JP4268680B2 - 顎治療装置 - Google Patents

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Description

本発明は顎治療装置に係り、更に詳しくは、顎運動障害の治療に好適な顎治療装置に関する。
図8(A)に示されるように、ヒトの下顎骨101は、その後端側に位置する下顎頭102を回転中心として、前方が上下動するようになっている。ここで、下顎頭102が、骨折やリウマチ等により破壊、吸収されると、図8(B)に示されるように、下顎骨101の前側部分が下垂する一方、下顎骨101の後側部分が上昇しながら後退することになり、奥歯(臼歯)側を除いて上下の歯が咬み合わなくなる開咬と呼ばれる症状を招来する。
このような開咬症状を持つ患者に対する治療としては、従来から顎間牽引療法による治療が行われている(非特許文献1参照)。この顎間牽引療法は、図8(C)に示されるように、上下の歯列104,105に固定用金具107,107をそれぞれ取り付け、その取り付け状態を継続することで、下顎骨101の後端側における隙間(関節隙109)の拡大状態が維持され、当該関節隙109に、欠損した下顎頭102(図8(A)参照)の再生を促すという治療法である。ここで、上下の固定用金具107,107は、次のようにして取り付けられる。すなわち、奥歯(臼歯)側には、各固定用金具107,107の間にピボット110を介装することで奥歯側を強制的に拡開させる一方、前歯側にあっては、上下の固定用金具107,107同士をゴム112で結束することで、各固定用金具107,107の前端側を相互に接近させた状態が保持される。また、このような顎間牽引療法の効果を促すために、開口器(図示省略)を使って、奥歯側を更に強制的に拡開させることも行われている。なお、前記開口器は、把持部を握ると二股状の先端部分が相互に離間する構造となっている。
大西,木野、他「顎間牽引治療による顎関節症の治療」、日本口腔病学会雑誌48巻1号、1981年、p.191
しかしながら、このような固定用金具107,107を使った顎間牽引療法においては、当該固定用金具107,107がステンレス製のワイヤで歯に固定されるとともに、各固定用金具107,107が継続的にゴム112で相互に引っ張られた状態となり、その上、前記開口器で無理矢理上下の奥歯(臼歯)を離間させると、治療時に非常に激しい苦痛を伴うという不都合がある。
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、顎運動障害の治療の際における患者の苦痛を軽減できるとともに、当該治療に有用となる顎治療装置を提供することにある。
(1)前記目的を達成するため、本発明は、上下方向に相対配置された上顎マウスピース及び下顎マウスピースと、患者の下顎を口外側から把持する下顎把持装置と、前記上顎マウスピース及び下顎マウスピースを相対移動させる移動手段とを備え、
前記各マウスピースは、先端側から患者の口内に挿入可能な片持状に設けられ、
前記下顎把持装置は、前記相対移動時に、前記下顎マウスピースと下顎骨との相対位置関係を略一定にした状態で、当該下顎を把持可能に設けられ、
前記移動手段は、前記下顎マウスピースの基端側を中心として、その先端側を下向きに回転させることで、口内に挿入された各マウスピースの先端側を相互に離間させるとともに、治療に必要な方向への前記相対移動が所定の指令通りに行われるように制御される一方で、それを除く方向への前記相対移動が患者の顎の動きに追従するようにコンプライアンス制御される、という構成を採っている。
(2)また、前記下顎マウスピースの回転中心は、患者の前歯付近に設定される、という構成を採っている。
(3)更に、前記下顎マウスピースの先端側は、患者の奥歯に引っ掛け可能となる形状に設けられる、という構成を採ることが好ましい。
(4)また、前記下顎把持装置は、下顎が載る下顎載置部材を備え、この下顎載置部材には、周囲に対して隆起する圧迫子が下顎骨に非干渉となる位置に形成される、という構成にするとよい。
(6)ここで、前記移動手段は、前記上顎マウスピースに対して前記下顎マウスピースが下降した後で、当該下顎マウスピースが回転するように動作制御される、という構成を採ることが好ましい。
