JP4268489B2 - 透明石英ガラス体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリカ粉末を原料としたゾルゲル法による透明石英ガラス体の製造方法に関する。詳しくは、大型のゲル体および透明石英ガラス体を歩留良く製造する方法を提供する。
石英ガラス製光ファイバは、プリフォームと呼ばれる透明な石英ガラスのインゴットを線引することによって製造される。該プリフォームは、通常、コアと内部クラッドよりなる光を伝播する部分と、それを取り囲むように形成されたオーバークラッド層よりなる。プリフォームの製造方法としては、VAD法、OVD法、MCVD法、PCVD法など、様々な方法が知られている。大型のプリフォームを製造する場合には、体積比率の高いオーバークラッド層を別個に作製し(以下、オーバークラッド管とも呼ぶ)、該オーバークラッド管にコアを含むプリフォームを挿入し一体化する、いわゆるジャケット法も多用されている。
上記オーバークラッド管は、一般に光の伝播には影響がないため、内部クラッドやコアに比べて純度等の品質は多少低くても構わないと言われている。したがって、必要最低限の仕様を満足する、低価格のオーバークラッド管が求められている。
そのような要求に応えるために、シリカ粉末と水を原料に用いたゾルゲル法によって透明石英ガラス体(例えば、光ファイバ用のオーバークラッド管)を作る先駆的な試みが報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
上記方法では、シリカ粉末を水に分散した分散液を調製した後、通常、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(以下、TMAHという)などの塩基を添加して安定化した分散液を得る。続いて、上記分散液にギ酸メチルのようなゲル化剤を添加することによって該分散液のpHを変化させ、該分散液を鋳型の中でゲル化させる。さらに、該ゲル体を乾燥後、焼結することによって透明な石英ガラス体を得る。
上記のゾルゲル法は、一括して多数本のオーバークラッド管を製造できるため、従来一般に実施されているスート法と呼ばれる方法(四塩化珪素等のガスを火炎中で加水分解してシリカを堆積させる方法)に比べて、はるかに生産性が高く、低コストでオーバークラッド管を製造できる優れた方法である。
特開平6−239623号公報 特開2001−48549号公報
一方、プリフォームを線引して光ファイバを製造するにあたっては、1回の線引工程あたりの光ファイバ線引距離を長くするため、直径方向及び長手方向に大型化されたプリフォームが必要になってきている。そのようなプリフォームを線引に使用することにより、線引時のコストが低減できると言われているためである。したがって、プリフォームの大型化に伴い、オーバークラッド管についても大型化が必要不可欠となり、直径方向及び長手方向に大型化された透明石英ガラス体(以下、大型の透明石英ガラス体ともいう)を製造する技術を開発することが重要である。ここでいう、大型の透明石英ガラス体とは、直径が70mmを超えるもの、長手方向にも100mmを超えるものが相当する。
これまで本発明者等は、シリカ原料として比表面積が3〜30m/gである球状シリカを使用して小型ゲル体および小型透明石英ガラス体(直径約39mm、長さ約60mmの鋳型を使用して製造したものを指す)の製造を鋭意検討してきた(特願2002−305300)。その結果、分散液を高濃度化することにより、製造工程中の湿潤ゲル体乾燥段階において湿潤ゲル体の収縮量を小さく抑えることができ、乾燥中に湿潤ゲル体に発生する歪を低減させることが可能になり、成形体作製時の歩留を向上することができた。
しかしながら、例えば直径90mm、長さ100mmのゲル体(以下、大型ゲル体とも呼ぶ)を比表面積が3〜30m/gである球状シリカを用いて製造した場合には、シリカ分散液を高濃度化しても乾燥中に該湿潤ゲル体が割れやすいという欠点があった。したがって、大型ゲル体、ひいては大型の透明ガラス体を歩留良く製造することが困難であった。
