JP4264033B2 - 燃焼式作業工具 - Google Patents

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Description

本発明は、可燃性ガスを燃焼させた際の高圧力(衝撃力)を利用して所定の加工作業を遂行する作業工具、すなわち燃焼式作業工具における燃料の供給技術に関する。
いわゆる燃焼式作業工具に関し、釘打機やタッカ等の作業工具の駆動源としてピストン・シリンダ式の内燃機関を用いた具体例が、米国特許第6,016,945号明細書(特許文献1)に開示されている。特許文献1では、燃焼室に燃料を供給するための燃料噴射ノズルを燃焼室の半径方向に突出状に配置し、燃料を燃焼室の長軸方向に対して傾斜する方向へと噴射させる技術が開示されている。
しかしながら、上記の特許文献1に開示された技術は、燃焼室内に半径方向から突出するように配置された燃料噴射ノズルを介して燃料を燃焼室内に噴射する方式のため、燃焼室内の周方向領域につき、燃料と空気との混合が不均一になり易いものであり、このような混合の不均一さは燃焼効率に悪影響を及ぼすという点でなお改良の余地がある。
米国特許第6,016,945号明細書
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、燃焼式作業工具における燃焼効率の向上を図る上で有効な燃料供給技術を提供することを目的とする。
上記課題を達成するため、特許請求の範囲の各請求項に記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、燃焼室と、燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、燃焼室に設けられた点火装置と、燃焼室に連接されたシリンダと、シリンダ内に摺動可能に収容されたピストン部材と、を有する燃焼式作業工具が構成される。燃焼室には、燃料噴射装置を介して燃料が噴霧状に噴射され、当該燃焼室内の空気と混合される。これにより、空気と燃料との混合気、いわゆる可燃性ガスが生成される。この可燃性ガスを点火装置によって燃焼させると、燃焼室内の可燃性ガスの燃焼作用によって生じた燃焼圧力でピストン部材が前進移動し、これにより所定の加工作業を遂行する。「所定の加工作業」としては、典型的には、釘やステープル等を被加工材に打込むための作業がこれに該当する。
本発明における燃焼式作業工具においては、特徴的構成として、燃料噴射装置は、燃焼室内において、当該燃焼室の中心を通って長軸方向に延びる中心線上に位置するように配置されるとともに、燃料を燃焼室の長軸方向と略直交する方向へと噴射するよう構成されている。ここで「中心線上に位置するように配置」とは、燃料噴射装置が、中心線に完全に一致した状態で配置される態様は勿論のこと、中心線に対して傾斜した状態で配置される態様、あるいは中心線の近傍に配置される態様等を包含する。また「略直交する方向へと噴射する」とは、中心線に対し交差する方向に噴射するという趣旨であり、中心線に直交する態様のみを指すものではない。例えば燃焼室の周壁が円筒状に形成される場合であれば、当該燃焼室の半径方向が「長軸方向と直交する方向」となる。なお点火装置は、燃焼室の長軸方向における端部壁面中央部に配置することが好ましい。燃料噴射装置は、燃焼室内の中心線上に位置するように配置する際、点火装置に干渉しないように配置される。点火装置の端部壁面における中央配置は、当該点火装置によって点火されて燃焼する可燃性ガスの燃焼面を中央から周辺領域へと均等に伝播させる上で効果がある。
本発明によれば、燃料を燃焼室の中央部から当該燃焼室の周壁面に向って放射状に噴射することが可能となり、これによって、当該燃料が燃焼室内の周方向領域の全体に亘って均等に供給されることになる。その結果、燃料と空気の混合が効率的に行われ、ひいては燃焼効率を向上させることが可能となる。また燃焼によって生ずる燃焼圧力も燃焼室内における周方向領域につき均等化することで、燃焼室内の燃焼エネルギがバランスよくピストン部材に伝達されることになり、ピストン部材の安定した駆動が実現される。
ところで、実用上、燃料には、作業工具内の各動作箇所を潤滑するための潤滑剤が含まれている場合が多い。本発明のように燃料を燃焼室の長軸方向と略直交する方向へと噴射する方式を採用したときは、燃料に含まれる潤滑剤が燃焼室の周壁面に積極的に誘導される。そして当該周壁面を経て当該周壁面に連なるシリンダへと導かれることとなり、これにより当該シリンダとピストン部材との摺動面の潤滑性を向上できる。
また、請求項1に記載の発明によれば、燃焼室を構成する燃焼室壁が、当該燃焼室に空気を導入し、あるいは排気ガスを排出するべく移動する構成とされるとともに、当該燃焼室壁に燃料噴射装置が装着されており、ピストン部材には、燃焼室壁が燃焼室の容積を減少する方向に移動されたときに、燃料噴射装置を収容する格納空間が設けられた構成とされる。
燃焼式作業工具においては、燃焼室を構成する燃焼室壁を移動させることによって当該燃焼室に新鮮な空気を導入し、あるいは排気ガスを室外に排出する構成を採用する場合がある。このような構成の燃焼式作業工具では、燃焼室の容積を減少する方向へ燃焼室壁を移動させたとき、燃焼室内に配置される燃料噴射装置がピストン部材に干渉することとなるが、本発明によれば、ピストン部材に燃料噴射装置を収容可能な格納空間を設けることで、上記の干渉問題を解消できる。特に本発明によれば、格納空間が燃料噴射装置の配置に対応してピストン部材の軸中心に設定される。このため、ピストン部材の組み付け後において、たとえ当該ピストン部材が周方向に移動しても格納空間の位置が実質的に変化しないこととなり、位置ずれの問題が生じない。このことから、ピストン部材の組み付け性を向上できる。