(7)ここにおいて、前記コンプライアンス制御における患者の下顎の任意の位置での顎運動基準点であるコンプライアンス中心を所定方向に移動可能に設定するとよい。
(8)また、患者の頭部の動きを規制する頭部固定装置を更に備える、という構成にすることが好ましい。
なお、本明細書において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は、特に明記しない限り、人体を正面側から見た状態における「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」を意味する。
前記(1),(2)の構成によれば、患者が各マウスピースをくわえた状態で、装置を作動させると、口内の奥歯側に位置する下顎マウスピースの先端側の回転により、下顎骨の後側部分が下向きに押される。このとき、下顎把持装置により、下顎マウスピースが下顎骨の前側部分から離れることを防止でき、下顎骨の後側部分の関節隙を拡大させて開咬症状の治療を効果的に行うことができる。また、このような顎治療装置を用いれば、従来の顎間牽引治療で用いられていた固定用金具が不要となり、治療時における患者への苦痛を軽減することができる。
前記(3)の構成によれば、下顎マウスピースの回転に伴う下顎への押圧力を奥歯(臼歯)側に効果的に作用させることができ、前記関節隙をより確実に拡大させることができる。
前記(4)の構成によれば、下顎載置部材に下顎を載せた状態で、下顎骨を覆う顎肉に圧迫子が食い込んで、下顎マウスピースが下顎骨の前側部分から離れることを一層確実に防止でき、下顎に対して治療に必要な正確な動きを下顎にさせることができる。
前記(1)の構成により、治療中に患者の頭部や顎が不意に動いたときでも、治療に必要でない方向については、頭部や顎の不意な動きに追従するように、各マウスピースが相対移動することになる。このため、頭部や顎の不要な拘束によって受ける装置からの反力を抑制して、治療に必要な方向への力の付与を指令通りに確実に行うことができ、患者の不意な動作が多少あっても、治療を正確に行うことができる。
前記(6)のように構成することで、患者が各マウスピースを不意に噛んだとき等におけるそれらの干渉を防止し、コンプライアンス制御下での各マウスピースの干渉による発振現象を防ぐことできる。
前記(7)の構成により、左右の下顎頭のうち何れか一方のみが欠損しているような患者の治療の場合に、当該欠損側を集中して治療できるように下顎マウスピースを回転させることが可能になり、左右いずれか一方のみで下顎の治療が必要な場合でも難なく対応可能となる。
前記(8)の構成によれば、下顎マウスピースが回転しても、当該回転に伴う頭部の後方への移動が規制され、下顎マウスピースが下顎骨の前側部分から離れることを一層確実に防止でき、治療に必要な正確な動きを下顎にさせることができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本実施例に係る顎治療装置の概略斜視図が示されている。この図において、顎治療装置10は、顎運動障害を持つ患者の治療に用いられる装置であり、椅子11に着座した患者に対して治療を行う装置本体13と、レバー状の把持部15を握ることで装置本体13を遠隔操作可能にする操作装置16と、着座した患者の頭部Hの動きを規制する頭部固定装置17とを備えて構成されている。
前記装置本体13は、図2に示されるように、装置の設置部位となる設置フレーム18と、椅子11に着座した患者の上顎を支持する上顎支持手段19と、前記患者の下顎を支持する下顎支持手段20と、これら各支持手段19,20を相対移動させる移動手段21とを備えている。
前記設置フレーム18は、特に限定されるものではないが、設置面となる底板23と、この底板23の左右両端側に起立配置される側面視略五角形状の側板24,24とからなる。底板23の上面側には門状部材25が立設されている。
