JP4268321B2 - 固体撮像素子用駆動回路およびそれを備えた固体撮像素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像素子用駆動回路及びそれを備えた固体撮像素子に関し、特に入力信号の値を調整することにより固体撮像素子の動作特性に合った出力信号を出力できる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は、固体撮像素子を含むCCDセンサの全体構成を示す機能ブロック図である。
【0003】
図11に示すように、固体撮像素子を含むCCDセンサは、固体撮像素子51と、固体撮像素子51の駆動信号を発生させる駆動信号発生回路52と、固体撮像素子51の出力信号を処理する出力信号処理回路53と、出力信号を記憶する記憶回路54と、出力信号を画像として表示する表示器55とを含む。
【0004】
図12に、一般的なインタライン型CCD固体撮像素子の平面図を示す。
【0005】
固体撮像素子51は、たとえばシリコン等の半導体基板61上に形成されている。画素63、垂直電荷転送路65、水平電荷転送路67、出力アンプ71が半導体基板61上に形成され、全体として一つのCCD固体撮像素子を構成する。
【0006】
複数の画素63は、半導体基板61上において、垂直方向及び水平方向に整列配置されている。
【0007】
画素63は、フォトダイオード(光電変換素子)63aとトランスファーゲート63bとを含む。フォトダイオード63aは、受光した光を電荷に変換して蓄積する。トランスファーゲート63bは、フォトダイオード63aに蓄積されている電荷を垂直電荷転送路65に読み出す。
【0008】
複数の画素63、63、63が垂直方向に整列して配置された各画素列の間には、1画素列に対応して各1本の垂直電荷転送路65が配置されている。垂直電荷転送路65は、例えば半導体基板に形成されたn型導電層である。垂直電荷転送路65の下端には、水平電荷転送路67が設けられている。水平電荷転送路67の一端には、水平電荷転送路67から転送された電荷信号を増幅して出力する出力アンプ71が設けられている。
【0009】
出力アンプ71からの出力信号は、図11に示す出力信号処理回路53によって処理される。出力信号処理回路53の出力は、記憶カード等の記憶装置(回路)54および/または液晶表示装置等の表示装置(器)55に出力する。記憶装置54は、スマートメディアやコンパクトフラッシュカードなどの記憶カード等を用い、情報の書き込み読み出しができるように構成されている。表示装置55は、動画を表示して撮影すべき画像のモニタリングを行うこともできる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、実際には、固体撮像素子の特性は、個々の装置によりバラツキを有している。
【0011】
そこで、固体撮像素子の特性のバラツキに対応するためには、駆動信号発生装置52からの出力信号を変化させることにより固体撮像素子の特性のバラツキに対応し、安定した出力を得るようにする必要がある。
【0012】
これまでは、駆動信号発生装置52内に、固体撮像素子の特性のバラツキに対応する信号を発生させるための調整回路を組み込んでおき、個々の固体撮像素子の特性に対応して調整していた。
【0013】
しかしながら、この方法では、固体撮像素子を組み込んだカメラとして調整することになり、画像を見ながらカメラ組み立て作業者が行うことになり煩雑である。
【0014】
本発明の目的は、従来の調整回路を固体撮像素子と同一チップ内に組み込むことにより、入力信号値を固体撮像素子ごとの特性に対応させて固体撮像素子特性を評価するテスタにより簡易に調整することができる固体撮像素子を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、電圧Vaが入力される入力端子と、固体撮像素子に対して出力電圧Vbを出力する出力端子と、一対の不揮発性メモリ素子用ソース/ドレイン、蓄積ゲートの各端子を含む複数の不揮発性メモリ素子を含み、前記出力電圧Vbを調整することができる出力電圧調整回路とを含み、前記出力電圧調整回路は、前記入力端子と前記出力端子とを接続する第1の配線と、前記第1の配線の途中に設けられた第1の抵抗と、前記第1の抵抗と前記出力端子との間において前記第1の配線から分岐し他端側において接地される第2の配線と、前記第2の配線の途中に設けられた第2の抵抗と、前記第1の抵抗または前記第2の抵抗をn(nは2以上の正の整数)分割するn−1個の節点とを含み、複数の前記節点のうち隣接する2つの節点のいずれか一方に前記不揮発性メモリ素子用ソース/ドレイン端子が、他方に前記不揮発性メモリ素子用ドレイン/ソース端子が接続されており、さらに、ソース、ゲート及びドレインを含む複数のスイッチングトランジスタを含み、前記複数のスイッチングトランジスタは、前記各々の不揮発性メモリ素子用ソース/ドレインと前記一方の節点との間と、前記不揮発性メモリ素子用ドレイン/ソースと前記他方の節点との間とに前記不揮発性メモリ素子と直列に接続されており、前記複数のスイッチングトランジスタのゲートが共通に接続されている固体撮像素子用駆動回路が提供される。
【0016】
前記出力電圧調整回路は、前記入力端子と前記出力端子とを接続する第1の配線と、前記第1の配線の途中に設けられた第1の抵抗と、前記第1の抵抗と前記出力端子との間において前記第1の配線から分岐し他端において接地される第2の配線と、前記第2の配線の途中に設けられた第2の抵抗と、前記第1の抵抗または前記第2の抵抗をn(nは2以上の正の整数)分割するn−1個の節点と、一対の不揮発性メモリ素子用ソース/ドレイン、蓄積ゲートの各端子を含む複数の不揮発性メモリ素子とを含み、前記複数の不揮発性メモリ素子の各々は、前記不揮発性メモリ素子用ソース/ドレイン端子の一方が複数の前記節点のうちいずれかと接続されているとともに、他方が共通に接続されていることが好ましい。
【0017】
