JP4267888B2 - 光回路および光回路装置ならびに光回路の製造方法 - Google Patents

光回路および光回路装置ならびに光回路の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野等に適用される光回路および光回路装置ならびに光回路の製造方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
光通信等に適用されている光回路は、一般に、シリコン基板と、該シリコン基板上に形成されたコアとクラッドとを有する光導波路層とを有している。光回路は、上記コアにより形成される光導波路構成(コアパターン)を様々に設定することにより、様々な機能を有する光回路装置を形成することができる。
【0003】
光回路装置の例として、例えば図16に示すようなマッハツェンダ光干渉計回路30を有する光回路装置がある。図16に示す光回路装置は、光回路のコア1が、光の分岐と結合の少なくとも一方を行う少なくとも2つ(ここでは2つ)の結合器形成コア21と、これらの結合器形成コア21同士を接続する少なくとも2本の接続用コア22を有している。
【0004】
マッハツェンダ光干渉計回路30において、結合器形成コア21は並設された2本のコア1(1a,1b)を近接して形成され、接続用コア22は互いに間隔を介して並設された2本のコア1(1a,1b)により形成されている。マッハツェンダ光干渉計回路30において、結合器形成コア21は2×2光結合器である。
【0005】
なお、図16に示す光回路装置は、接続用コア22の少なくとも1本(ここでは2本)に、接続用コア22の一部の温度を局所的に可変制御する温度制御手段8を形成している。温度制御手段8は例えば薄膜ヒータ9により形成されている。図16の図中、44は、薄膜ヒータ9への給電用電極を示す。
【0006】
温度制御手段8により接続用コア22の一部の温度を局所的に可変制御すると、この可変制御が行われた側の接続用コア22の屈折率が変化し、変化させた部分のコアの実効屈折率が変化する。このことは、石英系ガラス等の屈折率が温度により変化する現象である熱光学効果を利用するものであり、上記効果によって、屈折率が変化したコアを伝搬する光の位相に変化が生じる。
【0007】
つまり、上記薄膜ヒータ9の発熱による熱光学効果により、2本の接続用コア22間の実効光導波路長差を変化させることで位相シフタを構成し、マッハツェンダ光干渉計回路30の透過率を変化させることができる。そのため、図16に示す光回路装置は、光透過率や光分岐比が可変可能な光導波路型干渉計となり、光スイッチ、光可変減衰器等の機能を得ることができる。
【0008】
図17には、マッハツェンダ光干渉計回路30と温度制御手段8を有する従来の光回路装置の断面構成が、図16のA−A断面図により示されている。図17に示すように、シリコン基板7上に形成されているコア1とクラッド2とを有する光導波路層3は、石英系ガラスから成る埋め込み型光導波路構成を有し、コア1の上側のクラッド2の表面に温度制御手段8が形成されている。
【0009】
この構成において、温度制御手段8に通電し、温度制御手段8の薄膜ヒータ9によってクラッド2を介してコア1を加熱すると、前記熱光学効果によりコア1の実効屈折率が上昇する。そして、温度制御手段8の下部の接続光導波路の実効的な光路長が変化し、伝搬光の位相を変化させることができる。
【0010】
石英系ガラスの屈折率の温度係数dn/dTは、10−5(1/℃)程度なので、例えば5mmの長さにわたってコア1の温度を20℃上昇させると、実効的な光路長を1μm程度変化させることができる。
【0011】
しかしながら、上記熱光学効果を利用した位相シフタでは、下記のような問題があった。第1に、温度制御手段8により発生した熱が、コア1の近傍のクラッド2やシリコン基板7に拡散してしまい、加熱効率が悪かった。第2に、加熱によって光導波路層3に生じる異方性の内部応力により、光導波路層3に複屈折率が生じ、コア1を伝搬する光の伝搬特性の偏波依存性が大きいといった問題があった。
【0012】
そこで、上記熱光学効果を効率的に利用できる構成として、例えば図16に示した光導波路構成と温度制御手段8を有し、かつ、図18に示すような断面構成を有する光回路装置が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0013】
図18に示す断面構成は、上記提案の光回路装置を図16のA−A断面で切断した構成により示しており、温度制御手段8の薄膜ヒータ9の両側の温度制御手段8に沿った領域の光導波路層3を除去して光導波路層除去部5を形成している。そして、この光導波路層除去部5を応力解放溝とすることで、前記複屈折の低減を図っている。なお、光導波路層除去部5はコア1と間隔を介して形成されている。
【0014】
また、上記熱光学効果を効率的に利用できる構成として、例えば図19に示すような構成も提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0015】
これら、図19に示す構成は、温度制御手段8の両側の薄膜ヒータ9に沿った領域の光導波路層3を除去すると共に、光導波路層除去部5に対向する領域のシリコン基板7をエッチングにより除去してシリコン基板7の表面側に凹部4を形成している。なお、これらの構成においても、前記光導波路層除去部5はコア1と間隔を介して形成されている。
【0016】
また、凹部4は、光導波路層除去部5の下部に対向する全領域を包含するように形成されており、光導波路層除去部5の幅よりも広幅と成し、コア1の下部側に張り出し形成されている。この構成により、温度制御手段8が形成されている領域のコア1を含む光導波路層3(3a)の下面は一部露出している。
【0017】
19に示す構成は、上記のように、光導波路層除去部5に対向するシリコン基板7に凹部4を形成することにより、光導波路層3aをシリコン基板7から分離する、あるいは光導波路層3aとシリコン基板7との接触面積を低減させることにより、シリコン基板7への熱拡散を抑制し、消費電力の低減を図っている。
【0018】
なお、上記マッハツェンダ光干渉計回路30を用いた光回路装置は様々に提案されており、複数のマッハツェンダ光干渉計回路30を有する光回路装置の例として、例えば図20に示すような、可変分散補償器が提案されている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0019】
この提案の光回路装置は、マッハツェンダ光干渉計回路30を複数直列接続して形成したラティス型フィルター24を、接続用ファイバ32を介して、アレイ導波路回折格子25のそれぞれの出力端に接続したものである。
【0020】
ラティス型フィルター24を形成するそれぞれのマッハツェンダ光干渉計回路30の位相部には温度制御手段8が設けられている。また、隣り合うマッハツェンダ光干渉計回路30の接続部には、可変カプラー33が設けられている。
【0021】
アレイ導波路回折格子25は、少なくとも1本(ここでは複数)の光入力導波路12と、該光入力導波路12の出力側に接続された第1スラブ導波路13と、該第1スラブ導波路13の出力側に接続されたアレイ導波路14と、該アレイ導波路14の出力側に接続された第2スラブ導波路15と、該第2スラブ導波路15の出力側に接続された複数の光出力導波路16とを有している。
【0022】
アレイ導波路14は、互いに設定量(ΔL)異なる長さの複数並設されたチャネル導波路14aから成る。なお、アレイ導波路14を構成するチャンネル導波路14aは、通常、例えば100本といったように多数設けられるが、図20においては、図の簡略化のために、これらのチャンネル導波路14aと光出力導波路16および光入力導波路12の本数を簡略的に示してある。
【0023】
また、前記接続用ファイバ32は、光ファイバアレイ31a,31bを介し、それぞれ、1本ごとに、その一端側がアレイ導波路回折格子25の対応する1本の光出力導波路16に接続され、その他端側がラティス型フィルター24の対応する1本の光入力導波路29に接続されている。
【0024】
【非特許文献1】
Yasuyuki Inoue,et al.著「Polarization Sensitivity of a Silica Waveguide Thermooptic Phase Shifter for Planar Lightwave Circuit」,IEEE Photonics Technology Letteres, vol.4,No1,Jan.1992,p.36
