JP4266518B2 - ユニバーサルモジュラ喉頭鏡/声門鏡システム - Google Patents
ユニバーサルモジュラ喉頭鏡/声門鏡システム Download PDFInfo
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Description
【技術分野】
この発明は、外科医が異なる解剖学的構造の患者に対して喉頭鏡の手順を行ない得る、ユニバーサル声門鏡システムに関する。より特定的には、この発明は、懸垂ハンドルが選択的に組立可能であって異なる大きさの1組の延長管部材のいずれか1つに動作的に取付けられる、新規のモジュラ喉頭鏡/声門鏡システムに関する。
【0002】
【発明の背景】
一般的に喉頭鏡として知られる機器は、患者の気管内の挿管を促進するため、たとえば、麻酔物質の投与のために一時的な空気な通り道を与えたり、または患者の肺への空気の通り道の閉塞を克服したりするために、ルーチン的に用いられる。また、外科医が患者の喉頭の直接的な視診および外科操作を行なえるよう、外科において口腔および咽頭の組成を置換するために、さまざまな形の喉頭鏡が一般的に用いられ、この手順は直達喉頭鏡検査法として知られる。典型的な喉頭鏡は延長部分を有し、その部分は調整可能なジオメトリであってもよく、それが患者の口から喉頭へ導入される。ハンドルが取付けられているため、外科医は患者の喉頭に導入された部分を操作できるだけでなく、挿入された部材の末端を適切に位置決めして視診および/または外科手術を行なうことができる。挿入された部材を介して1つまたはそれ以上の外科ツールを同時に挿入することも可能である。耳鼻咽喉科医は典型的には、患者の喉頭から声門、すなわち真の声帯または声帯襞に挿入可能な管状部分を有する喉頭鏡を用いて、これらの観察および内視鏡による外科手術を行なう。
【0003】
外科医は冒された組織を明瞭に見る必要があり、またしばしば2つ以上のツールを同時に用いて正確な手術を行ない得る必要がある。人の口腔、咽頭および喉頭の寸法が限られていること、およびこのような手順において患者は避けられない不快感を被ることから、外科医が必要な機器を操作するためのなるべく広い接近および最大限の自由度を得られるようにし、かつ患者の喉頭への物理的侵入を起こす必要のある時間を減少させることは非常に重要である。
【0004】
特に声を改善または維持する必要のある患者に対して、フォノマイクロサージェリとして知られる特別の手術が外科用顕微鏡を用いて行なわれる。こうしたフォノマイクロサージェリは、なるべく広い声門手術範囲を得てポリープ、小結節、嚢胞、肉芽腫、乳頭腫、上皮形成異常および癌の増殖などの声帯襞の異常を露出させることによって最適化される。
【0005】
人の声帯襞(声門)はほぼ二等辺三角形の弁を含み、これが前方に固定されて後方に開閉することにより、それぞれ呼吸および発声を可能にする。声帯襞の障害は、あらゆる年齢および男女両方の患者に起こり得る。人の明瞭な声は、声帯襞の空力的に駆動され、対称的に同調される振動に基づいている。発声中に声帯襞が閉じられているとき、気管から吐き出された空気の流れは閉じられた声門の弁に妨害される。空力学的圧力を受けて声帯襞は振動し、発声を生ずる。声帯襞に障害があると、この振動が不規則になり、声がかれる。ウィルス感染による障害を除く声帯襞の良性の障害のほとんどは、声を使い過ぎる人に起こりやすい。
【0006】
フォノマイクロサージェリの成功は、健康な声帯襞組織の層をなす微細構造の最大限の保存にかかっており、患者の唇と声門との間に配置し得る適切に形作られたなるべく大きな喉頭鏡によって促進される。したがって最適の喉頭鏡とは、病状の理想的な露出、すなわち診察および切除のための手動機器による診察および障害の収縮を促進するものである。
【0007】
公知の先行技術において、患者の口および喉頭に挿入される喉頭鏡部材の内腔において、手で保持され動作される機器に効果的に角をつける問題は、次の2つのやり方で解決されていた。すなわち、管状の喉頭鏡がより広い基部開口を有するよう内腔構造を形成するか、または代替的に、2つの旋回可能に分離可能な広がるへら状のブレードからなる、2つの部分からなるへら状の喉頭鏡を用いるやり方である。後者は広がる機構から離れる末端が不安定になりがちである。ときには内腔に単一のスロットを設けることによってそこでの外科機器の基端部の操作を促進したが、これは機器操作のための空間を喉頭鏡の片側にしか与えない。さらに先行技術は、異なる解剖学的構造の患者を治療する際に要求される寸法的な融通を与えられないという難点を有する。