(請求項に記載の発明)
請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の燃焼式作業工具において、燃焼室を第1の燃焼室と第2の燃焼室とに区画する隔壁を有し、当該隔壁は点火装置を中心とした球面状部分、および当該球面状部分に配設されて第1の燃焼室と第2の燃焼室とを連通する多数の連通孔を有し、点火装置によって第1の燃焼室内の可燃性ガスが燃焼される際、当該第1の燃焼室内における可燃性ガスの燃焼面が各連通孔に対し概ね同時に到達するよう構成されている。ここでいう「燃焼面」とは、可燃性ガスが燃焼する際の既燃焼部分と未燃焼部分の境界面をいい、典型的には「火焔面(火炎面)」がこれに該当する。なお燃焼ガスの燃焼面の到達タイミングは各連通孔で厳密に一致することまでを必要とせず、隔壁の「球面状部分」は、隔壁の該当箇所における曲率が一定とされた態様のみならず、曲率が多少異なる態様、すなわち断面が楕円状の球面も好適に包含する。換言すれば、球面状部分の全領域が点火部を中心として厳密に等径とされることまでは必要ではない。また隔壁は、その全体にわたって球面状とされてもよく、あるいは隔壁の一部のみを球面状としてもよい。
本発明によれば、第1の燃焼室において生じた燃焼面が概ね同時に各連通孔に到達するので、第2の燃焼室内の可燃性ガスが、隔壁周辺領域から満遍なく、かつ同時的に点火されることになり、これによって当該第2の燃焼室内の燃焼エネルギをバランスよくピストン部材側へ伝達することが可能とされる。換言すれば、第2の燃焼室内の可燃性ガスにつき、隔壁の各連通孔を通じた燃焼開始のタイミングにばらつきが生じにくいため、上述した燃焼室全体に対する燃料の均一な供給効果と相俟って第2の燃焼室内での燃焼コントロール性、ひいては燃焼効率をより一層向上することが可能となる。
(請求項に記載の発明)
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の燃焼式作業工具において、燃料噴射装置は、パイプ状部材によって構成されており、当該パイプ状部材は、球面状部分の内周面に沿って配置されるとともに、当該球面状部分の中心を貫通して第2の燃焼室に突出されている。そしてパイプ状部材の球面状部分に沿って配置される部位には、燃料を点火装置に向けて噴射する燃料噴射孔が設けられ、パイプ状部材の第2の燃焼室に突出した部位には、燃料を第2の燃焼室の長軸方向と略直交する方向へと噴射する燃料噴射孔が設けられた構成とされる。かかる構成によれば、第1の燃焼室については、点火部に向けて燃料を噴射することで着火性を向上でき、また第2の燃焼室においては、周方向領域の全体にわたって空気に対する燃料の均一な混合を実現できる。またパイプ状部材が第1および第2の燃焼室の両室に跨って配置されることで、単一のパイプ状部材を用いて第1および第2の燃焼室に対する燃料分配を合理的に遂行できるとともに、燃料供給に関する構造の簡素化を図る上で有効となる。
本発明によれば、燃焼式作業工具における燃焼効率の向上を図る上で有効な燃料供給技術が提供されることとなった。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る釘打機101の全体構成が図1〜図5に示され、また燃焼室周辺部が図6および図7に拡大図として示されている。図8は図7のIIX-IIX線断面図である。釘打機101は、本発明における「燃焼式作業工具」の一例であり、図1〜図5に示すように、メインハウジング103、射出部110、ハンドグリップ105、マガジン109により、その外郭が形成されている。メインハウジング103内には、第1燃焼室121、第2燃焼室122、点火装置131、燃料噴射装置141、および駆動部151が収容される。すなわち、本実施の形態に係る釘打機101は、第1燃焼室121と第2燃焼室122とからなる複数の燃焼室を有する構成とされる。なお以下においては、射出部110側を前側(図1〜図5における左側)、その反対側(図1〜図5における右側)を後側として説明する。
本実施の形態では、燃焼室は、長軸方向(すなわち、釘打機101の長軸方向)において、第1燃焼室121と第2燃焼室122とに区画されており、第1燃焼室121につき、後述する混合気の点火領域として使用するとともに、第2燃焼室122につき、釘打込み作業に必要な大きな燃焼エネルギを得るための領域として使用するよう構成されている。上記の第1燃焼室121が本発明における「第1の燃焼室」に対応し、第2燃焼室122が本発明における「第2の燃焼室」に対応する。
第1燃焼室121は、当該第1燃焼室121を第2燃焼室122と区画するための外形が円形の隔壁部123と、第2燃焼室122と反対側に位置する概ね平坦状の端部壁面を有する円形のスライドエンドプレート129とによって囲まれて形成されている。すなわち、隔壁部123は、外周側には平坦面部123aを備え、中央部側には第2燃焼室122側に膨出する球面状部分123bを備えた構成とされており、平坦面部123aがスライドエンドプレート129の端部壁面に密着状に接触されて固定されている。上記の隔壁部123が本発明における「隔壁」に対応する。隔壁部123の球面状部分123bは、点火装置131の点火部を中心として概ね等径かつ半球状に形成されている。隔壁部123の球面状部分123bには多数の連通孔125が穿設状に形成されている(図8参照)。この連通孔125を介して第1燃焼室121と第2燃焼室122とが連通状態とされる。すなわち、点火部から各連通孔125までの距離がそれぞれ等距離となるように設定され、第1燃焼室121内の混合気が点火装置131の点火部によって点火されて燃焼される際、当該第1燃焼室121内の燃焼面(火焔面)が各連通孔125に概ね同時に到達するよう構成されている。なお点火部は、互いに所定の間隙を隔てて対向状に配置される2つの電極133a,133bによって構成されるが,このことについては後述する。