【0025】
【非特許文献2】
Akio Sugita,et al.著「Bridge-Suspended Silica-Waveguide Thermo-Optic Phase Shifter and Its Application to Mach-Zehnder TypeOptical Switch」,The Transaction of The IEICE,Vol.E73,No1,Jan,1990,P.105
【0026】
【非特許文献3】
瀧口ら著、「10Gb/s×N波、WDM伝送用導波路型分散スロープ補償器」2000年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会C-3-16
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように、光回路装置において、図18、図19のような構成が、熱光学効果を効率的に利用できる光回路構成として提案されているが、図18に示したような、Inoueらが提案した構成では消費電力の低減が不十分であった。
【0028】
また、図19に示したような、Sugitaらが提案した構成は、消費電力の低減を十分にできるものの、シリコン基板7の除去方法として等方的なエッチングを行っているため、シリコン基板7の除去部は半円形状となる。
【0029】
そのため、図19の構成は、光導波路層3とシリコン基板7との接触部分の幅を狭くしても、その下部の幅はより広い幅となって熱伝導率が高くなるため、大きな消費電力低減効果を得るためには、光導波路層3とシリコン基板7との接触部分の幅を非常に狭くする必要があった。
【0030】
また、図19の構成は、等方的エッチングでのサイドエッチング量の制御は難しく、シリコン基板7の残し部分(Si−Base)、つまり、温度制御手段8の形成部位の下部側のコア1の下部側に残されたシリコン基板7(7a)の幅制御が困難であるといった製造上の問題があった。さらに、図19の構成は、シリコン基板7と光導波路層3を完全に分離した場合でも、シリコン基板7の除去部分の形状が不整であるため、信頼性上問題があった。
【0033】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、低消費電力で効率的に熱光学効果を発揮することができ、製造が容易で信頼性が高い光回路および光回路装置ならびに光回路の製造方法を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明の光回路は、シリコン基板と、該シリコン基板上に形成されたコアとクラッドとを有する光導波路層と、前記コアの上側位置の光導波路層上に形成されて前記コアの一部の温度を局所的に可変制御する温度制御手段とを有し、該温度制御手段の形成部位を挟む両側の光導波路層は前記コアと間隔を介した領域が前記コアの長手方向に沿い、前記温度制御手段の長手方向の全区間にわたり連続して光導波路層表面から前記シリコン基板表面に至るまで除去されており、該光導波路層除去部の下部に対向する全領域を包含するシリコン基板表面部位には該シリコン基板表面からの深さ方向と、前記温度制御手段の長手方向に直交する方向であって温度制御手段が形成されている部位の光導波路層の底面の一部を露出させる横向きの方向とにアルカリ溶液によるシリコンの異方性エッチングにより光導波路層除去部の幅よりも広幅とし、かつ、側面の下端から上端までの上下の全区間の面をシリコン(100)結晶面の底面に対して略垂直なシリコン(100)結晶面と成した断面矩形状の凹部が前記光導波路層除去部の全長区間にわたり連続して設けられており、前記シリコン基板の表面がシリコン(100)結晶面と成し、前記凹部は前記コアの長手方向に沿って形成されている側面が前記シリコン基板表面に対して略垂直なシリコン(100)結晶面と成し、前記凹部の底面はシリコン基板表面に対して略平行なシリコン(100)結晶面と成している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0035】
また、第2の発明の光回路は、シリコン基板と、該シリコン基板上に形成されたコアとクラッドとを有する光導波路層と、前記コアの上側位置の光導波路層上に形成されて前記コアの一部の温度を局所的に可変制御する温度制御手段とを有し、該温度制御手段の形成部位を挟む両側の光導波路層は前記コアと間隔を介した領域が前記コアの長手方向に沿い、前記温度制御手段の長手方向の全区間にわたり連続して光導波路層表面から前記シリコン基板表面に至るまで除去されており、該光導波路層除去部の下部に対向する全領域を包含するシリコン基板表面部位には該シリコン基板表面からの深さ方向のシリコンのドライエッチングによるエッチングと、そのドライエッチングに続いて行われる前記温度制御手段の長手方向に直交する方向であって温度制御手段が形成されている部位の光導波路層の底面の一部を露出させる横向きの方向のアルカリ溶液によるシリコンの異方性エッチングとにより光導波路層除去部の幅よりも広幅とし、かつ、側面の下端から上端までの上下の全区間の面をシリコン(111)結晶面の底面に対して略垂直なシリコン(110)結晶面と成した断面矩形状の凹部が前記光導波路層除去部の全長区間にわたり連続して設けられており、前記シリコン基板の表面がシリコン(111)結晶面と成し、前記凹部は前記コアの長手方向に沿って形成されている側面が前記シリコン基板表面に対して略垂直なシリコン(110)結晶面と成し、前記凹部の底面はシリコン基板表面に対して略平行なシリコン(111)結晶面と成している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0038】
さらに、第の発明の光回路は、上記第1又は第2の発明の構成に加え、前記温度制御手段は薄膜ヒータとした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0039】
さらに、第の発明の光回路は、上記第1乃至第のいずれか一つの発明の構成に加え、前記光導波路層は石英系ガラスにより形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0040】
さらに、第の発明の光回路装置は、上記第1乃至第のいずれか一つの発明の光回路を有し、該光回路のコアは光の分岐と結合の少なくとも一方を行う少なくとも2つの光分岐結合器を形成する結合器形成コアと、これらの結合器形成コア同士を接続する少なくとも2本の接続用コアを有し、該接続用コアの少なくとも1本に温度制御手段が形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0041】
さらに、第の発明の光回路装置は、上記第の発明の構成に加え、前記結合器形成コアは並設された2本のコアを近接して形成し、接続用コアは互いに間隔を介して並設された2本のコアにより形成したマッハツェンダ光干渉計回路を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0042】
さらに、第の発明の光回路装置は、上記第の発明の構成に加え、少なくとも1本の光入力導波路と、該光入力導波路の出力側に接続された第1スラブ導波路と、該第1スラブ導波路の出力側に接続されて互いに設定量異なる長さの複数並設されたチャネル導波路から成るアレイ導波路と、該アレイ導波路の出力側に接続された第2スラブ導波路と、該第2スラブ導波路の出力側に接続された少なくとも1本の光出力導波路とを有し、前記光入力導波路と前記第1スラブ導波路と前記アレイ導波路の第1スラブ導波路側の端部が第1の光分岐結合器を形成する第1結合器形成コアを成し、前記アレイ導波路の第2スラブ導波路側の端部と前記第2スラブ導波路と前記光出力導波路が第2の光分岐結合器を形成する第2結合器形成コアを成し、該第2結合器形成コアと前記第1結合器形成コアの間のアレイ導波路が接続用コアを成している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0043】