また、上記シリカ原料を用いた透明石英ガラス体は、その内部に直径1mm以上の気泡が入ることがあり、オーバークラッド管として使用する場合には強度の低下が懸念され、また、光学部材として使用する場合には低品質の影響を与えかねず、製品として用いるにはさらに気泡を低減することが好ましい。
本発明は、上記問題点を解決し、シリカ粉末を原料としたゾルゲル法において大型のゲル体および透明石英ガラス体を歩留良く、かつ、ガラス体内部に含まれる気泡が少ない製造方法を提供する。
大型ゲル体及び大型の透明石英ガラスを製造する際、製造工程中の湿潤ゲルの乾燥段階にて該湿潤ゲルが割れやすい原因は、大型化したことにより、該湿潤ゲルに発生する歪が相対的に大きくなるためと考えられた。そこで、小型ゲル体の製造において有効な手段であったスラリー中のシリカ濃度の高濃度化を行ったが、上記したようにスラリー濃度を高めても、大型の湿潤ゲル体を乾燥中にクラックが発生する場合があった。そこで、クラックの発生は湿潤ゲルから蒸発する水分の蒸発速度に大きく依存することが知られているので、蒸発速度を緩めて乾燥させたが、同様に湿潤ゲルにクラックが発生した。したがって、この場合のクラックの発生原因は、該湿潤ゲル体自身の強度そのものが不足しているためであると考えられた。即ち、該湿潤ゲル体自身の強度そのものが不足しているため、蒸発速度を緩やかに制御しても、歪に耐え切れずにクラックが発生するのであり、該湿潤ゲル体の割れを防止するためには、乾燥時の収縮歪に耐えうるような強度を該湿潤ゲル体に持たせることが非常に重要となると考えられた。
本発明者等は、上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、ゾルゲル法による光ファイバ用のオーバークラッド管の作製に代表されるような、シリカと水とを主成分として使用した石英ガラス製品の製造に使用するシリカ分散液を調製する際、特定のシリカ原料を用いることによって、大型のゲル体および透明石英ガラス体を歩留良く製造することができ、さらに、該シリカ原料を使用して透明石英ガラスを製造した場合にガラス体内部に含まれる気泡が少なく製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、レーザー回折散乱法により測定した粒度分布のモード粒径が0.10〜0.20μm、かつ、比表面積が25〜40m/gの範囲の球状シリカと水の混合物を分散処理して、シリカ濃度が68重量%以上のシリカ分散液を調製する工程、(B)該シリカ分散液のpHを10以上に調整する工程、(C)pHを調整したシリカ分散液を鋳型の中でゲル化させて湿潤ゲル体を作製する工程、(D)該湿潤ゲル体を乾燥させて乾燥ゲル体を作製する工程、(E)該乾燥ゲル体を酸化雰囲気中500〜1000℃の範囲で焼成することによって有機物を除去する工程、(F)有機物を除去した乾燥ゲル体をハロゲン含有ガス中500〜1200℃の範囲で処理することによって高純度化する工程、(G)さらに高純度化した乾燥ゲル体をヘリウムガス雰囲気もしくは真空中で1200〜1800℃の温度範囲で焼結する工程、を経ることを特徴とする透明石英ガラス体の製造方法である。
本発明によれば、シリカ粉末を原料として使用したゾルゲル法による透明石英ガラス体の製造方法において、大型のゲル体および透明石英ガラス体を歩留良く得られ、かつ、ガラス体内部に含まれる気泡が少ない透明石英ガラス体が得られる。
本発明の透明石英ガラスの製造方法は、基本的には上記の(A)〜(G)の工程により構成される。まず、(A)工程及び(B)工程により、ゾルゲル法によって透明石英ガラス体を得るのに使用するシリカ分散液を製造する。本発明においては、シリカ原料として、レーザー回折散乱法により測定した粒度分布のモード粒径が0.10〜0.20μm、かつ、比表面積が25〜40m/gの範囲の球状シリカを使用することが重要である。上記比表面積はBET法で測定した比表面積である。