前記上顎支持手段19は、門状部材25の上端側に取り付けられ、図2中奥行方向に延びる支持バー27と、この支持バー27の図2中奥行側端部に取り付けられた片持状の上顎マウスピース28とにより構成されている。この上顎マウスピース28は、図3に示されるように、先端側となる二股状部30と、この二股状部30に連なって基端側となる平面視略方形状の基部31とにより構成されている。前記二股状部30は、基部31の左右両側からそれぞれ外側に向かって延びる延出軸33,33と、この延出軸33,33の各先端側からそれぞれ内向きに対向するように延びる内向片34,34とからなる。二股状部30は、患者の口内に挿入可能なサイズに設けられ、当該口内に内向片34,34側から挿入されて、当該内向片34,34を上側の奥歯(臼歯)に引っ掛け可能となっている。
前記下顎支持手段20は、図1に示されるように、上顎マウスピース28の下方に相対配置された下顎マウスピース36と、この下顎マウスピース36が取り付けられるとともに、下顎を口外側から把持する下顎把持装置37とを備えている。
前記下顎マウスピース36は、図4(A)に示されるように、下顎把持装置37の上部に片持状に取り付けられ、前述した上顎マウスピース28に対して、構成部材の屈曲角度やサイズが相違する他は、実質的に略同一の構成となっている。なお、以下の説明において、上顎マウスピース28と同一若しくは同等の下顎マウスピース36の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。この下顎マウスピース36は、上顎マウスピース28とともに内向片34,34側から口内に挿入される。口内では、各マウスピース28,36が上下方向に相対配置され、下顎マウスピース36の内向片34,34が、下側の奥歯(臼歯)に引っ掛けられるようになっている。
前記下側把持装置37は、下顎マウスピース36の取付部39と、この取付部39から下方に延びるガイドバー40と、このガイドバー40に沿って上下動する昇降部41と、この昇降部41に支持され、患者の下顎が乗る顎載せ部42とを備えている。
前記取付部39には、下顎マウスピース36の基部31から外側に突出するピン44を受容する受容穴45が形成されており、この受容穴45の下端側には、下向きに解放する溝部46が連設されている。この溝部46には、ねじ軸47が幅方向に貫通しており、当該ねじ軸47の先端側に設けられたハンドル47Aを回転することで、溝幅を変えられるようになっている。つまり、ハンドル47Aの回転操作を行うと、溝部46に連なる受容穴45の穴径が変わり、取付部39に対する下顎マウスピース36の着脱が自在となる。
前記昇降部41は、顎載せ部42を支持する支持プレート49と、この支持プレート49をガイドバー40に沿って移動させる公知の移動機構50とを備えている。この移動機構50は、グリップ52を握るたびに支持プレート49が所定距離分上昇し、グリップ52の操作をしないと、その高さ位置で支持プレート49がロックされるようになっている。また、グリップ52の上方に位置するリリースレバー53を押すと、支持プレート49のロックが解除され、顎載せ部42及び支持プレート49の自重で下降するようになっている。従って、この移動機構50により、顎載せ部42の高さ方向の位置調整が可能となる。
前記顎載せ部42は、前記支持プレート49に上下回転自在に連結されたジョイント部材55と、ジョイント部材55に固定されるとともに、前後方向(図4(A)中左右方向)に延びる軸部材56と、ジョイント部材55の下方に設けられ、当該ジョイント部材55の下向きの回転を規制する規制手段57と、軸部材56に対してスライド可能に係合するスライダ58と、このスライダ58の上端側に固定された下顎把持プレート60と、この下顎把持プレート60の上面に載る下顎載置部材61とを備えて構成されている。
前記規制手段57は、支持プレート49に固定された支持ブロック63と、この支持ブロック63にねじ係合するねじ軸64と、このねじ軸64の下端側に設けられた回転摘み65とからなる。前記ねじ軸64は、回転摘み65の回転により上下動し、これによって、ジョイント部材55の下方に位置するねじ軸64の先端部分の高さが変わるようになっている。このように、ねじ軸64の先端部分の高さが変わることで、ジョイント部材55の許容回転角度が変わり、下顎把持プレート60の上下方向の傾きを調整することができる。
