JP4271424B2 - トキソプラズマ症に対する遺伝子ワクチン及びそれを用いたトキソプラズマ症の予防方法 - Google Patents

トキソプラズマ症に対する遺伝子ワクチン及びそれを用いたトキソプラズマ症の予防方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トキソプラズマ症に対する遺伝子ワクチン及びそれを用いたトキソプラズマ症の予防方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トキソプラズマ症は、細胞内寄生原虫であるトキソプラズマ原虫(トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii))により引き起こされる人獣共通伝染病である。トキソプラズマ症の急性期には増殖体によって発熱、リンパ節腫脹の症状を呈し、網脈絡膜炎、肺炎、心筋炎などが起きるが、やがて慢性期に移行すると、脳、リンパ節や筋肉内に嚢子型虫体を包含する嚢子を形成して、ほとんど増殖を止めた状態でおとなしく感染を継続する。
【0003】
トキソプラズマ原虫は、地域、年齢によって異なるが、日本においても数十パーセントから70〜80%の感染率を示す重要な原虫感染疾患である。最も悲惨なトキソプラズマ症は先天性トキソプラズマ症である。先天性トキソプラズマ症は、初感染を受けた妊婦の約1/3の胎児に起こるといわれる。妊娠初期に感染すると多くは流産、死産となるが、妊娠後半に感染すると、生まれた新生児に脈絡網膜炎、水頭症、脳内石灰化がみられたり、ときには痙攣、貧血、黄疸遷延、肝脾腫などがあらわれる。また、新生児期に異常がなくても、だんだん水頭症、知能障害などが起こってくることもある。また、トキソプラズマ症は、AIDS等の免疫不全症患者や、臓器移植後等に免疫抑制剤を投与されている患者が感染すると、重症になり、致命的な場合が多い。したがって、トキソプラズマ症を予防することは重要である。
【0004】
トキソプラズマ原虫は、ネコを終宿主とし、ネコの糞便中に含まれるオーシストの形態で、ヒトを初め広範囲の動物に感染する。ブタ、ウシ、ヒツジ等の食肉用動物にも感染し、感染動物の肉を加熱不十分な状態で食べるとトキソプラズマ原虫に感染する。また、愛玩動物として飼っているネコの糞便から直接ヒトに感染することもある。したがって、ネコ及び食肉用動物が、トキソプラズマ症に感染することを予防することが、ヒトへの感染を防ぐために重要である。
【0005】
感染症の予防方法として代表的なものは、ワクチン投与である。トキソプラズマ症に対しても弱毒化株のワクチンが作製された(非特許文献1参照)。しかしながら、弱毒株の強毒化の心配や、ヒトやネコ固体によるトキソプラズマ原虫への感受性が異なることから、その危険性は否定できず、実用化されていない。また、トキソプラズマ原虫の表面抗原タンパク質をワクチンとして用いることも考えられるが、タンパク抗原をワクチンとして用いた場合、細胞障害性T細胞応答を誘起することができず(非特許文献2参照)、効果は低いと考えられる。
【0006】
一方、全ての免疫経路を活性化する方法として、遺伝子ワクチンが知られている(非特許文献2参照)。これまでに、トキソプラズマ症に対する遺伝子ワクチンが報告されている(例えば、非特許文献3参照)。トキソプラズマ症に対する公知の遺伝子ワクチンでは、SAG1遺伝子等が用いられており、ある程度の予防効果は認められる。もし、公知の遺伝子ワクチンよりも予防効果が高い遺伝子ワクチンが得られれば、トキソプラズマ症予防に有利であることは言うまでもない
【0007】
さらに、トキソプラズマ・ゴンディ(以下、「Tg」ということがある)の熱ショックタンパク70(以下、「HSP70」ということがある)のcDNAは既にクローニングされており、その塩基配列及びそれがコードするアミノ酸配列も公知である(非特許文献4、特許文献1参照)。
【0008】
【非特許文献1】
Choromanski L. et al., Developments in Biological Standardization (1995)84; 269-281,1995
【非特許文献2】
Stevenson FK et al., Vox Sanguinis (2001) 80:12-18
【非特許文献3】
Aosai F. et al., Microbiol Immunol (1999)43:87-91
【非特許文献4】
Katuyuki Yui et al., Jpn. J. Trop. Med. Hyg. Vol.26, No.4, 1998, pp.305-318
【特許文献1】
