JP4264914B2 - 塗布装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方方向に連続して供給される長尺のシート状部材に対して塗布材料を塗布する、特にシート状部材に対して塗布材料を一定間隔毎に塗布する、いわゆる間欠塗布を行う塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばバッテリの発電要素たる正極材及び負極材に使用される電極材は、電極集電体となる金属箔、具体的には正極材の場合には正極集電体となるアルミニウム箔等、また負極材の場合には負極集電体となる銅箔等の幅広かつ長尺の原反(シート状部材を巻いた物)に対して、電極活物質を主成分とするペースト状の塗布材料(以下、電極塗料と称して説明する。)が塗布された電極活物質層が形成されてなる。電極集電体原反には、上述した電極塗料がバッテリ1個あたりの電極長に対応するように長手方向に一定間隔毎に予め定められた塗布パターンで塗布される。換言すると、電極集電体原反においては、その長手方向について一定間隔毎に電極塗料が塗布される、いわゆる間欠塗布が行われる。
【0003】
バッテリの電極材は、上述した塗布パターンにより電極塗料が塗布された電極集電体の原反がバッテリ1個あたりの長さ寸法及び幅寸法に裁断されて、個々のバッテリ用の正極又は負極としてバッテリの生産工程に投入される。
【0004】
電極塗料が塗布された部分を含む電極材全体の厚み(以下、塗布厚と称して説明する。)や電極集電体に塗布された電極塗料の長手方向の寸法(以下、塗布長と称して説明する。)は、バッテリの容量のみならずバッテリの外形寸法に対しても大きな影響を与える。このため、電極集電体原反に対する電極塗料の塗布工程では、塗布厚や塗布長を正確に計測し、一定の塗布厚及び塗布長となるように電極塗料の塗布状態を制御する必要がある。
【0005】
従来、上述した塗布厚や塗布長の計測は、放射線型の膜厚測定器が多く用いられており、またこの他には、例えば接触型の変位センサが用いられて行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、放射線型の膜厚測定器は、測定速度が遅いため塗布厚とともに塗布長をリアルタイムに計測することが困難であり、また装置自体のコストも高い。このため、放射線型の膜厚測定器を使用する際には、塗布長を管理するセンサを別個に設置して、一つの生産システム上に2種類のセンサで塗布厚と塗布長とをそれぞれ測定、管理する必要があり、生産システムの複雑化やコストアップの要因となっている。
【0007】
また、放射線型の膜厚測定器の使用に際しては、作業者に対する被曝防止対策が必要であり、生産システムの設置場所に立ち入り制限区域等のデッドスペースを設けたり、作業者に対する定期的な健康管理の実施等、生産管理上の煩わしさもある。
【0008】
接触型の変位センサは、塗布厚や塗布長を測定するための基準面が必要であり、さらにはその基準面を常に一定に保たなければ測定誤差が生じる等の問題がある。また、接触型の変位センサは、センサの接触子をシート状部材に対して所定の測定圧をもって直接接触させて測定を行うため、間欠塗布の際に生じる塗布部と不塗布部との段差に引っかかる等してシート状部材や電極塗料の塗布層を傷つけたり破断する可能性があり、品質維持の面からも問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するために提案されたものであり、シート状部材に塗布された塗料の塗布厚と塗布長とを1種類のセンサで高精度に測定する塗布装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る塗布装置は、一方方向に連続して供給される長尺のシート状部材に塗布材料を塗布する塗布部と、塗布部において塗布材料が塗布されたシート状部材における塗布厚を計測する非接触型のセンサと、回転してシート状部材を下流側に供給するとともに外周面がセンサによる塗布厚の計測の基準面となる基準ローラと、基準ローラの回転角度を少なくとも一回転内において絶対回転角度で検出する回転検出機構とを有する計測部と、計測部における計測結果をもとにシート状部材における塗布材料の塗布厚及び/又は塗布長を演算する計測処理部と、計測処理部における演算結果を得て塗布部における塗布材料の塗布長及び塗布厚を制御する塗布制御部とを備えてなる。この塗布装置の計測部は、センサがシート状部材の塗布厚を計測するとともに、回転検出部がセンサにおける塗布厚の検出結果を基に基準ローラの絶対回転角度からシート状部材の供給量を求めて塗布長を計測し、上記計測処理部は、上記シート状部材が供給されていない状態における上記基準ローラの絶対回転角度毎の外周面の位置を上記計測部の上記センサで測定した測定値に基づき、上記計測部における上記シート状部材が供給されている状態での塗布厚の測定値を補正することを特徴とする。
【0011】