上記の粒度分布のモード粒径が0.10μm未満である場合、本発明で挙げるような68%以上の高濃度の分散液を得ることが困難になったり、分散液の粘度が高くなったりする場合があり、ハンドリング上望ましくない。一方、モード粒径が0.20μmを超えた場合、高濃度かつ低粘度の分散液が得やすくなるためにゾルゲル法により透明石英ガラス体を製造する上でハンドリングが容易になるが、湿潤ゲル体の強度が不足するために歩留が低下する。得られるシリカ分散液のハンドリング性や湿潤ゲル体の強度等の点から、モード粒径は、0.11〜0.18μmであることが好ましい。
また、上記比表面積が25m/g未満の場合は、湿潤ゲル体の乾燥時に割れが生じゲル体の歩留が低下したり、ガラス体としたときに気泡が多く生じたりする場合がある。一方、比表面積が40m/gを超えた場合は、68重量%以上の高濃度のシリカ分散液を得ることができず、ゲル体の歩留の低下を生じる。
本発明においては、シリカ原料として球状シリカを用いることが重要である。球形度を表す形状係数としては、電子顕微鏡の撮影像を画像解析することにより得られる、円形度などの数値を参考にすることができる。代表的な円形度の算出式としては、下記式を挙げることができる。
円形度=(4・π・S)1/2/L
S:画像処理で得られた粒子の面積
L:粒子の周囲長
本発明においては、球状シリカの円形度は、上記式で算出した値が0.8以上、好ましくは0.9以上であることが本発明を実施する上で好ましい。
本発明における球状シリカは、モード粒径及び比表面積が上記範囲を満足するものであれば良く、入手した時点で上記範囲を満足する球状シリカは勿論のこと、2種類以上のシリカ原料を混合して本願発明における球状シリカとすることもできる。例えば、シリカ原料は、ヒュームドシリカのような微細なシリカ粒子を酸水素火炎中で加熱溶融させる方法、金属シリコンの微粉末を酸素気流中で連続的に自己燃焼させる方法、各種のシロキサン化合物のガスを燃焼させる方法、シリコンのアルコキサイドを含水有機溶媒中で加水分解して得る方法等どのような製造方法で製造されたシリカ原料であっても良い。
本発明における球状シリカは、レーザー回折散乱法により測定されるようなモード粒径程度の粒径をもつシリカ粒子が主要成分であるが、その比表面積から理解されるように、主要なシリカ粒子よりも微細な粒子も存在しており、この微細粒子が成形体の強度改善に好影響をもたらす。すなわち、微細粒子は主要成分を成すシリカ粒子の間隙に充填され、シリカ粒子接触点数を増加させる。シリカ粒子接触点数は湿潤ゲル体の強度と相関しており、シリカ粒子接触点における物理的な作用により粒子同士の結合が強化される。このため、微細粒子を適度に含むことにより湿潤ゲル体の強度が向上し、大型ゲル体を製造する際の乾燥時の歪に耐えることができるようになり、ゲル体の歩留が向上する。また、湿潤ゲル体中の粒子の充填状態が改善されることで主要成分を成すシリカ粒子によって形成される大きな粒子間隙が消滅する。このため、本発明のシリカ原料を使用することは焼結後にガラス内部の気泡を減少させることにも有効である。
上記の球状シリカは、水と混合した後分散処理することによりシリカ分散液を調製する。分散処理には摩砕機を用いることが好ましい。摩砕機としては例えば、スーパーマスコロイダー(商品名:増幸産業社製)やセレンディピター(商品名:増幸産業社製)等が挙げられる。摩砕機はシリカと水の混合物を、間隙をあけて相対的に高速回転する破砕面(砥石)間を通過させることにより、該混合物にせん断力を与えて解砕・分散するものである。この方法によると、本発明の、シリカ濃度68重量%以上であり、かつ粘度が低く分散性に優れたシリカ分散液が比較的容易に得られる。本発明の方法においては、必要に応じて分散液を撹拌したり、脱泡処理したりする場合もあるが、分散液の粘度が低い方が分散液の取扱いが容易になり望ましい。