JP4264772B2 - カートリッジ式押出容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
円筒状の容器に充填した高粘度の内容物をネジ棒の推進による押出し機構で押し出し、内容物を使い切ると新しい内容物が充填された容器に交換して押出し機構部分を繰り返し使用するカートリッジ式押出容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
高粘度の内容物を少量ずつ押し出すのに適した容器として、実公昭55−10311号公報に開示されたものが知られている。
【0003】
この押出容器は、先端にノズルを有し後端を開放した筒状本体と、この筒状本体内に液密にして摺動可能に嵌挿された押し蓋とでカートリッジが構成され、前記筒状本体の後端に着脱自在に嵌着する固定蓋と、この固定蓋の中心を貫通して前後進可能に螺合するネジ棒とで押出し機構が構成されている。
【0004】
内容物を取り出すときは、ネジ棒を回して筒状本体内を螺進させることにより、ネジ棒の先端で押し蓋を押圧前進させて内容物を押出すものであり、高粘度の内容物の押し出しに好適な機構となっている。
【0005】
内容物を使い切ると、カートリッジを押し出機構から取り外し、新しい内容物が充填されたカートリッジを再び押出し機構に取り付けて、押出し機構を再使用するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の押出容器は、押出し機構が再使用できるものの、新規のカートリッジに交換する際、前進し切ったネジ棒を使い始めの位置まで巻き戻さなければ新規のカートリッジを装着することができず、巻き戻しという面倒なセット作業が避けられない欠点を有している。
【0007】
特に、内容物が歯科用の充填材や接着剤のように、高粘度で押出し抵抗が大きく、且つ一回の取り出し量の微調整を必要とする内容物では、ネジ棒の螺子のリードが短く設定されている。従って、ネジ棒を回転させて長い螺子ストロークを巻き戻す作業は時間もかかり、新規のカートリッジをセットする際の使用者の負担が大きかった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、ネジ棒の巻き戻しをすることなく新規のカートリッジを押出し機構に簡単に装着できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前後端を開放した筒状の容器本体と、前記容器本体の前端部に嵌着された蓋体と、前記容器本体内に液密にして摺動可能に嵌挿された押し蓋とでカートリッジを構成すると共に、前記カートリッジが着脱自在に嵌着する固定蓋と、前記固定蓋の中心を貫通して前後進可能に螺合するネジ棒とで押出し機構を構成して成るカートリッジ式押出容器において、前記固定蓋は、前記カートリッジを係合する上筒部および内周面に前記ネジ棒と螺合する雌ネジを設け複数のスリットで分割されてなる下筒部を有する筒体と、前記下筒部の外周に回転可能に係合する回転体とを備えて構成され、前記下筒部と前記回転体とに前記下筒部を縮径、復径させるカム機構を設け、前記回転体の回転によるカム機構の作動で、下筒部が縮径した状態のときネジ棒が螺合し、下筒部が復径状態のときネジ棒の螺合を解除することで前記課題の解決手段とした。
【0010】
また、前記カム機構は、前記分割されてなる下筒部の外周面に突起を設けると共に、前記回転体の内周面に前記突起と係合する凹所を有する横断面形状が内周面方向に傾斜したガイド突起を設けて構成されており、回転体の僅かな回転でカム機構が作動し、ネジ棒を螺合状態にもフリー状態にも迅速にできるようにした。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1乃至図6は、本発明のカートリッジ式押出容器の実施の形態を示すものであり、前後端を開放した筒状の容器本体1と、容器本体1の前端部1aに嵌着された蓋体5と、容器本体1内に液密にして摺動可能に嵌挿された押し蓋7とでカートリッジCが構成され、このカートリッジCが着脱自在に嵌着する固定蓋10と、固定蓋10の中心を貫通して前後進可能に螺合するネジ棒40とで押出し機構Kが構成されている。
【0013】
容器本体1は、前後端が開放され内側が軸線方向にほぼストレートな内周壁2から成る収納部を有する筒状体であり、その先端部1aの外周には蓋体5係着用の突起3が周設され、その後端部には押出し機構Kの固定蓋10に螺着する為の雄ネジ4が設けられている。
【0014】
容器本体1の収納部には歯科用接着剤等の高粘度の内容物Nが充填されており、先端開口は先端部1aに嵌脱自在な蓋体5によって密封され、後端開口は容器本体1内に液密に嵌挿された押し蓋7によって封止されており、全体として高粘度内容物用のカートリッジCを構成している。