上述した構成を有する本発明に係る塗布装置によれば、塗料が塗布されたシート状部材の塗布厚や塗布長を1種類のセンサで測定してシート状部材における塗布材料の塗布状態が高精度に測定される。このため、本発明に係る塗布装置は、シート状部材に対して塗料材料を塗布する工程を含む生産システムの構成が簡略化され、またコストの低減や信頼性の向上に寄与する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る塗布装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。塗布装置は、バッテリの発電要素となる正極材及び負極材を作製する際に使用され、電極集電体となるアルミニウム箔や銅箔等のシート状の金属箔に対し、正極活物質又は負極活物質を主成分とするペースト状の電極塗料の塗布を行う。なお、金属箔は、幅広かつ長尺の原反の状態で塗布装置を使用する電極材の生産システムに投入され、電極塗料塗布後に1個あたりのバッテリの正極材又は負極材に必要な所定幅及び所定長さに裁断される。
【0013】
塗布装置1は、図1に示すように、巻出しローラ(図示は省略する。)から一定方向、具体的には同図中矢印A方向に供給される金属箔2に対して電極塗料3を塗布する塗布部10と、該塗布部10において塗布された電極塗料3を乾燥させる乾燥部20と、電極塗料3が塗布された金属箔2の状態を測定する計測部30と、該計測部30において測定された測定値を演算処理する計測処理部40と、該計測処理部40における演算処理結果に基づき塗布部10における電極塗料の塗布を制御する塗布制御部50とを備えて構成される。
【0014】
塗布部10は、巻出しローラから連続して供給される金属箔2の両面(以下、特に区別して説明する場合には、一方の面を第一面2aと、他方の面を第二面2bとそれぞれ称して説明する。)に対して電極塗料3を塗布する。塗布部10には、金属箔2の走行方向を変更しかつ該金属箔2に対して所定のテンションを付与するガイドローラ11と、金属箔2を挟んで相対向して設けられる塗料塗布機構12,13とを備えて構成される。ガイドローラ11は、円柱形状を呈して形成され、その外周面に第二面2b側が接するように金属箔2が掛けられる。塗料塗布機構12,13は、ガイドローラ11の下流側に位置して配設され、例えば金属箔2と対向位置して設けられ電極塗料3の吐出口を開閉するシャッタが操作されることにより、ガイドローラ11を経て供給される金属箔2の第一面2a及び第二面2bにペースト状の電極塗料3を吐出し塗布する。
【0015】
塗布部10においては、金属箔2に対して一定間隔ごとに電極塗料3が塗布される、いわゆる間欠塗布が行われる。したがって、金属箔2は、電極塗料3が塗布された部分が、金属箔2がそのまま露出する不塗布部4を挟んで一定間隔ごとに設けられる。塗布部10は、詳細を後述するように塗布制御部50により塗料塗布機構12,13が制御され、金属箔2に対する電極塗料3の塗布間隔や塗布量が調整される。
【0016】
乾燥部20は、塗布部10において金属箔2に塗布された電極塗料3を乾燥させる、例えばドライヤ等が金属箔2を挟んで第一面2a及び第二面2bに臨むように配設されて構成される。乾燥部20においては、塗布部10で金属箔2に塗布されたペースト状の電極塗料3がドライヤの温風等により乾燥して、電極塗料3の層が形成される。
【0017】
計測部30は、金属箔2に塗布された電極塗料3の状態、具体的には金属箔2における電極塗料3の塗布厚と塗布長とを計測する。なお、ここで塗布厚とは、第一面2a及び/又は第二面2bに電極塗料3が塗布された部分を含む金属箔2の総厚を、塗布長とは第一面2a及び第二面2bに塗布された電極塗料3の長手方向の寸法をいう。
【0018】
計測部30は、図2に示すように、金属箔2の第一面2aと対向して配設される変位センサ31と、変位センサ31と対向して配設され金属箔2の第二面2b側が掛けられる基準ローラ32と、基準ローラ32の回転角を検出する回転検出機構33とを備えてなる。
【0019】
計測部30には、電極塗料3の塗布幅Wpの両端部近傍及びその略中央部に位置するように3個の変位センサ31a,31b,31c(以下、特に区別して説明する場合を除き変位センサ31と総称する。)が配設される。変位センサ31は、光学式の非接触型センサであり、基準ローラ32の外周面を基準として、電極塗料3が塗布された金属箔2の塗布厚を測定する。変位センサ31としては、測定対象が金属箔2であることから、光沢のある金属面に対しても安定な距離の検出が可能な正反射式のレーザ変位センサを用いるのが好適である。
【0020】
基準ローラ32は、円筒状を呈して形成され、その外周面に上述したように連続して供給される金属箔2の第二面2bが掛けられ、回転することにより金属箔2を送り出す。基準ローラ32は、その外周面が上述した変位センサ31による電極塗料3の塗布厚測定の際の基準面を構成する。
【0021】
回転検出機構33は、基準ローラ32に接して配設される円盤状の伝達リム34と、この伝達リム34と連動して回転するロータリーエンコーダ35とを備えて構成される。回転検出機構33は、基準ローラ32の回転が伝達リム34を介してロータリーエンコーダ35に伝達される。回転検出機構33は、上述したようにロータリーエンコーダ35に伝達された基準ローラ32の回転から基準ローラ32の回転角度をロータリーエンコーダ35の分解能に対応した精度で検出する。回転検出機構33では、ロータリーエンコーダ35で検出した基準ローラ32の回転角度と、予め計測された基準ローラ32の半径とに基づいて、金属箔2の供給量が正確に計測される。