【0008】
外科医が異なる大きさの患者を治療でき、より正確におよび患者に快適であるように喉頭の特定の部分に接近でき、1つまたはそれ以上の観察および/または外科ツールの操作における柔軟性を許し、さらにそのモジュラの多様性のために、挿管の用途に簡単に適応するようなモジュラ声門鏡システムが必要とされている。この発明は、これらの要求すべてを満たすことを意図するものである。
【0009】
【発明の開示】
したがってこの発明の第1の局面において、新規のユニバーサルモジュラ声門鏡システムが提供され、このシステムはそれぞれ互いの寸法が異なる複数の延長管部材を含み、各部材は患者の喉頭に挿入するための末端と、外科医が1つまたはそれ以上の外科デバイスを動作的に挿入可能な基端とを有する。管部材の壁によって内部に開口が定められる。各管部材の末端部は一般的に三角形の断面であり、好ましい実施例においては分離可能な実質的に平らな底面と、底面の上で交差する1対の湾曲側とを有する。基部は断面がD形であってその頂部が一般的に卵形の構成を有し、それぞれの側には管部材の中間に位置する予め定められた幅および長さのスロットが設けられることが好ましい。外科用顕微鏡の光学的要求に応じるため、基部における管部材の開口は末端部よりも少し広いことが好ましい。
【0010】
さまざまな大きさの管部材が提供されることによって、外科医は特定の患者および特定の外科手術のために最も適したものを選択できる。各管部材の基端には標準化されたハンドル取付部材が付着され、このシステムは、いずれの延長管部材の標準化されたハンドル取付部材に対しても手動で取付および分離可能なハンドルを含む。
【0011】
この装置の別の好ましい実施例においては、患者の喉頭に挿入するための末端と、1つまたはそれ以上の外科デバイスを個別または同時に挿入可能な基端とを有する延長管部材を含む改善された喉頭鏡が提供され、このシステムは管部材の基端部に対して取付可能なハンドルを有する。管部材の末端部は一般的に三角形の断面をもって構成されており、この断面は、予め定められた長さの実質的に平らな底面と、底面に対して予め定められた高さに配置された頂部線において予め定められた第1の角度で交差する1対の湾曲側とによって定められる。管部材の基部の構成は、実質的に平らな底面と、一般的に卵形の上部とによって定められる。外科デバイスの侵入に適応するため、管部材の基部における底面は末端よりも広くなっている。
【0012】
この発明の別の局面は、一般的に記述されるタイプの改善された声門鏡システムおよび装置の使用に対する方法論を含む。
【0013】
ここに開示するこの発明のこれらおよびその他の関連する目的、局面および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【0014】
【この発明の実行のためのベストモード】
図1を参照すると、この発明の実施例に従ったモジュラ声門鏡システムは、患者の物理的な大きさを考慮して、1組100の異なる寸法の延長中空管部材100A−100Cを用い、各部材の末端は、想像面をもって示される管形の交差によって定められる開口102である。声門鏡が患者に対して位置決めされる際に声門鏡の内腔を通じて照明を提供するために、ごく普通の長手方向にクランプする光担体(図示せず)が一般的に用いられる。このモジュラの組の一部となることが意図されるその他の管部材は、同じジオメトリを有するが寸法が異なるものであることが理解されるべきである。こうした部材の所与の組100のすべての延長管部材100に共通するのは、その各々に標準的な形および大きさのハンドル取付部材104(図1には図示せず、図8および図9参照)が設けられることによって好適なハンドルへの分離可能な取付が容易にできることである(後述)。
【0015】
各管部材は分離可能な平らな底面106を有し、その長さは“bla”、基部の幅は“Pwa”(図2)、末端の幅は“Dwa”(図3)である。底面106は、頂部線112において交差する1組の湾曲側108、110と平滑に接触する。図3に最もよく示されるとおり、底面106の有する対向する窪んだ側は、側108、110の対応する内部に延在する端部を受入れてこれと噛み合っており、部材の基端から底面を後方に摺動させることによって部材100から底面を分離できるようになっている。底面106は、側108、110の対応する窪み内に置かれた内部延長部111によって、管部材中で長手方向に揃えられる。
