JP4268362B2 - アリールアミン化合物の製造方法および該製造方法により製造されたアリールアミン化合物を使用した有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

アリールアミン化合物の製造方法および該製造方法により製造されたアリールアミン化合物を使用した有機電界発光素子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアリールアミン化合物の製造方法、該製造方法によって製造されたアリールアミン化合物、およびアリールアミン化合物を含有してなる有機電界発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アリールアミン化合物は各種色素の製造中間体、医農薬分野における製造中間体、あるいは各種の機能材料として使用されてきた。機能材料としては、例えば、電子写真感光体の電荷輸送材料に使用されてきた。最近では、発光材料に有機材料を用いた有機電界発光素子(有機エレクロルミネッセンス素子:有機EL素子)の正孔注入輸送材料として有用であることが提案されている〔例えば、Appl.Phys.lett.,51,913(1987)〕。
【0003】
有機電界発光素子は蛍光性有機化合物を含む薄膜を、陽極と陰極管に挟持した構造を有し、該薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して、再結合させることにより励起子(エキシントン)を生成させ、この励起子が失活する際に放出される光を利用して発光する素子である。有機電界発光素子は、数V〜数十V程度の直流の低電圧で発光が可能であり、また、蛍光性有機化合物の種類を選択することにより種々の色(例えば、赤色、青色、緑色)の発光が可能である。このような特徴を有する有機電界発光素子は種々の発光素子、表示素子等への応用が期待されている。しかしながら、一般に、有機電界発光素子は、安定性、耐久性に乏しいなどの欠点を有している。有機電界発光素子の蛍光性有機化合物を含む薄膜への正孔の注入輸送を効率よく行う目的で、正孔注入輸送材料として、4,4’−ビス〔N−フェニル−N−(3”−メチルフェニル)アミノ〕ビフェニルを用いることが提案されている〔Jpn.J.Appl.Phys.,27,L269(1988)〕。
【0004】
また、正孔注入輸送材料として、例えば、9,9−ジアルキル−2,7−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)フルオレン誘導体〔例えば、9,9−ジメチル−2,7−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)フルオレン〕を用いることも提案されている(特開平5−25473号公報)。
【0005】
しかしながら、これらのアリールアミン化合物を正孔注入輸送材料として使用した有機電界発光素子も、安定性、耐久性に乏しいなどの難点があった。
【0006】
現在では、安定性、耐久性に優れた有機電界発光素子が求められており、そのため、有機電界発光素子として使用した際に優れた特性を示す新規なアリールアミン化合物が望まれており、そのため、様々なアリールアミン化合物の製造方法の開発が望まれている。
【0007】
アリールアミン化合物の製造方法としては、従来、アリールハライドとアミン化合物とから銅触媒を用いて製造する方法が知られている〔大有機化学、vol.16,52(1959),朝倉書店〕、有機化学講座3,66(1983)丸善、等〕。
【0008】
また、最近、Stephen L.Buchwaldらによりアリールハライドとアミン化合物からアリールアミン化合物を製造する方法が報告された〔Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,34,No.12,1348(1995)〕。この方法はアリールブロマイドを原料とし、塩基としてナトリウム-tert-ブトキシドを用い、ビス(ジベンジリデンアセトン)−ビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウムまたはジクロロ−ビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウムを触媒としてアリールアミン化合物を製造する方法である。また、J.Org.Chem.,65,1144(2000)には、BINAP〔2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル基〕を配位子として使用したパラジウム触媒を使用した反応例が記載されている。しかしながら、従来、アリールアミン化合物を製造する方法としては、これらの反応を使用した製造方法でも、アリールアミン化合物を効率良く且つ高純度に製造することは不可能であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高純度のアリールアミン化合物を収率良く、また高分子量の副生物の生成を削減しつつ製造できる方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、アリールアミン化合物の製造方法に関して、鋭意検討した結果本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
▲1▼:アルキル基とアリール基を同一分子内に有するホスフィン化合物とパラジウム化合物からなる触媒、及び塩基の存在下に、一般式(1)(化3)で表されるハロゲン化芳香族化合物と、
【0011】
【化3】
Figure 0004268362
【0012】
〔式中、Xはハロゲン原子を表し、p、q、rおよびsは0または1を表し、p+q+r+sは0ではない〕
一般式(2)(化4)で表されるジアリール置換アミン化合物を反応させるアリールアミン化合物の製造方法、
【0013】
【化4】
Figure 0004268362
【0014】
〔式中、Ar1およびAr2は置換または未置換のアリール基を表し、Ar1とAr2は互いに結合して含窒素複素環を形成していてもよい〕
【0015】
▲2▼:一般式(1)において、Xが臭素原子である▲1▼記載のアリールアミン化合物の製造方法、
▲3▼:一般式(1)において、rおよびsがそれぞれ1である▲1▼または▲2▼記載のアリールアミン化合物の製造方法、
▲4▼:アルキル基とアリール基を同一分子内に有するホスフィン化合物のアルキル基がシクロヘキシル基またはtert-ブチル基である▲1▼〜▲3▼記載のアリールアミン化合物の製造方法。
▲5▼:▲1▼〜▲4▼記載の製造方法で製造されたアリールアミン化合物、
▲6▼:▲5▼記載のアリールアミン化合物を、1対の電極間に少なくとも1種含有する層を少なくとも一層を挟持してなる有機電界発光素子、
▲7▼:▲5▼記載のアリールアミン化合物を含有する層が正孔注入輸送層または発光層である▲6▼記載の有機電界発光素子、
に関するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関し詳細に説明する。
本発明は、アルキル基とアリール基を同一分子内に有するホスフィン化合物とパラジウム化合物からなる触媒、及び塩基の存在下に、一般式(1)(化5)で表されるハロゲン化芳香族化合物と、
【0017】
【化5】
Figure 0004268362
【0018】
〔式中、Xはハロゲン原子を表し、p、q、rおよびsは0または1を表し、p+q+r+sは0ではない〕
一般式(2)(化6)で表されるジアリール置換アミン化合物を反応させるアリールアミン化合物の製造方法に関するものである。
【0019】
【化6】
Figure 0004268362
【0020】
〔式中、Ar1およびAr2は置換または未置換のアリール基を表し、Ar1とAr2は互いに結合して含窒素複素環を形成していてもよい〕
【0021】
一般式(1)で表されるハロゲン化芳香族化合物において、Xはハロゲン原子を表し、好ましくは、ヨウ素原子、臭素原子および塩素原子を表す。また、p、q、rおよびsは0または1を表し、p+q+r+sは0ではない。好ましくは、rおよびsが1であり、且つpおよびqが0または1であり、より好ましくは、rおよびsが1であり、且つpおよびqが0である。
【0022】
一般式(1)で表されるハロゲン化芳香族化合物の具体例としては特に限定されるものではないが、例えば、2−(4’−クロロフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン、2−(4’−ブロモフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン、2−(4’−ヨードフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン、2,5−ビス(4’−クロロフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(4’−ブロモフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(4’−ヨードフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン、2,3,5−トリス(4’−クロロフェニル)−4−フェニルチオフェン、2,3,5−トリス(4’−ブロモフェニル)−4−フェニルチオフェン、2,3,5−トリス(4’−ヨードフェニル)−4−フェニルチオフェン、2,3,4−トリス(4’−クロロフェニル)−5−フェニルチオフェン、2,3,4−トリス(4’−ブロモフェニル)−5−フェニルチオフェン、2,3,4−トリス(4’−ヨードフェニル)−5−フェニルチオフェン、2−(4’−クロロフェニル)−5−(4”−ブロモフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン、2−(4’−クロロフェニル)−5−(4”−ヨードフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン、2−(4’−ブロモフェニル)−5−(4”−ヨードフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン、2,3,4,5−テトラキス(4’−クロロフェニル)チオフェン、2,3,4,5−テトラキス(4’−ブロモフェニル)チオフェン、2,3,4,5−テトラキス(4’−ヨードフェニル)チオフェン等を挙げることができる。
【0023】
本発明で使用するジアリール置換アミン化合物とは、一般式(2)(化7)で表される化合物を表す。
【0024】
【化7】
Figure 0004268362
【0025】
〔式中、Ar1およびAr2は置換または未置換のアリール基を表し、Ar1とAr2は互いに結合して含窒素複素環を形成していてもよい〕
【0026】
一般式(2)で表されるジアリール置換アミン化合物において、アリール基とは、例えば、置換または未置換のフェニル基、置換または未置換のナフチル基、置換または未置換のアントラセニル基、置換または未置換のフェナントレニル基、置換または未置換のビフェニル基、置換または未置換のフルオレニル基、置換または未置換のピリジル基等の芳香族環を表す。また、これらのアリール基は互いに結合して含窒素複素環を形成していてもよい。
