JP4270021B2 - コモンレール式燃料噴射装置の制御方法 - Google Patents

コモンレール式燃料噴射装置の制御方法 Download PDF

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本発明は、コモンレール式燃料噴射装置及びその制御方法に関する。
従来から、燃料の噴射を燃料の加圧・圧送に依存させないことで噴射制御の自由度を高めることを目的として、コモンレールに蓄圧した高圧燃料を機関燃焼室に噴射供給するコモンレール式燃料噴射装置が知られている。このような燃料噴射装置の噴射特性の一つとして、各噴射における燃料噴射率の推移である噴射率パターンが挙げられる。
一般に、機関燃焼室内での燃焼を最適に行うためには、同じ内燃機関であっても機関運転状態(例えば、機関回転数、機関負荷、要求排気温等)によって要求される噴射率パターンは異なる。例えば、機関運転状態が高負荷・高回転状態にあるときには、短期間に多量に燃料を噴射するために高い初期噴射率での噴射が要求され、一方、機関運転状態が低負荷・低回転状態にあるときには、燃焼騒音の低減およびNOX発生の抑制のため、低い初期噴射率での噴射が要求される。このような各機関運転状態における要求を満たすためには、噴射率パターンを変更可能な燃料噴射装置が必要とされる。
特許文献1に記載の燃料噴射装置では、圧力制御室内の燃料圧力が低下することによりニードルをリフトさせると共に、圧電素子を用いた制御弁の開度調整により圧力制御室からの流出燃料の流量を制御するようにしている。したがって、制御弁の開度を大きくすると圧力制御室内の燃料圧力の低下が早くなるため、ニードルの上昇速度は速くなり、一方、制御弁の開度を小さくすると圧力制御室内の燃料圧力の低下が遅くなるため、ニードルのリフト速度は遅くなる。このようにニードルのリフト速度を変更することによって噴射率パターンを変更することができる。
特許文献2に記載の燃料噴射装置では、ニードルのリフト量に応じて開弁する噴孔数を変化させるようにしている。ここでは、開弁している噴孔数が少ないときには燃料噴射率は低く、一方開弁している噴孔数が多いときには燃料噴射率は高いものとなる。したがって、ニードルのリフト量を調整することによって噴射率パターンを変更することができる。
特開平09−256925号公報 特開2002−317725号公報 特開平05−71438号公報 特開2000−179425号公報 特開2001−248483号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の燃料噴射装置では、燃料噴射率を急速に上昇させるには、すなわちニードルの開弁速度を高めるためには、制御弁開弁時の圧力制御室内からの燃料の流出速度を上げると共に圧力制御室への燃料の流入速度を下げる必要がある。しかし、燃料の流入速度を下げると制御弁閉弁時に圧力制御室内の燃料圧力が上昇しにくくなり、ニードル閉弁速度が低下する。したがって、特許文献1に記載の燃料噴射装置では、ニードルの開弁速度を高めることとニードルの閉弁速度を高めることとはトレードオフの関係にあり、所望の噴射率パターンでの噴射を実行することは困難である。
また、上記特許文献2に記載の燃料噴射装置では、開弁されている噴孔数に応じて燃料噴射率が変わるため、燃料噴射率は段階的にしか変化させることができず、したがって変更可能な噴射率パターンも限られている。
このように、上記特許文献1、2に記載の燃料噴射装置においては上述したような欠点がある。このため、これら欠点がなく且つ様々な噴射率パターンを実行可能な燃料噴射装置の開発が望まれている。そこで、本発明の目的は、様々な噴射率パターンの噴射を実行可能な新しいタイプのコモンレール式燃料噴射装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明では、機関燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、内部の燃料が該ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、内部の燃料が上記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える圧力制御室と、高圧燃料を供給する燃料蓄圧部から上記ノズル室および圧力制御室に燃料を供給する燃料供給通路とを有する燃料噴射弁を具備し、上記圧力制御室内の燃料圧力を変更することによって上記ニードルのリフトを制御するコモンレール式燃料噴射装置であって、各燃料噴射弁毎に、上記ノズル室および圧力制御室に通じる燃料供給通路のうちノズル室に通じる燃料供給通路に上記ノズル室へ向かう燃料の流れのみを許可する逆止手段を設けると共に該逆止手段とノズル室との間に容積変更アクチュエータによって容積を変更可能な燃料貯留室を設けたコモンレール式燃料噴射装置の制御方法において、各サイクルに主噴射と該主噴射よりも先に行われるパイロット噴射との少なくとも二回の噴射を行い、該パイロット噴射は、上記圧力制御室内の圧力を変更させることなく上記燃料貯留室の容積を減少させることのみによって上記ニードルをリフトさせ、機関燃焼室に燃料を噴射することによって行われる
圧力制御室内の燃料圧力を変更することによってニードルのリフトを制御する場合、ニードルの上昇速度を上げることとニードルの下降速度を上げることとはトレードオフの関係にある。したがって、或る一定以上にニードルの上昇速度を上げるのは困難である。これに対して、燃料貯留室の容積を減少させることによってニードルをリフトさせる場合、上記トレードオフの関係はない。したがって、上記或る一定以上にまでニードルの上昇速度を上げることが容易であり、燃料噴射開始直後において燃料噴射率の上昇速度の速い燃料噴射を行うことができる。
また、パイロット噴射を燃料噴射率の上昇速度の速い噴射にすることによりパイロット噴射で噴射された燃料の着火位置を機関燃焼室の周辺領域にすることができる。
なお、本明細書において「リフト」という用語は、ニードルが噴孔を閉弁している状態からニードルが持ち上がった状態にあることまたはその状態になることを意味し、ニードルが閉弁状態にあることに相対する概念である。したがって、ニードルが閉弁状態になければ、ニードルが上昇していても下降していてもリフトしている状態に該当するものとする。