前記出力電圧調整回路は、前記入力端子と前記出力端子とを接続する第1の配線と、前記第1の配線の途中に設けられた第1の抵抗と、前記第1の抵抗と前記出力端子との間において前記第1の配線から分岐し他端側において接地される第2の配線と、前記第2の配線の途中に設けられた第2の抵抗と、前記第1の抵抗または前記第2の抵抗をn(nは2以上の正の整数)分割するn−1個の節点と、不揮発性メモリ素子用ソース/ドレイン、蓄積ゲートの各端子を含む複数の不揮発性メモリ素子とを含み、複数の前記節点のうち隣接する2つの節点のいずれか一方に前記不揮発性メモリ素子用ソース/ドレイン端子が、他方に前記不揮発性メモリ素子用ドレイン/ソース端子が接続されているのが好ましい。
【0019】
本発明の別の観点によれば、第1導電型の基板と、前記基板表面に形成された第2導電型のウェル層と、前記ウェル層内に形成され、前記基板の表面において垂直方向及び水平方向に整列して配置され、前記第2導電型のウェル層とともに光電変換素子を形成する第1の第1導電型半導体層と、前記光電変換素子に近接して配置され、垂直方向に延びて垂直電荷転送路を形成する第1の第1導電型半導体層と、固体撮像素子用駆動回路とを含み、前記固体撮像素子用駆動回路は、電圧Vaが入力される入力端子と、固体撮像素子に対して出力電圧Vbを出力する出力端子と、一対の不揮発性メモリ素子用ソース/ドレイン、蓄積ゲートの各端子を含む複数の不揮発性メモリ素子を含み、前記出力電圧Vbを調整することができる出力電圧調整回路とを含み、前記出力電圧調整回路は、前記入力端子と前記出力端子とを接続する第1の配線と、前記第1の配線の途中に設けられた第1の抵抗と、前記第1の抵抗と前記出力端子との間において前記第1の配線から分岐し他端側において接地される第2の配線と、前記第2の配線の途中に設けられた第2の抵抗と、前記第1の抵抗または前記第2の抵抗をn(nは2以上の正の整数)分割するn−1個の節点とを含み、複数の前記節点のうち隣接する2つの節点のいずれか一方に前記不揮発性メモリ素子用ソース/ドレイン端子が、他方に前記不揮発性メモリ素子用ドレイン/ソース端子が接続されており、さらに、ソース、ゲート及びドレインを含む複数のスイッチングトランジスタを含み、前記複数のスイッチングトランジスタは、前記各々の不揮発性メモリ素子用ソース/ドレインと前記一方の節点との間と、前記不揮発性メモリ素子用ドレイン/ソースと前記他方の節点との間とに前記不揮発性メモリ素子と直列に接続されており、前記複数のスイッチングトランジスタのゲートが共通に接続されており、前記出力端子と前記接地とが、前記基板と前記ウェル層とに接続されている固体撮像素子が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
本明細書においては、不揮発性トランジスタを含むトランジスタの端子を、ソース/ドレイン端子、(蓄積)ゲート端子、ドレイン/ソース端子と称する。
【0021】
この場合において、ソース/ドレイン端子とドレイン/ソース端子とは、蓄積ゲートを挟んで反対側に設けられている端子を指す。そして、両端子を入れ替えても動作が可能であることを意味する。例えば、nチャネルトランジスタにおいて、電子が出ていく方の端子をソース/ドレイン端子と、電子が集まる方の端子をドレイン/ソース端子と称するが、両端子間に印加する電圧の正負を代えても動作する。
【0022】
また、本明細書における「抵抗」との用語は、通常の抵抗(resistor)のみに限定されるものではない。例えば、トランジスタ(FET)のゲートとソース間を短絡させた2端子素子(通常はダイオードと称される)も本明細書における「抵抗」に含まれる。すなわち、素子間に所定の電圧を印加した際に、所定の電圧降下が生じるものであれば、それような素子も「抵抗」の範疇に入るものである。
【0023】
以下に、本発明の一実施の形態による固体撮像素子について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1(a)は、固体撮像素子を含むCCDセンサの機能ブロック図である。
【0025】
図1(a)に示すように、CCDセンサは、固体撮像素子Aと、固体撮像素子Aを駆動するための駆動信号を発生させる駆動信号発生回路Wと、固体撮像素子Aの出力信号を処理する出力信号処理回路Xと、出力信号を記憶する記憶回路Yと、出力信号を画像として表示する表示器Zとを含む。
【0026】
固体撮像素子Aは、通常の撮像処理を行う第1の固体撮像回路A1と、第1の固体撮像回路に付与される一部の入力信号を内部処理する第2の固体撮像回路A2とを有している。尚、第1の固体撮像回路A1と第2の固体撮像回路A2との詳細な構成については後述する。
【0027】
駆動信号発生回路Wは、固体撮像素子Aを駆動するための駆動信号S1を生成し、この駆動信号S1を固体撮像素子Aに対して出力する。
【0028】
駆動信号S1は、第1の駆動信号S11と第2の駆動信号S12とに分類される。第1の駆動信号S11は、駆動信号発生回路Wから第1の固体撮像回路A1に直接入力される駆動信号である。例えば、垂直電荷転送路内の電荷を転送するための垂直電荷転送路用駆動信号、水平電荷転送路内の電荷を転送する水平電荷転送路用駆動信号である。
【0029】
第2の駆動信号S12は、第1の固体撮像回路A1に直接入力されずに、第2の固体撮像回路A2に入力される。そして固体撮像回路A2において信号処理が行われる。第2の固体撮像回路A2により信号処理を行った後、第3の駆動信号S13として第1の固体撮像回路A1に入力される。第3の駆動信号S13は、例えば固体撮像素子に対して付与される基板バイアス信号である。
【0030】
第1の固体撮像回路A1からの出力信号S2は、出力信号処理回路Xによって処理される。出力信号処理回路Xの出力信号S3は、記憶カード等を含む記憶回路Yに出力される。同じく出力信号処理回路Xの出力信号S4は、液晶表示装置等の表示器Zに出力される。
【0031】
記憶回路は、例えば、スマートメディアやコンパクトフラッシュカードなどの記憶カード用のインタフェイスと接続されており、記憶カードとの間で記憶情報のやりとりができるように構成されている。表示器Zは、例えば液晶表示装置であり、動画を表示して撮影すべき画像のモニタリングを行うこともできる。
【0032】
次に、固体撮像素子Aの構造について説明する。
【0033】
