JP4271280B2 - 船舶外部の塗装方法および塗装船舶 - Google Patents

船舶外部の塗装方法および塗装船舶 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、船舶外部の塗装方法および塗装船舶に関し、さらに詳しくは少品種の塗料で防食性、耐候性、防汚性に優れた塗膜を形成でき、従って塗装期間の短縮化や、塗料貯蔵・保管コストの低減を図ることができ、塗装作業者の衛生面の向上や環境保護の面でも有効であるような船舶外部の塗装方法およびこの方法で塗装された船舶に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
船舶外部には、外板部と甲板部以上の暴露部があり、船舶外板部は、大きく分けると常に水中(淡水、海水を含む)に浸漬している船底部と、水中に浸漬されない外舷部と、これらの中間に位置し、水中への浸漬と空中暴露とが繰り返される水線部とに分けることができる。また、甲板部以上の暴露部は、甲板部と上部構造部とに大別することができる。
【0003】
このような船舶外板に塗装を施工する場合、外舷部は、強い陽射しや風波に晒され耐候性などが求められ、船底部は、常に水中にあって防汚性が求められ、水線部は、強い風波を受けたり水中への浸漬と乾燥空気中への暴露とが繰り返されるため、耐候性、耐水性、必要に応じて防汚性が求められる。
【0004】
このため、従来では、各部位に要求される機能を持った塗料を塗装するために付着性などを考慮した専用のプライマーを複数種品揃えし、塗装系の付着性、防食性を確保していた。
【0005】
また、従来では特に船底部、必要に応じて水線部を含む部分には、防食性に優れたタールエポキシ系重防食塗料が厚く塗装されていたが、タールの発ガン性の問題や、タールは色相が真っ黒であるため、塗装後の腐食、溶接・溶断の熱影響による焼損、塗膜状態等を目視検査では判別しにくいという問題点があった。
【0006】
さらに、タールを含有する塗料は、その塗膜上に塗装された上塗り層にタール分が移行(タールブリード)し、塗装された船舶の美観を損ねたり、防汚性、耐候性等の機能にも悪影響を及ぼすという欠点がある。
【0007】
また、外板のうち外舷部、必要に応じて水線部のプライマーとしては、タールブリードを避けるために、非タール系のプライマーを使用することが一般的であるが、船底部、または船底部および水線部のプライマーには、タールエポキシ系重防食塗料を使用する場合、タール系/非タール系プライマーの塗り分け部を養生(すなわち、シートやテープの貼り付けによる非塗装部の保護)により塗り分けたり、ラップ部(異種塗料が重なる部分)を注意深く工夫し、塗装しなければならない上、別の塗料を使用する「塗料の切り替え」時には、充分な塗装機(器)の洗浄が必要であり、煩雑な工程とシンナーの無駄使いを要していた。
【0008】
さらに、従来、タールエポキシ系重防食塗料上に非有機錫系加水分解性防汚塗料を塗装する場合、相互密着性が劣るため、ビニル系やタールビニル系のバインダーコートをタールエポキシ系重防食塗料からなる塗膜上に塗装した後、非有機錫系加水分解性防汚塗料を塗装しなければならなかった。その上、タールエポキシ系重防食塗料を塗装した後、その塗膜上に上塗塗装する際には所定のインターバル(時間間隔)を設けて上塗塗装が施工されるが、タールエポキシ系重防食塗料ではこのインターバルが比較的短いため、煩雑な工程、施工管理が必要であった。
【0009】
しかも、このような従来の船体外板の塗装方法さらには暴露部をも対象とする船舶外部の塗装方法では、顧客の多様なニーズに合わせて極めて多くの銘柄の塗料を品揃えしなければならない上に、面倒な施工管理等を要するために、塗料の貯蔵、輸送、保管コストが大きくなり、塗装工程の煩雑化による塗装期間の長期化や煩雑な工程管理が必要であるなどの問題点があった。
【0010】
このため、より少ない品種の塗料を特定の順序で船舶外板に塗布して防汚性などに優れた塗膜を形成でき、塗装期間を短縮化でき、塗料貯蔵コストの低減も図ることができ、塗装作業者の衛生面の向上や環境保護の面でも有効であるような船舶外部の塗装方法の開発が望まれていた。
【0011】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、特定のプライマーを用いることにより外板部用、および甲板部以上の暴露部用のプライマーを一品種のみとし、バインダーコートの使用も省略して、少品種の塗料のみを塗布することにより所望の防食性、耐候性、耐水性、防汚性等の機能を船舶外部に付与でき、塗装工程の合理化、塗料貯蔵コストの低減を図ることができ、さらに塗装作業者の衛生面の向上や環境保護の面でも有効であるような船舶外部の塗装方法及び、この方法で塗装された船舶を提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】
本発明に係る船舶外部の塗装方法は、
船舶の船底部(イ) 、水線部(ロ) および外舷部(ハ) からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ) および上部構造部(ホ) からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に、プライマーとして同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料を塗布し、
次いでこのプライマー塗膜上に、船底部(イ) 、または船底部(イ) および水線部(ロ) には、さらに非有機錫系加水分解性防汚塗料を塗布し、外舷部(ハ) には外舷部用上塗り塗料を塗布し、甲板部(ニ) には甲板部用上塗り塗料を塗布することを特徴としている。
【0013】
本発明においては、船舶の船底部(イ) 、水線部(ロ) および外舷部(ハ) からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ) および上部構造部(ホ) からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に、プライマーとして同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料を塗布し、次いでこのプライマー塗膜上に、船底部(イ) 、または船底部(イ) および水線部(ロ) には、さらに非有機錫系加水分解性防汚塗料を塗布し、外舷部(ハ) には外舷部用上塗り塗料を塗布し、甲板部(ニ) には甲板部用上塗り塗料を塗布し、上部構造部(ホ) には上部構造部用上塗り塗料を塗布しても良い。
【0014】
また、本発明においては、船舶の船底部(イ)、水線部(ロ)および外舷部(ハ)からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ)および上部構造部(ホ)からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に、プライマーとして同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料を塗布し、次いでこのプライマー塗膜上に、船底部(イ)、または船底部(イ)および水線部(ロ)には、さらに非有機錫系加水分解性防汚塗料を塗布し、外舷部(ハ)には外舷部用上塗り塗料を塗布し、甲板部(ニ)には甲板部用上塗り塗料を塗布しても良い。
また、船舶の船底部 ( ) 、水線部 ( ) および外舷部 ( ) からなる外板部(A)、ならびに甲板部 ( ) および上部構造部 ( ) からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に、プライマーとして同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料を塗布し、次いでこのプライマー塗膜上に、船底部 ( ) 、または船底部 ( ) および水線部 ( ) には、さらに非有機錫系加水分解性防汚塗料を塗布し、外舷部 ( ) には外舷部用上塗り塗料を塗布し、甲板部 ( ) には甲板部用上塗り塗料を塗布し、水線部 ( ) にさらに水線部用上塗り塗料を塗布してもよい。
【0015】
本発明に係る塗装船舶は、
船舶の船底部(イ) 、水線部(ロ) および外舷部(ハ) からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ) および上部構造部(ホ) からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に形成された、同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料からなるプライマー層と、
船底部(イ) 、または船底部(イ) および水線部(ロ) のプライマー層上に形成された非有機錫系加水分解性防汚層と、
外舷部(ハ) のプライマー層上に形成された外舷部上塗り層と、
甲板部(ニ) のプライマー層上に形成された甲板部上塗り層と
を有することを特徴としている。
【0016】
本発明に係る塗装船舶は、
船舶の船底部(イ) 、水線部(ロ) および外舷部(ハ) からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ) および上部構造部(ホ) からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に形成された、同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料からなるプライマー層と、
船底部(イ) 、または船底部(イ) および水線部(ロ) のプライマー層上に形成された非有機錫系加水分解性防汚層と、
外舷部(ハ) のプライマー層上に形成された外舷部上塗り層と、
甲板部(ニ) のプライマー層上に形成された甲板部上塗り層と、
上部構造部(ホ) のプライマー層上に形成された上部構造部上塗り層と
を有していても良い。
【0017】
また、本発明に係る塗装船舶は、
船舶の船底部(イ)、水線部(ロ)および外舷部(ハ)からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ)および上部構造部(ホ)からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に形成された、同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料からなるプライマー層と、
船底部(イ)、または船底部(イ)および水線部(ロ)のプライマー層上に形成された非有機錫系加水分解性防汚層と、
外舷部(ハ)のプライマー層上に形成された外舷部上塗り層と、
甲板部(ニ)のプライマー層上に形成された甲板部上塗り層と、
を有していても良い。