第2燃焼室122は、駆動部を構成するピストン155、円筒形のスライドスリーブ127およびピストン155と対向状に配置される隔壁部123によって囲まれる空間として形成される。上記のピストン155が本発明における「ピストン部材」に対応する。なおピストン155の頂面(隔壁部123との対向面)は、隔壁部123の球面状部分123bに対応する相似形状に形成された球面状凹部155aとされている。隔壁部123、スライドスリーブ127およびスライドエンドプレート129は、周方向に配置される複数のネジ128によって相互に締結固定されており、これら3つの部材によって前端が開放された筒状の燃焼室壁126が構成されている。すなわち、スライドスリーブ127によって第2燃焼室122の周壁面を構成し、隔壁部123によって第2燃焼室121の端部壁面および第1燃焼室121の球面状壁面をそれぞれ構成し、スライドエンドプレート129によって第1燃焼室121の端部壁面を構成している。上記の燃焼室壁126によって「可動部材」が構成されている。
燃焼室壁126は、釘打機101の長軸方向(前後方向)への移動が可能とされ、コンタクトアーム111と連結されている。そしてコンタクトアーム111は、付勢手段としてのスプリング112によって常時には先端側(前方)へと付勢されており、燃焼室壁126も前方へと移動されている。この状態が図1に示す釘打機101の初期状態であり、第2燃焼室122の容積が零または零に近い状態まで減少されている。
一方、釘打機101を被加工材W(図2参照)に向かって移動させるとともにコンタクトアーム111を被加工材に押し付けると、当該被加工材にて押されたコンタクトアーム111は、スプリング112の付勢力に抗して反対方向へと移動される。このコンタクトアーム111の後退動作は、スライドスリーブ127に伝達される。このため、燃焼室壁126が後述する大気室171の端部壁面を構成する固定エンドプレート175側へと移動され、スライドエンドプレート129の端部が当該固定エンドプレート175に接触する。この状態が図2に示されている。
燃焼室壁126が前後方向に移動することに伴い第2燃焼室122の容積は、減少あるいは増加する。このように、第2燃焼室122は、燃焼室壁126の移動に伴い容積が変化する構成とされるが、相互に固定されて一体に移動する隔壁部123とスライドエンドプレート129によって形成される第1燃焼室121は、容積が変化しない定常的な容積を有する構成とされる。すなわち、燃焼室は燃焼室壁126が前後に移動しても容積が変化しない第1燃焼室121と、容積が変化する第2燃焼室122とから構成されている。
燃焼室壁126におけるスライドスリーブ127の前端部(開口端側)には、内周径が小径とされた小径部127aが形成されている。この小径部127aは、燃焼室壁126が後端部に位置しているときには、その内周面が後述するシリンダ153の端部外周に形成された円形のフランジ部153aと外周面にOリング154を介してシールすることで第2燃焼室122を密封する構成とされる。そして燃焼室壁126が前方へと移動されたときには、小径部127aは、移動開始後、間もなくフランジ部153a(Oリング154)から離れ、Oリング154の外周と、スライドスリーブ127の内周面との間に間隙127bが生じ、この間隙127bを介して第2燃焼室122がハウジング103の内部空間104(ハウジング103とシリンダ153外周面間の間隙であり、釘打機101の外部に連通される)に連通される構成とされる。
スライドエンドプレート129を挟んで第1および第2燃焼室121,122の反対側(後側)には、大気室171が形成されている。大気室171は、円筒状の固定スリーブ177、当該固定スリーブ177内に摺動自在に嵌入されるスライドエンドプレート129および当該スライドエンドプレート129に対向状に配置される固定エンドプレート175によって囲まれる空間として形成される。なお固定エンドプレート175と固定スリーブ177は一体に形成されている。固定エンドプレート175によって大気室171の端部壁面が構成され、固定スリーブ177によって大気室171の周壁面が構成され、これら両部材によって前端部が開放された筒状の大気室壁173が構成されている。固定スリーブ177とスライドエンドプレート129の摺動面は、Oリング179を介してシールされている。
固定エンドプレート175は、外周縁部がメインハウジング103の後端部に配置される多数の通気孔106bを有するハウジングキャップ106とともに、当該メインハウジング103に図示省略のネジによって共締めによって締結されている。このように、大気室171は、第1および第2燃焼室121,122から分離されかつ固定された空間であって、燃焼室壁126の移動、直接的にはスライドエンドプレート129の移動に伴い容積が変化する空間として設定される。すなわち、スライドエンドプレート129が、第2燃焼室122の容積を減少させる方向へ移動(前進)するときには、大気室171の容積が増大し、第2燃焼室122の容積を増大させる方向へ移動(後退)するときには、大気室171の容積が減少する構成とされる。そして大気室171の最大容積は、第2燃焼室121の容積が最大とされたときの第1および第2燃焼室121,122の総容積よりも大きく設定されている。
