JP4274091B2 - 極超低温容器用気密補強材 - Google Patents
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例えば、金属フィルム箔とガラス繊維織物との接着に、合成ポリウレタン・エラストマー、クロルスルホン化ポリエチレンあるいはクロロプレンの重合物等からなる接着剤が金属フィルム箔とガラス繊維織物との間の接着に用いられているソフトな積層シートが知られている(特許文献1)。
しかしながら、合成ポリウレタン・エラストマー、クロルスルホン化ポリエチレンあるいはクロロプレンの重合物等は、金属フィルム箔およびガラス繊維織物に対して接着力が弱いという問題点がある。また、ガラス繊維織物の全体に接着剤が含浸していないため、引張強さも弱いという問題点がある。
しかし、かかる改良されたガラス繊維織物でも、合成ポリウレタン・エラストマー、クロルスルホン化ポリエチレンあるいはクロロプレンの重合物等の接着剤によるガラス繊維織物と金属フィルム箔との接着は十分ではなかった。また、それらの接着剤は高価であるため、製品は高価なものとなるという不利益もあった。
本発明者らは、更に検討を重ねて、本発明を完成した。
(1)金属フィルム箔の両側に樹脂含浸ガラス繊維織物が積層され、さらにその両側に離型シートが積層されていて、樹脂含浸ガラス繊維織物の離型シートと接触している面がエンボス加工(浮き出し模様をつける加工)されており、離型シートは除いて使用されることを特徴とする積層体、
(2)金属フィルム箔の両側に樹脂含浸ガラス繊維織物が積層され、さらにその両側に離型シートが積層されていて、離型シートの融解開始温度および分解開始温度が積層プレス成形時の最高温度より高く、離型シートは除いて使用されることを特徴とする積層体、
(3)極超低温容器用気密補強材である前記(1)または前記(2)に記載の積層体、
(4)150〜500g/m2のガラス繊維織物の両側または片側に、ガラス繊維織物100重量部に対してプレス成形による加熱硬化後エポキシ樹脂組成物を重量換算で5〜100重量部含むように、エポキシ樹脂組成物を全体に塗布または含浸後、半硬化させた樹脂含浸ガラス繊維織物を、厚さ50〜100μmの金属フィルム箔の両側に積層し、さらにその両側を離型シートではさみ、積層プレス成形によりエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させ、離型シートは除いて使用される前記(1)〜(3)に記載の積層体、および、
(5)縦横方向のせん断接着強さが共に3.5MPa以上、垂直引張接着強さ(Tensile Strength Perpendicular)が3.0MPa以上、縦横方向の引張強さが共に88000N/m以上、かつ、縦横方向の剥離強さが共に34N/2.5cm以上である前記(1)〜(4)に記載の積層体、
に関する。
また、本発明では、金属フィルム箔とガラス繊維織物との接着に接着剤を用いないので、安価な積層体が供給できる。
なお、Cガラスはアルカリ含有率が高いため、アルカリ含量を下げると同時にチタンと亜鉛系の融剤を用いたECRガラスが開発され、Cガラスを代替して汎用されている。従って、ECRガラスも本発明で使用できる。さらにAガラス、LガラスまたはSガラス等も本発明において使用できる。
本発明で用いられるガラス繊維は、モノフィラメントを単に引き揃えただけのフィラメントであってもよいし、これに撚りをかけたものであってもよい。また、下撚りをかけた後、上撚りをかけてもよい。また、紡糸バインダーはデンプン系が好ましいが、プラスチック系であってもよい。
公知処理としては、例えば、ガラス繊維織物を長時間、好ましくは約40〜100時間加熱(好ましくは約300〜500℃)下におくヒートクリーニングを行ったのち、シランカップリング剤を含浸させる処理が一般的である。シランカップリング剤としては、公知のものを用いてよいが、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。紡糸バインダーがプラスチック系の場合は、既にシラン処理が含まれているため、上記公知処理は通常行う必要はない。
本発明においては、中でも、主としてエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を用いるのが好ましい。エポキシ樹脂組成物は、具体的には、例えば、エポキシ樹脂および硬化剤からなるものが好ましい。所望により、硬化促進剤、カップリング剤または添加剤等が含有されていてもよい。