また、船舶の船底部 ( ) 、水線部 ( ) および外舷部 ( ) からなる外板部(A)、ならびに甲板部 ( ) および上部構造部 ( ) からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に形成された、同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料からなるプライマー層と、
船底部 ( ) 、または船底部 ( ) および水線部 ( ) のプライマー層上に形成された非有機錫系加水分解性防汚層と、
外舷部 ( ) のプライマー層上に形成された外舷部上塗り層と、
甲板部 ( ) のプライマー層上に形成された甲板部上塗り層と、
水線部 ( ) にさらに形成された水線部上塗り層と、
を有していてもよい。
【0018】
本発明では、上記いずれの塗装方法、塗装船舶においても、非タール系エポキシ樹脂重防食塗料(プライマー)あるいは該塗料を塗布硬化してなるプライマー層が、さらに熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
【0019】
また、この熱可塑性樹脂が、塩素化ポリオレフィン、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂のうちのいずれか1種または2種以上であることが好ましく、前記塩化ビニル系樹脂が、塩化ビニル−ビニルアルキルエーテル共重合体であることがより好ましく、塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体であることがさらに望ましい。
【0020】
本発明では、上記非タール系エポキシ樹脂重防食塗料あるいは該塗料を塗布硬化してなる層が、アルミニウム粉を含有することが好ましい。
前記非タール系エポキシ樹脂重防食塗料は、さらにトリアルコキシシラン化合物を含有していてもよい。該トリアルコキシシラン化合物としては、エポキシ基含有トリアルコキシシラン化合物が好ましい。
【0021】
また、前記非タール系エポキシ樹脂重防食塗料は、さらに鱗片状体質顔料を含有していてもよい。
また、前記外舷部用上塗り塗料あるいは該上塗り塗料を塗布硬化してなる外舷部上塗り層が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系(塩化ゴム系)塗料から選ばれた少なくとも1種の塗料を塗布してなり、
前記甲板部用上塗り塗料あるは該上塗り塗料を塗布硬化してなる甲板部上塗り層が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系(塩化ゴム系)塗料から選ばれた少なくとも1種塗料を塗布してなることが好ましい。
【0022】
さらに、前記上部構造部用上塗り塗料あるは該上塗り塗料を塗布硬化してなる上部構造部上塗り層が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系(塩化ゴム系)塗料から選ばれた少なくとも1種塗料を塗布してなることが好ましい。
【0023】
本発明では、上記非有機錫系加水分解性防汚塗料が、(i) トリアルキルシリルエステル共重合体、(ii)不飽和カルボン酸金属塩系共重合体および(iii) ビニル系樹脂の少なくとも1つの側端末端部に、金属エステル結合を介して有機酸が結合した樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の加水分解性樹脂を結合成分とする非有機錫系加水分解性防汚塗料であることが好ましい。
【0024】
この(i) トリアルキルシリルエステル共重合体としては、重合性不飽和カルボン酸のトリアルキルシリルエステルから誘導される成分単位を20〜65重量%の量で有し、数平均分子量(Mn)が1000〜50000であることが好ましい。
【0025】
本発明に係る船舶外部の塗装方法によれば、少品種の塗料で防食性、耐候性、防汚性に優れた塗膜を形成でき、従って塗装期間の短縮化や、塗料貯蔵・保管コストの低減を図ることができ、塗装作業者の衛生面の向上や環境保護の面でも有効である。
【0026】
また、本発明に係る上記塗装船舶は、少品種の塗料で短期間に衛生的な塗装作業により得られ、防食性、耐候性、防汚性に優れている。
【0027】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る船舶外部の塗装方法および塗装船舶について具体的に説明する。
【0028】
[船舶外部の塗装方法]
本発明では、船舶の船底部(イ) 、水線部(ロ) および外舷部(ハ) からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ) および上部構造部(ホ) からなる甲板部以上の暴露部(B)全体に、プライマーとして下記のような同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料を塗布し、好ましくは乾燥させる。次いで、このプライマー塗膜上に、船底部(イ) 、または船底部(イ) および水線部(ロ) 部分には、さらに下記のような非有機錫系加水分解性防汚塗料を塗布し、外舷部(ハ) には外舷部用上塗り塗料を塗布し、甲板部(ニ) には甲板部用上塗り塗料を塗布している。
【0029】
また、上部構造部(ホ) に形成されたプライマー塗膜上に、上部構造部用上塗り塗料を塗布してもよい。
本発明においては、必要に応じて水線部(ロ) に形成されたプライマー塗膜上に水線部用上塗り塗料を塗布することができる。
【0030】
なお、船底部(イ) のうちの平底部は、船舶の水中最深部に位置し、太陽光の入射が殆どないため藻類の発育に適さない等、生物による汚損環境としては比較的マイルドな条件下にある。
【0031】
それ故に、平底部については、防汚性に優れた非有機錫系加水分解性防汚塗料を使用せず、安価で経済性に優れた従来型の防汚塗料(例えば、塩化ゴム系防汚塗料、ビニル系防汚塗料、アクリル系防汚塗料等)や、水和分解型防汚塗料等を塗布することができ、さらに船舶の運航環境によっては、防汚塗料を塗装しないことも可能である。
【0032】
本発明では、プライマー処理された上記船舶の外舷部(船体の水線部より上部の外板)ならびに甲板部(ニ) および上部構造部(ホ) からなる甲板部以上の暴露部(B)は、強い陽射しや風波に晒され耐候性などが求められることからウレタン系、エポキシ系、アクリル系または塩素化ポリオレフィン系(塩化ゴム系)塗料を塗布することが好ましく、特にウレタン系塗料を塗布することが好ましい。
【0033】
本発明では、プライマー処理された上記船舶の水線部は、海水中への浸漬と空中暴露の乾湿交互作用を受ける厳しい環境下に晒されるため、耐候性、耐水性、さらに必要に応じて防汚性が必要とされ、下記のような非有機錫系加水分解性防汚塗料または水線部用上塗り塗料を塗布している。
【0034】
上記水線部用上塗り塗料としては、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、塩素化ポリオレフィン系(塩化ゴム系)塗料または非有機錫系防汚塗料を用いることが好ましく、特にエポキシ系塗料または非有機錫系加水分解性防汚塗料を用いることが好ましい。
【0035】
なお、このような船舶外部へ上記方法で塗装する際には、(1) 船舶外部全体である外板部(A)および甲板部以上の暴露部(B)全体に上記プライマー塗装し(好ましくはさらに乾燥させ)た後、船底部(イ) 、または船底部(イ) および水線部(ロ) の両方に非有機錫系加水分解性防汚塗料を塗布してもよく、
また、(2) 外板部(A)各部すなわち船底部(イ) 、水線部(ロ) あるいは外舷部(ハ) 毎に、さらにはこれら各部のうちの一部分毎に、プライマー塗装とその上塗りの非有機錫系加水分解性防汚塗料(船底部(イ) 、または船底部(イ) と水線部(ロ) の両方)、またはプライマー塗装と外舷部用上塗り塗料(外舷部)あるいは水線部用上塗り塗料(水線部)を塗装してもよい。さらには、外板のうちプライマー塗装が済み、乾燥したところから順次上記所定の上塗りをしてもよい。
【0036】
以下、まず初めにこのような塗装方法で用いられる上記非タール系エポキシ樹脂塗料、非有機錫系加水分解性防汚塗料、外舷部用上塗り塗料、水線部用上塗り塗料ならびに上部構造部用上塗り塗料について説明する。
[非タール系エポキシ樹脂重防食塗料]
非タール系エポキシ樹脂塗料には、下記のようなエポキシ樹脂、エポキシ樹脂用の硬化剤のほかに、必要により顔料成分、熱可塑性樹脂が含有されていてもよく、さらに通常の塗料組成物中に含有されるような各種トリアルコキシシラン化合物、体質顔料、着色顔料、防錆顔料、可塑剤、溶剤、硬化促進剤、タレ止め剤、沈降防止剤などが配合されていてもよい。
【0037】
本発明の好ましい態様においては、例えば、
▲1▼ エポキシ樹脂としてエポキシ当量が160〜500で、液状〜固形のビスフェノール型エポキシ樹脂を用いた非タール系エポキシ樹脂重防食塗料が好ましい。
【0038】
これらのエポキシ樹脂を更に詳しく例示すると、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプのエポキシ樹脂をはじめ、ダイマー酸変性、ポリサルファイド変性のエポキシ樹脂等を挙げることができ、芳香環を有する構造のエポキシ樹脂が水添された構造のものを用いることもできる。ビスフェノールAまたはビスフェノールFタイプ等の芳香族系エポキシ樹脂が好ましい。
【0039】
代表的なエポキシ樹脂としては、常温で液状のものでは、「エピコート828(商品名)」(シェル(株)製、エポキシ当量180〜190、粘度12,000〜15,000cPs/25℃)、「エポトートYDF−170(商品名)」(東都化成(株)製、エポキシ当量160〜180、粘度2,000〜5,000cPs)、「フレップ60(商品名)」(東レチオコール(株)製、エポキシ当量約280、粘度約17,000cPs/25℃)などを挙げることができ、常温で半固型状のものでは、「エポトートYD−134(商品名)」(東都化成(株)製、エポキシ当量230〜270)などを挙げることができ、
常温で固型状のものでは、「エピコート1001(商品名)」(シェル(株)製、エポキシ当量450〜500)などを挙げることができる。
【0040】
▲2▼ エポキシ樹脂用の硬化剤としては、前記エポキシ樹脂を反応、硬化させ得るものであれば特に限定されず、アミン系,カルボン酸系、酸無水物系、シラノール系のものなどを任意に使用することができるが、船舶外板の塗装は常温環境下で施工する場合が多く、常温で硬化し得る硬化剤が好ましく用いられ、特にアミン系の硬化剤が好ましく用いられる。
【0041】
このようなアミン系硬化剤としては、アミン価50〜1,000の液状〜固形の硬化剤が好ましい。
これらのアミン系硬化剤を更に詳しく例示すると、ポリアルキレンポリアミン、芳香族アミン、ポリアミド、ポリアミドアミン等を挙げることができ、さらにこれらのアミンにエポキシ化合物を付加させたエポキシアダクト体、マンニッヒ変性体、カルボン酸によるアミド変性体等の変性物を用いることもできる。
【0042】