前記スライダ58は、軸部材56の貫通穴67が形成されており、この貫通穴67の下端側には、下向きに解放する溝部68が連設されている。この溝部68には、ねじ軸69が幅方向に貫通しており、当該ねじ軸69の先端側に設けられたハンドル69Aを回転することで、溝幅を変えられるようになっている。つまり、ハンドル69Aの回転操作を行うと、溝部68に連なる貫通穴67の穴径が変わり、当該穴径を縮小する方向にハンドル69Aを回転すると、スライダ58の移動が不能になる一方、前記穴径を拡大する方向にハンドル69Aを回転すると、スライダ58の前後方向の移動が許容され、下顎把持プレート60の前後方向の位置を調整することができる。
前記下顎把持プレート60は、図4(A)中左側が開放する平面視略U字状のベース部材72と、このベース部材72の端縁側の複数箇所で、左右略対称となるように立設された立ち上がり部材73とからなる。ベース部材72は、立ち上がり部材73の内側空間に患者の顎を入れることができる平面サイズに設定されている。
前記下顎載置部材61は、レジン(速乾性アクリル)により患者の下顎を型取りすることにより形成され、図4(B)に示されるように、当該下顎の外形に略対応する内部形状をなす凹部75と、この凹部75の底壁75Aの略中央付近で隆起する圧迫子76とにより構成されている。この圧迫子76は、下顎載置部材61に患者の下顎部分を載せたときに、その下顎骨に非干渉となる位置に形成されている。
前記移動手段21は、図2に示されるように、前記下顎支持手段20が取り付けられる平面視略U字状の可動バー78と、この可動バー78を前記設置フレーム18に連結する六個のアクチュエータ79と、これらアクチュエータ79の動作を制御する制御装置80とを備えている。
前記アクチュエータ79は、図示省略したボールジョイントを介し、設置フレーム18及び可動バー78に相対回転可能に接続されている。ここで、六個のアクチュエータ79は、左右対称に配置されており、具体的に、内二本が可動バー78の中央部位と底板23との間に配置され、残り四本が可動バー78の側端部位と側板24との間に配置されている。また、各アクチュエータ79は、設置フレーム18側に接続される外筒部82と、この外筒部82の内側でねじ係合するとともに、可動バー78側に接続されるロッド部83とを備え、図示しないモータの回転により、ロッド部83が伸縮するようになっている。
前記制御装置80は、前記操作装置16の把持部15(図1参照)を一回握ったときに、可動バー78に所定の動作をさせるように各アクチュエータ79の駆動を制御する。つまり、このときには、可動バー78に取り付けられた下顎マウスピース36が、門状部材25に固定配置された上顎マウスピース28に対し、略鉛直方向に下降してから、基部31側を回転中心として二股状部30が下向きに回転するようになっている。
ここで、各アクチュエータ79の駆動は、次のように下顎マウスピース36が動くように制御される。すなわち、治療に必要な方向への下顎マウスピース36の移動については、操作装置16の操作による指令通りに行われるように制御される。その一方、それを除く方向への下顎マウスピース36の移動については、患者の顎の動きに追従させる制御、すなわち、コンプライアンス制御がなされている。なお、本実施例において、治療に必要な方向とは、左右方向に延びるX軸、前後方向に延びるY軸、上下方向に延びるZ軸に対し、それら各軸の並進方向及び各軸回りの回転方向の六方向のうち、Z軸に沿う並進方向及びX軸回りの回転方向が該当する。
前記コンプライアンス制御は、次のようにして行われる。先ず、可動バー78の左右方向略中央に設けられた六軸力センサ(図示省略)により、その設置部位における前記三軸方向の力の大きさと、当該三軸回りのモーメントの大きさとが測定される。そして、これら測定値から、図示しないコンピュータにより、患者の下顎の任意の位置での顎運動基準点であるコンプライアンス中心に作用する力及びモーメントが計算によって求められる。次いで、コンプライアンス中心に作用する力及びモーメントから、これら力及びモーメントに下顎マウスピース36が追従するように、コンプライアンス制御がなされる各方向における下顎マウスピース36の移動量が計算で求められる。そして、その計算値が各種アクチュエータ79の指令値として前記制御装置80に送られ、アクチュエータ79が前記指令値に基づいて動作する。
