JP4265916B2 - 微粒子のデポジットによる製剤方法 - Google Patents

微粒子のデポジットによる製剤方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薬品、食品、化粧品等の微粒子のデポジットにようる製剤方法に関するものであり、更に詳しくは、同有効成分の微粒子または同有効成分を含む微粒子のエアロゾルをノズルから噴出させて被デポジット体にデポジットさせる製剤方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば医薬品の錠剤は、有効成分の粉末、または有効成分の粉末と添加剤(例えば結晶セルローズや乳糖)の粉末とを原料とし、「粉末混合」、「加水混合」、「練合」、「整粒」、「粉砕」、「篩別」、「打錠」等の工程によって製剤されている(例えば特許文献1、特許文献2を参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−202728号公報
【特許文献2】
特開2001−347153号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の錠剤を製剤する各工程ではそれぞれ回転機器が使用されているが、それらの機器の常時回転する回転部分での摩擦によって生ずる金属粉が錠剤に混入する怖れがあることから、可及的に回転部分を持たない装置で製剤することが望まれる。また、各工程間における有効成分の移動が人手によるにせよロボットによるにせよ、移動の途中で塵埃や細菌に汚染されることがないように、製剤の全工程をクリーンルーム内で行われることが多いが、クリーンルームに要する経費は極めて大であり、製剤コストを増大させている。
【0005】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、薬品、食品、または化粧品の有効成分の製剤時に、金属粉の混入や、塵埃、細菌による汚染の怖れがない低コストの製剤方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は請求項1の構成によって解決されるが、その解決手段を説明すれば次の如くである。
【0007】
請求項1の微粒子のデポジットによる製剤方法は、真空凍結乾燥塔の外部に、少なくとも薬品、食品、または化粧品の有効成分が溶媒中に溶解された溶液である原料液への印加圧力および原料液の温度を調整して真空凍結乾燥塔内のノズルへ供給する原料液供給タンクが設けられ、真空凍結乾燥塔の内部には、原料液が噴霧され真空凍結されて降下する微小凍結物を受け収集して真空乾燥させ、乾燥後に残る少なくとも有効成分の微粒子を一時的に貯留するストック部が塔底部に一体的に取り付けられている噴霧式真空凍結乾燥装置によって、原料液をノズルから真空凍結乾燥塔内へ噴霧して微小凍結物とする真空凍結プロセスと、微小凍結物に含まれる溶媒を真空下に昇華させる乾燥プロセスとを連続して行って有効成分の微粒子を製造し、有効成分の微粒子を真空凍結乾燥塔底部のストック部から、噴霧式真空凍結乾燥装置に接続され、微粒子を不活性ガス中に浮遊させてエアロゾルとするエアロゾル作成器と、エアロゾルをノズルから噴出させて被デポジット体にデポジットさせる真空室と、真空室を所定の真空度に維持する真空ポンプとからなる微粒子デポジット装置のエアロゾル作成器へ搬送し、微粒子デポジット装置によって、少なくとも有効成分の微粒子を被デポジット体にデポジットさせる製剤方法である。
【0008】
このような製剤方法は、少なくとも有効成分の微粒子の製造から、同微粒子からなるエアロゾルの作成、同エアロゾルをノズルから噴出させて被デポジット体にデポジットさせるまでが密閉系内で行われ、その密閉系は常時回転する回転部分を持たないので、大気との接触による汚染や金属粉の混入の怖れがない状態で、少なくとも有効成分の微粒子からなる固形剤を製剤することができる。
【0009】
請求項1に従属する請求項2の微粒子のデポジットによる製剤方法は、真空室内の圧力を10Paから10kPaまでの範囲内の所定の圧力に保持して少なくとも有効成分の微粒子をデポジットさせる製剤方法である。
このような製剤方法は、大きい差圧下にノズルから噴出されるエアロゾル中の少なくとも有効成分の微粒子が既にデポジットしている同微粒子に高速度で衝突することにより一体化し固形剤として製剤される。
【0010】
請求項1に従属する請求項3の微粒子のデポジットによる製剤方法は、ノズルから下方へのエアロゾルの噴出方向をZ方向として、Z方向に直角なX方向と、Z方向およびX方向に直角なY方向とに移動可能なステージがノズルの直下の真空室内に設けられており、ステージ上の被デポジット体に少なくとも有効成分の微粒子を連続的または間欠的にデポジットさせる方法である。
このような製剤方法は、被デポジット体に少なくとも有効成分からなるシート状の固形剤、または一定の間隔をあけて少なくとも有効成分からなる円錐状の固形剤を製剤することができる。
【0011】
請求項3に従属する請求項4の微粒子のデポジットによる製剤方法は、被デポジット体がステージに接している場合に、ステージに設けられている加熱・冷却機構によって被デポジット体の温度を調整して、少なくとも有効成分の微粒子をデポジットさせる製剤方法である。
このような製剤方法は、デポジットする少なくとも有効成分の微粒子の一体化度、および/または同微粒子の被デポジット体への付着力を制御することができる。
【0012】
請求項3に従属する請求項5の微粒子のデポジットによる製剤方法は、被デポジット体がステージに接して走行されるプラスチック・フィルムであり、プラスチック・フィルムをX方向へ走行させ、かつステージをY方向に往復動させる製剤方法である。
このような製剤方法は、少なくとも有効成分の微粒子のエアロゾルをノズルからZ方向へ連続的に噴出させながら、ステージをY方向に往復動させ、かつプラスチック・フィルムをX方向へ低速で走行させることにより、プラスチック・フィルム上に少なくとも有効成分からなるシート状の固形剤を形成させることができる。また、少なくとも有効成分の微粒子のエアロゾルをノズルから断続的に噴出させることにより、プラスチック・フィルム上に少なくとも有効成分からなる円錐状の固形剤を格子点状に形成させることも可能である。
【0013】
請求項5に従属する請求項6の微粒子のデポジットによる製剤方法は、プラスチック・フィルム上に形成された少なくとも有効成分からなる固形剤に対しステージの下流側に設けられたラミネート機構によってカバーフィルムを貼り合わせる製剤方法である。
このような製剤方法は、少なくとも有効成分からなる固形剤が大気圧下に取り出された時に塵埃や細菌による汚染を防ぐことができる。また、カバーフィルムとして離型フィルムを貼り合わせた場合には、固形剤の使用に当たって離型フィルムを容易に剥がして固形剤を露出させることができる。
【0014】
請求項3に従属する請求項7の微粒子のデポジットによる製剤方法は、被デポジット体がステージに接して設置されたトレイであり、トレイ内の一点上で一定時間だけノズルからエアロゾルを噴出させ、噴出が終了するとステージをX方向および/またはY方向へ所定距離だけ移動させ、ノズルの直下となる他点上で一定時間だけノズルからエアロゾルを噴出させる操作をトレイ内で繰り返す製剤方法である。
このような製剤方法は、トレイ内に少なくとも有効成分からなる円錐状の固形剤を所定距離の間隔で格子点状に形成させることができる。
【0015】
請求項3に従属する請求項8の微粒子のデポジットによる製剤方法は、被デポジット体が錠剤または粒剤であり、錠剤または粒剤を振動トレイのトレイ部に拡げて収容し転動させながら錠剤または粒剤の表面に少なくとも有効成分の微粒子をデポジットさせる製剤法である。