さらにこれらのアミン化合物をケトンで変性したケチミンタイプの硬化剤も使用することができる。
これらの硬化剤のうちで、ポリアミドとしては、具体的には、「ラッカマイドTD−966(商品名)」(大日本インキ化学工業(株)製、アミン価150〜190)などを挙げることができ、
その他のアミン化合物として、ケチミンタイプの変性脂環式ポリアミンである「アンカミンMCA(商品名)」(アンカーケミカル社製、アミン価250〜350)など、エポキシアダクト系アミンである「PA−23(商品名)」(大竹化学(株)製、アミン価80〜150)など、変性フェノルカミンである「カードライト541LV(商品名)」(アンカーケミカル社製、アミン価260〜350)など、変性芳香族ポリアミンである「アデカハードナーEH101(商品名)」(旭電化(株)社製、アミン価400〜500)など多種の化合物を例示することができる。これらのアミン系硬化剤のなかでは、ポリアミド、ポリアミドアミンのエポキシアダクト、変性フェノルカミンが特に好ましい。
【0043】
▲3▼ 非タール系エポキシ樹脂塗料中には、上記顔料成分としてアルミニウム粉を含有することが好ましい。アルミニウム粉としては、リーフィングタイプやノンリーフィングタイプの平均粒径1〜100μmのアルミニウム粉を挙げることができる。
【0044】
このようなアルミニウム粉を塗料中に、3〜30重量%となるような量で配合することで没水環境下での耐水性が良好となる。
▲4▼ 非タール系エポキシ樹脂塗料中には、さらに熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。このように非タール系エポキシ樹脂重防食塗料中に熱可塑性樹脂が含有される場合には、この熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂と硬化剤との総量100重量部に対して5〜90重量部の量で含有されることが好ましい。
【0045】
熱可塑性樹脂は、この非タール系エポキシ樹脂重防食塗料(エポキシ塗料)の硬化時に、内部応力の緩和剤として作用し、下地や下塗り層と、該エポキシ塗料を塗布硬化してなるエポキシ層との付着性を向上させ、
また、この熱可塑性樹脂は、溶剤可溶性であり、上塗り塗料中の溶剤により溶解されるため、上塗り塗料に対するこのエポキシ層の付着性の向上や、該エポキシ塗料の塗装インターバル制限を延長(緩和)でき、該エポキシ層上に塗布可能な各種上塗り塗料の適応種の拡大に寄与する。
【0046】
このような熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、塩化ゴム、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン;
(メタ)アクリル酸メチル系共重合体、(メタ)アクリル酸エチル系共重合体、(メタ)アクリル酸プロピル系共重合体、(メタ)アクリル酸ブチル系共重合体、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル系共重合体等のアクリル系樹脂;
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−イソブチルビニルエーテル共重合体、塩化ビニル−イソプロピルビニルエーテル共重合体、塩化ビニル−エチルビニルエーテル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(塩ビ共重合体);
スチレン系樹脂;芳香族系石油樹脂;脂肪族系石油樹脂;尿素アルデヒド縮合系樹脂;ケトン系樹脂等を挙げることができ、アクリル系樹脂、塩ビ共重合体が好ましく、中でも、塩ビ−イソブチルビニルエーテル共重合体等の塩化ビニル−アルキルビニルエーテル共重合体が最も好ましい。
【0047】
このような塩ビ−イソブチルビニルエーテル共重合体としては、BASF社製の「ラロフレックスLR8829(商品名)」、「ラロフレックスMP25(商品名)」、「ラロフレックスMP35(商品名)」、「ラロフレックスMP45(商品名)」等を挙げることができる。
【0048】
非タール系エポキシ樹脂塗料中には、この他各種トリアルコキシシラン化合物、体質顔料、着色顔料、防錆顔料、可塑剤、溶剤や硬化促進剤、タレ止剤、沈降防止剤など通常塗料に用いられる各種の材料が配合されていてもよい。
【0049】
上記トリアルコキシシラン化合物としては、具体的には、
γ- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ- グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のγ- グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン;
3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリプロポキシシラン等の3,4-エポキシシクロヘキシルアルキルトリアルコキシシラン;
γ- アミノプロピルトリエトキシシラン、γ- アミノプロピルトリプロポキシシラン等のγ- アミノプロピルトリアルコキシシラン;
N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリプロポキシシラン等のN-フェニル-γ-アミノアルキルトリアルコキシシランなどが挙げられる。これらの内でも、γ- グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、3,4-エポキシシクロヘキシルアルキルトリアルコキシシラン等のエポキシ基含有トリアルコキシシラン化合物が好ましい。
【0050】
これらの化合物は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記体質顔料としてマイカ等の鱗片状体質顔料が好ましく用いられる。
【0051】
このような非タール系エポキシ樹脂重防食塗料(非タール系エポキシ樹脂塗料)は、通常、エポキシ樹脂成分を含有してなる組成物(i) と、硬化剤成分を含有してなる組成物(ii)との2液型として、それぞれ別の容器に保管され、プライマーの塗布時にこれらは混合して用いられるか、2頭ガン等の混合噴霧器により塗装時に混合して用いられる。
【0052】
なお、エポキシ樹脂用の硬化剤として、エポキシ成分と貯蔵中は反応しないように変性された硬化剤(例えばケチミンタイプのアミンブロック系硬化剤)を用いる場合には、非タール系エポキシ樹脂重防食塗料は1液型として用いることができる。
【0053】
このような非タール系エポキシ樹脂重防食塗料では、エポキシ樹脂成分と硬化剤成分は、通常、当量比で1:0.4〜1:0.8で混合(配合)されることが好ましい。
【0054】
このような非タール系エポキシ樹脂重防食塗料は、タール系エポキシ樹脂塗料と異なり、塗装時に皮膚かぶれや刺激を生ずることが少ない。
[非有機錫系加水分解性防汚塗料]
非有機錫系加水分解性防汚塗料としては、(i) トリアルキルシリルエステル共重合体、(ii)不飽和カルボン酸金属塩系共重合体および(ii)ビニル系樹脂の少なくとも1つの側鎖末端部に、金属エステル結合を介して有機酸が結合した樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の非有機錫系加水分解性防汚塗料が挙げられる。
【0055】
これらのうちで、本発明で好ましく用いられるトリアルキルシリルエステル共重合体(i) 、不飽和カルボン酸金属塩系共重合体(ii)、およびビニル系系樹脂(iii) についてさらに詳説する。
【0056】
<トリアルキルシリルエステル共重合体 (i)
このトリアルキルシリルエステル共重合体は、重合性不飽和カルボン酸のトリアルキルシリルエステルから誘導される成分単位を20〜65重量%の量で有し数平均分子量(Mn)が1000〜50000である。
【0057】
このトリアルキルシリルエステルは、例えば、下記式[I]:
【0058】
【化1】
Figure 0004271280
【0059】
で表される。この式[I]中、R1 は、水素原子またはメチル基等のアルキル基を表し、R2 、R3 およびR4 は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数が1〜18個程度のアルキル基を表し、R2 、R3 およびR4 は互いに異なっていてもよく同一であってもよい。このようなトリアルキルシリルエステルとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸トリメチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリエチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリブチルシリルエステル等のようにR2 、R3 およびR4 が同一のトリアルキルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ジメチルプロピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸モノメチルジプロピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸メチルエチルプロピルシリルエステル等のようにR2 、R3 およびR4 のうちの1部または全部が互いに異なったトリアルキルシリルエステルなどが挙げられる。
【0060】
本発明においては、このようなトリアルキルシリルエステルを1種単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。このようなトリアルキルシリルエステルの内では、R2 、R3 およびR4 のうちの少なくとも1つのアルキル基の炭素数が3以上であるものが好ましく、さらにはこの3つのアルキル基の炭素原子数がすべて4以上であるものが好ましく、またR2 、R3 およびR4 の総炭素数が5〜21程度のものが好ましい。このようなトリアルキルシリルエステルのうちでは、特にトリアルキルシリルエステル合成の容易性、あるいはこのようなトリアルキルシリルエステルを用いてなる防汚塗料組成物の造膜性、貯蔵安定性、研掃性の制御のしやすさなどを考慮すると、(メタ)アクリル酸トリブチルシリルエステルが最も好ましく用いられる。
【0061】
このようなトリアルキルシリルエステルと共重合されるモノマー(コモノマー)としては、任意の重合性不飽和化合物(エチレン性不飽和単量体)を用いることができ、このような重合性不飽和化合物としては、具体的には、例えば(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン、α- メチルスチレン等のスチレン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類などを挙げることができ、好ましくは、メタクリル酸メチルエステル(MMA)が用いられる。このようなMMAは、コモノマー(エチレン性不飽和単量体)中に、通常30重量%以上、好ましくは、50重量%以上の量で含まれていることが好ましい。
