以下、図面を基にして本願発明の実施の形態を具体的に説明する。
図1は、本願発明の第1実施形態の空気自動供給装置を有する車輪用のハブの一部を断面にした説明図、図2は、図1のII―II線に沿う断面説明図である。
この実施形態の空気自動供給装置10を有する車輪用のハブは、自転車の後車輪用のハブとして実施されている。この空気自動供給装置10を有する自転車用ハブは、車軸101と、ハブ本体1aと、空気自動供給装置10とを備えている。
車軸101は、図1に示すように、外周にネジ部101aを備えている。そして、この車軸101の左右両側、夫々に螺合されるナット140、140を介してこのハブが自転車に取り付けられるようになっている。
ハブ本体1aは、筒状のハブ体102aと、ハブ体102aの内部を区画した区画部材120とを備えている。ハブ体102aの左右両側は、鋼球101c・・・101cを介して車軸101に回転自在に支持されている。より詳しくは、ハブ体102aの左側は、車軸101に螺合された玉押し101bとハブ体102aに設けられた鋼球受け部102hとの間に、グリス(図示せず)と共に転がり可能に配設された鋼球101cを介して回転自在に支持されている。一方、ハブ体102aの右側は、車軸101に螺合された玉押し101dを転がる鋼球101cと、その鋼球101cを介して回転自在に支持された後述の内装変速装置200の駆動用回転部材201を転がる鋼球101cとを介して回転自在に支持されている。
そして、このようにしてハブ体102aが車軸101に支持されることにより、ハブ体102aの内部111が、外部と区画形成されている。
又、このハブ体102aの内部111は、区画部材120によって左側の空気供給室112と、右側の他装置収納室113とに区画されている。
この区画部材120は、図1及び図3に示すように、薄板円板状の区画本体121と、閉塞部材122とを備えている。区画本体121は、中心部に、車軸101を通す軸挿通孔121aを備えている。そして、区画本体121は、軸挿通孔121aに車軸101が通されて車軸101に固定された状態で、ハブ体102aの内部111の略左右中央位置に配置されている。
閉塞部材122は、区画本体121とハブ体102aとの間の隙間を塞ぐためのもので、合成ゴム製のリング状のものから構成されている。この閉塞部材122の内周側は、区画本体121の外周の全周に渡って、気密状態で取り付けられている。閉塞部材122の外周側は、ハブ体102aの内周壁に全周に渡って気密状態で当接されている。これにより、区画本体121と閉塞部材122とによって、ハブ体102aの内部111を、左側の空気供給室112と、右側の他装置収納室113とに、互いに気密状態にして区画している。
尚、気密状態とは、空気自動供給装置10の空気送り込み部10aへの空気の吸引に際して空気が他装置収納室113から負圧状態になった空気供給室112に流れ込むことのない状態をいう。
このように区画された空気供給室112は、外部の空気を取り込んで空気自動供給装置10に送るためのものである。一方、他装置収納室113は、他の装置の全部または一部を収納するためのものである。
この実施形態の他装置収納室113には、他の装置としての内装変速装置200を収納している。以下に、この他装置収納室113に収納された本実施形態の内装変速装置200について説明する。
この実施形態の内装変速装置200は、従来から使用されている複数の歯車を有するもので、図1に示すように、駆動用回転部材201と、この駆動用回転部材201の回転をハブ体102aに回転速度変更可能に伝達する伝達部材210と備えている。
駆動用回転部材201は、図1に示すように車軸101に螺合された右側の玉押し101dを転がる鋼球101c及び、後述する伝達部材210の遊星歯車保持部材202等を介して、車軸101に対して回転自在に配置されている。又、この駆動用回転部材201には、駆動用ギヤ220が備えられており、この駆動用ギヤ220にチェーン(図示せず)が巻回されて駆動されることによって回転するようになっている。
伝達部材210は、二つの太陽歯車203、204と、遊星歯車230を保持した遊星歯車保持部材202とを備えている。太陽歯車203、204は、第1太陽歯車203と、第1太陽歯車203の左側に並べられて配置された第2太陽歯車204とを備えている。第1太陽歯車203の外周側には、サンギヤ歯203aを備えている。尚、この実施形態における第1太陽歯車203のサンギヤ歯203aは、歯数が30個のものから構成されている。
又、第1太陽歯車203の内周側には、図4に示すように、径方向内側に突出した複数の係合歯203b・・・203bを備えている。これらの係合歯203b・・・203bは、車軸101に設けられた第1係合爪211、211に係脱自在に係合するためのものである。これらの第1係合爪211は、この図4に示すように、この実施形態では、二つのものから構成され、各第1係合爪211、211の先端側が車軸101の径方向に自在に移動して起伏自在とされている。そして、第1係合爪211、211の先端側は、第1係合爪211、211の外周側に配置された爪操作部材213の第1係合爪操作部213aによって、車軸101側に押圧されて伏された状態にされ、これにより、第1係合爪211と係合歯203bとが係合不能状態にされる。