【0022】
また、回転検出機構33は、基準ローラ32の一端面に設けられた回転検出用の原点32aを検出する原点センサ36が配設されており、該原点センサ36の出力位置を基準としてロータリーエンコーダ35の出力を計測して、基準ローラ32の回転角度を一回転にわたり、絶対回転角として検出可能な構成とされている。
【0023】
なお、回転検出機構33は、上述したような構成に限定されるものではなく、他の構成を備えるものであってもよい。回転検出機構33は、例えば図示は省略するが基準ローラ32の回転軸に直接アブソリュートエンコーダを設置し、基準ローラ32の回転角度を直接絶対位置で検出する構成としてもよい。
【0024】
計測部30は、上述したように変位センサ31において計測された電極塗料3の計測データ及び基準ローラ32の回転に関するデータを計測処理部40に対して出力する。計測部30において電極塗料3の塗布厚や塗布長が計測された金属箔2は、計測部30の下流側に位置して配設される巻き取りローラ60によって巻き取られる。
【0025】
計測処理部40は、計測部30から出力された測定データに対して演算処理を施し、演算処理後の塗布厚及び塗布長に関する測定データと予め設定された金属箔2の塗布厚及び塗布長に関する目標寸法との差に応じた制御信号を塗布制御部50に送る。
【0026】
塗布制御部50は、上述した計測処理部40の制御信号に従い、塗布部10に設けられる塗料塗布機構12,13の動作、例えば塗料塗布機構12,13におけるシャッタの開閉のタイミングや塗料の吐出量を制御して、金属箔2に対する塗布厚や塗布長を上述した目標寸法に近づく適切な値に調整する。
【0027】
塗布装置1は、上述したように1種類の変位センサ31で金属箔2における電極塗料3の塗布厚及び塗布長が測定されるため、該装置を含む電極材の生産システム構成が簡略化され、生産コストが低減し、また生産システムの信頼性が向上する。
【0028】
また、塗布装置1は、計測部30における塗布厚の測定に使用する変位センサ31に光学式の非接触型センサを用いるため、従来のように放射線型の膜厚測定器を用いる場合に比して、立入禁止区域等の作業上の安全のためにデッドスペースを設けたり、作業者の定期的な健康管理等の生産上の煩わしさがなくなる。変位センサ31に用いられる光学式の非接触型センサは、その応答速度が従来の放射線型の膜厚測定器に比して速いため、測定した塗布厚の測定データをリアルタイムに塗布長の測定に反映させることが可能とされる。
【0029】
上述した構成を有する塗布装置1は、巻出しローラから供給された金属箔2の両面に、塗布部10に配設された塗布機構12,13によって電極塗料3が間欠塗布される。電極塗料3が塗布された金属箔2は、乾燥部20を経て計測部30に供給され、この計測部30において電極塗料3の塗布厚及び塗布長が計測される。塗布厚及び塗布長が計測された金属箔2は、巻取りローラ60によって巻き取られる。
【0030】
塗布厚の計測は、基準ローラ32の外周面を基準面として、変位センサ31によって金属箔2表面までの距離を測定することにより、該基準面上の金属箔2の厚さを求めて行う。また、塗布長の計測は、上述したように測定された塗布厚の変化が急激な部分、具体的には電極塗料3の塗り始め及び塗り終わりの間の距離を基準ローラ32の回転量から金属箔2の供給量を算出して行う。
【0031】
塗布装置1においては、上述したように変位センサ31によって金属箔2表面までの距離を測定し、この測定値と基準面となる基準ローラ32の外周面までの距離の測定値との差を算出することにより、金属箔2の塗布厚の測定が行われる。
【0032】
ところで、塗布厚の測定の際に、基準面となる基準ローラ32の外周面の位置が、例えば回転時の芯ブレ等によってその半径方向に変位する場合がある。このとき、変位センサ31による塗布厚の測定を基準ローラ32の外周面の位置を一定の位置に設定して行うと、上述したように芯ブレ等による基準ローラ32の位置が変位した際に、測定上の設定された基準面の位置と実際の基準面の位置との間に差が生じるため誤差を含んだ測定値となり、金属箔2の塗布厚を正確に測定できない。
【0033】
上述したような基準面の位置の変位に伴う誤測を防止するため、塗布装置1においては、基準ローラ32を単体で、すなわち金属箔2が供給されていない状態で回転させ、一回転に亘る基準ローラ32の外周面の位置が変位センサ31で測定される。塗布装置1は、このようにして得た基準ローラ32の一回転に亘る外周面の位置に関する測定値を予め計測処理部40に誤差補正テーブルとして格納する。
【0034】
上述した誤差補正テーブルの生成は、以下のように行われる。
【0035】
なお、塗布装置1においては、3個の変位センサ31a,31b,31cを用いて電極塗料3が塗布された金属箔2の厚さを測定する。以下では、1個の変位センサ31aにおける誤差補正テーブルの生成について説明するが、他の変位センサ31b,31cにおいても同様に誤差補正テーブルが生成される。
【0036】
