JP4273843B2 - 内燃機関の排気浄化促進装置 - Google Patents
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Description
本発明は、内燃機関の排気浄化促進装置に係り、詳しくは、排気中の有害物質の排出量低減効果を高める排気流動制御手段の故障診断技術に関する。
【発明の属する技術分野】
【0002】
【従来の技術】
排気中の有害物質(HC、CO、H2等の未燃物の他、スモーク、NOx等を含む)を低減させることを目的とした技術として、触媒上での反応を利用した排気浄化技術がある。しかしながら、当該排気浄化技術は、触媒が活性化されるまでの間にHC等の未燃物が大気中に放出されるという問題があり、このように触媒活性化までに放出される有害物質量は、コールドモードでの全放出量の9割にも達する場合があり重要な問題となっている。
【0003】
そこで、例えば、下記特許文献1,2等に記載されているように、排気圧上昇により冷態時に触媒を早期活性化させる技術が開発されている。ここでは、例えば、排気通路下流に排気流動制御手段として密閉型の可変排気バルブを設け、当該可変排気バルブを調節して排気管の断面積を変更させ、排気通路抵抗や排気密度を上昇させたり、排気流速を低下させることにより、排気圧や排気温度の上昇を図るようにしている。
【0004】
このように排気圧を上昇させたりすると、例えば、排気系内に未燃物を供給した場合(燃料の二段噴射等)、EGR(排気再循環)を実施した場合、排気空燃比の変調(排気A/F変調)を実施した場合において、各性能が増強されて、排気通路内の未燃物の反応が促進されて排気温度が上昇し、触媒が早期に活性化されて排気の浄化が飛躍的に促進されるようになる。
【0005】
ところで、上記可変排気バルブは、高温高圧の環境下に置かれるため、長期間使用していると、故障して正常に作動しなくなる場合がある。このように可変排気バルブが正常に作動しなくなると、排気圧を上昇させたいにも拘わらずバルブが閉弁作動せず、排気圧が実際には上昇しなかったり、排気圧を上昇させたくないにも拘わらずバルブが閉弁作動したままとなり、排気圧が高い状態のまま保持されるといった現象が発生する。
【0006】
そして、排気圧が上昇しなくなると、排気の浄化が促進されないために触媒活性化までに放出される有害物質を十分に浄化できなくなるおそれがあり、また、排気圧が高いままに保持されると、排気効率が低下して内燃機関の出力が低下してしまい好ましいことではない。
【0007】
そこで、排気通路に排気圧センサを設け、当該排気圧センサからの排気圧情報に基づいて前記可変排気バルブ等の排気流動制御手段の異常を検出することが考えられている。特に、排気通路が一本である場合には、排気流動制御手段に異常が発生し当該排気通路の排気圧が意図に反して増減すると、内燃機関の運転状態に多大な影響を与えることになるため、このような排気流動制御手段の異常検出はとりわけ重要である。
【0008】
しかしながら、排気圧センサを用いる場合、当該排気圧センサを別途設けなければならず、一般に排気圧センサは高温高圧に耐える仕様であるため高価であり、部品コストが増大するという問題がある。そこで、例えば、下記特許文献3等では、空燃比制御等の排気低減制御を行うために、触媒等の排気浄化手段の入口側近傍に設けられて排気中の特定成分(例えば酸素)の濃度を検出する排気センサを利用して、当該排気センサからの特定成分濃度情報に基づいて排気圧力を推定し、前記可変排気バルブ等の排気流動制御手段の異常を検出することを提案している。
【0009】
【特許文献1】
特開平3−117611号公報
【特許文献2】
特開平4−183921号公報
【特許文献3】
特開2002−256953号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、排気圧力は、触媒による排気流の絞り効果等により、触媒の上流側で上昇してしまう場合がある。このため、前記排気センサの出力変化は、前記排気流動制御手段による排気圧力変化だけではなく、上記触媒による絞り効果の影響等も含まれてしまうため、上記排気流動制御手段に係る排気圧力変化の検出精度が悪化し、上記排気流動制御手段の異常検出精度に問題を生じるおそれがある。
【0011】
また、上記排気流動制御手段の作動時には排圧が上昇して、前記排気センサの出力が変化するため、前記排気センサの出力を空燃比制御等の排気低減制御にも使用している場合であると、これに伴って、空燃比制御等の排気低減制御も変化してしまい、排気低減制御の精度が低下して排気が悪化するという問題を生じるおそれがある。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、排気の流動状態を制御する排気流動制御手段の異常を安価にして確実に検出可能にしながらも、排気流動制御手段の異常検出精度の低下及び空燃比制御等の排気低減制御の精度の低下を抑制できる内燃機関の排気浄化促進装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明による内燃機関の排気浄化促進装置は、排気流路に設けられて、排気の流動状態を制御することにより排気圧力を上昇可能な排気流動制御手段と、前記排気流動制御手段よりも上流側の前記排気流路に設けられて、排気中の特定成分濃度を検出する排気センサと、前記排気センサからの出力に基づいて排気圧力を推定して、前記排気流動制御手段の異常を検出する故障診断手段と、前記排気流動制御手段よりも上流側の前記排気流路に設けられて、排気を浄化する排気浄化手段とを備え、前記排気センサが、排気低減制御を行うために、前記排気浄化手段の出口側近傍に設けられて特定成分濃度を検出するものであり、前記排気流動制御手段の作動中には、前記排気センサからの出力が、上記排気低減制御への利用を禁止されることを特徴とする。