【0015】
押し蓋7は、カートリッジCの後端開口を封止する共に、螺進するネジ棒40に押されてピストン状に収納部内を液密に摺動して内容物Nを押し出すものであり、容器本体1の内周壁2に密接するようにポリエチレンなどの比較的軟質の合成樹脂やポリアミドなどの摩擦が少なく摺動に適した合成樹脂で形成されている。
【0016】
上記のカートリッジCが装着される押出し機構Kの固定蓋10は、基本的には、筒体20と回転体25とから構成されている。
【0017】
筒体20は、上筒部13と下筒部16とから構成され、上筒部13の内周面にはカートリッジCの雄ネジ4と螺合する雌ネジ12が設けられ、この雌ネジ12の基端にはカートリッジCのストッパとなる内向きフランジ13aが周設されているとともに、外側に外向きのフランジ14が周設されている。また、下筒部16は、前記フランジ13a、14の下方に一体形成されている。
【0018】
下筒部16の外周面上方には回転体25を回転可能に係止する係合突起16aが周設されており、この係合突起16aの下方は、縦方向4本のスリット15で等分割され、分割されたそれぞれの外周面にはカム機構を構成する突起23が突設されていると共に内周面にはネジ棒40と螺合可能な雌ネジ17が設けられている。
【0019】
この下筒部16の内径は、拡径状態のときネジ棒40が自由に挿通可能とされており、下筒部16の各分割片をスリット15で内側に撓めて縮径したとき、下筒部16の雌ネジ17とネジ棒40とが螺合する寸径とされている。
【0020】
本実施の形態にあっては、図2に示すように、筒体20は、一対の筒体部材20a、20bをボス21嵌合で仮止めし、上筒部13に固定リング22を強制嵌合して組み付けて構成してある。固定リング22による筒体部材20a、20bの固定にはアンダーカット18による嵌合と縦リブ19による嵌合が併用されており、固定リング22は回転不能にして抜け出し不能とされている。
【0021】
尚、筒体20は、筒体部材20a、20bと固定リング22を別部材とせずに、これらを一体成形した物としてもよい(図示省略)。
【0022】
固定蓋10のもう一方の構成部材である回転体25は、ネジ棒40が挿通する貫通孔28が中心に設けられた円板26に周壁27を立設した蓋状に形成されており、回転体25と下筒部16とで構成するカム機構の操作部材である。
【0023】
回転体25の周壁27の内周面開口近傍には下筒部16の係合突起16aと係合する係合突起29が周設されており、回転体25は係合突起16a、29同志の係合によって筒体20の下筒部16に回転可能に係着されている。
【0024】
また、回転体25の周壁27内周面には、筒体20側のカム機構を構成する下筒部16の突起23に対応して、回転体25側のカム機構を構成する内周面方向に傾斜したガイド突起30が設けられており、このガイド突起30の傾斜面31には、下筒部16の突起23が係合することにより回転体25を拘束するとともに回転体15の位置を下筒部16が縮径された位置に保持する凹所32が縦溝状に設けられている。
【0025】
ネジ棒40は、雄ネジ41が螺設された螺子杆42と、螺子杆42基端の摘み43とから構成されており、螺子杆42と下筒部16の雌ネジ17とが螺合状態にあるとき、摘み43を回すことにより螺進し、螺子杆42の先端でカートリッジC内の押し蓋7を押し進めて内容物Nを少量ずつ押し出すものである。
【0026】
螺子杆42の基端部には無ネジ部分44が設けられており、ネジ棒40を押し切った使い終わりにネジ棒40の螺合が無ネジ部分44で外れて空回転し、ネジ棒40が螺進しないようにしてある。これによりネジ棒40の摘み43による回転体25への締め付けが回避され、回転体25の回転、即ちカム機構の作動に支障が無いようにしている。
【0027】
以上のように構成された本実施の形態の操作と作用を説明すると、図1に示すように、カートリッジCが押出し機構Kに装着され使用可能な状態にあるとき、図6に示すように、下筒部16のカム機構の突起23が回転体25のガイド突起30の凹所32に係合して、図4に示すように、下筒部16の各片が軸方向に撓んで縮径し、下筒部16内周面の雌ネジ17とネジ棒40の雄ネジは螺合状態にある。従って、ネジ棒40は時計方向に回転することにより螺進し、最終的に押し蓋7をカートリッジCの先端部1aまで押し切ることにより内容物Nを押し出しきる。
【0028】
新しいカートリッジCに交換するときは、固定蓋10を持って回転体25を45度逆時計方向に回転させることにより、下筒部16の突起23がガイド突起30の凹溝32から外れ、縮径状態にあった下筒部16は自己復帰力により弾性復元して拡径状態となる(図5参照)。
【0029】
拡径した下筒部16は、図3に示すように、ネジ棒40との螺合を解除し、ネジ棒40をフリーにする。従って、ネジ棒40を何回も逆回転させることなく新しいカートリッジCが装着可能な所望の位置迄引き戻すことができる。
