JP4265026B2 - シリアル通信制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はシリアル通信制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、マイコン間での通信を実施する場合(例えば、ダイレクトメモリアクセス(DMA)にてシリアル通信を行う場合)、通信起動毎に通信バッファの全てのデータを書き換えている。
【0003】
通常、全てのデータを一度に送信することはできないため、図13に示すように、データb1,b2,b3,…のように、今回通信時にはデータb1を、次回通信時にはデータb2を、次々回通信時にはデータb3というように、スケジューリングしたデータを送信毎に通信バッファに書き込んでいた。また、この通信バッファの書き込み時には、毎回共通のデータaを書き込んでいた。具体的には、自動車用コントローラ(ECU;電子制御ユニット)においては、データaとして起動コマンドを挙げることができ、データb1,b2,b3としてノック判定値、ノック判定値の補正係数、システムチェック結果送信コマンドを挙げることができる。
【0004】
そのため、毎回同じデータaも書き換えを行うこととなり、処理時間が長く負荷が大きくなる。
この対策として、スケジュール不要なデータ(毎回同じデータ)aを一度書き込んだら、その後、書き換えないようにすることにより処理負荷は軽減される。しかしこのようにすると、RAM値が化ける可能性があることとRAM値が壊れやすい条件(低電圧)の時に、データの正当性が失われるという問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、データの正当性を確保しつつ通信のための処理負荷を軽減することができるシリアル通信制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、通信毎に種類の異なるデータを各通信タイミングに同期して通信バッファにセットするとともに、通信毎の種類が同じデータを前記通信タイミングよりも長い周期にて通信バッファにセットし、データの正当性が失われるおそれのある特定の条件が成立した場合には、通信毎に種類の異なるデータと通信毎の種類が同じデータを共に各通信タイミングに同期して通信バッファにセットするようにしたことを特徴としている。
【0007】
このような構成を採用することにより、所定周期での通信タイミングに対応するようにして通信バッファには通信毎に種類の異なるデータのみがセットされる。よって、処理負荷が軽減される。また、この通信タイミングよりも長い周期にて通信毎の種類が同じデータが通信バッファにセットされ、通信に供される。よって、データの正当性が失われることもない。つまり、従来方式において処理負荷を軽減すべく、スケジュール不要なデータを一度書き込んだら、その後、書き換えないようにすると、RAM値が化ける可能性があることとRAM値が壊れやすい条件の時に、データの正当性が失われるおそれがあったが、本発明においては、長い周期にて通信毎の種類が同じデータが通信バッファにセットされるので、データの正当性が失われることがない。
【0008】
このようにして、データの正当性を確保しつつ通信のための処理負荷を軽減することができることとなる。
しかも、上記構成によれば、データの正当性が失われるおそれのある特定の条件が成立したら、通信毎に種類の異なるデータと通信毎の種類が同じデータを共に各通信タイミングに同期して通信バッファにセットするようにしているため、RAM値が壊れやすい条件(低電圧等)の時に、データの正当性を確実に確保することができる。
また、請求項3に記載の発明によるように、当該シリアル通信制御装置は、自動車用コントローラに採用されるものであり、この自動車の備えるスタータがオンの状態とされて、同自動車に搭載されたバッテリから供給される駆動電圧の低下が予測される状態であるとき、上記特定の条件が成立したと判断する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した実施の形態を図面に従って説明する。
本実施形態では自動車用コントローラ(自動車用ECU)に適用しており、ECUはその内部に複数のマイクロコンピュータを備え、各マイクロコンピュータ間で通信を行うようになっている。
【0010】
図1には、ECU(Electric Control Unit )10を中心にした全体構成を示す。つまり、マイコン間通信の構成図を示す。