【0016】
114において平らな底面106を有する湾曲側108と、116において平らな底面106を有する湾曲側110との、頂部線112における湾曲側108および110間のそれぞれの交差は、すべて滑らかに丸くした外表面を有するよう形成されることによって、患者の組織に不必要な外傷を負わせることを避ける。同様に、この複合三角形の断面と、丸くなった頂部112に対して角度“α”をもって傾斜する想像面との交差によって定められる末端の開口102においては、開口端縁も滑らかに丸くされる。αの好ましい範囲は35°−70°である。その目的は、開口102を有する末端が患者の口および喉頭に挿入されるときに、患者の組織が不必要な外傷を負うことを避けることである。
【0017】
各管部材100の基端には、ハンドル取付部材104(図8および図9)の下に、底面に近接して1対の横向きに対向するスロット118および120が設けられており、そのそれぞれは湾曲側108および110中に形成されている。スロット118および120の上端は平らな底面に平行であることが好ましいが、これは必須ではない。これらの各スロットの高さすなわち“Swa”は、外科医が用いると思われる診察および手術操作ツールをその中で動かせるように選択される。同様にスロット118および120の長さすなわち“Sla”は、外科医の要求に適うよう選択される。外科医の機器に適応するため、底面106の基部の幅Pwaは末端のそれ(Dwa)よりも大きい。底面106の幅は基端から末端へとだんだん減少してもよい(図6)。
【0018】
この発明のシステムの重要な利点はモジュール方式が可能なことであり、実際の測定および/または外科医の経験に基づいて、外科医が患者の声門組織の視診および/または外科治療を最も効果的に行なえるような適切な延長管部材100A−Cを選択できることである。外科医は最も適切な大きさおよび形の管部材を自由に選択でき、またその標準化されたハンドル取付部材104を介して、それを標準化されたハンドル構造に直ちにしっかりと取付けることができる(後述)。1組の延長管部材100は必要なすべての長さおよび寸法などの部材を含むべきであることが意図されるため、外科医は異なる解剖学的構造の患者の要求に容易に適合可能である。
【0019】
しかし多くの外科ツールは、その効果に有害な影響を与えることなく無限に大きさを減少させることはできないであろう。平行なスロットの幅および長さには、それよりも小さくなるとそれぞれのスロット118および120の内外へのツールの部品の回避的な横向きの動きによって、延長管部材を通って長手方向に挿入されたツールを操作する外科医の能力が有害な影響を受けるという、最小限の大きさが存在する可能性がある。重要なのは、このシステムが個々の患者の特定化された要求に対して機器を適応させるための、かなりの程度の柔軟性を許すことである。先程考察したとおり、特定の小さな妥協が必要なときにも、これらは喉頭鏡による外科業務のシステム全体の柔軟性から逸れるべきではない。
【0020】
図2からも示されるとおり、各延長管部材100の基端部、横向きに対向するスロット118および120のすぐ上は、一般的に緩やかに湾曲した「逆U」の形を有するD形の構成である。こうした構造は本質的にかなりの剛性を有し、この剛性は、好ましくは円筒形のハンドル取付部材104への付着とともに、手術および治療の過程において加える必要のある大きな力の伝達を許すために、基端に十分な硬さと強さとを与える。言い換えると、管状の構造の残りの部分が構造的な硬さのために逆向きの“U”形を有するようスロットの大きさおよび配置を定めることは意図的なものであり、管部材がその意図される機能のすべてを行なうために十分な本質的な強さを有することが確実となるよう意図される。管部材100の厚みおよびそれを作る材料の選択もまた通常の態様で考慮される必要があることは明らかである。
【0021】
特定の外科用途の後に、延長管部材100はその後の再使用のために洗浄され滅菌されることが期待され、このことは管部材の上側のアーチ形セグメントから平らな底面が分離するという事実によって促進される。このことは、用いる材料が組織適合性であること、すなわちあらゆる酸性物質(天然または医学的に適用されたもの)に耐え得ることと、有害な影響なく滅菌に耐え得ることとの両方を要求する。このような機器に対して多数の合金およびプラスチックが入手可能であり、ステンレス鋼は一般的に好ましい材料である。特定の要求を満たすために、要求される強さ、組織適合性および滅菌耐性を与え得るあらゆるこうした公知の材料が当業者によって考慮されてもよい。
