JP4264150B2 - 電動回転機、自動車用交流電源、自動車用交流電源兼スターター及び回転子 - Google Patents

電動回転機、自動車用交流電源、自動車用交流電源兼スターター及び回転子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用交流電源のような電動回転機に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用交流電源を構成する単相または多相の発電機は、通常、励起コイルを有する回転子が中で回転する固定子を備えている。
【0003】
励起コイルは、回転子の軸の突き出た部分に設けた2つのスリップリングと接触しているブラシを介して付勢される。
【0004】
各種回転機が公知であり、特に欧州特許第0707374号では、固定子のコイルは、永久磁石及び励起コイルにより同時に励起され、アーマチュアによって励起コイルに流れた電流は、スイッチによって制御され、励起電流の反転により、磁束は高速で減少させられる。
【0005】
しかし、励起電流は、この種の回転機では、本質的に、2方向の交流電流であるので、このスイッチとしては、高価なH形スイッチブリッジを用いる必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの欠点を解消し、励起用に作用させることによって、電流を調整させ、かつこの励起用に永久磁石を使用するにも拘らず、励起が、ゼロ、もしくは本質的にゼロから、最大値との間で変化しうる回転機、特に自動車用等の交流電源を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の別の目的は、ゼロ値と最大値との間で変る励起電流を応用して、励起がその範囲内で変化するようにした回転機を提供することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、軸方向の寸法が小さく、重量当りの仕事率が大きい二重のエアギャップと1つの回転子を有する回転機のための構造を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による電動回転機は、少なくとも1対の固定子スロットを有する少なくとも1つの固定子と、前記固定子スロットに形成されたアーマチュアのコイル、及び固定子に対して回転できる回転子を備え、該回転子は、回転子の周囲に沿って交互に配置された永久磁石と励起コイルを含み、該永久磁石及び励起コイルは、前記少なくとも1個のアーマチュアのコイルの周囲を通る閉鎖磁気回路を選択的に設定する手段を形成する電動回転機において、前記回転子は、第1の円周方向と該第1の円周方向と対向する第2の円周方向に回転し、かつ前記永久磁石は、そのN−S方向が円周方向に配置され、外側と内側にスロットを有するH型要素の前記スロット内に巻回された前記励起コイルに電流が流れていないときに、前記第1の円周方向にそれ自身を輪で囲む磁束を生じさせ、かつ前記励起コイル中に励起電流が生じて前記少なくとも1つのアーマチュアのコイルの周囲を通る閉鎖磁気回路を設定したときに、前記励起コイルは、前記第2の円周方向に、調節可能な局部的な磁束を確立することを特徴とする。
【0010】
このような調整構造によって、通常のレギュレーターを、励起を調節するための電流遮断機として使用することができ、2方向電流で作動する回転機と比較して、電流遮断機の費用は、1/4になる。
【0011】
回転子は、その周縁に沿って、励起コイルと交互に配置された複数の永久磁石を備えているのがよい。
【0012】
回転子は、励起コイルが収容されているスロットを有するH形要素を交互に配置した複数の永久磁石を有しているのがよい。このH形要素は、コイルヘッドの長さを短縮させるので、抵抗、従って励起エネルギーの損失を減らすことができ、出力は改善される。
【0013】
好ましい実施例では、内側固定子と外側固定子とを有している。このような構成の長所の1つは、二重回転子を有するこの種の通常の回転機と比較して、回転慣性がより小さいことである。
【0014】
このような構成は、軸方向の長さが短く、2つの固定子に高出力を与えねばならない場合、重量当りの仕事率が高い自動車用交流電源兼モーターのスターターとして有用である。
【0015】
本発明の第2実施例によれば、上記のような二重励起を有するハイブリッドな回転機のための回転子が提供される。
【0016】
本発明のさらなる特徴と長所は、非限定的な本発明の好ましいいくつかの実施例についての詳細な説明と添付図面により、明らかになると思う。