の発明では、第の発明において、上記主噴射は上記圧力制御室内の燃料圧力を変更することによって行われる。
噴射では燃料噴射率の上昇速度が比較的遅い噴射が行われるため、主噴射で噴射された燃料の燃焼を緩慢にすることができる。これにより、燃焼騒音の低減とNOX発生の抑制を同時に実現することができる。
上記課題を解決するために、の発明では、機関燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、内部の燃料が該ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、内部の燃料が上記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える圧力制御室と、高圧燃料を供給する燃料蓄圧部から上記ノズル室および圧力制御室に燃料を供給する燃料供給通路とを有する燃料噴射弁を具備し、上記圧力制御室内の燃料圧力を変更することによって上記ニードルのリフトを制御するコモンレール式燃料噴射装置であって、各燃料噴射弁毎に、上記ノズル室および圧力制御室に通じる燃料供給通路のうちノズル室に通じる燃料供給通路に上記ノズル室へ向かう燃料の流れのみを許可する逆止手段を設けると共に該逆止手段とノズル室との間に容積変更アクチュエータによって容積を変更可能な燃料貯留室を設けたコモンレール式燃料噴射装置の制御方法において、上記圧力制御室内の燃料圧力の変更による上記ニードルのリフト開始前に、上記燃料貯留室の容積を減少させることで上記ニードルがリフトしない程度にノズル室内の燃料圧力を予め高めておく。
の発明によれば、ノズル室内の燃料圧力が予め高められているため、圧力制御室内の燃料圧力を低下させ始めると直ぐにニードルがリフトを開始すると共に、ニードルのリフト開始から燃料噴射率の高い噴射が可能である。
上記課題を解決するために、の発明では、機関燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、内部の燃料が該ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、内部の燃料が上記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える圧力制御室と、高圧燃料を供給する燃料蓄圧部から上記ノズル室および圧力制御室に燃料を供給する燃料供給通路とを有する燃料噴射弁を具備し、上記圧力制御室内の燃料圧力を変更することによって上記ニードルのリフトを制御するコモンレール式燃料噴射装置であって、各燃料噴射弁毎に、上記ノズル室および圧力制御室に通じる燃料供給通路のうちノズル室に通じる燃料供給通路に上記ノズル室へ向かう燃料の流れのみを許可する逆止手段を設けると共に該逆止手段とノズル室との間に容積変更アクチュエータによって容積を変更可能な燃料貯留室を設けたコモンレール式燃料噴射装置の制御方法において、上記圧力制御室内の燃料圧力の変更による上記ニードルのリフト開始時、上昇中または下降中に上記燃料貯留室の容積の変更を行う。
の発明によれば、圧力制御室内の燃料圧力の変更を行うことによって実現可能な噴射率パターンに加えて、燃料貯留室の容積変更に伴って実現可能な噴射率パターンでの燃料噴射を実行することができるようになる。
の発明では、第の発明において、上記圧力制御室内の燃料圧力の変更による上記ニードルのリフト開始時に上記燃料貯留室の容積を減少させる。
の発明によれば、リフト開始時におけるノズル室内の燃料圧力が高いものとされる。したがって、ノズル室内の燃料圧力が高いこと、およびそれによりリフト開始直後からニードルの上昇速度が速いことにより、リフト開始、すなわち燃料噴射開始から燃料噴射率の上昇速度は速く、よって燃料噴射開始から燃料噴射率の高い噴射を実現することができる。
の発明では、第の発明において、上記噴孔からの燃料噴射率が上昇している時期に上記燃料貯留室の容積を減少させる。
の発明によれば、燃料貯留室の容積を減少することにより燃料噴射率の上昇速度を上げることができるため、燃料噴射率の上昇途中においてそれまでの燃料噴射率の上昇速度をそれまでの上昇速度よりも速くすることができる。
の発明では、第の発明において、上記噴孔からの燃料噴射率が下降する時期に上記燃料貯留室の容積を増大させる。
の発明によれば、燃料貯留室の容積を増大させることでニードルの下降速度を速めることができ、よって燃料噴射率の下降速度を速めることができる。
の発明では、第の発明において、上記容積変更アクチュエータは、膨張することにより上記燃料貯留室の容積を減少させ且つ収縮することにより上記燃料貯留室の容積を増大させる自己の体積可変なアクチュエータであり、上記燃料貯留室の容積を増大させるために上記体積可変アクチュエータを収縮させる前に該体積可変アクチュエータを予め膨張させておく。
体積可変アクチュエータとして例えば積層圧電素子や超磁歪素子等を用いた場合、電圧等を印加していない状態からは収縮しにくく、その収縮量も小さい。これに対して、電圧印加時の積層圧電素子等の膨張量は大きい。第の発明によれば、膨張量に対応する体積分だけ体積可変アクチュエータを収縮させることができるため、収縮量を大きくすることができる。
の発明では、第の発明において、上記容積変更アクチュエータは、膨張することにより上記燃料貯留室の容積を減少させ且つ収縮することにより上記燃料貯留室の容積を増大させる自己の体積可変なアクチュエータであり、上記圧力制御室内の燃料圧力の変更による上記ニードルのリフト開始時または上記噴孔からの燃料噴射率が増加している時期に上記体積可変アクチュエータを膨張させ、その後上記噴孔からの燃料噴射率が減少している時期に上記体積可変アクチュエータを収縮させる。
の発明によれば、体積可変アクチュエータの膨張時および収縮時にそれぞれ燃料噴射率の上昇速度を上げることおよび燃料噴射率の下降速度を上げることが行われる。したがって、体積可変アクチュエータの膨張、収縮の両作動を有効に利用することができる。