特許第3336275号掲載公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、公知の遺伝子ワクチンよりも予防効果が優れた、トキソプラズマ症に対する遺伝子ワクチンを提供することである。さらに本発明の目的は、このような遺伝子ワクチンを用いて、トキソプラズマ症を予防する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、トキソプラズマ・ゴンディの熱ショックタンパク質の1種である、HSP70の遺伝子を遺伝子ワクチンとして用いることにより、公知の遺伝子ワクチンよりも高い予防効果を発揮することができることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1個ないし数個のアミノ酸が置換し、欠失し若しくは挿入されたアミノ酸配列であって哺乳動物体内で発現されることにより該哺乳動物にトキソプラズマ症に対する免疫を付与することができるアミノ酸配列をコードする核酸断片を含む組換え哺乳動物細胞用ベクターであって、動物細胞内で核酸断片によりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドを産生することができる組換え哺乳動物細胞用ベクターから成る、トキソプラズマ症に対する遺伝子ワクチンを提供する。また、本発明は、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって哺乳動物体内で発現されることにより該哺乳動物にトキソプラズマ症に対する免疫を付与することができるアミノ酸配列をコードする核酸断片を含む組換え哺乳動物細胞用ベクターであって、動物細胞内で核酸断片によりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドを産生することができる組換え哺乳動物細胞用ベクターから成る、トキソプラズマ症に対する遺伝子ワクチンを提供する。さらに、本発明は配列表の配列番号2で示される塩基配列から成る核酸断片又は該塩基配列から成る核酸断片に相補的な塩基配列から成る核酸断片とストリンジェント条件下においてハイブリダイズする核酸断片の塩基配列をコードする核酸断片を含む組換え哺乳動物細胞用ベクターであって、動物細胞内で核酸断片によりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドを産生することができる組換え哺乳動物細胞用ベクターから成る、トキソプラズマ症に対する遺伝子ワクチンを提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本願発明は、トキソプラズマ・ゴンディ(以下、「Tg」ということがある)の熱ショックタンパク70(以下、「HSP70」ということがある)又はその一部領域をコードする核酸を遺伝子ワクチンとして利用することにより、トキソプラズマ・ゴンディの他のタンパク質の遺伝子を遺伝子ワクチンとして用いた場合に比べ、トキソプラズマ症の予防効果が遥かに高いという新知見に基づく。後述の実施例で用いたTgHSP70の部分領域をコードする塩基配列及びそれがコードするアミノ酸配列を配列表の配列番号2に示す。また、配列番号1には、該アミノ酸配列だけを取り出して示す。配列番号1に示されるアミノ酸配列は、TgHSP70のアミノ酸配列の1〜647番目のアミノ酸配列(以下、「TgHSP70(1-647)」と記載することがある)である。なお、TgHSP70 cDNAは既にクローニングされており、その塩基配列及びそれがコードするアミノ酸配列も公知である(Katuyuki Yui et al., Jpn. J. Trop. Med. Hyg. Vol.26, No.4, 1998, pp.305-318)。配列番号3に、この論文の図1に記載されている、TgHSP70全長及びその両端の非翻訳領域を含む塩基配列及びそれによってコードされるアミノ酸配列を含む。なお、TgHSP70遺伝子自体は公知であるが、TgHSP70を遺伝子ワクチンに用いること及びそれによって、他のタンパク質を用いた場合よりも優れた予防効果が得られることはもちろん公知ではない。
【0013】
下記実施例に示されるように、TgHSP70(1-647)をコードするDNA(配列番号2)を組み込んだ哺乳動物細胞用ベクターから成る遺伝子ワクチンは、Tgの他のタンパク遺伝子を組み込んだ遺伝子ワクチンよりも遥かに優れた予防効果を示した。したがって、本発明の好ましい態様では、遺伝子ワクチンは、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする核酸を含む。
【0014】