この第1係合爪211、211を操作する爪操作部材213は、図1に示すように第1太陽歯車203の右側に、車軸101に対して回転自在に配置されているとともに、操作ワイヤー213cが接続されており、操作ワイヤー213cの引っ張り操作に伴なって爪操作部材213が回転する。そして、その回転に伴なって第1係合爪211を押圧した爪操作部材213の第1係合爪操作部213aが回転し、図7に示すように第1係合爪211は第1係合爪操作部213aによって押圧されなくなる。
第1係合爪211が押圧されなくなると、図示しないバネの付勢力によって先端側が外周側に起こされ、これにより、この図7に示すように、第1係合爪211、211と係合歯203b、203bとが係合する。この係合によって第1太陽歯車203は、車軸101に対して右回転(図7の時計方向側への回転、図1の150の方向側への回転)できなくなる。
第2太陽歯車204も、上述の第1太陽歯車203と略同構成を採っている。詳しくは、外周側に、サンギヤ歯204aを備えている。この実施形態における第2太陽歯車204のサンギヤ歯204aは、歯数が21個のものから構成されている。
又、第2太陽歯車204の内周側には、図5に示すように、車軸101に設けられた第2係合爪212に係脱自在に係合する複数の係合歯204b・・・204bを備えている。これらの係合歯204b・・・204bに係合する第2係合爪212は、爪操作部材213から第1太陽歯車203の内周側に通されて第2太陽歯車204まで延ばされており、先端側が起伏自在とされている。そして、図4に示すように爪操作部材213の第2係合爪操作部213bによって車軸101側に押圧されて伏された状態にされ、図5に示すように第2係合爪212と係合歯204bとが係合不能状態にされる。そして、操作ワイヤー213cの引っ張り操作に伴なう爪操作部材213の第2係合爪操作部213bの回転により、図6Aに示すように第2係合爪212は第2係合爪操作部213bによって押圧されなくなる。
第2係合爪212が押圧されなくなると、図示しないバネの付勢力によって先端側が外周側に起こされ、これにより、この図6Bに示すように、第2係合爪212、212と係合歯204b、204bとが係合する。この係合によって第2太陽歯車204は、車軸101に対して右回転(図6Bの時計方向側への回転、図1の150の方向側への回転)できなくなる。
遊星歯車保持部材202は、この実施形態では、三つの遊星歯車230を備えている(図1では、一つだけが現されている。)。各遊星歯車230は、右側の第1ギヤ歯231と、左側の第2ギヤ歯232とを備えている。第1ギヤ歯231は、第1太陽歯車203のサンギヤ歯203aに歯合し、第2ギヤ歯232は、第2太陽歯車204のサンギヤ歯204a及びハブ体102aの内周に設けられた内歯102dに歯合する。この実施形態における第1ギヤ歯231は、歯数が15個のものから構成され、第2ギヤ歯232は、歯数が24個のものから構成されている。又、内歯102dは、歯数が69個のものから構成されている。
又、この遊星歯車保持部材202には、第1ラチェット爪240と、第2ラチェット爪241、241とが設けられている。第1ラチェット爪240は、ハブ体102aの内周に設けられた第1ラチェット歯102eに係脱可能に係合できるようになっており、遊星歯車保持部材202に対するハブ体102aの左回転(図1の150の方向と反対方向側への回転)に際して第1ラチェット爪240とハブ体102aの第1ラチェット歯102eとが係合してハブ体102aが共に回転する。一方、遊星歯車保持部材202に対するハブ体102aの右回転(図1の150の方向側への回転)に際して第1ラチェット爪240とハブ体102aの第1ラチェット歯102eとが係合せずに遊星歯車保持部材202に対してハブ体102aが回転するようになっている。
第2ラチェット爪241、241は、駆動用回転部材201に設けられた第2ラチェット歯221に係脱可能に係合できるようになっており、遊星歯車保持部材202に対する駆動用回転部材201の右回転に際して第2ラチェット爪241と第2ラチェット歯221とが係合して共に回転する。一方、遊星歯車保持部材202に対する駆動用回転部材201の左回転に際してラチェット爪241とラチェット歯221とは係合せず、遊星歯車保持部材202に対して駆動用回転部材201だけが回転するようになっている。
このように構成された内装変速装置200は、第1係合爪211及び第2係合爪212が、爪操作部材213の第1係合爪操作部213a及び第2係合爪操作部213bによって押圧された図4に示す状態で、駆動用ギヤ220が回転駆動されて駆動用回転部材201が車軸101に対して右回転(図1の150の方向側への回転)すると、その回転に伴って、第2ラチェット爪241、241を介して遊星歯車保持部材202も共に右回転する。
又、遊星歯車保持部材202の右回転に際し、遊星歯車保持部材202の第1ラチェット爪240とハブ体102aの第1ラチェット歯102eとが係合してハブ体102aが共に回転する。その際、各遊星歯車230の第1ギヤ歯231と歯合した第1太陽歯車203、及び各遊星歯車230の第2ギヤ歯232と歯合した第2太陽歯車204は、共に車軸101に対して自在に回転できる状態になっているため、遊星歯車230は、遊星歯車保持部材202とは無関係に自在に回転し得る状態になり、ハブ体102aに遊星歯車保持部材202の回転を伝達しない。従って、ハブ体102aは、第1ラチェット爪240と第1ラチェット歯102eとの係合によって遊星歯車保持部材202の回転速度で回転し、遊星歯車保持部材202が1回転すると、ハブ体102aも1回転する。