ECU10には第1マイクロコンピュータ100と第2マイクロコンピュータ200が備えられている。第1マイクロコンピュータ100は、エンジンの燃料噴射制御・点火時期制御等のエンジンの運転状態を直接、制御するためのマイクロコンピュータである。
【0011】
第1マイクロコンピュータ100は、DMA制御部110とCPU120とRAM130とROM140と入力バッファ150を備えている。DMA制御部110は第2マイクロコンピュータ200との間でDMA方式によるデータ通信を行うためのものである。CPU120はその時のエンジン運転状態に応じた最適な燃料噴射量や点火時期等を演算する。RAM130は、主にデータメモリとして用いられる。ROM140は主にプログラムメモリとして用いられる。
【0012】
DMA制御部110はCPU120によって起動されることによりRAM130、ROM140に格納されているデータを第2マイクロコンピュータ200に転送したり、必要データを取り込む部分である。RAM130の一部をDMA送信および受信用のDMAバッファ(通信バッファ)131,132として用いており、DMAバッファ131,132を用いてデータの送受信が行われる。詳しくは、CPU120により送信用バッファ131のデータが書き換えられDMA制御部110によりバッファ131のデータが所定周期での通信タイミングにて送信されるとともに、データ受信の際には、DMA制御部110により所定周期での通信タイミングにて受信データがバッファ132に書き換えられCPU120によりデータが取り込まれる。
【0013】
なお、DMA制御部110によってRAM130、ROM140がアクセスされている期間は、それらメモリに対するCPU120からの重複したアクセスが行われないようにDMA制御部110からCPU120に対してホールド要求Hreq が出力される。この間、CPU120では、メモリアクセス等を控えて待機する。また、CPU120は、RAM130やROM140はもとより、第2マイクロコンピュータ200のRAM230についても、その何処にどのようなデータが格納されているかを把握している。
【0014】
一方、第2マイクロコンピュータ200は、エンジンに取り付けられた各種センサからそれらセンシングデータを取り込むと共に、ノック制御や負荷制御等の補助的な制御を主に実行する。本例では、負荷制御として可変バルブタイミング制御(VVT制御)を行う場合で説明する。
【0015】
第2マイクロコンピュータ200は、DMA制御部210とCPU220とRAM230とROM240とA/D変換器250とマルチプレクサ260とノック信号処理部270と出力バッファ280を備えている。
【0016】
DMA制御部210は第1マイクロコンピュータ100のDMA制御部110との間でデータ通信を行うためのものである。CPU220は各種の演算を実行する。RAM230は主にデータメモリとして用いられる。ROM240はプログラムメモリとして用いられる。ノック信号処理部270はノックセンサと接続され、ノックセンサからの信号に対しピークホールド処理する。A/D変換器250はマルチプレクサ260を介して水温センサ、吸気温センサ、エアフロメータ、ノック信号処理部270からの信号、及び、リニアソレノイド通電電流検出信号を選択的に入力する。そして、A/D変換器250はアナログセンシングデ一タをディジタル量に変換する。マルチプレクサ260はディジタル量に変換すべきデータを選択する。つまり、マルチプレクサ260での各入力信号(チャネル)を切り換えて、所望の入力信号(アナログ値)がA/D変換器250にてディジタル値に変換される。
【0017】
DMA制御部210はDMA制御部110から受信されるコマンドに基づいて、RAM230へのデータ書込みやRAM230からデータ読み出しのためのメモリアクセス、並びにA/D変換器250の起動によるA/D変換処理やその処理結果の返信等を行う部分である。RAM230の一部を送信および受信用のDMAバッファ(通信バッファ)231,232として用いており、バッファ231,232を用いてデータの送受信が行われる。
【0018】
なお、この第2マイクロコンピュータ200にあっても、DMA制御部210によってRAM230がアクセスされている期間は、RAM230に対するCPU220からの重複したアクセスが行われないよう、DMA制御部210からCPU220に対してホールド要求Hreq が出力される。その間、CPU220はメモリアクセス等を控えて待機する。
【0019】