【0014】
従って、排気圧センサを別途設けることなく、既存の排気センサからの情報に基づいて排気圧力が推定されることになり、排気センサの出力を監視することで、排気流動制御手段の異常を検出することができる。これにより、安価にして確実に排気流動制御手段の故障を診断することができる。また、排気センサを排気浄化手段よりも下流側に設けることで、排気浄化手段による排気流の絞り効果等に伴う排気圧力の上昇の影響を受けることなく排気流動制御手段による排気圧力変化だけを検出することができる。これにより、排気流動制御手段の異常検出精度の低下を抑制することができる。また、排気流動制御手段の作動中に排圧の上昇に伴う排気センサの出力変化を生じても、空燃比制御等の排気低減制御の誤動作を防止することができ、排気低減制御の精度の低下を抑制して排気の悪化を防止することができる。
【0015】
ここに、本発明は次のような知見に基づきなされたものであり、以下に説明する。一般に排気圧が増大すると、排気中の各成分の拡散速度が増加し分圧が増大する。一方、排気センサが例えばO2センサである場合に、O2センサ出力の理論式として下記の式(1)で示されるネルンストの式がよく知られている。
【0016】
[ネルンストの式]
起電力(O2センサ出力)=気体定数×作動温度
/(4×ファラデー定数)×ln(大気側O2分圧/排気側O2分圧) (1)
但し、排気側O2分圧は、下記の式(2)で表わされる。
排気側O2分圧=排気圧×排気O2濃度 (2)
【0017】
このネルンストの式は、つまり、排気圧が増大すると、O2成分の多いリーン空燃比側では排気側O2分圧が増加して起電力(O2センサ出力)が低下し、一方、H2成分の多いリッチ空燃比側では、H2分圧が増加する一方で排気側O2分圧が減少して起電力(O2センサ出力)が増大することを示している。このことは、即ち、起電力(O2センサ出力)を監視することにより、排気圧の増減を検出でき、例えば、大気圧下での目標出力と比較することにより、排気流動制御手段の異常を検出できることを意味する。
【0018】
また、排気センサがA/Fセンサ(LAFS)である場合に、A/Fセンサ出力の理論式として下記の式(3)、(4)で示されるポンプ電流の式がよく知られている。
【0019】
[ポンプ電流の式]
リーン側でのポンプ電流(A/Fセンサ出力)
=4×ファラデー定数×O2拡散定数×拡散通路の開口部断面積
/(気体定数×作動温度×拡散通路の長さ)
×(排気側O2分圧−ガス検出室側(大気側)O2分圧)) (3)
リッチ側でのポンプ電流(A/Fセンサ出力)
=2×ファラデー定数×拡散通路の開口部断面積
/(気体定数×作動温度×拡散通路の長さ)
×H2拡散定数×排気側H2分圧×CO拡散定数×排気側CO分圧 (4)
ここで、リーン側でのポンプ電流及びリッチ側でのポンプ電流は、一方が正(+)で他方が負(−)である。
【0020】
このポンプ電流の式は、つまり、排気圧が増大すると、O2成分の多いリーン空燃比側では排気側O2分圧が増加してポンプ電流が増大し、A/Fセンサ出力が増加し、一方、H2成分の多いリッチ空燃比側では、H2分圧が増加してポンプ電流が逆方向に増大し、A/Fセンサ出力が減少することを示している。このことは、即ち、ポンプ電流(A/Fセンサ出力)を監視することにより、排気圧の増減を検出でき、例えば、大気圧下での目標出力と比較することにより、排気流動制御手段の異常を検出できることを意味する。
【0021】
なお、排気センサはNOxセンサであってもよく、この場合においても理論式として上記ポンプ電流の式を適用することができる。
【0022】
また、第二番目の発明による内燃機関の排気浄化促進装置は、第一番目の発明において、前記故障診断手段が、前記排気センサからの出力と基準圧下における同一成分濃度での目標出力とを比較することにより排気圧力を推定して、前記排気流動制御手段の異常を検出するものであることを特徴とする。
【0023】
従って、排気センサからの出力情報と予め設定された基準圧(例えば、大気圧等)下における同一成分濃度(同一排気空燃比)での目標出力とを比較することにより、容易にして適正に排気圧力が推定されることになり、当該排気センサの出力と目標出力との比較値を監視することにより、排気流動制御手段の異常を常時検出することができる。
【0024】
また、第三番目の発明による内燃機関の排気浄化促進装置は、第一番目の発明において、前記故障診断手段が、前記排気センサからの成分濃度の異なる複数の出力と基準圧下における各前記成分濃度での複数の目標出力との関係に基づいて排気圧力を推定して、前記排気流動制御手段の異常を検出するものであることを特徴とする。
【0025】
従って、排気センサからの成分濃度(排気空燃比)の異なる複数の出力情報と予め設定された基準圧(例えば、大気圧等)下における各成分濃度(各排気空燃比等)での複数の目標出力との関係、例えば複数の排気センサ出力の差と複数の目標出力の差との比を求めることにより、排気センサの出力信号に含まれるノイズ等の排気圧以外の誤差要因を排除して排気圧力がより適正に推定されることになり、当該排気センサの複数の出力と複数の目標出力との関係を監視することにより、排気流動制御手段の異常を精度よく検出することができる。
【0026】
また、第四番目の発明による内燃機関の排気浄化促進装置は、第一番目から第三番目の発明のいずれかにおいて、前記排気センサが、二以上の成分濃度を検出可能なものであり、排気空燃比がリーン空燃比のときには、少なくとも一つの特定成分濃度を検出し、排気空燃比がリッチ空燃比のときには、他の特定成分濃度を検出することを特徴とする。
【0027】
