JP4264033B2 - 燃焼式作業工具 - Google Patents
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Description
請求項1に記載の発明によれば、燃焼室と、燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、燃焼室に設けられた点火装置と、燃焼室に連接されたシリンダと、シリンダ内に摺動可能に収容されたピストン部材と、を有する燃焼式作業工具が構成される。燃焼室には、燃料噴射装置を介して燃料が噴霧状に噴射され、当該燃焼室内の空気と混合される。これにより、空気と燃料との混合気、いわゆる可燃性ガスが生成される。この可燃性ガスを点火装置によって燃焼させると、燃焼室内の可燃性ガスの燃焼作用によって生じた燃焼圧力でピストン部材が前進移動し、これにより所定の加工作業を遂行する。「所定の加工作業」としては、典型的には、釘やステープル等を被加工材に打込むための作業がこれに該当する。
ところで、実用上、燃料には、作業工具内の各動作箇所を潤滑するための潤滑剤が含まれている場合が多い。本発明のように燃料を燃焼室の長軸方向と略直交する方向へと噴射する方式を採用したときは、燃料に含まれる潤滑剤が燃焼室の周壁面に積極的に誘導される。そして当該周壁面を経て当該周壁面に連なるシリンダへと導かれることとなり、これにより当該シリンダとピストン部材との摺動面の潤滑性を向上できる。
燃焼式作業工具においては、燃焼室を構成する燃焼室壁を移動させることによって当該燃焼室に新鮮な空気を導入し、あるいは排気ガスを室外に排出する構成を採用する場合がある。このような構成の燃焼式作業工具では、燃焼室の容積を減少する方向へ燃焼室壁を移動させたとき、燃焼室内に配置される燃料噴射装置がピストン部材に干渉することとなるが、本発明によれば、ピストン部材に燃料噴射装置を収容可能な格納空間を設けることで、上記の干渉問題を解消できる。特に本発明によれば、格納空間が燃料噴射装置の配置に対応してピストン部材の軸中心に設定される。このため、ピストン部材の組み付け後において、たとえ当該ピストン部材が周方向に移動しても格納空間の位置が実質的に変化しないこととなり、位置ずれの問題が生じない。このことから、ピストン部材の組み付け性を向上できる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の燃焼式作業工具において、燃焼室を第1の燃焼室と第2の燃焼室とに区画する隔壁を有し、当該隔壁は点火装置を中心とした球面状部分、および当該球面状部分に配設されて第1の燃焼室と第2の燃焼室とを連通する多数の連通孔を有し、点火装置によって第1の燃焼室内の可燃性ガスが燃焼される際、当該第1の燃焼室内における可燃性ガスの燃焼面が各連通孔に対し概ね同時に到達するよう構成されている。ここでいう「燃焼面」とは、可燃性ガスが燃焼する際の既燃焼部分と未燃焼部分の境界面をいい、典型的には「火焔面(火炎面)」がこれに該当する。なお燃焼ガスの燃焼面の到達タイミングは各連通孔で厳密に一致することまでを必要とせず、隔壁の「球面状部分」は、隔壁の該当箇所における曲率が一定とされた態様のみならず、曲率が多少異なる態様、すなわち断面が楕円状の球面も好適に包含する。換言すれば、球面状部分の全領域が点火部を中心として厳密に等径とされることまでは必要ではない。また隔壁は、その全体にわたって球面状とされてもよく、あるいは隔壁の一部のみを球面状としてもよい。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の燃焼式作業工具において、燃料噴射装置は、パイプ状部材によって構成されており、当該パイプ状部材は、球面状部分の内周面に沿って配置されるとともに、当該球面状部分の中心を貫通して第2の燃焼室に突出されている。そしてパイプ状部材の球面状部分に沿って配置される部位には、燃料を点火装置に向けて噴射する燃料噴射孔が設けられ、パイプ状部材の第2の燃焼室に突出した部位には、燃料を第2の燃焼室の長軸方向と略直交する方向へと噴射する燃料噴射孔が設けられた構成とされる。かかる構成によれば、第1の燃焼室については、点火部に向けて燃料を噴射することで着火性を向上でき、また第2の燃焼室においては、周方向領域の全体にわたって空気に対する燃料の均一な混合を実現できる。またパイプ状部材が第1および第2の燃焼室の両室に跨って配置されることで、単一のパイプ状部材を用いて第1および第2の燃焼室に対する燃料分配を合理的に遂行できるとともに、燃料供給に関する構造の簡素化を図る上で有効となる。