このような製剤方法は、錠剤または粒剤の表面に少なくとも有効成分からなるコーティングを施すことができる。
【0016】
請求項8に従属する請求項9の微粒子のデポジットによる製剤方法は、振動トレイとして、トレイ部の内面にフッ素樹脂のライニングが形成されているものを使用する製剤方法である。
このような製剤方法は、錠剤または粒剤以外のトレイ部にデポジットされた少なくとも有効成分を容易に剥離して回収することが可能である。
【0017】
請求項1に従属する請求項10の微粒子のデポジットによる製剤方法は、並列に設けられた複数のエアロゾル作成器によって、異なる種類の有効成分の微粒子および異なる種類の添加剤の微粒子の中から選択される複数の微粒子のエアロゾルを作成し、ノズルから同時にまたは交互に噴出させて被デポジット体にデポジットさせる製剤方法である。
このような製剤方法は、異なる種類の有効成分および異なる種類の添加剤から選択された混合物からなる固形剤を製剤することができる。
【0018】
本発明に係る微粒子のデポジットによる製剤方法は、噴霧式真空凍結乾燥装置によって製造される少なくとも有効成分の微粒子を使用する製剤方法である。このような製剤方法は、噴霧式真空凍結乾燥装置によって金属粉の混入や、塵埃、細菌による汚染の怖れがなく製造される少なくとも有効成分の微粒子を密閉系の微粒子デポジット装置によって被デポジット体にデポジットさせるので、清浄度の高い固形剤が製剤される。
【0019】
本発明に係る微粒子のデポジットによる製剤方法は、微粒子デポジット装置の上流側に一体的に接続された噴霧式真空凍結乾燥装置によって製造される少なくとも有効成分の微粒子をそのまま微粒子デポジット装置へ輸送して使用する製剤方法である。
このような製剤方法は、噴霧式真空凍結乾燥装置によって金属粉の混入の怖れがなく、かつ密閉系内で製造される少なくとも有効成分の微粒子が、大気側へ取り出されることなく、そのまま同一密閉系の微粒子デポジット装置へ輸送され、噴霧式真空凍結乾燥装置と微粒子デポジット装置との間で汚染される機会はなく、一層高い清浄度の固形剤が製剤される。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の微粒子のデポジットによる製剤方法は、上述したように、少なくとも薬品、食品、または化粧品の有効成分の微粒子を不活性ガス中に浮遊させてエアロゾルとするエアロゾル作成器と、エアロゾルをノズルから噴出させて被デポジット体にデポジットさせる真空室と、真空室を所定の真空度に維持する真空ポンプとからなる微粒子デポジット装置によって、少なくとも有効成分の微粒子を被デポジット体にデポジットさせる製剤方法である。勿論、有効成分の微粒子に、添加剤の微粒子が混合されたものであってもよい。添加剤としては、別途に製造される蔗糖や乳糖の微粒子、タルク(粒子径5μm程度)、結晶セルローズ粉末(粒子径17μm程度)、造影剤等が使用される。そのほか、複数のエアロゾル作成器を並列に設けて、一方のエアロゾル作成器では有効成分の微粒子のエアロゾルを作成し、他方のエアロゾル作成器では添加剤の微粒子のエアロゾルを作成して、ノズルから同時にまたは交互に噴出させるようにしてもよい。
【0021】
微粒子デポジット装置におけるエアロゾル作成器は、存在する少なくとも有効成分の微粒子の中へ不活性ガス(例えば窒素ガス)を吹き込み、上記微粒子を不活性ガスに浮遊させてエアロゾルとするものであり、少なくとも有効成分の微粒子のエアロゾルは恰も気体であるかのように挙動し、両端部に差圧が与えられた配管内を輸送されるようになる。この時、真空室を10Paから10kPaまでの範囲内の真空度に維持することにより、エアロゾル作成器から真空室内へ延びる輸送管の先端部のノズルからエアロゾルが噴出される。エアロゾルを大きい差圧下にノズルから噴出させるので、エアロゾル中の少なくとも有効成分の微粒子は既にデポジットしている同微粒子に高速度で衝突し、その時の高いエネルギーによって一体化し固形剤として製剤される。この一体化の度合いは同微粒子の粒子径が小さい程顕著である。勿論差圧の大きさを変え、エアロゾルの噴出圧力を変えることにより一体化の度合いを調整することも可能である。
【0022】
少なくとも有効成分の微粒子を被デポジット体にデポジットさせる一つの方法として、エアロゾルを下向き噴出させるノズルの直下の真空室内に移動可動なステージを設置し、ステージ上の被デポジット体に少なくとも有効成分の微粒子をデポジットさせる方法がある。エアロゾルの噴出方向をZ方向として、ステージを少なくともZ方向に直角な方向(X方向とする)に移動させてノズルからエアロゾルを連続的に噴出させることにより、被デポジット体上に少なくとも有効成分からなる直線状の固形剤を形成させることができる。またノズルからエアロゾルを間欠的に噴出させることにより、被デポジット体上に少なくとも有効成分からなる円錐状の固形剤を破線状に形成させることができる。
【0023】
従って、一般的にはノズルの直下に、Z方向に直角なX方向と、Z方向およびX方向に直角なY方向とに移動可能なステージを設け、そのステージ上に被デポジット体をセットして、ステージをX方向とY方向の二次元の面内で移動させ、ノズルからエアロゾルを連続的に噴出させることにより、被デポジット体上に少なくとも有効成分からなるシート状の固形剤を形成させることができる。また、ノズルからエアロゾルを間欠的に噴出させることにより、被デポジット体上に少なくとも有効成分からなる円錐状の固形剤を一定の間隔をあけて格子点状に形成させることができる。勿論、ステージをY方向(またはX方向)に往復動させ、ステージ上で被デポジット体をX方向(またはY方向)に移動させてもよい。
【0024】
更には、少なくとも有効成分の微粒子を被デポジット体にデポジットさせる時の温度が高い場合には、少なくとも有効成分の微粒子同志の一体化度、および/または少なくとも有効成分の微粒子の被デポジット体への付着力が大になることから、被デポジット体がステージに接した状態で少なくとも有効成分の微粒子をデポジットさせる場合には、被デポジット体の温度を制御し得るように、ステージは加熱・冷却機構を設けたもの、例えば抵抗加熱式ヒーターおよび冷媒の流れる細管が埋め込まれたものであることが望ましい。
【0025】
平面状の被デポジット体の一例としてトレイがあり、トレイはステージ面にセットされる。トレイに代えて、長尺フィルム状の被デポジット体、例えばプラスチック・フィルムを使用することができる。原反ロールとして供給されるプラスチック・フィルムはステージと一体的な巻出し軸にセットされる。従って原反ロールはステージと共に移動する。プラスチック・フィルムを原反ロールから引き出してステージ面を走行させる場合には、対向する両縁部が捲くれ上がることや位置ずれすること防ぐために、両縁部を押さえる機構を備えたものとすることが望まれる。機械的な押え付け機構または真空吸着機構を利用することができる。そのほか、プラスチック・フィルムは大抵が誘電体であるから、静電気によってステージ面に吸着させる静電チャック機構を採用することもできる。この場合、プラスチック・フィルムと異なり、ステージからの加熱、冷却ができないので、必要な場合には別途に加熱冷却機構を設けることを要する。
【0026】