また、分散液のシリカ濃度を68重量%以上とすることにより、ゲル体製造時の歩留の向上にも役立つ。分散液のシリカ濃度が高いことは、分散液中のシリカの体積比が大きくなることを意味する。乾燥時に水が除去されて湿潤ゲル体が収縮するが、シリカの体積比が高い方が湿潤ゲル体の収縮は小さいため、収縮時に湿潤ゲル体に発生する歪は小さくなる。すなわち、成形体製造の歩留にも大きく影響し、分散液のシリカ濃度は高いほうが好ましい。一方、68重量%未満の場合においても、粘度が低く分散性に優れたシリカ分散液が得られるが、シリカ濃度が低いために湿潤ゲル体の収縮が大きくなり歪も大きくなる。このため、成形体製造の歩留が低下する。
球状シリカと水の混合物を分散処理した後、pHを10以上、好ましくは11以上に調製し、透明石英ガラス体を製造するためのシリカ分散液とする。pHが10未満では、得られた分散液の粘度が高く、また、安定性が悪く短時間でゲル化する可能性がある。なお、pHの上限値は14以下であることが好ましく、より好ましくは13以下である。したがって、最も好適なpHの範囲は、11〜13の範囲である。pHを調製する際に使用する塩基は、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(以下、TMAHともいう)やテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドのようなアミン類、アンモニア等を挙げることができる。
さらに、シリカ分散液中に各種の添加剤を加えても良い。例えば、特許文献
1に記載されているように、結合剤としてポリエチルオキサゾリンのような水溶性高分子を添加したり、可塑剤としてグリセリンのような添加剤を加えても良い。また、特許文献2に記載されているように、ポリエチルオキサゾリンの代替としてモノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(商品名:Tween20)のような非イオン性界面活性剤を添加しても良い。上記添加剤の添加量は、シリカに対して1,000〜10,000ppmの範囲が好適である。これらの添加剤はシリカ表面に吸着して粒子の表面状態の改質を行い、湿潤ゲル体の乾燥時に発生する歪を、粒子同士で滑り現象を起こすことにより緩和させると考えられる。したがって、これらの添加剤をシリカ分散液中に加えることは、ゲル体の歩留向上に有用である。
上記のように塩基と添加剤を加えた分散液はある程度シリカ成分を溶解させることが望ましく、1時間以上熟成させる。続いて、上記のシリカ分散液にギ酸メチル等のゲル化剤を添加し、均一に混合した後、鋳型に注入してシリカ分散液をゲル化させる。このとき2−オクタノールやシリコーン系の泡消剤などを添加してもよい。ゲル化剤は水との加水分解によりギ酸とメタノールに分解され、ここで発生したギ酸が塩基と中和反応を起こす。分散液のpHが低下することにより、シリカ粒子表面の電位が低下し、分散液のゲル化が誘起される。ギ酸メチルは分散液のpHが9以下になる程度の量が必要であり、具体的にはシリカ分散液中の塩基に対して0.9−1.5当量の範囲が好適である。
ゲル化剤を添加した分散液は、鋳型の中でゲル化して湿潤ゲル体となる。数時間から数日の間、室温付近で鋳型の中で湿潤ゲル体を熟成させることが好ましい。熟成の間もゲル化反応が進行し、シリカ粒子接触点においてシロキサン結合が生成するため、湿潤ゲル体は熟成により強度が向上するものと考えられる。熟成の完了した湿潤ゲル体は鋳型から抜出し、乾燥して含まれる水分を十分に除去して乾燥ゲル体とする。乾燥を急激に行うと湿潤ゲル体にクラックが発生するため、温湿度をコントロールした乾燥機(恒温恒湿槽)を使用することが好ましい。温度は25〜60℃の範囲が好ましく、3〜21日かけて乾燥することが望ましい。さらに完全に湿潤ゲル体の水分を除去するために100〜200℃の範囲で数時間から1日程度乾燥させることが望ましい。