本発明で用いるエポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましい。かかるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂またはノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ−(5,5’)ウンデカンアダクト、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルスルホン、フェニレンジアミン、無水フタール酸、テトラヒドロ無水フタール酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリック酸、フェノールノボラック、ポリメルカプタン、2−エチル−4−メチルイミダゾール等を挙げることができる。なかでも、本発明においては、脂肪族アミンを用いるのが好ましい。
上記硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、約2.0〜6.0重量部程度が好ましい。
また、硬化促進剤を添加する場合、その含有量はエポキシ樹脂100重量部に対して、約0.1〜2.0重量部程度が好ましい。
シランカップリング剤としては、公知のものを用いてよいが、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
チタネートカップリング剤としては、一般式
(RO)m −Ti−(OR’) 4−m 〔式中、mは0〜4の整数、RおよびR’は置換基を表す。〕で表されるものが挙げられる。中でも、Rは炭素数が1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基、オキシ酢酸基、エチレン基などが好ましく、R’は炭素数が1〜35、好ましくは1〜20の長鎖アルキル基が好ましい。
該添加剤としては、例えば、接着剤、無機充填剤や難燃化剤、酸化防止剤、帯電防止剤または滑剤等が挙げられる。
接着剤は、公知のものを用いてよく、エポキシ樹脂組成物に添加することが好ましい。具体的には、例えば、酢酸ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリアミド系、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂系接着剤;または尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂系接着剤;クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、スチレン−ブタジエンゴム系、ポリウレタン系等のゴムエラストマー系接着剤などが挙げられる。中でも、ゴムエラストマー系接着剤が好ましい。
難燃化剤としては、金属水酸化物や含水無機結晶化合物が好ましい。そのような化合物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルク石群、二水和石こうまたはアルミン酸化カルシウム等を挙げることができる。ハイドロタルク石群は含水炭酸塩鉱物で、例えば、ハイドロタルク石、スチヒタイトまたはパイロオーライト等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばフェノール系またはアミン系の酸化防止剤等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系または非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
滑剤としては、例えば、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系または金属石鹸系滑剤等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物に所望により添加する上記成分が粒子の場合は、その粒子径は細かいほどよいが、約0.001〜10μm程度が好ましい。
本発明において用いる樹脂組成物は、上記のような添加剤などを、ヘンシェルミキサーなど公知手段を用いて混合し製造することができる。上記成分の混合順序は特に問わず公知方法に従ってよい。
また、上記ガラス繊維織物両面又は片面に上記樹脂組成物を塗布する方法も特に問わず自体公知の方法を用いてよい。例えば、アプリケーター、ナイフコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、ロッドコーターまたは刷毛など公知の手段を用いて行う方法が挙げられる。