プラスチック・フィルムは、その面に少なくとも有効成分からなるシート状の固形剤ないしは円錐状の固形剤を形成させた後に、カバーフィルムを貼り合わせることができるように、ステージの下流側に一体的にラミネート機構を設けた装置を使用することが好ましい。すなわち、カバーフィルムを貼り合わせることにより、少なくとも有効成分からなる固形剤が大気圧下に取り出された時に塵埃や細菌による汚染を防ぐことができる。また、カバーフィルムとして離型フィルムを貼り合わせた場合には、使用に際し離型フィルムを剥がして固形剤を露出させることができる。プラスチック・フィルムは、カバーフィルムを貼り合わせた後に、ロールに巻き上げるか、または適当なサイズにカットされるので、ステージの下流側のラミネート機構17にカッティング機構が一体的に取り付けられる。
【0027】
また、少なくとも有効成分の微粒子をデポジットさせ得る平面状の被デポジット体としてベルトコンベアがある。ノズル12の直下のステージ13上に上行ベルトがX方向に走行するエンドレスのベルトコンベアを設置することにより、ノズルからエアロゾルを連続的に噴出させながら、ステージ13をY方向への往復動させ、上行ベルトをX方向へ走行させることにより、上行ベルト面に少なくとも有効成分のシート状の固形剤を形成させることができる。また、ノズルからエアロゾルを間欠的に噴出させることにより、上行ベルト面に少なくとも有効成分からなる円錐状の固形剤を格子点状に形成させることができる。
【0028】
被デポジット体が例えば錠剤または粒剤であり、それらの表面に少なくとも有効成分のコーティングを施す場合には、ステージに代えて振動トレイが設置される。錠剤または粒剤を振動トレイのトレイ部の底面に拡げて収容し、錠剤または粒剤を転動させつつノズルからエアロゾルを噴出させることにより、錠剤または粒剤の表面にコーティングを施すことができる。なお、この場合、錠剤または粒剤以外のトレイ部分にデポジットされるものを剥離し回収する操作を容易にするためにトレイ部の表面は四フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂でライニングしたものであることが望まれる。デポジットさせる微粒子の種類によってはシリコーン樹脂のライニングも同等の剥離効果を与える。
【0029】
上記のエアロゾル作成器へ供給される少なくとも有効成分の微粒子は、金属粉の混入や、塵埃、細菌による汚染がないものである限りにおいて、どのような方法によって製造されたものであってもよい。有効成分の微粒子の製造は、通常は有効成分を化学反応によって製造した時に得られる有効成分のケーキや塊を粗砕機で破砕して小片とし、次いで小片を粉砕機にかけることによって行なわれるが、この場合、ケーキや塊の全てがエアロゾルの作成に適した粒子径の微粒子、すなわち、ミクロン単位、ないしはサブミクロン単位の微粒子に粉砕される訳ではない。従って、エアロゾルの作成に適した粒子径効の微粒子を得るには何らかの篩別手段によって取り出すことを要する。そして、その結果、場合によって微粒子の収率が50%以下になることもある。また、上述した粗砕、粉砕、篩別の工程を経るので、機器の常時回転する回転部分で摩耗して発生する金属粉の混入する機会が大であるほか、各工程間の輸送時に塵埃や細菌による汚染の怖れもある。そのような汚染を防ぐために全工程をクリーンルームに収容すると、経費は大幅に増大してコストを上昇させる。
【0030】
従って、少なくとも有効成分の微粒子は、以下に示す噴霧式真空凍結乾燥装置のように、密閉系であり、かつ常時回転する回転部分を持たない装置で製造されたものを使用することが望ましい。上記の噴霧式真空凍結乾燥装置は、有効成分が溶媒中に溶解された溶液(例えば水溶液)である原料液を真空凍結乾燥塔内へノズルから噴霧して微小凍結物とする真空凍結プロセスと、微小凍結物に含まれる溶媒を真空下に昇華させる乾燥プロセスとが同一塔内で連続して行われる。真空凍結乾燥塔の外部に、原料液の印加圧力および原料液の温度を調整して真空凍結乾燥塔内のノズルへ供給する原料液供給タンクが設けられ、真空凍結乾燥塔の内部には、原料液が噴霧され真空凍結されて降下する微小凍結物を受け収集して真空乾燥させ、乾燥後に残る少なくとも有効成分の微粒子を一時的に貯留するストック部が塔底部に一体的に取り付けられているものである。
【0031】
この噴霧式真空凍結乾燥装置によって例えば有効成分の微粒子を製造する時、真空凍結乾燥塔内で噴霧される原料液の微小液滴の粒子径、すなわち、ノズルからの原料液の噴霧圧力、ノズルの孔径、塔内の真空度等によって定まる微小液滴の粒子径が最終的に得られる有効成分の微粒子の粒子径を殆ど決定し、凝集塊は形成されないので粉砕工程は必要としない。そして、ストック部にはバッファータンク等が接続されて有効成分の微粒子が貯留される。真空凍結乾燥塔は密閉系であるから、塵埃や細菌による汚染の怖れはなく、また真空凍結乾燥塔内では金属粉が混入する機会は無いに等しいので、噴霧式真空凍結乾燥装置によって製造される有効成分の微粒子はデポジットによる製剤に使用するには極めて好適である。勿論、上記の噴霧式真空凍結乾燥装置に接続されたバッファータンクから有効成分の微粒子をそのまま微粒子デポジット装置のエアロゾル作成器へ輸送し得るように接続された組合わせ装置を使用することは更に好ましい。そのことにより、噴霧式真空凍結乾燥装置と微粒子デポジット装置との間で有効成分の微粒子が汚染される機会を解消し得るからである。
【0032】
なお上記においては、原料液として有効成分の溶液を使用する場合を説明したが、有効成分を内包するマイクロカプセルが分散媒中に分散された分散液を原料液とすることもできる。この場合、乾燥後に残るマイクロカプセルは当初のマイクロカプセルが破壊されることなく維持される。デポジット時に破壊されないと言う条件のもとに、このようなマイクロカプセルも製剤に使用され得る。
【0033】
【実施例】
次に、本発明の微粒子のデポジットによる製剤方法を実施例によって図面を参照し具体的に説明する。
【0034】
(実施例1)
図1は本発明の微粒子のデポジットによる製剤方法を実施する実験室的規模の微粒子デポジット装置1の構成を示す図である。すなわち、微粒子デポジット装置1は、概しては、有効成分の微粒子からなるエアロゾルをデポジットさせる真空室11と、エアロゾルを作成するための並列2基のエアロゾル作成器21a、エアロゾル作成器21b、および真空室11を所定の真空度に維持するための真空ポンプ30とからなっている。以降、この微粒子デポジット装置1によって、被デポジット体であるポリエステル・フィルムE上に有効成分としてのL−アスコルビン酸(ビタミンC)の微粒子Pをデポジットさせてシート状の固形剤に製剤する場合を例示する。
【0035】
真空室11に排気弁29vを備えた排気管29によって接続されている真空ポンプ30は、通常的には大気圧程度とされるエアロゾル作成器21a(21b)に対して、真空室11に一定の差圧を与えるためのものであり、真空室11は10Paから10kPaまでの範囲内の真空度に減圧される。当然のことながら、エアロゾル作成器21a(21b)と真空室11との間の差圧を大にするほど後述のノズル12から噴出されるエアロゾルの噴出速度は大になる。
【0036】
真空室11の天井部にはノズル12が下向きに取り付けられており、ノズル12の下端からL−アスコルビン酸の微粒子Pのエアロゾルが下方(この方向をZ方向とする)へ噴出される。そして、ノズル12の下端の直下には、Z方向に直角なX方向(図1において右方向)と、Z方向およびX方向に直角なY方向(図1において紙面と垂直な方向)とへ移動が可能とされたステージ13が設置されている。そして被デポジット体であるポリエステル・フィルムEはステージ13の面に接してX方向へ走行される。
【0037】