上記課題を解決するために、10の発明では、機関燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、内部の燃料が該ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、内部の燃料が上記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える圧力制御室と、高圧燃料を供給する燃料蓄圧部から上記ノズル室および圧力制御室に燃料を供給する燃料供給通路とを有する燃料噴射弁を具備し、上記圧力制御室内の燃料圧力を変更することによって上記ニードルのリフトを制御するコモンレール式燃料噴射装置であって、各燃料噴射弁毎に、上記ノズル室および圧力制御室に通じる燃料供給通路のうちノズル室に通じる燃料供給通路に上記ノズル室へ向かう燃料の流れのみを許可する逆止手段を設けると共に該逆止手段とノズル室との間に容積変更アクチュエータによって容積を変更可能な燃料貯留室を設けたコモンレール式燃料噴射装置の制御方法において、上記ニードルを噴孔閉弁方向に付勢するバネをさらに具備し、燃料噴射を開始する際に、上記圧力制御室内の燃料および上記バネによって上記ニードルに加えられる噴孔閉弁方向の力が上記ノズル室内の燃料によって上記ニードルに加えられる噴孔開弁方向の力よりも大きくなっている程度に上記圧力制御室内の燃料圧力を低下させた状態で、上記燃料貯留室の容積を減少させることにより上記ニードルをリフトさせることで燃料噴射を開始させるようにした。
10の発明によれば、燃料貯留室の容積を減少させたタイミングで燃料噴射を開始させることができるため、燃料噴射の開始タイミングを正確に調整することができる。
本発明によれば、様々な噴射率パターンの噴射を実行可能であって、従来にない新しい構成のコモンレール式燃料噴射装置が提供される。
以下、図面を参照して本発明のコモンレール式燃料噴射装置について説明する。まず、図1を参照して本発明の燃料噴射装置の構成について説明する。図1は、本発明の燃料噴射装置の燃料噴射装置の概略図である。
本実施形態の燃料噴射装置は、電子制御ユニット(図示せず、以下「ECU」と称す)によって制御される高圧ポンプ1と、この高圧ポンプ1によって燃料タンク2から高圧燃料が供給されるコモンレール(燃料蓄圧部)3と、コモンレール3から高圧燃料が供給され且つ機関燃焼室(図示せず)内に燃料を噴射する燃料噴射弁(以下、「インジェクタ」と称す)4とを備える。また、コモンレール3内の燃料圧力は、リリーフ弁5により比較的高い圧力(例えば、80MPa〜140MPa)に保たれる。
インジェクタ4は、図1に示したように、筒状のノズルボディ11と、このノズルボディ11と同軸に配置されたニードル12と、ニードル12のリフトを制御する制御弁13とを具備する。ノズルボディ11は、その内部に中空空間を有し、この中空空間内にニードル12が収容される。ニードル12の外周面とノズルボディ11の内面との間には、インジェクタ4から噴射すべき燃料が流れるノズル室14が形成される。このノズル室14は、コモンレール3に通じる燃料供給通路15と連通していると共にノズルボディ11の先端部16に設けられた複数の噴孔17と連通する。なお、本明細書においては、図1の下側、すなわちノズルボディ11に噴孔17が設けられている側を下方、図1の上側、すなわち下方とは反対側を上方として説明する。
ニードル12はその軸線方向に摺動可能であり、これにより噴孔17が開閉される。ニードル12が上方へ移動(上昇)せしめられると噴孔17とノズル室14とが通じ、噴孔17から燃料が噴射せしめられる。一方、ニードル12が最も下方の位置(リフトしていない状態)にあり、ニードル12の先端部がノズルボディ11の先端部16の内壁面に形成されたシート上に載置されている場合には噴孔17は閉じられており、噴孔17からの燃料の噴射が停止せしめられる。
ニードル12の上端側には、ニードル12の上端面とノズルボディ11の内面との間に圧力制御室18が画成される。この圧力制御室18内にはニードル12の上端面とノズルボディ11との間にバネ19が配置され、このバネ19はニードル12をノズルボディ11の先端部16に向かって付勢する。したがって、ニードル12は、圧力制御室18内の燃料圧力がノズル室14内の燃料圧力と同一であるかそれよりも高い場合、すなわち圧力制御室18内の燃料圧力によりニードル12が受ける下向き(噴孔閉弁方向)の力(以下、「ニードル閉弁力」と称す)がノズル室14内の燃料圧力によりニードル12が受ける上向き(噴孔開弁方向)の力(以下、「ニードル開弁力」と称す)と同一であるかまたはそれよりも大きい場合、バネ19の付勢力によりニードル12は噴孔17を閉じる。
逆に、圧力制御室18内の燃料圧力によるニードル閉弁力とバネ19の付勢力との合力が、ノズル室14内の燃料圧力によるニードル開弁力よりも小さくなると、ニードル12がリフトし、噴孔17が開かれ、よって噴孔17から燃料が噴射せしめられる。
圧力制御室18は、オリフィス20を介してコモンレール3に通じる燃料供給通路15と連通しており、また制御弁13を介してリターン通路21と連通している。リターン通路21は燃料を燃料タンクへ戻す。制御弁13が閉弁していると圧力制御室18には燃料供給通路15およびオリフィス20を介して燃料が供給されると共に圧力制御室18から燃料は流出しないため、圧力制御室18内の燃料圧力はコモンレール3の高い燃料圧力(以下、「レール圧」と称す)とほぼ同一の圧力にまで上昇せしめられる。
一方、制御弁13が開弁せしめられると圧力制御室18内の燃料がリターン通路21へと流出する。圧力制御室18からリターン通路21へと流出する燃料の流量は、燃料供給通路15から圧力制御室18に流入する燃料の流量はよりも多い。これは、燃料供給通路15と圧力制御室18との間にはオリフィス20が設けられているためである。したがって、圧力制御室18内の燃料圧力は徐々に低下し、それに伴ってニードル閉弁力も低下し、やがてニードル12がリフトせしめられる。
なお、制御弁13はECUによって制御されるソレノイドアクチュエータ22によって開閉せしめられる。しかしながら、制御弁13を開閉するための手段は、ソレノイドアクチュエータでなくてもよく、圧電素子、超磁歪素子等、他のタイプのアクチュエータを用いてもよい。