なお、一般に、生理活性を有するポリペプチドにおいて、該ポリペプチドを構成するアミノ酸のうち、少数のアミノ酸が置換し、欠失し又は挿入されてもその生理活性が維持されることがしばしばあることは当業者にとって周知である。したがって、配列番号1に示されるアミノ酸配列において1個ないし数個のアミノ酸が置換し、欠失し若しくは挿入されたアミノ酸配列であって哺乳動物体内で発現されることにより該哺乳動物にトキソプラズマ症に対する免疫を付与することができるアミノ酸配列をコードする核酸断片を含む遺伝子ワクチンも本発明の範囲に含まれる。また、配列番号1に示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって哺乳動物体内で発現されることにより該哺乳動物にトキソプラズマ症に対する免疫を付与することができるアミノ酸配列をコードする核酸断片を含む遺伝子ワクチンも本発明の範囲に含まれる。アミノ酸配列の相同性は、好ましくは95%以上である。また、この場合、アミノ酸配列の長さは580アミノ酸以上であることが好ましく、610アミノ酸以上であることがさらに好ましい。なお、アミノ酸配列の相同性は、周知のホモロジー検索プログラムであるFASTAにより容易に算出することができ、このプログラムはインターネット上でも公開されている(http://www.genome.ad.jp/SIT/SIT.html)。さらに、配列番号2で示される塩基配列から成る核酸断片に相補的な塩基配列から成る核酸断片とストリンジェント条件下においてハイブリダイズする核酸断片であって、哺乳動物体内で発現されることにより該哺乳動物にトキソプラズマ症に対する免疫を付与することができる核酸断片を含む遺伝子ワクチンも本発明の範囲に含まれる。この場合も、該核酸断片によりコードされるアミノ酸配列の長さは580アミノ酸以上であることが好ましく、610アミノ酸以上であることがさらに好ましい。なお、ここで、「ストリンジェント条件」とは、5 x Denhardt's reagent, 6 x SSC,0.5% SDS又は0.1% SDSといった一般的なハイブリダイゼーション溶液を用いて50〜65℃で、好ましくは50℃と60℃の2段階、又は、50℃、55℃、60℃、65℃の4段階で反応を行なう場合を意味する。核酸は、DNAが好ましい。本明細書において、「トキソプラズマ症に対する免疫を付与することができる」とは、陰性対照(ベクターのみ投与)と比較して、トキソプラズマ・ゴンディに対する予防効果が有意に認められることを意味し、実施例記載の評価方法の少なくとも1つの評価方法で有意差が認められればよい。特に、ネコ糞便中のオーシスト数を有意に減少させることができるものが好ましい。
【0015】
なお、本願発明の遺伝子ワクチンは、上記した核酸断片(配列番号1をコードする配列又はそれに類似する上記配列から成る核酸断片)を含んでいればよいから、上記した核酸断片の一端又は両端に他の配列が結合された断片が哺乳動物細胞用ベクターに挿入されたものは当然本発明の範囲に含まれる。例えば、下記実施例では、配列番号2に示される塩基配列の5’末端側にSpeI部位から成る配列、3’末端側にXbaI部位から成る配列が連結されたものを哺乳動物細胞用ベクターに組み込んでいるが、作製された遺伝子ワクチンは、配列番号2で示される塩基配列から成る核酸をそっくり含んでいるのであるから当然、本発明の範囲に含まれる。核酸断片の両端に、他の核酸断片、例えば、配列番号3に示す5’側非翻訳領域若しくはその一部、TgHSP70の第648番目以降のアミノ酸配列をコードする領域若しくはその一部や、さらにその下流の3’側非翻訳領域若しくはその一部、さらには、Tgとは無関係の他の配列を結合したものを哺乳動物細胞用ベクターに組み込んだものも本発明の範囲に含まれる。
【0016】
上記したTgHSP70遺伝子又はその一部領域を組み込む哺乳動物細胞用ベクター自体は、この分野において周知であり、市販もされており、公知のベクターや市販品をそのまま用いることができる。好ましい哺乳動物細胞用ベクターの1例として、pME18-FL3(オリジナルデータは非論文発表で登録のみ。応用使用例の文献:Seiko Saito, Fumie Aosai, Naoaki Rikihisa, Hye-Seong Mun, Kazumi Norose, Mei Chen, Tomoaki Kuroki, Takao Suzuki, Takenori Ochiai, Hidekazu Hata, Masaharu Ichinose, and Akihiko Yano. (2001) Establishment of Gene-Vaccinated Skin Grafting against Toxoplasma gondii infection in Mice. Vaccine 19; 2172-2180.)を挙げることができる。pME18-FL3の構造を図1に示す。また、pME18-FL3の全塩基配列も公知であり、GenBank Accession No. AB009864に記載されている。また、Invitrogen社から市販されているpcDNA3.1(+)(catalog No. V790-20)やpcDNA3.1(-)(catalog No. V795-20)等も好ましく用いることができる。周知のとおり、これらの哺乳動物細胞用ベクターは、哺乳動物細胞内での複製を可能にする複製開始点、哺乳動物細胞への感染を可能にするウイルス由来配列、外来遺伝子の発現を可能にするプロモーター領域、外来遺伝子を挿入するためのマルチクローニング部位等を有する。本発明の遺伝子ワクチンは、常法により、上記核酸断片を、哺乳動物細胞用ベクターのマルチクローニング部位に挿入することにより得ることができる。