次に、図4に示す状態から、操作ワイヤー213cを引っ張り操作し爪操作部材213を回転操作すると、図6Aに示すように、第1係合爪211は爪操作部材213の第1係合爪操作部213aによって押圧されたままの状態を維持し、第2係合爪212は爪操作部材213の第2係合爪操作部213bによって押圧されなくなり、図6Bに示すように、第2係合爪212が起き上がる。これにより、第2太陽歯車204の車軸101に対する右回転(図の時計方向側への回転)に際して、第2係合爪212が第2太陽歯車204の係合歯204bに係合し、第2太陽歯車204は車軸101に対して右回転できなくなる。
その結果、この第2太陽歯車204に歯合した遊星歯車230は、遊星歯車保持部材202の回転に際して第2太陽歯車204を周回しながら、同時にハブ体102aの内歯102dを周回する。この周回によって、ハブ体102aは、遊星歯車保持部材202の回転速度に比して約1、3倍の回転速度で回転させられ、遊星歯車保持部材202が1回転すると、ハブ体102aが約1、3回転する。尚、ハブ体102aが遊星歯車保持部材202に対して約1、3倍の回転速度で回転するため、遊星歯車保持部材202に対してハブ体102aが右回転することになり、遊星歯車保持部材202の第1ラチェット爪240とハブ体102aの第1ラチェット歯102eとは係合せず、第1ラチェット爪240を介してハブ体102aに回転力が伝達されない。従って、ハブ体102aは、遊星歯車230から回転伝達されて、遊星歯車保持部材202の回転速度に比して約1、3倍の回転速度で回転する。
更に、図6Aに示す状態から、更に操作ワイヤー213cを引っ張り操作し爪操作部材213を回転操作すると、図7に示すように、第1係合爪211も爪操作部材213の第1係合爪操作部213aによって押圧されなくなり、第1係合爪211が起き上がる。これにより、第1太陽歯車203の車軸101に対する右回転に際して、第1係合爪211が第1太陽歯車203の係合歯203cに係合し得る状態になり、両者の係合によって第1太陽歯車203は車軸101に対して右回転ができなくなる。又、その際、図6Bに示すように第2太陽歯車204は車軸101に対する右回転に際して第2係合爪212と第2太陽歯車204の係合歯204bとが係合し得る状態になっているが、遊星歯車230に対する第1太陽歯車203の回転速度よりも、遊星歯車230に対する第2太陽歯車204の回転速度の方が速いため、遊星歯車230の第1太陽歯車203への周回に際して、第2太陽歯車204は、遊星歯車230によって車軸101に対して左回転(図6Bの反時計方向側への回転)する。
従って、遊星歯車230は、遊星歯車保持部材202の回転に際して第1太陽歯車203を周回しながら、同時にハブ体102aの内歯102dを周回する。この周回によって、ハブ体102aは、遊星歯車保持部材202の回転速度に比して約1、7倍の回転速度で回転させられ、遊星歯車保持部材202が1回転すると、ハブ体102aが約1、7回転する。
以上が、他装置収納室113に収納された本実施形態の内装変速装置200の説明である。尚、内装変速装置200は、この形態のものに限らず、従来から実施されているものを使用でき、適宜変更できる。
図1に戻って、説明を続けると、ハブ体102aの外側には、複数のスポーク孔102f…102fを有する左右一対の鍔102g、102gが取り付けられている。そして、この各鍔102gの各スポーク孔102f…102fに、スポーク(図示せず)の基端側が係止されるとともに、その係止された各スポークの先端側が、図8に示すリム105に係止される。これにより、リム105がハブ体102aに固定され、車軸101に対してハブ体102aと共に回転可能とされる。
このリム105には、空気タイヤ103が取り外し可能に取り付けられ、車軸101に対してリム105と共に回転できるようになっている。ここで、この実施形態で用いる空気タイヤ103について、簡単に説明する。
空気タイヤ103は、図8に示すように、内側に、空気保持チューブ103bが備えられている。この空気保持チューブ103bは、空気を出し入れるためのバルブ106を備えている。このバルブ106は、筒状体から構成され、図の下端側には空気入れ口106aが設けられ、図示上端側にはバルブ孔106bが設けられている。又、このバルブ孔106bは、バルブ106の外周に被せられた合成ゴム製の筒状の逆流防止弁106cによって塞がれている。
そして、このバルブ106は、空気保持チューブ103bに設けられた筒状のバルブ取付け用口金103c内に入れられ、バルブ取付け用口金103cに螺合されたバルブ止めナット106dによって抜け止めされている。そして、空気入れ口106aから、バルブ孔106bを塞いでいる逆流防止弁106cの弾性に抗して空気入れポンプ等によって空気が送り入れられると、逆流防止弁106cを押しのけて空気保持チューブ103b内に空気が入るようになっている。又、空気保持チューブ103b内に空気が入った後は、逆流防止弁106cの弾性によってバルブ孔106bを塞ぐ。これにより、空気保持チューブ103b内の空気がバルブ孔106bから外に出るようなことが防止されるようになっている。
尚、逆流防止弁106c、バルブ取付け用口金103c及びバルブ止めナット106dは、一般的な自転車用の車輪の空気保持チューブ103bに採用されているものであるが、この形態のものを使用するものに限らず、適宜変更して使用できる。
次に、空気自動供給装置10について説明する。この実施形態の自転車用空気タイヤの空気自動供給装置10は、図1、図2に示すように、空気タイヤ103に空気を送り込む空気送り込み部10aと、空気送り込み部10aとハブ体102aの空気供給室112とを通気可能に連通させた第1通気路51(図1にのみ図示)と、空気供給室112と外部とを通気可能に連通させた第2通気路52(図1にのみ図示)とを備えている。