本発明の燃料噴射装置においては、さらに、ノズル室14および圧力制御室18に通じる燃料供給通路15のうちノズル室14に通じる燃料供給通路、すなわちノズル室14に通じる燃料供給通路であって圧力制御室18に通じるオリフィス20への分岐点よりも下流側の燃料供給通路に、ノズル室14へ向かう燃料の流れのみを許可し、それとは逆向きの燃料の流れを遮断する逆止弁(逆止手段)25が設けられる。また、逆止弁25とノズル室14との間の燃料供給通路15には燃料貯留室26が設けられる。燃料貯留室26は、容積変更アクチュエータ27によってその容積を変更可能である。
容積変更アクチュエータ27は、自己の体積を変更することによって燃料貯留室26の容積を変更するアクチュエータであり、自己の体積を膨張させることによって燃料貯留室26の容積を減少させ、逆に自己の体積を収縮させることによって燃料貯留室26の容積を増大させる。本実施形態では、容積変更アクチュエータ27は、印加電圧に応じてその体積が変化する積層圧電素子であり、印加電圧が高いと膨張し、印加電圧を零にすると収縮する。なお、容積変更アクチュエータ27は積層圧電素子でなくてもよく、超磁歪素子等、自己の体積を変更することができれば如何なるタイプのアクチュエータであってもよい。
次に、上述したように構成された燃料噴射装置の制御方法について説明する。まず、図2および図3を参照して第一実施形態の制御方法について説明する。図2および図3は、第一実施形態の制御方法実行時の各種パラメータの時間変化の様子を示す図であり、図中、Voltは容積変更アクチュエータ27への印加電圧、Vsは燃料貯留室26の容積、Acは制御弁13の開度、Pnはノズル室14内の燃料圧力、Pcは圧力制御室18内の燃料圧力、Liftはニードル12のリフト量、Riはインジェクタ4の燃料噴射率をそれぞれ示す。
第一実施形態の制御方法では、制御弁13を開閉させず、よって圧力制御室18内の燃料圧力を変更させることなく、容積変更アクチュエータ27を作動させることによって燃料噴射を行う。すなわち、燃料貯留室26の容積を減少させることのみによってニードル12をリフトさせ、燃料噴射を行う。まず、図2の時期aよりも前において、圧力制御室18およびノズル室14の燃料圧力はコモンレール3のレール圧となっている。このため、圧力制御室18内の燃料圧力によるニードル閉弁力は、ノズル室14内の燃料圧力による開弁力よりも大きい。これは、ニードル12の最先端部(ニードル12がリフトしていないときにノズルボディ11と当接する部分よりも下方に位置するニードル12の先端部の一部)23にノズル室14内の燃料圧力が加わっていないためである。さらに、ニードル12にはニードル閉弁方向にバネ19の付勢力が加わっている。したがってこのときニードル12はリフトしていない。
図2の時期aにおいて、容積変更アクチュエータ27に電圧が加えられると、容積変更アクチュエータ27は膨張を開始し、それに伴って燃料貯留室26の容積Vsが減少せしめられる。燃料貯留室26とノズル室14とは連通しており、また燃料貯留室26およびノズル室14内の燃料は逆止弁25を通過できないため、燃料貯留室26の容積Vsの減少に伴って燃料貯留室26およびノズル室14内の燃料圧力Pnは上昇していく。ノズル室14内の燃料圧力Pnの上昇によって、図2の時期bにおいて遂に、圧力制御室18内の燃料圧力によるニードル閉弁力とバネ19の付勢力との合力よりも、ノズル室14内の燃料圧力によるニードル開弁力の方が大きくなる。これにより、ニードル12が上昇を開始し、噴孔17が開弁され、燃料噴射が行われる。
このとき、ノズル室14内の燃料圧力Pnはレール圧以上の高圧となっているため、制御弁13を開弁して圧力制御室18内の燃料圧力を低下させることでニードル12をリフトさせる場合(以下、「従来制御の場合」と称す)に比べて、ニードル12の上昇速度が速く、よって燃料噴射率Riの上昇速度は速い。さらに、ノズル室14内の燃料圧力Pnが高圧であるため、噴射される燃料は勢いよく噴孔17から飛び出し、このことによっても燃料噴射率Riの上昇速度が速いものとなる。したがって、本実施形態によれば、噴射開始から燃料噴射率Riの上昇速度が速く、よって燃料噴射率Riも噴射開始直後から従来制御の場合(図2の破線)よりも高くなっているような噴射率パターンで燃料噴射を行うことができる。
ただし、ノズル室14内の燃料圧力Pnは噴孔17からの燃料噴射により低下するのに対して、圧力制御室18内の燃料圧力は一定のままであるか、あるいはニードル12が僅かに上昇することにより高くなる。したがって、ニードル12は、燃料噴射開始時に上昇してから僅かな時間経過後に下降し、噴孔17を閉弁してしまう。したがって、燃料噴射期間は非常に短いものとなる。
したがって、本実施形態の制御方法によれば、従来制御の場合に比べて燃料噴射期間が短く且つ燃料噴射率の高い噴射率パターンの噴射を行うことができる。
なお、逆止弁25下流のノズル室14に通じる燃料供給通路、ノズル室14、容積変更アクチュエータ27膨張時の燃料貯留室26から成る空間の容積はできるだけ小さい方が好ましい。収縮している容積変更アクチュエータ27を膨張させることによって、上記空間内の燃料圧力が大きく変わるようになるためである。
ところで、一般に、機関運転状態が低負荷・低回転状態にあるときには、圧縮上死点付近で行われる主噴射の他にパイロット噴射(主噴射の前に主噴射における燃料噴射量よりも少ない量で行われる燃料噴射)を行うことが有効である。これは、パイロット噴射で噴射される燃料(以下、「パイロット噴射燃料」と称す)が主噴射で噴射される燃料(以下、「主噴射燃料」と称す)の着火源となることで、主噴射燃料が急激に燃焼するのを防止し、燃焼騒音の低減およびNOX発生の抑制等の効果を得ることができるためである。
このようなパイロット噴射では、上記効果を高めるには、主噴射燃料が燃焼室全体で燃焼するように、パイロット噴射燃料が燃焼室の周辺領域(シリンダボアに近接した燃焼室内の領域)で着火するのが好ましい。そのためには、パイロット噴射燃料が燃焼室の周辺領域に到達することが必要であり、またパイロット噴射燃料の着火性を高めるためには噴射された燃料がまとまっていることが必要である。
