の拡散が減少して内部酸化量が少なくなり、結果的に表面濃化の抑制量が減少してめっき性向上の効果が小さくなるためである。一方、鋼板に、この冷間圧延処理の前工程でショットブラスト処理が施されている場合には、すでに表層部に局所的歪みが形成されているため、圧下率は30%未満であっても、圧下率50%以上とした場合と同様のめっき性向上の効果を得ることができる。なお、圧下率の上限は、工業的に高張力鋼板を製造する場合を考慮して、いずれの場合であっても85%としている。また、このショットブラスト処理は、酸洗処理前に行っても構わないが、鋼板表面に歪みを付与することを考慮した場合に、酸洗処理後に行うことがより効果的である。さらに、ショットブラスト処理は、表面歪み800N/m2 ・min以上がめっき性確保の点から好ましい。
【0030】
次いで、還元性雰囲気下で再結晶焼鈍処理を行う。具体的には、再結晶温度:Ac1 (加熱時、オーステナイトが生成し始める温度)〜Ac3 (加熱時、フェライトがオーステナイトへの変態を完了する温度)+50℃、露点:−45〜0℃、雰囲気ガス:Ar、N2 、H2 の単独或いは混合ガスの条件下で行う。そして、再結晶温度に1〜120秒保持した後、40〜100/sの速度で急冷し、マルテンサイト組織を生成するようにすることが望ましい。このとき、図2に示すように、下地鋼板の表層部には、粒界酸化物或いは粒内酸化物が形成されるとともに、鋼板の表面にはMn−Si系或いはMn系の濃化層が生成される。また、この濃化層の直下に存在する鋼板表面から0.3μm内部に入り込んだ領域は、Si、Mnの濃度が減少した層(Si、Mn濃度減少層)となっている。
【0031】
次いで、この冷間圧延処理後の鋼板に、酸洗処理を行い、再結晶焼鈍処理によって鋼板の表面に成されたMn−Si系或いはMn系の濃化層を除去する。ここで、この濃化層直下のSi、Mn濃度減少領域は必要以上に溶解しないようにすることが好ましい。酸洗液としては、1〜20質量%の塩酸を用いることが好ましく、酸洗処理時間は1〜20秒とすることが好ましい。
【0032】
次いで、溶融めっき前の焼鈍処理を行う。具体的には、Ac1 〜Ac3 のフェライト(α)+オーステナイト(γ)二相領域に加熱処理を行い、α相から炭素を排出させることによってα相自身の延性を向上させるとともに、γ相中の炭素濃度を濃縮させることによってMs点(冷却の間にオーステナイトがマルテンサイトに変態し始める温度)を低下させ、残留γ相を生成させることができるため、加工性を向上させることが可能となる。また、上記加熱処理に限らず、二相領域で焼鈍処理を施した後、さらにAr1 (冷却時、オーステナイトがフェライト又はフェライト+セメンタイトへの変態を完了する温度)以下の低温で保持し、一部にベイナイト変態を起こさせ、結晶粒を微細化するための加熱処理を行ってもよい。この熱処理温度として、650℃以下では鋼板表面が活性化しないため、650℃以上で行うことが望ましい。
【0033】
なお、上記いずれの加熱処理においても、 鋼板表面は酸化してめっき性を損なうため、露点−10℃以下の条件のもと、Ar、N2 、H2 の単独或いはこれらの混合ガスによって還元焼鈍を行うようにする。この処理工程において、下地鋼板としての高張力鋼板1を完成させる。
次いで、高張力鋼板1を下地鋼板として、この高張力鋼板1に溶融めっき処理を施す。この溶融めっき処理の処理条件としては、いずれの条件でも構わないが、好ましくは、浸入板温:450〜500℃、浴温:440〜500℃、溶解Al(アルミニウム)濃度:0.10〜0.24質量%程度の溶融亜鉛めっき浴に浸すのがよい。この処理工程において、下地鋼板として高張力鋼板に、溶融亜鉛めっきが施された高張力溶融亜鉛めっき鋼板10を完成させる。ここで、図3に示すように、溶融めっき処理の施された高張力鋼板1は、下地鋼板の表層部に、粒界酸化物或いは粒内酸化物を含んだ酸化層3が形成されていることが分かる。
【0034】
そして、上記工程で形成された高張力溶融亜鉛めっき鋼板10に、さらに加熱合金化処理を行うことで、高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板(図示せず)を完成させることもできる。