この空気送り込み部10aは、空気を圧縮する圧縮部3と、圧縮部3で圧縮した空気を一定圧に保持する定圧保持部2とを備えている。
圧縮部3は、空気を圧縮する圧縮室31と、圧縮室31の空気を圧縮操作する圧縮操作部材としてのピストン部材32とを備えている。
圧縮室31は、断面円形状の内ケーシング3aの内部に形成されている。この内ケーシング3aの外周側には、断面円形状の外ケーシング3bが回転不能に配設されている。又、外ケーシング3bにおける図の下方側には、ハブ取付け部30bが備えられている。そして、このハブ取付け部30bが、ハブ体102aの外周にボルト30c、30cを介して固定されている。これにより、内ケーシング3aが、外ケーシング3bを介してハブ体102aの外周側に取付けられ、ハブ体102aの外周から車軸101の径方向外側に伸ばされている。
このようにしてハブ体102aに取付けられた内ケーシング3aの内部には、区画壁7が備えられている。そして、この区画壁7によって内ケーシング3aの内部が、図の下側の圧縮室31と、図の上側の後述する定圧保持部2の第1圧縮空気流通路13bとに区画形成されている。
上記のように構成された圧縮室31の空気を圧縮操作するピストン部材32は、棒状のピストンロッド33を備えている。このピストンロッド33は、内ケーシング3aに設けられた合成ゴム製の筒状のロッド案内部材38に摺動可能に通され、ピストンロッド33における図2の上部は、圧縮室31内に入れられている。そして、このピストンロッド33の上部には、摺動部34が備えられている。
摺動部34は、圧縮室31の内周径と略同じ程度の径に形成されており、圧縮室31の内周壁に沿って圧縮室31の軸方向に摺動可能とされている。又、摺動部34には、合成ゴムから構成されたリング状のパッキン34aが備えられている。
ピストンロッド33における図の下部は、圧縮室31のロッド案内部材38からハブ体102aに穿設されたピストン導入孔115に通されることによりハブ体102aの内部111に入れられている。又、このピストンロッド33の下部に、後述するカム9に当接するカム当接部35が備えられている。
カム当接部35は、この実施形態では、係止軸36と、係止軸36に回転自在に支持されて後述のカム9に設けられたカム面91aに当接して転がり走行するローラー37とを備えている。
このローラー37が転がり走行するカム9は、ローラー37と当接するカム面91aを有するカム本体91と、係止軸36を支持する軸支持部材92とを備えている。軸支持部材92は、円盤状のものから構成されている。軸支持部材92の中心部には、カム本体91を回転自在に受容したカム本体受容孔92aが備えられている。
また、軸支持部材92におけるカム本体受容孔92aの外周側に係止軸36を回転自在に嵌挿する軸嵌挿孔92b・・・92bが備えられている。そして、この軸嵌挿孔92bに、上記係止軸36が出し入れ可能に嵌挿されている。尚、この実施形態では、軸嵌挿孔92b・・・92bは、軸支持部材92の周方向に略120°ずつ隔てた三箇所のそれぞれに設けられた三つから構成されている。そして、三つの軸嵌挿孔92b・・・92bの内の何れかに係止軸36を嵌挿すれば良いようにされている。
このようにして、ピストンロッド33は、係止軸36を介してカム9に係脱可能に係止されている。従って、この実施形態では、ピストンロッド33のローラー37をカム面91aに常時当接状態に押圧するピストンロッド付勢用コイルバネは設けられておらず、カム9を確動カムから構成することにより、ピストンロッド33のローラー37をカム面91aに常時当接させ、ハブの回転に伴なってカム面91aを走行できるようにしている。尚、ピストンロッド33は、カム9に係止する形態のものに限らず、ピストンロッド付勢用コイルバネを設け、ピストンロッド付勢用コイルバネによってカム面91aに常時当接状態に押圧するようにしても良い。
又、カム9には、車軸101を挿通させるための車軸挿通孔93が穿設されている。この車軸挿通孔93の中心O2は、上記カム面91aの中心O1から所定距離を隔てている。
この車軸挿通孔93に、車軸101が挿通された後、カム固定用ナット45等を介して車軸101に固定されている。そして、この固定状態で、車軸挿通孔93の中心O2は、ハブ体102aの回転の中心O3と一致する。
従って、図1及び図2に示すようにローラー37が当接しているカム面91aの位置が車軸挿通孔93の中心O2からの距離が最も小さくなる径小部Aとなる。又、その径小部Aから周方向に、車軸挿通孔93の中心O2からの距離が漸次大きくなり、半周した位置で、車軸挿通孔93の中心O2からの距離が最も大きくなる径大部Bとなる。
又、そのカム面91aの径小部Aにローラー37がきたとき、図1、図2に示すようにピストンロッド33の摺動部34が、圧縮室31を最も下降した下死点位置A1となる。一方、カム面91aの径大部Bにローラー37がきたとき、図9、図10に示すようにピストンロッド33の摺動部34が、圧縮室31を最も上昇した上死点位置B1となる。
空気送り込み部1aの定圧保持部2は、空気を一定圧に保持するためのものである。この実施形態の定圧保持部2は、第1圧縮空気流通路13bと、空気タイヤ103の空気保持チューブ103bに接続された第3圧縮空気流通路13aと、第1圧縮空気流通路13bと第3圧縮空気流通路13aとを接続した第2圧縮空気流通路21aとを備えている。