【0017】
哺乳動物への遺伝子ワクチンの投与自体は、周知の方法により行うことができる。すなわち、好ましくは、筋肉内投与(i.m.)、腹腔内投与(i.p.)、遺伝子銃を用いた皮内投与、静脈内投与等の非経口投与により投与することができる。筋肉内投与や腹腔内投与では、遺伝子ワクチンをリン酸緩衝液(PBS)等の緩衝液に懸濁したものを投与することができる。遺伝子銃を用いる皮内投与も、市販の遺伝子銃を用いて周知の方法により行うことができる。すなわち、遺伝子ワクチンを、金粒子上に固定し、この金粒子を、ポリビニルピロリドンのような接着剤と共に遺伝子銃で動物の体表から皮内に打ち込むことにより投与することができる。投与量は、動物種等に応じて適宜選択することができるが、筋肉内、腹腔内、静脈内投与等では、動物の体重1kg当たり通常、100μg〜1500μg程度、好ましくは500μg〜1500μg程度であり、遺伝子銃を用いた皮内投与では、動物の体重1kg当たり通常、10μg〜100μg程度、好ましくは50μg〜100μg程度である。
【0018】
遺伝子ワクチンを投与する哺乳動物は、トキソプラズマ症に対する予防が望まれる動物であればいかなる哺乳動物であってもよい。例えば、ネコやイヌのような愛玩動物、ブタ、ウシ、ヒツジ等の食肉用動物、マウス、ラット、サル等の実験動物等が挙げられ、また、ヒトに投与することも可能である。これらのうち、ネコはトキソプラズマ・ゴンディの終宿主であり、体外で感染力のあるトキソプラズマ・ゴンディのオーシストを排出する唯一の動物であるから特に重要である。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0020】
実施例1、比較例1〜3 マウスへのワクチン投与
(1) 遺伝子ワクチンの作製
トキソプラズマ・ゴンディRH株から常法によりDNAを抽出し、これを鋳型とし、一組のプライマーを用いて、PCRを行い、配列番号2に示す塩基配列を含む核酸断片を増幅した。なお、鋳型となるTgHSP70遺伝子の全長(上流及び下流の非翻訳領域を含む)は、配列番号3に示す通りである。用いたプライマーは、フォワード側がggactagtatggcggactctcctgct、リバース側がggtctagacatcccgccgggcataccである。フォワード側プライマー中、5’末端のggは、フォワード側の融解温度とリバース側の融解温度を合わせるために導入した無関係な配列であり、その下流のactagtがSpeI部位であり、その下流が配列番号1のアミノ酸配列の第1番目〜第6番目のアミノ酸をコードする領域である。リバース側プライマー中、5’末端のggは、フォワード側の融解温度とリバース側の融解温度を合わせるために導入した無関係な配列であり、その下流のtctagaがXbaI部位であり、その下流が配列番号1のアミノ酸配列の第647番目〜第642番目のアミノ酸をコードする領域に対応する領域である。したがって、これらのプライマーを用いてPCRを行うと、配列番号2で示される塩基配列の全長の両端に、それぞれ、上記したggと制限酵素部位(5’側がSpeI部位、3’側がXbaI)が連結された核酸断片が増幅される。なお、PCRは、市販のキット及び装置を用いてマニュアル通りに行い、熱的条件は、94℃、2.5分間の変性工程、60℃、5分間のアニーリング工程、72℃、2分間の伸長工程から成るサイクルを38回繰り返すことにより行った。増幅断片を、制限酵素SpeI及びXbaIでNEバッファー中で消化し、一方、上記した公知の哺乳動物用ベクターであるpME18-FL3も制限酵素SpeI及びXbaIで消化し、これらを市販のDNAライゲーションキット(TaKaRa DNAライゲーションキットVer 1. Code No. 6021)を用いて連結することにより、pME18-FL3のSpeI-XbaI間に、制限酵素処理後の上記増幅断片を挿入し、本発明の遺伝子ワクチンの好ましい1例の組換えベクターである環状プラスミドを得た(実施例1)。この環状プラスミド中のTgHSP70の塩基配列を、Taq Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing kit (米国カリフォルニア州Foster CityのApplied Biosystems社から市販)を用いて確認した。一方、比較のため、トキソプラズマ・ゴンディの公知の遺伝子であるSAG1(非特許文献3)(比較例1)又はHSP30(Mun HS et al., Microbiol Immunol. 1999; 43(5): 471-479)(比較例2)を、上記と同様に増幅し、pME18-FL3に組み込み遺伝子ワクチンを得た。さらに、比較のため、トキソプラズマ・ゴンディ由来の遺伝子を含まないpME18-FL3も後述の実験に供した(比較例3)。