上述したように、燃料貯留室26の容積を減少させることのみによって燃料を噴射させると、燃料噴射率が高く且つ燃料噴射期間が短い噴射を行うことが可能であるため、パイロット噴射としてこのような噴射を行うことにより、パイロット噴射燃料をまとまったものとすることができると共に燃焼室の周辺領域で着火させることができるようになり、燃焼騒音の低減およびNOX発生の抑制効果を高めることができる。
一方、パイロット噴射を行っている場合の主噴射は、噴射開始からの燃料噴射率の上昇速度が遅い方が好ましい。これは、噴射開始から高い燃料噴射率で噴射を行うと、燃料が一気に燃焼し、燃焼騒音が大きくなってしまうからである。制御弁13を開弁することのみによって燃料を噴射する場合、燃料噴射率の上昇速度は比較的遅いため、本実施形態では、制御弁13を開弁することによって主噴射を行うようにしている。
この様子を図3に示す。図3においては、時期aおよび時期bで、図2に示したように、容積変更アクチュエータ27への電圧印加およびニードル12のリフト開始がそれぞれ行われ、パイロット噴射が行われる。その後、時期cにおいて、制御弁13が開弁され、制御弁13の開度Acが大きくなる。これに伴って、圧力制御室18内の燃料圧力Pcが低下し、時期dにおいて圧力制御室18内の燃料圧力Pc低下によりニードル12のリフトが開始される。その後、圧力制御室18内の燃料圧力Pcが低く維持されることにより、ニードル12のリフト量Liftが徐々に増大する。そしてこのニードル12のリフト量Liftに応じて燃料噴射率Riが変化し、主噴射が行われる。
次に、図4を参照して本発明の第二実施形態の制御方法について説明する。第二実施形態の制御方法では、制御弁13の開弁および容積変更アクチュエータ27の作動を同期させて燃料噴射を行う。
本制御方法では、図4に示したように、まず、時期eにおいて、ECUから開弁信号が制御弁13に送信されて制御弁13が開弁し、圧力制御室18内の燃料圧力Pcが徐々に低下する。ここで、ノズル室14内の燃料圧力Pnがレール圧となっているときに圧力制御室18内の燃料圧力Pcとノズル室14内の燃料圧力Pnとの差圧(以下、「ニードル上下差圧」と称す)がニードル12がリフトを開始するような大きさとなるような圧力制御室18内の燃料圧力を臨界圧Pcrとすると、本実施形態では、圧力制御室18内の燃料圧力Pcが臨界圧Pcrに達する前(時期f)に、容積変更アクチュエータ27に電圧が印加され、容積変更アクチュエータ27が膨張せしめられる。これに伴って燃料貯留室26の容積Vsが減少し、ノズル室14内の燃料圧力Pnが高まる。よって、ニードル上下差圧が大きくなり、ニードル12がリフトを開始する。このとき、ノズル室14内の燃料圧力Pnは非常に高くなっているため、ニードル12の上昇速度は速く、また、噴孔17からの燃料噴射圧も高いものとなる。このため、ニードル12のリフト開始時において燃料噴射率Riの上昇速度が速いものとなる。
このように、第二実施形態の制御方法によれば、圧力制御室18内の燃料圧力Pcを低下させることによりニードル12のリフトを開始させるのと同時に燃料貯留室26の容積Vsを減少させることにより、燃料噴射開始直後の燃料噴射率Riの上昇速度を上げることができ、よって燃料噴射開始から高い燃料噴射率となる噴射率パターンで噴射を行うことができる。なお、図4中の破線は従来制御の場合の噴射率パターンを示しており、本実施形態の制御方法では従来制御の場合に比べて燃料噴射開始から高い燃料噴射率で噴射が行われることがわかる。
ところで、一般に、機関運転状態が高負荷・高回転状態にあるときには、高い出力を得るために短時間に多量に燃料を噴射することが好ましい。本実施形態によれば、燃料噴射開始から高い燃料噴射率で噴射が行われるため、従来制御の場合に比べて同じ時間内に多量の燃料を噴射することができるため、機関運転状態が高負荷・高回転状態にある場合には特に本実施形態の制御方法を実行するのが好ましい。
なお、本実施形態の制御方法には他にも効果がある。一般に、従来制御の場合、圧力制御室内の燃料圧力を臨界圧にまで低下させることによってニードルがリフトせしめられるが、制御弁を開弁してから圧力制御室内の燃料圧力が臨界圧に低下するまでの時間は一定ではなく、燃料温度やレール圧等によって左右される。このため、従来制御の場合、ニードルのリフト開始時期、すなわち噴射開始時期を正確に制御することはできない。
これに対して、本実施形態によれば、制御弁13を開弁してから圧力制御室18内の燃料圧力Pcが低下しながらも、まだ臨界圧Pcrには達していないときに容積変更アクチュエータ27を膨張させることにより燃料噴射が開始される。したがって、圧力制御室18内の燃料圧力Pcを低下させて、噴射開始すべきときに容積変更アクチュエータ27を膨張させれば、容積変更アクチュエータ27を膨張させたタイミング、すなわち容積変更アクチュエータ27に電圧を印加したタイミングで燃料噴射を開始させることができる。したがって、本実施形態によれば、噴射開始時期を正確に制御することができる。
なお、上記実施形態では、制御弁13を開弁してから或る程度の時間が経過すると容積変更アクチュエータ27を膨張させなくても圧力制御室18内の燃料圧力Pcは臨界圧Pcrよりも低下するが、制御弁13を開弁しても圧力制御室18内の燃料圧力Pcが臨界圧Pcrにまでは低下しないようしてもよい。すなわち、制御弁13を開弁しても圧力制御室18内の燃料圧力Pcが臨界圧Pcrよりも僅かに高い圧力にまでしか低下しないようにオリフィス20や制御弁13の開口面積等を設定する。したがって、この場合、容積変更アクチュエータ27を膨張させない限り燃料が噴射されない。
上記第二実施形態では、制御弁13を開弁すると圧力制御室18内の燃料圧力Pcは最終的には臨界圧Pcrに達するが、その臨界圧Pcrに達する前に容積変更アクチュエータ27を膨張させなければ噴射開始時期を正確に制御することができない。したがって、制御弁13の開弁時期が同一である場合、噴射開始時期の調整可能な期間は圧力制御室18内の燃料圧力Pcがある程度低下してから臨界圧Pcrに達する間での期間のみとなり比較的短い。よって、目標噴射開始時期が大きく変わっても噴射開始時期を正確に制御するためには、それに合わせて制御弁13の開弁時期も調整しなければならない。これに対して、圧力制御室18内の燃料圧力Pcが臨界圧Pcrにまでは低下しないようにした場合、比較的早期から制御弁13を開弁しておけば噴射開始時期の調整可能な期間は長く、制御弁13の開弁時期を調整する必要もない。