図1(b)は、CCD固体撮像素子Aの全体の構成を示す平面図であり、図2は、図1(b)に示す固体撮像素子を構成する画素の構造を示す図である。図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)のIIb−IIb'線断面図、図2(c)は、図2(a)のIIc−IIc'線断面図である。
【0034】
図1(a)に示すように、CCD固体撮像素子Aは、第1の固体撮像回路A1と第2の固体撮像回路A2とを含む。
【0035】
第1の固体撮像回路A1は、2次元平面を形成する半導体基板1上に、行方向及び列方向に整列して配置されている複数の画素3と、画素3に近接して配置され垂直方向に延びる垂直電荷転送路5とを含む画素配列部Bと、画素配列部Bに隣接して配置され、垂直電荷転送路5内の電荷を駆動するための駆動信号を発生する行走査回路Cと、画素配列部Bの下端に隣接して配置され垂直電荷転送路5から転送された電荷を水平方向に転送するための水平電荷転送路7と、水平電荷転送路7により転送された電荷を増幅して出力する出力アンプ11とを含む。行走査回路C1とは別に、水平電荷転送路7を駆動するための駆動パルスを発生する水平電荷転送路用駆動回路C2が別に設けられている。各画素は、光電変換素子3aと読み出しゲート3bとを含む。
【0036】
図2(a)には2画素分の構造が示されている。
【0037】
図2(a)に示すように、半導体基板1上に形成されている画素3は、例えばフォトダイオードなどの光電変換素子3aと、光電変換素子3aと、光電変換素子3aと垂直電荷転送路5との間に形成され、光電変換素子3aに蓄積されている信号電荷を垂直電荷転送路5へ転送するための読み出しゲート3bとを含む。
【0038】
半導体基板1上には、光電変換素子3aを避けた領域に設けられ水平方向に延びる第1層目のポリシリコン(以下「1ポリ」と称する。)電極21と、第1層目のポリシリコン電極21と同じく光電変換素子3aを避けた領域に設けられ水平方向に延びる第2層目のポリシリコン(以下「2ポリ」と称する。)電極23とが設けられている。
【0039】
1ポリ電極21と2ポリ電極23とは、画素3を水平方向にほぼ半分に分割する直線に対してほぼ線対称に形成され、垂直電荷転送路5上を覆って電荷転送段を形成する。
【0040】
図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb'線に沿う断面である。
【0041】
n型シリコン半導体基板1内に形成されたpウェル層31と、pウェル層31上に形成された層間絶縁膜(平坦化膜)33と、層間絶縁膜33上に形成され入射光の色選択を行うカラーフィルタCFと、カラーフィルタCF上に形成され光電変換素子3a内に光を集光するためのマイクロレンズMLとを含む。
【0042】
pウェル層31内の表面領域には、n型半導体層により形成される垂直電荷転送路5と、pウェル層31とともに光電変換素子(フォトダイオード)を形成するn型半導体領域35とが形成されている。
【0043】
図2(c)に示すように、半導体基板1の表面上に第1層目の絶縁膜22が形成されている。第1層目の絶縁膜22上に1ポリ電極21が形成されている。
【0044】
第一層目の絶縁膜22cは、例えば酸化珪素からなる絶縁膜22aと、その上に形成され窒化珪素からなる絶縁膜22bと、その上に形成され酸化珪素からなる絶縁膜22cとの3層構造により形成されている。この3層構造は、後に述べる不揮発性トランジスタの電荷蓄積層を兼ねたゲート酸化膜と兼用にすることができる。
【0045】
1ポリ電極21上に別の絶縁膜が形成されており、その上に2ポリ電極22が形成されている。
【0046】
上記の構造の上に層間絶縁膜33が形成されている。層間絶縁膜33内において、1ポリ電極21及び2ポリ電極23上に、少なくとも光電変換素子3a領域に開口部を有する遮光膜SFが形成されている。遮光膜SFは、入射光が垂直電荷転送路5内に入射するのを防止する。
【0047】
マイクロレンズMLの表面側から入射する入射光は、マイクロレンズMLにより集光され、カラーフィルタCFにより色情報を与えられ、光電変換素子3a内に照射される。
【0048】
図2(a)に示される1ポリ電極21に高い正の電圧を印加すると、フォトダイオードの電荷蓄積領域に対して垂直電荷転送路5を形成するn型半導体層のポテンシャルが低くなる。光電変換素子3aに蓄積された信号電荷は、読み出しゲート3bを通して垂直電荷転送路5内に転送される。
【0049】
垂直電荷転送路5内に転送された信号電荷は、1ポリ電極と2ポリ電極とに順次電圧を印加することにより、垂直電荷転送路5内を水平電荷転送路7方向に転送される。
【0050】
ところで、光電変換素子に光が照射されると電子−正孔対が生成し、p−n接合内に形成されているn型領域中に電子が蓄積される。照射される光の強度が高すぎると、n型領域の電荷蓄積容量を超え、周囲の画素又は垂直電荷転送路内に余剰の電荷が入り込む。このため、光が照射されていない部分まで明るい領域が膨らむ、いわゆるブルーミング現象が起きる。
【0051】
そこで、pウェル層とn型半導体基板との間に基板バイアス(逆バイアス)Vbを与えておき、pウェル層をほぼ完全に空乏化する。
【0052】
光電変換素子に強い光が照射されると、発生した電子がn領域に溜まり、n領域の電子に対するポテンシャルが上がる。電子に対するポテンシャルウェルが浅くなる。その結果、過剰な電荷は、n+−p−nの経路を通って基板側に捨てられる。この構造を、縦型オーバーフロードレイン構造と称する。縦型オーバーフロードレイン構造において、電荷が基板側に捨てられるしきい値となる蓄積電荷量は、基板とpウェルとの間に印加される基板バイアス電圧によって調整できる。従って、基板バイアス電圧Vbの設定値が重要になってくる。
【0053】
図3に、第1の固体撮像回路A1に印加される基板バイアス電圧Vbを制御するため第2の固体撮像回路A2に含まれる固体撮像素子用駆動回路の回路図を示す。
【0054】
図3に示すように、固体撮像素子用駆動回路は、入力端子Taと、出力端子Tbと、両端子間の電圧を調整する出力電圧調整回路とを含む。破線で囲まれた領域で示される出力電圧調整回路CC1は、例えば、4つのトランジスタT1からT4と、浮遊ゲートを有する2つの不揮発性メモリ素子T5、T6とを含む。