ポリエステル・フィルムEは例えば幅200mmの原反ロールRとして供給され、ステージ13の上流側に一体的に取り付けられている巻出し軸14にセットされる。そして、ステージ13の上流側の従動ローラ15aと下流側の駆動ローラ15bに掛けられて、ステージ13上を低速で連続的または断続的に走行させる。駆動ローラ15bにはピンチローラ16が組合わされている。なお、図示せずとも、ステージ13にはポリエステル・フィルムEの両側縁部の捲くれ上がりを抑える静電チャック機構が設けられている。同様、図示せずとも、ステージ13には必要に応じてポリエステル・フィルムEを加熱または冷却するための抵抗加熱式ヒーターと、冷媒の流れる冷却管が埋め込まれている。
【0038】
ステージ13の下流側には、ポリエステル・フィルムE上に製剤されたシート状のL−アスコルビン酸に対し、離型フィルムを貼り合わせるためのラミネート機構17が一体的に取り付けられる。離型フィルムを貼り合わせた後に所定のサイズにカットされるが、それらの詳細な説明は省略する。
【0039】
エアロゾル作成器21aは内部にL−アスコルビン酸の微粒子Pが収容されており、付属の窒素ボンベ22aから不活性ガスとしての窒素ガスをエアロゾル作成器21aへ吹き込むための吹込管23aがエアロゾル作成器21aの上部空間へ挿入されている。また、形成されるL−アスコルビン酸の微粒子Pのエアロゾルをノズル12へ送るための輸送管24aが配設されており、その途中には開閉弁25aが取り付けられている。他方のエアロゾル作成器21bも同様に構成されているので、その構成要素には、添字aをbとしたほかはエアロゾル作成器21aと同様の符号を付して、それらの説明は省略する。なお、輸送管24aと輸送管24bは開閉弁25aおよび開閉弁25bの下流側で一本の配管に纏められている。そして、エアロゾル作成器21a、21bは通常は交互に切り換えて使用される。
【0040】
本発明の微粒子のデポジットによる製剤方法は上記のような微粒子デポジット装置1を使用して実施されるが、その製剤方法を以下に説明する。なお、図1を参照して、微粒子デポジット装置1は停止された状態にあり、真空室11内にはポリエステル・フィルムEの原反ロールRが搬入されて巻出し軸14に取り付けられており、その始端部はX方向へ引き出されて従動ローラ15aに掛けられ、駆動ローラ15bとピンチローラ16に挟持されて、ラミネート機構17に達するようにセットされている。そして、ポリエステル・フィルムEはステージ13の上面に密接されていると共に、ポリエステル・フィルムEの両側縁部は、図示を省略した静電チャック機構によって、捲れ上がりを防ぎ得る程度に吸着されている。他方、真空ポンプ30は常時稼動されているが排気弁29vは閉じられている。また、エアロゾル作成器21a、21bにはL−アスコルビン酸の微粒子Pが収容されており、窒素ガスボンベ22a、22bの弁、および輸送管24a、24bの開閉弁25a、25bは閉じられているものとする。
【0041】
上記の停止状態から、先ず排気弁29vを開けて真空室11を真空排気し100Paの真空度に維持する。同時に、ステージ13を埋め込まれている抵抗加熱式ヒーターによって表面の温度60℃に加熱すると共に、ステージ13を原反ロールRおよびラミネート機構17と共にY方向に中心振分けで片側90mmのストロークで往復動させる。一方、エアロゾル作成器21aにおいては、窒素ボンベ22aの弁を開け吹込管23aによって窒素ガスをエアロゾル作成器21a内へ吹き込み、アスコルビン酸の微粒子Pを流動化させエアロゾルを生成させる。
【0042】
そして、駆動ロール15bを起動して原反ロールRからポリエステル・フィルムEを引き出し低速でX方向へ走行させると共に、開閉弁25aを開けることにより、エアロゾル作成器21aと真空室11との間の差圧によって、エアロゾルは輸送管24aを輸送され、ノズル12から噴出されてポリエステル・フィルムE上にデポジットされることにより、ステージ13のY方向への往復動の速度とポリエステル・フィルムEのX方向への走行速度によって定まる一定の厚さでL−アスコルビン酸のシート状の固形剤が製剤される。
【0043】
形成されたシート状のL−アスコルビン酸はポリエステル・フィルムEと共にステージ13をX方向へ移動し、ラミネート機構17へ至って離型フィルムが貼り合わされた後、例えば長さ300mm毎にカットされて、L−アスコルビン酸の製剤が完了する。製剤はポリエステル・フィルムEの原反ロールRが使用できなくなるまでが続けられるが、その間、エアロゾル作成器21aでL−アスコルビン酸の微粒子Pが少量になると、エアロゾル作成器21bの方に切り換えられる。そして、原反ロールRが終端部になると、常時運転の真空ポンプ30は残すが、ステージ13、ラミネート機構17を停止し、全ての弁を閉じて微粒子デポジット装置1を停止させる。再開する場合には真空室11を開放し、原反ロールRを交換して、上記の操作が繰り返される。
【0044】
(実施例2)
図1を援用して、微粒子デポジット装置1を使用し、エアロゾル作成器21aではL−アスコルビン酸の微粒子Pのエアロゾルを作成するが、エアロゾル作成器21bでは添加剤である蔗糖の微粒子Qのエアロゾルを作成し、開閉弁25aは全開し、開閉弁25bは絞って、ノズル12から同時にL−アスコルビン酸のエアロゾルと蔗糖のエアロゾルを7対3の比率で噴出させた。それ以外は実施例1と同様に操作して、L−アスコルビン酸と蔗糖とからなるシート状の固形剤を製剤した。そのシート状の固形剤はL−アスコルビン酸が連続相を形成しており、その中に蔗糖が分散して存在していた。
【0045】
(実施例3)
実施例1と同様であるが、ステージ13のY方向への往復動およびポリエステル・フィルムEの走行は停止した状態で、開閉弁25aを開けて、ノズル12からL−アスコルビン酸の微粒子Pのエアロゾルを一定時間だけ噴出させることにより、ポリエステル・フィルムE上にL−アスコルビン酸からなる円錐状の錠剤を形成させた。錠剤が形成されると開閉弁25aを閉じて、ステージ13をY方向へ所定距離だけ往動させ、開閉弁25aを開けて同様にノズル12からL−アスコルビン酸の微粒子Pのエアロゾルを一定時間だけ噴出させて開閉弁25aを閉じることによりポリエステル・フィルムE上の異なる地点に同様な円錐状の錠剤を形成させた。
【0046】
上記のような操作を繰り返して、ノズル12の直下点がポリエステル・フィルムEの端部に至ると、ポリエステル・フィルムEを所定距離だけX方向に走行させてから、ノズル12からL−アスコルビン酸の微粒子Pのエアロゾルを一定時間だけ噴出させた。続いてステージ13を所定距離だけ複動させてノズル12からL−アスコルビン酸の微粒子Pのエアロゾルを一定時間だけ噴出させる操作を繰り返すことにより、ポリエステル・フィルムE上にL−アスコルビン酸からなる円錐状の固形剤が所定距離を開けて格子点状に形成された。
【0047】
(実施例4)
図1に示す微粒子デポジット装置1の真空室11からステージ13およびラミネート機構17を撤去して、ノズル12の直下に、振動トレイ31を設置した。振動トレイ31は、その部分断面図である図2に示すように、トレイ部32と、その下方にあってトレイ部32に振動を与える駆動部41とからなっている。トレイ部32は底面33の外周に低壁34を有しており、底面33および低壁34には四フッ化エチレン樹脂のライニング35が施されている。そして、トレイ部32にコーティングを施すべきアセチルサリチル酸(アスピリン)の錠剤Tが例えば単層に拡げられる。
【0048】