本発明の実施の形態に係る釘打機101の全体構成が図1〜図5に示され、また燃焼室周辺部が図6および図7に拡大図として示されている。図8は図7のIIX-IIX線断面図である。釘打機101は、本発明における「燃焼式作業工具」の一例であり、図1〜図5に示すように、メインハウジング103、射出部110、ハンドグリップ105、マガジン109により、その外郭が形成されている。メインハウジング103内には、第1燃焼室121、第2燃焼室122、点火装置131、燃料噴射装置141、および駆動部151が収容される。すなわち、本実施の形態に係る釘打機101は、第1燃焼室121と第2燃焼室122とからなる複数の燃焼室を有する構成とされる。なお以下においては、射出部110側を前側(図1〜図5における左側)、その反対側(図1〜図5における右側)を後側として説明する。
第1燃焼室121は、当該第1燃焼室121を第2燃焼室122と区画するための外形が円形の隔壁部123と、第2燃焼室122と反対側に位置する概ね平坦状の端部壁面を有する円形のスライドエンドプレート129とによって囲まれて形成されている。すなわち、隔壁部123は、外周側には平坦面部123aを備え、中央部側には第2燃焼室122側に膨出する球面状部分123bを備えた構成とされており、平坦面部123aがスライドエンドプレート129の端部壁面に密着状に接触されて固定されている。上記の隔壁部123が本発明における「隔壁」に対応する。隔壁部123の球面状部分123bは、点火装置131の点火部を中心として概ね等径かつ半球状に形成されている。隔壁部123の球面状部分123bには多数の連通孔125が穿設状に形成されている(図8参照)。この連通孔125を介して第1燃焼室121と第2燃焼室122とが連通状態とされる。すなわち、点火部から各連通孔125までの距離がそれぞれ等距離となるように設定され、第1燃焼室121内の混合気が点火装置131の点火部によって点火されて燃焼される際、当該第1燃焼室121内の燃焼面(火焔面)が各連通孔125に概ね同時に到達するよう構成されている。なお点火部は、互いに所定の間隙を隔てて対向状に配置される2つの電極133a,133bによって構成されるが,このことについては後述する。
そして射出部110の先端に前述したコンタクトアーム111が配される。コンタクトアーム111は、射出部110の長軸方向(すなわち釘打機101の長軸方向であって、図1〜図5では左右方向に相当する)につき、当該射出部110に対し相対的に摺動動作可能とされ、常時にはスプリング112によって先端側(図1〜図5において左側)へと付勢されている。なお上記のスプリング112は、前述したスライドスリーブ127の付勢手段を兼用する。
また作業者が被加工材方向へと作用させていた釘打機101に対する押圧加重を解除することにより、図4に示すように、メインハウジング103側へ相対的に後退していたコンタクトアーム111が、スプリング112の付勢力を介して前方(被加工材方向)へ移動する。コンタクトアーム111の前進動作に伴って、燃焼室壁126が前方(ピストン155側)へ移動する。これにより、燃焼室壁126のスライドスリーブ127の小径部127aがシリンダ153のフランジ部153aから離れ、当該スライドスリーブ127の内周面とフランジ部153aの外周面との間に間隙127bが生じ、第2燃焼室122が当該間隙127bを経て室外(ハウジング103の内部空間104)に連通される。
すなわち、本実施の形態では、燃焼室が第1および第2燃焼室121,122から構成される釘打機101において、混合気の燃焼効率を高めるべく、第1燃焼室121に点火用プラグ133を設けるとともに、当該第1燃焼室121内で点火部によって点火された混合気の燃焼面が隔壁部123の連通孔125に概ね同時に到達するように、隔壁部123が点火部を中心とする等半径の球面状部分123bを有する構成としている。このような構成では、第1燃焼室121の容積を変化(減少)させて排気ガスを排出することが困難となるが、本実施の形態によれば、第1燃焼室121から第2燃焼室122への火炎噴射を効率良く行うことで混合気の燃焼効率を高めるべく、第1燃焼室121を構成する隔壁部123の形状を半球面状に形成するという構成を維持しつつ排気ガスの排出作用を効果的に遂行することができる。
(態様1)
「請求項4に記載の燃焼式作業工具であって、