まず、基準ローラ32を単体状態で回転させた場合の変位センサ31aから基準ローラ32の外周面までの距離を測定して基準ローラ32の一回転に亘る外周面の位置に関するデータ(以下、単に外周面の位置データと称して説明する。)を得る。外周面の位置データは、金属箔2が供給されていない状態で、基準ローラ32の回転の基準となる原点32aの位置X0から詳細を後述するようにして算出された塗布装置1の長さ分解能ΔXs=0.5mmごとに、該基準ローラ32の一回転に亘って変位センサ31aにて計測し、これら計測値に対応する1000個のデータZr(X0)〜Zr(X999)として得る。これら1000個のデータZr(X0)〜Zr(X999)は、原点32aの位置X0を基準とした基準ローラ32の絶対回転角度、すなわち基準ローラ32の原点位置X0を基準とする基準ローラ32の外周上の絶対位置X0〜X999をアドレスとし、計測処理部40の所定の補正データ領域に誤差補正テーブルとして格納される。このように生成、格納された誤差補正テーブルは、例えば図3に示す表の形式、図4に示すグラフの形式で表される。
【0037】
ところで、本実施の形態においては、誤差補正テーブルを基準ローラ32の一回転にわたってのみ計測して生成、格納しているが、基準ローラ32を複数回にわたって回転させて測定し、各回転において対応する回転角度毎、すなわち同一アドレス毎にこれらの測定値の平均値を算出すれば、さらに正確な誤差補正テーブルを得ることができる。
【0038】
上述した誤差補正テーブルによる塗布装置1の実際の生産段階における塗布厚測定について説明する。
【0039】
まず、塗布装置1は、実際の生産段階においても、上述した外周面の位置データと同様に、変位センサ31と基準ローラ32上に供給される金属箔2表面との間の距離が変位センサ31にて測定される。具体的には、原点32aの位置を基準として基準ローラ32の所定の絶対回転角度毎、すなわち金属箔2の供給方向の分解能ΔXs=0.5mm毎に、実際の測定値として測定され、これらが変位センサ31から金属箔2表面までの間の距離の1000個の実測データZa(Xis)(s=0,1,2,・・・・999)として取得される。
【0040】
上述した1000個の実測データZa(Xis)と、対応する絶対回転角度毎の誤差補正テーブルにおける外周面の位置データZr(Xs)(s=0,1,2,・・・・999)とを用いて、基準ローラ32の各回転毎に、補正のための演算処理を行う。ここで、基準ローラ32のi回転目のs番目の測定データにおける金属箔2の真の塗布厚をT(Xis)とすると、補正のための演算処理は以下に示す式(1)によって行われる。
【0041】
T(Xis)=Zr(Xs)−Za(Xis) ・・・(1)
(但し、iは基準ローラの回転数
s=0,1,2,・・・・999)
【0042】
塗布装置1は、上述したような絶対回転角度毎の外周面の位置データを有する誤差補正テーブルが生成され、計測処理部40において金属箔2の塗布厚の実際の測定値から誤差補正テーブルを用いて演算処理して算出する。このため、塗布装置1においては、基準ローラ32の芯ブレ等による塗布厚測定の基準面たる外周面の半径方向への位置の変位の影響を受けずに、極めて高精度な塗布厚の測定が可能とされる。また、塗布装置1は、上述したような誤差補正テーブルを用いた演算処理を計測処理部40において連続して実行することにより、金属箔2の全長にわたって基準ローラ32の芯ブレ等の影響を受けずに塗布厚の測定が可能とされる。
【0043】
また、塗布装置1においては、上述したように測定された塗布厚の変化が急激な部分、すなわち基準ローラ32上に供給される金属箔2における電極塗料3の不塗布部分から塗布部分への境界及び塗布部分から不塗布部分への境界部(以下、塗布境界部と称して説明する。)を検出し、一の塗布境界部を検出してから次の塗布境界部を検出するまでの間に供給される金属箔2の供給量を求めることにより、塗布長を測定する。このため、塗布装置1においては、基準ローラ32の回転が伝達されこの回転角度を検出するロータリーエンコーダ35の分解能等を考慮して、この装置における適切な長さ分解能が計測処理部40において実際の生産に先立ち予め設定される。
【0044】
電極塗料3の塗布長測定における長さ分解能は、基準ローラ32の半径や、ロータリーエンコーダ35の分解能(一回転あたりパルス数)等により定まる。したがって、塗布装置1を用いた生産システムとして必要な長さ分解能を得るためには、先ず各種のパラメータが計測処理部40において適切に設定される。
【0045】
長さ分解能を得るための計測処理部40における設定パラメータとしては、先ずロータリーエンコーダ35の1パルスに対応する金属箔2の供給量ΔXuを以下のようにして求める。
【0046】
ロータリーエンコーダ35の1回転あたりのパルス数をPとして、1パルスに対応する回転角度θeを以下の式(2)によって算出する。
【0047】
θe=2π/P ・・・(2)
【0048】
ここで、基準ローラ32の半径をRとし、伝達リム34の半径をrとすると、ロータリーエンコーダ35の1パルスに対応する回転角度θeと基準ローラ32の回転角度θuとの間には以下に示す式(3)の如き関係がある。
【0049】
R・θu=r・θe ・・・(3)
【0050】
ロータリーエンコーダ35の1パルスあたりの金属箔2の供給量ΔXuは以下の式(4)のように表すことができ、さらには上記式(2)及び式(3)から以下の式(5)のように表すことができる。
【0051】