【0055】
入力電圧Vaが入力される入力端子Taと基板へのバイアス電圧Vbを取り出すための出力端子Tbとの間に第1の配線L1が設けられ、第1の配線L1の途中に第1の抵抗R1が形成されている。第1の抵抗R1は、入力端子Taと節点a'との間に形成される。
【0056】
節点a'から第2の配線L2が分岐されている。第2の配線L2は第1の接地点G1において接地されている。節点a'と第1の接地点G1との間に第2の抵抗R2が設けられている。
【0057】
より詳細には、第2の抵抗R2は節点a'方向から順に節点hと節点iとを有している。すなわち、第2の抵抗R2は節点iと節点hとにより3つの直列抵抗に分割されている。第1の接地点G1と節点iとの間の抵抗をRi、接点iと節点hとの間の抵抗をRhとする。接点hと接点a'との間には、抵抗R2−Rh−Riが接続される。
【0058】
節点iと第2の接地点G2との間に第3の配線L3が設けられている。第3の配線L3の途中には、2つのトランジスタT1とT2とが直列に接続されている。節点hと第2の接地点G2との間に第4の配線L4が設けられている。第4の配線L4の途中には、2つのトランジスタT3とT4とが直列に接続されている。
【0059】
トランジスタT1のゲートから第5の配線L5が延びており、その一端は、端子Tcに接続されている。トランジスタT2のゲートから第6の配線L6が延びており、その一端は、端子Tdに接続されている。
【0060】
トランジスタT3のゲートと第5の配線L5とが接続されている。トランジスタT4のゲートと第6の配線L6とが接続されている。
【0061】
第3の配線L3のうちトランジスタT1とトランジスタT2との間に節点jが形成されている。
【0062】
第3の配線L3の節点jから分岐されて第7の配線L7が設けられて、一端において端子Tgに接続されている。第7の配線L7の途中に不揮発性メモリ素子T6が直列に接続されている。不揮発性メモリ素子T6のゲートは端子Tfに接続されている。
【0063】
第4の配線L4のトランジスタT3とトランジスタT4との間に節点kが形成され、節点kから第8の配線L8が分岐している。第8の配線L8の一端は第7の配線L7と節点oにおいて接続され、端子Tgに接続されている。
【0064】
第8の配線L8の途中に、不揮発性メモリ素子T5が直列に接続されている。不揮発性メモリ素子T5のゲートは端子Teに接続されている。
【0065】
図4に不揮発性メモリ素子T5、T6の断面構造例を示す。
【0066】
図4に示すように、n型シリコン半導体基板1内に、p型ウェル層31が形成されている。この構造は、図2(b)に示す固体撮像素子の画素部の構造と同様である。
【0067】
pウェル層31の表面上には、第1の酸化膜40が、例えば厚さ50nm程度堆積されている。第1の酸化膜40上には、第1の窒化膜41が例えば厚さ100nm程度堆積されている。第1の窒化膜41上には、第2の酸化膜43が例えば厚さ100nm程度堆積されている。第2の酸化膜43の上には、例えばAlにより形成された厚さ100nm程度のゲート電極45が形成されている。
【0068】
尚、前述のように、第1の酸化膜40を図2(c)に示す酸化膜22aとし、第1の窒化膜41を図2(c)に示す窒化膜22bとし、第2の酸化膜43を図2(c)に示す酸化膜22cとすれば、固体撮像素子の画素部と不揮発性メモリ素子とを同一のプロセスで形成することができる。CCD固体撮像素子と不揮発性メモリ素子とをモノリシックに形成する際の製造工程を簡単にすることができる。CCDセンサと同様の構造を有しているため、CCD固体撮像素子内に上記の不揮発性メモリ素子を形成することができる。不揮発性メモリ素子の信頼性を確保するため、特に情報保持時間を長くするためには、不揮発性メモリ素子上に遮光膜を設けることが望ましい。
【0069】
上記の第1の酸化膜40、第1の窒化膜41,第2の酸化膜43、ゲート電極45との積層構造を島状に加工して、記憶情報を蓄積するための蓄積ゲートSGが形成される。
【0070】
蓄積ゲートSGの両側のpウェル層31内に、n型半導体領域のソース領域51とドレイン領域53とが形成されている。
【0071】
次に、不揮発性メモリ素子T5(T6)の動作について説明する。
【0072】
不揮発性メモリ素子T5、T6は同じ構造を有しており、しきい値電圧等の電気的特性も同じである。蓄積ゲートSGに電荷が蓄積されていない状態において、不揮発性メモリ素子T5、T6のpウェル層31と第1の酸化膜40との間には、電子が蓄積されてチャネル層を形成している。
【0073】
不揮発性メモリ素子T5のソース/ドレイン領域53(ソース/ドレイン電極)を接地し、ドレイン/ソース領域51(ソース電極)とゲート電極45とに対して高電圧、例えば15Vの電圧を印加すると、ドレイン/ソース領域51の近傍においてアバランシェ破壊が生じる。電子は高い運動エネルギーを得て熱い電子、いわゆるホットエレクトロンとなる。
【0074】
ドレイン/ソースと同電位になるようにゲート電圧を印加すると、ホットエレクトロンは、ドレイン/ソース領域51とほぼ同電位の状態にあるゲート方向に引きつけられる。ホットエレクトロンの一部は、第1の酸化膜40と第1の窒化膜41との界面にトラップされて蓄積され電荷蓄積領域を形成する。第1の窒化膜41の代わりに多結晶シリコン層を用いていれば、その多結晶シリコン層中に電子がトラップさせることができる。
【0075】
電荷蓄積領域に電子がトラップされると、電子が有するマイナス電荷の影響により、不揮発性メモリ素子T5(T6)のpウェル層31と第1の酸化膜40との界面に形成されているチャネル層を空乏化させる。チャネル層が空乏化すると、不揮発性メモリ素子T5(T6)はオフ状態となる。
【0076】
電荷蓄積領域に蓄積されている電荷(電子)は半永久的に蓄積ゲートに蓄積され、不揮発性メモリ素子はオフ状態を維持する。
【0077】
次に、固体撮像素子用駆動回路の動作について説明する。
【0078】
図5に、固体撮像素子用駆動回路の信号波形例を示す。図6に、図3に示した回路を動作させた場合の簡単な等価回路を示す。
【0079】