【0022】
前述のとおり、このシステムの重要な特徴は、高度のモジュール方式を有することである。これは管部材100に対する寸法の選択だけでなく湾曲をも含み、すなわち図4に示すとおり、湾曲側108および110の間の交差角“β1”を含む。この角度は、頂部線112において湾曲側108および110にそれぞれ接する2つの面の間に定められる。所与の末端底面幅“DW”に対して高さ“h”を変化させたり、および/または側108、110の各々の湾曲を変化させたりすることによって、異なる角度、すなわち管部材の末端における頂部線112における湾曲側の交差における“β2”が得られることがある。βの好ましい範囲は45°−120°である。また、対向するスロットの幅、すなわちスロット中の外科ツールの部分を外科医が操作するために入手可能な空間のジオメトリも変化し得る。同様に、基端において異なる大きさが定められてもよい。一般的に基端における底面の幅PWは、末端における幅(DW)よりも大きくなる。
【0023】
機械的設計の当業者が直ちに認めるとおり、各側108および110の湾曲は真のアーチ型、すなわち完全な円の一部である必要はない。実際には、正常な人の声門は特殊な形であるため、底面と頂部線との間の異なる点において局部曲率半径が異なるよう側108および110を形成することが望ましい。さまざまな湾曲を有する側は、末端において頂部線112に近接する部分が、底面106に近接する部分よりも小さい曲率半径を有してもよい。この逆も可能であり、すなわち、頂部線112に近いところよりも底面106に近いところの局部曲率半径が小さくなるように側108および110を湾曲させることもできる。基端の上部の湾曲も同様に変化してもよい。これらは単なる選択の問題であり、このシステムのモジュール方式はこうした変化に直ちに適応して、外科医が個々の患者および外科手術の要求を満たすための最大の柔軟性を得られるようにする。
【0024】
図8は、この発明の好ましい実施例に従った声門鏡の、特定の基本的な構成要素を示す分解側面図である。直ちに組立可能なこの構造には、前述のとおり選択された延長管部材100の1つが含まれる。ハンドル取付部材104は管部材110と同じ材料から直ちに作られてもよく、管部材に溶接、ろう付けなどによって付着されてもよい。ハンドル取付部材104の末端122上には延長管延長部材126の下端124が嵌められてもよい。この発明のモジュラ局面の1つは、こうした延長部材126の各々は標準化されたハンドル取付部材104に近接して嵌合するよう選択された標準化された内径を有することが好ましいが、これらにはさまざまな長さを与え得るということである。延長部材126の反対の端部128には、一般的に“L”形のハンドル132の、短い横向きのコネクタ部分130が挿入されてもよい。図8に示される実施例において、ハンドル132の有する第1の端部134は閉じられていてもよく、長手方向に対して垂直であってもよい。ハンドル132の末端開口136にはハンドル延長部材140の第1の端部138が挿入されてもよく、このハンドル延長部材には握りやすい隆起142を有する外側の柔軟なカバーが設けられてもよい。このような構造において、ここでハンドル132と呼ばれるものは、説明された構造のハンドル延長140と延長部材126との間の中間部材と考えられてもよい。
【0025】
外科医によっては、延長部材126が正円筒形でないことを好むかもしれない。この発明の範囲内で、人間工学的に好適な延長部材126の形が考えられてもよく、たとえば中央部分の断面の大きさを不規則に、および/またはより大きくし、両端部分を中央部分と平滑に接触するよう作られた丸い正円筒形にしてもよい。
【0026】