【0021】
(2) 遺伝子ワクチンの投与
(i) 遺伝子銃による投与
(1)で作製した遺伝子ワクチン又はベクターを、直径1.6μmの金粒子に、1M CaCl2及び0.05Mスペルミジンの存在下で固定した。固定量は、金1mg当たりDNA2μgであった。次いで、DNAを被覆した金粒子を、接着剤である、濃度0.05 mg/mlのポリビニルピロリドン(分子量36万)の存在下で金被覆チューブに入れた。得られたDNA被覆金粒子を、市販の遺伝子銃(Helios Gene Gun)で、ヘリウム排出圧力400 psiで、剃毛したマウスの腹部に打ち込んだ。打ち込みは各マウスについて2回行い、その結果、投与量は、約2μgDNA/マウスであった。なお、実験に供したマウスは、実験動物として市販されている8週齢のC57BL/6(B6)マウス及び同BALB/cマウス(日本エスエルシー株式会社 浜松市湖東町3371番地の8)並びにインターフェロン−γ(INF-γ)ノックアウト(GKO)BALB/cマウスであった。
【0022】
(ii) 筋肉内投与及び腹腔内投与
50μg/マウスの遺伝子ワクチン又はベクターを、100μlの滅菌リン酸緩衝液(PBS)に溶解し、B6マウス又はBALB/cマウスの大腿4頭筋に筋肉内注射し、又は腹腔内注射した。
【0023】
(3) トキソプラズマ・ゴンディの感染
投与1週間後、各マウスに対し、トキソプラズマ・ゴンディFukaya株のシスト100個(死亡率試験の場合)又は10個(トキソプラズマ・ゴンディ個体数測定実験の場合)を経口投与した。
【0024】
(4) 評価
(i) 死亡率試験
死亡率試験では、感染30日後まで、マウスの死亡を毎日記録した。
【0025】
(ii) トキソプラズマ・ゴンディ個体数の測定
感染1週間後(急性期)、4週間後(亜急性期)又は6週間後(慢性期)にマウスを屠殺し、腸間膜リンパ節(mLN)、脾臓、心臓、肺及び脳中のトキソプラズマ・ゴンディの個体数を測定した。トキソプラズマ・ゴンディの個体数は、定量的競合PCR(QC-PCR)(Luo W. et al., J Parasitol 1997; 83: 1070-4)により行った。この方法は、具体的には次の通り行った。各臓器からの試料をプロテナーゼKで消化しフェノール・クロロホルムによりgDNAを抽出した。その1μgDNA、およびトキソプラズマ・ゴンディRH株よりPCRによりクローニングしたSAG1遺伝子のSac IIとSac I 部位間を除去したSAG1遺伝子をpET-21b(+)に挿入した競合プラスミド 5fgと共に、フォワード側 tcggatccccctcttgttgcおよびリバース側ctccagtttcacggtacagtのプライマーを用いてPCRを行った(定量性競合性PCR)。gDNAおよびコンペティタープラスミドDNA由来PCR産物をデシトメーターで測定し、スタンダードカーブよりトキソプラズマ原虫数を算定した。
【0026】
(5) 統計学的処理
2つの群を統計学的に比較するために、不対両側Studentのt-検定(unpaired two-tailed Student's t-test)を用いた。P<0.05で統計学的に有意であると判断した。
【0027】
(6) 結果
(i) 死亡率試験
死亡率試験の結果を図2に示す(1群8匹)。図2から明らかなように、実施例1では、トキソプラズマ・ゴンディ感受性のB6マウスでも、耐性のBALB/cでも、生存率が100%であり、比較例1〜3と比較して明らかに成績が良かった。
【0028】
(ii) トキソプラズマ・ゴンディ個体数
結果を図3ないし図6に示す。図3は、遺伝子銃でワクチン投与した場合の、感染1週間後の、B6マウス及びBALB/cマウスの腸間膜リンパ節、肺及び心臓における、組織中のDNA1μg当たりのトキソプラズマ・ゴンディ個体数を示し(1群3匹)、図4は、遺伝子銃でワクチン投与した場合の、感染4週間又は6週間後の、同じく脳、心臓及び脾臓中のDNA1μg当たりのトキソプラズマ・ゴンディ個体数を示す(1群3匹)。図5は、遺伝子銃、筋肉内投与又は腹腔内投与でワクチン投与した場合の、感染1週間後の腸間膜リンパ節又は感染4週間後の脳中のトキソプラズマ・ゴンディ数の減少率(比較例3(陰性対照)に対する減少率)を示す(1群3〜5匹)。図6は、GKO BALB/cマウスに対し、遺伝子銃でワクチン投与した場合の、感染1週間後の腸間膜リンパ節、肺及び心臓における、組織中のDNA1μg当たりのトキソプラズマ・ゴンディ個体数を示す(1群3匹)。図3〜6において、各長方形の頂部のバーは、平均±標準偏差を示す。図3、図4及び図6において、各長方形の上に記載されている符号は次の意味の有意差があることを示す。