ΔXu=R・θu ・・・(4)
【0052】
ΔXu=r・θe
=r・2π/P ・・・(5)
【0053】
また、基準ローラ32の一回転に対応するロータリーエンコーダ35からのパルス数Prは、該基準ローラ32に設置された原点センサ36によって検出される。すなわち、基準ローラ32の一回転に対応するロータリーエンコーダ35からのパルス数Prは、最初に基準ローラ32に設けられた回転検出用の原点32aが原点センサ36を通過した時の出力パルスをPr(0)とし、次に原点32aが原点センサ36を通過した時の出力パルスをPr(1)とすると、以下の式(6)により表される。
【0054】
Pr=Pr(1)−Pr(0) ・・・(6)
【0055】
従って、基準ローラ32の回転角度θuは2π/Prと求めることができる。
【0056】
以上より、ロータリーエンコーダ35の1パルスに対応する金属箔2の供給量ΔXuは、以下の式(7)により算出される。
【0057】
ΔXu=R・2π/(Pr(1)−Pr(0)) ・・・(7)
【0058】
ところで、本実施の形態においては、上述したように基準ローラ32の一回転の計測で該基準ローラ32の一回転あたりのパルス数Prを求めているが、より正確なパルス数を求めるために、基準ローラ32の一回転あたりのパルス数Prを複数回測定してその平均を取り、より正確な値を求めることとしてもよい。
【0059】
なお、塗布装置1を用いた生産システムに必要な長さ分解能ΔXsを実現するためには、基準ローラ32の半径Rやロータリーエンコーダ35の分解能(1回転あたりのパルス数P)等を適切に設定し、必要に応じてロータリーエンコーダ35からの出力パルスを適切な係数nで低減すればよい。以下に示す式(8)によりその関係を示す。
【0060】
ΔXu・n=ΔXs ・・・(8)
上述した手順により塗布装置1における長さ分解能ΔXsを求め、この長さ分解能ΔXsを基に塗布長を測定する。
【0061】
本実施の形態においては、基準ローラ32の半径Rを79.58mm、伝達リム34の半径rを47.75mmとし、ロータリーエンコーダ35の一回転あたりパルス数Pを3000として、ロータリーエンコーダ35の1パルスあたりの長さ分解能ΔXu=0.1mmを得て、さらに電気的に5分割(n=5)して低減し、金属箔2の供給方向の長さ分解能ΔXs=0.5mmを得ている。
【0062】
ところで、塗布装置1は、電極塗料3を実際の生産対象となる製品毎の仕様書等に定められたバッテリ一個あたりの電極材の塗布パターン、具体的には電極塗料3の塗布部分の塗布長と塗布部分の各領域における塗布厚に従って金属箔2に塗布する。塗布装置1においては、生産開始に先立って実際に生産対象となる製品を指定することで計測処理部40の所定の領域に該製品の塗布パターンにおける電極塗料3の塗布長やこの塗布長で塗布された部分の各領域毎の塗布厚に関するデータが塗布すべき初期値として自動的に格納される。
【0063】
塗布装置1は、例えば図5に示すような塗布パターン、すなわち金属箔2の第一面2a及び第二面2bのバッテリ1個に対応する長さLp内に、以下の表1に示す4つの領域#0〜領域#3に分かれるような塗布パターンで金属箔2に対して電極塗料3を間欠塗布する。
【0064】
【表1】
Figure 0004264914
【0065】
ここで、表1に示すT0は電極塗料3が塗布されない不塗布部4、すなわち金属箔2自体の平均厚さであり、T1及びT2は各々第一面2a又は第二面2bの一方にのみに塗布されたそれぞれの電極塗料3の平均厚さである。4つの領域#0〜領域#3は、各々の領域における塗布の開始点、すなわち塗布境界部の塗り始め部分及び塗布の終了点、すなわち塗布境界部の塗り終わり部分が所定の公差で規定されている。
【0066】
図5に示す電極塗料3の塗布パターンにおいては、金属箔2の第一面2aにのみ電極塗料3が塗布された領域#1から第二面2bにも、すなわち電極箔2の両面に電極塗料3が塗布された領域#3へ移行する塗布境界部や、領域#3及び領域#2を経て領域#0へ移行する塗布境界部が基準ローラ32と接する際に、電極塗料3と金属箔2との段差により基準ローラ32の外周面と金属箔2との間に空隙が発生する。このため、塗布装置1は、塗布厚を正確に測定することができず、該部分の塗布厚の変化を基に測定する第二面2bに塗布された領域#3及び領域#2の塗布長Lr2の測定において誤差が発生する要因となっている。このため、塗布装置1は、以下の手順により補正用データを求めた後、このデータを計測処理部40に塗布長補正データとして格納する。
【0067】
まず、上述した塗布長補正データの生成は、金属箔2の表1に示す領域#1の平均厚さ(T0+T1)から領域#3の平均厚さ(T0+T1+T2)への移行に先立ち、予め上述した移行時の塗布厚の変化量T2の1/2に相当する変化量、すなわち(T0+T1+T2/2)に閾値を定め、この塗布厚に達したときの金属箔2上の位置X21を検出する。次に、さらに金属箔2が基準ローラ32上を送り出されて、領域#3を通過し、領域#2の平均厚さ(T0+T2)から領域#0の平均厚さ(T0)への移行に先立ち、予め上述した移行時の塗布厚の変化量T2の1/2に相当する変化量、すなわち(T0+T2/2)に閾値を定め、この塗布厚に達したときの金属箔2上の位置X41を検出する。このようにして検出した2点間の距離Lr2(=X41−X21)を求めた後、実際の製品における2点間の実測寸法La2を求める。そして、さらにその差異ΔLr2(=La2−Lr2)を求め、この1/2の値を領域#3への移行時及び領域#0への移行時に際する塗布長補正データとして、計測処理部40の所定の領域に格納して、実際の生産段階における計測値を補正する。