不揮発性メモリ素子T5、T6の蓄積ゲートSGには、初期状態において電荷は蓄積されていない。不揮発性メモリ素子T5、T6は、初期状態においてはオン状態となっている。
【0080】
端子TcにHighの電圧信号、例えば5Vの電圧を印加すると、トランジスタT1とトランジスタT3とがオン状態となる。図3に示す回路は、この状態において図6(a)に示す等価回路で表される。節点hと節点iとの間が短絡状態となり、端子Tgに接地電位を与えると、節点hの電位も接地電位となる。
【0081】
従って、端子Tbの電圧Vbは以下の(1)式で表される電圧になる。
【0082】
Vb = (R2−Rh)Va/(R2−Rh+Ri) (1)
ここで、Rhは接点hから接地点G1までの抵抗値である。
【0083】
次に、端子Tbの電位を変化させる手順について説明する。まず、図5に示すように、初期設定値として以下の電圧を印加する。
【0084】
▲1▼端子Tcに0Vの電圧を印加すると、トランジスタT1とトランジスタT3とはオフ状態になる(時間t0)。
【0085】
▲2▼時間t1において、端子TdにVd(約5V)を印加すると、トランジスタT2とトランジスタT4とがオン状態になる。
【0086】
▲3▼時間t2において端子Tgに電圧Vg(約15V)を印加する。この状態のままで時間t3において、端子Teに電圧Ve(約15V)を印加する。端子Tfに0Vの電圧を印加する。
【0087】
この状態において、不揮発性メモリ素子T6のゲート電圧は0Vである。従って、ソース/ドレインとドレイン/ソース間に高電界が存在し、電子がホットエレクトロンになっても、ホットエレクトロンはゲート方向には走行しない。
【0088】
従って、不揮発性メモリ素子T6の電荷蓄積領域(酸化膜と窒化膜との界面)には電子は蓄積されず、不揮発性メモリ素子T6はオン状態を保つ。
【0089】
不揮発性メモリ素子T5においては、ゲートとドレイン/ソースとの間に高い電圧(約15V)が印加される。ソース/ドレインはほぼ0Vであるため、ソース/ドレインからドレイン/ソースに向けて生じている大きな電界により電子が加速され、ホットエレクトロンになる。
【0090】
ゲートにも15Vの電圧が印加されているため、ホットエレクトロンの一部はゲートの電荷蓄積領域にトラップされる。電子の蓄積量が一定値以上になると、チャネル層が空乏化するようにしておけば、不揮発性メモリ素子T5はオフ状態となる。
【0091】
以上のように、図5(a)に示す工程を行うことにより、不揮発性メモリ素子T5、T6のうちT5のみがオフ状態に変化する。
【0092】
時間t4において、端子Teへの印加電圧を15Vから0Vに変化させ、時間t5において端子Tgへの印加電圧をVgから0Vに変化させても、不揮発性メモリ素子T5、T6のオン−オフ状態に変化はない。
【0093】
時間t6で端子Tdへの印加電圧を0Vにし、時間t7において端子Tcへの印加電圧を5Vにすると、図3に示す回路は、図6(b)に示す等価回路で表せる状態になる。端子Tgに接地電位を印加すると、接点iの電位も接地となる。接点iとhとの間の短絡状態は解消される。
【0094】
端子Tbの電位Vbは、下記の(2)式で表される電圧に変化する。
【0095】
Vb = (R2−Ri)Va/((R2−Ri)+R1) (2)
ここで、Riは、接点iから接地点G1までの抵抗値である。
【0096】
以上のように、図3に示す回路において、不揮発性メモリT5、T6の記憶状態を変化させることにより、端子Tbと接続されている基板バイアス電圧Vbを変化させることができる。
【0097】
不揮発性メモリT5、T6は、端子Te、Tfに高電圧を印加しない限り、半永久的にその記憶状態を維持する。トランジスタT5のオフ状態を維持することができ、(2)式に基づく基板バイアス電圧Vbを、基板に与え続けることができる。
【0098】
図7に、上記第1の実施の形態による固体撮像素子の第1変形例について図面を参照しつつ説明する。図7(a)は回路図、図7(b)は、トランジスタの断面図である。
【0099】
図7(a)は、図3に示した固体撮像素子に印加される基板バイアス信号を制御するための固体撮像素子用駆動回路の変形例である。
【0100】
図7(a)に示すように、変形例による固体撮像素子用駆動回路に含まれ破線で囲まれている出力電圧調整回路CC2は、不揮発性メモリ素子T5とT6との一端側にトランジスタT7(ドレイン端子)が接続されている。
【0101】
トランジスタT7のソース端子は接地(GND)されている。トランジスタT7のゲート端子Kから信号を入力する。
【0102】
トランジスタT7は、不揮発性メモリ素子T5及びT6のソース端子に接続されており、不揮発性メモリ素子T5及びT6のゲート保護のために設けられている。
【0103】
図7(b)に、トランジスタT7の断面図を示す。図7(b)に示すトランジスタT7は、図4に示すトランジスタT1からT4とほぼ同様の構造を有しているが、ドレイン53とゲート45との間にオフセット部OFを設けたいわゆるオフセットドレイン構造のトランジスタである。
【0104】
オフセットドレイン構造を有する高耐圧トランジスタT7を接続することにより、例えば、静電気などの影響により高電圧が印加された場合などに出力電圧調整回路を保護することができる。
【0105】
図8(a)、(b)に、本発明の第2変形例による固体撮像素子に用いられる不揮発性メモリ素子の構造を示す断面図と不揮発性メモリ素子のリーク電流特性とを示す。
【0106】
図8(a)に示す不揮発性メモリ素子は、ゲート領域のうちソース領域側又はドレイン領域側に電荷が局在して蓄積されるいわゆる蓄積電荷局在型不揮発性メモリ素子である。この蓄積電荷局在型不揮発性メモリ素子は、例えば米国特許公報第5,768,192号の実施例の欄に、その構造及び特性等が開示されている。
【0107】
図8(a)に示す蓄積電荷局在型不揮発性メモリ素子は、図4に示す不揮発性メモリ素子とほぼ同様の構造を有している。不揮発性メモリ素子の動作について説明する。
【0108】
まず、ソース/ドレイン近傍に電子が蓄積された電荷蓄積層CSRを形成するための書き込み動作について説明する。
【0109】