*1: P<0.05、 *2: P<0.005、 *3: P<0.001(いずれも比較例3(陰性対照)に対して)
*4: P<0.05、 *5: P<0.005、 *6: P<0.001(いずれも実施例1に対して)
また、図5では、各長方形の上に記載されている符号は次の意味の有意差があることを示す。
*1: P<0.05、 *2: P<0.005、 *3: P<0.001(いずれも遺伝子銃によるワクチン投与の場合に対して)
【0029】
図3、図4及び図6に示されるように、本発明の実施例1は、陰性対照である比較例3に対してのみならず、急性期の腸間膜リンパ節、亜急性期並びに慢性期の脳、心臓及び脾臓中のトキソプラズマ・ゴンディ個体数では、公知の遺伝子ワクチンである比較例1及び2に対しても有意に優れた効果を示した。
【0030】
これらの結果及び上記した死亡率試験の結果から、本発明の遺伝子ワクチンが、公知の遺伝子ワクチンよりも有意に優れた予防効果を発揮することが明らかになった。
【0031】
実施例2、比較例4及び5 ネコへのワクチン投与
(1) ワクチン投与及びトキソプラズマ・ゴンディ感染
実施例1で作製した本発明の遺伝子ワクチン(実施例2)又は比較例1で作製した、SAG1遺伝子を含有する公知の遺伝子ワクチン(比較例4)を、実験動物用として市販されているネコ(3〜6月齢、雄及び雌、非近交系)に筋肉内投与した。比較のため、ベクターのみも同様に投与した(比較例5)。筋肉内投与は、100μg/ネコの遺伝子ワクチン又はベクターを、500μlの滅菌PBSに溶解したものを、背中の筋肉に注射することにより行った。ワクチン投与10日後に、各ネコにトキソプラズマ・ゴンディFukaya株のシスト100個を経口投与した。実験は1群8匹で行った。
【0032】
(2) 評価方法
(i) 体重の減少率及び下痢の期間
体重及び下痢の有無は、感染から30日間、毎日調べた。体重の減少率は、感染前の体重から、感染後の体重を引いた差を、感染前の体重で除したものを百分率で表したものである。各ネコについての最大の体重減少率について、各群の平均を算出した。
【0033】
(ii) 糞便中に排泄されるオーシストの数
感染から30日間、糞便中に排泄されるオーシストの数を検鏡により計測し、計測値を合計して総数を算出した。
【0034】
(iii) トキソプラズマ・ゴンディ個体数
感染6ヶ月後の心臓及び脳中のトキソプラズマ・ゴンディ個体数を、実施例1と同様にして測定した。
【0035】
(iv) 血清中の抗体力価の測定
感染28日後の血清中の抗TgHSP70抗体及び抗SAG1抗体力価を、公知のELISA(非特許文献3)により測定した。抗TgHSP70抗体測定および抗SAG1抗体測定共に0.01M pH7.0 リンサンバファーで100倍に希釈した感染ネコ血清(第1抗体)をマイクロプレートにコートしたレコンビナント抗原に加え2時間反応させ洗浄した後、第2抗体は、ヤギ抗ネコIgG(10000倍希釈、Sigma社製、カタログ番号C8290)であり、第3抗体は、ALP-結合抗ヤギIgG抗体(10000倍希釈、Sigma社製、カタログ番号C8062)であった。発色基質としてpNPPを用いた。
【0036】
(3) 結果
(i) 体重の減少率及び下痢の期間
下痢が起きた期間を図7のAに、体重の減少率を図7のBに示す。これらの図から明らかなように、本発明の遺伝子ワクチンを用いた実施例2では、下痢の期間及び体重の減少率のいずれにおいても、ベクターのみを投与した陰性対照である比較例5に対してのみならず、公知の遺伝子ワクチンを投与した比較例4に対しても有意に優れた結果を示した。なお、統計学的処理は、不対両側Studentのt-検定により行った。
【0037】
(ii) 糞便中に排泄されるオーシストの数
結果を図8に示す。図8から明らかなように、本発明の遺伝子ワクチンを用いた実施例2では、ベクターのみを投与した陰性対照である比較例5に対してのみならず、公知の遺伝子ワクチンを投与した比較例4に対しても有意に優れた結果を示した。なお、統計学的処理は、Mann-Whitney検定により行った。ネコの糞便中のオーシストが、体外で感染力を有する唯一の形態であるから、ネコの糞便中のオーシスト数が公知の遺伝子ワクチンよりも有意に少ないことは、トキソプラズマ症の伝播を防ぐ意味で非常に有利な効果である。
【0038】
(iii) トキソプラズマ・ゴンディ個体数