【0030】
ネジ棒40を所望の位置に引き戻してから、回転体25を45度時計方向に回転させる。下筒部16の突起23がガイド突起30の傾斜面31を摺動して凹所32に嵌合し、下筒部16は縮径して再びネジ棒40と螺合する。このカム機構の操作により、押し出機構Kはネジ棒40の螺進可能状態にセットされる。
【0031】
セットの完了によりネジ棒40は下筒部16に位置を安定して保持されるとともに、突起23が凹所32に嵌入する際の感触でセット操作の完了したことが感知される。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0033】
固定蓋の下筒部と回転体とにカム機構を設け、回転蓋の僅かな回転操作で下筒部が縮径、復径して、ネジ棒の螺合とその解除が簡単にできるようにしたので、カートリッジの交換の際、ネジ棒の巻き戻しが不要となるとともに、押し出機構のセットが容易となり、カートリッジの交換を迅速にすることができる。従って、押出容器を使用する作業現場での負担を少なくしてロスタイムを著しく短縮する大きなメリットがある。
【0034】
また、本発明による押出容器を用いた商品は、カートリッジと押し出機構を分離しておくことができるので、流通時や保管時にコンパクト化が可能であり、場所を取らないので便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカートリッジ式押出容器の押し出し可能な状態を示す半断面図。
【図2】図1の容器の分解斜視図。
【図3】図1の容器のネジ棒の螺合が解除状態にある場合を示す主要部の拡大半断面図。
【図4】図1の容器のネジ棒が螺合状態にある場合を示す主要部の拡大半断面図。
【図5】図3のA矢視方向を示す断面図。
【図6】図4のB矢視方向を示す断面図。
【符号の説明】
1 容器本体,1a 先端部,5 蓋体,7 押し蓋,10 固定蓋,12 雌ネジ,13 上筒部,15 スリット,16 下筒部,20 筒体,23 突起,25 回転体,30 ガイド突起,32 凹所,40 ネジ棒,C カートリッジ,K 押し出機構,
Claims (2)
- 前後端を開放した筒状の容器本体と、前記容器本体の前端部に嵌着された蓋体と、前記容器本体内に液密にして摺動可能に嵌挿された押し蓋とでカートリッジを構成すると共に、前記カートリッジが着脱自在に嵌着する固定蓋と、前記固定蓋の中心を貫通して前後進可能に螺合するネジ棒とで押出し機構を構成して成るカートリッジ式押出容器において、前記固定蓋は、前記カートリッジを係合する上筒部および内周面に前記ネジ棒と螺合する雌ネジを設け複数のスリットで分割されてなる下筒部を有する筒体と、前記下筒部の外周に回転可能に係合する回転体とを備えて構成され、前記下筒部と前記回転体とに前記下筒部を縮径、復径させるカム機構を設けたことを特徴とするカートリッジ式押出容器。
- 前記カム機構は、前記分割されてなる下筒部の外周面に突起を設ける共に、前記回転体の内周面に前記突起と係合する凹所を有する横断面形状が内周面方向に傾斜したガイド突起を設けて構成されていることを特徴とする請求項1記載のカートリッジ式押出容器。
Priority Applications (1)
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JP01928999A JP4264772B2 (ja) | 1999-01-28 | 1999-01-28 | カートリッジ式押出容器 |
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JP01928999A JP4264772B2 (ja) | 1999-01-28 | 1999-01-28 | カートリッジ式押出容器 |
Publications (2)
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Family
ID=11995292
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP01928999A Expired - Lifetime JP4264772B2 (ja) | 1999-01-28 | 1999-01-28 | カートリッジ式押出容器 |
Country Status (1)
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-
1999
- 1999-01-28 JP JP01928999A patent/JP4264772B2/ja not_active Expired - Lifetime
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