【0017】
【実施例】
図1は、本発明の第1実施例の単相電動回転機の固定子1と回転子5を示す。
【0018】
固定子1は、エンドレスの2つの環状部分からなる環状固定子本体2を備えている。この構造体の内縁には、アーマチュアのコイル4を収容するための1対の固定子のスロット3が設けられている。このスロット3は、偶数であり、固定子1の周縁部に等間隔で設けられている。
【0019】
回転子5は、受部7に設けた永久磁石8により交互に挟まれた一連のH形要素6を備えている。このH形要素6は、外側のスロット6aと内側のスロット6bを有している。
【0020】
回転子5は、巻き線すなわち励起コイル9を備え、励起コイル9は、外側のスロット6aと内側のスロット6bに収容されている。
【0021】
励起コイル9は、それに調節可能な励起電流を供給するための適当な手段10(図1)に接続されている。
H形要素6と永久磁石8は、回転子5に等間隔で配置されている。
【0022】
永久磁石8の数とH形要素6の数は、回転機の極の対の数、すなわち固定子のスロット3の数の半分である。詳しく言うと、永久磁石8とH形要素6は、外側のスロット6aが固定子1の第1スロット3と整列している時、H形要素6のどちらかの側の永久磁石8が、第1スロット3のどちらかの側にある固定子のスロット3と整列するように配置されている。
【0023】
永久磁石8の南北の方向は、励起コイル9に電流が流れてない時、回転子5に、図1に示す矢印の方向の、実質的に円周方向の磁束を生ずるように定められている。従って、励起電流がない場合、固定子1を流れる場がないか、もしあっても、無視しうる程度である。
【0024】
従って、回転子5の角度位置に拘らず、アーマチュアのコイル4に電流は生じないか、あっても無視しうる程度である。従って、回転機の励起はゼロである。
【0025】
もし、単向性の電流が励起コイル9に生じ、永久磁石8によって生じるのと反対方向に磁束が生じると、この反対方向の力によって、永久磁石8と励起コイル9からの磁束は、エアギャップ(回転子鉄心と固定子鉄心の間の空隙)を横切って、固定子1まで伸びる。、そこでは、励起電流は十分に大きい。
【0026】
その結果、アーマチュアに起電力が生じる。この起電力の値は、励起コイル9によって生じる磁場の大きさ次第であり、おおむねゼロと最大値の間を変化する。
【0027】
永久磁石8と励起コイル9の寸法は、励起コイル9からの磁束が、永久磁石8からの磁束と同じ大きさであり、励起電流が適度な強さとなるように定めてある。
従って、励起コイル9の電流の変化を調節することにより、励起コイル9の磁束が調節されるのみならず、固定子1の永久磁石8の磁束も調節される。
【0028】
その結果、前記の構造体により、回転機の操作は、単向性電流を用いて調節される。この調節は、例えば、マイクロプロセッサーによって制御される1つのトランジスターによって行いうる。
【0029】
図2は、本発明による多相回転機の一実施例を示す。図2では、図1の回転機におけるのと同一要素には、同一符号に100を加えて示してある。
【0030】
図2に示す回転機は、3相機で、図1と同様の回転子105と永久磁石108を、交互に配した複数のH形要素106を備えており、H形要素に形成されたスロットには、励起コイル109が収容されている。
【0031】
永久磁石108は、回転子105の径方向の厚さよりやや小寸の受部107内に収められている。固定子121は、円周方向に無端に連続しており、積層板からなる通常の形をしている。
【0032】
固定子121は、回転子の1対の電極毎に、6つのスロット103を有し、このスロット103は、角度的に等間隔の内歯122によって囲われている。
【0033】
固定子のスロット103には、異なる相のコイル104a,104b,104cが収容されている。固定子の周縁にある3つの連続するスロット103には、それぞれ3相コイルが収容されている。
【0034】
図2に示す回転機は、図1のものと同様の原理で作動する。特に、励起コイル109に励起が生じない時は、永久磁石108は、殆ど完全に回転子内に流れる磁束を生ずるように協動し、従って固定子の相コイルにおける電流は、おおむねゼロである。
【0035】
これとは対照的に、永久磁石によって生じる場の反対方向に励起が生じる時、異なる相のコイル104a,104b,104cの周りの場に環状回路現象が生じ、所定の速度で回転子が回転する際、回転機には、励起電流がゼロと最大励起値との間を変化する時、おおむねゼロと最大値との間を変化する3相の起電力が生じる。
【0036】