【0027】
ジアリール置換アミン化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、N,N−ジフェニルアミン、N−フェニル−N−(1−ナフチル)アミン、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン、N,N−ジ(1−ナフチル)アミン、N,N−ジ(2−ナフチル)アミン、N,N−ジ(4−フェニルフェニル)アミン、N,N−ジ(2−フェニルフェニル)アミン、N−フェニル−N−(9−アントラセニル)アミン、N−フェニル−N−(2−アントラセニル)アミン、N−フェニル−N−(4−フェニルフェニル)アミン、N−フェニル−N−(2−フェニルフェニル)アミン、N−フェニル−N−(4−シクロヘキシルフェニル)アミン、N−フェニル−N−(2−ピリジル)アミン、N−フェニル−N−(3−ピレニル)アミン、N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−フェニル−N−(3−メチルフェニル)アミン、N,N−ジ(3−メチルフェニル)アミン、N,N−ジ(3,4−ジメチルフェニル)アミン、N−フェニル−N−(3,4−ジメチルフェニル)アミン、N−フェニル−N−(9−フェナンスリル)アミン、N−(1−ナフチル)−N−(9’−フェナンスリル)アミン、N−フェニル−N−(1−ピレニル)アミン、N−(1−ナフチル)−N−(1’−ピレニル)アミン、N−(1−ナフチル)−N−(9’−アントラセニル)アミン、N−(1−ナフチル)−N−(4’−フェニルフェニル)アミン、N−(1−ナフチル)−N−(2’−フェニルフェニル)アミン、N−(4−フェニルフェニル)−N−(9’−アントラセニル)アミン、N−(4−フェニルフェニル)−N−(9’−フェナントレニル)アミン、カルバゾール、10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]アゼピン、ジベンゾ[b,f]アゼピン、フェノチアジン、フェノキサジン、2−トリフルオロメチルフェノチアジン等を挙げることができる。
【0028】
本発明の製造方法において、ジアリールアミン化合物は通常、一般式(1)で表されるハロゲン化芳香族化合物のハロゲン原子に対して、0.5〜2等量、好ましくは、0.8〜1.5等量使用する。
【0029】
本発明の製造方法において、アルキル基とアリール基を同一分子内に有するホスフィン化合物としては、例えば、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、n−プロピルジフェニルホスフィン、ジ−n−プロピルフェニルホスフィン、iso−プロピルフェニルホスフィン、ジ−iso−プロピルフェニルホスフィン、n−ブチルジフェニルホスフィン、ジ−n−ブチルフェニルホスフィン、tert-ブチルジフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、n−ヘキシルジフェニルホスフィン、ジ−n−ヘキシルフェニルホスフィン、n−オクチルジフェニルホスフィン、ジ−n−オクチルフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、
【0030】
ジ-tert-ブチル-(2−フェニルフェニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル−(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフィン、ジ−tert-ブチル−〔2−(2’−ジメチルアミノフェニル)フェニル〕ホスフィン、2,2’−ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,1’−ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジメチルホスフィノ)フェロセン、
ジシクロヘキシル−(2−フェニルフェニル)ホスフィン、ジシクロヘキシル(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフィン、ジシクロヘキシル〔2−(2’−ジメチルアミノ)フェニル〕ホスフィン、ジシクロヘキシル〔2−(2’−メチルフェニル)フェニル〕ホスフィン、ジシクロヘキシル〔2−(2’−iso−プロピルフェニル)フェニル〕ホスフィン、2,2’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,1’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、
さらには、1,2−ビス((ジフェニルホスフィノ)エタン〔(C652P(CH22P(C652〕、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン〔(C652P(CH23P(C652〕、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン〔(C652P(CH24P(C652〕、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン〔(C652P(CH25P(C652〕、トリス(ジフェニルホスフィノエチル)ホスフィン〔P[(C652P−CH2CH23〕、2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン〔(C652PCH(CH3)(CH3)CHP(C652〕等を挙げることができる。
【0031】
好ましくは、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシル−(2−フェニルフェニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル−(2−フェニルフェニル)ホスフィン、ジシクロヘキシル−(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル−(2−シクロヘキシル)ホスフィン等の立体的に嵩高い置換基を有するリン系配位子を挙げることができる。
【0032】
これらのホスフィン化合物は、一部は試薬として入手可能であり、また、例えば、J.Org.Chem.,Vol65,No4、P1158-1174,(2000)、J.Am.Chem.Soc.,Vol121,p4369-4378(1999)、J.Am.Chem.Soc.,Vol120,p7369-7370(1998)等に記載された方法により製造することができる。
【0033】
本発明の製造方法において使用する塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸カリウム等の無機塩基、ナトリウム-tert-ブトキシド、カリウム-tert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウム(2,4,6−トリ-tert-ブチルフェノラート)、カリウム(2,4,6−トリ-tert-ブチルフェノラート)等の金属アルコキシド等を挙げることができる。
【0034】
塩基の使用量は特に制限されるものではないが、通常、ハロゲン化芳香族化合物のハロゲン原子に対して、0.5〜3等量であり、好ましくは、0.8〜2等量使用する。
【0035】
本発明の製造方法において使用するパラジウム化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化パラジウム(PdCl2)、臭化パラジム(PdBr2)、ヨウ化パラジウム(PdI2)、酢酸パラジム(Pd(OCOCH32)、Pd(CH2COCH2COCH32、K2PdCl4、K2PdCl6、K2Pd(NO34、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(エチレン)パラジウム(PdCl2(C242)、Pd(π−C552等の有機配位子錯体、
PdCl2(NH32、PdCl2[N(C2532、Pd(NO32(NH36などのN−配位錯体、
Pd[P(CH334、Pd[P(C2534、Pd[P(n−C3734、Pd[P(iso-C3734、Pd[P(n−C4934、Pd[P(tert-C4934、Pd[P(Cyc-C61134、Pd[P(C6534、Pd[P(o-CH3−C6434、PdCO2[P(C6534、Pd(C24)[P(C6532、PdCl2[P(C6532、PdCl2[P(n−C4932、PdCl2[P(tert-C4932、PdBr2[P(C6532、PdBr2[P(n−C4932、PdBr2[P(tert−C4932、PdCl2[P(OCH332、PdBr2[P(OCH332、PdI2[P(OCH332、PdCl(C65)[P(C6532のごとき、三価のホスフィン化合物を配位子とする錯体などを挙げることができる。
【0036】
本発明の製造方法において、パラジウム化合物と、アルキル基とアリール基を同一分子内に有するホスフィン化合物の組み合わせの使用量は、パラジウム化合物のパラジウム原子に対してモル比で1:1〜100、好ましくは1:1〜20、より好ましくは、1:1〜10の量を使用する。また、パラジウム化合物の使用量はジアリールアミノ置換ハロゲン化芳香族化合物のハロゲン原子に対してモル比で1:0.1〜0.000001、好ましくは1:0.05〜0.00002、より好ましくは1:0.02〜0.000005の量で使用する。
【0037】
また、本発明の製造方法において、アルキル基とアリール基を同一分子内に有するホスフィン化合物は一種のみを使用してもよく、また、複数併用してもよい。さらには、パラジウム化合物は一種のみを使用してもよく複数併用してもよい。
【0038】
好ましい、パラジウム化合物と、アルキル基とアリール基を同一分子内に有するホスフィン化合物の組み合わせとしては、例えば、酢酸パラジウム/ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、酢酸パラジウム/ジシクロヒキシルフェニルホスフィン、酢酸パラジウム/ジ-tert-ブチル-(2−フェニルフェニル)ホスフィン、酢酸パラジウム/2,2’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム/ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム/ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/ジ-tert-ブチル−(2−フェニルフェニル)ホスフィン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/ジ-tert-ブチル−(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフィン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/2,2’−ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを挙げることができる。
【0039】