ソース/ドレイン53(端子J)を接地し、ドレイン/ソース51(端子G)とゲート45(端子E)との間に正の高電圧、例えば15Vを印加する。
【0110】
チャネル層中に形成された電界により、ソース/ドレイン53からドレイン/ソース51に向けて電子が走行する。電子がドレイン/ソース51近傍のチャネル層に達するまでに大きなエネルギーを受け取り、いわゆるホットエレクトロンとなる。ホットエレクトロンは高いエネルギーを有しており、その一部は第1の絶縁膜40により形成されているポテンシャルバリアを越えてゲート方向に走行する。その途中でドレイン/ソース領域51の近傍の第1の絶縁膜(SiO2)40と第2の絶縁膜(Si3N4)41との界面に蓄積される。
【0111】
ソース近傍の電荷蓄積領域CSRに適度な電子が蓄積されると、その電荷の影響により電荷蓄積領域CSRの下のチャネル層は空乏化する。
【0112】
この状態でソース−ドレイン間に電圧を印加して記憶情報を読みとる場合を考える。
【0113】
まず、ソース/ドレイン53を接地してドレイン/ソース51に例えば2Vの電圧を印加した場合を考える。チャネル層がソース/ドレイン53からドレイン/ソース51側の電荷蓄積領域CSR近傍まで延びているが、元々ソース/ドレイン53は接地されているため、ドレイン/ソース51側の電荷蓄積領域CSR近傍でのチャネル層は、ほぼ0Vの電位を保っている。ドレイン/ソース5に印加されている電圧は2Vであるため、電荷蓄積領域CSRとその近傍のドレイン/ソース51との間には2Vの電位差が生じている。
【0114】
一方、ドレイン/ソース51を接地してソース/ドレイン53に例えば2Vの電圧を印加した場合を考える。チャネル層がソース/ドレイン53からドレイン/ソース51側の電荷蓄積領域CSR近傍まで延びている。ドレイン/ソース51側の電荷蓄積領域CSR近傍でのチャネル層は、例えばほぼ1V程度の電圧降下の影響を受ける。従って、ドレイン/ソース51側の電荷蓄積領域CSR近傍でのチャネル層は1V程度の電位になる。ドレイン/ソース51は接地されているので、電荷蓄積領域CSRの下に形成されているチャネル層には、約1Vの電圧しか印加されない。
【0115】
以上のように、ソース/ドレイン53を接地して、ドレイン/ソース53に例えば2Vの電圧を印加して記憶情報を読みとると、電荷蓄積領域CSRを横切る電圧は2Vであり、読み出し動作を行う際における電荷蓄積領域CSRからチェネルへの電荷の移動(いわゆるリーク電流)は大きくなる。
【0116】
一方、ドレイン/ソース51を接地してソース/ドレイン53に例えば2Vの電圧を印加して記憶情報を読みとると、電荷蓄積領域CSRを横切る電圧は、約1Vである。図(8b)に示すように、読み出し動作を行う際における電荷蓄積領域CSRからチャネル層への電荷の移動(いわゆるリーク電流IL)が低減する。
【0117】
従って、ドレイン/ソース51を接地してソース/ドレイン53に例えば2Vの電圧を印加して読み出し動作を行うと、不揮発性メモリ素子の記憶情報の保持時間の短縮(リーク電流に起因する)の影響を大幅に低減することができる。
【0118】
図9に、本発明の第2の実施の形態による固体撮像素子用の固体撮像素子駆動回路を示す。
【0119】
図9に示す固体撮像素子駆動回路にも、図3と同様に、破線で囲まれた領域に、固体撮像素子に印加される基板バイアス信号を制御するための出力電圧調整回路CC3が設けられている。
【0120】
図9に示すように、固体撮像素子駆動回路は、例えば、入力電圧Va2が入力される入力端子Ta2と、出力電圧調整回路CC3とを含む。出力電圧調整回路CC3には、基板バイアス電圧Vb2を取り出すための出力端子Tb2との間に第1の抵抗R11が形成されている。第1の抵抗R11は、入力端子Ta2側から出力端子Tb2側に向けて順に、節点h、節点i、節点j、節点oを有している。
【0121】
節点oから第2の配線L12が分岐して第2の接地GND12に接続されている。配線L12の途中に第2の抵抗R2が形成されている。
【0122】
節点hと第1の接地点GND11との間に、2つのトランジスタT11とトランジスタT17とが直列に接続されている。2つのトランジスタT11とT17との間に節点kが形成されている。
【0123】
節点iと端子Tg2との間に、トランジスタT12とトランジスタT18とが直列に接続されている。トランジスタT12とトランジスタT18との間に節点lが存在する。
【0124】
節点iと接地点GND11との間に、トランジスタT16とトランジスタT19とが直列に接続されている。トランジスタT11、T17とトランジスタT13、T19とは並列に接続されている。トランジスタT13、T19間に、節点mが存在する。
【0125】
節点jと端子Tg2との間に、トランジスタT14とトランジスタT20とが直列に接続されている。トランジスタT14とトランジスタT20との間に、節点nが存在する。
【0126】
節点kと節点lとの間には、不揮発性メモリ素子T15のソース/ドレインとドレイン/ソースとがそれぞれ接続されている。不揮発性メモリ素子T15のゲートは、端子Te2に接続されている。
【0127】
節点mと節点nとの間には、不揮発性メモリ素子T16のソース/ドレインとドレイン/ソースとがそれぞれ接続されている。不揮発性メモリ素子T16のゲートは端子Tf2に接続されている。
【0128】
4つのトランジスタT11からT14のゲートは、共通に接続されて端子Tc2に接続されている。
【0129】
4つのトランジスタT17からT20のゲートは、共通に接続されて端子Td2に接続されている。
【0130】
2つの不揮発性メモリ素子T15、T16は、第1の実施の形態において説明した不揮発性メモリ素子と同様の構造の素子を用いることができる。
【0131】
第1の抵抗R11は、接点h及びiを境にして3つの直列抵抗に分割可能に形成されている。すなわち、節点iと節点jとの間に第1の分割抵抗Rij、節点hと節点iとの間に第2の分割抵抗Rhi、端子Ta2と節点hとの間に第3の分割抵抗R1−(Rhi+Rij)との3つの直列抵抗に分割されている。
【0132】
上記の出力電圧調整回路CC3においては、節点hと節点iとの間、節点iと節点jとの間に、各1個、合計で2個の不揮発性メモリ素子T15、T16を繋げて入力信号値を調整する。