図1,図2に示す実施例では、回転子5と105は、非磁性材料、または永久磁石、H形要素及び励起コイルからなる装置からなり、かつ非磁性材料によって絶縁されている軸(図示せず)に固着されている。
【0037】
しかし、他の構造も可能である。特に、図3、図4で示すように、回転子を、外側固定子と内側固定子との間に配置することもできる。
【0038】
図3、図4では、図1と同じ要素には、200を加えた同じ符号で示してある。
図3、図4では、回転機は、図1の固定子1と回転子5とそれぞれ同様の外側固定子201と回転子205を備えている。特に、回転子205は、永久磁石208を交互に配した一連のH形要素206からなり、H形要素におけるスロットには、励起コイル209が収容されている。
【0039】
外側固定子201は、積層板からなり、その内縁に、アーマチュアのコイル204を受け入れる一連のスロット203を設けてある。回転子205は、外側固定子201と内側固定子211との間で回転する。
【0040】
内側固定子211も積層板からなり、その内縁に沿って、アーマチュアのコイル214を受け入れる一連のスロット213を設けてある。スロット213の数は、スロット203と同じであり、スロット213、スロット203とは、図3、図4に示すように、互いに一直線に並んでいる。
【0041】
図3、図4に示す構造の回転機は、図1、図2に示すものと同様に作動する。
励起電流がない場合、永久磁石208からの磁場は、回転子205内を循環する。回転子205の回転中、アーマチュアのコイル204,214には電流は生じない。
【0042】
これとは対照的に、励起電流が生じると、永久磁石208の磁束は、2つのエアギャップを介して、外側固定子201と内側固定子211まで伸び、起電力が、アーマチュアのコイル204,214に生じる。
【0043】
2つの固定子201,211のアーマチュアのコイルは独立しており、そのため、二元性電圧3相機の構造に役立つという長所を有している。第1固定子は、14ボルトで作動することができ、第2固定子は、自動車の回路条件によって、24,48,または96ボルトで作動する。
【0044】
前記のものと同様の各種構造体は、互いに平行に、又は直列に接続することができる。また図1〜図4の回転機では、必要に応じて、初期に磁化するか、または再磁化してもよい。詳しく言うと、永久磁石を、最初に磁化させることなく、固定子に取り付けと、正常な励起電流とは逆の電流で、励起コイルに電圧を加えればよい。
【0045】
永久磁石によって作られたものと同じ方向の円周方向の磁場が、回転子に生じる。この磁場は、永久磁石を磁化または再磁化することができる。この磁化または再磁化は、例えば半導体のスイッチ手段を用いて実施することができる。このことは、この技術分野に明るい人であれば、容易に達成しうる。
【0046】
この操作は、バッテリーによって供給される電気エネルギーを有する自動車に乗っていても、あるいはガレージでエンジンをかけている間にでも実施できる。
【0047】
また、H形要素にコイルを取り付けることは、構造上から容易であり、永久磁石を取り付けるのと別に実施できる。
【0048】
また永久磁石が磁化されると、永久磁石の磁束が回転子で集合するので、固定子と回転子の組立てが容易になる。従って、回転子の構造物が、内側と外側の固定子の強磁性部品に付着する恐れはない。
【0049】
本発明により提供される新規な構造によると、従来技術と比べて、出力が10〜20%増加する。
【0050】
本発明は、前記し、図示した実施例に限定されるものではない。特に、前記特徴により、発電機やモーターや、いくつかの相を有する回転機を作ることができる。
【0051】
また、H形要素の周囲を励起コイル化した構造(例えばドーナッツ形コイル)により、突き出た極を有する回転機のコイルとは対照的に、遠心力に対する抵抗力が改良されている。
【0052】
自動車業界で用いられている永久磁石式交流発電機の主な欠点は、磁石によって生じる有用な磁束が永久に存在することに起因しており、それにより、変動率が損失するおそれがある。これにより、過剰電圧が生じ、自動車の電気系統部品が、全損または部分損することとなる。
【0053】
本発明の構造によると、励起がない場合、磁束は、固定子を介して集合することはないので、中立化する。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、高価なH形スイッチブリッジを用いる必要がない。
励起に作用することによって、電流の調整を行うことができ、かつこの励起に作用する永久磁石を使用するにも拘らず、励起がゼロ、もしくは実質的にゼロ値と最大値との間で変化しうる回転機、特に自動車用交流電源を提供できる。