延長部材126はハンドル取付部材104に固定的に嵌合可能であり、ハンドル132の横向きの部分130は延長部材126の反対側の端部128に固定的に嵌合可能であり、ハンドル延長140の端部138はハンドル部分132の端部136に容易に固定的に嵌合可能であることが意図される。縮尺上の理由から、図8にはこうした機構の実際の細部がどのように見られるかという詳細は示さない。当業者は、このような固定的だが容易に分離可能な取付を得るための、多数の公知の構造および技術のいずれかを知って適応できるものと考えられる。こうした分離可能に取付可能な機構の例には、差込嵌合など、同じ一般的な目的のために公知のシステムにおいて一般的に入手可能なものが含まれる。こうした機構の厳密な性質および形はこの発明に決定的なものではない。要求されるものは、さまざまな部品の分離および効果的な滅菌に必要とされる、容易で固定的な取付けおよび迅速な分離が可能なさまざまな取付のみである。
【0027】
外科医の活動を促進するために、延長部材126、ハンドル部分132および130、ならびにハンドル延長140(用いるとき)はすべて、強くて比較的軽い材料から作ることが非常に好ましい。こうした目的に対する多数の合金、複合材料およびその他の材料が当業者に周知であり、望みに応じてこれらのいずれを選択してもよい。材料の厳密な選択は、この発明にとって決定的なものとは考えられないが、構造全体は比較的軽くなることが好ましい。重要なことは、使用中、外科医は外部の懸垂システムにあらゆる公知の態様でハンドル部分132またはハンドル延長140のいずれかを取付けて、重力に反して患者に十分な力を加えるためにこれを操作することが期待されるという点である。
【0028】
声門鏡の操作中に延長部材126を保持する外科医の手の親指に対して人間工学的なレストを与えるために、ハンドル132には平滑に湾曲した角表面が設けられる。言い換えると、一方の手でハンドル部分132またはハンドル延長140(用いるとき)をつかんでいる外科医は、他方の手で延長部材126をつかみながら、快適さおよび便利さのためにその手の親指を湾曲した窪みの表面142に静止させてもよい。
【0029】
こうした装置に対する公知の懸垂および支柱ホルダシステムは、周知のボストン大学懸垂システム(Boston University Suspension System)、レーブ喉頭鏡ホルダ支持(Loeb Laryngoscope Holder Support)、およびこの技術において公知のその他の「ガロース」タイプのシステムを含むが、これらに制限される必要はない。このことは、ここに説明した構成要素に、適切に形成した公知の部材の付加を要求する可能性がある。こうした明らかな変更は当業者によく知られるものであると考えられ、こうしたシステムのさまざまな部材は周知であって商業的に入手可能であり、したがってそれらの詳細な説明は不要であると考えられるため、簡潔のために省略する。
【0030】
図8および図9において、“FH”および“FP”として示される太い矢印によって示されるとおり、管部材110が患者の喉頭に挿入されるとき、外科医によってハンドル構造を介して力“FH”が加えられ、その結果生じる力“FP”が患者に働く。これらの力は意味あるものであってもよく、管部材110に対して、平滑に湾曲した頂部線においてともに入来する湾曲側を有する前述の断面を選択する主要な理由は、患者の組織に不必要な外傷を負わせることなく外科医が最も有利な態様でこうした力を加えることを促進するためである。喉頭鏡の手順を行なう当業者は、こうした力がどのように加えられるか、またそれらがなぜ治療すべき組織への適切な接近を与えるために必要であるかを正確に理解するであろう。
【0031】
図9の実施例は、麻酔物質を制御して供給するために患者が挿管されるような、麻酔の用途に対して特に好適である。この変更された構造において、管部材100は前述のものと全く同じであってもよく、そのハンドル取付104には延長部材126が分離可能に取付可能である。図8に関して説明したハンドル延長140は省略されており、延長部材126は単独で管部材110とともに用いられてもよく(組立てられた機器は一般的にL形となる)、またはハンドル132、延長部材126、および管部材110とともに用いられてもよい(機器は一般的にC形となる)。挿管の目的のため、外科医は麻酔放出のための気管内の管を管状の喉頭鏡部材100を通って長手方向に、端部開口102の外まで導入し、患者の声帯襞の開口を通って気管内に導入する。これが満足に行なわれると、分離可能な平らな底面は分離されてもよく、それによって声門鏡の上部を気管内の管を邪魔することなく患者の喉から取除くことができる。このアプローチは、咽頭および/または喉頭を妨害する腫瘍に面した場合などの困難な挿管において非常に貴重である。続いて麻酔物質を単独で、またはその他の物質と混合して、制御された速度で必要な時間にわたって投与できる。気管を通じて患者の肺から液体を吸引するときにも同様の挿管を用いることができる。ここに説明した部材の使用におけるこうした明らかな手順の変更は、当業者に十分理解されるものであると期待される。
