JP4269158B2 - 多気筒内燃エンジン - Google Patents
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Description
そこで、この状況を打開する多気筒内燃エンジンの技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
当該エンジンでは、圧縮行程での噴射と膨張行程での噴射とを行い、前者の酸素過剰な燃焼によるO2と後者の不完全な燃焼によるCOとを触媒上で反応させ、触媒の活性化を図っている。
また、この問題を解決できたとしても、これは筒内噴射型内燃エンジンにて達成できる構成であり、他の内燃エンジンに適用し難いとの問題が生ずる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、各種のエンジンにて燃費を損なわずに触媒の早期活性化を図ることができる多気筒内燃エンジンを提供することを目的とする。
また、請求項2の発明では、さらに前記排気ポートを開閉させる排気弁の開閉時期を制御する開閉タイミング調整手段を備え、制御手段は、開閉タイミング調整手段の作動制御も行うものであり、加圧空気供給モードは、排気行程にある気筒の排気弁の閉弁時期を通常よりも早めるとともに、排気行程にある気筒の連通弁を膨張行程中の所定時期から排気行程中の所定時期まで開弁させることを特徴としている。
また、請求項4記載の発明では、前記加圧空気供給制御モードは、HCを低減すべき運転状態で実行されることを特徴としている。
また、請求項6記載の発明では、制御手段は、エンジン低負荷運転の場合には、新気供給手段を駆動させ、吸気行程にある気筒の連通弁を該吸気行程中の所定時期から圧縮行程中の所定時期まで開弁させる加圧空気供給制御モードを実行することを特徴としている。
このことから、加圧空気を利用した燃焼性向上と、他気筒の排気流動を利用した燃焼性向上とが一つの構成で達成できるし、広範なエンジン運転領域にも対応可能になる。また、従来の如く筒内噴射型内燃エンジンに限定されることなく、通常の多気筒内燃エンジンに適用可能となる。
また、請求項2記載の発明によれば、制御手段が排気弁の開弁時期を通常より早める加圧空気供給制御を行うことで、吸気開弁とのオーバーラップ期間が減少して燃焼を安定化できる。
また、請求項4記載の発明によれば、HCの浄化促進を効果的に実現することができる。
また、請求項6記載の発明によれば、制御手段が、エンジン低負荷運転時、すなわち、気筒内に残留する既燃ガスが多くなって燃焼不安定となり易い場合には新気を供給するよう吸気行程にある気筒の連通弁を該吸気行程中の所定時期から圧縮行程中の所定時期まで開弁させる加圧空気供給制御を行うことで、乱れ作用によって等容度が高くなり、熱効率改善を実現することができる。
図1には本発明の一実施形態に係る多気筒内燃エンジンのシステム構成図が示され、図2には該エンジンの部分断面図が示されており、以下図1及び図2に基づき本発明に係る多気筒内燃エンジンの構成を説明する。
当該実施形態に用いられる直列4気筒エンジン(以下、エンジン)1としては、吸気ポートを介した燃料噴射が実施可能なマルチポイントインジェクションエンジン(MPI型エンジン)が一例として示されている。
各吸気ポート4には吸気通路10の一端がそれぞれ接続されている。吸気通路10には、各♯1〜♯4気筒に燃料噴射を行う電磁式のインジェクタ(図示せず)が気筒毎にそれぞれ取り付けられており、該インジェクタは、ピストン5の排気行程で燃焼室3に向けて燃料を噴射する。
さらに、シリンダヘッド2には、4つの気筒11〜14毎に排気ポート6が形成されており、各排気ポート6の燃焼室3側には、各排気ポート6と燃焼室3との連通及び遮断を行う排気弁9がそれぞれ設けられている。この排気弁9の開閉時期は、排気VVT(開閉タイミング調整手段)50による油圧調整によって連続的に可変にされる。排気VVT50には、例えばベーン式可変バルブタイミング機構が適用される。なお、ベーン式可変バルブタイミング機構は公知であり、ここではその構成の詳細については説明を省略する。