さらに、第の発明の光回路装置は、上記第または第の発明の光回路装置を少なくとも1つ有し、温度制御手段の温度を制御することにより少なくとも1つの設定波長光の強度を可変する光可変光減衰制御部を設けて、光可変減衰器とした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0044】
さらに、第の発明の光回路装置は、上記第または第の発明の光回路装置を少なくとも1つ有し、温度制御手段の温度を制御することにより少なくとも1つの設定波長光の出力部を可変する光スイッチ制御部を設けて、光スイッチとした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0045】
さらに、第1の発明の光回路装置は、上記第または第の発明の光回路装置を少なくとも1つ有し、温度制御手段の温度を制御することにより合波と分波の少なくとも一方の波長を可変する波長可変制御部を設けて、波長可変合分波器とした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0046】
さらに、第1の発明の光回路装置は、上記第または第の発明の光回路装置を少なくとも1つ有し、温度制御手段の温度を制御することにより少なくとも1つの設定波長光の分散量を可変する分散可変制御部を設けて、接続相手側の波長分散を低減する光可変分散補償器とした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0047】
さらに、第1の発明の光回路の製造方法は、上記第1の発明の光回路の製造方法であって、光導波路層の除去部の形成後に、シリコン基板にアルカリ溶液によるシリコンの異方性エッチングを行って前記光導波路層の除去部に対応する位置のシリコン基板表面側に凹部を形成する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0048】
さらに、第1の発明の光回路の製造方法は、上記第2の発明の光回路の製造方法であって、光導波路層の除去部の形成後に、シリコン基板にシリコンの異方性ドライエッチングを行い、然る後にアルカリ溶液による異方性エッチングを行って前記光導波路層の除去部に対応する位置のシリコン基板表面側に凹部を形成する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0049】
さらに、第1の発明の光回路の製造方法は、上記第1または第1の発明の構成に加え、前記アルカリ溶液は水酸化カリウム水溶液とした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、本実施形態例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【0051】
図1には、本発明に係る光回路の第1実施形態例の要部構成が示されている。図1の(a)は本実施形態例の光回路の平面構成を示す模式図であり、図1の(b)は図1の(a)のA−A断面を示す模式図である。
【0052】
これらの図に示すように、第1実施形態例の光回路は、シリコン基板7と、該シリコン基板7上に形成されたコア1とクラッド2とを有する光導波路層3と、該光導波路層3上に形成されて前記コア1の一部の温度を局所的に制御する温度制御手段8を有している。温度制御手段8は薄膜ヒータ9からなり、薄膜ヒータ9には図示されていない給電用電気配線と該給電用電気配線を通して薄膜ヒータ9に給電する給電手段(図示せず)とが接続されている。
【0053】
また、前記温度制御手段8の形成部位を挟む両側の光導波路層3は、コア1と間隔を介した領域がコア1の長手方向に沿って光導波路層3の表面からシリコン基板7の表面に至るまで除去されており、光導波路層除去部5が形成されている。また、該光導波路層除去部5の下部に対向する全領域を包含するシリコン基板7の表面部位に断面矩形状の凹部4が設けられている。
【0054】
本実施形態例の特徴は、シリコン基板7の表面がシリコン(100)結晶面と成しており、かつ、前記凹部4は前記コア1の長手方向に沿って形成されている側面が前記シリコン基板7の表面に対して略垂直なシリコン(100)結晶面と成し、凹部4の底面はシリコン基板7の表面に対して略平行なシリコン(100)結晶面と成していることである。
【0055】
なお、本実施形態例において、薄膜ヒータ9の下部側の光導波路層3aの幅は50μm、この光導波路層3aの下部側のシリコン基板7aの幅は10μmである。また、図1の(b)は、コア1の大きさを誇張して示している。
【0056】
以下、本実施形態例の光回路の製造方法について述べる。まず、図2の(a)に示すように、(100)結晶面を表面とする単結晶シリコン基板7を用意し、このシリコン基板7上に、火炎加水分解堆積法(FHD法)を用いて、図2の(b)に示すように、アンダークラッド層2aを形成する。
【0057】
次に、図2の(c)に示すように、アンダークラッド層2a上にコア層11を形成する。コア層11にはGeOを添加し、コア層11の屈折率がアンダークラッド層2aよりも0.8%高くなるようにする。
【0058】
次に、図2の(d)に示すように、薄膜ヒータ9を形成する部分の光導波路(コア1)がシリコン基板7の表面に垂直な(100)面に沿うように、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングによりパターニングしてコア1を形成する。その後、図2の(e)に示すように、FHD法を用いてオーバークラッド層を形成し、コア1を埋め込んで光導波路層3を形成する。
【0059】
次に、スパッタ法とリフトオフ法を用い、図2の(f)に示すように、長さ5mm、幅30μm、膜厚0.5μmのNi製の薄膜ヒータ9をコア1に沿って光導波路層3の上に形成する。この際、Ni膜と光導波路層3との密着性向上のため、Ni膜の下部に膜厚0.1μmのTi膜を形成する。次に、同様の方法で、Ti・Ni・Auの3層から成る給電用配線(図示せず)を形成する。
【0060】
次に、図2の(g)に示すように、薄膜ヒータ9の両側の光導波路層3をフォトリソグラフィーおよびドライエッチングによって、薄膜ヒータ9に平行な矩形形状に除去し、光導波路層3の除去部(光導波路層除去部5)を形成する。
【0061】
次に、図2の(h)に示すように、水酸化カリウム水溶液を用いた異方性エッチングによりシリコン基板7の表面側をエッチングし、光導波路層除去部5の下部に対向する全領域を包含するシリコン基板7の表面部位に断面矩形状の凹部4を形成する。この凹部4は、温度制御手段8の長手方向に直交する方向の幅が光導波路層除去部5よりも広く形成される。したがって、凹部4の形成により、光導波路層3の底面の一部が露出する。
【0062】
上記のように、シリコン基板7の表面をシリコン(100)結晶面とし、異方性ウエットエッチングを適用すると、シリコン基板7の表面から下方へのエッチング速度と、光導波路層除去部5と対向するシリコン基板7の領域から光導波路層3の下部のシリコン基板7を温度制御手段8の長手方向に直交する方向にエッチングする速度とが等速度で進行する。
【0063】
したがって、光導波路層除去部5と対向するシリコン基板7の表面を始点として開始されるシリコン基板7のエッチングは、シリコン基板7の表面に対して垂直な側壁形状と、シリコン基板7の表面に対して平行な底面形状とを保ちつつ、側方と下方へ等速度で進行することになる。
【0064】
したがって、エッチングの深さ(凹部4の形成深さ)をシリコン基板7の表面から測定することにより、温度制御手段8の長手方向に直交する方向のエッチング長さを同時に把握することができ、温度制御手段8が形成されている光導波路層3の下部のシリコン基板7(7a)の幅(温度制御手段8の長手方向に直交する方向の幅)を適切に調節できる。
【0065】
本実施形態例の光回路は以上のように構成されており、本実施形態例の光回路について、波長1.55μmの伝搬光に対して光路長を半波長分変化させるのに要する電力を測定したところ、100mWであった。
【0066】
一方、比較のために、本実施形態例と同様の光導波路構成と温度制御手段8を有し、光導波路層除去部5とシリコン基板7の凹部4を有していない光回路について同様に電力測定を行ったところ、700mWの電力を要した。
【0067】
以上のように、本実施形態例の光回路は、低消費電力で効率的にコア1の熱光学効果を発揮できることが確認された。
【0068】