第1圧縮空気流通路13bは、上記内ケ−シング3a内における圧縮室31の図2の上側に、区画壁7によって区画形成されている。この区画壁7には、貫通孔71が穿設されており、この貫通孔71によって、圧縮室31と第1圧縮空気流通路13bとが通気可能に連通されている。
この貫通孔71には、逆流防止弁40が備えられている。この逆流防止弁40は、空気が定圧保持部2から圧縮室31に逆流しないように防止する逆流防止手段としてのもので、この実施形態では、定圧保持部2側に配設されたボールバルブ40から構成されている。ボールバルブ40は、ボール41と、ボール41を受ける合成ゴム製のリング状のボール受けパッキン42と、ボール41をボール受けパッキン42側に付勢する付勢部材としてのボール付勢用コイルバネ43とを備えている。そして、このボール付勢用コイルバネ43の付勢力によって、ボール41が定圧保持部2側から貫通孔71を塞いでいる。
第2圧縮空気流通路21aは、筒状の接続管21の内部に形成されている。この接続管21の基端側は、内ケ−シング3aの第1圧縮空気流通路13bに入り込むようにして取付けられている。これにより、第2圧縮空気流通路21aの先端側は、第1圧縮空気流通路13bに通気可能に接続されている。
又、この接続管21には、図2に示すように定圧保持部2の空気圧を調整する圧調整部12が備えられている。
この実施形態の圧調整部12は、排気口11aを有する筒部12aと、排気口11aを開閉する弁体12bと、弁体12bを付勢する定圧弁付勢部材としての定圧弁付勢用コイルバネ12cとを備えている。
筒部12aは、接続管21の側壁に取り付けられることにより、筒部12aの排気口11aが第2圧縮空気流通路21aと外部とを連通し、第2圧縮空気流通路21aの圧縮空気が排気口11aから外部に排出可能とされている。
定圧弁付勢用コイルバネ12cは、弁体12bを常時第2圧縮空気流通路21a側に付勢する。そして、この付勢により、弁体12bは、排気口11aを遮断している。尚、この圧調整部12は、この形態のものに限らず、例えばボールバルブから構成する等、適宜変更し得る。
第3圧縮空気流通路13aは、弾性を有する接続パイプ14の内部に形成されている。この接続パイプ14の基端部は、上記接続管21の外周に押し入れるようにして接続管21の先端側に取り付けられている。これにより、第2圧縮空気流通路21aと第3圧縮空気流通路13aとが通気可能に接続されている。
又、接続管21に取り付けられた反対側の接続パイプ14の先端側には、図8に示すように空気タイヤ103に取り外し自在に接続する空気タイヤ接続部16が備えられている。この空気タイヤ接続部16は、パッキン16aと、空気保持チューブ103bのバルブ止めナット106dに係止されるナット係止片16bとを備えている。そして、パッキン16aがバルブ106の端面に当接された状態で、ナット係止片16bがバルブ止めナット106dに係止されている。これにより、第3圧縮空気流通路13aが空気保持チューブ103bに通気可能に接続されている。
第1通気路51は、この実施形態では、図1に示すように内ケーシング3aの周壁に穿設された空気供給孔51aと、外ケーシング3bの内周壁に、空気供給孔51aから空気供給室112にかけて形成された案内溝51bとから構成されている。
第2通気路52は、この実施形態では、車軸101の左側の玉押し101bとハブ体102aの鋼球受け部102hとの間に配設された鋼球101c、101c同士間の鋼球間隙を通って、外部から空気供給室112に延びた空間路から構成されている。
次に、この実施形態の空気自動供給装置を有する自転車の車輪用のハブの動作について説明する。このハブに空気タイヤ103等を組み付けて車輪とし、車軸101を自転車の車体に取付ける。そして、摺動部34が下死点位置A1にきた図1、図2に示す状態から、例えば走行することにより、空気タイヤ103を車軸101に対して回転させる。これにより、その回転に伴って、ハブ体102aが回転し、ハブ体102aと共にピストンロッド33のローラー37が、カム9のカム面91aの径小部Aから径大部Bにかけて走行する。
その走行に際し、ピストンロッド33は、カム9によって押圧され、この押圧によって摺動部34が圧縮室31内を圧縮室31の内壁面に沿って下死点位置A1から上死点位置B1に向かって圧縮室31内を摺動する。
そして、ピストンロッド33のローラー37が、カム面91aの径大部Bにくると、図9、図10に示すようにピストンロッド33の摺動部34が上死点位置B1まで移動する。そして、この摺動部34の摺動に際し、圧縮室31内の空気が一定の圧縮比まで圧縮される。尚、カム9は、車軸101に固定されて位置を変えず、ピストンロッド33がカム面91aを走行して位置を変えるが、図9、図10では、説明の都合上、ピストンロッド33の位置を変えずにカム面91aの位置を変えて表している。
更に、ハブ体102aが回転すると、ピストンロッド33のローラー37は、カム9のカム面91aの径大部Bから径小部Aにかけて走行する。これにより、摺動部34は、圧縮室31内を上死点位置B1から下死点位置A1にかけて移動する。
そして、この上死点位置B1から下死点位置A1への摺動部34の摺動に際し、圧縮室31に、第1通気路51を介して空気供給室112の空気が吸入される。また、空気供給室112内の空気が第1通気路51に入り込むと、空気供給室112には、第2通気路52を介して外部の空気が吸入される。