この場合、圧力制御室18内の燃料圧力Pcが臨界圧Pcrよりも高いとニードル12はリフトを開始しても上昇していかないようにもみえるが、実際には一旦ニードル12のリフトが開始されれば、それまで燃料圧力の加わっていなかったニードル12の最先端部23にも燃料圧力が加わるため、ニードル開弁力がニードル閉弁力よりも大きくなり、よってニードル12はリフトを開始すると上昇していく。
なお、上記第二実施形態の変更例として、制御弁13を開弁させる前に、容積変更アクチュエータ27を膨張させて燃料貯留室26の容積を減少させて、ニードル12がリフトしない程度にノズル室14内の燃料圧力を予め高めておくようにしてもよい。これにより、制御弁13を開弁して圧力制御室18内の燃料圧力Pcが低下し始めると直ぐにニードル12がリフトを開始するため、制御弁13開弁直後から燃料噴射が可能である。また、ノズル室14内の燃料圧力Pnが高いため、ニードル12のリフト開始から燃料噴射率の高い噴射が可能である。
次に、図5を参照して本発明の第三実施形態の制御方法について説明する。第三実施形態の制御方法では、制御弁13の開弁によってニードル12が上昇している途中に容積変更アクチュエータ27を作動させて燃料噴射を行う。
本制御方法では、図5に示したように、まず、時期gにおいて、ECUから開弁信号が制御弁13に送信されて制御弁13が開弁し、制御弁13の開度Acが増大する。これに伴い、圧力制御室18内の燃料圧力Pcが徐々に低下せしめられる。そして時期hにおいて、圧力制御室18内の燃料圧力Pcが上記臨界圧Pcrに達し、ニードル12がリフトを開始する。そして、ニードル12がリフトを開始してから所定時間Δtが経過した時期iにおいて、容積変更アクチュエータ27に電圧が印加され、容積変更アクチュエータ27が膨張せしめられ、燃料貯留室26の容積Vsが減少せしめられる。これに伴って、ノズル室14内の燃料圧力Pnが上昇するためニードル上下差圧が大きくなり、ニードル12の上昇速度が速くなる。このため、容積変更アクチュエータ27の膨張により、燃料噴射率Riの上昇速度が速くなり、その後の燃料噴射率Riが高いものとなる。すなわち、本実施形態では、燃料噴射の途中に燃料噴射率の上昇速度が速くなるような噴射率パターンの噴射が行われる。
ところで、一般に機関運転状態が高負荷・高回転状態と低負荷・低回転状態との間の状態(以下、「中負荷・中回転状態」と称す)にある場合、燃料噴射開始直後から高い燃料噴射率で燃料を噴射すると、着火遅れにより燃料に着火するころには燃焼室内に多量の燃料が噴射されている。このため、燃焼が一気に広がり、燃焼騒音が大きくなり、また燃焼温度が高くなるためNOX発生量も増大する。したがって、機関運転状態が中負荷・中回転状態にあるときには、噴射開始から着火遅れに相当する時間だけ経過してから燃料噴射率を高くするのが好ましい。
ここで、第三実施形態の制御方法では、燃料噴射開始から所定時間Δtは燃料噴射率の上昇速度は遅く、所定時間Δt経過後から高い燃料噴射率で噴射が行われる。したがって、この所定時間Δtを着火遅れに相当する時間に設定することにより、機関運転状態が中負荷・中回転状態にあるときにとって最適な燃料噴射が行われ、燃焼騒音の低減およびNOX発生の抑制を図ることができる。
次に、図6を参照して本発明の第四実施形態の制御方法について説明する。第四実施形態の制御方法では、ニードル12を閉じる際にノズル室14内の燃料圧力Pnを低下させることによりニードル12の閉弁方向の移動速度を速めるようにしている。
本制御方法では、図6に示したように、まず、時期jにおいて、ECUから開弁信号が制御弁13に送信されて制御弁13が開弁し、圧力制御室18内の燃料圧力Pcが低下せしめられる。このとき、容積変更アクチュエータ27には電圧が印加されており、既に膨張した状態となっていて燃料貯留室26の容積Vsは小さいものとなっている。そして、圧力制御室18内の燃料圧力Pcが臨界圧Pcrにまで低下せしめられると、時期kにおいてニードル12がリフトを開始し、燃料噴射が開始せしめられる。
その後、燃料噴射を終了すべきときには、制御弁13が閉弁せしめられると共に容積変更アクチュエータ27が収縮せしめられる(時期l)。制御弁13が閉弁せしめられると圧力制御室18内の燃料圧力Pcが上昇し、ニードル閉弁力が大きくなる。また、容積アクチュエータ27が収縮せしめられることにより、燃料貯留室26の容積Vsが増大せしめられる。この燃料貯留室26の容積増大速度は速く、逆止弁25を通過した燃料が燃料貯留室26に流入するにも関わらず、燃料貯留室26およびノズル室14内の燃料圧力Pnは低下せしめられる。
すなわち、本実施形態ではニードル12が閉弁する際には、圧力制御室18内の燃料圧力Pcが急速に上昇するのに加えてノズル室14内の燃料圧力Pnが低下するため、ニードル閉弁力がニードル開弁力よりも非常に大きいものとなる。このため、ニードル12は急速に閉弁せしめられることとなり、燃料噴射率Riの低下速度が速められる。
一般に、燃料噴射終了時には、燃料噴射率が低い状態となっている期間が短い方が好ましい。すなわち、燃料噴射開始時には着火遅れの問題等の特段の事情があるため場合によっては燃料噴射率が低い状態にあることが必要なこともあるが、燃料噴射終了時にはそのような特段の事情はなく、また燃料噴射終了直前に低い燃料噴射率で噴射された燃料は燃焼に寄与しにくくなるため、燃料噴射終了時には制御弁13を閉弁してから迅速に噴射が終了されるのが好ましい。本実施形態の制御方法では、ニードル12は急速に閉弁せしめられるようになるため、燃焼に寄与しにくい燃料を噴射することはなく燃焼効率を高めることができる。
なお、上記第四実施形態では、制御弁13の閉弁と容積変更アクチュエータ27の収縮とを同時に開始しているが、これらを同時に行わなくてもよい。例えば、制御弁13を閉弁して、ニードル12の閉弁途中に容積変更アクチュエータ27を収縮させて、ニードルの閉弁途中からニードル閉弁速度を高めるようにしてもよい。