【0062】
この(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のような重合性不飽和化合物から誘導される成分単位と、トリアルキルシリルエステルから誘導される成分単位とは、共重合体中においては、原料として用いられた各モノマーのエチレン結合が解裂して通常ランダムに結合している。
【0063】
このような皮膜形成性共重合体中には、上述したように1種または2種以上の上記のような重合性不飽和カルボン酸のトリアルキルシリルエステルから誘導される成分単位(トリアルキルシリルエステル成分単位)が含まれているが、このようなトリアルキルシリルエステル成分単位は、その合計量として20〜65重量%の量で、好ましくは30〜55重量%の量で該共重合体中に含有されていると、この防汚塗料組成物から長期防汚性に優れた防汚塗膜が得られるため好ましい。
【0064】
また、この共重合体のGPC測定による数平均分子量(Mn)は、1000〜50000、好ましくは2000〜20000、さらに好ましくは2500〜15000、特に好ましくは3000〜12000であり、また重量平均分子量(Mw)は、通常1000〜150000、好ましくは2000〜60000、さらに好ましくは3000〜30000であることが望ましく、またこの共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜4.0、好ましくは1.0〜3.0、特に好ましくは1.0〜2.5であることが望ましい。またこの共重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常15〜80℃、好ましくは25〜80℃、さらに好ましくは30〜70℃、特に好ましくは35〜60℃であることが望ましく、またこの共重合体の例えば50%キシレン溶液における粘度(25℃)は、通常30〜1000cPs、好ましくは40〜600cPsであることが望ましい。
【0065】
このような被膜形成性共重合体を調製するには、例えば通常窒素気流中などの不活性雰囲気下、キシレン等の有機溶媒中で、トリブチルシリルメタクリレート等のトリアルキルシリルエステルと、コモノマー類中にメチルメタクリレートが50重量%以上(例:80重量%)の量で含有された重合性不飽和化合物とを、2,2'- アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系あるいは過酸化物系などの重合開始剤、必要に応じてn-オクチルメルカプタンなどの重合調整剤などの存在下に、2〜12時間程度、50〜120℃程度の温度でラジカル重合等の方法にて反応させればよい。
【0066】
このようにして得られた被膜形成性共重合体には、用いられた各モノマー量に対応する量で各成分単位が含まれている。
<不飽和カルボン酸金属塩系共重合体 (ii)
この不飽和カルボン酸金属塩系重合体(ii)としては、(a) (メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩系共重合体と、(b) 金属原子に結合したヒドロキシ基不含の(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体が好ましく用いられる。
【0067】
この(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩系共重合体(ヒドロキシ金属(メタ)アクリレート系共重合体)(a) は、ビヒクル成分として長期微水溶性を有し塗膜に長期防汚性を付与する働きを有し、この(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩系共重合体としては、特開平8−209005号公報、特開平9−286933号公報に記載されているような式、
Rp−COOM−OH ・・・・・[II]
(式[II]中、Rpは基体樹脂を示し、Mは2価の金属原子を示す。)
で表される分子内に金属カルボキシレートを有する樹脂[II]であることが好ましい。
【0068】
このように式[II]で表される、分子内にカルボキシル基を有する樹脂[II]としての(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩系共重合体は、分子内にカルボキシル基を有する樹脂に、2価の金属の酸化物あるいは水酸化物を少量の水の存在下で反応させることにより得ることができる。
【0069】
このような反応の際には、金属の酸化物あるいは水酸化物は、上記樹脂中のカルボキシル基1モルに対して0.1〜1モルの量で用いられ、また水は、カルボキシル基1モルに対して0.1〜1モルの量で用いられる。
【0070】
上記樹脂[II]のより具体的な合成法としては、特開平9−286933号公報に記載されているように、分子内にカルボキシル基を有する樹脂に、該樹脂の0.5〜5重量%の量の水と、付加させたい2価の金属の酸化物あるいは水酸化物とを添加し、さらに必要により極少量の混濁防止用の極性溶媒をも添加し、50〜200℃の温度で1〜20時間反応させればよい。
【0071】
分子内にカルボキシル基を有する樹脂としては、好ましくは(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーと、アクリル酸アルキルエステル(例:メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル)やスチレン等の他のビニル系モノマーとを共重合してなるビニル系重合体が用いられる。なお、カルボキシル基を含有する限り、これ以外の種々のビニル重合体、ポリエステル、ポリウレタン、天然樹脂なども使用可能である。
【0072】
上記2価金属の酸化物あるいは水酸化物としては、銅、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄の酸化物(例:酸化亜鉛)あるいは水酸化物、好ましくは亜鉛の酸化物あるいは水酸化物が用いられ、
極性溶媒としては、ブタノール等のアルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系のものが用いられる。
【0073】
このようにして得られる(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩系共重合体の数平均分子量は、通常、1,000〜50,000、好ましくは3,000〜20,000であり、ガラス転移温度(Tg)は、−10℃〜+60℃、好ましくは+10〜+40℃であり、酸価は、80〜200である。
【0074】
この(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩系共重合体(a) は、防汚塗料組成物中に、樹脂分として、通常、1〜99重量%、好ましくは10〜70重量%の量で含まれていることが好ましい。この(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩系共重合体が、防汚塗料組成物中に1〜99重量%、さらには10〜70重量%の範囲で含まれていると、塗膜表面の長期間にわたる安定した消耗性と防汚性に優れるようになる傾向がある。
【0075】
本発明で用いられる金属原子に結合したヒドロキシ基を含有していない(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(b) は、ビヒクル成分として長期微水溶性を有し塗膜に長期防汚性を付与する働きを有し、この(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体としては、特開平5−171066号公報に記載されているような、
重合性単量体の(メタ)アクリル酸金属塩(イ) 、および該(メタ)アクリル酸金属と共重合可能な水酸基および/またはアミノ基を有する単量体(ロ) 、およびこれら単量体(イ)、(ロ)と共重合可能な「他の単量体」(ハ) を共重合してなり、(メタ)アクリル酸金属塩(イ) から誘導される成分単位が通常2〜30重量%、水酸基および/またはアミノ基を有する単量体(ロ) から誘導される成分単位が2〜30重量%、他の単量体(ハ) から誘導される成分単位が残部量すなわち40〜96重量%((イ)+(ロ)+(ハ) の合計は100重量%)で含まれているものが挙げられる。
【0076】
上記(メタ)アクリル酸金属塩を構成する金属としては、周期律表のIb、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIb、VIIb、VIII族金属が挙げられ、具体的には、Cu、Zn、Ni、Co、Pb、Al、Sn、Mg等の2価以上の金属が挙げられる。
【0077】
このような(メタ)アクリル酸金属塩としては、具体的には、メタアクリル酸亜鉛:[(CH2=C(CH3)−COO-)2Zn]、アクリル酸亜鉛:[(CH2=CH−COO-)2Zn]、メタアクリル酸マグネシウム:[(CH2=C(CH3)−COO-)2 Mg]、アクリル酸マグネシウム:[(CH2=CH−COO-)2Mg]、メタアクリル酸銅:[(CH2=C(CH3)−COO-)2Cu]、アクリル酸銅:[(CH2=CH−COO-)2Cu] 等が挙げられる。
【0078】
水酸基および/またはアミノ基を有するビニル系単量体(ロ) としては、水酸基およびアミノ基のうちのいずれかを1個以上有していれば、単量体であっても2〜3量体等であってもよく、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプリピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を1個有するものが挙げられる。その他、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ- ブチルラクトン、ε- カプロラクトン等との付加物;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2〜3量体;グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基を複数個有する単量体等が挙げられる。
【0079】
アミノ基を有する単量体としては、第1級〜第3級のいずれであってもよく、(メタ)アクリルアミド、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第1〜第2級アミノ基含有単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。その他、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環族系塩基性単量体等が挙げられる。
【0080】