大気室壁173における固定エンドプレート175には、当該固定エンドプレート175とハウジングキャップ106によって囲まれる空間106a(実質的には大気であり、以下、この空間106aについては、単に大気という)と大気室171とを連通する吸気口161が設けられ、この吸気口161には、吸入弁163が設けられている。吸入弁163は、大気の空気を大気室171に吸入するべく吸気口161を開閉する逆止弁として構成され、大気室171側に配置されている。吸入弁163は、大気室171の室内と室外との圧力差に基づき大気室171側に弾性変形することで大気から大気室171への空気の流れを許容し、その逆の流れを規制する構成とされる。上記の吸気口161および吸入弁163によって「第1の弁手段」が構成される。
スライドエンドプレート129には、大気室171と第1燃焼室121とを連通する吸気口165が形成され、この吸気口165には、吸入弁167が設けられている。吸入弁167は、大気室171内の空気を第1燃焼室121に吸入するべく吸気口165を開閉する逆止弁として構成され、第1燃焼室121側に配置されている。そして吸入弁167は、第1燃焼室121と大気室171との圧力差に基づき当該第1燃焼室121側に弾性変形することで大気室171から第1燃焼室121への空気の流れを許容し、その逆の流れを規制する構成とされる。上記の吸気口165および吸入弁167によって「第2の弁手段」が構成される。
また大気室壁173における固定エンドプレート175には、当該大気室171内に所定長さで突出する棒状のシール部材169が設けられている。このシール部材169は、燃焼室用の吸気口165と対向するように配置されており、燃焼室壁126が後退端部(後端側ストロークエンド)に位置したときに、燃焼室用の吸気口165内に嵌まり込むことで、当該吸気口165を密封するとともに、嵌り込んだ状態では、前端面が吸入弁167の背面(後面)に当接する構成とされる。
点火装置131は、点火用プラグ133および高圧電流を発生させる圧電素子138を主体として構成されるとともに、点火用プラグ133の点火部を構成する一方の電極(陽極)133aが、第1燃焼室121の端部壁面を構成するスライドエンドプレート129の中央部に配置されている。点火用プラグ133の点火部を構成する他方の電極(陰極)133bは、スライドエンドプレート129の中央部から外れた位置に配置されるとともに、第1燃焼室121の中央部側へと延出され、一方の電極133aの先端(前端)に対し所定の隙間を置いて対向されている。
一方の電極133aは、固定エンドプレート175に設けた導通材料製(金属製)のボール(鋼球)134およびスプリング135および電気配線136を介して圧電素子138と電気的に接続されている。すなわち、ボール134およびスプリング135は、点火用回路の一部を構成している。ボール134は一方の電極133aの後端に対向するように配置されるとともに、燃焼室壁126が前方または後方へ移動することに伴い一方の電極133aに対し接触あるいは離間される。すなわち、一方の電極133aは、燃焼室壁126が第2燃焼室122の容積を最大付近とする位置へ移動されたときには、ボール134に接触することで電気的に接続されて点火を許容され、燃焼室壁126が第2燃焼室122の容積を減少する方向へ移動したときには、ボール134から離間することで電気的接続が断たれて点火を規制される構成とされる。
ボール134は固定エンドプレート175に設けられた電気絶縁材料からなる保持部材137の孔137a内に移動可能に嵌合されるとともに、スプリング135によって電極133a側に付勢されている。これにより、燃焼室壁126が後方へ移動されるとき、ボール134は燃焼室壁126が後退端(ストロークエンド)に接近した時点で電極133aの後端に当接し、その後、当該電極133aとの接触状態を維持しつつ後退する。かくしてスプリング135は、ボール134と電極133aとの接触状態を所定の範囲に亘って安定して保持する付勢手段を構成している。なお、点火装置131の点火動作は、ハンドグリップ105に配置されたトリガ107の引き絞り操作によって圧電素子138を変形させ、これにより発生した高圧電流を電極133a,133b間に放電させることで遂行される。また他方の電極133bはスライドエンドプレート129にボディアースされている。
燃料噴射装置141は、第1燃焼室121から隔壁部123を貫通して第2燃焼室122へと延在するパイプ状部材145を主体として構成され、当該パイプ状部材145には、各燃焼室121,122に臨む適所に燃料噴射孔143が穿設状に形成されている。なお燃料噴射装置141は燃料容器(燃料ボンベ)149に接続されて燃料の供給を受ける。燃料噴射装置141による燃料噴射量は、第1燃焼室121および第2燃焼室122の各実効容積に応じて個別に設定されている。
燃料噴射装置141を構成するパイプ状部材145は、スライドエンドプレート129に固定されるとともに、一端(先端)側が第1燃焼室121を構成する隔壁部123の球面状部分123bの内周面に沿って延在するとともに、当該球面状部分123bの中心部を貫通して第2燃焼室122へと突出されている。すなわち、球面状部分123bを貫通して第2燃焼室122内に突出されたパイプ状部材145の突出先端部145aは、当該突出先端部145aの中心線が当該第2燃焼室122の中心を通って長軸方向に延びる中心線上に位置するように配置される。突出先端部145aには、図8に示すように、第2燃焼室122内に燃料を斑なく噴射させるべく半径方向(放射状)、すなわち長軸方向と略直交する方向に貫通する複数の燃料噴射孔143が設けられている。燃焼室壁126が第2燃焼室122の容積を減少する方向へ移動するとき、パイプ状部材145の突出先端部145aは、ピストン155の頂面中央部に形成された格納空間155bに収容される構成とされ、これにより第2燃焼室122の容積が零または零に近い状態まで減少することが可能とされる。