また、本発明の製造方法においては、所望により有機溶媒を使用することができる。所望により使用する有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、混合キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒等を上げることができ、これらは単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。
【0040】
好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒またはエーテル系溶媒であり、より好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒を挙げることができる。
【0041】
本発明の製造方法において、所望により使用する有機溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、ハロゲン化芳香族化合物に対して濃度が0.1M〜5Mとなる量であり、より好ましくは、濃度が0.25M〜2Mとなる量である。
【0042】
本発明の製造方法の反応条件は、通常、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム)気流下で実施する。また、反応温度は室温又はそれ以下の温度から所望により使用する有機溶媒の沸点以下の温度が好ましく、室温から150℃以下がより好ましい。
また、反応は、常圧で実施してもよく、また、必要に応じ、減圧または加圧条件下で実施することも可能である。好ましくは、常圧で実施する。
【0043】
反応の進行は、クロマトグラフィーのような通常の方法で追跡することができる。
【0044】
本発明の製造方法で製造されたアリールアミン化合物は、通常、水洗等の処理をした後、有機溶媒等を除去(必要に応じ、常圧または減圧下で)し、その後、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製方法により精製することができる。また、その後、減圧下に、溶媒、低揮発成分等を除き、高真空下で昇華精製することも好ましい。生成物の構造は、元素分析、MS(FD−MS)分析、IR分析、1H−NMR、13C−NMR等により同定することができる。
【0045】
本発明の製造方法により製造されるアリールアミン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下に示す化合物を挙げることができる。
【0046】
1.N,N−ジフェニル−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
2.N−フェニル−N−(1”−ナフチル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
3.N−フェニル−N−(2”−ナフチル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
4.N−フェニル−N−(4”−フェニルフェニル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
5.N−フェニル−N−(2”−フェニルフェニル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
6.N−フェニル−N−(9”−アントラセニル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
7.N−フェニル−N−(9”−フェナントレニル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
8.N−フェニル−N−(1”−ピレニル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
9.N,N−ジ(1”−ナフチル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
10.N,N−ジ(2”−ナフチル)−2−(4’−アミンオフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
11.N,N−(4”−フェニルフェニル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
12.N−(1”−ナフチル)−N−(2”’−ナフチル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
13.N−(1”−ナフチル)−N−(4”’−フェニルフェニル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
14.N−(1”−ナフチル)−N−(4”’−シクロヘキシルフェニル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
15.N−(1”−ナフチル)−N−(9”’−アントラセニル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
16.N−(1”−ナフチル)−N−(9”’−フェナントレニル)−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
17.N−カルバゾリル−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
18.N−ジベンゾ[b,f]アゼピニル−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
19.N−フェノチアジニル−2−(4’−アミノフェニル)−3,4,5−トリフェニルチオフェン
20.N,N,N’,N’−テトラフェニル−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
【0047】
21.N,N,N’,N’−テトラ(1”−ナフチル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
22.N,N,N’,N’−テトラ(2”−ナフチル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
23.N,N,N’,N’−テトラ(4”−フェニルフェニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
24.N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(1”−ナフチル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
25.N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(2”−ナフチル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
26.N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4”−フェニルフェニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
27.N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(2”−フェニルフェニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
28.N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(9”−アントラセニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
29.N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(9−フェナントレニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
30.N,N’−ジ(1”−ナフチル)−N,N’−ジ(4”’−フェニルフェニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
31.N,N’−ジ(1”−ナフチル)−N,N’−ジ(2”’−フェニルフェニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン32.N,N’−ジ(1”−ナフチル)−N,N’−ジ(4”’−シクロヘキシル
フェニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
33.N,N’−ジ(1”−ナフチル)−N,N’−ジ(9”’−アントラセニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
34.N,N’−ジ(1”−ナフチル)−N,N’−ジ(9”’−フェナントレニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
35.N,N’−ジ(4”−フェニルフェニル)−N,N’−ジ(9”’−アントラセニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
36.N,N’−ジ(4”−フェニルフェニル)−N,N’−ジ(9”’−フェナントレニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
37.N,N’−ジ(2”−フェニルフェニル)−N,N’−ジ(4”’−フェニルフェニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
38.N,N’−ジ(2”−フェニルフェニル)−N,N’−ジ(4”’−シクロヘキシルフェニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
39.N,N’−ジ(2”−フェニルフェニル)−N,N’−ジ(2”’,6”’−ジメチルフェニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
40.N,N’−ビス(カルバゾリル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
【0048】
41.N,N’−ビス(ジベンゾ[b,f]アゼピニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
42.N,N’−ビス(フェノチアジニル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン
43.N,N,N’,N’−テトラフェニル−2,3−ビス(4’−アミノフェニル)−4,5−ジフェニルチオフェン
44.N,N,N’,N’−テトラ(1”−ナフチル)−2,3−ビス(4’−アミノフェニル)−4,5−ジフェニルチオフェン
45.N,N,N’,N’−テトラフェニル−2,4−ビス(4’−アミノフェニル)−3,5−ジフェニルチオフェン
46.N,N,N’,N’−テトラ(1”−ナフチル)−2,4−ビス(4’−アミノフェニル)−3,5−ジフェニルチオフェン