また、本実施形態では容積変更アクチュエータ27として積層圧電素子を用いている。積層圧電素子は対象物を引っ張る際には積層状態の各圧電素子が剥がれてしまうことが多い。本実施形態では、積層圧電素子は収縮により燃料貯留室26内に燃料を引っ張り込んでいるようにも見えるが、実際には燃料は比較的高い圧力となっているため積層圧電素子を押圧しており、よって積層圧電素子が剥がれてしまうことはない。
次に、図7を参照して本発明の第五実施形態の制御方法について説明する。本制御方法では、上述した第一実施形態から第四実施形態の制御方法を組み合わせて用いる。
すなわち、機関運転状態が低負荷・低回転状態にあるときには、第一実施形態に示したように容積変更アクチュエータ27を膨張させることによりパイロット噴射を行い、その後主噴射の燃料噴射終了時に、第四実施形態に示したように容積変更アクチュエータ27を収縮させることにより迅速に燃料噴射を終了させる(図7(a))。機関運転状態が中負荷・中回転状態にあるときには、第三実施形態に示したように圧力制御室18内の燃料圧力を低下させることによってニードル12が上昇している途中に、容積変更アクチュエータ27を膨張させて、燃料噴射率の上昇途中から燃料噴射率の上昇速度を上げる。その後、燃料噴射終了時に、第四実施形態に示したように容積変更アクチュエータ27を収縮させることにより迅速に燃料噴射を終了させる(図7(b))。機関運転状態が高負荷・高回転状態にあるときには、第二実施形態に示したように圧力制御室18内の燃料圧力を低下させることによるニードル12のリフト開始と同時に、容積変更アクチュエータ27を膨張させて燃料噴射開始から高い燃料噴射率で燃料噴射を行う。その後、燃料噴射終了時に、第四実施形態に示したように容積変更アクチュエータ27を収縮させることにより迅速に燃料噴射を終了させる(図7(c))。このような制御方法を実行することにより、全ての運転状態において、最適な燃料噴射率パターンで燃料が噴射されるようになる。
次に、本発明の第六実施形態の制御方法について説明する。一般に、インジェクタ4から燃料を噴射すると、燃料噴射終了後にノズル室14等内の燃料には圧力脈動が生じる。このような圧力脈動が次回の燃料噴射が行われるまで続いていると、燃料噴射中にノズル室14内の燃料圧力が上下を繰り返すことになり、不安定な燃料噴射が行われてしまう。
そこで、本発明の第六実施形態では、燃料噴射によってノズル室14内に生じる圧力脈動を打ち消すように燃料貯留室26の容積を変更するようにしている。すなわち、圧力脈動によりノズル室14内の燃料圧力が高くなったときには容積変更アクチュエータ27を収縮させて燃料貯留室26の容積を増大させることで燃料圧力の上昇分を吸収し、逆に圧力脈動によりノズル室14内の燃料圧力が低くなったときには容積変更アクチュエータ27を膨張させて燃料貯留室26の容積を減少させることで燃料圧力の低下分を吸収するようにしている。これにより、燃料噴射終了後にノズル室14等内の燃料に生じる圧力脈動が抑制され、不安定な燃料噴射が防止される。
特に、主噴射の前にパイロット噴射を行う場合、パイロット噴射と主噴射の噴射時期は近いため、パイロット噴射によって生じる圧力脈動は主噴射に大きく影響を及ぼす。したがって、パイロット噴射によって生じる圧力脈動を打ち消すように燃料貯留室26の容積を変更することは非常に有効である。
なお、燃料噴射後にノズル室14等内の燃料に生じる圧力脈動は、ノズル室14、燃料供給通路15並びに燃料貯留室26の形状並びに容積、および噴孔開弁時間並びにレール圧等の機関運転状態から予測可能である。したがって、機関運転状態に応じて容積変更アクチュエータ27を作動させて、燃料噴射後にノズル室14等内の燃料に生じる圧力脈動を打ち消すようにしている。より具体的には、例えば、レール圧やニードル開弁時間等の運転パラメータに応じたノズル室14等内の燃料に生じる圧力脈動を予め計算または実験によって求め、圧力脈動を打ち消すような容積変更アクチュエータ27の作動を上記パラメータに応じたマップとして予めECUに保存する。そしてこのマップに応じて容積変更アクチュエータ27を作動させる。
あるいは、ノズル室14、燃料供給通路15および燃料貯留室26内の燃料圧力を実際に圧力センサ等により検出し、その検出値に基づいて容積変更アクチュエータ27を作動させるようにしてもよい。
本発明の燃料噴射装置の燃料噴射装置の概略図である。 第一実施形態の制御方法実行時の各種パラメータの時間変化の様子を示す図である。 第一実施形態の制御方法実行時の各種パラメータの時間変化の様子を示す図である。 第二実施形態の制御方法実行時の各種パラメータの時間変化の様子を示す図である。 第三実施形態の制御方法実行時の各種パラメータの時間変化の様子を示す図である。 第四実施形態の制御方法実行時の各種パラメータの時間変化の様子を示す図である。 第五実施形態の制御方法実行時の燃料噴射率の推移を示す図である。
符号の説明
3…コモンレール(燃料蓄圧部)
4…インジェクタ(燃料噴射弁)
11…ノズルボディ
12…ニードル
13…制御弁
14…ノズル室
15…燃料供給通路
17…噴孔
18…制御室
19…バネ
20…オリフィス
21…リターン通路
25…逆止弁
26…燃料貯留室
27…容積変更アクチュエータ

Claims (10)

  1. 機関燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、内部の燃料が該ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、内部の燃料が上記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える圧力制御室と、高圧燃料を供給する燃料蓄圧部から上記ノズル室および圧力制御室に燃料を供給する燃料供給通路とを有する燃料噴射弁を具備し、上記圧力制御室内の燃料圧力を変更することによって上記ニードルのリフトを制御するコモンレール式燃料噴射装置であって、
    各燃料噴射弁毎に、上記ノズル室および圧力制御室に通じる燃料供給通路のうちノズル室に通じる燃料供給通路に上記ノズル室へ向かう燃料の流れのみを許可する逆止手段を設けると共に該逆止手段とノズル室との間に容積変更アクチュエータによって容積を変更可能な燃料貯留室を設けたコモンレール式燃料噴射装置の制御方法において、