ここで、上記各気筒11、12、13、14には、燃焼室3に連通する分岐管(分岐ポート)31、32、33、34が気筒毎に吸気ポート4や排気ポート6とは別個に配設されている。各分岐管31、32、33、34には、該各分岐管を任意の時期に開閉可能な電磁式のポート開閉弁(連通弁)21、22、23、24がそれぞれ装着されている。そして、各分岐管31、32、33、34には、これらを連通するポート連通管(連通室)20が設けられ、このポート連通管20には加圧空気の供給を行う新気供給手段(加圧空気ポンプ)30が接続されている。
ECU60の入力側には、上記各種センサ類が接続されている。一方、ECU60の出力側には、上記インジェクタやスロットル弁18等の他、加圧空気ポンプ30や排気VVT50等の各種出力デバイスが接続され、これら各種出力デバイスには各種センサ類からの検出情報に基づき演算された各信号がそれぞれ出力される。
このように、新気排気導入制御部61が、加圧空気ポンプ30を駆動させてポート開閉弁21、22、23、24を開閉制御すれば、ポート連通管20及び分岐管31、32、33、34を介して気筒毎に新気を供給することができ、燃焼室3内で空気と燃料との乱れ作用を生じさせ、燃焼改善を図ることができる。
よって、加圧空気を利用した燃焼性向上と、他気筒の排気流動を利用した燃焼性向上とを図ることができ、しかも、このような燃費向上及び排気の浄化促進を図る複数の燃焼方式が簡素、かつ、廉価な構成で達成可能となる。
図3及び図4が加圧空気供給制御の説明図である。
当該加圧空気供給制御は、加圧空気ポンプ30を駆動させてポート開閉弁(連通弁)21、22、23、24を開閉制御することにより行われる。また、この制御はエンジン冷態始動時に行われる。これは、エンジン水温が所定温度以下のエンジン始動後の所定期間の時点ではエンジン下流の触媒の温度が低く、この触媒が未活性であるため、排気物質(HC)浄化を特に図る必要があるからである。
また、排気行程前の膨張行程でポート開閉弁を開弁させて加圧空気を供給するので、排気開弁初期のブローダウンガスに余剰空気を供給して酸化反応を促進させて排気中のHCを低減することができる。
したがって、本実施形態の新気排気導入制御部61による加圧空気供給制御によれば、エンジン1の冷態始動時には、加圧空気ポンプ30を駆動させて膨張行程から排気行程にかけてポート開閉弁を開閉制御するので、排気中のHCの酸化反応を促進して排気中のHCを低減できるし、加圧空気の供給による酸化反応で高温となった排気が排気通路40の下流側に配設された触媒を昇温させることから、従来に比して燃費を損なうことなく、冷態始動時の排気浄化促進(HC低減)及び触媒の早期活性化を実現することができる。
図5及び図6が他の加圧空気供給制御の説明図である。
当該加圧空気供給制御は、加圧空気ポンプ30を駆動させてポート開閉弁(連通弁)21、22、23、24を開閉制御することにより行われる。また、この制御はエンジン低負荷運転時に行われる。これは、気筒内に残留した既燃ガスの新気に対する比率が多くなって燃焼不安定となり易いからである。
また、ポート開閉弁21は、筒内圧がポート連通管20の圧力以下の所定時期までに閉じられるので、気筒11の燃焼室3からポート連通管20に逆流することを防止できる。
なお、図6では、気筒11について説明したが、図5に示されるように、吸気行程にある気筒12〜14についても同様に制御できる。これらの開閉はシーケンシャルに繰り返される。なお、当該制御では、新気量及び圧縮上死点近傍での乱れ強度の変化に伴い、燃焼状態も変化することから、ポート開閉弁の開弁期間は、良好な燃焼の維持及び高い熱効率の確保の観点から決定される。よって、各ポート開閉弁の開弁期間は互いに重なることもある。
次に、新気排気導入制御部61による排気還流制御を具体的に説明する。
当該排気還流制御は、加圧空気ポンプ30の駆動を禁止させてポート開閉弁(連通弁)21、22、23、24を開閉制御することにより行われる。また、この制御はエンジン中負荷運転時に行われる。これは、燃焼は安定しているものの、吸気絞りを伴ってポンプ損失が存在し、熱効率の改善の余地があるからである。なお、点火順序が連続しない気筒、一例として、膨張行程にある気筒11(図8の気筒a)及びポート開閉弁21(図7、8の連通弁A)と、この膨張行程に同期して吸気行程にある気筒14(図8の気筒b)及びポート開閉弁24(図7、8の連通弁B)との組み合わせについて以下に示す。
更に、ポート開閉弁24がポート開閉弁21の閉弁前の所定時期に開かれる、具体的には、図4に示す如くポート開閉弁21及びポート開閉弁24の開弁時期が重なると、高圧の排気を有する気筒11と低圧の吸気を有する気筒14とが導通して確実な差圧が生じ、ポート連通管20や分岐管などの通路内容積に起因したガス流入遅れも排除できる。