前記点火部は、中心電極と当該中心電極に間隙を置いて対向するよう延在状に配置される接地電極から構成されており、前記パイプ状部材は、前記球面状部分に沿う部位の燃料噴射孔から噴射される燃料が、前記接地電極の延在部分を挟んで前記中心電極に向けて噴射されるように配置されていることを特徴とする燃焼式作業工具。」
上記構成によれば、燃料に潤滑油が混入されている場合に、当該潤滑油が電極の先端部に直接に降り掛かることによる弊害を防止する上で有効となる。ここで「中心電極」とは、圧電素子138と接続される方の電極133aを指し、「接地電極」とはボディアースされる方の電極133bをいう。
103 メインハウジング
104 内部空間
105 ハンドグリップ
106 ハウジングキャップ
106a 空間
106b 通気孔
107 トリガ
109 マガジン
110 射出部
111 コンタクトアーム
113 逆止弁
114 通気口
121 第1燃焼室(第1の燃焼室)
122 第2燃焼室(第2の燃焼室)
123 隔壁部(隔壁)
123a 平坦面部
123b 球面状部分
125 連通孔
126 燃焼室壁
127 スライドスリーブ
127a 小径部
127b 間隙
128 ネジ
129 スライドエンドプレート
131 点火装置
133 点火用プラグ
133a 一方の電極
133b 他方の電極
134 ボール
135 スプリング
136 電気配線
137 保持部材
138 圧電素子
141 燃料噴射装置
143 燃料噴射孔
145 パイプ状部材
145a 突出先端部
145b 湾曲部
146 燃料通路構成部材
147 燃料供給通路
149 燃料容器
151 駆動部
153 シリンダ
153a フランジ部
154 Oリング
155 ピストン(ピストン部材)
155a 球面状凹部
155b 格納空間
157 ピストンロッド
159 クッションラバー
161 大気室用の吸気口
163 吸入弁
165 燃焼室用の吸気口
167 吸入弁
169 シール部材
171 大気室
173 大気室壁
175 固定エンドプレート
177 固定スリーブ
179 Oリング
Claims (3)
- 燃焼室と、
前記燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、
前記燃焼室に配置された点火装置と、
前記燃焼室に連接されたシリンダと、
前記シリンダ内に摺動可能に収容されたピストン部材と、を有し、
前記燃料噴射装置から前記燃焼室に噴射された燃料を当該燃焼室内の空気と混合させるとともに、この混合された可燃性ガスを前記点火装置により燃焼させ、これによって生じた燃焼圧力により前記ピストン部材を前進移動させて所定の加工作業を遂行する燃焼式作業工具であって、
前記燃料噴射装置は、前記燃焼室内において、当該燃焼室内の中心を通って長軸方向に延びる中心線上に位置するように配置されるとともに、燃料を前記燃焼室の長軸方向と略直交する方向へと噴射するよう構成し、
前記燃焼室を構成する燃焼室壁が、当該燃焼室に空気を導入し、あるいは排気ガスを排出するべく移動する構成とされるとともに、当該燃焼室壁に前記燃料噴射装置が装着されており、前記ピストン部材には、前記燃焼室壁が前記燃焼室の容積を減少する方向に移動されたときに、前記燃料噴射装置を収容する格納空間が設けられていることを特徴とする燃焼式作業工具。 - 請求項1に記載の燃焼式作業工具であって、
前記燃焼室を第1の燃焼室と第2の燃焼室とに区画する隔壁を有し、当該隔壁は前記点火装置を中心とした球面状部分、および当該球面状部分に配設されて第1の燃焼室と第2の燃焼室とを連通する多数の連通孔を有し、前記点火装置によって前記第1の燃焼室内の可燃性ガスが燃焼される際、当該第1の燃焼室内における可燃性ガスの燃焼面が前記各連通孔に対し概ね同時に到達するよう構成されていることを特徴とする燃焼式作業工具。 - 請求項2に記載の燃焼式作業工具であって、
前記燃料噴射装置は、パイプ状部材によって構成され、当該パイプ状部材は、前記球面状部分の内周面に沿って第1の燃焼室に配置されるとともに、当該球面状部分の中心を貫通して前記第2燃焼室に突出されており、前記パイプ状部材の前記球面状部分に沿う部位には、燃料を前記第1の燃焼室に配置される前記点火装置に向けて噴射する燃料噴射孔が設けられ、前記パイプ状部材の前記第2の燃焼室に突出した突出部位には、燃料を第2の燃焼室の長軸方向と略直交する方向へと噴射する燃料噴射孔が設けられていることを特徴とする燃焼式作業工具。
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