上記(メタ)アクリル酸金属塩(イ) あるいは単量体(ロ) うちの少なくともいずれかと共重合可能な「他の単量体」(ハ) としては、脂肪族系、脂環族系、芳香族系等のいずれであってもよく、(メタ)アクリル酸エステル類のものとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の脂肪族系の単量体;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、等の脂環族系の単量体;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族系単量体等が挙げられる。
【0081】
その他、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、コハク酸等のカルボン酸類や、これらのカルボン酸類から誘導されるエステル類;
スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
【0082】
このような単量体(イ)、(ロ)、(ハ) は、それぞれ1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
このような単量体(イ)、(ロ)、(ハ) が共重合されてなる(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体の数平均分子量は、通常5,000〜100,000程度であり、ガラス転移温度(Tg)は、−20℃〜+50℃程度である。
【0083】
この(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(b) は、防汚塗料組成物中に、樹脂分として、通常、1〜99重量%、好ましくは10〜70重量%の量で含まれていることが好ましい。この(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体が、防汚塗料組成物中にこの範囲内で含まれる場合、塗膜表面の安定した長期にわたる消耗性、および防汚性に優れる傾向にある。
【0084】
このような(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体を製造するには、特開平5−171066号公報に記載の方法に準ずればよく、例えば上記共重合体中の各成分単位量に対応する量の上記(メタ)アクリル酸金属塩(イ) 、水酸基および/またはアミノ基を有する単量体(ロ) 、およびこれら単量体(イ)、(ロ)と共重合可能な「他の単量体」(ハ) を、トルエン等の有機溶剤と混合し、ラジカル重合開始剤の存在下に60〜180℃の温度で5〜14時間溶液重合等すればよい。
【0085】
<ビニル系樹脂 (iii)
本発明で非有機錫系加水分解性防汚塗料に好ましく含有されるビニル系樹脂(iii) は、少なくとも1つの側鎖末端部に、金属エステル結合を介して有機酸が結合したビニル系樹脂である。
【0086】
このようなビニル系樹脂(iii) としては、特開平8−73536号公報、特公平7−108927号公報、特公平7−68458号公報、特公平7−64985号公報等に記載のものを挙げることができる。
【0087】
このようなビニル系樹脂(iii) は、例えば、特開平8−73536号公報に記載されているように、エステルのアルコール残基が主鎖末端から2〜4番目の炭素上に少なくとも1個の側鎖を有する炭素数4以上の分岐アルキル基または炭素数6以上のシクロアルキル基である(メタ)アクリル酸エステル(a) と、重合性不飽和有機酸単量体(b) と、中性重合性不飽和単量体(c) とを共重合して基体樹脂を合成し、この基体樹脂の酸基(例:−COOH、−SO3H)に、金属酸化物、水酸化物、塩化物、硫化物等の金属化合物と、有機酸である1塩基性有機酸(例:酢酸、ナフテン酸)とを同時に反応させるか、あるいは上記基体樹脂に1塩基性有機酸の金属塩を反応させることにより製造できる。
【0088】
上記(メタ)アクリル酸エステル(a) としては、例えば、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられ、重合性有機酸単量体(b) としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、p-スチレンスルホン酸等が挙げられ、中性重合性不飽和単量体(c) としては、例えば、エチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等が挙げられる。上記金属化合物を構成する金属としては、2価以上の金属、例えばCu、Zn、Mn、Ca、Fe、Al、Te、Ba等が挙げられる。
[外舷部用上塗り塗料]
外舷部用上塗り塗料としては、油性(アルキッド)系、フタル酸樹脂系、塩素化ポリオレフィン系(塩化ゴム系)、ビニル系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーンアルキッド系、アクリルシリコーン系、フッ素樹脂系等の上塗り塗料を挙げることができる。
【0089】
本発明に使用される外舷部用上塗り塗料としては、耐候性、付着性、経済性等を考慮し、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系又は塩素化ポリオレフィン系(塩化ゴム系)塗料であることが好ましく、
このような外舷部用上塗り塗料としては、「ユニマリン(商品名)」(中国塗料(株)製、イソシアネート架橋型2液型ウレタン樹脂系上塗塗料)、「エピコンマリン上塗(商品名)」、「エピコンマリンHB(商品名)」(中国塗料(株)製、変性ポリアミドアミン架橋型2液型エポキシ樹脂系上塗塗料)、「ラバックス上塗(商品名)」(中国塗料(株)製、塩素化ポリオレフィン系上塗塗料)、「アクリ700上塗(商品名)」(中国塗料(株)製、アクリル樹脂系上塗塗料)等を挙げることができる。
[水線部用上塗り塗料]
水線部用上塗り塗料としては、前述の外舷部用上塗り塗料の項で挙げた各種塗料を用いることができると共に、非有機錫系防汚塗料を用いることもできる。
【0090】
船舶外板部のような、船舶の浮き沈みにより水中浸漬と空中暴露が繰り返される乾湿交互の厳しい環境下では、耐水性、耐候性、防食性、必要に応じて防汚性が求められるため、これらの中でもウレタン系、エポキシ系、アクリル系、塩素化ポリオレフィン系(塩化ゴム系)塗料又は非有機錫系防汚塗料を用いることが好ましい。
【0091】
これらの水線部用上塗り塗料としては、イソシアネート架橋型2液型ウレタン樹脂系上塗塗料の「ユニマリン(商品名)」(中国塗料(株)製)、変性ポリアミドアミン架橋型2液型エポキシ樹脂系上塗塗料の「エピコンマリン上塗(商品名)」(中国塗料(株)製)、「エピコンマリンHB(商品名)」(中国塗料(株)製)、塩素化ポリオレフィン系上塗塗料の「ラバックス上塗(商品名)」(中国塗料(株)製)、アクリル樹脂系上塗塗料の「アクリ700上塗(商品名)」(中国塗料(株)製)等が挙げられる。
[甲板部用上塗り塗料]
甲板部用上塗り塗料としては、油性(アルキッド)系、フタル酸樹脂系、塩素化ポリオレフィン系(塩化ゴム系)、ビニル系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーンアルキッド系、アクリルシリコーン系、フッ素樹脂系等の上塗り塗料を挙げることができる。
【0092】
本発明に使用される甲板部用上塗り塗料としては、耐候性、付着性、経済性等を考慮し、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系又は塩素化ポリオレフィン系(塩化ゴム系)塗料であることが好ましく、
このような甲板部用上塗り塗料としては、「ユニマリン(商品名)」(中国塗料(株)製、イソシアネート架橋型2液型ウレタン樹脂系上塗塗料)、「エピコンマリン上塗(商品名)」、「エピコンマリンHB(商品名)」(中国塗料(株)製、変性ポリアミドアミン架橋型2液型エポキシ樹脂系上塗塗料)、「ラバックス上塗(商品名)」(中国塗料(株)製、塩素化ポリオレフィン系上塗塗料)、「アクリ700上塗(商品名)」(中国塗料(株)製、アクリル樹脂系上塗塗料)等を挙げることができる。
[上部構造部用上塗り塗料]
上部構造部用上塗り塗料としては、油性(アルキッド)系、フタル酸樹脂系、塩素化ポリオレフィン系(塩化ゴム系)、ビニル系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーンアルキッド系、アクリルシリコーン系、フッ素樹脂系等の上塗り塗料を挙げることができる。
【0093】
本発明に使用される上部構造部用上塗り塗料としては、耐候性、付着性、経済性等を考慮し、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系又は塩素化ポリオレフィン系(塩化ゴム系)塗料であることが好ましく、
このような上部構造部用上塗り塗料としては、「ユニマリン(商品名)」(中国塗料(株)製、イソシアネート架橋型2液型ウレタン樹脂系上塗塗料)、「エピコンマリン上塗(商品名)」、「エピコンマリンHB(商品名)」(中国塗料(株)製、変性ポリアミドアミン架橋型2液型エポキシ樹脂系上塗塗料)、「ラバックス上塗(商品名)」(中国塗料(株)製、塩素化ポリオレフィン系上塗塗料)、「アクリ700上塗(商品名)」(中国塗料(株)製、アクリル樹脂系上塗塗料)等を挙げることができる。
【0094】
本発明で用いられる上記の各塗料には、通常船舶外板塗料に配合されるような成分、例えば、防汚剤、可塑剤、加水分解調整剤、顔料、溶剤、粘度調整剤、その他の添加剤等が含まれていてもよい。
【0095】
本発明では、上述したプライマー等の各塗料を塗布硬化してなる塗膜(硬化膜)を、船舶の外板表面に形成するには、例えば、エアレススプレー、エアースプレー、刷毛塗り、ローラー塗りなど常法によればよい。なお、上記プライマー処理に先立ち、必要により、錆、油脂、水分、塵埃、スライム、塩分、などの外板表面付着物を清掃・除去してもよい。また、上記塗料は、シンナー等で適宜濃度に希釈して用いてもよい。
【0096】
また、このような塗料の塗布量は、船舶の種類、塗り重ねられる塗料の種類・組合わせなどにもより異なり一概に決定されないが、船舶の外板部(A)および甲板部以上の暴露部(B)表面全体に塗布される非タール系エポキシ樹脂重防食プライマーは、例えば100〜500g/m2 の量で、50〜500μm厚程度に塗布され、その乾燥膜厚は、30〜30 0μm程度であり、
該船舶外板の船底部および水線部の該プライマー層上に塗布される非有機錫系加水分解性防汚塗料は、例えば200〜800g/m2 の量で、50〜500μm厚程度に塗布され、その乾燥膜厚は、30〜300μm程度であり、
該船舶外板の外舷部のプライマー層上に塗布されるウレタン塗料は、例えば50〜300g/m2 の量で、40〜300μm厚程度に塗布され、その乾燥膜厚は、30〜150μm程度であり、