【0068】
なお、上述したΔLr2の1/2の値は、実測によると各々0.5mm以下となり、塗布装置1を用いた本生産システムで必要とする供給方向の長さ分解能ΔXsと同等のレベルであり、そのバラツキも小さい。このため、塗布装置1においては、所定の補正値を定数として設定するだけで実用上十分な精度を実現することができる。
【0069】
上述した電極塗料3の塗布においては、最終製品たるバッテリに適用される一定間隔Lp毎の電極塗料3の塗布境界部の位置、すなわち塗布長或いは各々の領域における塗布厚が所定の規格値、例えば上述したように予め計測処理部40に設定された初期値を満たしている必要がある。従って、実際の生産段階においても一定間隔Lp毎における塗布厚及び塗布長の塗布制御が所定の規格値を満たすように正確に管理される。塗布装置1においては、上述した塗布厚や塗布長の測定とともに、塗布長、具体的には所定の塗布パターンの塗布境界部分の位置を確認し、また所定の塗布パターンの各領域毎における塗布厚を計測して、最終製品に適用される規格値との整合を図るために、必要に応じて制御用の信号が塗布制御部50に出力される。
【0070】
塗布装置1は、上述した規格値との整合を、まず一個のバッテリに必要な一定間隔Lp毎の仮想的な区切り位置X0rを演算して設定した後、計測処理部40に格納された製品毎の塗布パターンデータと比較し、塗布境界部の位置及び各領域毎の塗布厚が所定の規格値を満たしていることを確認して行う。
【0071】
図6は、仕様書等の図面上に指定された実際の製品レベルでの区切り位置と、実際の生産段階において連続的に供給される金属箔2の仮想的な区切り位置とを一致させる手順を示したフローチャートである。すなわち、変位センサ31がステップS1において図5に示す領域#0を検出した後に、ステップS2において第一面2aにのみ電極塗料3が塗布された同図に示す領域#1の検出準備が計測部30において行われる。その後、領域#1が検出された場合には、区切り位置の仮設定が行われる。そして、ステップS4において連続して供給される金属箔2上の次の領域#0を検出し、この領域#0を検出した時点でステップS5において区切りピッチLpを決定して区切り位置を一致させる。
【0072】
以上の説明においては、金属箔2に対する電極塗料3の塗布長の測定の際に必要な塗布境界部が正しく検出されたものとして説明したが、実際の生産においては塗布境界部の検出に関して様々な理由による誤差要因が存在する。本実施の形態に係る塗布装置1においては、このような塗布境界部の検出において以下に示すような誤差要因を想定している。
【0073】
塗布長測定のための塗布境界部の検出における誤差要因としては、金属箔2の第一面2aの塗布境界部の不塗布領域内における「点状や島状の電極塗料3の付着」等を変位センサ31が一定の塗布部分として検出することから生じる誤差要因(以下、誤差要因1と称して説明する。)がある。この誤差要因1は、表1に示す領域#0から領域#1に変化する時、領域#3から領域#2に変化する時、すなわち金属箔2の第一面2aにおいて金属部分が変位センサ31に対して露出する部分で生じる。
【0074】
また、塗布境界部検出の際の誤差要因としては、金属箔2の第一面2aの塗布境界部の塗装領域内において、変位センサ31と対向する部分の「塗布欠け」や「塗料のはみ出し」等の境界部分の電極塗料3の塗布の不均一さによる誤差要因(以下、誤差要因2と称して説明する。)がある。この誤差要因2は、表1に示す領域#0から領域#1に変化する時、領域#3から領域#2に変化する時に生じる。
【0075】
さらに、塗布境界部検出の際の誤差要因としては、金属箔2の第一面2aの塗布境界部の塗装領域内において「塗布境界部のダレ」や「塗布境界部の盛り上がり」等の塗装境界部の厚みムラが塗布境界部の判定に及ぼす誤差要因(以下、誤差要因3と称して説明する。)がある。この誤差要因3は、表1に示す領域#0から領域#1に変化する時、領域#3から領域#2に変化する時に生じる。
【0076】
さらにまた、塗布境界部検出の際の誤差要因としては、金属箔2の第二面2bの塗布境界部の検出において、基準ローラ32の外周面と金属箔2との当接状態の浮きに伴う誤差要因(以下、誤差要因4と称して説明する。)がある。この誤差要因4は、表1に示す領域#1から領域#3に変化する時、領域#2から領域#0に変化する時に生じる。
【0077】
塗布装置1は、上述したように予め想定される誤差要因1乃至誤差要因4に対して、以下に示すような塗布境界部の判定に関する規則を基に対策が施されるように設定され、計測処理部40における誤差補正テーブルの生成や格納等に反映させている。
【0078】