駆動部41は、トレイ部32の裏面側に一体的に取り付けられている円板状の可動コア42を電磁振動させるように構成されている。すなわち、可動コア42は90度の角度間隔で四方に配置された4本の傾斜板バネ43によって固定ブロック44と連結されており、その固定ブロック44は真空室11の底壁に固定されている。そして、固定ブロック44上にはコイル45を巻装した電磁石46が可動コア42と僅かな間隙gをあけて対向するように固定されている。従って、コイル45に交流が通電されると、交流の正弦波の半波毎に、電磁石46による可動コア42の吸引と、吸引によって変形された傾斜板バネ43の復帰とが交互に生じ、その結果、トレイ部32に捩り振動が与えられ、トレイ部32に収容されている錠剤Tは転動される。
【0049】
上記のように真空室11のステージ13を振動トレイ31に代えた以外は実施例1と同様にしてノズル12からL−アスコルビン酸の微粒子Pのエアロゾルを噴出させることにより、被デポジット体としての転動する錠剤Tの表面にL−アスコルビン酸の微粒子Pがデポジットして、アセチルサリチル酸の錠剤Tの表面にL−アスコルビン酸のコーティングが形成される。この時、トレイ部32にもL−アスコルビン酸の微粒子がデポジットするが、底面33および低壁34には四フッ化エチレン樹脂のライニング35が施されているので密着しない。従ってコーティングされた錠剤Tを回収した後、トレイ部32のL−アスコルビン酸のデポジット物は容易に剥がして、回収することができる。
【0050】
(実施例5)
図3は実施例1で使用した微粒子デポジット装置1の上流側に、少なくとも薬品、食品、または化粧品の有効成分の微粒子を製造することができる噴霧式真空凍結乾燥装置2が接続された組合わせ装置10を概略的に示す図であり、実施例5はこの組合わせ装置10を使用して、少なくとも有効成分の微粒子のデポジットによる製剤が行われる。図3に示すように、組合わせ装置10は噴霧式真空凍結乾燥装置2の下流側に微粒子デポジット装置1がバッファータンク3を介して接続されている。バッファータンク3は噴霧式真空凍結乾燥装置2からのL−アスコルビン酸の微粒子Pの供給量と、微粒子デポジット装置1によるL−アスコルビン酸の微粒子Pの消費量との間にアンバランスを生じても対処し得るように(例えば、一方の装置が短時間停止した場合にも、他方の装置を停止させなくても済むように)設けられるL−アスコルビン酸の微粒子Pの貯槽である。
【0051】
図3に示すように、噴霧式真空凍結乾燥装置2は、L−アスコルビン酸の水溶液である原料液Wをノズル52から真空凍結乾燥塔51内へ噴霧して凍結させ、形成される微小凍結物Fから水分を昇華させ乾燥してL−アスコルビン酸の微粒子Pを製造する装置である。すなわち、真空凍結乾燥塔51の上端側の内部には後述の原料液供給タンク71からの原料液Wを噴霧させるノズル52が設置されている。そして、真空凍結乾燥塔51のほぼ中間の高さ位置の内部には、微小凍結物Fを受けて収集する円板状の収集板53がその周縁部の回動軸53sの回りに回動可能に設けられており、当初は水平な姿勢とされる。なお、収集板53の内部には図示せずとも微小凍結物Fからの水分の昇華を促進するための加熱が可能なように抵抗加熱式ヒーターが埋め込まれている。また、収集板53の若干上方位置には真空凍結乾燥塔51の内壁に沿い、リング状で中心部へ向かって下り傾斜の上面54rを有するガイド部54が設けられている。このガイド部54は真空凍結乾燥塔51の内壁近くを降下する微小凍結物Fを収集板53上へ導くものである。
【0052】
図4は真空凍結乾燥塔51の内部に設けられた収集板53の作用を示す図である。すなわち、図4のAは収集板53が水平な姿勢とされて上方から降下する微小凍結物Fを受けることにより、収集板53の上面に微小凍結物Fが層状に堆積した状態であり、その間、微小凍結物Fは水分が昇華することによって乾燥されてL−アスコルビン酸の微粒子Pとなる。図4のBは収集板53が回動軸53sの回りに回動されて垂直な姿勢とされ、上面のL−アスコルビン酸の微粒子Pが落下して真空凍結乾燥塔51の底部に一時的に貯留された状態を示す。なお、回動軸53sは真空凍結乾燥塔51の側壁を真空シールされて塔外へ貫通しており外部に設けられた駆動源によって回動される。また、図示せずとも真空凍結乾燥塔51の内部には圧縮ガスの噴出ノズルが設けられており、収集板53を垂直な姿勢としてL−アスコルビン酸の微粒子Pを落下させる時に落下をアシストする圧縮ガスが吹き付けられ、収集板53の上面や真空凍結乾燥塔51の内壁面にL−アスコルビン酸の微粒子Pが残らないようにするものである。
【0053】
図3において、真空凍結乾燥塔51の右側の上方には、真空排気系が設けられている。すなわち、真空凍結乾燥塔51の上端部と真空ポンプ63を接続する排気管61の途中に、排気中の水蒸気を凝結させるコールドトラップ62が設けられている。そして、真空凍結乾燥塔51とコールドトラップ62との間の排気管61には開閉弁61v、コールドトラップ62と真空ポンプ63との間には排気弁62vが設けられている。真空凍結乾燥塔51から水蒸気を円滑に排気するためには、コールドトラップ62の凝結面の温度を真空凍結乾燥塔51内の微小凍結物Fの温度よりも低くしておくことを要するので、コールドトラップ62の凝結面は通常は液体窒素で冷却して水蒸気を凝結させる。凝結面の全面が氷結すると排気能力が低下するので、コールドトラップ62は2基を並列に設けておき、一方の凝結面の全面が氷結すると他方へ切り換え、一方の方はいわゆる霜取りするように運転することが好ましい。そのほか、真空凍結乾燥塔51の上端部内には排気に対する複数枚の邪魔板50が設けられている。
【0054】
また図3において、真空凍結乾燥塔51の左側上方には、原料液Wの供給タンク71が設置されている。原料液供給タンク71の底部から真空凍結乾燥塔51の上端側の内部へ挿入されている原料液供給管72の先端部には上述した噴霧用のノズル52が下向きに取り付けられており、原料液供給タンク71とノズル52との間には開閉弁72vが設けられている。更に、原料液供給タンク71の上部には、原料液補給管73が開閉弁73vと共に接続されている。更には原料液Wを加圧しノズル52における噴霧圧力を調整するための窒素ガスによる加圧ラインと、原料液Wを減圧するための減圧ラインとの何れとも接続が可能な接続部74が圧力調整弁74vと共に取り付けられている。減圧ラインは、原料液Wが気泡を有している場合に原料液Wの噴霧状態を乱すので、噴霧を開始する前に原料液供給タンク71を利用して原料液Wをあらかじめ減圧脱泡するため接続される。
【0055】
そのほか、原料液供給タンク71には内部を水洗浄するためのノズル75nを備えた洗浄水管75が開閉弁75vと共に設けられている。また、原料液Wを真空凍結乾燥塔51のノズル52から噴霧して形成される微小液滴を可及的に早く凍結させるために、原料液Wは原料液供給タンク71内で冷却される。そのために図示せずとも原料液供給タンク71には冷却装置が設置されている。そして原料液供給管72の原料液供給タンク71から真空凍結乾燥塔51に至る部分には図示せずとも断熱材が巻かれており、供給の途中で温度上昇することがないようにされている。
【0056】
更には図3において、真空凍結乾燥塔51の底部には真空シールが可能な第1真空弁59を介してストック部81が一体的に接続されている。なお、ストック部81には第1真空弁59の内部を洗浄水で洗浄するための洗浄機構83が設置されている。ストック部81の底部側には第2真空弁82が接続されており、この第2真空弁82とバッファータンク3とは開閉弁91vを備えた輸送管91によって接続されている。そして、ストック部81からバッファータンク3へのL−アスコルビン酸の微粒子Pの輸送はストック部81内の図示を省略した圧縮ガスの噴出ノズルから噴出される不活性ガス(例えば窒素ガス)をキャリアとして行われる。また、バッファータンク3と微粒子デポジット装置1のエアロゾル生成器21との間はL−アスコルビン酸の微粒子Pを流動化させる流動化槽96が設置されており、バッファータンク3と流動化槽96とは開閉弁92vを備えた輸送管92によって接続され、流動化槽96とエアロゾル生成器21とは開閉弁98vを備えた輸送管98によって接続されている。輸送管92におけるL−アスコルビン酸の微粒子Pの輸送は、輸送管91の場合と同様に噴出される不活性ガスによる。