【0032】
このシステムを喉頭鏡/声門鏡の手順に用いるとき、延長管部材100は、部材の断面の底面部分の外表面が患者の上側の大顎にすぐに近接する状態で、都合よく配された患者の喉頭中に位置決めされる。このことによって頂部線は確実に患者の下側の大顎にすぐに近接することとなり、このことは管部材100の寸法の適切な選択とともに、最も有利な態様で末端を喉頭組織に適用するために特に好適である。
【0033】
フォノマイクロサージェリおよび麻酔ガスの投与のための挿管などの用法に対する、前記に開示したユニバーサル声門鏡システムの使用法を説明する。
【0034】
特定の患者に対するフォノマイクロサージェリの実行は、おそらくは予備測定を有する患者の口腔、喉頭および咽頭の初期の大まかな診察によって、その患者に対する最適の寸法および形(頂部角および実質的に三角形の断面の湾曲側の湾曲配置によって定められる)を定めることを必要とする。患者が比較的小さな子供のときには、外科医は、たとえば観察のための従来の顕微鏡を用い得るようにするために、少し張り出した基端を有する管部材100の選択を希望するかもしれない。管部材がこうした部材のより大きな組の特定の部分集合から選択されたとき、外科医は次いで適切なユニバーサルハンドルシステムを選択してもよい。
【0035】
次いで患者は、その要求、大きさおよび快適性に対して最も適切な位置に寝かされる。ジーテルズの米国特許第5,092,314号における図4およびその特定化において、いかに周知のボストン大学懸垂システムを用い得るか、および例示的な用法における患者の位置決めについての説明が提供される。ジーテルズのこれらの、およびその他の関連部分を、この技術において公知のものの見本としてここに引用により援用する。患者が適切に位置決めされると、外科医は管部材100の末端を患者の口および喉頭に挿入し、最初はその湾曲側が患者の上側および下側の歯に近接して動作的に配されるようにし、頂部線が患者の頬の粘膜に近接して動作的に配されるようにする。管部材100の末端が患者の舌の付け根における有郭の乳頭を過ぎた後、管部材をたとえば反時計方向に約90°回転させる必要がある。末端の先端における頂部、すなわち頂部線112が開口102の頂部において終わるところが、喉頭蓋の喉頭表面の下に置かれる。このとき、管部材100の平らな底面が、気管内の管を後方の、外科領域の外の披裂の間に逸らし、筋結識膜の声帯襞を露出する。末端はさらに前進して偽の声帯襞を横向きに逸らし、患者の真の声帯襞の最大限の露出を確立する。
【0036】
管部材100の頂部における選択される角度は主に、真の声帯襞の上面の露出のために特定の患者の偽の声帯襞を横向きに逸らすことを最適化できるよう選択されることが認識されるべきである。このことが適切に行なわれると、患者の真の声帯襞の病状を非常に明瞭に視覚化できる。その後外科医は管部材100の長手方向に個々または同時に適切な機器を配して、患者の真の声帯襞の筋結織膜の組織を手術できる。その際に、外科医は1対の相互に対向する端部スロット118および120を通じて、一方の側に単一のスロットしか含まない種類の公知の構造において可能であったよりも快適に、観察および/または外科機器の基端部を操作できるという利益を有する。
【0037】
特定の個体は、たとえば麻酔ガスの投与のための直接的な挿管に対する従来の技術の実行に困難をきたすような解剖学的構造上の特徴を有することがある。また平均的な個体であっても、従来の挿管の際に受容しがたい妨害または外傷を受けるおそれがあるような独特の個人的な病状を有する可能性がある。このことはその後の内視鏡による喉頭の手順を困難にしたり、妥協させたりするおそれがある。この発明はこうした必要性に対する解決策を提供する。
【0038】