    各サイクルに主噴射と該主噴射よりも先に行われるパイロット噴射との少なくとも二回の噴射を行い、該パイロット噴射は、上記圧力制御室内の圧力を変更させることなく上記燃料貯留室の容積を減少させることのみによって上記ニードルをリフトさせ、機関燃焼室に燃料を噴射することによって行われる、コモンレール式燃料噴射装置の制御方法。
  2. 記主噴射は上記圧力制御室内の燃料圧力を変更することによって行われる請求項に記載のコモンレール式燃料噴射装置の制御方法。
  3. 機関燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、内部の燃料が該ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、内部の燃料が上記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える圧力制御室と、高圧燃料を供給する燃料蓄圧部から上記ノズル室および圧力制御室に燃料を供給する燃料供給通路とを有する燃料噴射弁を具備し、上記圧力制御室内の燃料圧力を変更することによって上記ニードルのリフトを制御するコモンレール式燃料噴射装置であって、
    各燃料噴射弁毎に、上記ノズル室および圧力制御室に通じる燃料供給通路のうちノズル室に通じる燃料供給通路に上記ノズル室へ向かう燃料の流れのみを許可する逆止手段を設けると共に該逆止手段とノズル室との間に容積変更アクチュエータによって容積を変更可能な燃料貯留室を設けたコモンレール式燃料噴射装置の制御方法において、
    上記圧力制御室内の燃料圧力の変更による上記ニードルのリフト開始前に、上記燃料貯留室の容積を減少させることで上記ニードルがリフトしない程度にノズル室内の燃料圧力を予め高めておくコモンレール式燃料噴射装置の制御方法。
  4. 機関燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、内部の燃料が該ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、内部の燃料が上記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える圧力制御室と、高圧燃料を供給する燃料蓄圧部から上記ノズル室および圧力制御室に燃料を供給する燃料供給通路とを有する燃料噴射弁を具備し、上記圧力制御室内の燃料圧力を変更することによって上記ニードルのリフトを制御するコモンレール式燃料噴射装置であって、
    各燃料噴射弁毎に、上記ノズル室および圧力制御室に通じる燃料供給通路のうちノズル室に通じる燃料供給通路に上記ノズル室へ向かう燃料の流れのみを許可する逆止手段を設けると共に該逆止手段とノズル室との間に容積変更アクチュエータによって容積を変更可能な燃料貯留室を設けたコモンレール式燃料噴射装置の制御方法において、
    上記圧力制御室内の燃料圧力の変更による上記ニードルのリフト開始時、上昇中または下降中に上記燃料貯留室の容積の変更を行うコモンレール式燃料噴射装置の制御方法。
  5. 上記圧力制御室内の燃料圧力の変更による上記ニードルのリフト開始時に上記燃料貯留室の容積を減少させる請求項に記載のコモンレール式燃料噴射装置の制御方法。
  6. 上記噴孔からの燃料噴射率が上昇している時期に上記燃料貯留室の容積を減少させる請求項に記載のコモンレール式燃料噴射装置の制御方法。
  7. 上記噴孔からの燃料噴射率が下降する時期に上記燃料貯留室の容積を増大させる請求項に記載のコモンレール式燃料噴射装置の制御方法。
  8. 上記容積変更アクチュエータは、膨張することにより上記燃料貯留室の容積を減少させ且つ収縮することにより上記燃料貯留室の容積を増大させる自己の体積可変なアクチュエータであり、上記燃料貯留室の容積を増大させるために上記体積可変アクチュエータを収縮させる前に該体積可変アクチュエータを予め膨張させておく請求項に記載のコモンレール式燃料噴射装置の制御方法。
  9. 上記容積変更アクチュエータは、膨張することにより上記燃料貯留室の容積を減少させ且つ収縮することにより上記燃料貯留室の容積を増大させる自己の体積可変なアクチュエータであり、上記圧力制御室内の燃料圧力の変更による上記ニードルのリフト開始時または上記噴孔からの燃料噴射率が増加している時期に上記体積可変アクチュエータを膨張させ、その後上記噴孔からの燃料噴射率が減少している時期に上記体積可変アクチュエータを収縮させる請求項に記載のコモンレール式燃料噴射装置の制御方法。
  10. 機関燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、内部の燃料が該ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、内部の燃料が上記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える圧力制御室と、高圧燃料を供給する燃料蓄圧部から上記ノズル室および圧力制御室に燃料を供給する燃料供給通路とを有する燃料噴射弁を具備し、上記圧力制御室内の燃料圧力を変更することによって上記ニードルのリフトを制御するコモンレール式燃料噴射装置であって、
    各燃料噴射弁毎に、上記ノズル室および圧力制御室に通じる燃料供給通路のうちノズル室に通じる燃料供給通路に上記ノズル室へ向かう燃料の流れのみを許可する逆止手段を設けると共に該逆止手段とノズル室との間に容積変更アクチュエータによって容積を変更可能な燃料貯留室を設けたコモンレール式燃料噴射装置の制御方法において、
    上記ニードルを噴孔閉弁方向に付勢するバネをさらに具備し、燃料噴射を開始する際に、上記圧力制御室内の燃料および上記バネによって上記ニードルに加えられる噴孔閉弁方向の力が上記ノズル室内の燃料によって上記ニードルに加えられる噴孔開弁方向の力よりも大きくなっている程度に上記圧力制御室内の燃料圧力を低下させた状態で、上記燃料貯留室の容積を減少させることにより上記ニードルをリフトさせることで燃料噴射を開始させるようにしたコモンレール式燃料噴射装置の制御方法。
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