【0057】
図5は上記の流動化槽96の概略的な拡大断面図である。バッファータンク3から輸送管92によって輸送されてくるL−アスコルビン酸の微粒子Pはスクリューコンベア93によって流動化槽96へ送り込まれる。流動化槽96内には連通孔を有する焼結金属板97が設けられており、L−アスコルビン酸の微粒子Pは焼結金属板97上に溜まる。そして、焼結金属板97の下方の空間には窒素ボンベ94からの窒素配管95が開閉弁95vと共に接続されている。従って、必要に応じて、開閉弁92vを閉じ、窒素ボンベ94の弁および開閉弁95v、開閉弁98vを開けることにより、焼結金属板97上のL−アスコルビン酸の微粒子Pは吹き上げる窒素ガスによって流動化され、窒素ガスに伴われて輸送管98を経由しエアロゾル生成器21へ供給される。
【0058】
なお、エアロゾル生成器21へのL−アスコルビン酸の微粒子Pの供給と、エアロゾル生成器21でのエアロゾルの生成を同時に行うことは困難であるので、組合わせ装置10においても実施例1の図1に示したように、2基のエアロゾル生成器21を並列に設けて、一方がエアロゾルの生成を行っている場合には、他方はバッファータンク3からL−アスコルビン酸の微粒子Pが供給されるように切り換えて使用し得ることが望ましい。その場合には輸送管98を分岐させて2基のエアロゾル生成器21と接続することになる。
【0059】
エアロゾル生成器21を含む下流側の微粒子デポジット装置1は実施例1で説明したので、重ねての説明は省略する。
【0060】
組合わせ装置10における噴霧式真空凍結乾燥装置2は以上のように構成されているが、次にその作用を説明する。図3を参照して、排気弁62v、開閉弁61vを開として真空ポンプ63が真空凍結乾燥塔51の内部を100Paの真空度に排気しており、原料液供給タンク71には原料液WであるL−アスコルビン酸の水溶液が収容されている以外は、全ての弁は閉じられているものとする。なお、原料液Wが気泡を有している場合には、事前に、接続部74の圧力調整弁74vに減圧ラインを接続して原料液供給タンク71の上部空間を減圧して原料液Wを減圧脱泡させる。
【0061】
準備が整うと、接続部74の圧力調整弁74vに窒素ガスによる加圧ラインが接続され、圧力調整弁74vによって圧力を調整し原料液供給タンク71内の原料液Wに一定の圧力を加え、原料液供給管72の開閉弁72vを開けることにより、原料液Wを真空凍結乾燥塔51内のノズル52から噴霧させる。真空凍結乾燥塔51の内部は100Paの真空度に維持されているので、原料液Wを噴霧して形成される微小液滴から直ちに水分が蒸発し、蒸発の潜熱を奪うので、微小液滴は凍結し微小凍結物Fとなって噴霧状に降下する。そして微小凍結物Fは下方の水平な姿勢とされている収集板53で受けられ、真空凍結乾燥塔51の内壁近くを降下する微小凍結物Fはガイド部54によって収集板53の上方へ導かれて降下し収集される。そして、微小凍結物Fが層状に堆積すると、原料液供給管72の開閉弁72vを閉じて原料液Wの噴霧が一旦中断される。その間にも微小凍結物Fから水分が昇華するが、その昇華を促進させるために、収集板53に埋め込まれているヒーターによって微小凍結物Fを例えば温度30℃に加熱する。
【0062】
微小凍結物Fから水分が昇華してL−アスコルビン酸の微粒子Pが残ると、図4のAに示す水平な姿勢の収集板53は回動軸53sの回りに回動されて、図4のBに示す垂直な姿勢とされるので、L−アスコルビン酸の微粒子Pは落下して真空凍結乾燥塔51の底部に一時的に貯留される。この時、真空凍結乾燥塔51の内壁や収集板53の面にL−アスコルビン酸の微粒子Pが残らないように、図示しないノズルから不活性ガスとしての窒素ガスが吹き付けられる。そしてL−アスコルビン酸の微粒子Pを落下させた後、収集板53は直ちに元の水平な姿勢に戻され原料液供給管72の開閉弁72vを開けてノズル52からの原料液Wの噴霧が再開される。
【0063】
真空凍結乾燥塔51の底部にL−アスコルビン酸の微粒子Pが貯留されると、噴霧が中断されている時に、第1真空弁59を開けてL−アスコルビン酸の微粒子Pは下方のストック部81へ落下され、落下が終ると第1真空弁59は閉じられる。この時、底部および第1真空弁59にL−アスコルビン酸の微粒子Pが残らないように、塔底部に設けられている図示を省略したノズルから窒素ガスが吹き付けられる。なお、ストック部81は真空凍結乾燥塔51と比較して容積が小さいこと、ストック部81の底部は第2真空弁82で閉じられていることから、第1真空弁59を開けても真空凍結乾燥塔51の真空度は殆ど変動しない。
【0064】
そしてストック部81内で、L−アスコルビン酸の微粒子Pが一定量になると、第1真空弁59は閉じた状態で第2真空弁82を開け、開閉弁91vを開けることにより、輸送管91を経由してバッファータンク3へ輸送される。上記のストック部81からバッファータンク3へのL−アスコルビン酸の微粒子Pの輸送は、ストック部81内に設けられている図示を省略したノズルから噴出されるキャリアとしての窒素ガスによって気体輸送される。そして、L−アスコルビン酸の微粒子Pはバッファータンク3内へ至り窒素ガスから分離し沈降する。
【0065】
また、バッファータンク3から流動化槽96への輸送管92による輸送は輸送管91の場合と同様にL−アスコルビン酸の微粒子Pの輸送は、ノズルから噴出される窒素ガスによって気体輸送されるが、バッファータンク3内から自重による落下または滑落するような機構を設けてもよい。そして、流動化槽96からロゾル生成器21へのL−アスコルビン酸の微粒子Pの輸送は、流動化槽96の底部へ吹き込まれるキャリアとしての窒素ガスによって行われる。図5は流動化槽96を概略的に示す断面図である。バッファータンク3の底部に接続された輸送管92に続いて設けられたスクリューコンベア93によって、L−アスコルビン酸の微粒子Pは流動化槽96内の連通孔を有する焼結金属板97上に送り込まれる。そして、焼結金属板97の下方となる流動化槽96の底部には例えば窒素ガスボンベ94からの配管95が取り付けられている。従って、窒素ガスボンベ94吹き込まれる窒素ガスによって焼結金属板97上のL−アスコルビン酸の微粒子Pは流動化されて、流動化槽96の天井面の輸送管98によってエアロゾル作成器21aへ向けて輸送される。そして、エアロゾル作成器21に達するとL−アスコルビン酸の微粒子Pは窒素ガスから分離し沈降する。
【0066】
なお、エアロゾル作成器21において、バッファータンク3からのL−アスコルビン酸の微粒子Pの供給と、エアロゾル作成器21に収容されているL−アスコルビン酸の微粒子Pを微粒子デポジット装置1で使用するためのエアロゾル化を同時に行うことは、エアロゾル作成器21a内の圧力制御を困難にするので、2基のエアロゾル作成器21を並列に設けて、輸送管98から両者の何れへも輸送し得るようにしておくことが望ましい。そのことによって、一方のエアロゾル作成器21では収容されているL−アスコルビン酸の微粒子Pが粒子デポジット装置1でのデポジットに使用されている場合には、他方のエアロゾル作成器21ではバッファータンク3からのL−アスコルビン酸の微粒子Pを受け入れているような使い方が可能になる。
【0067】