また、本実施形態例の光回路を、上記の製造方法を適用して20個作製したところ、上記消費電力の値は100±2mWのほぼ一定の値となり、歩留まりよく、安定的に製造できることが確認できた。
【0069】
次に、本発明に係る光回路の第2実施形態例について述べる。第2実施形態例の光回路は、図3に示すように、上記第1実施形態例の光回路とほぼ同様に構成されている。第2実施形態例の光回路の説明において、第1実施形態例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【0070】
第2実施形態例が上記第1実施形態例と異なる特徴的なことは、シリコン基板7の表面および凹部4を形成するシリコン結晶面を以下のようにしたことである。つまり、図3に示すように、第2実施形態例の光回路において、シリコン基板7の表面はシリコン(111)結晶面と成し、前記凹部4はコア1の長手方向に沿って形成されている側面が前記シリコン基板7の表面に対して略垂直なシリコン(110)結晶面と成し、凹部4の底面はシリコン基板7の表面に対して略平行なシリコン(111)結晶面と成している。
【0071】
以下、第2実施形態例の光回路の製造方法について述べる。まず、図4の(a)に示すように、(111)結晶面を表面とする単結晶シリコン基板7を用意し、このシリコン基板7上に、図4の(b)、(c)に示すように、上記第1実施形態例と同様に、アンダークラッド層2aとコア層11を順に形成する。
【0072】
次に、図4の(d)に示すように、薄膜ヒータを9形成する部分のコア1がシリコン基板7の表面に垂直な(110)面に沿うように、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングによりパターニングしてコア1を形成する。その後、図4の(e)に示すように、FHD法を用いてオーバークラッド層2bを形成し、コア1を埋め込んで光導波路層3を形成する。
【0073】
次に、第1実施形態例と同様に、図4の(f)、(g)に示すように、薄膜ヒータ9の形成、薄膜ヒータ9の両側の光導波路層3の除去を行う。
【0074】
次に、図4の(h)に示すように、異方性ドライエッチングにより光導波路層除去部5の下部のシリコン基板7を除去して凹部4を形成する。なお、このシリコン基板7のエッチングは、光導波路層除去部5に対向するシリコン基板7の領域のみをシリコン基板7の表面に対してほぼ垂直に除去するようにする。
【0075】
次に、図4の(i)に示すように、水酸化カリウム水溶液を用いた異方性エッチングにより、コア1を有する光導波路層3aの下部側のシリコン基板7の表面側をエッチングし、凹部4を光導波路層3の下部側に張り出すように形成する。
【0076】
上記のように、凹部4の、コア1の長手方向に沿って形成されている側面をシリコン(110)結晶面と成し、凹部4の底面はシリコン基板7の表面に対して略平行なシリコン(111)結晶面と成し、凹部4の形成方法として異方性ドライエッチングとシリコン基板7の異方性ウエットエッチングを適用すると、以下の効果を奏する。
【0077】
つまり、アルカリ溶液によるシリコン基板7の(110)結晶面のエッチング速度は(111)結晶面のエッチング速度の数十〜数百倍である。そのため、図4の(h)に示したように、異方性ドライエッチングにて光導波路層除去部5とほぼ同じ平面形状のシリコン基板除去部を形成し、その後、図4の(i)に示したように、アルカリ溶液による異方性ウエットエッチングを行うと、凹部4の底面方向へのエッチングと側面方向へのエッチングの制御が行いやすくなり、所望の凹部4を形成できる。
【0078】
第2実施形態例の光回路は以上のように構成されており、上記第1実施形態例の光回路と同様の効果を奏することができる。
【0079】
次に、本発明に係る光回路装置の第1実施形態例について説明する。なお、第1実施形態例の光回路装置の説明において、上記説明に用いた各部と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【0080】
第1実施形態例の光回路装置は、図5の(a)に示す平面構成を有するマッハツェンダ光干渉計回路30を有し、結合器形成コア21同士を接続する接続用コア22の両方に温度制御手段8が形成されている。また、第1実施形態例の光回路装置は、図5の(b)に示す断面構成を有している。なお、図5の(b)は、図5の(a)のA−A断面図である。
【0081】
図5の(b)に示すように、本実施形態例の光回路装置は、上記第1実施形態例の光回路の構成を適用して形成されている。つまり、コア1の一部に沿って温度制御手段8を形成し、この温度制御手段8の両側に光導波路層除去部5を形成し、さらに、光導波路層除去部5の下部に対向する全領域を包含するシリコン基板7の表面部位に断面矩形状の凹部4を設けている。凹部4の構成も上記第1実施形態例の光回路の構成を適用している。
【0082】
第1実施形態例の光回路装置において、接続用コア22に温度制御手段8を形成することにより位相シフタを形成している。また、温度制御手段8には、温度制御手段8の温度を制御して、接続用コア22a,22b間に温度差を与えることで熱光学効果による屈折率差を発生させ、コア1a,1b間での伝搬光の干渉状態を変化させることにより、少なくとも1つの設定波長光の強度を可変する可変光減衰制御部(図示せず)が接続されており、第1実施形態例の光回路装置は光可変減衰器と成している。
【0083】
なお、第1実施形態例の光回路装置を形成するマッハツェンダ光干渉計回路30は、温度制御手段8への給電が無いときに、コア1(1a)の入射側17から入力されてコア1(1b)の出射側20から出力される光の減衰量が、導波路損失および光ファイバとの接続損失を除いてほぼ零となるように、コア1(1a,1b)における接続用コア22の互いの長さの差ΔLがゼロに設定されている。
【0084】
第1実施形態例の光回路装置は、以上のように構成されており、本実施形態例の光回路装置に、波長1.55μmのTE偏光およびTM偏光をそれぞれ入力し、これらの光の減衰量および光減衰量の偏波による差を測定した。
【0085】
具体的には、上記偏光をコア1(1a)の入射側17から入力してコア1(1b)の出射側20から出力し、図6の(a)に示すように、温度制御手段8に投入した投入電力と、上記偏光の減衰量および光減衰量の偏波による差を測定した。特性線aがTE偏光の光減衰量、特性線bがTM偏光の光減衰量、特性線cが光減衰量の偏波による差を示す。
【0086】
また、比較のために、第1実施形態例の光回路装置と同様の光導波路構成を有し、かつ、温度制御手段8を有して、光導波路層除去部5とシリコン基板7の凹部4を有していない光回路装置について同様の測定を行った。その結果を、図6の(a)と同様に、図6の(b)の特性線a〜cに示す。
【0087】
これらの特性線から明らかなように、比較例の光可変減衰器では、10dBの光減衰量を得るのに約600mWを要し、そのときの偏波による光減衰量の差が約2.5dBも発生しているのに対し、第1実施形態例の光回路装置は、わずか75mWの電力で10dBの光減衰量が得られている。また、このときの偏波による光減衰量の差は0.2dBと大幅に抑制できている。
【0088】
以上のように、第1実施形態例の光回路装置は、低消費電力で効率的にコア1の熱光学効果を発揮でき、所望の光減衰量を効率的に得ることができる。また、本実施形態例の光回路装置は、偏波による光減衰量の差も非常に小さくできる。
【0089】
また、第1実施形態例の光回路装置を、上記の製造方法を適用して20個作製したところ、10dB光減衰時の消費電力は75±1mWのほぼ一定の値となり、偏波依存性は0.2±0.03dBとほぼ一定の値となり、歩留まりよく、安定的に製造できることが確認できた。つまり、本実施形態例によれば、省電力、低偏波依存性であり、かつ、安定生産可能な光可変減衰器を実現できる。
【0090】
次に、本発明に係る光回路装置の第2実施形態例について説明する。第2実施形態例の光回路装置は上記第1実施形態例の光回路装置とほぼ同様に構成されており、第2実施形態例の光回路装置の説明において、上記第1実施形態例の光回路と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【0091】
第2実施形態例の光回路装置は、図5の(a)に示した上記第1実施形態例と同様の光導波路構成と温度制御手段8を有し、その断面構成も図5の(b)に示す構成と同様である。