また、CPU220によるRAM230のアクセスはDMA制御部210によるRAM230へのアクセスとは非同期となる。
なお、CPU220はRAM230の何処にどのようなデータが格納されているか常に把握している。
【0020】
第1マイクロコンピュータ100のDMA制御部110は、16ステージからなるシフトレジスタ111とシフトクロック発生回路112とを具えて構成されており、第2マイクロコンピュータ200のDMA制御部210は、同じく16ステージからなるシフトレジスタ211とシリアルI/Oコントローラ212を具えて構成されている。
【0021】
各DMA制御部のシフトレジスタ111及び211は、図1に示されるようにループ状に接続されており、DMA制御部110側に設けられたシフトクロック発生回路112から出力されるシフトクロックSCLKに基づいて互いのデータが交換されるようになる。シフトクロックSCLKの1クロック毎に1ビット交換され、SCLKが16クロック出力されることでデータがすべて交換される。
【0022】
また、ECU10には電源回路500が設けられ、この電源回路500は車載用バッテリ1からのバッテリ電圧(12ボルト)を所定電圧(5ボルト)に変換して、マイクロコンピュータ100,200を含む各機器に供給する。また、車載用バッテリ1にはスタータスイッチ2を介してスタータモータ3が接続されている。ここで、マイクロコンピュータ100のCPU120は入力バッファ501を通しバッテリ電圧(図1でのβ点の電位)をモニタするとともに、スタータスイッチ2のオン動作の検知信号(図1でのα点の電位)をモニタしている。これにより、CPU120はスタータスイッチ2のオン操作に伴うスタータ・オンであるか、又、バッテリ電圧が8ボルト以下に低下しているかを検知することができるようになっている。
【0023】
また、ECU10には駆動回路300,400が設けられ、CPU220は駆動回路300,400を介してリニアソレノイド4,5を通電制御して所望のVVT制御を行わせる。さらに、この時のリニアソレノイド4,5の通電電流は前述したようにマルチプレクサ260とA/D変換器250を通してフィードバックされる。
【0024】
さらに、第2マイクロコンピュータ200においてノック判定が行われ、その判定結果を表すデータがCPU220から出力バッファ280を通して第1マイクロコンピュータ100側に送られる。このデータ(ノック判定結果)は第1マイクロコンピュータ100において入力バッファ150を介してCPU120に取り込まれ、点火時期制御に反映される。また、第2マイクロコンピュータ200においてシステムチェックが行われており、そのチェック結果がDMA方式にて第1マイクロコンピュータ100側に送られる。
【0025】
次に、通信により第1マイクロコンピュータ100から第2マイクロコンピュータ200に送られるデータについて説明する。
図2には、第1マイクロコンピュータ100における送信用のDMAバッファ131の構成を示す。
【0026】
DMAバッファ内のデータ格納領域は、通信毎の種類が同じデータ(毎回同じデータ)を格納する領域Aと、通信毎に種類の異なるデータを格納する領域Bに分けられている。つまり、領域AはAD用チャネル起動コマンドの格納領域A1(詳しくは、第1チャネル起動コマンドの格納領域A11,第2チャネル起動コマンドの格納領域A12,…,第mチャネル起動コマンドの格納領域A1m)と、リニアソレノイド目標電流値の格納領域A2(詳しくは、第1リニアソレノイドの目標電流値の格納領域A21,第2リニアソレノイドの目標電流値の格納領域A22)よりなる。領域B1〜Bnには、エンジン回転数毎のノック判定値(n個存在する)と、ノック判定値の補正係数と、システムチェック結果の通信コマンドのうちの何れかが格納される。
【0027】
この領域Bに格納されるデータに関して、第2マイクロコンピュータ200でノック判定を行うときにおいて、回転数毎のノック判定値に補正係数を乗算した値が閾値となり、この値より実際のノック信号が大きくなるとノックが発生したと判定される。また、ノック判定値の補正係数はECU10の外付け抵抗の値により決定されるものである。
【0028】
また、領域Bに格納されるデータは通信毎に異なり、スケジューリングされる。本例では、スケジューリングにより、データ送信タイミング毎に、ノック判定値→補正係数→システムチェック結果の通信コマンド→ノック判定値→…というように、繰り返しバッファにセットされる。
【0029】
次に、このように構成したシリアル通信制御装置(ECU10)の作用を説明する。