その際、第2通気路52は、側方側を向くように開口されているため、雨水等の水或いはゴミ等の異物が第2通気路52に浸入し難いものにできる。しかも、第2通気路52には、グリスが鋼球101c・・・101cと共に配設されているため、仮に第2通気路52に異物が入り込んでも第2通気路52を通過し難いものにでき、空気供給室112内に異物の入る可能性の少ないものにできる。
又、水或いはゴミ等の異物が第2通気路52を通過して空気供給室112内に入ってきた場合でも、空気供給室112と他装置収納室113とが、区画部材120によって気密状態に区画されているため、空気供給室112に入り込んだ異物が他装置収納室113に入り込むようなことを防止できる。これにより、他装置収納室113に収納した内装変速装置200に水の浸入による錆の発生を防止でき、また、ゴミの浸入による機能の低下を防止できる。
また、空気供給室112と他装置収納室113とが区画部材120によって気密状態に区画されていない場合には、例えば車軸101の右側の玉押し101dを転がる鋼球101c、101c同士間の鋼球間隙から他装置収納室113を通って第1通気路51に入り込む。その結果、他装置収納室113に、外部から空気と共に水やゴミ等の異物も入り込む。又、他装置収納室113にギヤの歯合の円滑化等のためにグリスを配している場合にはそのグリスが空気と共に第1通気路51に流れ込み、空気自動補給装置10にグリスが入り込んで空気自動補給装置10から空気タイヤに多量のグリスが入り込んでしまうとともに、内装変速装置200におけるグリスの量が少なくなってしまい、円滑に作動させられなくなる恐れがある。
そこで、この実施形態のように、空気供給室112と他装置収納室113とを区画部材120によって気密状態に区画しておくことにより、圧縮室31への空気の吸入に際して、他装置収納室113が空気の通路になるのを防止できる。これにより、外部から他装置収納室113に異物が入り込んだり、或いは、他装置収納室113に配設したグリスが第1通気路51から空気自動補給装置10に入り込むようなことを防止できるとともに、他装置収納室113に配設したグリスの量が少なくなってしまうようなことを防止できる。
更に、ハブ体102aが回転すると、ピストンロッド33の摺動部34は、再度、上述のように下死点位置A1から上死点位置B1まで移動し、圧縮室31内の空気を一定の圧縮比に圧縮する。
このようにして、圧縮室31内の空気が圧縮されると、逆流防止弁40のボール41は、その圧縮された空気の空気圧によって圧縮室31から押圧される。その際、逆流防止弁40のボール41は、定圧保持部2内の空気圧による押圧力とボール付勢用コイルバネ43の付勢力とを受けている。従って、定圧保持部2側からの押圧力が、圧縮室31内からの押圧よりも小さい場合には、逆流防止弁40のボール41は、定圧保持部2側に移動して貫通孔71を開ける。これにより、圧縮室31内で圧縮された圧縮空気が、貫通孔71から定圧保持部2内に送られる。
そして、逆流防止弁40のボール41は、摺動部34が圧縮室31内を上死点位置B1から下死点位置A1にかけて移動する際に、貫通孔71を閉める。これにより、定圧保持部2内の空気が圧縮室31に戻るのを防止できる。
そして、圧縮室31から圧縮空気が入った定圧保持部2は、所定の空気圧を超えると、定圧保持部2内の空気圧によって圧調整部12の弁体12bが定圧弁付勢用コイルバネ12cの付勢力に抗して押圧されて排気口11aを開く。これにより、定圧保持部2内の圧縮空気を排気口11aから外部に排出する。そして、定圧保持部2内の空気圧が、所定の空気圧になると弁体12bが定圧弁付勢用コイルバネ12cの付勢力によって排気口11aを閉じる。
定圧保持部2内の圧縮空気は、図8に示す空気保持チューブ103bのバルブ106内に入り、バルブ孔106bを塞いでいる逆流防止弁106cをバルブ106の内側から押圧する。そして、その定圧保持部2内の空気圧により内側から逆流防止弁106cにかかる押圧力が、逆流防止弁106cの弾性力と空気保持チューブ103b内の空気圧により逆流防止弁106cにかかる押圧力との合計よりも大きい場合は、バルブ孔106bを塞いでいる逆流防止弁106cを内側から押しのけ、空気が定圧保持室11から空気保持チューブ103b内に流れ込む。
そして、定圧保持室11の空気圧により逆流防止弁106cにかかる押圧力と、逆流防止弁106cの弾性力と空気保持チューブ103b内の空気圧により逆流防止弁106cにかかる押圧力との合計が同じになると、空気保持チューブ103b内への空気の流入は止まる。
その後、経時により、空気保持チューブ103bの空気圧が低くなり、逆流防止弁106cの弾性力と空気保持チューブ103b内の空気圧により逆流防止弁106cにかかる押圧力との合計が、定圧保持室11の空気圧により逆流防止弁106cにかかる押圧力よりも小さくなると、再度、バルブ孔106bを塞いでいる逆流防止弁106cを定圧保持室11の空気圧によって内側から押しのけ、定圧保持室11の空気が空気保持チューブ103b内に流れ込む。これにより、常時、空気保持チューブ103bの空気圧は、一定に保持される。
又、接続パイプ14が定圧保持部2の接続管21又は空気タイヤ103から外れ、或いは接続パイプ14が破損したような場合は、空気タイヤ103のバルブ106によって空気タイヤ103の空気圧をそのまま保持できる。従って、空気タイヤ103のバルブ106は、空気タイヤ103から空気送り込み部1aに空気が逆流するのを防止する逆流防止手段として機能する。