従って、例えば、リーン空燃比では排気中にO2成分が多く、リッチ空燃比では排気中にH2成分が多いが、これらリーン空燃比における一つの特定成分(O2成分)とリッチ空燃比における他の特定成分(H2成分)を排気センサでそれぞれ検出することができると、リーン空燃比かリッチ空燃比かに拘わらず常に良好に排気圧力が推定されることになり、排気センサの出力を監視することで、空燃比に拘わらず広い空燃比範囲で排気流動制御手段の異常を常時検出することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明による内燃機関の排気浄化促進装置の実施の形態を図1〜9に基づいて説明する。図1は、本発明に係る内燃機関の排気浄化促進装置の概略構成図、図2は、バタフライ弁の説明図、図3は、第一番目の実施の形態に係る故障診断ルーチンを示すフローチャート、図4は、第二番目の実施の形態に係る故障診断ルーチンを示すフローチャート、図5は、第三番目の実施の形態に係る故障診断ルーチンを示すフローチャート、図6は、目標A/FとA/Fセンサ出力との関係を表わすグラフ、図7は、第四番目の実施の形態に係る故障診断ルーチンを示すフローチャート、図8は、第五番目の実施の形態に係る故障診断ルーチンを示すフローチャート、図9は、他の実施の形態に係る誤作動防止ルーチンを示すフローチャートである。
【0031】
まず、本実施の形態に係る内燃機関の排気浄化促進装置の構成を説明する。図1に示すように、内燃機関であるエンジン本体(以下単に「エンジン」という。)1としては、例えば、燃料噴射モードを切り換えることで吸気行程での燃料噴射(吸気行程噴射)と共に圧縮行程での燃料噴射(圧縮行程噴射)を実施できる筒内噴射型の火花点火式のガソリンエンジンを適用している。このガソリンエンジン1は、容易にして理論空燃比(ストイキ)での運転やリッチ空燃比での運転(リッチ空燃比運転)の他、リーン空燃比での運転(リーン空燃比運転)を実現することができる。なお、このガソリンエンジン1として、本実施の形態では四気筒のエンジンを適用している。
【0032】
前記エンジン1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に点火プラグ4と共に電磁式の燃料噴射弁6が取り付けられており、これにより、燃料を燃焼室内に直接噴射することができる。点火プラグ4には、高電圧を出力する点火コイル8が接続されている。また、燃料噴射弁6には、燃料パイプ7を介して燃料タンクを擁した図示しない燃料供給装置が接続されている。より詳しくは、燃料供給装置には、低圧燃料ポンプ及び高圧燃料ポンプが設けられており、これにより、燃料タンク内の燃料を燃料噴射弁6に対し低燃圧又は高燃圧で供給し、当該燃料を燃料噴射弁6から燃料室内に向けて所望の燃圧で噴射することができる。
【0033】
前記シリンダヘッド2には、各気筒毎に略直立方向に吸気ポートが形成されており、各吸気ポートと連通するようにして吸気マニホールド10の一端が分岐してそれぞれ接続されている。吸気マニホールド10には、吸入空気量を調整する電磁式のスロットル弁14が設けられている。また、シリンダヘッド2には、各気筒毎に略水平方向に排気ポートが形成されており、各排気ポートと連通するようにして排気マニホールド12の一端が分岐してそれぞれ接続されている。
【0034】
なお、上記エンジン1は、その構造が周知であるため、その詳細な説明を省略する。
【0035】
前記排気マニホールド12の他端には、排気管(排気通路)20が接続されている。排気管20には、排気浄化触媒装置(排気浄化手段)として三元触媒30が介装されている。この三元触媒30は、担体に活性貴金属として銅(Cu)、コバルト(Co)、銀(Ag)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)のいずれかを有している。
【0036】
前記排気管20の三元触媒30よりも下流側には、排気中の特定成分濃度を検出する排気センサ22が配設されている。さらに、この排気センサ22よりも下流側には、排気流動制御装置40が介装されている。排気流動制御装置40は、排気中の有害物質(HC、CO、H2等の未燃物の他、スモーク、NOx等を含む)の低減を促進させることを目的とする装置であり、排気圧、排気密度及び排気流速の少なくともいずれか一つを変更することができるようになっている。具体的には、当該排気流動制御装置40は、排気管20の流路面積を調節できる密閉型の開閉弁42が電子コントロールユニット(ECU)60に電気的に接続されたものである。
【0037】
前記開閉弁42としては、種々の方式が考えられるが(例えばバタフライ弁やポペット弁等)、本実施の形態では、図2に示すようなバタフライ弁を適用している。このバタフライ弁は、排気管20を貫通する軸43回りに円盤44が回転することで排気管20の流路面積を調節することができるようになっている。なお、開閉弁42は、図示しないアクチュエータで作動するようになっている。
【0038】
ECU60は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えており、エンジン1を含めた排気浄化促進装置の総合的な制御を行うことができる。ECU60の入力側には、上述した排気センサ22等の各種センサ類が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力される。
【0039】
一方、ECU60の出力側には、上述の燃料噴射弁6、点火コイル8、スロットル弁14、開閉弁42等の各種出力デバイスが接続されており、これら各種出力デバイスに、各種センサ類からの検出情報に基づき推定された燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、弁開度等の各種情報がそれぞれ出力されることにより、燃料噴射弁6から適正量の燃料が適正なタイミングで噴射され、点火プラグ4により適正なタイミングで火花点火が実施され、所望の弁開度となるよう適正なタイミングで開閉弁42が開閉操作される。さらに、ECU60の出力側には、警告ランプ50も接続されている。