前記コンプライアンス中心は、任意の方向に移動でき、下顎骨の後部の左右両側を治療する場合は、下顎骨の左右方向略中央に位置させる。一方、下顎骨の後部の左右何れか一方側のみの治療で足りる場合には、当該治療側と反対側にコンプライアンス中心を位置させることで、当該治療側のみを効果的に顎間牽引させることが可能になる。つまり、当該治療側と反対側にコンプライアンス中心を置くことにより、治療側に反力に起因するモーメントを生じさせ、このモーメントに追従させるように治療側のみを移動させることが可能になる。
なお、移動手段21の制御としては、前記コンプライアンス制御を併用しなくてもよい。但し、当該併用によって、患者の不意な動き等があったときに、当該動きに対して装置が干渉作用を奏することになるため、患者の不意な動き等があっても、顎間牽引治療を確実に行うことが可能となる。
なお、可動バー78の周囲には、当該可動バー78の移動を所定範囲に制限する安全装置85が設けられている。この安全装置85としては、特に限定されるものではないが、可動バー78に連なる所定の部材85Aを枠体85Bの内側に収容しておき、当該枠体85Bに部材85Aが干渉したときに、可動バー78が所定範囲以上動いたとして、アクチュエータ79の動作を停止するようになっている。
前記頭部固定装置17は、図1に示されるように、椅子11に着座した患者の頭部Hを後方から支える安頭台87と、当該患者の背中の後方に位置する背当88とを備えて構成されている。これら安頭台87及び背当88により、下顎マウスピース36の回転を伴う治療時に、患者の頭部Hの後方への動きが規制される。なお、安頭台87及び背当88は、フリー状態で、所定の空間内を移動可能となっており、任意に決めた位置でロックできる公知の構造が採用されている。
次に、前記顎治療装置10を使った開咬症状の治療手順につき説明する。
顎治療装置10による顎間牽引治療は、患者の顎に非生理的な運動をさせるため、各マウスピース28,36に対して顎が追従して動くように、頭部と下顎を適正に固定する必要がある。すなわち、先ず、患者は、図1に示されるように、装置本体13の各マウスピース28,36に向って椅子11に座り、各マウスピース28,36の二股状部30,30を口にくわえ、下顎を下顎載置部材61に載せる。この際、昇降部41(図4(A)参照)のグリップ52を操作して下顎載置部材61の高さ調整を行い、また、ハンドル47A,69A(図4(A)参照)の操作により、下顎載置部材61の傾き及び前後位置の調整を行う。そして、治療中に患者の頭部Hが動かないように、安頭台87及び背当88をセットする。
以上の準備が終了した後、操作装置16の把持部15が医師の手で握られると、図5の初期状態から、下顎マウスピース36が略鉛直方向に下降し(図6参照)、その後、下顎マウスピース36が基部31側となる前歯(切歯)付近を中心として、先端側の二股状部30が下向きに所定量回転する(図7参照)。このとき、下顎載置部材61は、患者の下顎の形状に略合致して当該下顎を包み込むように保持され、また、圧迫子76が顎肉に食い込むことになり、下顎骨Bが下顎マウスピース36に略ぴったり沿って回転する。また、安頭台87及び背当88によって、下顎マウスピース36の回転に伴う患者の頭Hの後方への移動が規制される。従って、下顎マウスピース36が回転したときに、下顎骨Bが治療上効果的に回転し、関節隙Cを確実に拡大させることができる。また、以上の過程では、下顎マウスピース36の二股状部30の内向片34が、下顎の奥歯(臼歯)引っ掛かっているため、臼歯部に力を作用させ易くなり、下顎の後部側を効率良く回転させることができる。
なお、以上においては、下顎マウスピース36の左右方向における回転中心を略中央にしているが、モードの切替等によって、左右方向における回転中心を左右何れか一方側にシフトした状態で前述の動作を行わせることもできる。このようにすれば、左右何れか一方のみ関節隙Cを拡大すれば足りるような患者についても対応可能となる。