該金属フィルム箔としては、当業界で用いられているものであればいずれでもよいが、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、アンバー合金、銅等の単独、合金、複合の金属フィルム箔を用いることができる。中でもアルミニウムが好ましい。
該金属フィルム箔の厚みとしては、約50〜100μm程度、好ましくは約60〜80μm程度のものがよい。
かかる離型シートは、自体公知のものを用いてよい。具体的には、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテン等のオレフィン系ポリマーフィルム、ポリビニリデンフルオライドフィルム、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニルフルオライド等のフッ素系ポリマーフィルム等の厚さ約10〜100μmのフィルムが好ましい。また、離型シートの融解開始温度および分解開始温度が下記するプレス成形時の最高温度よりも高いことが望ましい。離型シ−ト中の可塑剤や添加剤等の積層体表面への付着量が増えるのを防ぎ、熱遮蔽補強材である本発明に係る積層体を発砲ウレタン樹脂層や合板等の他の材料と積層させる際の該他の材料との接着性を向上させるためである。
かかる離形シートは、加熱圧着させた後直ちにはがしてもよいし、本発明の積層体の使用前にはがしてもよい。
加熱圧着の方法は特に問わず、熱板でプレスするなど自体公知の方法を用いてよい。加熱圧着は、圧力が約10〜40kg/cm2程度、加熱温度が約120℃〜200℃程度、好ましくは約140〜180℃程度の条件のもと、約50〜100分間程度かけて行うのが好ましい。
また、他の好ましい実施の態様としては、多段階、好ましくは2段階の加熱圧着が挙げられる。例えば、2段階の加熱圧着の場合、第一段階目の加熱圧着は、圧力が約10〜40kg/cm2程度、好ましくは約20〜30kg/cm2程度、加熱温度が約80℃〜150℃程度、好ましくは約100〜130℃程度の条件のもと、約5〜50分間程度かけて行うのが好ましく、第二段階目の加熱圧着は、圧力が約10〜40kg/cm2程度、好ましくは約20〜30kg/cm2程度、加熱温度が約120℃〜200℃程度、好ましくは約140〜180℃程度の条件のもと、約20〜90分間程度かけて行うのが好ましい。
エンボス加工の方法は自体公知の方法を用いてよいが、金属フィルム箔とその両側のプリプレグを積層させたのち、プレス成形させると同時に、その表面にエンボス加工するのが好ましい。例えば、浮き出し模様をつけるための材料を用いて、上記条件で加熱圧着させる方法等が挙げられる。この場合、浮き出し模様をつけるための材料と積層体の間に離型シートを入れ、プレス成形後積層体のみ取り出し使用に供すのがよい。
ここで、浮き出し模様をつけるための材料の融解開始温度および分解開始温度がプレス成形時の最高温度より高いことが望ましい。
エンボスロール1は、通常はゴム面からなるバックアップロール2と型押しロール3からなる。型押しロール3の金属表面全体には、浮き出し模様(embossment)(図示せず)が彫られている。かかる浮き出し模様は特に限定されず、公知のものを用いてよい。また、型押しロール3の表面には離型シートの代わりに付着防止剥離コーティングがなされているのが好ましい。このコーティング剤の融解開始温度および分解開始温度がエンボス加工の最高温度より高いことが望ましい。協働するバックアップロール2の面は、破れることなく伸びることのできる高い伸び性を有する耐熱ゴムによって覆われているのが好ましい。
また、型押しロール3を、型押し表面の内側にある加熱媒体(図示せず)によってエンボスが生じる温度に調節する。
金属フィルム箔とその両側にプリプレグを積層させたのち、プレス成形し、所望によりさらに最外層に離型シートを積層させた積層体を、該エンボスロール1に送り出し、型押しロールとバックアップロールによって加熱圧着して本発明に係る積層体を製造してもよい。この場合も、離型シートの融解開始温度および分解開始温度がエンボス加工時の最高温度より高いことが好ましい。
上記本発明に係る積層体のかかる物性は、以下のような方法で測定することができる。
縦横方向のせん断接着強さは、3cm×7cmの試料を鉄製治具にエポキシ樹脂(バンチコ株式会社製XB5032Aと同Bを100:55(重量比)で混ぜ、1m2当り400g使用)にて接着し、20℃下で7日養生後、引張試験機を用いて1mm/分のスピードで容易に測定できる。