まず、金属箔2に対する電極塗料3の塗布パターンそのものが製品毎に一義的に定まることを利用して、実際の生産工程において、図面上の区切り開始点と実際の製品の区切り開始点との一致が検出された時点で、図7に示すように、設定された塗布境界部の領域データを基に判定領域R(R1、R2、R3及びR4)を設定し、この判定領域R内で塗布 境界部の検出を行う。このように適切な判定領域Rを予め設定し、この判定領域Rにおいて塗布境界部の検出を行うことで、上述した誤差要因1乃至誤差要因4を解消することができ、塗布部分の誤検出を防止し、誤差発生確率を低減する。
【0079】
次に、金属箔2の不塗布部分において変位センサ31からの出力が電極塗料3の付着を検出しても、不塗布部部分の検出についての規則を予め定めておき、理論的若しくは実験的に求めた一定の大きさ、例えば2.0mm以上の塗装の付着を検出しない限り不塗布部分の連続として判断する。このような不塗布部分の検出に関する規則を予め定めておくことで、上述した誤差要因1を解消することができ、不塗布部分において生じた「点状や島状の電極塗料3の付着」に伴う誤差要因に基づく誤検出を統計的な手法により軽減する。
【0080】
また、変位センサ31のいずれかが、一定長さ、例えば2.0mm以上の電極塗料3の付着を検出しても塗布部分と判断せず、3個の変位センサ31の出力状態を統計的に判断し、複数の変位センサ31が同時に一定長さ以上の電極塗料3の付着状態を検出した状態で初めて塗布部分であると判断する。このように複数個の変位センサ31で塗布境界部の検出を判断することで、上述した誤差要因2を解消することができ、塗布部分における「塗装の欠け」や「塗料のはみ出し」等による判定誤差を軽減する。
【0081】
すなわち、金属箔2の塗布領域内においては、塗布の欠け等の欠陥が塗布部分の幅Wp方向に対してほぼ均一な確率ρで生じるものとすれば、3個の変位センサ31が欠陥を検出する確率は以下の表2に示すようになる。
【0082】
【表2】
Figure 0004264914
【0083】
従って、例えば2個のセンサが2.0mm以上の塗装の連続を検出した時点で塗布部分と判定すれば、1個の出力のみで判定したときと比べてその確率比はρ/(1−ρ)となり、通常ρは十分小さい値であるので誤検出の確率が1/ρに低減される。
【0084】
塗布装置1においては、上述したような統計的手法を活用することにより、製品として許容可能な欠陥の影響を受けずに、高精度な塗布長の測定がなされる。また、塗布装置1においては、変位センサ31の使用数量を適切に設定し、判定条件の最適化を行うことにより、要求される精度の向上とコストの低減の両立も可能とされる。
【0085】
さらに、変位センサ31の出力が塗布部分を検出したと判定する閾値を塗布厚の変動要因毎に実験値の統計的処理若しくはそれ以外の方法で合理的に見積もった不確かさを利用し、適切な閾値として設定する。このように適切な閾値を設定することで、誤差要因1乃至誤差要因3を解消することができ、塗布部分に入ったことを判定するための閾値が統計的な手法を活用して設定される。
【0086】
上述した対策における不確かさとしては、金属箔2の厚みのバラツキや塗布厚のバラツキ、変位センサ31の測定の不確かさが想定される。
【0087】
この不確かさのうち金属箔2の厚みのバラツキについては、金属箔2が確定した段階で金属箔2の厚さを測定することにより、当該ロットにおけるバラツキが想定できる。しかしながら、金属箔2の厚さそのものが塗布される電極塗料3自体の厚さに比べて十分小さいこともあり、実用的には金属箔2の厚さのバラツキσaは無視し得る。
【0088】
塗布厚のバラツキは、生産段階において最も大きな要素であり、各領域の厚さの管理に対して最も重要な管理要素であると同時に、塗布境界部の判定に関する閾値設定に対する影響として、厚さが増す方向及び減る方向の両方に対するバラツキを考慮する必要がある。具体的には、製品として許容される各領域での厚さの許容幅を基に予め想定した分布からバラツキσbを求め、このバラツキを考慮して閾値を設定する。
【0089】
変位センサ31の測定の不確かさは、塗布境界の判定に対しては、上述した塗布厚のバラツキと同様に測定値が増す方向及び減じる方向のいずれにも働きうる。また、この変位センサ31の測定の不確かさσcについては、実測データ等を基に算出する。
【0090】
以上から、用いる材料が確定した段階で測定した金属箔2の厚さT0を基準に、各塗布部分での狙いの厚さに対して、上述したσb及びσcから合成不確かさσtを求め、この値に適切な拡張係数(通常2から3)を乗じた拡張不確かさUを参考にして閾値を設定する。
【0091】
さらにまた、金属箔2の供給にともなって領域#1から領域#3への移行、又は領域#3から領域#2への移行に際して、計測処理部40において上述したように設定された塗布長補正データを用いて補正する。このように塗布長の補正データを用いることで、上述した誤差要因4が解消し、塗布境界部における金属箔2と基準ローラ32との間に空隙が生じることによる測定誤差を低減する。
【0092】
また、電極塗料3の塗布部分の各領域における塗布厚の測定においても、上述した塗布境界部において想定される誤差要因と同様に様々な理由による誤差要因が存在する。
【0093】
塗布厚測定における誤差要因としては、金属箔2の第一面2aの塗布領域部における「点状や島状の電極塗料3の欠け」が塗装厚の検出に及ぼす誤差要因(以下、誤差要因5と称して説明する。)がある。この誤差要因5は、表1に示す領域#1及び領域#3において生じる。