続いて、得られた乾燥ゲル体を酸化雰囲気中にて焼成し、工程中に添加した塩基成分や添加剤等の有機物を除去する。焼成温度は500〜1000℃の範囲であり、焼成時間は1時間〜1日の範囲とすることが好適である。
有機物を除去した乾燥ゲル体(以下、仮焼ゲル体ともいう)を焼結する前に、さらにハロゲン含有ガス中500〜1200℃の温度範囲で数十分〜数時間高純度化処理する。ハロゲン含有ガスとしては塩素、塩化水素、塩化チオニル等のガスが使用できる。該ハロゲン含有ガスをヘリウムガスにより1〜20体積%の濃度に希釈して処理に用いる。該高純度化処理により、仮焼ゲル体中に含まれる金属元素(Fe、Cr、Ni、Zr、Ti等)をハロゲン化物として効率よく除去することが可能なばかりでなく、シリカ原料に含まれるシラノール基を塩素化により除去することが可能である。
仮焼ゲル体は続いてヘリウムガス雰囲気もしくは真空中で1200〜1800℃の温度範囲で焼結する。上記の焼結工程によって、透明な石英ガラス体を得られる。上記の焼結方法としては、一般に光ファイバ用プリフォームを製造する際に用いられているゾーンタイプの焼成炉が好適に採用できる。具体的には1350℃〜1700℃の範囲、最も好適には1500℃前後の加熱ゾーンを有する縦型焼成炉に、上記ゲル体をゆっくりと上昇または下降させながらゲル体を構成するシリカ粒子を焼結させる方法である。雰囲気としてはヘリウムガスが好適である。
また、真空加熱炉を用いて1200〜1800℃の温度範囲で焼結する方法も好適に採用できる。真空度は、1×10−2Pa以下、好ましくは1×10−3Pa以下、さらに好ましくは1×10−4Pa以下であることが好ましい。炉内温度は1200〜1400℃、好ましくは1250〜1350℃の範囲で1〜10時間保持し、さらに、昇温速度0.1〜50℃/minにて1600〜1800℃の温度まで上昇して焼結させる方法が有効である。
以下、本発明の実施例を挙げて説明する。
(シリカの種類)
SH−03:トクヤマ社製乾式シリカSH−03、モード粒径0.13μm、比表面積20m/g
OX−50:デグッサ社製乾式シリカOX−50、モード粒径0.09μm、比表面積46m/g
SH−03(100):トクヤマ社製乾式シリカSH−03(100m/g品)、モード粒径0.10μm、比表面積100m/g
SH−03(11):トクヤマ社製乾式シリカSH−03(11m/g品)、モード粒径0.32μm、比表面積11m/g
QS−09:トクヤマ社製乾式シリカQS−09、モード粒径0.10μm、比表面積90m/g
QS−10:トクヤマ社製乾式シリカQS−10、モード粒径0.10μm、比表面積140m/g
PL−3:扶桑化学社製コロイダルシリカPL−3、モード粒径0.07μm、比表面積89m/g
SE−1:トクヤマ社製乾式シリカSE−1、モード粒径0.18μm、比表面積16m/g
(モード粒径の測定)
シリカ原料の粒度分布はレーザー回折散乱法粒度分布計(コールター社製LS−230)により測定した。粒度分布測定用の分散液の調製は「粒子径計測技術」(粉体工学会編、1994年日刊工業社出版)に準じた。まず、50mlサンプル管瓶にシリカ原料0.5gと水50gを投入し、照射型の超音波分散機を用いて100Wで5分間超音波を照射し、粒度分布測定用の分散液を調製した。この分散液を該粒度分布計に適量投入して粒度分布を測定し、モード粒径を求めた。
(円形度)
シリカ粒子の形状は電子顕微鏡の撮影像により確認した。粒子の円形度は該撮影像を画像解析装置で処理することにより求めた。電子顕微鏡の撮影像をスキャナーでパソコンに取り込み、高精細画像解析システムIP−1000PC(旭化成製)を用いて画像計測を行った。画像処理するサンプル数は200個以上とした。円形度の算出には下記式を用いた。
円形度=(4・π・S)1/2/L
(ここでSは画像処理で得られた粒子の面積、Lは粒子の周囲長)
(ゲル体の歩留)