【0092】
第2実施形態例の光回路装置が上記第1実施形態例の光回路装置と異なる特徴的なことは、温度制御手段8の温度を制御して、接続用コア22a,22b間に温度差を与えることで熱光学効果による屈折率差を発生させ、コア1a,1b間での伝搬光の干渉状態を変化させることにより、少なくとも1つの設定波長光の出力部を可変する光スイッチ制御部(図示せず)を設けたことである。第2実施形態例の光回路装置は、この光スイッチ制御部を有することから、光スイッチとして機能するものである。
【0093】
第2実施形態例の光回路装置は以上のように構成されており、第2実施形態例の光回路装置と同様の光導波路構成と温度制御手段8を有して、光導波路層除去部5とシリコン基板7の凹部4を有していない比較例の光回路装置の光スイッチを形成し、この比較例の光スイッチと第2実施形態例の光回路装置とのスイッチング電力の比較を行った。
【0094】
その結果、比較例の光回路装置のスイッチング電力が約750mWであったのに対し、第2実施形態例の光回路装置のスイッチング電力は約100mWであり、スイッチング電力の大幅な低減を実現できた。
【0095】
次に、本発明に係る光回路装置の第3実施形態例について説明する。第3実施形態例の光回路装置は上記第1実施形態例の光回路装置とほぼ同様に構成されており、第3実施形態例の光回路装置の説明において、上記第1実施形態例の光回路と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【0096】
第3実施形態例の光回路装置は、図7に示すように、マッハツェンダ光干渉計回路30を有しており、接続用コア22が互いに異なる長さに形成されている。そして、マッハツェンダ光干渉計回路30は、波長1550nm帯において約0.8nm間隔の光合分波機能を有するように、2本の接続用コア22の長さの差ΔLと接続用コア22の実効屈折率nとの積nΔLが決定されている。
【0097】
つまり、コア1(1a)の入射側17から入力されてコア1(1b)の出射側20から出力される波長光λ1の整数倍、かつ、コア1(1a)の入射側17から入力されてコア1(1a)の出射側19から出力される波長光λ2の半整数倍となるように、ΔLが1035.5μmに設定されている。
【0098】
また、第3実施形態例には、温度制御手段8の温度を制御し、接続用コア22a,22b間に温度差を与えることで熱光学効果による屈折率差を発生させ、コア1a,1b間での伝搬光の干渉状態を変化させることにより、合波と分波の少なくとも一方の波長を可変する波長可変制御部(図示せず)が設けられており、第3実施形態例の光回路装置は、波長可変合分波器と成している。
【0099】
なお、第3実施形態例の光回路装置を形成するマッハツェンダ光干渉計回路30は、温度制御手段8への給電が無いときに、図8に示すように、コア1(1a)の入射側17から入力されてコア1(1b)の出射側20から出力される光の結合効率が周期的な波長依存性を有する。
【0100】
そこで、波長約1550nmに出現している、上に凸のピークの中心波長をλ1、波長約1549.2nmに出現している、下に凸のピークの中心波長をλ2と定義し、第3実施形態例の光回路装置において、温度制御手段8への給電(投入)電力と波長λ1、λ2の変化を測定した。
【0101】
また、比較のために、第3実施形態例の光回路装置と同様の光導波路構成と温度制御手段8を有して、光導波路層除去部5とシリコン基板7の凹部4を有していない光回路装置について同様の測定を行った。
【0102】
図9には、これら第3実施形態例の光回路装置と比較例の光回路装置の温度制御手段8への投入電力と波長λ1、λ2の変化の測定結果を示す。第3実施形態例の光回路装置の波長λ1の測定結果が特性線aに、波長λ2の測定結果が特性線bに示されている。また、比較例の光回路装置の波長λ1の測定結果が特性線cに、波長λ2の測定結果が特性線dに示されている。
【0103】
特性線aと特性線cとの比較および、特性線bと特性線dとの比較から明らかなように、例えば波長λ1と波長λ2を1周期分(約1.6nm)シフトさせるのに要する電力は、比較例が約1400mWであるのに対し、第3実施形態例の光回路装置は約200mWであり、大幅に低減できることが分かった。
【0104】
なお、上記第3実施形態例の光回路装置についての説明は、波長合分波器を波長分波器として適用した例について述べたが、第3実施形態例の光回路装置は、光を入力する導波路と出力する導波路の関係を適宜設定する(例えばコア1(1a,1b)の出射端19,20から波長λ1、λ2の光を入力する)ことにより、波長合波器として適用することもできる。
【0105】
次に、本発明に係る光回路装置の第4実施形態例について説明する。第4実施形態例の光回路装置は図20に示した光回路装置と同様の光導波路構成と温度制御手段8を有して、温度制御手段8の形成領域における断面構成を、図1の(a)に示したような構成としたことである。
【0106】
第4実施形態例の光回路装置は、温度制御手段8の温度を制御して、温度制御手段8を付与した部分のコアの屈折率を変化させることにより伝搬光の位相状態を制御し、少なくとも1つの設定波長光の分散量を可変する分散可変制御部(図示せず)を設けて、接続相手側の波長分散を低減する光可変分散補償器である。
【0107】
第4実施形態例の光回路装置を、図20に示す光導波路構成と温度制御手段8を有して、光導波路層除去部5とシリコン基板7の凹部4を有していない比較例の光回路装置と比較したところ、分散補償性能が以下のように向上した。
【0108】
つまり、16波長に対して640kmの分散シフト光ファイバの分散値を補償するために、比較例においては約20Wの消費電力を要したが、第4実施形態例の光回路装置は約5Wと大幅に消費電力を低減できた。このように、第4実施形態例の光回路装置は、低消費電力で分散シフト光ファイバの分散値を効率的に補償できる。
【0109】
図10には、本発明に係る光回路装置の第5実施形態例の平面構成が一部省略して示されている。第5実施形態例の光回路装置は、アレイ導波路回折格子25の導波路構成と温度制御手段8とを有しており、温度制御手段8の形成領域における断面構成を、図1の(a)に示したような構成としている。なお、図10において、光導波路層除去部5と凹部4の構成は省略して示している。
【0110】
図10に示すアレイ導波路回折格子25の光導波路構成において、光入力導波路12と第1スラブ導波路13とアレイ導波路14の第1スラブ導波路13側の端部が第1の光分岐結合器を形成する第1結合器形成コア21(21a)を成す。
【0111】
また、アレイ導波路14の第2スラブ導波路15側の端部と前記第2スラブ導波路15と前記光出力導波路16が第2の光分岐結合器を形成する第2結合器形成コア21(21b)を成す。そして、第2結合器形成コア21bと第1結合器形成コア21aの間のアレイ導波路14が接続用コア22を成している。
【0112】
アレイ導波路14を形成するそれぞれのチャンネル導波路14aには、温度制御手段8が設けられている。また、温度制御手段8の温度を制御することにより、合波と分波の少なくとも一方の波長を可変する波長可変制御部(図示せず)が設けられており、第5実施形態例の光回路装置は、波長可変合分波器と成している。
【0113】
よく知られているように、シリコン基板上に石英系ガラス膜で形成されたアレイ導波路回折格子の中心波長λcは、約0.011nm/℃の温度依存性を有している。そのため、温度制御手段8によりチャンネル導波路14aの温度を可変制御すると、波長可変合分波器として機能することができる。
【0114】
なお、第5実施形態例の光回路装置は、周波数スペーシングを25GHzとし、無給電時の中心波長が1545.322nmとなるように、それぞれのチャンネル導波路14aの長さの差等が適宜設定されている。
【0115】
第5実施形態例の光回路装置に、TE偏光およびTM偏光の波長可変光を用いて、温度制御手段8への投入電力と出力スペクトルを測定したところ、図11の(a)に示すような結果が得られた。また、図10に示す光導波路構成と温度制御手段8を有して、光導波路層除去部5とシリコン基板7の凹部4を有していない比較例の光回路装置について同様の測定を行ったところ、図11の(b)に示す結果が得られた。
【0116】