一方、例えば上述のようにして空気保持チューブ103bの空気圧を、空気自動供給装置10によって所定値にした後、接続パイプ14を外す場合は、定圧保持部2の接続管21から接続パイプ14を引き抜くとともに、空気タイヤ接続部16を係止しているバルブ止めナット106dを操作して空気タイヤ103から外す。これにより、接続パイプ14を外すことができる。接続パイプ14を外した後は、バルブ106によって、空気タイヤの空気が空気入れ口106aから出るのを防止でき、従来品と同じようにして使用することもできる。
又、ピストン部材32をカム9から外す場合は、係止軸36を軸嵌挿孔92bから抜けば良く、これにより、ピストン部材32とカム9との係止を解除でき圧縮室31を構成した内ケーシング3a、或いはピストンロッド33等をハブ体102aから容易に外すことができる。従って、分解等して部品の交換等が容易に行うことができ、メンテナンスの容易なものにできる。
次に、第2実施形態の空気自動供給装置を有する車輪用のハブについて説明する。
第2実施形態の空気自動供給装置を有する車輪用のハブは、図11に示すように、自転車の前輪用のハブとして実施されている。この空気自動供給装置10を有する自転車用のハブは、先の第1実施形態のものと同様に、外周にネジ部101aを有する車軸101と、ハブ本体1aと、空気自動供給装置10とを備えている。
ハブ本体1aは、筒状のハブ体102aと、ハブ体102aの内部を区画した区画部材320とを備えている。ハブ体102aの左右両側は、この実施形態では、鋼球101c・・・101cを内輪と外輪とによって回転自在に保持したベアリング130、130を介して車軸101に回転自在に支持されている。
又、区画部材320は、先の第1実施形態のものと同様に、軸挿通孔321aを有する区画本体321と、閉塞部材322とを備えているが、この第2実施形態の区画本体321は、図12に示すように外周側に、軸方向に延びた筒状部321bを備えている。一方、閉塞部材322は、合成ゴム製のリング状のものから構成され、外周側が、ハブ体102aの内周壁に全周に渡って気密状態で取り付けられ、内周側が、区画本体321の筒状部321bの外周の全周に渡って気密状態に当接されている。これにより、区画本体321と閉塞部材322とによって、ハブ体102aの内部111を、左側の空気供給室112と、右側の他装置収納室113とに、互いに気密状態にして区画している。
また、この第2実施形態の他装置収納室113には、他の装置としてのダイナモ300が収納している。
このダイナモ300は、従来から一般的に使用されているもので、図11に示すように、車軸101の外周側に巻回されたコイル301と、コイル301を覆うようにして車軸101に固定された鉄製のコア302と、ハブ体102aの内周に鉄製の円筒状のバックヨーク303を介して取り付けられたマグネット304とを備えている。
コイル301の一方側の先端は、車軸101を介して自転車の車体に接地されている。コイル301の他方側の先端は、車軸101とベアリング130の内周との間に設けられたコイル挿通孔310に通されるようにしてハブ体102aの外に出され、更に、自転車に設けられたランプ(図示せず)にまで延ばされてランプに接続されている。
このように構成されたダイナモ300は、車軸101に対してハブ体102aが回転すると、ハブ体102aに固定されてハブ体102aと共に回転するマグネット304の磁界と車軸101に固定されたコイル301との電磁誘導作用によって発電し、ランプを点燈する。
又、第2実施形態の空気自動供給装置10は、空気送り込み部10aと、第1通気路51と、第2通気路52と、第3通気路53とを備えている。この第2実施形態の空気送り込み部10aは、一つのケーシング3cによって圧縮室31を形成している。又、このケーシング3cの内周面に、空気供給孔51aと、空気供給孔51aから空気供給室112にかけて形成された案内溝51bとを形成することにより、第1通気路51を備えたものにしている。
尚、これらの空気送り込み部10a及び第1通気路51は、先の第1実施形態のものと実質的に同じであり、第2実施形態において、これらの空気送り込み部10a及び第1通気路51に代えて、先の第1実施形態の空気送り込み部10a及び第1通気路51を使用でき、又、先の第1実施形態において、第1実施形態の空気送り込み部10a及び第1通気路51に代えて、第2実施形態の空気送り込み部10a及び第1通気路51を使用でき、適宜変更使用できる。
第2通気路52は、後述の第3通気路53から、車軸101の左側のベアリング130における鋼球101c、101c同士間の鋼球間隙を通って空気供給室112に延びた空間路から構成されている。
第3通気路53は、第2通気路52と外部とを通気可能に連通するものである。この実施形態の第3通気路53は、図11に示すように、ハブ体102aの左端に取り付けられた筒状体56の内周面と車軸101の外周との間に、第2通気路52と外部とを連通するように形成されている。
より詳しくは、筒状体56は、合成樹脂から構成されており、図11に示すように筒状体56における右端側の外周がハブ体102aに取り付けられている。
また、筒状体56の外周とハブ体102aとの間には、防水パッキン116が配設されており、この防水パッキン116によって筒状体56の外周とハブ体102aとの間から、水が第2通気路52に入り込まないようにされている。
このようにして、ハブ体102aに取り付けられた筒状体56には、車軸101が挿通されており、筒状体56の内周面と車軸101との間に、第2通気路52と外部とを連通する第3通気路53が、車軸101の外周側に全周に渡って形成されている。