47.N,N’−ビス(カルバゾリル)−2,3−ビス(4’−アミノフェニル)−4,5−ジフェニルチオフェン
48.N,N’−ビス(フェノチアジニル)−2,3−ビス(4’−アミノフェニル)−4,5−ジフェニルチオフェン
49.N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサフェニル−2,3,5−トリス(4’−アミノフェニル)−4−フェニルチオフェン
50.N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサ(1”−ナフチル)−2,3,5−トリス(4’−フェニル)−4−フェニルチオフェン
51.N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサフェニル−2,4,5−トリス(4’−アミノフェニル)−3−フェニルチオフェン
52.N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサ(1”−ナフチル)−2,4,5−トリス(4’−アミノフェニル)−3−フェニルチオフェン
53.N,N’,N”−トリス(カルバゾリル)−2,3,5−トリス(4’−アミノフェニル)−4−フェニルチオフェン
54.N,N’,N”−トリス(フェノチアジニル)−2,3,5−トリス(4’−アミノフェニウr)−4−フェニルチオフェン
55.N,N’,N”−トリス(カルバゾリル)−2,4,5−トリス(4’−アミノフェニル)−3−フェニルチオフェン
56.N,N’,N”−トリス(ジベンゾ[b,f]アゼピニル)−2,4,5−トリス(4’−アミノフェニル)−3−フェニルチオフェン
57.N,N,N’,N’,N”,N”,N”’,N”’−オクタフェニル−2,3,4,5−テトラキス(4’−アミノフェニル)チオフェン
58.N,N,N’,N’,N”,N”,N”’,N”’−オクタ(1”−ナフチル)−2,3,4,5−テトラキス(4’−アミノフェニル)チオフェン
59.N,N,N’,N’,N”,N”,N”’,N”’−オクタ(2”−ナフチル)−2,3,4,5−テトラキス(4’−アミノフェニル)チオフェン
60.N,N’,N”,N”’−テトラフェニル−N,N’,N”,N”’−テトラ(1”−ナフチル)−2,3,4,5−テトラキス(4’−アミノフェニル)チオフェン
61.N,N’,N”,N”’−テトラフェニル−N,N’,N”,N”’−テトラ(2”−ナフチル)−2,3,4,5−テトラキス(4’−アミノフェニル)チオフェン
62.N,N’,N”,N”’−テトラフェニル−N,N’,N”,N”’−テトラ(2”−フェニルフェニル)−2,3,4,5−テトラキス(4’−アミノフェニル)チオフェン
63.N,N’,N”,N”’−テトラキス(カルバゾリル)−2,3,4,5−テトラキス(4’−アミノフェニル)チオフェン
【0049】
次に、本発明の製造方法により製造されたアリールアミン化合物を使用した有機電界発光素子に関して詳細に説明する。
【0050】
本発明の有機電界素子は、本発明の製造方法で製造されたアリールアミン化合物を1対の電極間に少なくとも1種含有する層を少なくとも一層挟持してなる有機電界発光素子である。
【0051】
有機電界発光素子は、通常一対の電極間に少なくとも1種の発光成分を含有する発光層を少なくとも一層挟持してなるものである。発光層に使用する化合物の正孔注入および正孔輸送、電子注入および電子輸送の各機能レベルを考慮し、所望に応じて、正孔注入成分を含有する正孔注入輸送層および/または電子注入輸送成分を含有する電子注入輸送層を設けることもできる。
【0052】
例えば、発光層に使用する化合物の正孔注入機能、正孔輸送機能および/または電子注入機能、電子輸送機能が良好な場合には、発光層が正孔注入輸送層および/または電子注入輸送層を兼ねた型の素子構成として一層型の素子構成とすることができる。また、発光層が正孔注入機能および/または正孔輸送機能に乏しい場合には発光層の陽極側に正孔注入輸送層を設けた二層型の素子構成、発光層が電子注入機能および/または電子輸送機能に乏しい場合には発光層の陰極側に電子注入輸送層を設けた二層型の素子構成とすることができる。さらには発光層を正孔注入輸送層と電子注入輸送層で挟み込んだ構成の三層型の素子構成とすることも可能である。
【0053】
また、正孔注入輸送層、電子注入輸送層および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であってもよく、正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、それぞれの層において、注入機能を有する層と輸送機能を有する層を別々に設けて構成することもできる。
【0054】
本発明の有機電界発光素子において、本発明の製造方法により製造されたアリールアミン化合物は、正孔注入輸送層および/または発光層の構成成分として使用することが好ましく、正孔注入輸送層の構成成分として使用することがより好ましい。
【0055】
本発明の有機電界発光素子において、本発明の製造方法により製造されたアリールアミン化合物は、単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
【0056】
本発明の有機電界発光素子の構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、(A)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子(図1)、(B)陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極型素子(図2)、(C)陽極/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子(図3)、(D)陽極/発光層/陰極型素子(図4)、などを挙げることができる。さらには、発光層を電子注入輸送層で挟み込んだ形の(E)陽極/正孔注入輸送層/電子注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子(図5)とすることもできる。また、(D)の型の素子構成としては、発光層として発光成分を一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子、(F)発光層として正孔注入輸送成分、発光成分および電子注入成分を混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図6)、(G)発光層として正孔注入輸送成分および発光成分を混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図7)、(H)発光層として発光成分および電子注入成分を混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図8)のいずれであってもよい。
【0057】
本発明の有機電界発光素子は、これらの素子構成に限定されるものではなく、それぞれの型の素子において、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層を複数設けることも可能である。また、それぞれの型の素子において、正孔注入輸送層を発光層との間に、正孔注入輸送成分と発光成分の混合層および/または発光層と電子注入輸送層との間に、発光成分と電子注入輸送成分の混合層を設けることもできる。
【0058】
好ましい有機電界発光素子の構成は、(A)型素子、(B)型素子、(E)型素子、(F)型素子または(G)型素子であり、より好ましくは、(A)型素子、(B)型素子または(G)型素子である。
【0059】
以下、本発明の有機電界発光素子の構成要素に関し、詳細に説明する。なお、例として(図1)に示す(A)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子を取り上げて説明する。
【0060】
(図1)において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入輸送層、4は発光層、5は電子注入輸送層、6は陰極、7は電源を示す。
【0061】
本発明の有機電界発光素子は基板1に支持されていることが好ましく、基板としては、特に限定されるものではないが、透明ないし半透明である基板が好ましく、材質としては、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス等のガラスおよびポリエステル、ポリカーボネート、、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の透明性高分子が挙げられる。また、半透明プラスチックシート、石英、透明セラミックスあるいはこれらを組み合わせた複合シートからなる基板を使用することもできる。さらに、基板に、例えば、カラーフィルター膜、色変換膜、誘電体反射膜を組み合わせて、発光色をコントロールすることもできる。
【0062】
陽極2としては、仕事関数の比較的大きい金属、合金または導電性化合物を電極材料として使用することが好ましい。陽極に使用する電極材料としては、例えば、金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化インジウム(In23)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛、ITO(インジウム・チン・オキサイド:Indium Tin Oxide)、ポリチオフェン、ポリピロールなどを挙げることができる。これらの電極材料は単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
【0063】
陽極は、これらの電極材料を、例えば、蒸着法、スパッタリング法等の方法により、基板の上に形成することができる。
また、陽極は一層構造であってもよく、あるいは多層構造であってもよい。陽極のシート電気抵抗は、好ましくは、数百Ω/□以下、より好ましくは、5〜50Ω/□程度に設定する。
陽極の厚みは使用する電極材料の材質にもよるが、一般に、5〜1000nm程度、より好ましくは、10〜500nm程度に設定する。
【0064】
正孔注入輸送層3は、陽極からの正孔(ホール)の注入を容易にする機能、および注入された正孔を輸送する機能を有する化合物を含有する層である。
【0065】
正孔注入輸送層は、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物および/または他の正孔注入輸送機能を有する化合物(例えば、フタロシアニン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールなど)を少なくとも1種使用して形成することができる。
正孔注入輸送機能を有する化合物は、単独で使用してもよく、または複数併用してもよい。
【0066】