図3には、データの操作タイミングを説明するためのタイミングチャートを示す。図3において、スタータ信号、4msの割り込み処理、通信線Sin,Sout による通信、ベースルーチン処理のタイミング、リニアソレノイド制御演算処理のタイミングを示す。
【0030】
第1マイクロコンピュータ100のCPU120において、図3のタイミングt1,t2,t3,t4にて4ms毎の割り込みが行われ、このタイミングにて送信バッファ131に送信データがセットされるとともにDMA制御部110が起動される。そして、t11,t12,t13,t14のタイミングにて通信線Sin,Sout による通信が実行される。この通信において、第1マイクロコンピュータ100側から第2マイクロコンピュータ200へデータ送信が行われるとともに、第2マイクロコンピュータ200側から第1マイクロコンピュータ100へデータが送られ、t21,t22,t23,t24のタイミングにてCPU120によるデータの取込みが行われる。
【0031】
また、CPU120によるベースルーチンが16ms毎に(t31,t32のタイミングで)実行される。同じく、リニアソレノイドの制御のための演算処理が8ms毎に(t41,t42のタイミングで)実行される。また、図3においては、t50のタイミングまではスタータがオフであり、以後にスタータがオンされているものとする。
【0032】
図4〜図11は、第1マイクロコンピュータ100におけるCPU120で実行される処理内容を示すフローチャートである。
図4には、送信タイミング時(4ms毎)のデータセット処理ルーチンを示す。この処理は図3のt1,t2,t3,t4のタイミングにて起動される。
【0033】
図4における送信タイミング時のデータセットの際(4ms割込み時)には、CPU120は、ステップ100でマイクロコンピュータの駆動電圧が低下していないか判定する。この判定は、スタータ・オンであるか又はバッテリ電圧が8ボルト以下となっていないかにより行う。低電圧時には、CPU120は、ステップ200,300に移行してバッファ131の領域A1,A2にデータをセットし、さらに、ステップ400でバッファ131の領域Bにデータをセットする。
【0034】
ステップ200の処理の詳細を図5に、ステップ300の処理の詳細を図6に、ステップ400の処理の詳細を図7に示す。
図5において、領域A1へのデータのセット処理として、CPU120は、ステップ201において、起動コマンドが格納されているA1テーブル(図12参照)の要素番号iを0に初期化する。そして、CPU120は、ステップ202,203,204を実行することにより要素番号iを「1」インクリメントしつつA1テーブルに入っているデータを全てバッファ131の領域A1にセットする。つまり、A1テーブルの要素数mの回数分ステップ203,204を繰り返す。
【0035】
図6において、領域A2へのデータのセット処理として、CPU120は、ステップ301,302において、リニアソレノイド目標電流値OCVI1を領域A21にセットするとともにリニアソレノイド目標電流値OCVI2を領域A22にセットする。
【0036】
この図5および図6の処理によって、通信毎の種類が同じデータがバッファ131にセットされる。
図7において、領域Bへのデータのセット処理として、セレクトカウンタCSELの値がステップ401,402,403にて起動毎に0→1→2→0→…になるように設定される。そして、CPU120は、ステップ404においてセレクトカウンタCSEL=0の時には、ステップ405に移行してバッファ131の領域B1〜Bnに回転数毎のノック判定値をセットする。また、CPU120は、ステップ406においてセレクトカウンタCSEL=1の時には、ステップ407に移行してバッファ131の領域B1〜Bnにノック判定補正係数をセットする。さらに、CPU120は、ステップ406においてセレクトカウンタCSEL=2の時には、ステップ408に移行してバッファ131の領域B1〜Bnにシステムチェック通信コマンドをセットする。
【0037】
この図7の処理によって、通信毎に種類の異なるデータ(ノック判定値、補正係数、通信コマンド)がバッファ131にセットされる。
一方、図4のステップ100において低電圧でない時には、CPU120は、ステップ200,300を迂回して領域Aにデータをセットせずに、ステップ400において領域Bにデータをセットする。
【0038】