【0133】
図10に、図9に示す固体撮像素子用駆動回路の動作波形を示す。
【0134】
不揮発性メモリ素子T15、T16は、当初はオン状態である。
【0135】
端子Tc2にHighの電圧、例えば5Vの電圧が印加されると、トランジスタT11からT14がオンとなる。第1の抵抗R11は、節点hと節点jとの間が短絡されることにより、R11−(Rhi+Rij)となる。
【0136】
従って、端子Tb2に印加される電圧Vb2は、以下の(3)式で表される。
【0137】
Vb = (R12)Va/(R12+R11−(Rhi+Rij)) (3)ここで、Rhiは、節点hから節点iまでの抵抗値であり、Rijは、節点iから節点jまでの抵抗値である。
【0138】
初期設定値として、図10に示す信号を印加した場合には、固体用駆動回路は、以下のように動作する。
【0139】
1)端子Tc2を0Vとして、トランジスタT11からトランジスタT14までをオフにする。
【0140】
2)時間t11において、端子Td2をVd2(約15V)にして、トランジスタT17からT20までをオンにする。
【0141】
3)時間t12において、端子Tg2にVg2(約15V)の電圧を印加する。
【0142】
4)時間t13において、端子Te2に約15Vの電圧を印加する。尚、端子Tf2には、0Vの電圧が印加されている。
【0143】
上記の電圧を印加した結果、図9に示す固体撮像素子用駆動回路(出力電圧調整回路)において、不揮発性メモリ素子T15のゲートのみに電荷が蓄積される。不揮発性メモリ素子T15がオフ状態となり、この状態は時間t14において端子Te2の印加電圧を0Vとし、時間t15において端子Tf2への印加電圧が0Vになっても変化しない。
【0144】
図10に示されるように、時間t16において端子Td2に0Vを印加し、時間t17において端子Tc2の電圧を5Vにする。節点hと節点iとの間の短絡が解除され、第1の抵抗R1の値がR1−Rijに変化する。
【0145】
端子Tb2から出力される電圧Vbは以下の(4)式で表される。
【0146】
Vb=(R12)/((R12)+(R1−Rij)) (4)
以上のように、初期状態と動作状態とで、基板バイアスVbを変化させることができる。不揮発性メモリ素子T15、T16の記憶状態を半永久的に維持することができるため、基板に対して継続して(4)式で表される基板バイアス電圧Vbを与えることができる。
【0147】
尚、トランジスタT18、T20には、ドレイン/ゲート間に高電圧が印加されるため、ゲート幅(W)/ゲート長(L)の値は、トランジスタT15、T16に比べて十分に大きな値を持たせる必要がある。ゲート幅を大きくすると局所的に電界が集中するのを防止でき、高電圧を印加しても素子の劣化等の可能性が低減する。
【0148】
以上、本発明の実施の形態について例示したが、その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。
【0149】
例えば、第2の実施の形態による固体撮像素子用出力電圧調整回路においては、第1の抵抗R11を2つの節点h、iにより3分割する構造について例示したが、3つの節点を用いて第1の抵抗R11を4分割しても良い。
【0150】
n個の節点(n=2、3,4、・・・)によりn+1個の抵抗に分割すれば、第1の抵抗R11の抵抗値を細かく設定することも可能である。
【0151】
加えて、第2の抵抗R12に関しても、同様にn個の節点によりn+1個の抵抗に分割することが可能である。この場合には、基板バイアス電圧を表す(3)式及び(4)式において、R12の値が変化することになる。
【0152】
実施の形態においては、基板バイアス電圧Vbの調整を行う出力電圧調整回路を含む固体撮像素子用駆動回路を例に説明したが、固体撮像素子用駆動回路は、固体撮像素子Aに付与される他の入力端子、例えば、固体撮像素子の増幅率(図1(b)の符号11で示される)のオフセットドレイン電圧値(オフセットをなくすための微小調整)や、水平電荷転送路(図1(b)の符号7で示される)の駆動パルス電圧値(転送効率と消費電力とを最適化するための)の調整に適用可能である。
【0153】
尚、出力電圧調整回路を含む固体撮像素子用駆動回路は、固体撮像素子と同一の基板上に形成するのが好ましい。
【0154】
上記固体撮像素子用駆動回路は、CCD固体撮像素子に適用できる。上記実施の形態においては、エリアセンサを例にしたが、CCDラインセンサに用いることも可能であることは明らかである。そのた、CCDセンサ以外にも、CMOS型のエリアセンサやラインセンサにもそのままの構成で適用できる。
【0155】
従って、これらの装置を制御するための回路も本発明の範疇に入ることは言うまでもない。
【0156】
【発明の効果】
入力信号値の最大値を固体撮像素子ごとの特性に対応させて調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は、本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子用駆動回路を含むCCDセンサの機能ブロック図であり、図1(b)は、固体撮像素子の概略構造を示す平面図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子のうち画素部の詳細な構造を示す図である。図2(a)は平面図であり、図2(b)は図2(a)のIIb−IIb'線断面図であり、図2(c)は、図2(a)のIIc−IIc'線断面図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子用駆動回路を含む回路図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子用駆動回路に用いられる不揮発性メモリ素子の構造を示す断面図である。
【図5】 本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子用駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】 図6(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子用駆動回路の動作を説明するための簡略化した回路図である。