またパイプ状部材145は、図7に明瞭に示されるように、球面状部分123bの内周面に沿って配置される湾曲部145bに、第1燃焼室121に燃料を噴射する少なくとも1個の燃料噴射孔143を有する。この燃焼噴射孔143は、点火装置131の点火部に向けて燃料を噴射するよう設定されている。なお点火装置131の点火部を構成する電極133a、113bのうち、他方の電極133bは、第1燃焼室121内に突出状に配置されて一方の電極133aに所定の間隙(プラグギャップ)を置いて対向するべくL形に屈曲されて延出する構造とされている。本実施の形態では、このプラグギャップ間に燃料が直接降り掛からないようにするために、他方の電極133bの背面側に向けて燃料を噴射するようにパイプ状部材145を配置している。すなわち、パイプ状部材145は、湾曲部145bの燃料噴射孔134から噴射される燃料が、他方の電極133bの延在部分を挟んで一方の電極133aに向けて噴射するよう配置されている。上記のパイプ状部材145の湾曲部145bが本発明における「球面状部分に沿って配置される部位」に対応し、突出先端部145aが本発明における「第2の燃焼室に突出した部位」に対応する。
なおパイプ状部材145の他端(基端)側は、スライドスリーブ127の外周面と固定スリーブ177の内周面との間を通って延在するとともに、燃料容器149から供給された燃料を導く燃料通路構成部材146の燃料供給通路147内に挿入されており、燃焼室壁126の移動に伴い燃料供給通路147内を摺動する構成とされる。なお燃料容器149からの燃料の供給は、コンタクトアーム111を被加工材Wに押し付ける動作に連動して遂行される構成とされる。
駆動部151は、メインハウジング103内に収容されたシリンダ153と、このシリンダ153内に摺動可能に配置されたピストン155と、このピストン155に一体状に連接されたピストンロッド157を主体として構成される。ピストンロッド157の先端側は、射出部110内に配されて釘(図示省略)を前方に打ち出すための射出装置に連接されている。またシリンダ153内部の先端側には、高速駆動されたピストン155の衝撃を吸収緩和してピストン155を受け止めるためのクッションラバー159が適宜配置されている。さらにシリンダ153には、当該シリンダ153のボア153a内をハウジング103の内部空間104に連通する通気口114を開閉するための逆止弁113が設けられている。この逆止弁113は、シリンダ153のボア153a内の気体が内部空間104に流出することを許容する一方、内部空間104の気体がシリンダ153のボア153a内に流入することを規制する一方向弁として構成されている。
マガジン109は、釘打機101のメインハウジング103先端側に形成された射出部110に取り付けられ、相互に連接された多数の釘を収容するとともに、打込み対象となる釘を射出部110に臨ませる。なおマガジン109自体の構成は周知ゆえ、その詳細な説明については、便宜上省略する。
そして射出部110の先端に前述したコンタクトアーム111が配される。コンタクトアーム111は、射出部110の長軸方向(すなわち釘打機101の長軸方向であって、図1〜図5では左右方向に相当する)につき、当該射出部110に対し相対的に摺動動作可能とされ、常時にはスプリング112によって先端側(図1〜図5において左側)へと付勢されている。なお上記のスプリング112は、前述したスライドスリーブ127の付勢手段を兼用する。
本実施の形態に係る釘打機101は上記のように構成される。次に当該釘打機101の作用について説明する。釘打機101は常には図1図に示す状態を初期状態としている。この初期状態では、スプリング112の付勢力によって燃焼室壁126が前方へ移動されており、第2燃焼室122の容積が最小(零または零に近い状態)まで減少され、大気室171の容積が最大に増大されている。またピストン155が上死点に位置している。また点火用プラグ133の一方の電極133aがボール134から離間されており、当該電極133aに対する電気的接続が断たれてプラグの点火が規制されている。
かかる状態で、釘打機101を用いて釘の打込み作業を遂行するには、図2に示すように、まずコンタクトアーム111を被加工材Wに当接後、作業者が当該被加工材方向への押圧力を釘打機101に作用させる。するとコンタクトアーム111はスプリング112による付勢力に抗しつつ被加工材Wから離間する側へと後退動作する。コンタクトアーム111の後退動作により、当該コンタクトアーム111と連接された燃焼室壁126が後退動作する。この燃焼室壁126の後退動作により、第2燃焼室122の容積が増大されるとともに、大気室171の容積が減少される。そして、スライドエンドプレート129の外周後端部が大気室壁173の固定エンドプレート175の外周前端面に当接することで燃焼室壁126の移動が規制される。このとき、第2燃焼室122の容積が最大状態とされ、大気室171の容積が最小状態とされる。また第1燃焼室121の容積と第2燃焼室122の容積が所定の容積比に設定されることになる。
また燃焼室壁126が後退動作し、後退端に接近した時点で一方の電極133aがボール134に接触し、当該ボール134、スプリング135および電気配線126を介して圧電素子138と電気的に接続された状態となる。さらにまた、シール部材169が燃焼室用の吸気口165に嵌まり込んでシールするとともに、シール部材169の先端が吸気弁167の背面に当接する。