上記構成の高張力溶融亜鉛めっき鋼板10及び高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板によれば、高張力鋼板1における溶融めっき2と接する表層部に粒界酸化物或いは粒内酸化物を含む酸化層3が形成され、且つ、この酸化層3内に、Nb−Mo系或いはTi−Mo系析出物3aを分散させたことによって、めっき前の焼鈍工程における高張力鋼板1表面へのSiやMnの拡散を阻害するため、高張力鋼板1表面への濃化層生成を抑制することが可能となる。よって、SiやMnなどの固溶強化元素を多々含んだ高張力鋼板1であっても、不めっきの発生を抑制し、めっき性を向上させることが可能となるため、高強度・高加工性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板10及び高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することができる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明の高張力溶融亜鉛めっき鋼板10及び高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、その比較例とにおけるめっき性を調査した結果について説明する。
表1は、本発明における試験試料A〜Dと、比較例における試験試料E〜Hとの成分組成を示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004275424
【0037】
表2は、表1に示した成分組成からなる試験試料への実験条件及びその結果を示す。
ここで、試験試料は、以下のように製造した。
まず、表1の成分組成からなるスラブを1200℃に加熱して熱間圧延処理を行い、50℃、5質量%塩酸で40秒の酸洗処理を行った。ここで、ショットブラスト処理が施される試験鋼板には、0.3mm径の鋼球を用いて密度900N/m2 ・minの条件下で処理を行った後、表2に示した各圧下率で、冷間圧延処理を行った。そして、再結晶焼鈍処理は、露点−30℃、5体積%H2 ー95体積%N2 の混合ガス雰囲気中で、850℃×60秒の焼鈍処理を行った。その後の酸洗処理は、60℃、5質量%塩酸で、浸漬5秒とした。
【0038】
次に、めっき処理前焼鈍処理は、露点−40℃、7体積%H2 ー93体積%N2 %の混合ガス雰囲気中で、750℃×40秒のめっき処理前焼鈍処理を行った。その後、浴温:470℃、侵入板温:470℃、めっき浴中Al含有率:0.13質量%(ただし、合金化する場合には、0.18質量%)、めっき付着量:50g/m2 (片面あたり)、めっき処理時間:1秒、 の条件下溶融亜鉛めっき処理を施し、高張力溶融亜鉛めっき鋼板10を完成させた。なお、一部については、溶融亜鉛めっき処理の後、さらに490℃、20秒の合金化処理を施すことで、高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を完成させた。
【0039】
【表2】
Figure 0004275424
【0040】
ここで、表2に示すめっき性(不めっきの発生を抑制する効果)の調査は、得られた高張力溶融亜鉛めっき鋼板10或いは高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板へのめっき処理後、40×80mmの試験片を10枚採取し、直径0.5mm以上の不めっきが一個でも観察された場合は不合格(×)とし、直径0.5mm以上の不めっきが全く観察されなかった場合を合格(○)とした。さらに、合格の中でも、直径0.2mm以上の不めっきが全く観察されなかった場合を最良合格(◎)とした。
【0041】
また、合金化ムラの調査は、目視によりムラの有無を確認し、ムラが観察されなかった場合は合格(○)とし、ムラが観察された場合は不合格(×)とした。なお、結果が記されていない比較例2〜比較例9においては、合金化処理を行わなかった。
さらに、酸化層の形成状況の調査は、粒界酸化物の調査により行った。そのため、試験鋼板の圧延方向に垂直な断面を鏡面研磨することで断面試料を作成し、走査型電子顕微鏡を用いて、反射電子線像の組成像を撮影して観察し、直径0.5μm以上の粒界酸化物が試験鋼板の圧延方向30μm中に1箇所以上存在する場合を(+)とし、連続して存在する場合を(++)とした。一方、直径0.5μm以上の粒界酸化物が試験鋼板の圧延方向30μm中に1箇所以上存在していなかった場合を(−)とした。このとき、必要に応じて、試料上部にAu (金)蒸着やNi(ニッケル)めっきを施して最表面を保護した後に、断面試料の作成を行った。なお、本発明における粒界酸化物は微細なものであるため、通常行われている研磨後エッチングする方法では粒界酸化物が除去されてしまうため、エッチングを行わず、5000倍の倍率で各5〜10の視野で観察を行った。
【0042】
ここで、これらの粒界酸化物は、めっき板のめっきを溶解した後、表面からスパッタリングで一定深さ(例えば、0.5μmの深さ)の面を露出させ、その面のBSE(反射電子組成)像を撮影することにより、図5に示すように、二次元的な粒界酸化物の状態を把握することが可能である。なお、図5は、実施例2の観察例であり、めっき界面より約1μm地鉄側の面を観察した像であり、粒界に沿って黒色の粒界酸化物が多く存在していることが確認できる。