結果を図9に示す。図9のAは心臓中のDNA1μg当たりのトキソプラズマ・ゴンディ個体数、図9のBは脳中のDNA1μg当たりのトキソプラズマ・ゴンディ個体数を示す。図9から明らかなように、本発明の遺伝子ワクチンを用いた実施例2では、ベクターのみを投与した陰性対照である比較例5に対してのみならず、公知の遺伝子ワクチンを投与した比較例4に対しても有意に優れた結果を示した。なお、統計学的処理は、不対両側Studentのt-検定により行った。感染から6ヶ月経過後でも、本発明の遺伝子ワクチンを投与した場合には、トキソプラズマ・ゴンディ個体数が有意に減少していることは、本発明の遺伝子ワクチンが効果が長く持続することを示している。これに対し、公知の遺伝子ワクチン(比較例4)では、感染6ヶ月後のトキソプラズマ・ゴンディ個体数では、ベクターのみを投与した比較例5と差がなく、ワクチンの効果が持続しないことがわかった。
【0039】
(iv) 血清中の抗体力価の測定
結果を下記表1に示す。表1から、TgHSP70遺伝子の一部領域を含む遺伝子ワクチン(実施例2)を投与した場合には、抗TgHSP抗体が有意に生産され、SAG1遺伝子を含む遺伝子ワクチン(比較例4)を投与した場合には、抗SAG1抗体が有意に生産されることが確認された。なお、統計学的処理は、不対両側Studentのt-検定により行った。
【0040】
【表1】
Figure 0004271424
Figure 0004271424
*: P<0.001
**: P<0.0001
【0041】
実施例3、比較例6及び7 ネコへのワクチン投与(その2)
実施例1で作製した、配列番号2の塩基配列を含む断片の増幅において、フォワード側プライマーの5’側の制限酵素部位をBamHI部位に変更した以外は実施例1と同様にして増幅断片を得た。この増幅断片を、BamHI及びXbaIで消化し、一方、Invitrogen社から市販されている哺乳動物用ベクターであるpcDNA3.1(+) (catalog No. V790-20)もBamHI及びXbaIで消化し、これらを実施例1と同様に連結して、本発明の遺伝子ワクチンの1例の組換えベクターである環状プラスミドを得た(実施例3)。比較のため、pcDNA3.1(+)ベクターのみも用いた。実施例2と同様にしてネコに投与し、効果を実施例2と同様に評価した。
【0042】
結果を図10〜12に示す。図10のAは下痢の期間、図10のBは体重の減少率を示す(統計学的処理は、いずれも実施例2と同様)。図11は、ネコ糞便中のオーシスト数を示す(統計学的処理はMann-Whitney検定)。図12は、感染ネコの心臓、および脳における トキソプラズマ・ゴンディ原虫数を示す(統計学的処理はMann-Whitney検定)。なお、これらの図中、*はP<0.05、**はP<0.01を示す。
これらの図から明らかなように、下痢の期間中に観察された、体重の減少率、糞便中へのオーシスト排出トキソプラズマ・ゴンディ個体数、心臓及び脳におけるトキソプラズマ・ゴンディ個体数のいずれにおいても、本発明の遺伝子ワクチンを投与した場合は、ベクターのみを投与した場合に比較して有意に優れたワクチン効果が認められた。
【0043】
【発明の効果】
本発明により、トキソプラズマ症に対して優れた予防効果を有する遺伝子ワクチンが提供された。本発明の遺伝子ワクチンは、公知の遺伝子ワクチンよりも有意に予防効果が高く、その効果も持続する。また、トキソプラズマ・ゴンディの終宿主であるネコの便中に排出されるオーシストの数を有意に減少させることができ、トキソプラズマ症の伝染の防止に有効である。
【0044】
【配列表】
Figure 0004271424
【0045】
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【0046】
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【0047】
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【0048】
Figure 0004271424
【0049】
Figure 0004271424

【図面の簡単な説明】
【図1】公知の哺乳動物用ベクターであるpME18-FL3の構造を示す図である。
【図2】本発明の実施例1の遺伝子ワクチン又は公知の遺伝子ワクチン若しくはベクターのみをマウスに投与した場合の死亡率を示す。
【図3】本発明の実施例1の遺伝子ワクチン又は公知の遺伝子ワクチン若しくはベクターのみを、遺伝子銃で投与した場合の、感染1週間後の、B6マウス及びBALB/cマウスの腸間膜リンパ節、肺及び心臓における、組織中のDNA1μg当たりのトキソプラズマ・ゴンディ個体数を示す。