該船舶の甲板部のプライマー層上に塗布されるウレタン塗料は、例えば50〜300g/m2 の量で、40〜300μm厚程度に塗布され、その乾燥膜厚は、30〜150μm程度であり、
該船舶の上部構造部のプライマー層上に塗布されるウレタン塗料は、例えば50〜300g/m2 の量で、40〜300μm厚程度に塗布され、その乾燥膜厚は、30〜150μm程度である。
【0097】
なお、エアレススプレー時には、例えば、1次(空気)圧:4〜8kgf/cm2 程度、2次(塗料)圧:100〜180kgf/cm2 程度、ガン移動速度50〜120cm/秒程度に塗装条件を設定すればよい。
【0098】
また上記各塗料の塗装回数は、特に限定されず、塗料濃度、求められる膜厚等に応じて適宜設定可能であり、それぞれ1回ずつでもよく、複数回でもよい。
このように各塗料が上記膜厚となるように塗装・硬化して得られた船舶(塗装船舶)には、タンカー、貨物船、客船、漁船、艀、浮きドックなどの金属製船舶などが挙げられる。
【0099】
さらに本発明では、各種上塗り塗装性に優れた非タール系エポキシ樹脂重防食塗料を、外板部(A)および甲板部以上の暴露部のプライマーとして使用するので、船舶全体の塗料品種の大幅な低減効果を奏する。
【0100】
本発明では、外板部(A)および甲板部以上の暴露部(B)の他に、ホールド部、バラストタンク部についても、同じ下塗り用プライマーを統一して塗装し、しかもまた同じ上塗り用プライマーを統一して塗装することにより、本発明の効果が、より一層期待できる。
【0101】
【発明の効果】
本発明に係る船舶外部の上記塗装方法では、統合された少品種の塗料である非タール系エポキシ樹脂重防食塗料と非有機錫系加水分解性防汚塗料とを用いて防汚性に優れた塗膜を形成でき、従って塗装期間の短縮化や、塗料貯蔵・保管コストの低減を図ることができ、塗装作業者の衛生面の向上や環境保護の面でも有効である。またこのような方法で塗装された船舶、特にその外板部(A)、および甲板部以上の暴露部(B)は、防汚性に優れている。
【0102】
【実施例】
以下、本発明につき、実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何等限定されるものではない。
【0103】
なお、以下の実施例では、膜厚(μm)は、特にその趣旨に反しない限り乾燥膜厚で示す。
また、以下の実施例、比較例等において、「部」は「重量部」の意味である。
【0104】
また、表中の各成分量は、特に断らない限りいずれも「重量部」表示で示す。
[非タール系エポキシ樹脂防食塗料の製造例]
表1に示す配合組成の非タール系エポキシ樹脂防食塗料の主剤(エポキシ樹脂を含む組成物)及び硬化剤(硬化剤成分を含む組成物)を製造した。
【0105】
表1に示す配合組成の非タール系エポキシ樹脂防食塗料を製造するに際しては、主剤については、ガラスビーズを用いてペイントシェーカーで配合物を充分に分散させ製造し、硬化剤についてはハイスピードディスパーを用い配合物を均一に混合して製造した。
【0106】
非タール系エポキシ樹脂防食塗料を塗装する際にはこの主剤、硬化剤を表1に示した重量比で混合した後、直ちに塗装を行った。
【0107】
【表1】
Figure 0004271280
【0108】
(注)表1中で使用している原材料は以下のものである。
(1) エピコート828(商品名):
シェル化学(株)製、ビスフェノールAタイプ、液状エポキシ樹脂(エポキシ当量180〜190)
(2) エピコート834-85x (商品名):
シェル化学(株)製、ビスフェノールAタイプ、半固形エポキシ樹脂(エポキシ当量290〜310、溶媒:キシレン、不揮発分(NV.):85%)
(3) エピコート1001-70 (商品名):
シェル化学(株)製、ビスフェノールAタイプ、固形エポキシ樹脂(エポキシ当量660〜690、溶媒:キシレン/トルエン/MIBK、NV.70%)
(4) ラロフレックスMP-25 (商品名):
BASF社製、塩化ビニル/ビニルイソブチルエーテル共重合体(Mw:28000〜30000)
(5) TCP:
三菱ガス化学(株)製、トリクレジルフォスフェイト
(6) タルクNKK(商品名):
富士タルク(株)製
(7) タール液:
BOケミカル社製、膨潤炭ワニス(溶媒:キシレン、NV.70%)
(8) ディスパロン6600(商品名):
楠本化成(株)製、粉末型ポリアマイドタイプの揺変剤
(9) 弁柄:
商品名「弁柄つばめ」(日本弁柄工業(株)製)
(10)アルペースト1900xS(商品名):
東洋アルミ(株)製、ノンリフィーング形アルミ(NV.75%、溶媒:キシレン、ターペン)
(11)ラッカマイドTD966(商品名):
大日本インキ(株)製、ポリアミドアミン、アミン価150〜190(NV.60%、溶媒:キシレン、1-ブタノール)
(12)シリコンKBM−403(商品名):
信越化学工業(株)製、エポキシアルキルシラン
(13)スゾライトマイカ200HK:
(株)クラレ製、フレーク状マイカ粉
(14)MIBK:メチルイソブチルケトン
(15)TAP(商品名):
化薬アクゾ(株)製、3級アミン、アミン価620
[上塗り塗膜の耐変色性試験]
サンドブラスト処理した70×150×2.3mmの鋼板の片面に供試用非タール系エポキシ樹脂防食塗料(プライマー)を乾燥膜厚が200μmとなるようエアースプレーを用いて塗装し、20℃で24時間乾燥した後、白色塩化ポリオレフィン系上塗り塗料(中国塗料(株)製、商品名 ラバックス上塗白)を乾燥膜厚が50μmとなるようエアースプレーを用いて塗装し20℃で24時間乾燥して、試験板を得た。試験板の供試塗料塗装面が表となるよう試験板を広島県大竹市の中国塗料(株)大竹研究センターに設置した屋外暴露台(JIS K5400 9.9に準拠)に取付け、30日間屋外暴露を行った後、上塗り塗膜の変色程度を目視にて評価した。
【0109】
結果は次の通り。
【0110】
【表2】
Figure 0004271280
【0111】
下塗り塗料「OT-1」〜「OT-4」は、上塗り塗膜の耐変色性に優れるため外舷部や水線部の上塗り塗膜の美観を低下させずに、塗布可能である。
[防食性試験]
サンドブラスト処理した70×150×2.3mmの鋼板に供試塗料をその乾燥膜厚が200μmとなるようエアースプレーを用いて塗装し、20℃で7日間乾燥させ試験板を得た。
【0112】
この試験板を40℃の3%食塩水に180日間浸漬し、フクレの程度をASTM D 714−56、発錆の程度をASTM D 610−85に準じて目視にて評価し、付着性を碁盤目テープ法(JIS K 5400、8.5.2に準拠)により評価した。その結果を表3に示す。
<フクレ試験の評価点数>
10点:フクレ無し
9点:0.5mm径のフクレが試験板の全面積の0.2%未満
8点:0.5mm径のフクレが試験板の全面積の0.5%程度
7点:0.5から1mm径のフクレが試験板の全面積の0.5%程度
6点:1から2mm径のフクレが試験板の全面積の0.5〜1%程度
5点:2から3mm径のフクレが試験板の全面積の1〜5%程度
4点:3から5mm径のフクレが試験板の全面積の5〜10%程度
3点:3から5mm径のフクレが試験板の全面積の10〜15%程度
2点:3から5mm径のフクレが試験板の全面積の15〜30%程度
1点:フクレ発錆面積が試験板の全面積の30%以上
<発錆試験の評価点数(ASTM D 610-85)>
10点:錆無し〜発錆面積が試験板の全面積の0.03%未満
9点:発錆面積が試験板の全面積の0.03%以上0.1%未満
8点:発錆面積が試験板の全面積の0.1%以上0.3%未満
7点:発錆面積が試験板の全面積の0.3%以上1%未満
6点:発錆面積が試験板の全面積の1%以上3%未満
5点:発錆面積が試験板の全面積の3%以上10%未満
4点:発錆面積が試験板の全面積の10%以上16%未満
3点:発錆面積が試験板の全面積の16%以上33%未満
2点:発錆面積が試験板の全面積の33%以上50%未満
1点:発錆面積が試験板の全面積の50%以上
<碁盤目試験の評価点数>
10点:切り傷1本ごとが、細くて両側が滑らかで、切り傷の交点と正方形の一目一目に剥がれがない。
【0113】
9点:切り傷が少し太くなっている。
8点:切り傷の交点にわずかな剥がれがあって、正方形の一目一目に剥がれがなく、欠損部の面積は全正方形面積の5%以内。
【0114】
7点:切り傷の両側と交点とに剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%以内。
6点:切り傷の両側と交点とに剥がれがあって、欠損部の面積は全正方形面積の5〜15%。
【0115】
5点:切り傷による剥がれの幅は、「6点」よりも広く、欠損部の面積は全正方形面積の15〜25%。
4点:切り傷による剥がれの幅が広く、欠損部の面積は全正方形面積の25〜35%。
【0116】
3点:正方形の一目一目に剥がれがあり、その面積は全正方形面積の35%以内。
2点:切り傷による剥がれは「3点」よりも大きく、欠損部の面積は全正方形面積の35〜50%。
【0117】
1点:切り傷による剥がれは「2点」よりも大きく、その面積は全正方形面積の50〜70%。
0点:剥がれの面積は、全正方形面積の70%以上。
【0118】
【表3】
Figure 0004271280
【0119】
この表3によれば、防食塗料「OT-1」〜「OT-4」は、タールエポキシ系重防食塗料と同等以上の防食性能を有することが分かる。
[上塗り性試験]
(各種上塗り塗料との付着性試験)
サンドブラスト処理した70×150×2.3mmの鋼板に供試塗料(プライマー)をその乾燥膜厚が200μmとなるようエアースプレーを用いて塗装した後、広島県大竹市の中国塗料(株)大竹研究センターに設置した屋外暴露台(JIS K5400 9.9に準拠)に供試塗料塗装面が表となるように取付け、10日間屋外暴露を行った後、表4に記載の各種上塗り塗料を乾燥膜厚が50μmとなるようエアースプレーを用いて塗装し、20℃で7日間乾燥後試験板を得た。
【0120】
試験板を20℃の3%食塩水に90日間浸漬した後各種上塗り塗料との付着性を碁盤目テープ法(JIS K 5400 8.5.2に準拠)により評価した。
評価結果は以下の通り。
【0121】
【表4】
Figure 0004271280
【0122】
☆上記表4「H−1」系では、上塗りの変色(かっ色化)が認められる。
※1:中国塗料(株)製、塩素化ポリオレフィン系上塗り塗料(1液型)
※2:中国塗料(株)製、イソシアネート架橋型2液型ウレタン系上塗り塗料
※3:中国塗料(株)製、変性ポリアミドアミン架橋型2液型エポキシ系上塗り塗料
*表4によれば、防食塗料「OT-1」〜「OT-4」は各種上塗り性に優れることが分かる。
[非有機錫系加水分解性防汚塗料の製造]
表5に示す配合組成の各防汚塗料組成物を製造した(各成分量は重量部表示)。
【0123】
表5に示す配合組成の防汚塗料組成物を製造するに際してはガラスビーズを入れたペイントシェーカー内でこれらの配合成分を一緒にして2時間振盪した後、室温で12時間熟成を行った。次いで100メッシュのフィルターでロ過して、所望の非有機錫系加水分解性防汚塗料組成物を得た。