【0040】
このように構成された本実施の形態に係る内燃機関の排気浄化促進装置の作用、即ち、前記開閉弁42により構成される排気流動制御装置40の故障診断手法について説明する。
【0041】
上述したように、エンジン1が冷態状態にあるときには、三元触媒30を早期に活性化させるべく一時的に開閉弁42を閉弁操作するようにしている。これにより、排気管20内の排気圧が上昇して排気管20内の未燃焼の燃料の反応が促進されて排気温度が上昇することになり、三元触媒30が早期に活性化される。
【0042】
ところで、密閉型の開閉弁42は、高温高圧の環境下にあるため、長期間に亘って使用していると、故障して開閉が十分になされなく場合がある。このように開閉弁42が故障して排気流動制御装置40としての機能が損なわれると、上述したように、開閉弁42が十分に閉弁しない場合には、エンジン1の冷態時において有害物質を十分に浄化できなくなるおそれがあり、一方、開閉弁42が十分に開弁しない場合には、排気効率が低下して内燃機関の出力が低下するといった不具合を発生するおそれがある。
【0043】
そこで、本実施の形態では、排気低減制御を行うために、前記三元触媒30の出口側近傍に設けられている前記排気センサ22が排気中の特定成分の分圧を利用して濃度検出していることに着目し、当該排気センサ22の出力に基づいて排気圧を推定し、開閉弁42の故障、即ち、排気流動制御装置40の異常を診断するようにしている(故障診断手段)。
【0044】
なお、特定成分の分圧を利用する排気センサ22には、O2センサ、A/Fセンサ、NOxセンサ、HCセンサ、COセンサ、H2センサ等の種々のセンサがあるが、本実施の形態では、O2センサを適用した場合及びA/Fセンサを適用した場合についてそれぞれ説明する。
【0045】
[第一番目の実施の形態]
第一番目の実施の形態は、排気センサ22としてO2センサを利用した場合である。なお、O2センサを利用した場合には、先に説明したネルンストの式が適用される。
【0046】
図3に示すように、ステップS10では、O2センサからの情報に基づき、排気空燃比がリッチ空燃比(ストイキを含む)、即ち、排気がリッチ雰囲気にあるか否かを判別する。このようにリッチ雰囲気であるか否かを判別するのは、上述したように、排気空燃比がリッチ空燃比であるときには、排気圧が増大するとH2分圧が増加してO2センサ出力が増大することになるが、この変化度合いがリーン空燃比でのO2分圧の変化よりも明確であって故障診断に適しているからである。
【0047】
ステップS10の判別結果が偽(No)の場合、即ち、リーン雰囲気の場合には、そのまま当該ルーチンを抜ける。一方、ステップS10の判別結果が真(Yes)の場合には、ステップS12に進む。ステップS12では、開閉弁42が閉状態(ここでは全閉状態)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で全閉と判定された場合には、次にステップS14に進む。
【0048】
開閉弁42が閉状態である場合には、排気圧は予め設定された所定の高圧(例えば、800mmHg=1067hPa)にまで達しているはずであり、この所定圧に対応するO2センサ出力A0も実験等により分かっている。そこで、ステップS14では、O2センサ出力が上記O2センサ出力A0近傍にあるか否かを判別する。ここでは、検出されるO2センサ出力が所定値A2(但し、A0(所定圧:800mmHg)≦A2)より小さいか否かを判別する。
【0049】
ステップS14の判別結果が真(Yes)の場合、即ち、O2センサ出力が所定値A2より小さい場合には、開閉弁42が閉状態であるにも拘わらず、H2分圧が低く、排気圧が十分に上がっていないような異常な状況と考えられる。つまり、開閉弁42に何らかの故障が発生していると考えられる。従って、このような場合には、次にステップS16に進み、開閉弁42が故障と判定し、警告ランプ50を点灯して運転者に異常を知らせる。
【0050】
一方、ステップS14の判別結果が偽(No)で、O2センサ出力が所定値A2以上である場合には、排気圧が十分に上がっており、開閉弁42は正常に作動していると判定できる。従って、この場合には、次にステップS18に進み、故障判定を行わず、又は、故障判定を解除し、警告ランプ50を点灯せず消灯状態に保持する。
【0051】
また、ステップS12の判別結果が偽(No)、即ち、開閉弁42が開状態(ここでは全開状態)にある場合には、次にステップS19に進む。開閉弁42が開状態である場合には、排気圧は大気圧近傍値となるはずであり、この場合、O2センサ出力は通常使用時の値を示す。そこで、ステップS19では、O2センサ出力が所定値A3(但し、A3≧A0(所定圧:800mmHg))より大きいか否かを判別する。
【0052】
ステップS19の判別結果が真(Yes)の場合、即ち、O2センサ出力が所定値A3を超えている場合には、開閉弁42が開状態であるにも拘わらず、H2分圧が高く、排気圧が十分に上がってしまっている異常な状況と考えられる。つまり、開閉弁42に何らかの故障が発生していると考えられる。従って、このような場合には、前記ステップS16に進み、上述と同様に、開閉弁42が故障と判定し、警告ランプ50を点灯して運転者に異常を知らせる。
【0053】
一方、ステップS19の判別結果が偽(No)で、O2センサ出力が所定値A3以下である場合には、排気圧は十分に低く、開閉弁42は正常に作動していると判定できる。従って、この場合には、前記ステップS18に進み、上述と同様に、故障判定を行わず、又は、故障判定を解除し、警告ランプ50を点灯せず消灯状態に保持する。
【0054】
[第二番目の実施の形態]