【図7】 図7(a)は、本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子用駆動回路の第1変形例による回路図であり、図7(b)は、固体撮像素子用駆動回路に含まれる出力電圧調整回路に用いられるスイッチングトランジスタの構造を示す断面図である。
【図8】 図8(a)は、本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子用駆動回路の出力電圧調整回路に用いられる揮発性メモリ素子の構造の変形例であり、図8(b)は、図8(a)の不揮発性メモリ素子における、トラップされた電荷を横切る電圧とリーク電流との関係を示す図である。
【図9】 本発明の第2の実施の形態による固体撮像素子用駆動回路の回路図である。
【図10】 本発明の第2の実施の形態による固体撮像素子用駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図11】 従来のCCDセンサの機能ブロック図である。
【図12】 従来のCCD固体撮像素子の平面図である。
【符号の説明】
A 固体撮像素子
A1 第1の固体撮像回路
A2 第2の固体撮像回路
B 表示部
C 水平行駆動部
CC 出力電圧調整回路
CF カラーフィルタ
CSR 電荷蓄積領域
L 配線
ML マイクロレンズ
OF オフセット領域
R1、R11 第1の抵抗
R2、R12 第2の抵抗
SF 遮光膜
T1〜T4、T7、T8、T11〜T14、T17〜T20 トランジスタ
T5、T6、T15、T16 不揮発性メモリ素子
Vb 基板バイアス電圧
W 駆動信号処理回路
X 出力信号処理回路
Y 記憶回路
Z 表示器
1 半導体基板
3 画素
3a 光電変換素子
3b 読み出しゲート
5 垂直電荷転送路
7 水平電荷転送路
11 出力アンプ
21、23 垂直電荷転送電極
22 絶縁膜
31 pウェル
33 平坦化膜
35 光電変換素子用n型半導体層
Claims (5)
- 電圧Vaが入力される入力端子と、
固体撮像素子に対して出力電圧Vbを出力する出力端子と、
一対の不揮発性メモリ素子用ソース/ドレイン、蓄積ゲートの各端子を含む複数の不揮発性メモリ素子を含み、前記出力電圧Vbを調整することができる出力電圧調整回路と
を含み、
前記出力電圧調整回路は、
前記入力端子と前記出力端子とを接続する第1の配線と、
前記第1の配線の途中に設けられた第1の抵抗と、
前記第1の抵抗と前記出力端子との間において前記第1の配線から分岐し他端側において接地される第2の配線と、
前記第2の配線の途中に設けられた第2の抵抗と、
前記第1の抵抗または前記第2の抵抗をn(nは2以上の正の整数)分割するn−1個の節点と
を含み、
複数の前記節点のうち隣接する2つの節点のいずれか一方に前記不揮発性メモリ素子用ソース/ドレイン端子が、他方に前記不揮発性メモリ素子用ドレイン/ソース端子が接続されており、
さらに、ソース、ゲート及びドレインを含む複数のスイッチングトランジスタを含み、
前記複数のスイッチングトランジスタは、前記各々の不揮発性メモリ素子用ソース/ドレインと前記一方の節点との間と、前記不揮発性メモリ素子用ドレイン/ソースと前記他方の節点との間とに前記不揮発性メモリ素子と直列に接続されており、
前記複数のスイッチングトランジスタのゲートが共通に接続されている固体撮像素子用駆動回路。 - 前記出力電圧調整回路は、前記固体撮像素子の特性に応じて前記不揮発性メモリ素子の記憶状態を変化させることにより前記出力電圧Vbを調整する請求項1に記載の固体撮像素子用駆動回路。
- 前記不揮発性メモリ素子は、オフ状態において前記蓄積ゲートのうち前記不揮発性メモリ素子用ドレイン端子又はソース端子のうちのいずれか一方側に偏在して電子が蓄積されている請求項1または2に記載の固体撮像素子用駆動回路。
- 請求項1から3までのいずれか1項に記載されている固体撮像素子用駆動回路と、前記固体撮像素子とが同一の基板上に形成されている固体撮像素子。
- 第1導電型の基板と、
前記基板表面に形成された第2導電型のウェル層と、
前記ウェル層内に形成され、前記基板の表面において垂直方向及び水平方向に整列して配置され、前記第2導電型のウェル層とともに光電変換素子を形成する第1の第1導電型半導体層と、
前記光電変換素子に近接して配置され、垂直方向に延びて垂直電荷転送路を形成する第1の第1導電型半導体層と、
固体撮像素子用駆動回路と
を含み、
前記固体撮像素子用駆動回路は、
電圧Vaが入力される入力端子と、
固体撮像素子に対して出力電圧Vbを出力する出力端子と、
一対の不揮発性メモリ素子用ソース/ドレイン、蓄積ゲートの各端子を含む複数の不揮 発性メモリ素子を含み、前記出力電圧Vbを調整することができる出力電圧調整回路と
を含み、
前記出力電圧調整回路は、
前記入力端子と前記出力端子とを接続する第1の配線と、
前記第1の配線の途中に設けられた第1の抵抗と、
前記第1の抵抗と前記出力端子との間において前記第1の配線から分岐し他端側において接地される第2の配線と、
前記第2の配線の途中に設けられた第2の抵抗と、
前記第1の抵抗または前記第2の抵抗をn(nは2以上の正の整数)分割するn−1個の節点と
を含み、
複数の前記節点のうち隣接する2つの節点のいずれか一方に前記不揮発性メモリ素子用ソース/ドレイン端子が、他方に前記不揮発性メモリ素子用ドレイン/ソース端子が接続されており、
さらに、ソース、ゲート及びドレインを含む複数のスイッチングトランジスタを含み、
前記複数のスイッチングトランジスタは、前記各々の不揮発性メモリ素子用ソース/ドレインと前記一方の節点との間と、前記不揮発性メモリ素子用ドレイン/ソースと前記他方の節点との間とに前記不揮発性メモリ素子と直列に接続されており、
前記複数のスイッチングトランジスタのゲートが共通に接続されており、
前記出力端子と前記接地とが、前記基板と前記ウェル層とに接続されている固体撮像素子。
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