また燃焼室壁126の後退動作時において、当該燃焼室壁126が後退端に接近した時点で燃料容器149から燃料が供給され、当該燃料が燃料供給通路147、パイプ状部材145を経て給送され、当該パイプ状部材145に設けられた燃料噴射孔143から各燃焼室121,122に噴射される(図7参照)。この場合、本実施の形態においては、第1燃焼室121では、その後に遂行される点火時の着火効果を高めるべく、燃料がパイプ状部材145における湾曲部145bの燃料噴射孔143から点火プラグの中心、すなわち点火部に向かって噴射される構成とされる。一方、第2燃焼室122では、燃料が突出先端部145aの燃料噴射孔143から第2燃焼室122内に径方向へと放射状に噴射される。第1および第2燃焼室121,122への燃料供給量は、各燃焼室121,122の容積に応じてそれぞれ設定されている。また噴射された燃料は、各燃焼室121,122内の空気と混合され、これにより各燃焼室121,122内は混合気で満たされる。この混合気が本発明における「可燃性ガス」に対応する。
コンタクトアーム111の後退動作後、作業者がハンドグリップ105に設けられたトリガ107を引き絞り操作すると、第1燃焼室121に設けられた点火装置131による点火動作が遂行される。これらにより第1燃焼室121内における点火・燃焼動作が円滑かつ高効率で実現される。
点火装置131による点火動作がなされると、図3に示すように、第1燃焼室121内に充填された混合気は点火部近傍領域より着火され、第1燃焼室121内の混合気の燃焼が開始される。混合気の燃焼作用は爆発的であり、当該混合気の燃焼面(火焔面)が非常に短い時間で隔壁部123へ到達する。このとき、本実施の形態では、隔壁部123につき、点火部を中心とする概ね等径の球面状部分123bとして構成しているため、点火部から発した混合気の燃焼面は、当該点火部に対して等半径とされた球面状部分123bへと概ね同時に到達する。このため、隔壁部123の境界面全体に渡って、第2燃焼室122の着火タイミングを各連通孔125で統一化することが可能であり、第2燃焼室122での燃焼開始タイミングを効果的にコントロールすることが可能とされる。
第2燃焼室122内に充填された混合気は、隔壁部123の表面全体領域より各連通孔125を経て同時的に着火され、第2燃焼室122内の混合気の燃焼が開始される。第2燃焼室122の容積は、第1燃焼室121の容積よりも大きく設定されており、第2燃焼室122内の混合気の燃焼により大きな燃焼圧力が発生する。これにより、ピストン155は、シリンダ153内を被加工材方向へと摺動状に移動動作(前進)されることとなる。
なおピストン155がシリンダ153内を摺動動作する際、当該摺動動作に伴ってピストンロッド157側のシリンダ153内部空間が縮小されていくが、かかる空間内の空気は、逆止弁113を通じて外部(ハウジング103の内部空間104)に放出されるため、ピストン155の摺動動作を阻害することはない。また第1燃焼室121の燃焼時に当該第1燃焼室121内は、相当の高圧状態となるが、本実施の形態では、燃焼室用の吸気口165内に差し込まれたシール部材169によって吸入弁167の背面を支持し、これにより吸入弁167が燃焼時の高圧により変形あるいは破損することから保護し、当該吸入弁167の耐久性を向上し、また第1燃焼室121内のガスが吸気口165から大気室171に流出することを未然に防止することができる。
ピストン155がシリンダ153内を摺動動作するのに連動してピストンロッド157が被加工材方向へと直線状に移動し、これによって射出部110にセットされた釘が被加工材側へと高速で射出されて打込まれる。このときシリンダ153内を被加工材方向へ高速移動したピストン155は、クッションラバー159に当接し、その運動エネルギが吸収緩和されて停止する。すなわち、ピストン155は下死点に到達して停止する。この状態が図3に示されている。なおピストン155の下死点への移動時において、当該ピストン155が逆止弁113を通過すると、ピストン155の前進動作に用いられた第1および第2燃焼室121,122内の排気ガスは、当該逆止弁113を通じて室外(ハウジング103の内部空間104)へと排出される。
釘の打込み作業が終了する段階では、逆止弁113から排気ガスが排出することに伴って第1および第2燃焼室121,122内に収縮冷却作用が生じる。これによって当該第1および第2燃焼室121,122内に負圧が発生し吸引作用が生じる。このため、ピストン155は被加工材Wから離間する側へと自動的に後退動作を開始する。このとき、本実施の形態では、燃焼室用の吸気口165がシール部材169によって封止されているため、大気室171から第1燃焼室121に空気が流入することを防止し、ピストン155を初期位置へと確実に戻すことができる。
また作業者が被加工材方向へと作用させていた釘打機101に対する押圧加重を解除することにより、図4に示すように、メインハウジング103側へ相対的に後退していたコンタクトアーム111が、スプリング112の付勢力を介して前方(被加工材方向)へ移動する。コンタクトアーム111の前進動作に伴って、燃焼室壁126が前方(ピストン155側)へ移動する。これにより、燃焼室壁126のスライドスリーブ127の小径部127aがシリンダ153のフランジ部153aから離れ、当該スライドスリーブ127の内周面とフランジ部153aの外周面との間に間隙127bが生じ、第2燃焼室122が当該間隙127bを経て室外(ハウジング103の内部空間104)に連通される。
ところで、燃焼室壁126の先端方向への前進動作は、作業者の、釘打機101に対する被加工材方向への押圧加重の解除時期に支配されるものであるが、この燃焼室壁126の前進動作は、ピストン155の後退動作が終了した後で遂行される。すなわち、ピストン155の後退動作は、第1および第2燃焼室121,122内に発生する冷却作用に伴う吸引力(負圧)によって瞬時に遂行される。したがって、作業者が釘打機101の被加工材方向への押圧加重を普通に解除操作する限り、燃焼室壁126の前進動作が開始される前の段階で、ピストン155が後退動作を終了して前進動作を開始する前の初期位置(図4参照)に復帰されることになる。この時点では、前述したように、シール部材169によって燃焼室用の吸気口165をシールしているため、大気室171から第1燃焼室121への空気の流入が抑えられ、これにより第1および第2燃焼室121,122の負圧状態を維持し、ピストン155を初期位置へと確実に復帰させることが可能となる。