【0043】
さらに、析出物の調査は、電界放射型電子銃を搭載した透過型電子顕微鏡を用い、FIB(集中イオンビーム)加工によって試験鋼板の表層部から薄膜試料を作製し、この表層部における析出物サイズ、析出物密度、析出物種類をそれぞれ観察した。ここで、このFIBによる観察は、30万倍の倍率で各10以上の視野で観察を行い、平均的な析出物サイズの調査を行った。また、検出した析出物の一部は、エネルギー分散型X線分光分析を行い、Nb、Ti及びMoのピーク強度から析出物の種類を決定した。
【0044】
さらに、表1中の試料Bにおいては、再結晶焼鈍処理後の濃化層の状態を評価するため、グロー放電発光分光分析を行った。図6は、本発明の高張力溶融亜鉛めっき鋼板を形成工程において、再結晶焼鈍処理後に鋼板表面に生成される濃化層をグロー放電発光分光分析によって測定した結果を示す。ここで、この分析条件として、スパッタリング速度がFe換算で2.5nm/secで行い、濃化層に存在する元素量を評価するため、1〜10秒を積算した強度を比較した。
【0045】
表2に示すように、実施例1、2、6、8の結果より、試料の成分組成として、Nb或いはTiのいずれか一種と、Moをともに含むとともに、ショットブラスト処理を行わずに圧下率を50%以上で冷間圧延処理を行うことで、めっき性を向上させていることが確認できる。このとき、合金化ムラも発生せず、粒界酸化物及び粒内酸化物に加えて20nm以下の微細析出物も確認できた。
【0046】
また、直径0.2mm以上の不めっきが全く観察されず、特にめっき性が良好な実施例1〜実施例6においては、析出物存在密度が10個/μm3 以上であることも確認できた。
ここで、ショットブラスト処理を行わずに、圧下率を50%未満で冷間圧延処理を行った比較例1、2、7においては、めっき性の向上が認められなかったことが分かる。
【0047】
また、実施例3、4、5、7、9、10、11の結果より、試料の成分組成として、Nb或いはTiのいずれか一種と、Moをともに含むとともに、ショットブラスト処理を行い、圧下率を30%以上で冷間圧延処理を行うことで、めっき性を向上させていることが確認できる。このとき、合金化ムラも発生せず、粒界酸化物及び粒内酸化物に加えて20nm以下の微細析出物も確認できた。
【0048】
さらに、比較例3、4、8の結果より、試料の成分組成として、Nb、Ti、Moのいずれも含まれていないと、めっき性の向上が認められなかったことが分かる。このとき、20nm以下の微細な析出物はほとんど確認できなかった。
さらに、比較例5、6、9の結果より、試料の成分組成として、Nb或いはTiを単独で含み、Moが含まれていないと、めっき性の向上が認められなかったことが分かる。
【0049】
以上の結果より、 めっき性の向上が確認できた試料においては、その溶融めっきと高張力鋼板との界面に、粒界酸化物及び粒内酸化物が存在する酸化層が存在し、且つ、その酸化層内には、直径20nm以下の微細な析出物が分散していることが確認できた。
また、試料の組成成分であるNbやTiは、それぞれの単独添加ではなく、Moが複合添加されることで、めっき性を向上させていることが確認できた。
【0050】
さらに、ショットブラスト処理を施さない場合の冷間圧延処理の圧下率は、50%以上とすることが必要であるが、ショットブラスト処理を施す場合の冷間圧延処理の圧下率は30%以上でもめっき性を向上させていることが確認できた。
さらに、図6(a)及び(b)に示すように、冷間圧延処理における圧下率を増加させることで、より粒界酸化物或いは粒内酸化物が多々存在するようになるため、めっき性をさらに向上させることが可能となる。また、図6(c)に示すように、圧下率を増加させるとともに、ショットブラスト処理を行うことによって、粒界酸化物或いは粒内酸化物がより多く存在するようになるようになり、めっき性をさらに向上させることが可能となる。
【0051】
さらに、図7(a)に示すように、冷間圧延処理における圧下率の増大に伴って、鋼板表面におけるMnとSiとの比(Mn/Si)を増大させていることが分かる。つまり、鋼板表面に、酸洗処理で除去されやすいMn−Si系又はMn系の濃化層を生成することが可能となる。また、図7(b)に示すように、ショットブラスト処理は、鋼板表面に生成する濃化層の量を減少させていることが分かる。このことより、冷間圧延処理における圧下率増大及びショットブラスト処理は、酸化層3の緻密な発達に寄与するのみならず、再結晶焼鈍後における酸洗処理を容易且つ確実に行うために有効であることが分かる。
【0052】
【発明の効果】
本発明の方法で得られる高張力溶融亜鉛めっき鋼板によれば、SiやMnなどの固溶強化元素を多々含んだ高張力鋼板を下地鋼板としても、不めっきの発生を抑制し、めっき性を向上させることが可能となる。よって、高強度・高加工性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板を提供することができる。