これらの図において、特性線a1、b1、c1、d1はTE偏波光の出力スペクトルであり、特性線a2、b2、c2、d2はTM偏波光の出力スペクトルである。
【0117】
また、図11の(a)において、特性線a1、a2は、温度制御手段8への投入電力が0のとき、特性線b1、b2は、温度制御手段8への投入電力が100mWのとき、特性線c1、c2は、温度制御手段8への投入電力が200mWのとき、特性線d1、d2は、温度制御手段8への投入電力が300mWのときをそれぞれ示す。
【0118】
一方、図11の(b)においては、特性線a1、a2は、温度制御手段8への投入電力が0のとき、特性線b1、b2は、温度制御手段8への投入電力が1000mWのとき、特性線c1、c2は、温度制御手段8への投入電力が2000mWのとき、特性線d1、d2は、温度制御手段8への投入電力が3000mWのときをそれぞれ示す。
【0119】
図11の(b)に示すように、比較例の光回路装置は、2チャンネル分、すなわち、約0.4nmの波長可変範囲を得るために2000mWを要し、そのときの偏波による中心波長の差が0.1nmも発生した。それに対し、図11の(a)に示すように、第5実施形態例の光回路装置は、わずか300mWの電力で約0.4nmの波長可変範囲を得ることができ、そのときの偏波による中心波長の差も0.02nmと大幅に抑制できた。
【0120】
また、上記第5実施形態例と同様の方法で、同様の光回路装置を20個作製したところ、波長を0.4nm可変する時の消費電力は300±3mW、偏波依存性は0.02±0.01nmと大幅に抑制でき、歩留まりも良好であった。
【0121】
このように、第5実施形態例の光回路装置は、省電力、低偏波依存性で、作製歩留まりが良好な波長可変光合分波器を実現できた。したがって、第5実施形態例の光回路装置を利用して、例えば波長可変光源や波長可変光アド・ドロップフィルタ等の様々な機能の光回路装置を、省電力、低偏波依存性で安定に作製できる。
【0122】
次に、本発明に係る光回路装置の第6実施形態例について説明する。第6実施形態例の光回路装置は、第5実施形態例の光回路装置と同様の光導波路構成と温度制御手段8を有しており、第6実施形態例が第5実施形態例と異なる特徴的なことは、温度制御手段8の温度を制御することにより少なくとも1つの設定波長光の強度を可変する光可変光減衰制御部(図示せず)を設けて、光可変減衰器としたことである。
【0123】
第6実施形態例の光回路装置は、アレイ導波路回折格子25の回路がチャンネル間隔25GHzの設計で形成されており、光を1本の光出力導波路16からのみ出力する。温度制御手段8によりチャンネル導波路14aの温度を変化させることで透過波長スペクトルをシフトさせ、設計中心波長における透過率を変化させることにより設定波長光の強度を可変する。
【0124】
図12の特性線aと特性線bに、第6実施形態例における温度制御手段8への投入電力と設定波長光の光減衰量との関係を示す。また、図12の特性線cと特性線dに、第6実施形態例の光回路装置と同様の光導波路構成と温度制御手段8とを有して、光導波路層除去部5とシリコン基板7の凹部4を有していない比較例の光回路装置における温度制御手段8への投入電力と設定波長光の光減衰量との関係を示す。
【0125】
なお、図12の特性線a、特性線cがTM偏波光の光減衰量であり、特性線b、特性線dがTE偏波光の光減衰量である。
【0126】
図12の特性線a〜dから明らかなように、比較例の光回路装置においては、10dBの光減衰量を得るのに温度制御手段8への投入電力を約700mW要し、そのときの偏波による光減衰量の差も約2dBと非常に大きいのに対し、第6実施形態例の光回路装置は、10dBの光減衰量を得るのに温度制御手段8への投入電力は約180mWですみ、そのときの偏波による光減衰量の差も約0.5dBと小さい。
【0127】
つまり、第6実施形態例の光回路装置は、アレイ導波路回折格子25の導波路構成を用いて、省電力、低偏波依存性の光可変減衰器を実現できた。
【0128】
次に、本発明に係る光回路装置の第7実施形態例について説明する。第7実施形態例の光回路装置は、第5実施形態例の光回路装置と同様の光導波路構成と温度制御手段8を有している。
【0129】
なお、第7実施形態例において、アレイ導波路回折格子25の回路はチャンネル間隔25GHzの設計で形成されており、光を2本の光出力導波路16から切り替え出力する光スイッチとしている。温度制御手段8には、温度制御手段の温度を制御することにより少なくとも1つの設定波長光の出力部を可変する光スイッチ制御部(図示せず)が設けられている。
【0130】
第7実施形態例は以上のように構成されており、第7実施形態例の光回路装置と、該第7実施形態例の光回路装置と同様の光導波路構成と温度制御手段8とを有して、光導波路層除去部5とシリコン基板7の凹部4を有していない比較例の光回路装置において、スイッチング電力を求めた。
【0131】
その結果、比較例の光回路装置のスイッチング電力は約1000mWであったのに対し、第7実施形態例の光回路装置のスイッチング電力は約150mWであり、スイッチング電力の大幅な低減を実現できた。
【0132】
図13には、本発明に係る光回路装置の第8実施形態例の要部構成が平面図により示されている。第8実施形態例の光回路装置は、図13に示す導波路構成を有する光回路チップ41と、分散補償光ファイバ40とを有している。
【0133】
光回路チップ41は、シリコン基板7上に、以下に示す光導波路構成を有する導波路形成領域を形成したものである。上記光導波路構成は、少なくとも1本(ここでは1本)の光入力導波路12と、該光入力導波路12の出力側に接続された第1スラブ導波路13と、該第1スラブ導波路13の出力側に接続されたアレイ導波路14と、該アレイ導波路14の出力側に接続された第2スラブ導波路15と、該第2スラブ導波路15の出力側に接続された少なくとも1本(ここでは1本)の光出力導波路16とを有している。
【0134】
アレイ導波路14は、互いに設定量(ΔL)異なる長さの複数並設されたチャネル導波路14aから成る。なお、アレイ導波路14を構成するチャンネル導波路14aは、通常、例えば100本といったように多数設けられるが、図13においては、図の簡略化のために、これらのチャンネル導波路14aの本数を簡略的に示してある。
【0135】
チャンネル導波路14aにはそれぞれ温度制御手段8が形成されており、この温度制御手段8はアレイ導波路14に設定位相分布を与える位相分布付与部と成している。温度制御手段8は薄膜ヒータ9(9a,9b)により形成されている。
【0136】
また、温度制御手段8の温度を制御することにより少なくとも1つの設定波長光の分散量を可変する分散可変制御部(図示せず)が設けられており、第8実施形態例の光回路装置は、接続相手側の波長分散を低減する光可変分散補償器と成している。
【0137】
上記設定位相分布は、アレイ導波路14のチャンネル導波路14aの本数をM本(Mは正の整数)、チャンネル導波路14aの配列順に付したチャンネル導波路14aの番号をk(k=0〜M−1)としたとき、チャンネル導波路番号kの中心(M−1)/2に対して実質的に線対称となる偶関数的分布である。
【0138】
この偶関数的分布は、例えば図15に示すような2次関数分布であり、係数Aを含む式、(数1)で表せる位相分布P(k)とすることができる。なお、位相分布の式は特に限定されるものでなく適宜設定されるものであり、上記偶関数分布であればよい。
【0139】
【数1】
Figure 0004267888
【0140】
図14には、温度制御手段8を形成するヒータ9bの形成部の拡大図が模式的に示されており、このヒータ9bには、通電手段45と通電用の電極44が接続されている。また、図14はヒータ9bを示しているが、ヒータ9aもヒータ9bと同様にアレイ導波路14の形成領域の設定領域に形成されており、ヒータ9aにも通電用の電極と通電手段が接続されている。
【0141】
第8実施形態例は、ヒータ9(9a,9b)による加熱により、それぞれのチャンネル導波路14aの屈折率を調整することによって、設定位相分布が上記のような実質的に偶関数的分布となるようにする。
【0142】
上記設定位相分布は可変可能と成しており、前記通電手段によりヒータ9(9a,9b)に通電する通電量を可変することによって、ヒータ9(9a,9b)によるチャンネル導波路14aの加熱量を可変し、対応するチャンネル導波路14aの屈折率の調整量を可変する。