又、第3通気路53は、筒状体56の内周面を、図の左側の外部側に行くに従って漸次径が大きくなるテーパー状にすることにより形成した外側(図11では、左側)のテーパー部59aと、テーパー部59aの内側(図11では、右側)に、テーパー部59aから径方向の内側に延設した閉鎖部59bによって形成した径方向の幅の狭い径小幅狭部59cとが備えられている。この実施形態におけるテーパー部59aのテーパー角は、10°程度に設定されている。
また、第3通気路53には、径小幅狭部59cの左側方側に、筒状体56の内周面と被覆部材60とによって形成された径大幅狭部61が備えられている。この被覆部材60は、径小幅狭部59cの径より外径の大きい円板状のものから構成され、筒状体56のテーパー部59aの径方向の内側に配設されるようにして、車軸101に固定されている。
これにより、被覆部材60の外周と筒状体56のテーパー部59aとの間に、径方向の幅が径小幅狭部59cと同程度で、径小幅狭部59cよりも径の大きい径大幅狭部61が形成されている。従って、この実施形態の第3通気路53は、径の異なる二つの幅狭部59c、61を備え、これらの二つの幅狭部59c、61によって空気が蛇行して流れ得るように形成されている。又、この実施形態では、径小幅狭部59cの幅及び径大幅狭部61の幅を0.5程度に設定している。
このように形成された第2実施形態のハブは、ハブ体102aが回転すると、ダイナモ300が作動して発電する。又、同時に、摺動部34が圧縮室31内を摺動し、その摺動に際し、圧縮室31に、第1通気路51、第2通気路52、及び第3通気路53を介して外部の空気が吸入される。
その際、第3通気路53は、テーパー部59aを備えているため、図11に示すようにテーパー部59aに入った水或いは鉄粉等の異物を、ハブの回転に伴なう遠心力によってテーパー部59aの径大側に移動させて第3通気路53から外に出すことができる。又、テーパー部59aに入った水或いは鉄粉等の異物を、自重によってテーパー部59aを伝わせて第3通気路53の外に出すことができる。又、第3通気路53が径の異なる二つの幅狭部59c、61を備えているため、水或いは鉄粉等の異物が、第3通気路53を通過し難いものにでき、異物を、第3通気路53から第2通気路52に入り難いものにできる。
又、仮に、水或いは鉄粉等の異物が第3通気路53、第2通気路52を通って空気供給室112に入り込んだ場合でも、区画部材320によって他装置収納室113に入り込んでダイナモ300に支障をきたすようなことを防止できる。
また、空気供給室112と他装置収納室113とが区画部材120によって気密状態に区画されていない場合には、空気自動供給装置10の空気送り込み部10aの空気の吸引によって、例えば車軸101の右側のベアリング130の鋼球101c、101c同士間の鋼球間隙及びコイル301を通したコイル挿通孔310の隙間から他装置収納室113を通って第1通気路51に入り込む。その結果、他装置収納室113に、外部から空気と共に水やゴミ等の異物も入り込む。
しかし、この実施形態では、空気供給室112と他装置収納室113とを区画部材120によって気密状態に区画しているため、空気がコイル挿通孔310等から他装置収納室113へ入るのを防止でき、外部から他装置収納室113に水或いは鉄粉等の異物が入り込むようなことを防止できる。これにより、ダイナモ300に支障をきたすようなことを防止できる。
尚、上記実施形態では、第3通気路53を、ハブ体102aに固定した筒状体56と、車軸101に固定した被覆部材60とによって形成するようにしているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば第3通気路53を、ハブ体102aに固定した筒状体56のみによって形成するようにしても良い。より具体的には、第3通気路を、車軸101を挿通するようにしてハブ体102aに取り付けられた筒状体56の内周面と車軸101の外周との間に区画形成されたものであり、この筒状体56の内周面には、外部側に行くに従い内径が漸次大きくなるテーパー部59aが備えられているものとする。
又、上記第1実施形態に、第2実施形態に設けた第3通気路53と同様なものを設けるようにしてもしても良い。又、上記第2実施形態において、第3通気路53を設けないものとしても良く、適宜変更できる。ただし、第3通気路53を設けるようにしておけば、空気供給室112に水或いはゴミ、鉄粉等の異物がより一層入り難いものにできるので、第3通気路53を設けておくのが好ましい。
また、上記実施形態では、第2通気路を、ハブ体102aと車軸101との間に配設された鋼球101c、101c同士間の鋼球間隙を通って延びる空間路から構成しているが、例えばハブ体102aに、外部から空気供給室112に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔を第2通気路としても良い。
更に、上記実施形態では、区画部材120、320を、区画本体121、321と、閉塞部材122、321とを備えたものとし、空気供給室112と他装置収納室113とを気密状態に区画しているが、例えば区画部材120、320を区画本体121、321のみから構成し、区画部材120、320とハブ体102aの内周との間に若干の隙間ができるようにしても良い。
又、本願発明のハブは、上記自転車用のものに限らず、例えば一輪車、オートバイ、リヤカー等の二輪車の車輪用のハブ、三輪車、四輪車の車輪用のハブとして実施できる。