透明ガラス体製造の際の、高純度化処理を行うまでのゲル体の歩留を求めた。湿潤ゲル体や乾燥ゲル体において、外観上割れやクラックがないものを合格品とした。判断基準は合格品の割合が90%以上の場合を○、合格品が70〜90%の場合を△、合格品が70%以下の場合を×で表した。なお、大型ゲル体と小型ゲル体ともに上記の判断基準を適用した。
(ガラス体中の気泡)
上記歩留判定における小型ゲル体の合格品を用いて透明石英ガラス体を作製し、該透明ガラス体の気泡(目視で観察できる直径1mm以上の気泡)の数を調べた。気泡の数が該透明ガラス体1個当たりの平均値で、0.5個未満の場合を○、0.5個以上〜2個未満の場合を△、2個以上の場合を×とした。
実施例1
トクヤマ社製乾式シリカSH−03とデグッサ社製乾式シリカOX−50とを重量比で80/20の割合で混合してシリカ原料とした。シリカ原料のモード粒径は0.12μmであった(図1に粒度分布を示す)。上記シリカ原料のBET比表面積は26m/gであり、円形度は0.90であった。これに純水を加えて濃度70重量%のスラリーを調製し、さらに摩砕機(増幸産業社製、スーパーマスコロイダー)を使用し、3000rpmで回転する炭化珪素製の破砕面に該スラリーを通過させることにより分散処理し、シリカ分散液を調製した。調製後のシリカ分散液に、シリカに対してTMAHが1.3重量%の比率となるように25重量%TMAH水溶液を添加し、十分に撹拌した。さらに、シリカに対してグリセリンと界面活性剤をそれぞれ6000ppmずつ添加し、ゆっくり撹拌した。
該分散液を20時間熟成した後、TMAHに対して1.2当量の割合でギ酸メチルを添加し、さらにギ酸メチルに対して1.5重量%の割合で2−オクタノールを添加し、ゆっくりと撹拌した。その後、速やかに鋳型に注入した。鋳型にはポリプロピレン製の小型ゲル成型用の鋳型(39mmφ×60mmH)と、同じくポリプロピレン製の大型ゲル成型用の鋳型(90mmφ×100mmH)を用意した。鋳型に分散液を注入した後、蓋をして25℃で24時間静置した。分散液は、室温で約10分でゲル化した。24時間後、小型湿潤ゲル体および大型湿潤ゲル体をそれぞれゆっくりと取り出した。
小型湿潤ゲル体については容量200mlのプラスチックビーカーに移し、アルミホイルでビーカーに蓋をした後、該アルミホイルに約1mmφのピンホールを12個開けた。該ビーカーを40℃で10日間、さらに上記アルミホイルを取り除いて120℃で20時間送風乾燥機内で乾燥させて小型乾燥ゲル体を得た。一方、大型湿潤ゲル体については鋳型から取り出して恒温恒湿槽に移し、温度35℃で湿度85%の条件で10日間、さらに送風乾燥機に移して40℃で20時間及び120℃で20時間乾燥させて大型乾燥ゲル体を得た。続いて、それぞれの乾燥ゲル体に含まれる有機物を除去するため、電気炉に入れ、700℃で2時間、空気中で焼成した。
次に、上記焼成後の小型仮焼ゲル体中の微量の金属不純物を除去するために、該ゲル体を雰囲気制御が可能な石英ガラス製の炉心管内に設置し、3体積%の塩化チオニルガスを含むヘリウムガスを流しながら、1100℃で1時間熱処理し、高純度化処理を行った。最後に、上記高純度化処理を行った仮焼ゲル体をゾーン型の電気炉を用いて焼結し、透明石英ガラス体を得た。なお、このときの運転条件は、ヘリウムガス雰囲気中にて、該ゲル体を10rpmで回転させながら、2mm/分の移動速度で、最高温度1475℃の温度領域を通過させるものであった。
シリカ原料の比表面積、シリカ原料のモード粒径並びにゲル体の歩留および透明ガラス体の気泡を評価した結果を表1に示す。小型ゲル体の歩留が良好であったばかりではなく、大型ゲル体を製造時の歩留も優れていて、透明石英ガラス体内部の気泡の発生も少なかった。
実施例2
シリカ原料として、トクヤマ社製乾式シリカSH−03にSH−03(100)を90/10重量%の割合で混合したものを使用し、実施例1と同様にして透明石英ガラス体を製造した。円形度は0.92であった。