【0143】
なお、ヒータ9(9a,9b)の形成形態は特に限定されるものではないが、本実施形態例においては、図1に示すように、ヒータ9(9a)とヒータ9(9b)は互いに間隔を介して形成されている。ヒータ9(9a)とヒータ9(9a)に通電する通電手段は、正分散補償用位相シフタとして機能し、ヒータ9(8b)とヒータ9(9b)に通電する通電手段は、負分散補償用位相シフタとして機能する。
【0144】
第8実施形態例の光回路装置は以上のように構成されており、第8実施形態例の光回路装置は、±100ps/nmの波長分散補償量を得るのに温度制御手段8に投入する電力は約8W必要だった。第8実施形態例の光回路装置と同様の光導波路構成と温度制御手段8とを有して、光導波路層除去部5とシリコン基板7の凹部4を有していない比較例の光回路装置において検討を行ったところ、上記温度制御手段8への必要投入電力は約20Wであった。
【0145】
このように、第8実施形態例の光回路装置は、省電力で、必要な波長分散補償量を得ることができた。
【0146】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば光回路や光回路装置を構成する光導波路(コア)の構成は特に限定されるものでなく適宜設定されるものである。
【0147】
また、上記各実施形態例の光回路装置は、上記第1実施形態例の光回路の構成を適用して形成したが、光回路装置は上記第2実施形態例の光回路の構成を適用して形成してもよい。この場合も、上記各実施形態例の光回路装置と同様の効果を奏することができる。
【0148】
【発明の効果】
本発明の光回路によれば、基板上にコアを有する光導波路層を形成し、コアの一部の温度を局所的に可変制御する温度制御手段の形成部位を挟む両側の光導波路層を除去し、この除去部の全領域を包含するシリコン基板表面部位に断面矩形状の凹部を設け、前記シリコン基板の表面と、前記凹部の側面、底面の結晶面を定めることにより、低消費電力で効率的に熱光学効果を発揮することができ、製造が容易で信頼性が高い光回路を実現できる。
【0149】
また、本発明の光回路は、上記のような構成とすることで熱応力が効果的に解放され、複屈折による光伝搬特性の偏波依存性を低減することができる。
【0150】
また、本発明の光回路において、シリコン基板表面、凹部のコア長手方向に沿って形成されている側面、凹部の底面をいずれもシリコン(100)結晶面とした構成によれば、シリコン基板の異方性ウエットエッチングを適用することによって、シリコン基板の表面から下方へのエッチング速度と、光導波路除去部から、温度制御手段が形成されている側の光導波路層方向へと進むサイドエッチングが共にシリコン基板の(100)結晶面に対するエッチングとなり、等速度で進行する。
【0151】
したがって、光導波路層除去部と対向するシリコン基板の表面を始点として開始されるシリコン基板のエッチングは、シリコン基板の表面に対して垂直な側壁形状と、シリコン基板の表面に対して平行な底面形状とを保ちつつ、側方と下方へ当速度で進行することになる。
【0152】
したがって、エッチングの深さ(凹部の形成深さ)をシリコン基板の表面から測定することにより、温度制御手段の長手方向に直交する方向のエッチング長さを同時に把握することができ、温度制御手段が形成されている光導波路層の下部のシリコン基板の幅(温度制御手段の長手方向に直交する方向の幅)を適切に調節でき、上記優れた効果を奏する光回路を歩留まり良く形成できる。
【0153】
また、本発明の光回路において、シリコン基板の表面と凹部の底面がシリコン(111)結晶面と成し、凹部の、コアの長手方向に沿って形成されている側面がシリコン(110)結晶面と成している構成によれば、アルカリ溶液によるシリコン基板の(110)結晶面のエッチング速度は(111)結晶面のエッチング速度の数十〜数百倍であるので、2種類のエッチングを組み合わせて適切な凹部を形成できる。
【0154】
つまり、例えば異方性ドライエッチングにて光導波路層除去部とほぼ同じ平面形状のシリコン基板除去部を形成し、その後、アルカリ溶液による異方性ウエットエッチングを行うと、凹部の底面方向へのエッチングと側面方向へのエッチングの制御が行いやすくなり、所望の凹部を形成でき、上記優れた効果を奏する光回路を歩留まり良く形成できる。
【0155】
また、本発明の光回路において、シリコン基板の凹部をアルカリ溶液によるシリコンの異方性エッチングにより形成した構成は、シリコン基板のエッチング速度の結晶面依存性により再現性良く凹部を形成することができる。
【0156】
さらに、本発明の光回路において、シリコンの異方性ドライエッチングと該異方性ドライエッチングに続いて行われるアルカリ溶液によるシリコンの異方性エッチングにより形成したりした構成は、シリコン基板の表面に垂直な方向と水平な方向のエッチングをほぼ独立して行うことができ、再現性良くエッチングをしてシリコン基板の凹部を形成できる。
【0157】
さらに、本発明の光回路において、前記温度制御手段は薄膜ヒータとした構成によれば、温度制御手段を容易に形成でき、上記優れた効果を奏する光回路を容易に実現できる。
【0158】
さらに、本発明の光回路において、前記光導波路層は石英系ガラスにより形成されている構成によれば、光導波路層を容易に形成できるし、石英系ガラス屈折率の温度依存性を利用して熱光学効果を良好に発揮できる。
【0159】
さらに、本発明の光回路装置によれば、光の分岐と結合の少なくとも一方を行う少なくとも2つの光分岐結合器同士を接続用コアにより接続し、この接続用コアの少なくとも1本に温度制御手段を形成し、この温度制御手段近傍の構成を上記本発明の光回路の構成とすることにより、熱光学効果を効率的に発揮でき、かつ、歩留まりよく光回路装置を製造できる。
【0160】
さらに、本発明の光回路装置において、マッハツェンダ光干渉計回路を有する構成によれば、マッハツェンダ光干渉計回路の位相部が接続用コアとなるので、この接続用コアに形成した温度制御手段により接続用コアの温度を制御し、光可変減衰器や光スイッチ等の様々な機能を有する光回路装置を歩留まり良く形成できる。
【0161】
さらに、本発明の光回路装置において、少なくとも1本の光入力導波路と、第1スラブ導波路と、アレイ導波路と、第2スラブ導波路と光出力導波路とを有し、前記アレイ導波路が接続用コアを成している構成によれば、位相部となるアレイ導波路に温度制御手段を形成してアレイ導波路の温度を制御し、光可変減衰器や光スイッチ等の様々な機能を有する光回路装置を歩留まり良く形成できる。
【0162】
さらに、本発明の光回路装置において、光可変減衰器、光スイッチ、波長可変合分波器、光可変分散補償器と成している構成によれば、温度制御手段に投入する電力が少なくてもそれぞれの機能を効率的に発揮でき、かつ、歩留まりの良好な光回路装置を実現できる。
【0163】
さらに、本発明の光回路の製造方法によれば、シリコン基板表面側に凹部を形成する方法を、アルカリ溶液によるシリコンの異方性エッチングとしたり、シリコンの異方性ドライエッチングと該異方性ドライエッチングに続いて行われるアルカリ溶液によるシリコンの異方性エッチングとしたりすることにより、容易に、かつ、歩留まり良く光回路を製造することができる。
【0164】
さらに、本発明の光回路の製造方法において、アルカリ溶液は水酸化カリウム水溶液とした構成によれば、入手が容易な水酸化カリウム水溶液を用い、シリコン基板に凹部をより一層再現性良く形成できるので、確実に歩留まり良く光回路を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光回路の第1実施形態例を示す要部構成図である。
【図2】上記第1実施形態例の光回路の製造工程を示す説明図である。
【図3】本発明に係る光回路の第2実施形態例を示す要部構成図である。
【図4】上記第2実施形態例の光回路の製造工程を示す説明図である。
【図5】本発明に係る光回路装置の第1、第2実施形態例を示す要部構成図である。
【図6】上記第1実施形態例の光回路装置の投入電力と光減衰量との関係を比較例における関係と共に示すグラフである。
【図7】本発明に係る光回路装置の第3実施形態例を示す要部平面構成図である。
【図8】第3実施形態例の光回路装置における波長と結合効率との関係を示すグラフである。