本発明の有機電界発光素子は、好ましくは、正孔注入輸送層に本発明の製造方法により製造されたアリールアミン化合物を含有する。本発明の有機電界発光素子において使用することができる本発明の本発明の製造方法により製造されたアリールアミン化合物以外の正孔注入輸送機能を有する化合物としては、トリアリールアミン誘導体(例えば、4,4’−ビス〔N−フェニル−N−(4”−メチルフェニル)アミノ〕ビフェニル、4,4’−ビス〔N−フェニル−N−(3”−メチルフェニル)アミノ〕ビフェニル、4,4’−ビス〔N−フェニル−N−(3”−メトキシフェニル)アミノ〕ビフェニル、4,4’−ビス〔N−フェニル−N−(1”−ナフチル)アミノ〕ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ビス〔N−フェニル−N−(3”−メチルフェニル)アミノ〕ビフェニル、1,1−ビス〔4’−[N,N−ジ(4”−メチルフェニル)アミノ]フェニル〕シクロヘキサン、9,10−ビス〔N−(4’−メチルフェニル)−N−(4”−n−ブチルフェニル)アミノ〕フェナントレン、3,8−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)−6−フェニルフェナントリジン、4−メチル−N,N−ビス〔4”、4”’−ビス[N’,N’−ジ(4−メチルフェニル)アミノ]ビフェニル−4−イル〕アニリン、N,N’−ビス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕−N,N’−ジフェニル−1,3−ジアミノベンゼン、N,N’−ビス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕−N,N’−ジフェニル−1,4−ジアミノベンゼン、5,5”−ビス〔4−(ビス[4−メチルフェニル]アミノ〕フェニル−2,2’:5’,2”−ターチオフェン、1,3,5−トリス(ジフェニルアミノ)ベンゼン、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリイル)トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス〔N,N−ビス(4”’−tert−ブチルビフェニル−4””−イル)アミノ〕トリフェニルアミン、1,3,5−トリス〔N−(4’−ジフェニルアミノ〕ベンゼンなど、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体がより好ましい。
【0067】
本発明の製造方法により製造されたアリールアミン化合物と他の正孔注入機能を有する化合物を併用する場合、正孔注入輸送層中に占める本発明の製造方法により製造されたアリールアミン化合物の含有量は、好ましくは、0.1重量%以上、より好ましくは、0.5〜99.9重量%、さらに好ましくは3〜97重量%である。
【0068】
発光層4は、正孔および電子の注入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する化合物を含有する層である。
発光層は、本発明の製造方法により製造されたアリールアミン化合物をホスト材料として、本発明の非対称アリールアミン以外の発光機能を有する化合物を少なくとも1種ゲスト材料として使用して形成することができる。
【0069】
本発明のアリールアミン化合物以外の発光機能を有する化合物(ゲスト材料)としては、例えば、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、多環芳香族化合物〔例えば、ルブレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、クリセン、デカサイクレン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、1,4−ビス(9’−エチニルアントセニル)ベンゼン、4,4’−ビス(9”−エチニルアントラセニル)ビフェニル、ジベンゾ[f,f]ジインデノ[1,2,3-cd:1',2',3'-lm]ペリレン誘導体〕、トリアリールアミン誘導体(例えば、正孔注入輸送機能を有する化合物として前述した化合物を挙げることができる)、有機金属錯体〔例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの亜鉛塩、4−ヒドロキシアクリジンの亜鉛塩、3−ヒドロキシフラボンの亜鉛塩、5−ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5−ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩〕、スチルベン誘導体〔例えば、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル、4,4’−ビス[(1,1,2−トリフェニル)エテニル]ビフェニル〕、クマリン誘導体(例えば、クマリン1、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン106、クマリン138、クマリン151、クマリン152、クマリン153、クマリン307、クマリン311、クマリン314、クマリン334、クマリン338、クマリン343、クマリン500)、ピラン誘導体(例えば、DCM1、DCM2)、オキサゾン誘導体(例えば、ナイルレッド)、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール夕動体、ピラジン誘導体、ケイ皮酸エステル誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリビフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリターフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリナフチレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体等を挙げることができる。本発明のアリールアミン化合物以外の発光機能を有する化合物(ゲスト材料)としては、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、多環芳香族化合物、トリアリールアミン誘導体、有機金属錯体およびスチルベン誘導体が好ましく、多環芳香族化合物、有機金属錯体がより好ましい。
【0070】
本発明の有機電界発光素子は、好ましくは、発光層に本発明の製造方法により製造されたアリールアミン化合物をホスト材料として含有する。
本発明の製造方法により製造されたアリールアミン化合物をホスト材料として、他の発光機能を有する化合物と併用する場合、発光層中に占める本発明の製造方法により製造されたアリールアミン化合物の含有率は、好ましくは、40.0%〜99.9%であり、より好ましくは、60.0〜99.9重量%である。
【0071】
ゲスト材料の使用量は、本発明の製造方法により製造されたアリールアミン化合物に対して0.001〜40重量%、好ましくは、0.05〜30重量%、より好ましくは、0.1〜20重量%である。また、ゲスト材料は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
【0072】
電子注入輸送層5は、陰極からの電子の注入を容易にする機能および/または注入された電子を輸送する機能を有する化合物を含有する層である。
【0073】
電子注入輸送層に使用される電子注入機能を有する化合物としては、例えば、有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体などを挙げることができる。また、有機金属錯体としては、例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、ビス(10−ベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム等の有機ベリリウム錯体、5−ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5−ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩等を挙げることができる。好ましくは、有機アルミニウム錯体であり、より好ましくは、置換または未置換の8−キノリノラート配位子を有する有機アルミニウム錯体である。 置換または未置換の8−キノリラート配位子を有する有機アルミニウム錯体としては、例えば、一般式(a)〜一般式(c)で表される化合物を挙げることができる。
【0074】
(Q)3−Al (a)
(式中、Qは置換または未置換の8−キノリノラート配位子を表す)
(Q)2−Al−O−L’ (b)
(式中、Qは置換または未置換の8−キノリノラート配位子を表し、O−L’はフェノラート配位子を表し、L’はフェニル基を有する炭素数6〜24の炭化水素基を表す)
(Q)2−Al−O−Al−(Q)2 (c)
(式中、Qは置換または未置換の8−キノリノラート配位子を表す)
【0075】
置換または未置換の8−キノリノラート配位子を有する有機アルミニウム錯体の具体例としては、例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、
【0076】
ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ-tert−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ-tert−ブチルフェノラート)アルミニウム、
【0077】
ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウムを挙げることができる。
電子注入機能を有する化合物は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
【0078】
陰極6としては、比較的仕事関数の小さい金属、合金または導電性化合物を電極材料として使用することが好ましい。陰極に使用する電極材料としては、例えば、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、カルシウム、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシム−インジウム合金、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金、グラファイト薄を挙げることができる。これらの電極材料は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
【0079】
陰極はこれらの電極材料を、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオン蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法により電子注入輸送層の上に形成することができる。
また、陰極は一層構造であってもよく、多層構造であってもよい。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/□以下とするのが好ましい。陰極の厚みは、使用する電極材料にもよるが、通常5〜1000nm、好ましくは、10〜500nmとする。本発明の有機電界発光素子の発光を高率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は、透明ないし半透明であることが好ましく、一般に、発光光の透過率が70%以上となるように陽極または陰極の材料、厚みを設定することが好ましい。