第二番目の実施の形態は、上述した第一番目の実施の形態の場合と同様に、排気センサ22としてO2センサを利用した場合であり、先に説明したネルンストの式が適用される。なお、上述した第一番目の実施の形態の場合と同様な部分については、重複する説明を省略し、上述した第一番目の実施の形態の場合と異なる部分についてのみ説明する。
【0055】
図3に示すように、ステップS20で前記ステップS10と同様にリッチ雰囲気であるか否かを判別し、判別結果が真(Yes)である場合には、次にステップS22に進む。ステップS22では、同一リッチ雰囲気(同一成分濃度)の下、O2センサ出力と開閉弁42の開度に応じて設定されたO2センサの目標出力との差の絶対値が所定値A4よりも大きい(|O2センサ出力−目標出力|>A4)か否かを判別する。
【0056】
つまり、本実施の形態では、上述した第一番目の実施の形態の場合と異なり、開閉弁42が閉状態であるか開状態であるかによらず、実際のO2センサ出力と予め設定された目標出力との差を検出することにより、排気圧のずれを監視するようにしている。このようにすれば、開閉弁42が全閉及び全開以外の中間の開度に調整された場合であっても、排気圧の異常な状況を確実に検出でき、開閉弁42の故障を的確に判定することができる。
【0057】
このような本実施の形態では、ステップS22の判別結果が真(Yes)で、O2センサ出力と目標出力との差の絶対値が所定値A4よりも大きい場合には、開閉弁42の開度に対し、排気圧が高すぎる、又は、低すぎるような異常な状況と判定でき、この場合には、次にステップS24に進み、前記ステップS16と同様に故障と判定し、警告ランプ50を点灯する。
【0058】
一方、ステップS22の判別結果が偽(No)で、O2センサ出力と目標出力との差の絶対値が所定値A4以下である場合には、排気圧は目標とする排気圧に近く、開閉弁42は正常に作動していると判定でき、この場合には、次にステップS26に進み、前記ステップS18と同様に故障判定を行わず、又は、故障判定を解除し、警告ランプ50を点灯せず消灯状態に保持する。
【0059】
[第三番目の実施の形態]
第三番目の実施の形態は、排気センサ22としてA/Fセンサを利用した場合である。なお、A/Fセンサを利用した場合には、先に説明したポンプ電流の式が適用される。
【0060】
図5に示すように、ステップS30では、A/Fセンサからの情報に基づき、排気空燃比がリーン空燃比、即ち、排気がリーン雰囲気にあるか否かを判別する。このようにA/Fセンサの場合にリーン雰囲気であるか否かを判別するのは、排気空燃比がリーン空燃比であるときには、排気圧変化に応じたA/Fセンサ出力(A/F)の変化度合いが明確であって故障診断に適しているからである。
【0061】
つまり、図6からわかるように、排気圧を大気圧(破線)及び所定の高圧(例えば、800mmHg=1067hPa)(実線)とした場合、空燃比A/Fがリーン空燃比の範囲では、排気圧が高圧になるとA/Fセンサの出力値の変化が大きく現れるからである。
【0062】
ステップS30の判別結果が偽(No)の場合、即ち、リッチ雰囲気の場合には、そのまま当該ルーチンを抜ける。一方、ステップS30の判別結果が真(Yes)の場合には、ステップS32に進む。ステップS32では、同一リーン雰囲気(同一成分濃度)の下、A/Fセンサ出力と開閉便42の開度に応じて設定されたA/Fセンサの目標A/F(目標出力)との差の絶対値が所定値B1よりも大きい(|A/Fセンサ出力−目標A/F|>B1)か否かを判別する。
【0063】
つまり、本実施の形態では、上述した第二番目の実施の形態の場合と同様、開閉弁42が閉状態であるか開状態であるかによらず、実際のA/Fセンサ出力と予め設定された目標A/Fとの差を検出することにより、排気圧のずれを監視するようにしている。これにより、開閉弁42が全閉及び全開以外の中間の開度に調整された場合であっても、A/Fセンサにより排気圧の異常な状況を確実に検出でき、開閉弁42の故障を常時良好に判定することができる。
【0064】
このような本実施の形態では、ステップS32の判別結果が真(Yes)で、A/Fセンサ出力と目標A/Fとの差の絶対値が所定値B1よりも大きい場合には、開閉弁42の開度に対し、排気圧が高すぎる、又は、低すぎるような異常な状況と判定でき、この場合には、次にステップS34に進み、前記ステップS16と同様に故障と判定し、警告ランプ50を点灯する。
【0065】
一方、ステップS32の判別結果が偽(No)で、A/Fセンサ出力と目標A/Fとの差の絶対値が所定値B1以下である場合には、排気圧は目標とする排気圧に近く、開閉弁42は正常に作動していると判定でき、この場合には、次にステップS36に進み、前記ステップS18と同様に故障判定を行わず、又は、故障判定を解除し、警告ランプ50を点灯せず消灯状態に保持する。
【0066】
[第四番目の実施の形態]
第四番目の実施の形態は、上述した第三番目の実施の形態と同様に、排気センサ22としてA/Fセンサを利用した場合であり、先に説明したポンプ電流の式が適用される。なお、本実施の形態は、空燃比A/Fが、リーン空燃比である場合のA/Fセンサ出力と、リッチ空燃比(ストイキを含む)である場合のA/Fセンサ出力との双方を使用する点において、前述した第三番目の実施の形態と異なる。
【0067】
図7に示すように、まず、ステップS40において、開閉弁42が所定の開度に設定されると、空燃比A/Fが所定のリーン空燃比である場合のA/Fセンサの目標A/FがLAF0として読み込まれると共に、同一空燃比近傍でのO2分圧に基づくA/Fセンサ出力(一つの特定成分濃度)がLAF1として検出される。つまり、空燃比A/Fが所定のリーン空燃比となったときのA/Fセンサの目標A/FのLAF0とA/Fセンサ出力のLAF1とがECU60に記憶される。
【0068】