このようにしてデータをバッファ131にセットした後、CPU120は、図4のステップ500においてDMA制御部110を起動させる。その結果、図3のt11,t12,t13,t14のタイミングにてDMA方式による通信が行われ、バッファ131のデータが第1マイクロコンピュータ100から第2マイクロコンピュータ200に送られる。
【0039】
図8にはベースルーチンでの領域Aへのデータのセット処理を示し、ベースルーチンは16ms毎に行われる(図3参照)。
ベースルーチンにおいて、CPU120は、ステップ600でADチャネル起動コマンドをバッファ131の領域A1にセットする。ステップ600の処理の詳細は図5と同じである。このようにして、通信毎の種類が同じデータ(起動コマンド)が16ms毎にバッファ131にセットされる(図3参照)。
【0040】
図9にはリニアソレノイド制御のための演算処理ルーチンを示し、当該ルーチンは8ms毎に行われる(図3参照)。
CPU120は、ステップ700でリニアソレノイド制御のための演算を実行する。そして、CPU120は、ステップ800でリニアソレノイドの目標電流値OCVI(詳しくは、2つの値OCVI1,OCVI2)をRAMの所定領域に格納する。さらに、CPU120は、ステップ900において、格納した目標電流値OCVIをバッファ131の領域A2にセットする。ステップ900の処理の詳細は図6と同じである。このようにして、通信毎の種類が同じデータ(目標電流値)が8ms毎にバッファ131にセットされる(図3参照)。
【0041】
図10には、図3のt21,t22,t23,t24のタイミングにて行われるデータ受信割込み時(4ms毎)の処理を示す。
DMA受信割込みとして、CPU120は、ステップ1000でA/D変換後のセンシングデータ(AD値)を取込む。詳しくは、図11に示すように、CPU120は、AD値取込みとして、ステップ1001で吸入空気量を取込み、ステップ1002での16msタイミング時にはステップ1003で水温および吸気温を取込む。このようにして、4msタイミング毎のAD値の取込みが行われる。
【0042】
そして、CPU120は、図10のステップ1100において、センシングしたリニアソレノイド電流値を取込む。さらに、CPU120は、ステップ1200でセレクトカウンタCSEL=2の場合、ステップ1300でシステムチェックデータを取込む。
【0043】
なお、セレクトカウンタCSEL=1のときは補正係数を、又、CSEL=0のときはノック判定値を、第1マイクロコンピュータ100から第2マイクロコンピュータ200に送信するだけであり、受信処理は行わない。
【0044】
このようにして、図3の各タイミングt21〜t24毎にそれぞれデータが取込まれる。
以上の処理の実行により、図3のt1,t2,t3,t4,…のタイミングにおいて4ms割込みが実行され、図4の処理によって、送信毎に変わるデータ(通信毎に種類の異なるデータ)がDMAバッファ131の領域Bに書き込まれるとともにDMA制御部210が起動される。
【0045】
その後、t21のタイミングにおいてDMA受信割込みが発生して、図10の処理によって、AD値、リニアソレノイド電流値、システムチェックデータが取込まれる。
【0046】
また、領域A1,A2に格納される通信毎の種類が同じデータに関しては、4ms割込みのタイミングより遅いタイミング(8ms,16ms)でバッファ131に書き込まれる。つまり、図3のt31,t32のベースルーチン処理タイミングで図8の処理によって、ADチャネル起動コマンドがバッファ131の領域A1に書き込まれる。また、t41,t42のリニアソレノイド制御演算処理タイミングで、図9の処理によって、リニアソレノイド目標電流値がバッファ131の領域A2に書き込まれる。
【0047】
このように、バッファ131のデータを書き換える際において、通信毎に種類の異なるデータは一定周期(4ms)でデータを書き換えていき、通信毎の種類が同じデータはその周期より長い周期(8ms,16ms)でデータを書き換え、書き換える回数を減らす。そうすることにより、処理負荷が軽減されるとともに、RAM値が壊れた時にも新たにデータが書き換えられデータの正当性が保たれる。
【0048】
一方、スタータがオンされRAM値が壊れやすい状況になった場合は、図3のt3のタイミングで示すごとく4ms割込みのタイミングで、図4の処理の実行により通信毎の種類が同じデータが通信毎に種類の異なるデータといっしょにバッファ131に書き込まれ、DMA制御部110が起動される。
【0049】