【0053】
また、本発明の高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法によれば、高張力溶融亜鉛めっき鋼板を合金化処理することにより、合金化ムラのない高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高張力溶融亜鉛めっき鋼板の一構成例を示す断面図である。
【図2】再結晶焼鈍処理後に観察される粒界酸化物或いは粒内酸化物を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】高張力鋼板における溶融亜鉛めっきとの界面に観察される粒界酸化物或いは粒内酸化物を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】酸化層に分散された微細な析出物を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図5】反射電子組成像により粒界に生成した酸化物の分布を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】酸化層形成に対するショットブラスト処理及び圧下率増大の効果を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の高張力溶融亜鉛めっき鋼板を形成する工程において、再結晶焼鈍処理後の濃化層をグロー放電発光分光分析によって測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 高張力鋼板
2 溶融めっき
3 酸化層
3a Nb−Mo系或いはTi−Mo系析出物
10 高張力溶融亜鉛めっき鋼板

Claims (3)

  1. 高張力鋼板からなる下地鋼板に、溶融亜鉛めっきを施してなる高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、
    前記下地鋼板が、C:0.001〜0.20質量%、Si:0.10〜2.00質量%、Mn:1.00〜3.00質量%、Nb及びTiから選択される1種又は2種以上:0.01〜0.50質量%、Mo:0.01〜1.00質量%、残部:Fe及び不可避的不純物から構成される高張力鋼板であり、
    前記下地鋼板に、圧下率50〜85%の条件下で冷間圧延処理を行う工程と、
    この冷間圧延処理後の鋼板に、還元性雰囲気下で再結晶温度に1〜120秒保持する再結晶焼鈍処理を行った後に冷却する工程と、
    この冷却後の鋼板を酸洗処理する工程と、
    この酸洗処理後の鋼板に還元性雰囲気でめっき処理前焼鈍処理を行う工程と、
    このめっき処理前焼鈍処理後の鋼板に溶融亜鉛めっきを行う工程と、
    を含むことを特徴とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
  2. 高張力鋼板からなる下地鋼板に、溶融亜鉛めっきを施してなる高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、
    前記下地鋼板が、C:0.001〜0.20質量%、Si:0.10〜2.00質量%、Mn:1.00〜3.00質量%、Nb及びTiから選択される1種又は2種以上:0.01〜0.50質量%、Mo:0.01〜1.00質量%、残部:Fe及び不可避的不純物から構成される高張力鋼板であり、
    前記下地鋼板に、ショットブラスト処理を施す工程と、
    前記ショットブラスト処理後の下地鋼板に、圧下率30〜85%の条件下で冷間圧延処理を施す工程と、
    この冷間圧延処理後の鋼板に、還元性雰囲気下で再結晶温度に1〜120秒保持する再結晶焼鈍処理を行った後に冷却する工程と、
    この冷却後の鋼板を酸洗処理する工程と、
    この酸洗処理後の鋼板に還元性雰囲気でめっき処理前焼鈍処理を行う工程と、
    このめっき処理前焼鈍処理後の鋼板に溶融亜鉛めっきを行う工程と、
    を含むことを特徴とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
  3. 請求項1又は2に記載の高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法によって溶融亜鉛めっきが施された前記下地鋼板に、さらに合金化処理を行う工程を含むことを特徴とする高張力合金化溶融亜鉛めっきの製造方法
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