なお、図8では、膨張行程にある気筒11と吸気行程にある気筒14との組み合わせについて説明したが、膨張行程の気筒とこれに同期する吸気行程の気筒との組み合わせであれば、図7にて膨張行程の気筒のポート開閉弁A及び吸気行程の気筒のポート開閉弁Bと示されるように、膨張行程にある気筒14と吸気行程にある気筒11、膨張行程にある気筒13と吸気行程にある気筒12や、膨張行程にある気筒12と吸気行程にある気筒13についても同様に制御できる。これらの開閉はシーケンシャルに繰り返される。
更に、本実施形態の如く吸気行程後半から圧縮行程前半にかけて損失のない速い流速の排気を流入すれば、図10に示すように、ポート開閉弁Bの圧縮行程にて筒内平均流速が大きくなり、気筒bの燃焼室3内では圧縮上死点前に強い乱れが生成されるので従来に比して筒内流動性の向上を図ることができ、乱流火炎伝播速度が速められて燃焼期間を短縮できる。また、図11に示すように圧縮上死点での熱発生率が高められ、高濃度の排気で希釈された予混合気であっても等容度が高くなることから従来に比して熱効率が良く、安定した燃焼が可能となって燃焼性の向上を図ることができる。なお、等容度とは、燃焼が瞬時に完結しないことによる時間損失の割合をいい、燃焼指標の一つである。
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
また、上記実施形態に加えて、吸気通路に排気の一部を還流するEGRバルブを付加しても良く、中負荷と低負荷との運転で燃焼限界に余裕がある場合にはEGRを利用することでポンプ損失を低減させ、良好な燃焼を維持しながら更なる熱効率を高めることができる。
2 シリンダヘッド
3 燃焼室
4 吸気ポート
6 排気ポート
8 吸気弁
9 排気弁
11、12、13、14 気筒
20 ポート連通管(連通室)
21、22、23、24 ポート開閉弁(連通弁)
30 加圧空気ポンプ(新気供給手段)
31、32、33、34 分岐管(分岐ポート)
50 排気VVT(開閉タイミング調整手段)
60 電子コントロールユニット(ECU)
61 新気排気導入制御部(制御手段)
Claims (7)
- 気筒毎に吸排気ポートとは別個に配設され前記気筒の燃焼室に連通する分岐ポートと、該分岐ポート毎に装着され該ポートを開閉させる連通弁と、前記各分岐ポートを連通する連通室と、該連通室に加圧空気の供給を行う新気供給手段と、エンジン運転状態に応じて該新気供給手段及び前記連通弁を作動制御する制御手段とを設け、
該制御手段は、前記新気供給手段を駆動させて連通弁を開閉制御する加圧空気供給制御モード、及び前記新気供給手段の駆動を禁止させて前記連通弁を開閉制御する排気還流制御モードを有することを特徴とする多気筒内燃エンジン。 - さらに前記排気ポートを開閉させる排気弁の開閉時期を制御する開閉タイミング調整手段を備え、
前記制御手段は、前記開閉タイミング調整手段の作動制御も行うものであり、
前記加圧空気供給モードは、排気行程にある気筒の排気弁の閉弁時期を通常よりも早めるとともに、該排気行程にある気筒の連通弁を膨張行程中の所定時期から前記排気行程中の所定時期まで開弁させることを特徴とする請求項1記載の多気筒内燃エンジン。 - 前記加圧空気供給制御モードは、前記排気弁の閉弁時期と前記吸気ポートを開閉させる吸気弁の開弁時期とのバルブオーバーラップ量を零若しくはネガティブにすることを特徴とする請求項2記載の多気筒内燃エンジン。
- 前記加圧空気供給制御モードは、HCを低減すべき運転状態で実行されることを特徴とする請求項3記載の多気筒内燃エンジン。
- 前記HCを低減すべき運転状態とは、エンジン水温が所定温度以下のエンジン始動後の所定期間であることを特徴とする請求項4記載の多気筒内燃エンジン。
- 前記制御手段は、エンジン低負荷運転の場合には、前記新気供給手段を駆動させ、吸気行程にある気筒の連通弁を該吸気行程中の所定時期から圧縮行程中の所定時期まで開弁させる加圧空気供給制御モードを実行することを特徴とする請求項1記載の多気筒内燃エンジン。
- 前記制御手段は、エンジン中負荷運転の場合に、前記排気還流制御モードを実行することを特徴とする請求項6記載の多気筒内燃エンジン。
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