シリカ原料の比表面積、シリカ原料のモード粒径並びにゲル体の歩留および透明ガラス体の気泡を評価した結果を表1に示す。
実施例3〜実施例6
表1に示すシリカを用い、表1に示す混合比率でシリカ原料を調製し、実施例1と同様にして透明石英ガラス体を製造した。
シリカ原料の比表面積、シリカ原料のモード粒径並びにゲル体の歩留および透明ガラス体の気泡を評価した結果を表1に示す。
いずれも、粒度分布のモード粒径は0.13〜0.16μmの範囲であった。各実施例とも表1に示した通り、小型ゲル体の歩留が良好であったばかりではなく、大型ゲル体を製造した時の歩留も優れていて、透明石英ガラス体内部の気泡の発生も少なかった。
Figure 0004268489
比較例1〜5
シリカ原料として表2に示したシリカを用いた他は実施例1と同様にして石英ガラス体を製造した。
シリカ原料の比表面積、シリカ原料のモード粒径並びにゲル体の歩留および透明ガラス体の気泡を評価した結果を表2に示す。
比較例1は、小型ゲル体の歩留は良好であったが、大型ゲル体を製造すると、強度不足のためにクラックが発生しやすかった。また、焼結したガラス内部に気泡の発生が認められた。
比較例2及び比較例3は粒度分布のモード粒径が大きい場合の例であるが、モード粒径が大きくなるにつれて、ゲル体において単位体積当たりのシリカ粒子接触点が減少するため、強度不足となり、小型ゲル体製造時の歩留も極端に悪くなった。大型ゲル体についてはさらに歩留が低下した。さらに、ガラス内部の気泡についても、粒子の充填状態が疎な状態になるため気泡が残留しやすくなると考えられる。特に比較例3については非常に多数の気泡が認められた。
比較例4は粒度分布のモード粒径が小さく、比表面積が大きなシリカ原料を用いた例である。68重量%以上の高濃度でのスラリー化を試みたが分散処理してもスラリー化せず、シリカ分散液を調整することができなかった。そこで、シリカ濃度50重量%の分散液を調製して製造した(比較例5)。小型ゲル体を焼結して得た透明石英ガラス体内部の気泡は少なかった。しかしながら、スラリー濃度が低く、製造工程中の湿潤ゲルの乾燥時の収縮量が大きかったため、該湿潤ゲルに歪が発生しやすく、小型ゲル体および大型ゲル体の歩留は必ずしも良くなかった。なお、OX−50の円形度については粒子径が小さいために正確な測定はできなかった。電子顕微鏡から判断する限りにおいては、丸みを帯びた粒子であった。また、55重量%程度がスラリー化する上限値であった。
比較例6
シリカ分散液としてシリカ濃度25重量%のコロイダルシリカを用いた他は、実施例1と同様にして石英ガラス体を製造した。粒度分布のモード粒径が小さく、比表面積が大きいうえに、スラリー濃度が低く、大型ゲル体の歩留だけでなく、小型ゲル体の製造においても歩留が悪かった。
Figure 0004268489
実施例1におけるシリカ原料の粒度分布を示す図である。

Claims (1)

  1. (A)レーザー回折散乱法により測定した粒度分布のモード粒径が0.10〜0.20μmで、かつ、比表面積が25〜40m/gの範囲の球状シリカと水の混合物を分散処理してシリカ濃度が68重量%以上のシリカ分散液を調製する工程、(B)該シリカ分散液のpHを10以上に調整する工程、(C)pHを調整したシリカ分散液を鋳型の中でゲル化させて湿潤ゲル体を作製する工程、(D)該湿潤ゲル体を乾燥させて乾燥ゲル体を作製する工程、(E)該乾燥ゲル体を酸化雰囲気中500〜1000℃の範囲で焼成することによって有機物を除去する工程、(F)有機物を除去した乾燥ゲル体をハロゲン含有ガス中500〜1200℃の範囲で処理することによって高純度化する工程、(G)さらに高純度化した乾燥ゲル体をヘリウムガス雰囲気もしくは真空中で1200〜1800℃の温度範囲で焼結する工程、を経ることを特徴とする透明石英ガラス体の製造方法。


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