【図9】上記第3実施形態例の光回路装置と比較例の光回路装置の温度制御手段への投入電力と中心波長との関係を比較例における関係と共に示すグラフである。
【図10】本発明に係る光回路装置の第5、第6、第7実施形態例の平面構成図である。
【図11】上記第5実施形態例の光回路装置の投入電力と透過率との関係を比較例における関係と共に示すグラフである。
【図12】本発明に係る光回路装置の第6実施形態例における温度制御手段への投入電力と設定波長光の光減衰量との関係を示す
【図13】本発明に係る光回路装置の第8実施形態例の要部構成を示す平面図である。
【図14】上記第8実施形態例における温度制御手段形成部の拡大図である。
【図15】上記第8実施形態例において温度制御手段がアレイ導波路に与える設定位相分布の例を示すグラフである。
【図16】マッハツェンダ光干渉計回路を備えた光回路装置の例を示す説明図である。
【図17】従来の光回路装置の断面構成例を示す説明図である。
【図18】従来提案された光回路装置の断面構成例を示す説明図である。
【図19】従来提案された光回路装置の断面構成の別の例を示す説明図である。
【図20】 従来提案された光回路装置の例を平面図により示す説明図である。
【符号の説明】
1 コア
2 クラッド
3 光導波路層
4 凹部
5 光導波路層除去部
7 シリコン基板
8 温度制御手段
9 薄膜ヒータ
12 光入力導波路
13 第1スラブ導波路
14 アレイ導波路
14a チャンネル導波路
15 第2スラブ導波路
16 光出力導波路
21 結合器形成コア
22 接続用コア

Claims (14)

  1. シリコン基板と、該シリコン基板上に形成されたコアとクラッドとを有する光導波路層と、前記コアの上側位置の光導波路層上に形成されて前記コアの一部の温度を局所的に可変制御する温度制御手段とを有し、該温度制御手段の形成部位を挟む両側の光導波路層は前記コアと間隔を介した領域が前記コアの長手方向に沿い、前記温度制御手段の長手方向の全区間にわたり連続して光導波路層表面から前記シリコン基板表面に至るまで除去されており、該光導波路層除去部の下部に対向する全領域を包含するシリコン基板表面部位には該シリコン基板表面からの深さ方向と、前記温度制御手段の長手方向に直交する方向であって温度制御手段が形成されている部位の光導波路層の底面の一部を露出させる横向きの方向とにアルカリ溶液によるシリコンの異方性エッチングにより光導波路層除去部の幅よりも広幅とし、かつ、側面の下端から上端までの上下の全区間の面をシリコン(100)結晶面の底面に対して略垂直なシリコン(100)結晶面と成した断面矩形状の凹部が前記光導波路層除去部の全長区間にわたり連続して設けられており、前記シリコン基板の表面がシリコン(100)結晶面と成し、前記凹部は前記コアの長手方向に沿って形成されている側面が前記シリコン基板表面に対して略垂直なシリコン(100)結晶面と成し、前記凹部の底面はシリコン基板表面に対して略平行なシリコン(100)結晶面と成していることを特徴とする光回路。
  2. シリコン基板と、該シリコン基板上に形成されたコアとクラッドとを有する光導波路層と、前記コアの上側位置の光導波路層上に形成されて前記コアの一部の温度を局所的に可変制御する温度制御手段とを有し、該温度制御手段の形成部位を挟む両側の光導波路層は前記コアと間隔を介した領域が前記コアの長手方向に沿い、前記温度制御手段の長手方向の全区間にわたり連続して光導波路層表面から前記シリコン基板表面に至るまで除去されており、該光導波路層除去部の下部に対向する全領域を包含するシリコン基板表面部位には該シリコン基板表面からの深さ方向のシリコンのドライエッチングによるエッチングと、そのドライエッチングに続いて行われる前記温度制御手段の長手方向に直交する方向であって温度制御手段が形成されている部位の光導波路層の底面の一部を露出させる横向きの方向のアルカリ溶液によるシリコンの異方性エッチングとにより光導波路層除去部の幅よりも広幅とし、かつ、側面の下端から上端までの上下の全区間の面をシリコン(111)結晶面の底面に対して略垂直なシリコン(110)結晶面と成した断面矩形状の凹部が前記光導波路層除去部の全長区間にわたり連続して設けられており、前記シリコン基板の表面がシリコン(111)結晶面と成し、前記凹部は前記コアの長手方向に沿って形成されている側面が前記シリコン基板表面に対して略垂直なシリコン(110)結晶面と成し、前記凹部の底面はシリコン基板表面に対して略平行なシリコン(111)結晶面と成していることを特徴とする光回路。
  3. 温度制御手段は薄膜ヒータとしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光回路。
  4. 光導波路層は石英系ガラスにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の光回路。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれ一つに記載の光回路を有し、該光回路のコアは光の分岐と結合の少なくとも一方を行う少なくとも2つの光分岐結合器を形成する結合器形成コアと、これらの結合器形成コア同士を接続する少なくとも2本の接続用コアを有し、該接続用コアの少なくとも1本に温度制御手段が形成されていることを特徴とする光回路装置。
  6. 結合器形成コアは並設された2本のコアを近接して形成し、接続用コアは互いに間隔を介して並設された2本のコアにより形成したマッハツェンダ光干渉計回路を有することを特徴とする請求項5記載の光回路装置。
  7. 少なくとも1本の光入力導波路と、該光入力導波路の出力側に接続された第1スラブ導波路と、該第1スラブ導波路の出力側に接続されて互いに設定量異なる長さの複数並設されたチャネル導波路から成るアレイ導波路と、該アレイ導波路の出力側に接続された第2スラブ導波路と、該第2スラブ導波路の出力側に接続された少なくとも1本の光出力導波路とを有し、前記光入力導波路と前記第1スラブ導波路と前記アレイ導波路の第1スラブ導波路側の端部が第1の光分岐結合器を形成する第1結合器形成コアを成し、前記アレイ導波路の第2スラブ導波路側の端部と前記第2スラブ導波路と前記光出力導波路が第2の光分岐結合器を形成する第2結合器形成コアを成し、該第2結合器形成コアと前記第1結合器形成コアの間のアレイ導波路が接続用コアを成していることを特徴とする請求項5記載の光回路装置。
  8. 請求項6または請求項7記載の光回路装置を少なくとも1つ有し、温度制御手段の温度を制御することにより少なくとも1つの設定波長光の強度を可変する光可変光減衰制御部を設けて、光可変減衰器としたことを特徴とする光回路装置。
  9. 請求項6または請求項7記載の光回路装置を少なくとも1つ有し、温度制御手段の温度を制御することにより少なくとも1つの設定波長光の出力部を可変する光スイッチ制御部を設けて、光スイッチとしたことを特徴とする光回路装置。
  10. 請求項6または請求項7記載の光回路装置を少なくとも1つ有し、温度制御手段の温度を制御することにより合波と分波の少なくとも一方の波長を可変する波長可変制御部を設けて、波長可変合分波器としたことを特徴とする光回路装置。
  11. 請求項6または請求項7記載の光回路装置を少なくとも1つ有し、温度制御手段の温度を制御することにより少なくとも1つの設定波長光の分散量を可変する分散可変制御部を設けて、接続相手側の波長分散を低減する光可変分散補償器としたことを特徴とする光回路装置。
  12. 請求項1の光回路の製造方法であって、光導波路層の除去部の形成後に、シリコン基板にアルカリ溶液によるシリコンの異方性エッチングを行って前記光導波路層の除去部に対応する位置のシリコン基板表面側に凹部を形成することを特徴とする光回路の製造方法。
  13. 請求項2記載の光回路の製造方法であって、光導波路層の除去部の形成後に、シリコン基板にシリコンの異方性ドライエッチングを行い、然る後にアルカリ溶液による異方性エッチングを行って前記光導波路層の除去部に対応する位置のシリコン基板表面側に凹部を形成することを特徴とする光回路の製造方法。
  14. アルカリ溶液は水酸化カリウム水溶液としたことを特徴とする請求項12または請求項13記載の光回路の製造方法。
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