従って、このような実施例によれば、患者に対して毎日数分程度、顎治療装置10を使った前述の治療を行うことで、従来よりも短時間で開咬症状の治療を行えることが期待できる。また、治療に際し、患者はマウスピース28,36を口にくわえるだけで済み、固定用金具を歯に装着してゴムで牽引することが不要となり、治療時の患者への苦痛を従来の治療法よりも大幅に軽減することができる。
なお、本実施例においては、操作装置16の遠隔操作によって下顎マウスピース36を動作させるマスター・スレーブ方式を採用しているが、コンピュータを使ってアクチュエータ79を自動制御する構成にしてもよい。
また、前記顎治療装置10は、アクチュエータ79に対する制御方法を変えることで、顎の開閉口訓練用の装置とすることも可能である。
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
本実施例に係る顎治療装置の概略斜視図。 装置本体の一部を分解した斜視図。 マウスピースの概略斜視図。 (A)は、下顎支持手段の一部を分解した斜視図であり、(B)は、(A)のA−A線に沿う拡大断面図である。 治療時の初期状態を示す概念図。 図5の状態から、下顎マウスピースが下方に移動した状態を説明するための概念図。 図6の状態から、下顎マウスピースが下向きに回転した状態を説明するための概念図。 (A)は、人体の下顎頭を説明するための概念図であり、(B)は、開咬症状を説明するための概念図であり、(C)は、従来の顎間牽引療法を説明するための概念図である。
符号の説明
10 顎治療装置
17 頭部固定装置
21 移動手段
28 上顎マウスピース
30 二股状部(先端側)
31 基部(基端側)
36 下顎マウスピース
37 下顎把持装置
61 下顎載置部材
76 圧迫子
B 下顎骨
H 頭部

Claims (7)

  1. 上下方向に相対配置された上顎マウスピース及び下顎マウスピースと、患者の下顎を口外側から把持する下顎把持装置と、前記上顎マウスピース及び下顎マウスピースを相対移動させる移動手段とを備え、
    前記各マウスピースは、先端側から患者の口内に挿入可能な片持状に設けられ、
    前記下顎把持装置は、前記相対移動時に、前記下顎マウスピースと下顎骨との相対位置関係を略一定にした状態で、当該下顎を把持可能に設けられ、
    前記移動手段は、前記下顎マウスピースの基端側を中心として、その先端側を下向きに回転させることで、口内に挿入された各マウスピースの先端側を相互に離間させるとともに、治療に必要な方向への前記相対移動が所定の指令通りに行われるように制御される一方で、それを除く方向への前記相対移動が患者の顎の動きに追従するようにコンプライアンス制御されていることを特徴とする顎治療装置。
  2. 前記下顎マウスピースの回転中心は、患者の前歯付近に設定されていることを特徴とする請求項1記載の顎治療装置。
  3. 前記下顎マウスピースの先端側は、患者の奥歯に引っ掛け可能となる形状に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の顎治療装置。
  4. 前記下顎把持装置は、下顎が載る下顎載置部材を備え、この下顎載置部材には、周囲に対して隆起する圧迫子が下顎骨に非干渉となる位置に形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の顎治療装置。
  5. 前記移動手段は、前記上顎マウスピースに対して前記下顎マウスピースが下降した後で、当該下顎マウスピースが回転するように動作制御されていることを特徴とする請求項記載の顎治療装置。
  6. 前記コンプライアンス制御における患者の下顎の任意の位置での顎運動基準点であるコンプライアンス中心は、所定方向に移動可能に設定されていることを特徴とする請求項1又は5記載の顎治療装置。
  7. 患者の頭部の動きを規制する頭部固定装置を更に備えたことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の顎治療装置。
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