さて、燃焼室壁126の前進動作により、図4に示すように、第2の燃焼室122の容積が減少されるとともに、スライドスリーブ127の内周面とフランジ部153aの外周面間の間隙127bを経て第2燃焼室122が室外と連通される。すると、第2燃焼室122内の排気ガスは、当該第2燃焼室122の容積が減少されることに伴い間隙127bを経て室外へと排出される。一方、燃焼室壁126の前進動作により、スライドエンドプレート129が固定エンドプレート175から離れ、それに伴い大気室171の容積が増大されるとともに、シール部材169が燃焼室用の吸気口165から抜け出し、当該吸気口165を開放する。また一方の電極133aがボール134から離れ、電気的接続が遮断される。
大気室171内の容積が増大されると、それに伴い当該大気室171内の圧力が低下する。その結果、大気室171内の圧力と、ハウジングキャップ106内の大気圧との圧力差によって当該ハウジングキャップ106内の空気が大気室用の吸気口161から吸入弁163を押し退けて吸入される。このとき、燃焼室用の吸入弁167は、燃焼室用の吸気口165の周縁部に密着され、第1燃焼室121内の排気ガスが大気室171内に流出(漏出)することを防止する。そして燃焼室壁126が前進端(ストロークエンド)に達した時点で、第2燃焼室122の容積が最小(零)となり、当該第2燃焼室122内の排気ガスが室外へと排出され、一方大気室171の容積が最大となり、当該大気室171内には新鮮な空気が貯留される。すなわち、図1に示す初期状態に復帰する。この初期状態への復帰時において、第2燃焼室122に突出しているパイプ状部材145の先端突出部145aは、ピストン155に設けた格納空間155bに収容される。
引き続いて釘打ち作業を遂行するべくコンタクトアーム111を被加工材Wに押し付けると、前述したように、燃焼室壁126が後退動作される。この状態が図5に示される。この燃焼室壁126の後退動作により、第2燃焼室122の容積が増大されるとともに、大気室171の容積が減少されるため、当該大気室171内の空気が圧縮されて燃焼室用の吸気口165から吸入弁167を押し退けて第1燃焼室121へと強制的に押し込まれる。この空気の第1燃焼室121への強制押し込みによって、当該第1燃焼室121内に残留する排気ガスは、連通孔125を通って第2燃焼室122へと押し出され、さらには間隙127bを経て室外へと排出される。すなわち、第1燃焼室121内に残留する排気ガスは、大気室171から流入する空気によって第2燃焼室122へと押し出された後、室外へと放出され、第1および第2燃焼室121,122の、いわゆる掃気が遂行されることとなる。この場合、隔壁部123の球面状部分123bには多数の連通孔125が配置されているため、第2燃焼室122内の全体にわたって空気が概ね均等に流れ込む。かくして、第1および第2燃焼室121,122内において、排気ガスから空気への入れ替えが円滑になされ、排気ガスの残留量が減少される。その結果、特に釘打ち込み作業を連続的に行うような場合においては、次回の第1および第2燃焼室121,122に噴射される燃料と空気との混合比の適正化を図る上で有効となる。
燃焼室壁126が後退端に達したとき(図2に示す状態)には、第1および第2燃焼室121,122内は、新鮮な空気によって満たされる。この場合、本実施の形態では、大気室171の最大容積を、第1および第2燃焼室121,122の最大総容積よりも大きく設定してある。このため、第1および第2燃焼室121,122内には、それらの容積を上回る容量の空気が送り込まれることとなり、第1および第2燃焼室121,122内の排気ガスを確実に室外に排出し、新鮮な空気と入れ替えることができる。
また燃焼室壁126が後退端に達したときは、電極(陽極)133aがボール134に当接し、当該ボール134、スプリング135および電気配線126を介して圧電素子138と電気的に接続され、点火動作が許容される。またシール部材169が燃焼室用の吸気口165に差し込まれて当該吸気口165をシールするとともに、吸入弁167の背面に当接することで当該吸入弁167に対する高圧の作用に備える。またスライドスリーブ127の小径部127aの内周面がシリンダ153のフランジ部153aの外周面にOリング154を介して摺接し、間隙127bを閉鎖する。これにより第2燃焼室122が密閉空間とされる。かかる状態で、トリガ107を引き絞り操作すると、その後は上述した動作が繰り返され、釘打ち作業が遂行されることになる。
上記のように、本実施の形態によれば、容積が変化しない第1燃焼室121と、容積が変化する第2燃焼室122とを有する燃焼室構造において、燃焼室壁126を前後に移動することによって、大気室171の容積を変化させ、第2燃焼室122内の排気ガスを室外へ排出した後、大気室171内に取り込んだ空気を第1燃焼室121内に強制的に送り込み、これによって第1燃焼室121内に残留する排気ガスを当該第1燃焼室121から第2燃焼室122を経て室外へ排出する構成としている。その結果、第1燃焼室121の容積を変化させることなく、第1および第2燃焼室121,122内の排気ガスを効率的に室外へ排出し、当該第1および第2燃焼室121,122内を新鮮な空気で満たすことが可能となる。