【0080】
また、本発明の有機電界発光素子は、正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸送層の少なくとも一層中に、一重項酸素クンチャーを含有していてもよい。一重項酸素クエンチャーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ルブレン、ニッケル錯体、ジフェニルイソベンゾフランが挙げられ、好ましくは、ルブレンである。
【0081】
一重項酸素クエンチャーが含有されている層としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、発光層または正孔注入輸送層であり、より好ましくは、正孔注入輸送層である。尚、正孔注入輸送層に一重項酸素クエンチャーを含有させる場合、正孔注入輸送層中に均一に含有させてもよく、正孔注入輸送層と隣接する層(例えば、発光層、発光機能を有する電子注入輸送層)の近傍に含有させてもよい。
一重項酸素クエンチャーの含有量としては、含有される層(例えば、正孔注入輸送層)を構成する全体量の0.01〜50重量%、好ましくは、0.05〜30重量%、より好ましくは、0.1〜20重量%である。
【0082】
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の形成方法に関しては、特に限定されるものではなく、例えば、真空蒸着法、イオン化蒸着法、溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、デイップコート法、バーコート法、ロールコート法、ラングミュア・ブロジェット法、インクジェット法)を使用することができる。真空蒸着法により正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層を形成する場合、真空蒸着の条件は。、特に限定されるものではないが、通常、10-5Torr程度以下の真空下で、50〜500℃程度のボート温度(蒸着源温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.005〜50nm/sec程度の蒸着速度で実施することが好ましい。この場合、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層は、真空下で、連続して形成することが好ましい。連続で形成することにより諸特性に優れた有機電界発光素子を製造することが可能となる。真空蒸着法により、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層を、複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して、共蒸着することが好ましい。
【0083】
溶液塗布法により各層を形成する場合、各層を形成する成分あるいはその成分とバインダー樹脂等とを、溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、例えば、有機溶媒(ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒)、水を挙げることができる。溶媒は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の各層の成分を溶媒に分散させる場合には、分散方法として、例えば、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、アトライター、ホモジナイザー等を使用して微粒子状に分散する方法を使用することができる。
【0084】
また、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層に使用しうるバインダー樹脂としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアリーレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体などの高分子化合物を挙げることができる。バインダー樹脂は単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。塗布液の濃度は、特に限定されるものではないが、実施する塗布法により所望の厚みを作製するに適した濃度範囲に設定することができ、通常、0.1〜50重量%、好ましくは、1〜30重量%に設定する。バインダー樹脂を使用する場合、その使用量は特に限定されるものではないが、通常、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層を形成する成分とバインダー樹脂の総量に対してバインダー樹脂の含有率が(一層型の素子を形成する場合には各成分の総量に対して)、5〜99.9重量%、好ましくは、10〜99重量%となるように使用する。
【0085】
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層の膜圧は、特に限定されるものではないが、通常、5nm〜5μmとする。
【0086】
また、上記の条件で作製した本発明の有機電界発光素子は、酸素や水分等との接触を防止する目的で、保護層(封止層)を設けたり、また、素子を不活性物質中(例えば、パラフィン、流動パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン油、ゼオライト含有フルオロカーボン油)に封入して保護することができる。保護層に使用する材料としては、例えば、有機高分子材料(例えば、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド)、無機材料(例えば、ダイアモンド薄膜、アモルファスシリカ、電気絶縁性ガラス、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物)、さらには、光硬化性樹脂を挙げることができる。保護層に使用する材料は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。保護層は一層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。
【0087】
また、本発明の有機電界発光素子は、電極に保護膜として金属酸化物膜(例えば、酸化アルミニウム膜)、金属フッ化膜を設けることもできる。
本発明の有機電界発光素子は、陽極の表面に界面層(中間層)を設けることもできる。界面層の材質としては、有機リン化合物、ポリシラン、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体等を挙げることができる。
さらに、電極、例えば、陽極はその表面を、酸、アンモニア/過酸化水素、あるいはプラズマで処理して使用することもできる。
【0088】
本発明の有機電界発光素子は、通常、直流駆動型の素子として使用することができるが、交流駆動型の素子としても使用することができる。また、本発明の有機電界発光素子は、セグメント型、単純マトリック駆動型等のパッシブ駆動型であってもよく、TFT(薄膜トランジスタ)型、MIM(メタル−インスレーター−メタル)型等のアクティブ駆動型であってもよい。駆動電圧は通常、2〜30Vである。本発明の有機電界発光素子は、パネル型光源(例えば、時計、液晶パネル等のバックライト)、各種の発光素子(例えば、LED等の発光素子の代替)、各種の表示素子〔例えば、情報表示素子(パソコンモニター、携帯電話・携帯端末用表示素子)〕、各種の標識、各種のセンサーなどに使用することができる。
【0089】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0090】
実施例1:例示化合物25〔N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(2”−ナフチル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン〕の製造
2,5−ビス(4’−ブロモフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン21.8g(0.04mol)、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)、tert−ブトキシナトリウム10.8g(0.11mol)、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム0.4g(0.44mmol)およびo−キシレン70gよりなる混合物に窒素雰囲気下、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン0.96g(3.5mmol)を添加し、その後、120℃に4時間加熱攪拌した。4時間加熱後の反応混合物をGPCにより分析したところ、目的物であるN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(2”−ナフチル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェンの含有量は、95面積%であり、目的物以上の分子量の化合物の生成は認められなかった。その後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール800mlに排出し、生成した結晶をろ別した。この結晶をトルエンに溶解し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、さらにトルエン/ヘキサンより再結晶し、目的とするN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(2”−ナフチル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェンを黄色結晶として29.8g得た。
さらにこの化合物は360℃、1×10-4Paで8時間かけて昇華精製した。
尚、この化合物の吸収極大波長は376nmであり、蛍光極大波長は461nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.17eVであった。
【0091】
比較例1
比較のため、例示化合物25の化合物を銅触媒を用いて製造した。
すなわち、2,5−ビス(4’−ブロモフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン21.8g(0.04mol)、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)、炭酸カリウム15.2g(0.11mol)18−6−クラウンエーテル1.0g、塩化銅0.5gおよびo−ジクロロベンゼン70gよりなる混合物を窒素気流下で、180℃まで加熱し、同温度で40時間加熱攪拌した。40時間加熱後の反応混合物をGPCにより分析したところ、目的物であるN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(2”−ナフチル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェンの含有量は22面積%であり、その他に高分子量の化合物が68面積%生成していた。その後、反応混合物を室温まで冷却し、トルエン100gを添加し、不溶物をろ別した。ろ液より減圧下にトルエンを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0092】