また、ステップS42では、開閉弁42が上記所定の開度に設定され且つ空燃比A/Fが所定のリッチ空燃比(又はストイキ)である場合のA/Fセンサの目標A/FがRAF0として読み込まれると共に、同一空燃比近傍でのH2分圧に基づくA/Fセンサ出力(他の特定成分濃度)がRAF1として検出される。つまり、空燃比A/Fが所定のリッチ空燃比となったときのA/Fセンサの目標A/FのRAF0とA/Fセンサ出力のRAF1とがECU60に記憶される。
【0069】
そして、このようにA/Fセンサの目標A/FのLAF0及びRAF0とA/Fセンサ出力のLAF1及びRAF1とが求められたら、次のステップS44において、開閉弁42が閉状態(本実施の形態では全閉状態)であるか否かを判別する。判別結果が偽(No)、即ち、開閉弁42が開状態である場合には、次にステップS45において、下記の式(5)が成立するか否かを判別する。
【0070】
(LAF1−RAF1)/(LAF0−RAF0)>C1 (5)
【0071】
つまり、リーン空燃比とリッチ空燃比におけるA/Fセンサ出力の差(LAF1−RAF1)と目標A/Fの差(LAF0−RAF0)との比が所定値C1よりも大きいか否かを判別する。即ち、A/Fセンサ出力の傾きを求め、この値が所定値C1よりも大きいか否かを判別する。これは、図6に示したように、A/Fセンサ出力は、排気圧が増減変化してもストイキ近傍では目標A/Fのままに保持され、排気圧が増減するとストイキ近傍を中心としてA/Fセンサの出力勾配が変化し、上記値が変化するためである。
【0072】
そして、このようにA/Fセンサ出力の差(LAF1−RAF1)と目標A/Fの差(LAF0−RAF0)とをとり、さらにこれらの比をとるようにすると、A/Fセンサ出力に含まれるノイズ、即ち、排気圧以外の要因による出力誤差を排除することができる。
【0073】
具体的には、A/Fセンサ出力のLAF1及びRAF1は、「目標A/F+排気圧以外の要因による出力誤差+排気圧による出力誤差」、又は、「目標A/F×排気圧以外の要因による出力誤差×排気圧による出力誤差」として示され、排気圧以外の要因による出力誤差が目標A/Fに対して加算又は乗算されてしまう。
【0074】
ここで、排気圧以外の要因による出力誤差の作用する方向は常に同一方向である一方、排気圧による出力誤差は上述したようにリーン側とリッチ側とで逆になるので、A/Fセンサ出力の差(LAF1−RAF1)と目標A/Fの差(LAF0−RAF0)とをとれば、排気圧以外の要因による上記加算に伴う誤差をなくすことができると共に、A/Fセンサ出力の比(LAF1/RAF1)及び目標A/Fの比(LAF0/RAF0)をとり、さらにこれらの比を求めて判別を行うことにより、排気圧以外の要因による上記乗算に伴う誤差をなくすことができる。
【0075】
これにより、排気圧以外の要因による出力誤差を一切排除し、排気圧による出力誤差のみを純粋に考慮して排気圧のずれを監視することができ、開閉弁42の故障を精度よく判定することができる。
【0076】
このような本実施の形態では、ステップS45の判別結果が真(Yes)で、上記式(5)が成立する場合には、A/Fセンサの上記出力勾配が大きくなり、開閉弁42の開度に対し、排気圧が高すぎるような異常な状況と判定でき、この場合には、次にステップS46に進み、前記ステップS16と同様に故障と判定し、警告ランプ50を点灯する。
【0077】
一方、ステップS45の判別結果が偽(No)で、上記式(5)が成立しない場合には、排気圧は目標とする排気圧に近く、開閉弁42は正常に作動していると判定でき、この場合には、次にステップS48に進み、前記ステップS18と同様に故障判定を行わず、又は、故障判定を解除し、警告ランプ50を点灯せず消灯状態に保持する。
【0078】
また、ステップS44の判別結果が真(Yes)で、開閉弁42が閉状態である場合には、次にステップS47において下記の式(6)が成立するか否かを判別する。
【0079】
(LAF1−RAF1)/(LAF0−RAF0)<C2 (6)
【0080】
このような本実施の形態では、ステップS47の判別結果が真(Yes)で、上記式(6)が成立する場合には、開閉弁42の開度に対し、排気圧が低すぎるような異常な状況と判定でき、この場合には、前記ステップS46に進み、前記ステップS16と同様に故障と判定し、警告ランプ50を点灯する。
【0081】
一方、ステップS47の判別結果が偽(No)で、上記式(6)が成立しない場合には、前記ステップS48に進み、前記ステップS18と同様に故障判定を行わず、又は、故障判定を解除し、警告ランプ50を点灯せず消灯状態に保持する。
【0082】
[第五番目の実施の形態]
第五番目の実施の形態は、上述した第三、四番目の実施の形態と同様に、排気センサ22としてA/Fセンサを利用した場合であり、先に説明したポンプ電流の式が適用される。なお、本実施の形態は、開閉弁42が、開状態である場合のA/Fセンサ出力と、閉状態である場合のA/Fセンサ出力との双方を使用する点において、前述した第三、四番目の実施の形態と異なる。
【0083】
図8に示すように、ステップS50では、目標A/Fが所定値AF1(例えば、20)より大きいか否かを判別する。このような判別を行うのは、前述した第三番目の実施の形態のステップS30において、排気がリーン雰囲気にあるか否かを判別したのと同様の理由によるものである。ステップS50の判別結果が偽(No)の場合には、そのまま当該ルーチンを抜け、一方、判別結果が真(Yes)の場合には、次のステップS52に進む。
【0084】
ステップS52では、目標排気圧が所定値P1(例えば、500mmHg=667hPa)以上であるか否かを判別する。つまり、開閉弁42が閉状態にあるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS54に進む。ステップS54では、下記の式(7)から閉状態における指標1を求める。
【0085】
【0086】