そして、このような噴霧式真空凍結乾燥装置2の下流側に微粒子デポジット装置1が接続された組合わせ装置10を使用することによって、噴霧式真空凍結乾燥装置2と微粒子デポジット装置1との間で、L−アスコルビン酸の微粒子Pを外部へ取り出して搬送することによる塵埃や細菌による汚染の怖れが解消され、クリーンルームを設置する必要もなくなり、製剤コストを大幅に低下させる。
【0068】
以上、本発明の微粒子のデポジットによる製剤方法を実施例によって説明したが、勿論、本発明はこれらに限られることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0069】
例えば本実施例においては、医薬品であるL−アスコルビン酸の微粒子Pを使用する医薬品の製剤方法を例示したが、薬品としては医薬品、医薬部外品のほか、農薬の製剤にも本発明は適用される。また、食品としてはグルタミン酸ナトリウムの如き調味料、化粧品としてはアンブロックスの如き香料の製剤にも本発明は適用される。
【0070】
また本実施例1〜5においては、真空室11の天井部にエアロゾル噴出用のノズル12を1本のみを備えた微粒子デポジット装置1を使用する製剤方法を説明したが、真空室11の天井部に2〜3本のノズル12を備えた微粒子デポジット装置によって製剤してもよい。
また本実施例1〜5においては、ノズル12の直下に可動ステージ13または振動トレイ31を設置する場合を説明したが、これら以外の器具、例えば上述したベルトコンベアのほか、水平方向の回転軸を有し、回転軸の方向に往復動可能な回転ドラムを設置して、ノズル12から回転ドラムの側壁面へデポジットさせて製剤し、回転ドラムのデポジット位置が半回転した個所で回転ドラムから形成された固形剤を回収するような機構も採用し得る。
【0071】
また本実施例5において、バッファータンク3からエアロゾル生成器21へのL−アスコルビン酸の微粒子Pの輸送に、スクリューコンベア93を備えた流動化槽96を使用する場合を示したが、スクリューコンベア93を設けることなくバッファータンク3から流動化槽96へL−アスコルビン酸の微粒子Pをバッチ的に少量ずつ落下または滑落させるようにしてもよい。
また本実施例5において、ストック部81からバッファータンク3への輸送、およびバッファータンク3から流動化槽96への輸送をノズルから噴出される窒素ガスに伴われる気体輸送で行われるとしたが、何れの場合も図5に示したような流動化槽によって輸送するようにしてもよい。
【0072】
また本実施例1〜4においては、L−アスコルビン酸の微粒子Pをシート状の固形剤または円錐状の固形剤に製剤する場合を説明したが、これら以外の剤形、例えば直線形状の固形剤、環形状の固形剤をはじめとして各種の剤形に製剤することができる。また、本実施例2においては、医薬品の有効成分であるL−アスコルビン酸の微粒子Pと、添加剤である蔗糖の微粒子Qとから、L−アスコルビン酸を連続相とし、その内部に蔗糖が分散されたシート状の固形剤に製剤する場合を説明したが、例えば直線形状のL−アスコルビン酸と直線形状の蔗糖とが交互に存在するようなシート状の固形剤を製剤することも可能である。
【0073】
また本実施例においては、エアロゾルを噴出させるノズル12を真空室11の天井部に固定し、被デポジット体を移動させて製剤する場合を説明したが、ノズル12を天井部との間で真空シールして移動させ、被デポジット体は固定して製剤してもよい。
【0074】
【発明の効果】
本発明の微粒子のデポジットによる製剤方法は以上に説明したような形態で実施され、次に述べるような効果を奏する。
【0075】
請求項1の微粒子のデポジットによる製剤方法によれば、少なくとも薬品、食品、または化粧品の有効成分の微粒子を不活性ガス中に浮遊させるエアロゾルの作成から、エアロゾルをノズルによって噴出させて被デポジット体にデポジットさせるまでの操作が密閉系内で行なわれ、かつ微粒子デポジット装置は常時回転するような回転部分を持たないので、少なくとも有効成分の微粒子が大気と接触することによる塵埃や細菌による汚染や、回転部分の摩擦による金属粉の混入がない状態で固形剤を製剤することができ、かつクリーンルームを必要としないので、低コストでの製剤が可能である。
【0076】
請求項2の微粒子のデポジットによる製剤方法によれば、真空室内の圧力を10Paから10kPaまでの範囲内の所定の圧力に保持して、少なくとも有効成分の微粒子を大きい差圧下にデポジットさせるので、ノズルから噴出される少なくとも有効成分の微粒子は既にデポジットしている同微粒子に高速度で衝突し、その高いエネルギーによって一体化し固形剤として製剤される。
【0077】
請求項3の微粒子のデポジットによる製剤方法によれば、ノズルからのエアロゾルの噴出方向をZ方向として、Z方向に直角なX方向と、Z方向およびX方向に直角なY方向とに移動が可能なステージがノズルの直下の真空室内に設けられているので、ステージ上の被デポジット体に対して、ノズルから少なくとも有効成分の微粒子を連続的または間欠的に噴出させてデポジットさせることにより、被デポジット体上に少なくとも有効成分からなるシート状の固形剤、または適切な間隔をあけて円錐状の固形剤を製剤することができる。
【0078】
請求項4の微粒子のデポジットによる製剤方法によれば、ステージに設けられている加熱・冷却機構によって、ステージに密接する被デポジット体の温度を調整して、少なくとも有効成分の微粒子をデポジットさせるので、デポジットする少なくとも有効成分の微粒子の一体化度、および/または同微粒子の被デポジット体への付着力を制御することができる。
【0079】
請求項5の微粒子のデポジットによる製剤方法によれば、被デポジット体として原反ロールから引き出されステージ上をX方向に走行するプラスチック・フィルムを使用し、かつステージをY方向に往復動させるので、ノズルから少なくとも有効成分の微粒子のエアロゾルを連続的に噴出させることにより、プラスチック・フィルム上に少なくとも有効成分からなるシート状の固形剤を形成させることができる。また、ノズルから少なくとも有効成分の微粒子のエアロゾルを断続的に噴出させることにより、プラスチック・フィルム上に少なくとも有効成分からなる円錐状の固形剤を格子点状に形成させることもできる。
【0080】
請求項6の微粒子のデポジットによる製剤方法によれば、プラスチック・フィルム上に形成された少なくとも有効成分からなる固形剤に対し、ステージの下流側に設けられたラミネート機構によってカバーフィルムが貼り合わされるので、少なくとも有効成分からなる固形剤が大気圧下に取り出された時に塵埃や細菌による汚染を防ぐことができる。また、カバーフィルムとして離型フィルムを貼り合わせた場合には、固形剤の使用に当たって離型フィルムを剥がして固形剤を露出させることができる。
【0081】
請求項7の微粒子のデポジットによる製剤方法によれば、ステージに接して設置されたトレイ内の一点上で一定時間だけノズルからエアロゾルを噴出させ、噴出が終るとステージをX方向および/またはY方向へ所定距離だけ移動させ、ノズルの直下となる他点上で、一定時間だけノズルからエアロゾルを噴出させる操作をトレイ内で繰り返すので、トレイ内に所定距離をあけて少なくとも有効成分からなる円錐状の固形剤を格子点状に形成させることができる。
【0082】
請求項8の微粒子のデポジットによる製剤方法によれば、被デポジット体としての錠剤または粒剤を振動トレイのトレイ部に拡げて収容し、転動させながら、錠剤または粒剤の表面に少なくとも有効成分の微粒子をデポジットさせるので、錠剤または粒剤の表面に少なくとも有効成分からなるコーティングを施すことができる。
【0083】