よって、通信毎の種類が同じデータは書き換えられてから間もなくRAM値が壊れた時、次に書き換えられるまでの時間が長く、それまでデータが壊れた状態になってしまうが、本例では、RAM値が壊れやすい条件(低電圧)の時は長い周期と共に、送信周期でも書き換えが行われ、データが直ちに修復される。
【0050】
また、図2に示すごとく、通信バッファ131ヘデータを割り付けるときは、通信毎の種類が同じデータの格納領域A1,A2を先頭に割り付け、その後に通信毎に種類の異なるデータの格納領域B1〜Bnを割り付けているので、好ましいものである。
【0051】
このように、本実施の形態は、下記の特徴を有する。
(イ)CPU120は図4のステップ400の処理にて4ms毎の各通信タイミングに同期して通信毎に種類の異なるデータを通信バッファ131にセットするとともに、図8のステップ600の処理および図9のステップ900の処理にて通信タイミングよりも長い周期(8ms毎、16ms毎)にて通信毎の種類が同じデータを通信バッファ131にセットするようにした。これにより、所定周期での通信タイミング(図3のt1,t2のタイミング)に対応するようにして通信バッファ131には毎回必要なデータ(通信毎に種類の異なるデータ)のみがセットされ、処理負荷が軽減される。また、この通信タイミングよりも長い周期にて通信毎の種類が同じデータが通信バッファ131にセットされ、通信に供される。よって、データの正当性が失われることもない。つまり、従来方式において処理負荷を軽減すべく、スケジュール不要なデータを一度書き込んだら、その後、書き換えないようにすると、RAM値が化ける可能性があることとRAM値が壊れやすい条件の時に、データの正当性が失われるおそれがあったが、本実施形態においては、長い周期にて通信毎の種類が同じデータが通信バッファ131にセットされるので、データの正当性が失われることがない。
【0052】
このようにして、マイコン間の通信において、データの正当性を確保しつつ通信のための処理負荷を軽減することができる。
(ロ)特に、図4のステップ100〜300の処理にて、特定の条件が成立したら(駆動電圧が低下したら、若しくは、駆動電圧の低下が予測される状態であるなら)、各通信タイミングに同期して通信毎に種類の異なるデータと通信毎の種類が同じデータを共に通信バッファ131にセットするようにしたので、RAM値が壊れやすい条件(低電圧)の時に、データの正当性を確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ECUを中心にした全体構成図。
【図2】バッファの構成を示す図。
【図3】データの操作タイミングを説明するためのタイミングチャート。
【図4】データセット処理ルーチンを示すフローチャート。
【図5】領域A1へのデータのセット処理を示すフローチャート。
【図6】領域A2へのデータのセット処理を示すフローチャート。
【図7】領域Bへのデータのセット処理を示すフローチャート。
【図8】ベースルーチンでの領域Aへのデータのセット処理を示すフローチャート。
【図9】リニアソレノイド制御演算処理ルーチンを示すフローチャート。
【図10】データ受信割込み時(4ms毎)の処理を示すフローチャート。
【図11】AD値の取込み処理を示すフローチャート。
【図12】A1テーブルを示す図。
【図13】従来技術を説明するための各送信でのデータを説明するための図。
【符号の説明】
10…ECU、100…第1マイクロコンピュータ、110…DMA制御部、CPU…120、131…通信バッファ、200…第1マイクロコンピュータ、210…DMA制御部。
Claims (2)
- 通信バッファのデータを書き換えて当該バッファのデータを所定周期での通信タイミングにて送信するシリアル通信制御装置において、
通信毎に種類の異なるデータを各通信タイミングに同期して通信バッファにセットするとともに、通信毎の種類が同じデータを前記通信タイミングよりも長い周期にて通信バッファにセットし、データの正当性が失われるおそれのある特定の条件が成立した場合には、通信毎に種類の異なるデータと通信毎の種類が同じデータを共に各通信タイミングに同期して通信バッファにセットするようにしたことを特徴とするシリアル通信制御装置。 - 当該シリアル通信制御装置は、自動車用コントローラに採用されるものであり、前記自動車の備えるスタータがオンの状態とされて、同自動車に搭載されたバッテリから供給される駆動電圧の低下が予測される状態であるとき、前記特定の条件が成立したと判断する請求項1に記載のシリアル通信制御装置。
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