一方、ステップS52の判別結果が偽(No)、即ち、目標排気圧が所定値P1よりも小さい場合には、次にステップS56に進み、目標排気圧が所定値P2(例えば、100mmHg=133hPa)よりも小さいか否かを判別する。つまり、開閉弁42が開状態にあるか否かを上述と同様に判別する。なお、開閉弁42が開状態にある場合には、目標排気圧は大気圧に等しくなるが、このように目標排気圧がある程度小さければ故障判定は可能である。
【0087】
ステップs56の判別結果が偽(No)の場合には、当該ルーチンを抜け、真(Yes)の場合には、次にステップS58に進む。ステップS58では、下記の式(8)から開状態における指標2を求める。
【0088】
【0089】
なお、ここでは、排気圧の影響が少ないストイキを原点としてA/Fセンサ出力の傾きを、
(A/Fセンサ出力−ストイキA/F)/(目標A/F−ストイキA/F)
として求めて指標1及び指標2を設定するようにしたが、指標1及び指標2を、
A/Fセンサ出力−目標A/F、
又は、
(A/Fセンサ出力)/(目標A/F)
とすることも可能である。
【0090】
また、指標1及び指標2としては、目標排気圧がそれぞれ所定値P1、所定値P2に切り換わる直前、直後に求めた指標を使用するのがよく、これにより、指標1及び指標2が共に同一運転条件下での指標となり、故障判定の精度が向上する。また、指標1及び指標2は平均値を求めてもよいが、瞬時値を用いることも可能である。また、ストイキA/Fは使用燃料に応じて変更するのが望ましいが、固定値とすることも可能である。
【0091】
ステップS60では、指標1及び指標2が求められているか否かを判別する。上述したようにして指標1及び指標2が求められている場合には、次にステップS62に進む。ステップS62では、指標1と指標2との差が所定値D1(例えば、0.4)より小さい(指標1−指標2<D1)か否かを判別する。つまり、本実施の形態では、開閉弁42の作動前後のA/Fセンサ出力の関係から故障判定を行うようにする。
【0092】
ここで、所定値D1は固定値であってもよいが、目標排気圧に応じて変更するようにすることも可能である。また、本実施の形態では、指標1と指標2との差が所定値D1より小さいか否かを判別するようにしているが、指標1と指標2との比が所定値D2より小さい(指標1/指標2<D2)か否か判別するようにすることも可能である。
【0093】
ステップS62の判別結果が真(Yes)で、指標1と指標2との差が所定値D1より小さい場合には、異常な状況と判断でき、この場合には、次にステップS64に進み、上述した場合と同様に故障と判定し、警告ランプ50を点灯する。
【0094】
一方、ステップS62の判別結果が偽(No)で、指標1と指標2との差が所定値D1以上の場合には、問題はないと判定でき、この場合には、次にステップS66に進み、上述した場合と同様に故障判定を行わず、又は、故障判定を解除し、警告ランプ50を点灯せず消灯状態に保持する。
【0095】
なお、ステップS52及びステップS56の判別において、判別閾値である所定値P1と所定値P2とをそれぞれ別の値としたが、所定値P1と所定値P2とは同じ値であってもよい。また、本実施の形態を前述した第三、四番目の実施の形態の場合と組み合わせて併用することも可能である。
【0096】
以上、第一〜五番目の実施の形態においては、前記排気センサ22を前記触媒30の下流側(出口側近傍)に設置していることから、いずれの実施の形態においても、当該排気センサ22が当該触媒30の絞り効果による排圧変化の影響を受けないので、排気流動制御装置40による排圧変化のみを検出することが可能となり、当該排気流動制御装置40の異常検出精度が向上する。
【0097】
[他の実施の形態]
なお、前述した第一〜五番目の実施の形態のように、前記排気センサ22が、排気低減制御を行うために、前記触媒30の出口側近傍に設けられて特定成分濃度を検出するものである場合、例えば、図9に示すように、ステップS70において、前記排気流動制御装置40が作動中か否かを判別し、ステップS70の判別結果が真(Yes)で、排気流動制御装置40が作動中の場合には、次にステップS72に進み、前記排気センサ22からの出力の上記排気低減制御への利用を禁止し、一方、ステップS71の判別結果が偽(No)で、排気流動制御装置40の作動が停止中の場合には、問題ないと判定して、次にステップS74に進み、前記排気センサ22からの出力の上記排気低減制御への利用を許可するようにすれば、排気流動制御装置40の作動中に排圧の上昇に伴う排気センサ22の出力変化を生じても、空燃比制御等の排気低減制御の誤動作を防止することができ、排気低減制御の精度の低下を抑制して排気の悪化を防止することができる。
【0098】
また、前述した第三〜五番目の実施の形態では、A/Fセンサを用いるようにしたが、A/Fセンサに代えてNOxセンサを用いることも可能であり、NOxセンサは、A/Fセンサと作動原理が同じであるため、A/Fセンサの場合と同様な効果を得ることができる。
【0099】
また、前述した第一〜五番目の実施の形態では、排気低減制御に使用する排気センサ22からの出力に基づいて排気流動制御装置40の異常を診断するようにしたが、この排気センサ22とは別に、異常診断用の排気センサを新たに設け、当該排気センサからの出力に基づいて排気流動制御手段の異常診断を行うことも可能である。
【0100】
また、前述した第一〜五番目の実施の形態では、センサ出力を使用したが、例えば、センサ出力を排圧に変換して、変換後の排圧に基づいて故障診断を行うことも可能である。
【0101】
また、前述した第一〜五番目の実施の形態では、排気流動制御装置40として、密閉型の開閉弁42を用いるようにしたが、本発明はこれに限らず、排気圧を可変制御可能なものであれば、排気流動制御装置40として適用することが可能である。
【0102】