垂直引張接着強さは、7.5cm×7.5cmの試料を鉄製治具にエポキシ樹脂(バンチコ株式会社製XB5032Aと同Bを100:55(重量比)で混ぜ、1m2当り400g使用)にて接着し、20℃下で7日養生後、引張試験機を用いて1mm/分のスピードで容易に測定できる。
縦横方向の引張強さは、4cm×40cm、4cm幅の試料の上下にエポキシ樹脂(バンチコ株式会社製XB5032Aと同Bを100:55(重量比)で混ぜ、1m2当り400g使用)で両面に合板を貼り、20℃下で7日養生後、合板をつかみ、チェック間距離を32cmにし、引張試験機を用いて1mm/分のスピードで容易に測定できる。
縦横方向の剥離強さは、ISO4578に従った方法にて、25mm幅の試料の金属フィルム箔と樹脂含浸ガラス繊維織物との間をはがし、引張試験機を用いて、100mm/分のスピードではがし始めて25mmは除外し、そのあと80mmはがしたときの平均値を求めることによって、容易に測定できる。
平織りガラスクロスH350XM107BH(質量345g/m2、厚さ0.27mm、経糸32本/25mm、緯糸30本/25mm、幅1075mm、ユニチカグラスファイバー株式会社製)に上記エポキシ樹脂組成物を含浸機にて含浸したのち、140℃に加熱し、半硬化させてプリプレグを得た。その後該プリプレグを3100mm毎に切断した。
厚さ70μmのアルミ箔を1075mm×3100mmに切断した。
上記プリプレグ2枚の間に上記アルミ箔をはさみ、さらに該積層体の上下に離型シートとしてプロピレンフィルム(融解開始温度145℃)を積層したのち、その上下に浮き出し模様をつけるためのガラスクロスを積層したものをプレス機にセットし、20kg/cm2にて120℃で30分、さらに130℃(±10℃)で90分かけた後、30分冷却することによって本発明に係る積層体を製造した。
上記方法で製造した積層体5枚を、上述した方法にて引張試験機 島津式 オートグラフAG−B型(株式会社島津製作所製)を用いて縦横方向のせん断接着強さを測定した。その結果を表1に示す。表1より、いずれの製品も3.5MPa以上のせん断接着強さを有していた。
上記方法で製造した積層体5枚を、上述した方法にて引張試験機 島津式 オートグラフAG−B型(株式会社島津製作所製)を用いて垂直引張接着強さを測定した。その結果を表2に示す。表2より、いずれの製品も3.0MPa以上の垂直引張接着強さを有していた。
上記方法で製造した積層体5枚を、上述した方法にて引張試験機 島津式 オートグラフAG−B型(株式会社島津製作所製)を用いて縦横方向の引張強さを測定した。その結果を表3に示す。表3より、いずれの製品も88000N/m以上の引張強さを有していた。
上記方法で製造した積層体5枚を、ISO4578に従った方法にて引張試験機 島津式 オートグラフAG−B型(株式会社島津製作所製)を用いて縦横方向の剥離強さを測定した。その結果を表4に示す。表4より、いずれの製品も34N/2.5cm以上の剥離強さを有していた。
また、本発明では、金属フィルム箔とガラス繊維織物との接着に接着剤を用いないので、安価な積層体が供給できる。
2 バックアップロール
3 型押しロール
4 本発明に係る積層体
Claims (4)
- 金属フィルム箔の両側に樹脂含浸ガラス繊維織物が積層され、さらにその両側に離型シートが積層されていて、離型シートの融解開始温度および分解開始温度が積層プレス成形時の最高温度より高く、離型シートは除いて使用されることを特徴とする積層体。
- 極超低温容器用気密補強材である請求項1に記載の積層体。
- 150〜500g/m2のガラス繊維織物の両側または片側に、ガラス繊維織物100重量部に対してプレス成形による加熱硬化後エポキシ樹脂組成物を重量換算で5〜100重量部含むように、エポキシ樹脂組成物を全体に塗布または含浸後、半硬化させた樹脂含浸ガラス繊維織物を、厚さ50〜100μmの金属フィルム箔の両側に積層し、さらにその両側を離型シートではさみ、積層プレス成形によりエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させ、離型シートは除いて使用される請求項1または2に記載の積層体。
- 縦横方向のせん断接着強さが共に3.5MPa以上、垂直引張接着強さ(Tensile Strength Perpendicular)が3.0MPa以上、縦横方向の引張強さが共に88000N/m以上、かつ、縦横方向の剥離強さが共に34N/2.5cm以上である請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
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