フォノマイクロサージェリの手順に関して前述したとおり、外科医は最初に部材の組から選択される延長管部材100の好適な寸法および形を決定する必要がある。考慮すべき要素の1つは、患者の病状の知られるおよび/または予期される形である。患者は、顎の脊柱が胸部の脊柱に関して屈曲し、頭蓋が顎の脊柱に関して延在するよう、または頭蓋が顎の脊柱に関して屈曲するように位置決めされる。患者の下側の喉頭の軟骨骨格に対して手動で外部の逆圧を加えてもよい。管部材100に沿って長手方向に取付けられた声門鏡およびその従来の照明/光デバイスによって患者の声門の開口および声帯襞の病状が適切に視覚化されるとき、気管内の管の末端は声門の開口をゆっくり通って声帯襞の病状から離れる。次いで気管内の管の端部に設けられた従来のカフを膨張させることによって、麻酔ガスの制御された流れを患者に投与できる。気管内の管の基端におけるコネクタは声門鏡の内腔に嵌らないため、声門鏡の平らな底面プレート106が取り除かれて声門鏡は2つの部分に分離され、これによって管部材の上部が気管内の管を妨害することなく喉から取り除かれる。このアプローチは妨害的な喉の病状を有する患者において口気管の管を安全に置くことを促進するが、これはその他多くのタイプの困難な挿管を促進し得る。
【0039】
ここに開示する構造の利点はその使用、練習および共有する経験によって明らかになるため、外科医および手術室スタッフなどの当業者によってこれらの方法に明らかな変更が加えられることが確信される。
【0040】
当業者に明らかとなるとおり、照明、手術、写真、吸引などのために、外科医または麻酔医の要求に最もよく適合するよう、この発明とともにさまざまなタイプの公知のツール、デバイスおよび機構を直ちに用いることができる。
【0041】
この発明において述べられるように、外科医または麻酔医がさまざまな管延長部材を有することによって、個々の患者の解剖学的構造および障害の特徴に対して喉頭鏡を正確に適応させることが促進される。湾曲側の間の適切な角度において平滑な頂部線を有する、末端において実質的に三角形の断面は、その末端の人の声門に対する快適かつ効果的な嵌合を促進する。管部材の基部に2つの対向するスロットを設けることによって、外科医は管部材100の長手方向に選択的に導入した延長機器の基端を1つまたはそれ以上同時に操作するための例外的な自由度を与えられる。最も小さい管部材すなわち小児用の大きさのものに対しては、外科用顕微鏡(用いるとき)からの照明が反射して管の基部の内表面部分の端縁からグレアを生じないよう、延長管部材100の基端をより広くすることが必要であるかもしれない。
【0042】
管延長部材100は真っ直ぐであるように図面に示され、前述において一般的に述べられているが、これを湾曲させてはならない理由はなく、湾曲側を有する前述の実質的に三角形の均一な断面と、互いに対向する基部のスロットと、基端における標準化されたハンドル取付けとを設けることによって、最大限の利益が実現される。
【0043】
この発明を詳細にわたって説明および例示したが、これは例示のためだけのものであって制限するためのものではないことが明らかに理解されるべきであり、この発明の趣旨および範囲は添付の請求項の用語によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に従った、寸法が異なる他は類似のジオメトリを有する3つの管部材の組を示す側面斜視図である。
【図2】 図1の管部材の基部を示す横断面図である。
【図3】 図1の管部材の末端部を示す横断面図である。
【図4】 分離可能な平らな底面プレートが取り除かれたときの、より小さな管部材を示す、図3と比較可能な図である。
【図5】 分離可能な平らな底面プレートが取り除かれたときの、この発明の実施例の1つに従った管部材の底面図である。
【図6】 分離可能な平らな底面プレートが位置どおりに示される、より大きな管部材を示す底面図である。
【図7】 管部材を下方横側から見た、変更形の図である。
【図8】 簡単なハンドルおよび延長を有するモジュラ声門鏡システムを示す分解側面図である。
【図9】 患者に麻酔を投与するための挿管に対して特に好適な形の、この発明に従った声門鏡システムの修正形を示す、分解側面図である。
Claims (24)
- モジュラ声門鏡システムであって、
それぞれ互いに異なる寸法を有する複数の延長管部材を含み、各管部材は患者の喉頭に挿入される末端および1つまたはそれ以上の外科デバイスを動作的に挿入可能な基端と、実質的に平らな底面につながる1対の湾曲側とを有し、
各管部材の末端部は、予め定められた幅および長さの実質的に平らな底面と、底面に対して予め定められた第1の高さにおける頂部線において予め定められた第1の角度で交差する1対の湾曲側とによって定められる三角形の断面を有し、