【0124】
【表5】
Figure 0004271280
【0125】
なお、表5中の成分名称等は以下の通りである。
▲1▼「S−3ワニス」:
トリアルキルシリルエステル共重合体溶液
ポリマー中のモノマー組成:トリブチルシリルメタクリレート/メチルメタクリレート=50/50(重量比)
溶媒:キシレン
加熱残分:49.6重量%
粘度:259cPs/25℃
▲2▼「BL−1ワニス」:
アクリルスチレン系共重合体溶液
ポリマー中のモノマー組成:イソブチルメタクリレート/t-ブチルメタクリレート/スチレン/ステアリルメタクリレート=30/30/30/10(重量比)
加熱残分:50重量%
粘度:A4(ガードナー/25℃)
▲3▼「トヨパラックス150」(商品名):
東ソー(株)製の塩素化パラフィン
平均炭素数:14.5
塩素含有率:50%
粘度:12ポイズ/25℃
比重:1.25/25℃
▲4▼「マイカ白玉」(商品名):
(有)脇元雲母製の鱗片状顔料
平均粒径:15μm
アスペクト比:40
▲5▼「モレキュラーシーブ4A」(商品名):
脱水剤、ユニオン昭和(株)製、合成ゼオライトパウダー
▲6▼「ディスパロン305」(商品名):
楠本化成(株)製の水添ヒマシ油系タレ止め剤
▲7▼「ディスパロン4200-20」(商品名):
楠本化成(株)製の酸化ポリエチレン系沈降防止剤、20%キシレンペースト[防汚塗料との付着性試験]
サンドブラスト処理した70×150×2.3mmの鋼板に供試塗料(プライマー)をその乾燥膜厚が200μmとなるようエアースプレーを用いて塗装した後、広島県大竹市の中国塗料(株)大竹研究センターに設置した屋外暴露台(JIS K 5400 9.9に準拠)に供試塗料塗装面が表となるよう取付け10日間屋外暴露を行った後、非有機錫系加水分解性防汚塗料(AF−1,AF−2)を乾燥膜厚が100μmとなるようエアースプレーを用いて塗装し、20℃で7日間乾燥後試験板を得た。
【0126】
試験板を天然海水中に180日間浸漬した後供試験プライマーと非有機錫系加水分解性防汚塗料との付着性を碁盤目テープ法(JIS K 5400 8.5.2に準拠)により評価した。
【0127】
評価結果は次の通り。
【0128】
【表6】
Figure 0004271280
【0129】
[防汚塗料塗装系での防汚性及び消耗度]
広島湾の海水中に設置した回転ドラムの側面に取付け可能なように曲げ加工が施された70×20×3mmのサンドブラスト板を用意した。
【0130】
このサンドブラスト板に供試プライマーを乾燥膜厚が200μmとなるようエアースプレーを用いて塗装し20℃で2日間乾燥した後、非有機錫系加水分解性防汚塗料を乾燥膜厚が200μmとなるようアプリケーターを用いて塗装し、20℃で7日間乾燥し、試験板を得た。
【0131】
なお、上記本発明の塗装方法との比較として、従来の塗装方法を以下のようにして実施した。すなわち、このサンドブラスト板にタールエポキシ系2液型防食塗料(中国塗料(株)製、商品名 ビスコンAC)を乾燥膜厚が150μmとなるようエアースプレーを用いて塗装し20℃で2日間乾燥した後、更にビニル系バインダーコート(中国塗料(株)製、商品名 シルバックスSQK)を乾燥膜厚が50μmとなるようエアースプレーを用いて塗装し、20℃で2日間乾燥した後、非有機錫系加水分解性防汚塗料を乾燥膜厚が200μmとなるようアプリケーターを用いて塗装し、20℃で7日間乾燥し、試験板を得た。
【0132】
回転ドラムにこれらの試験板を取り付けて周速15ノット、50%稼動条件(夜間12時間稼動、昼間12時間停止の交互運転)にて12ヶ月間船舶の運航をシュミレートした後、防汚性(動的防汚性、試験板への各種水棲生物の付着面積%)、消耗度(膜厚減少(μm))の評価を行なった。
【0133】
評価結果は次の通り。
【0134】
【表7】
Figure 0004271280
【0135】
【表8】
Figure 0004271280
【0136】
* 表7および表8より理解されるように、「OT-1」〜「OT-4」は、従来法で必要のバインダーコートを使用せずに従来法と同等以上の防汚性、消耗度を有した塗装系を提供できる。
[塗装回数、塗料品種、シンナー種の低減効果]
本発明の塗装方法と従来の塗装方法との比較を行った。
【0137】
塗装工程の省力化比較は、下記表9に示すような75000トンのバルクキャリアーの新造船の船底部および水線部に非有機錫系加水分解性防汚塗料を2年耐用で塗装して比較した。
【0138】
【表9】
Figure 0004271280
【0139】
[本発明による塗装工程合理化の実施例]
新造船として建造した75000トンのバルクキャリアーの外板部(A)および甲板部以上の暴露部(B)を前記仕様で塗装する場合において以下の各項目における合理化度を従来の塗装方法−1と比較した。
【0140】
合理化度の数値は従来の塗装方法−1を100として本発明の塗装方法の数値を算出した。
1.塗装作業時間
エアレススプレーを用い、塗装機器の準備等を除く塗料噴霧に要する時間(足場、高所作業車での移動時間を含む)にて算出した。
2.非有効作業
▲1▼塗料の切替え及びこれに付随する塗装機器、塗装用具の洗浄作業
▲2▼異種塗料の塗り継ぎ部分で必要なスプレーラップ管理、養生等の作業
▲3▼作業員の移動、塗装の準備、あと片づけ等の作業などの非有効作業について算出した。
3.塗装ミス
塗料の選定ミスや異種塗料の塗り継ぎ部におけるスプレーミス、シンナーの選定ミスによる塗装ミスについて算出した。
4.工程管理作業
塗料間の塗装インターバル管理及び塗装部門以外の工程(ブロックの建造、移動)とのすり合わせ管理及び作業員の配置管理に係る労力を算出した。
5.塗料の保管・管理作業
塗料・シンナーの発注、入出庫、分別整理保管に係る管理作業について算出した。
6.塗料・シンナーロス、廃塗料・廃シンナー処理作業
塗料切替時に生じる塗料、シンナーのロス、異種塗料のスプレーラップ等により生じる塗料の過剰使用によるロス、残塗料のポットライフオーバー等による使用不能塗料の増加及びそれらにより生じる廃塗料、廃シンナーの処理作業について算出した。
【0141】
算出結果を、表10に示す。
【0142】
【表10】
Figure 0004271280
【0143】
以上の通り、本発明の方法により船舶外部の塗装工程の合理化が可能である。
その他同一塗料の塗装面積拡大により塗装作業者の技量が安定化するため、均一で高品質の塗膜が得られ易くなる上、作業の効率が向上する等、計算できないメリットもある。

Claims (30)

  1. 船舶の船底部(イ)、水線部(ロ)および外舷部(ハ)からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ)および上部構造部(ホ)からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に、プライマーとして、熱可塑性樹脂およびトリアルコキシシラン化合物から選択されるいずれか1種、ビスフェノール型エポキシ樹脂ならびにエポキシ樹脂硬化剤を含有する同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料を塗布し、
    次いでこのプライマー塗膜上に、船底部(イ)、または船底部(イ)および水線部(ロ)には、さらに非有機錫系加水分解性防汚塗料を塗布し、外舷部(ハ)には外舷部用上塗り塗料を塗布し、甲板部(ニ)には甲板部用上塗り塗料を塗布することを特徴とする船舶外部の塗装方法。
  2. 船舶の船底部(イ)、水線部(ロ)および外舷部(ハ)からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ)および上部構造部(ホ)からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に、プライマーとして、熱可塑性樹脂およびトリアルコキシシラン化合物から選択されるいずれか1種、ビスフェノール型エポキシ樹脂ならびにエポキシ樹脂硬化剤を含有する同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料を塗布し、
    次いでこのプライマー塗膜上に、船底部(イ)、または船底部(イ)および水線部(ロ)には、さらに非有機錫系加水分解性防汚塗料を塗布し、外舷部(ハ)には外舷部用上塗り塗料を塗布し、甲板部(ニ)には甲板部用上塗り塗料を塗布し、上部構造部(ホ)には上部構造部用上塗り塗料を塗布することを特徴とする請求項1に記載の船舶外部の塗装方法。
  3. 船舶の船底部(イ)、水線部(ロ)および外舷部(ハ)からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ)および上部構造部(ホ)からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に、プライマーとして、熱可塑性樹脂およびトリアルコキシシラン化合物から選択されるいずれか1種、ビスフェノール型エポキシ樹脂ならびにエポキシ樹脂硬化剤を含有する同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料を塗布し、
    次いでこのプライマー塗膜上に、船底部(イ)、または船底部(イ)および水線部(ロ)には、さらに非有機錫系加水分解性防汚塗料を塗布し、外舷部(ハ)には外舷部用上塗り塗料を塗布し、甲板部(ニ)には甲板部用上塗り塗料を塗布し、水線部(ロ)にさらに水線部用上塗り塗料を塗布することを特徴とする請求項1または2に記載の船舶外部の塗装方法。
  4. 前記エポキシ樹脂成分と前記硬化剤成分が、前記非タール系エポキシ樹脂重防食塗料中に、当量比で1:0.4〜1:0.8で含有されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の船舶外部の塗装方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、塩素化ポリオレフィン、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂のうちのいずれか1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の船舶外部の塗装方法。
  6. 前記塩化ビニル系樹脂が、塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体であることを特徴とする請求項5に記載の船舶外部の塗装方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂が、前記非タール系エポキシ樹脂重防食塗料中に、前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との総量100重量部に対して5〜90重量部の量で含有されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の船舶外部の塗装方法。