比較例2
比較のため、例示化合物25の化合物をトリス(アリール)ホスフィンとパラジウム化合物を用いて製造した。
すなわち、2,5−ビス(4’−ブロモフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェン21.8g(0.04mol)、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン1.064g(3.5mmol)およびo−キシレン70gよりなる混合物に窒素気流下で、酢酸パラジウム0.99g(0.44mmol)を添加し、その後、反応混合物を100℃まで加熱し、同温度で6時間加熱攪拌した。6時間後の反応混合物をGPCにより分析したところ、目的とするN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(2”−ナフチル)−2,5−ビス(4’−アミノフェニル)−3,4−ジフェニルチオフェンの含有量は15面積%であり、高分子量物が40面積%生成していた。その後、反応混合物を室温まで冷却し、トルエン100gを添加し、不溶物をろ別した。ろ液より減圧下にトルエンを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0093】
実施例2:例示化合物26の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)を使用する代わりに、N−フェニル−N−(4−フェニルフェニル)アミン19.6g(0.08mol)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い例示化合物26を製造した。反応終了時のGPC分析からは、目的物が97面積%で生成しており、高分子量化合物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は337nmであり、蛍光極大波長は461nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.18eVであった。
【0094】
実施例3:例示化合物22の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム0.4g(0.44mmol)およびジシクロヘキシルフェニルホスフィン0.96g(3.5mmol)を使用する代わりに、N、N−ジ(2−ナフチル)アミン21.5g(0.08mol)、酢酸パラジウム0.099g(0.44mmol)およびジ-tert-ブチル−(2−フェニルフェニル)ホスフィン1.043g(3.5mmol)を使用した以外は実施例1に記載の操作に従い、例示化合物22を製造した。反応終了後のGPC分析からは、目的物が94面積%生成しており、高分子量化合物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は376nmであり、蛍光極大波長は461nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.17eVであった。
【0095】
実施例4:例示化合物40の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム0.4g(0.44mmol)およびジシクロヘキシルフェニルホスフィン0.96g(3.5mmol)を使用する代わりに、カルバゾール13.4g(0.08mol)、酢酸パラジウム0.099g(0.44mmol)およびジ-tert-ブチル−(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフィン1.064g(3.5mmol)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い例示化合物40を製造した。反応終了時のGPC分析からは、目的物が98面積%生成しており、高分子量物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は344nmであり、蛍光極大波長は440nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.49eVであった。
【0096】
実施例5:例示化合物28の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)を使用する代わりに、N−フェニル−N−(9−アントラセニル)アミン21.5g(0.08mol)を使用した以外は実施例1に記載の操作に従い、例示化合物28を製造した。反応終了時の反応混合物のGPC分析では目的物の含有量は96面積%であり、高分子量の化合物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は360nmであり、蛍光極大波長は520nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.20eVであった。
【0097】
実施例6:例示化合物30の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)を使用する代わりに、N−(1−ナフチル)−N−(4’−フェニルフェニル)−アミン23.6g(0.08mol)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物30を製造した.反応終了時の反応混合物のGPC分析では目的物の含有量は95面積%であり、高分子量の化合物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は370nmであり、蛍光極大波長は460nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.15eVであった。
【0098】
実施例7:例示化合物42の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)を使用する代わりに、フェノチアジン15.9g(0.08mol)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物42を製造した。反応終了時の反応混合物のGPC分析では目的物の含有量は96面積%であり、高分子量の化合物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は368nmであり、蛍光極大波長は462nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.09eVであった。
【0099】
実施例8:例示化合物29の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)を使用する代わりに、N−フェニル−N−(9−フェナントレニル)アミン21.5g(0.08mol)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物29を製造した。反応終了時の反応混合物のGPC分析では目的物の含有量は93面積%であり、高分子量の化合物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は372nmであり、蛍光極大波長は456nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.10eVであった。
【0100】
実施例9:例示化合物23の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)を使用する代わりに、N,N−ジ(4−フェニルフェニル)アミン25.7g(0.08mol)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物23を製造した。反応終了時の反応混合物のGPC分析では目的物の含有量は97面積%であり、高分子量の化合物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は355nmであり、蛍光極大波長は466nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.10eVであった。
【0101】
実施例10:例示化合物34の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)を使用する代わりに、N−(1−ナフチル)−N−(9’−フェナントレニル)アミン25.5g(0.08mol)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物34を製造した。反応終了時の反応混合物のGPC分析では目的物の含有量は92面積%であり、高分子量の化合物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は372nmであり、蛍光極大波長は455nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.13eVであった。
【0102】
実施例11:例示化合物36の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)を使用する代わりに、N−(4−フェニルフェニル)−N−(9’−フェナントレニル)アミン27.6g(0.08mol)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物36を製造した。反応終了時の反応混合物のGPC分析では目的物の含有量は94面積%であり、高分子量の化合物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は368nmであり、蛍光極大波長は460nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.12eVであった。
【0103】
実施例12:例示化合物35の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)を使用する代わりに、N−(4−フェニルフェニル)−N−(9’−アントラセニル)アミン27.6g(0.08mol)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物35を製造した。反応終了時の反応混合物のGPC分析では目的物の含有量は96面積%であり、高分子量の化合物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は378nmであり、蛍光極大波長は521nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.12eVであった。