請求項9の微粒子のデポジットによる製剤方法によれば、振動トレイとしてトレイ部の内面にフッ素樹脂のライニングが形成されているものを使用するので錠剤または粒剤以外のトレイ部にデポジットされた少なくとも有効成分を容易に剥離して回収することができる。
【0084】
請求項10の微粒子のデポジットによる製剤方法によれば、並列に設けられた複数のエアロゾル作成器によって、異なる種類の有効成分の微粒子および異なる種類の添加剤の微粒子の内から選択される複数の微粒子のエアロゾルを作成し、ノズルから同時にまたは交互に噴出させて被デポジット体にデポジットさせるので、異なる種類の有効成分および異なる種類の添加剤から選択された混合物からなる固形剤を製剤することができる。
【0085】
請求項11の微粒子のデポジットによる製剤方法によれば、噴霧式真空凍結乾燥装置によって金属粉の混入や、塵埃、細菌による汚染の怖れがなく製造される少なくとも有効成分の微粒子を微粒子デポジット装置のエアロゾル作成器でエアロゾルとして被デポジット体にデポジットさせるので、金属粉の混入や、塵埃、細菌による汚染の怖れがない微粒子デポジット装置によって製剤される固形剤は高い清浄度を示す。
【0086】
請求項12の微粒子のデポジットによる製剤方法によれば、噴霧式真空凍結乾燥装置によって金属粉の混入や、塵埃、細菌による汚染の怖れがなく製造される少なくとも有効成分の微粒子をそのまま同一密閉系の微粒子デポジット装置へ輸送して被デポジット体にデポジットさせるので、少なくとも有効成分の微粒子が大気側へ取り出されて塵埃、細菌による汚染を受けることはなく、最終的に形成される固形剤の清浄度を一層高める。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3で使用する微粒子デポジット装置の構成を示す図である。
【図2】実施例4で微粒子デポジット装置のステージに代えて使用する振動トレイを示す部分断面図である。
【図3】実施例5で使用する噴霧式真空凍結乾燥装置の下流側に微粒子デポジット装置を接続した組合わせ装置の構成を示す図である。
【図4】噴霧式真空凍結乾燥装置における収集板の作用を示す図である。
【図5】組合わせ装置においてバッファータンクの下流側に設けられる流動化槽の構成を示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
1 微粒子デポジット装置
2 噴霧式真空凍結乾燥装置
3 バッファータンク
10 組合わせ装置
11 真空室
12 ノズル
13 ステージ
17 ラミネート機構
21 エアロゾル作成器
22 窒素ボンベ
23 吹込み管
30 真空ポンプ
31 振動トレイ
32 トレイ部
41 駆動部
51 真空凍結乾燥塔
52 ノズル
53 収集板
62 コールドトラップ
63 真空ポンプ
71 原料液供給タンク
81 ストック部
93 スクリューコンベア
96 流動化槽
97 焼結金属板
E ポリエステル・フィルム
E 微小凍結物
P L−アスコルビン酸の微粉末
R 原反ロール
T 錠剤
W 原料液

Claims (10)

  1. 真空凍結乾燥塔の外部に、少なくとも薬品、食品、または化粧品の有効成分が溶媒中に溶解された溶液である原料液への印加圧力および前記原料液の温度を調整して前記真空凍結乾燥塔内のノズルへ供給する原料液供給タンクが設けられ、前記真空凍結乾燥塔の内部には、原料液が噴霧され真空凍結されて降下する微小凍結物を受け収集して真空乾燥させ、乾燥後に残る少なくとも有効成分の微粒子を一時的に貯留するストック部が塔底部に一体的に取り付けられている噴霧式真空凍結乾燥装置によって、前記原料液を前記ノズルから前記真空凍結乾燥塔内へ噴霧して微小凍結物とする真空凍結プロセスと、前記微小凍結物に含まれる溶媒を真空下に昇華させる乾燥プロセスとを連続して行って前記有効成分の微粒子を製造し、前記有効成分の微粒子を真空凍結乾燥塔底部のストック部から、前記噴霧式真空凍結乾燥装置に接続され、微粒子を不活性ガス中に浮遊させてエアロゾルとするエアロゾル作成器と、前記エアロゾルをノズルから噴出させて被デポジット体にデポジットさせる真空室と、前記真空室を所定の真空度に維持する真空ポンプとからなる微粒子デポジット装置の前記エアロゾル作成器へ搬送し、前記微粒子デポジット装置によって、少なくとも前記有効成分の微粒子を前記被デポジット体にデポジットさせる
    ことを特徴とする微粒子のデポジットによる製剤方法。
  2. 前記真空室内の圧力を10Paから10kPaまでの範囲内の所定の圧力に保持して少なくとも前記有効成分の微粒子をデポジットさせる
    ことを特徴とする請求項1に記載の微粒子のデポジットによる製剤方法。
  3. 前記ノズルから下方への前記エアロゾルの噴出方向をZ方向として前記Z方向に直角なX方向と、前記Z方向および前記X方向に直角なY方向とに移動可能なステージが前記ノズルの直下の前記真空室内に設けられており、前記ステージ上の前記被デポジット体に少なくとも前記有効成分の微粒子を連続的または間欠的にデポジットさせる
    ことを特徴とする請求項1に記載の微粒子のデポジットによる製剤方法。
  4. 前記被デポジット体が前記ステージに接している場合に、前記ステージに設けられている加熱・冷却機構によって、前記被デポジット体の温度を調整して少なくとも前記有効成分の微粒子をデポジットさせる
    ことを特徴とする請求項3に記載の微粒子のデポジットによる製剤方法。
  5. 前記被デポジット体が前記ステージに接して走行されるプラスチック・フィルムであり、前記プラスチック・フィルムを前記X方向へ走行させ、かつ前記ステージを前記Y方向に往復動させる
    ことを特徴とする請求項3に記載の微粒子のデポジットによる製剤方法。
  6. 前記プラスチック・フィルム上に形成された少なくとも有効成分からなるデポジット体に対し、前記ステージの下流側に設けられたラミネート機構によってカバーフィルムを貼り合わせる
    ことを特徴とする請求項5に記載の微粒子のデポジットによる製剤方法。
  7. 前記被デポジット体が前記ステージに接して設置されたトレイであり、前記トレイ内の一点上で一定時間だけ前記ノズルから前記エアロゾルを噴出させると、噴出を停止して前記ステージを前記X方向および/または前記Y方向へ所定距離だけ移動させ、前記ノズルの直下となる他点上で、前記一定時間だけ前記ノズルから前記エアロゾルを噴出させて少なくとも前記有効成分の微粒子をデポジットさせる操作を前記トレイ内で繰り返す
    ことを特徴とする請求項3に記載の微粒子のデポジットによる製剤方法。
  8. 前記被デポジット体が錠剤または粒剤であり、前記錠剤または前記粒剤を振動トレイのトレイ部に拡げて収容し転動させながら前記錠剤または前記粒剤の表面に少なくとも前記有効成分の微粒子をデポジットさせる
    ことを特徴とする請求項1に記載の微粒子のデポジットによる製剤方法。
  9. 前記振動トレイとして、前記トレイ部の内面にフッ素樹脂のライニングが形成されているものを使用する
    ことを特徴とする請求項8に記載の微粒子のデポジットによる製剤方法。
  10. 並列に設けられ複数の前記エアロゾル作成器によって、異なる種類の有効成分の微粒子および異なる種類の添加剤の微粒子の中から選択される複数の微粒子のエアロゾルを作成し、前記ノズルから同時にまたは交互に噴出させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の微粒子のデポジットによる製剤方法。
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