2つの湾曲側の基端部にはそれぞれスロットが設けられ、各スロットは予め定められた幅および長さであり、底面と頂部線との中間にあり、底面に対して予め定められた第2の高さにおいて始まり、
基端に近接して、標準化されたハンドル取付部材が付着されており、さらに
いずれの延長管部材の標準化されたハンドル取付部材にも取付可能なハンドルを含む、システム。 - 前記底面は、前記1対の湾曲側から取付可能となるよう構成される、請求項1に記載のシステム。
- 各管部材の基部は、卵形の構成の上部と、前記管部材の末端部よりも幅が大きい実質的に平らな底面とを有する、請求項1に記載のシステム。
- 前記管部材の幅は、前記管部材の基端および末端の間で徐々に変化する、請求項1に記載のシステム。
- 末端は、断面と、平らな底面に対して第2の角度をもって傾斜する面との間の交差によって定められる開口を有する、請求項1に記載のシステム。
- 各管部材は組織適合性の材料から作られる、請求項1に記載のシステム。
- ハンドルは、いずれの延長管部材の標準化されたハンドル取付部材にも取付可能な第1の端部と、取付嵌合が設けられた第2の端部とを有する延長部材を含み、
第2の部材は、延長部材の取付嵌合に固定的に嵌合するよう形成された第1の端部を有し、
延長管部材のいずれか1つに延長部材を介してハンドルが取付けられるとき、延長部材は頂部線に対して実質的に垂直であり、延長部材に固定された第2の部材は頂部線に平行である、請求項1に記載のシステム。 - 第2の部材は、ハンドル延長と、第1の端部において延長部材の取付嵌合に付着可能であり、第2の端部においてハンドル延長に付着可能な中間部分とを含む、請求項7に記載のシステム。
- 各管部材の湾曲側は対称であり、底面および頂部線の間に変化する曲率半径を有する、請求項1に記載のシステム。
- 曲率半径は、底面に近接する最大値から底面および頂部線の間の最小値まで変化する、請求項9に記載のシステム。
- 曲率半径は、底面に近接する最小値から底面および頂部線の間の最大値まで変化する、請求項9に記載のシステム。
- 頂部線における湾曲側間の交差と、各湾曲側および底面の間の交差とは、各々局部の小さな曲率半径をもって形成されることによって、鋭い端縁のない平滑に丸くなった外表面を与える、請求項9に記載のシステム。
- 重量を減らすためにハンドルの実質的な部分は中空に作られる、請求項1に記載のシステム。
- ハンドルに接続可能な調整可能な支持手段をさらに含み、そこに偏った力を加えることによって、治療中の患者に管部材から対応する患者支持力が加えられる、請求項1に記載のシステム。
- 複数の延長管部材が複数の組として形成され、各組の管部材は対応するそれぞれのハンドルにのみ取付可能なそれぞれの標準化されたハンドル取付けを有する、請求項1に記載のシステム。
- ハンドルは、複数の管部材の選択された1つに取付けられると、管部材の頂部線に対して実質的に垂直方向に配向される、請求項1に記載のシステム。
- 第1の角度は45°から120°の範囲である、請求項1に記載のシステム。
- 第2の角度は35°から70°の範囲である、請求項5に記載のシステム。
- 第1の角度は45°から120°の範囲である、請求項18に記載のシステム。
- 前記寸法は患者の口腔、中咽頭および喉頭の寸法に合せられる、請求項1に記載の喉頭鏡システム。
- 改善された喉頭鏡であって、
実質的に平らな底面によってつながれたアーチ形の対向側を有する延長管部材を含み、前記部材の末端は患者の喉頭に挿入され、前記部材の基端は1つまたはそれ以上の外科デバイスを個別または同時に受取り、さらに管部材の基端部に取付可能なハンドルを有し、
管部材の末端部は、実質的に平らな底面と、底面に対して予め定められた高さにおける頂部線において予め定められた第1の角度で交差する1対の湾曲側とによって定められる均一な三角形の断面であり、
管部材の基部は、前記実質的に平らな底面と、卵形の構成の上部とによって定められる断面であり、底面は前記末端部よりも前記基部においてより広い、喉頭鏡。 - 前記底面は各部材側から手動で分離できるよう構成される、請求項21に記載の喉頭鏡。
- ハンドルの固定的かつ手動で分離可能な取付けのために、管部材の基端に近接して設けられるハンドル取付けをさらに含む、請求項21に記載の喉頭鏡。
- 管部材の対向する側には基端に向かって延在するスロットが形成される、請求項23に記載の喉頭鏡。
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