また、前述した第一〜五番目の実施の形態では、排気浄化手段として三元触媒30を用いるようにしたが、本発明はこれに限らず、他の触媒や排気流の絞り効果を伴う他の排気浄化手段に適用することも可能である。
【0103】
【発明の効果】
第一番目の発明の内燃機関の排気浄化促進装置によれば、排気圧センサを別途設けることなく、既存の排気センサからの情報に基づいて排気圧力を推定でき、排気センサの出力を監視して、排気流動制御手段の異常を検出することにより、安価にして確実に排気流動制御手段の故障を診断することができる。また、排気センサを排気浄化手段よりも下流側に設けることで、排気浄化手段による排気流の絞り効果等に伴う排気圧力の上昇の影響を受けることなく排気流動制御手段による排気圧力変化だけを検出することができる。これにより、排気流動制御手段の異常検出精度の低下を抑制することができる。また、排気流動制御手段の作動中に排圧の上昇に伴う排気センサの出力変化を生じても、空燃比制御等の排気低減制御の誤動作を防止することができ、排気低減制御の精度の低下を抑制して排気の悪化を防止することができる。
【0104】
第二番目の発明の内燃機関の排気浄化促進装置によれば、排気センサからの出力情報と予め設定された基準圧下における同一成分濃度での目標出力とを比較することにより、容易にして適正に排気圧力を推定でき、当該排気センサの出力と目標出力との比較値を監視することにより、排気流動制御手段の異常を常時検出することができる。
【0105】
第三番目の発明の内燃機関の排気浄化促進装置によれば、排気センサからの成分濃度の異なる複数の出力情報と予め設定された基準圧下における各成分濃度での複数の目標出力との関係、例えば複数の排気センサ出力の差と複数の目標出力の差との比を求めることにより、排気センサの出力信号に含まれるノイズ等の排気圧以外の誤差要因を排除して排気圧力をより適正に推定でき、当該排気センサの複数の出力と複数の目標出力との関係を監視することにより、排気流動制御手段の異常を精度よく検出することができる。
【0106】
第四番目の発明の内燃機関の排気浄化促進装置によれば、リーン空燃比では排気中にO2成分が多く、リッチ空燃比では排気中にH2成分が多いが、これらリーン空燃比における一つの特定成分(O2成分)とリッチ空燃比における他の特定成分(H2成分)を排気センサでそれぞれ検出することにより、リーン空燃比かリッチ空燃比かに拘わらず常に良好に排気圧力を推定でき、排気センサの出力を監視することにより、空燃比に拘わらず広い空燃比範囲で排気流動制御手段の異常を常時検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関の排気浄化促進装置の概略構成図である。
【図2】バタフライ弁の説明図である。
【図3】第一番目の実施の形態に係る故障診断ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】第二番目の実施の形態に係る故障診断ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】第三番目の実施の形態に係る故障診断ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】目標A/FとA/Fセンサ出力との関係を表わすグラフである。
【図7】第四番目の実施の形態に係る故障診断ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】第五番目の実施の形態に係る故障診断ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】他の実施の形態に係る誤作動防止ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン本体
20 排気管
22 排気センサ
30 三元触媒
40 排気流動制御装置
42 開閉弁
50 警告ランプ
60 電子コントロールユニット(ECU)
Claims (4)
- 排気流路に設けられて、排気の流動状態を制御することにより排気圧力を上昇可能な排気流動制御手段と、
前記排気流動制御手段よりも上流側の前記排気流路に設けられて、排気中の特定成分の濃度を検出する排気センサと、
前記排気センサからの出力に基づいて排気圧力を推定して、前記排気流動制御手段の異常を検出する故障診断手段と、
前記排気流動制御手段よりも上流側の前記排気流路に設けられて、排気を浄化する排気浄化手段と
を備え、
前記排気センサが、排気低減制御を行うために、前記排気浄化手段の出口側近傍に設けられて特定成分濃度を検出するものであり、
前記排気流動制御手段の作動中には、前記排気センサからの出力が、上記排気低減制御への利用を禁止される
ことを特徴とする内燃機関の排気浄化促進装置。 - 請求項1において、
前記故障診断手段が、
前記排気センサからの出力と基準圧下における同一成分濃度での目標出力とを比較することにより排気圧力を推定して、前記排気流動制御手段の異常を検出するものである
ことを特徴とする内燃機関の排気浄化促進装置。 - 請求項1において、
前記故障診断手段が、
前記排気センサからの成分濃度の異なる複数の出力と基準圧下における各前記成分濃度での複数の目標出力との関係に基づいて排気圧力を推定して、前記排気流動制御手段の異常を検出するものである
ことを特徴とする内燃機関の排気浄化促進装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかにおいて、
前記排気センサが、
二以上の成分濃度を検出可能なものであり、
排気空燃比がリーン空燃比のときには、少なくとも一つの特定成分濃度を検出し、
排気空燃比がリッチ空燃比のときには、他の特定成分濃度を検出する
ことを特徴とする内燃機関の排気浄化促進装置。
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