【図4】本発明の実施例1の遺伝子ワクチン又は公知の遺伝子ワクチン若しくはベクターのみを、遺伝子銃でワクチン投与した場合の、感染4週間又は6週間後の、同じく脳、心臓及び脾臓中のDNA1μg当たりのトキソプラズマ・ゴンディ個体数を示す。
【図5】本発明の実施例1の遺伝子ワクチンを、遺伝子銃、筋肉内投与又は腹腔内投与でワクチン投与した場合の、感染1週間後の腸間膜リンパ節又は感染4週間後の脳中のトキソプラズマ・ゴンディ数の減少率(比較例3(陰性対照)に対する減少率)を示す。
【図6】本発明の実施例1の遺伝子ワクチン又はベクターのみを、GKO BALB/cマウスに対し、遺伝子銃でワクチン投与した場合の、感染1週間後の腸間膜リンパ節、肺及び心臓における、組織中のDNA1μg当たりのトキソプラズマ・ゴンディ個体数を示す。
【図7】本発明の実施例2の遺伝子ワクチン又は公知の遺伝子ワクチン若しくはベクターのみを、ネコに筋肉内注射した場合の、下痢が起きた期間(A)及び体重の減少率(B)を示す。
【図8】本発明の実施例2の遺伝子ワクチン又は公知の遺伝子ワクチン若しくはベクターのみを、ネコに筋肉内注射した場合の、便中に排泄されるオーシストの数を示す。
【図9】本発明の実施例2の遺伝子ワクチン又は公知の遺伝子ワクチン若しくはベクターのみを、ネコに筋肉内注射した場合の、心臓中のDNA1μg当たりのトキソプラズマ・ゴンディ個体数(A)及び脳中のDNA1μg当たりのトキソプラズマ・ゴンディ個体数(B)を示す。
【図10】本発明の実施例3の遺伝子ワクチン又はベクターのみを、ネコに筋肉内注射した場合の、下痢が起きた期間(A)及び体重の減少率(B)を示す。
【図11】本発明の実施例3の遺伝子ワクチン又はベクターのみを、ネコに筋肉内注射した場合の、感染ネコ糞便中に排出されたトキソプラズマ・ゴンディオーシスト数を示す。
【図12】本発明の実施例3の遺伝子ワクチン又はベクターのみを、ネコに筋肉内注射した場合の、心臓および脳におけるトキソプラズマ・ゴンディ数を示す。

Claims (9)

  1. 配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1個ないし数個のアミノ酸が置換し、欠失し若しくは挿入されたアミノ酸配列であって哺乳動物体内で発現されることにより該哺乳動物にトキソプラズマ症に対する免疫を付与することができるアミノ酸配列をコードする核酸断片を含む組換え哺乳動物細胞用ベクターであって、動物細胞内で核酸断片によりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドを産生することができる組換え哺乳動物細胞用ベクターから成る、トキソプラズマ症に対する遺伝子ワクチン。
  2. 配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって哺乳動物体内で発現されることにより該哺乳動物にトキソプラズマ症に対する免疫を付与することができるアミノ酸配列をコードする核酸断片を含む組換え哺乳動物細胞用ベクターであって、動物細胞内で核酸断片によりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドを産生することができる組換え哺乳動物細胞用ベクターから成る、トキソプラズマ症に対する遺伝子ワクチン。
  3. 前記核酸断片が、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする請求項1又は2記載の遺伝子ワクチン。
  4. 配列表の配列番号2で示される塩基配列から成る核酸断片又は該塩基配列から成る核酸断片に相補的な塩基配列から成る核酸断片とストリンジェント条件下においてハイブリダイズする核酸断片であって、哺乳動物体内で発現されることにより該哺乳動物にトキソプラズマ症に対する免疫を付与することができる核酸断片を含む組換え哺乳動物細胞用ベクターであって、動物細胞内で核酸断片によりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドを産生することができる組換え哺乳動物細胞用ベクターから成る、トキソプラズマ症に対する遺伝子ワクチン。
  5. コードされるアミノ酸数が580以上である請求項2又は4記載の遺伝子ワクチン。
  6. 前記組換え哺乳動物細胞用ベクターは、配列表の配列番号2で示される塩基配列をコードする核酸断片を含む請求項4記載の遺伝子ワクチン。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の遺伝子ワクチンを、哺乳動物(ヒトを除く)に投与することを含む、トキソプラズマ症の予防方法。
  8. 前記哺乳動物が、愛玩動物又は食肉用動物である請求項7記載の方法。
  9. 前記哺乳動物がネコである請求項8記載の方法。
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