【0104】
実施例13:例示化合物21の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)を使用する代わりに、N,N−ジ(1−ナフチル)アミン21.5g(0.08mol)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物21を製造した。反応終了時の反応混合物のGPC分析では目的物の含有量は91面積%であり、高分子量の化合物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は371nmであり、蛍光極大波長は455nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.11eVであった。
【0105】
実施例14:例示化合物24の製造
実施例1において、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)を使用する代わりに、N−フェニル−N−(1−ナフチル)アミン17.6g(0.08mol)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物24を製造した。反応終了時の反応混合物のGPC分析では目的物の含有量は96面積%であり、高分子量の化合物の生成は認められなかった。
尚、この化合物の吸収極大波長は370nmであり、蛍光極大波長は456nmであった。また酸化還元電位より求めたこの化合物のHOMOレベルは−5.10eVであった。
【0106】
実施例15:有機電界発光素子の作製
本発明の製造方法で製造されたアリールアミン化合物の有機電界発光素子材料としての特性調べるため、有機電界発光素子を作成した。尚、実施例1、比較例1および比較例2で製造したアリールアミン化合物はそれぞれ、有機電界発光素子作成に使用する前に昇華精製を実施した。
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、セミコクリーン(フルウチ化学製)、超純水、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。この基板を窒素ガスを用いて乾燥し、さらにUV/オゾン洗浄した後、蒸着装置の基板ホルダーに固定し、蒸着槽を3×10-6Torrに減圧した。
先ず、ITO透明電極上に、実施例1で製造した例示化合物25の化合物を蒸着速度0.2nm/secで75nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層を形成した。次に、正孔注入輸送層の上にトリス(8−キノリノラート)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層を兼ね備えた発光層を形成した。さらに、その上に、陰極としてマグネシウムと銀を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに共蒸着(重量比10:1)して陰極とし、有機電界発光素子を作製した。尚、蒸着は、蒸着槽の減圧状態を保ったまま実施した。作製した有機電界発光素子に直流電圧を印加し、50℃、乾燥雰囲気下、10mA/cm2の定電流密度で連続駆動させた。初期には、6.3V、輝度480cd/m2の緑色の発光が確認された。輝度の半減期は750時間であった。
【0107】
比較例3
比較のため、実施例15において、正孔注入輸送層の形成に際して、実施例1で製造した例示化合物25の化合物を使用する代わりに、比較例1で製造した例示化合物25の化合物を使用した以外は実施例15に記載の操作に従い、有機電界発光素子を作製した。素子からは緑色の発光が確認された。作製した有機電界発光素子に直流電圧を印加し、50℃、乾燥雰囲気下、10mA/cm2の定電流密度で連続駆動させた。初期には、6.5V、輝度460cd/m2の緑色の発光が確認された。輝度の半減期は500時間であった。
実施例15との比較より本発明の製造方法により製造したアリールアミン化合物を使用した有機電界発光素子の方が輝度の半減期が長いことが判る。
【0108】
比較例4
実施例15において、正孔注入輸送層の形成に際して、実施例1で製造した例示化合物25の化合物を使用する代わりに、比較例2で製造した例示化合物25の化合物を使用した以外は実施例15に記載の操作に従い、有機電界発光素子を作製した。
作製した有機電界発光素子に直流電圧を印加し、50℃、乾燥雰囲気下、10mA/cm2の定電流密度で連続駆動させた。初期には、6.5V、輝度460cd/m2の緑色の発光が確認された。輝度の半減期は500時間であった。
実施例15との比較より本発明の製造方法により製造したアリールアミン化合物を使用した有機電界発光素子の方が輝度の半減期が長いことが判る。
【0109】
【発明の効果】
本発明により不純物含有量の少ないアリールアミン化合物を、高分子量化合物の生成を抑制しつつ製造することが可能になり、さらに、本発明のアリールアミン化合物を使用することで、発光寿命が長く、耐久性に優れた有機電界発光素子を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図2】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図3】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図4】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図5】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図6】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図7】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図8】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【符号の説明】
1:基板
2:陽極
3:正孔注入輸送層
3a:正孔注入輸送成分
4:発光層
4a:発光成分
5:電子注入輸送層
5”:電子注入輸送層
5a:電子注入輸送成分
6:陰極
7:電源

Claims (5)

  1. アルキル基とアリール基のそれぞれがリン原子に結合したホスフィン化合物とパラジウム化合物からなる触媒、及び塩基の存在下に、
    一般式(1)(化1)で表されるハロゲン化芳香族化合物と、一般式(2)(化2)で表されるジアリール置換アミン化合物とを反応させるアリールアミン化合物の製造方法であって、
    前記ホスフィン化合物は、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、n−プロピルジフェニルホスフィン、ジ−n−プロピルフェニルホスフィン、 iso −プロピルフェニルホスフィン、ジ− iso −プロピルフェニルホスフィン、n−ブチルジフェニルホスフィン、ジ−n−ブチルフェニルホスフィン、 tert- ブチルジフェニルホスフィン、ジ -tert- ブチルフェニルホスフィン、n−ヘキシルジフェニルホスフィン、ジ−n−ヘキシルフェニルホスフィン、n−オクチルジフェニルホスフィン、ジ−n−オクチルフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジ -tert- ブチル - (2−フェニルフェニル)ホスフィン、ジ -tert- ブチル−(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフィン、ジ− tert- ブチル−〔2−(2’−ジメチルアミノフェニル)フェニル〕ホスフィン、2,2’−ビス(ジ -tert- ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,1’−ビス(ジ -tert- ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジメチルホスフィノ)フェロセン、ジシクロヘキシル−(2−フェニルフェニル)ホスフィン、ジシクロヘキシル(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフィン、ジシクロヘキシル〔2−(2’−ジメチルアミノ)フェニル〕ホスフィン、ジシクロヘキシル〔2−(2’−メチルフェニル)フェニル〕ホスフィン、ジシクロヘキシル〔2−(2’− iso −プロピルフェニル)フェニル〕ホスフィン、2,2’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,1’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、1,2−ビス((ジフェニルホスフィノ)エタン〔(C P(CH P(C 〕、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン〔(C P(CH P(C 〕、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン〔(C P(CH P(C 〕、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン〔(C P(CH P(C 〕、トリス(ジフェニルホスフィノエチル)ホスフィン〔P[(C P−CH CH 〕、2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン〔(C PCH(CH )(CH )CHP(C 〕からなる群から選択される一以上である、製造方法
    Figure 0004268362
    〔式中、Xはハロゲン原子を表し、pおよびqは0または1を表し、rおよびsは1を表す〕
    Figure 0004268362
    〔式中、ArおよびArは、置換または未置換のフェニル基、置換または未置換のナフチル基、置換または未置換のアントラセニル基、置換または未置換のフェナントレニル基、置換または未置換のビフェニル基、置換または未置換のフルオレニル基、置換または未置換のピリジル基を表し、また
    ArとArは、互いに結合した、カルバゾール、アゼピン、フェノチアジンまたはフェノキサジンを形成していてもよい
  2. 一般式(1)において、Xが臭素原子である請求項1記載のアリールアミン化合物の製造方法。
  3. アルキル基とアリール基のそれぞれがリン原子に結合したホスフィン化合物のアルキル基が、シクロヘキシル基またはtert-ブチル基である請求項1または2記載のアリールアミン化合物の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法でアリールアミン化合物を製造する工程と、
    1対の電極間に挟持される層であって、前記製造されたアリールアミン化合物を含有する層を形成する工程と、
    を含む有機電界発光素子の製造方法。
  5. 前記アリールアミン化合物を含有する層が正孔注入輸送層または発光層である請求項4記載の有機電界発光素子の製造方法。
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