【0055】
ゼロ値と最大値との間で変る励起電流の応用の結果として、励起がその範囲内で変化する電動回転機を提供できる。
【0056】
軸方向に密集した、かつ増加した重量当りの仕事率を有する二重のエアギャップと、1つの回転子を有する回転機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における電動回転機の回転子と固定子装置の概略図である。
【図2】本発明による3相の回転子と固定子装置の部分断面図である。
【図3】本発明の他の実施例における電動回転機の回転子と固定子装置の概略図である。
【図4】本発明のさらに他の実施例における電動回転機の回転子と固定子装置の部分断面図である。
【符号の説明】
1,101,201,211...固定子
2 ...固定子本体
3,103,203 ...固定子のスロット
4,204,214 ...アーマチュアのコイル
104a,104b,104c..異なる相のコイル
5,105,205 ...回転子
6,106,206 ...H形要素
6a ...外側のスロット
6b ...内側のスロット
7、107 ...受部
8,108,208 ...永久磁石
9,109,209 ...励起コイル
10 ...調節可能な励起電流を供給する手段
122 ...内歯

Claims (9)

  1. 少なくとも1対の固定子スロットを有する少なくとも1つの固定子と、前記固定子スロットに形成されたアーマチュアのコイル、及び固定子に対して回転できる回転子を備え、該回転子は、回転子の周囲に沿って交互に配置された永久磁石と励起コイルを含み、該永久磁石及び励起コイルは、前記少なくとも1個のアーマチュアのコイルの周囲を通る閉鎖磁気回路を選択的に設定する手段を形成する電動回転機において、
    前記回転子は、第1の円周方向と該第1の円周方向と対向する第2の円周方向に回転し、かつ前記永久磁石は、そのN−S方向が円周方向に配置され、外側と内側にスロットを有するH型要素の前記スロット内に巻回された前記励起コイルに電流が流れていないときに、前記第1の円周方向にそれ自身を輪で囲む磁束を生じさせ、かつ前記励起コイル中に励起電流が生じて前記少なくとも1つのアーマチュアのコイルの周囲を通る閉鎖磁気回路を設定したときに、前記励起コイルは、前記第2の円周方向に、調節可能な局部的な磁束を確立することを特徴とする電動回転機。
  2. 回転子(5)(105)(205)は、励起コイル(9)(109)(209)が収容されているスロットを有するH形要素を交互に配置した複数の永久磁石(8)(108)(208)を有していることを特徴とする請求項1記載の電動回転機。
  3. 内側固定子(1)(101)(201)(211)と外側固定子(1)(101)(201)(211)を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動回転機。
  4. 2つの固定子(201)(211)は、互いに一直線に並んでいる同数のスロットを有していることを特徴とする請求項3記載の電動回転機。
  5. 励起コイル(9)(109)(209)の補助によって、永久磁石(8)(108)(208)を磁化又は再磁化するための逆磁場を確立する手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動回転機。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動回転機を備えることを特徴とする自動車用交流電源。
  7. 請求項4又は5記載の電動回転機からなることを特徴とする電動回転機。
  8. 請求項7に記載の電動回転機を備えることを特徴とする自動車用交流電源兼スターター。
  9. アーマチュアのコイルの周囲を通る接続された磁性回路を選択的に設定できるようになっている手段を備えているハイブリッド(多機能)電動回転機のための回転子において、前記手段が、回転子(5)(105)(205)の円周方向に輪で囲む磁束を生ずるように、そのN−S方向が円周方向に配置された少なくとも1つの永久磁石(8)(108)(208)、及び永久磁石によって作られる磁束とは反対の円周方向に、調節可能な局部的な磁束を確立するための、外側と内側にスロットを有するH型要素の前記スロット内に巻回された、少なくとも1つの励起コイル(9)(109)(209)を備えていることを特徴とするハイブリッド電動回転機のための回転子。
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