  8. 前記非タール系エポキシ樹脂重防食塗料が、アルミニウム粉を含有し、かつ、前記熱可塑性樹脂またはトリアルコキシシラン化合物から選択されるいずれか1種が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の船舶外部の塗装方法。
  9. 前記アルミニウム粉が、前記非タール系エポキシ樹脂重防食塗料中に、3〜30重量%となるような量で含有されることを特徴とする請求項8に記載の船舶外部の塗装方法。
  10. 前記トリアルコキシシラン化合物が、エポキシ基含有トリアルコキシシラン化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の船舶外部の塗装方法。
  11. 前記非タール系エポキシ樹脂重防食塗料が、さらに鱗片状体質顔料を含有し、かつ、前記熱可塑性樹脂およびトリアルコキシシラン化合物から選択される少なくとも1種がトリアルコキシシラン化合物であることを特徴とする請求項1〜および10のいずれかに記載の船舶外部の塗装方法。
  12. 前記外舷部用上塗り塗料が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系塗料から選ばれた少なくとも1種の塗料であり、
    前記甲板部用上塗り塗料が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系塗料から選ばれた少なくとも1種の塗料であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の船舶外部の塗装方法。
  13. 前記外舷部用上塗り塗料が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系塗料から選ばれた少なくとも1種の塗料であり、
    前記甲板部用上塗り塗料が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系塗料から選ばれた少なくとも1種の塗料であり、
    前記上部構造部用上塗り塗料が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系塗料から選ばれた少なくとも1種の塗料であることを特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の船舶外部の塗装方法。
  14. 前記非有機錫系加水分解性防汚塗料が、(i)トリアルキルシリルエステル共重合体、(ii)不飽和カルボン酸金属塩系共重合体および(iii)ビニル系樹脂の少なくとも1つの側端末端部に、金属エステル結合を介して有機酸が結合した樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の加水分解性樹脂を結合成分とする非有機錫系加水分解性防汚塗料であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の船舶外部の塗装方法。
  15. 前記非有機錫系加水分解性防汚塗料に含まれる(i)トリアルキルシリルエステル共重合体が、重合性不飽和カルボン酸のトリアルキルシリルエステルから誘導される成分単位を20〜65重量%の量で有し、数平均分子量(Mn)が1000〜50000であることを特徴とする請求項14に記載の船舶外部の塗装方法。
  16. 船舶の船底部(イ)、水線部(ロ)および外舷部(ハ)からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ)および上部構造部(ホ)からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に形成された、熱可塑性樹脂およびトリアルコキシシラン化合物から選択されるいずれか1種、ビスフェノール型エポキシ樹脂ならびにエポキシ樹脂硬化剤を含有する同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料からなるプライマー層と、
    船底部(イ)、または船底部(イ)および水線部(ロ)のプライマー層上に形成された非有機錫系加水分解性防汚層と、
    外舷部(ハ)のプライマー層上に形成された外舷部上塗り層と、
    甲板部(ニ)のプライマー層上に形成された甲板部上塗り層と
    を有することを特徴とする塗装船舶。
  17. 船舶の船底部(イ)、水線部(ロ)および外舷部(ハ)からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ)および上部構造部(ホ)からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に形成された、熱 可塑性樹脂およびトリアルコキシシラン化合物から選択されるいずれか1種、ビスフェノール型エポキシ樹脂ならびにエポキシ樹脂硬化剤を含有する同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料からなるプライマー層と、
    船底部(イ)、または船底部(イ)および水線部(ロ)のプライマー層上に形成された非有機錫系加水分解性防汚層と、
    外舷部(ハ)のプライマー層上に形成された外舷部上塗り層と、
    甲板部(ニ)のプライマー層上に形成された甲板部上塗り層と、
    上部構造部(ホ)のプライマー層上に形成された上部構造部上塗り層と
    を有することを特徴とする請求項16に記載の塗装船舶。
  18. 船舶の船底部(イ)、水線部(ロ)および外舷部(ハ)からなる外板部(A)、ならびに甲板部(ニ)および上部構造部(ホ)からなる甲板部以上の暴露部(B)の全体に形成された、熱可塑性樹脂およびトリアルコキシシラン化合物から選択されるいずれか1種、ビスフェノール型エポキシ樹脂ならびにエポキシ樹脂硬化剤を含有する同一の非タール系エポキシ樹脂重防食塗料からなるプライマー層と、
    船底部(イ)、または船底部(イ)および水線部(ロ)のプライマー層上に形成された非有機錫系加水分解性防汚層と、
    外舷部(ハ)のプライマー層上に形成された外舷部上塗り層と、
    甲板部(ニ)のプライマー層上に形成された甲板部上塗り層と、
    水線部(ロ)にさらに形成された水線部上塗り層と
    を有することを特徴とする請求項16または17に記載の塗装船舶。
  19. 前記エポキシ樹脂成分と前記硬化剤成分が、前記非タール系エポキシ樹脂重防食塗料中に、当量比で1:0.4〜1:0.8で含有されることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の塗装船舶。
  20. 前記熱可塑性樹脂が、塩素化ポリオレフィン、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂のうちのいずれか1種または2種以上であることを特徴とする請求項16〜19に記載の塗装船舶。
  21. 前記塩化ビニル系樹脂が、塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体であることを特徴とする請求項20に記載の塗装船舶。
  22. 前記熱可塑性樹脂が、前記非タール系エポキシ樹脂重防食塗料中に、前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との総量100重量部に対して5〜90重量部の量で含有されることを特徴とする請求項16〜21のいずれかに記載の塗装船舶。
  23. 前記プライマー層を形成する非タール系エポキシ樹脂重防食塗料が、アルミニウム粉を含有し、かつ、前記熱可塑性樹脂およびトリアルコキシシラン化合物から選択される少なくとも1種が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の塗装船舶。
  24. 前記アルミニウム粉が、前記非タール系エポキシ樹脂重防食塗料中に、3〜30重量%となるような量で含有されることを特徴とする請求項23に記載の塗装船舶。
  25. 前記トリアルコキシシラン化合物が、エポキシ基含有トリアルコキシシラン化合物であることを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の塗装船舶。
  26. 前記非タール系エポキシ樹脂重防食塗料が、さらに鱗片状体質顔料を含有し、かつ、前記熱可塑性樹脂およびトリアルコキシシラン化合物から選択される少なくとも1種がトリ アルコキシシラン化合物であることを特徴とする請求項16〜19および25のいずれかに記載の塗装船舶。
  27. 前記外舷部上塗り層が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系塗料から選ばれた少なくとも1種の塗料を塗布してなり、
    前記甲板部上塗り層が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系塗料から選ばれた少なくとも1種の塗料を塗布してなることを特徴とする請求項16〜26のいずれかに記載の塗装船舶。
  28. 前記外舷部上塗り層が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系塗料から選ばれた少なくとも1種の塗料を塗装してなり、
    前記甲板部上塗り層が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系塗料から選ばれた少なくとも1種の塗料を塗装してなり、
    前記上部構造部上塗り層が、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系および塩素化ポリオレフィン系塗料から選ばれた少なくとも1種の塗料を塗布してなることを特徴とする請求項16〜27のいずれかに記載の塗装船舶。
  29. 前記非有機錫系加水分解性防汚層を形成する非有機錫系加水分解性防汚塗料が、(i)トリアルキルシリルエステル共重合体、(ii)不飽和カルボン酸金属塩系共重合体および(iii)ビニル系樹脂の少なくとも1つの側端末端部に、金属エステル結合を介して有機酸が結合した樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の加水分解性樹脂を結合成分とする非有機錫系加水分解性防汚塗料であることを特徴とする請求項16〜28のいずれかに記載の塗装船舶。
  30. 前記非有機錫系加水分解性防汚塗料に含まれる(i)トリアルキルシリルエステル共重合体が、重合性不飽和カルボン酸のトリアルキルシリルエステルから誘導される成分単位を20〜65重量%の量で有し、数平均分子量(Mn)が1000〜50000であることを特徴とする請求項29に記載の塗装船舶。
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