【0094】
また、塗布厚測定における誤差要因としては、金属箔2の第一面2aの不塗布領域部における「点状や島状の塗料の残り」が非塗装部の厚さ検出に及ぼす誤差要因(以下、誤差要因6と称して説明する。)がある。この誤差要因6は、表1に示す領域#0及び領域#2において生じる。
【0095】
上述した誤差要因5及び誤差要因6に対しては、塗布厚の測定において、変位センサ31a、31b、31cの全ての出力の平均値を取ることにより対応する。すなわち、上述したように欠陥(塗布部分における欠けや不塗布部への電極塗料3の付着)の確率はρであり、通常この値は十分小さいため、平均化することにより厚さの測定における欠陥の影響を無視しうる。このような対策は、塗布境界部の判定領域を除く安定的な塗布部分、不塗布部分において、電極塗料3の欠けや塗料の付着等に伴う厚さの測定誤差を軽減する。
【0096】
なお、上述した実施の形態にかかる塗布装置1は、バッテリの正極材又は負極材とされる金属箔2の原反に電極塗料3を塗布するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、シート状部材に塗料状の材料、例えばテープ状の磁気記録媒体を製造する場合においてシート状の基材に磁性塗料を片面塗布する際等に適用するものであってもよい。
【0097】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係る塗布装置によれば、塗料が塗布されたシート状部材の塗布厚や塗布長を一種類のセンサで測定してシート状部材における塗料材料の塗布状態を計測、検出する。このため、本発明に係る塗布装置は、シート状部材に対して塗料材料を塗布する工程を含む生産システムの構成を簡略化でき、またコストの低減と信頼性の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗布装置の概略構成を説明するための図である。
【図2】計測部の構成を説明するための図である。
【図3】表形式で表される誤差補正テーブルを説明するための図である。
【図4】グラフ形式で表される誤差補正テーブルを説明するための図である。
【図5】(a)は、電極塗料が塗布された金属箔の要部平面図であり、(b)は、同金属箔の要部側面図である。
【図6】実際の製品レベルでの区切り位置と仮想的な区切り位置とを一致させる手順を示したフローチャートである。
【図7】電極塗料が塗布された金属箔の要部平面図である。
【符号の説明】
1 塗布装置,2 金属箔,3 電極塗料,10 塗布部,20 乾燥部,30 計測部,31 変位センサ,32 基準ローラ,33 回転検出機構,34伝達リム,35 ロータリーエンコーダ,36 原点センサ,40 計測処理部,50 塗布制御部,60 巻取りローラ

Claims (3)

  1. 一方方向に連続して供給される長尺のシート状部材に一定間隔毎に塗布材料を塗布する塗布装置において、
    上記シート状部材に塗布材料を塗布する塗布部と、
    上記塗布部において塗布材料が塗布された上記シート状部材における塗布厚を計測する非接触型のセンサと、
    回転して上記シート状部材を下流側に供給するとともに外周面が上記センサによる塗布厚の計測の基準面となる基準ローラと、
    上記基準ローラの回転角度を少なくとも一回転内において絶対回転角度で検出する回転検出機構とを有する計測部と、
    上記計測部における計測結果をもとに上記シート状部材における塗布材料の塗布厚及び/又は塗布長を演算する計測処理部と、
    上記計測処理部における演算結果を得て上記塗布部における塗布材料の塗布長及び塗布厚を制御する塗布制御部とを備えてなり、
    上記計測部は、上記センサが上記シート状部材の塗布厚を計測するとともに、上記回転検出部が上記センサにおける塗布厚の検出結果を基に上記基準ローラの絶対回転角度から上記シート状部材の供給量を求めて塗布長を計測し、
    上記計測処理部は、上記シート状部材が供給されていない状態における上記基準ローラの絶対回転角度毎の外周面の位置を上記計測部の上記センサで測定した測定値に基づき、上記計測部における上記シート状部材が供給されている状態での塗布厚の測定値を補正することを特徴とする塗布装置。
  2. 上記計測処理部は、上記計測部の上記センサにおける塗布材料の塗布状態の測定において予め想定される検出誤差要因を基に、塗布材料の塗布部分と不塗布部分との境界部の判定に関する閾値又は上記境界部の判定に関する規則が設定され、上記閾値又は規則に基づいて上記境界部を判定することを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
  3. 上記計測処理部には、予め一定の塗布厚及び/又は塗布長とが初期値として設定され、上記計測部において測定される実際の塗布厚及び/又は塗布長と上記初期値との差を演算し、実際の塗布厚及び/又は塗布長が上記初期値に一致するように上記塗布制御部に対して制御信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
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