すなわち、本実施の形態では、燃焼室が第1および第2燃焼室121,122から構成される釘打機101において、混合気の燃焼効率を高めるべく、第1燃焼室121に点火用プラグ133を設けるとともに、当該第1燃焼室121内で点火部によって点火された混合気の燃焼面が隔壁部123の連通孔125に概ね同時に到達するように、隔壁部123が点火部を中心とする等半径の球面状部分123bを有する構成としている。このような構成では、第1燃焼室121の容積を変化(減少)させて排気ガスを排出することが困難となるが、本実施の形態によれば、第1燃焼室121から第2燃焼室122への火炎噴射を効率良く行うことで混合気の燃焼効率を高めるべく、第1燃焼室121を構成する隔壁部123の形状を半球面状に形成するという構成を維持しつつ排気ガスの排出作用を効果的に遂行することができる。
この場合、大気室171の最大容積を第1および第2燃焼室121,122の総容積よりも大きく設定してあるため、第1および第2燃焼室121,122にそれらの容積を上回る容量の空気を送り込むことによって、排気ガスと空気との入れ替えを確実に行うことができる。釘打ち作業を連続して遂行するような場合、すなわち短時間のうちに第2燃焼室122の容積の減少、増大が繰り返されるような場合、当該第2燃焼室122から排出された排気ガスがその出口周辺部に存在している可能性がある。そしてこの排気ガスが第2燃焼室122の容積が増大されるときに当該燃焼室に再び吸入される、すなわち逆流する可能性がある。本実施の形態では、第1および第2燃焼室121,122にそれらの容積を上回る容量の空気を送り込む構成とすることによって、いわゆる逆流防止手段を構成しているため、排気ガスの当該燃焼室への逆流を確実に防止することができる。また本実施の形態では、第1燃焼室121を容積が変化しない定常的な構成としたことにより、当該第1燃焼室121内の中央部に点火装置131あるいは燃料供給用のパイプ状部材145の湾曲部145bを配置設定することができる。これにより、第1燃焼室121に発生した火炎(可燃性ガスの燃焼面)が第2燃焼室122へ均等かつ効率よく噴射させることが可能となる。
また本実施の形態においては、球面状部分123bを貫通して第2燃焼室122内に突出されたパイプ状部材145の突出先端部145aを、当該突出先端部145aの中心線が当該第2燃焼室122の中心を通って長軸方向に延びる中心線上に位置するように配置し、そして図8に示すように、当該突出先端部145aに配設した燃料噴射孔143から燃料を第2燃焼室122の半径方向へと噴射する構成としている。このため、当該燃料が第2燃焼室122内における周方向領域の全体に亘って斑なく均等に供給することができる。その結果、燃料と空気の混合が効率的に行われ、ひいては燃焼効率を向上させることが可能となる。また燃焼によって生ずる燃焼圧力も燃焼室内における周方向領域につき均等化することで、燃焼室内の燃焼エネルギがバランスよくピストン部材に伝達されることになり、ピストン部材の安定した駆動が実現される。
また本実施の形態では、ピストン155にパイプ状部材145の先端突出部145aを収容可能な格納空間を設けたことによって、第2燃焼室122の容積が減少されたときの先端突出部145aのピストン155に対する干渉を回避することができる。特に本実施の形態によれば、先端突出部145aを第2燃焼室122の中心線上に配置する構成としたことにより、この配置に対応して格納空間155bもピストン155の軸中心に設定される。このため、ピストン部材の組み付け後において、たとえ当該ピストン部材が周方向に移動しても格納空間の位置が実質的に変化しないこととなり、位置ずれの問題が生じない。このことから、ピストン部材の組み付け性を向上することが可能となる。
また本実施の形態においては、点火装置131の電極133a,133b間に放電した際の可燃性ガスの着火性を向上するべく、燃料を点火装置131の点火部に向って噴射する構成において、図7に示すように、燃料を電極133bの背面に向けて噴射する構成としたことによって、当該燃料に混入されている大量の潤滑油が電極先端の放電部に直接に降り掛かることによる弊害を回避することができる。
なお本実施の形態は、燃焼室が第1および第2燃焼室121,122に区画された構成の釘打機101の場合で説明したが、単一の燃焼室から成立する構成の釘打機に適用してもよい。また本実施の形態は、釘打機の場合で説明しているが、いわゆるステーブルの打ち込み作業に用いられるタッカに適用可能である。
上記発明の趣旨に鑑み、以下の態様を構成することが可能とされる。
(態様1)
「請求項4に記載の燃焼式作業工具であって、
前記点火部は、中心電極と当該中心電極に間隙を置いて対向するよう延在状に配置される接地電極から構成されており、前記パイプ状部材は、前記球面状部分に沿う部位の燃料噴射孔から噴射される燃料が、前記接地電極の延在部分を挟んで前記中心電極に向けて噴射されるように配置されていることを特徴とする燃焼式作業工具。」
上記構成によれば、燃料に潤滑油が混入されている場合に、当該潤滑油が電極の先端部に直接に降り掛かることによる弊害を防止する上で有効となる。ここで「中心電極」とは、圧電素子138と接続される方の電極133aを指し、「接地電極」とはボディアースされる方の電極133bをいう。
本実施の形態に係る釘打機の全体構成を示す正面視一部断面図であり、ピストンが上死点に位置する初期状態を示している。 同じく釘打機の全体構成を示す正面視一部断面図であり、燃焼室壁が後退動作されて第2燃焼室の容積が最大に増大された状態を示している。 同じく釘打機の全体構成を示す正面視一部断面図であり、ピストンが下死点に移動された釘打ち込み完了状態を示している。 同じく釘打機の全体構成を示す正面視一部断面図であり、第2燃焼室の排気ガスの排出状態を示している。 同じく釘打機の全体構成を示す正面視一部断面図であり、第1燃焼室の残留排気ガスの排出状態を示している。 燃焼室周辺部の拡大断面図であり、第2燃焼室の容積が減少(あるいは増加)する途中状態を示す。 燃焼室周辺部の拡大断面図であり、第2燃焼室の容積が最大に増加された状態を示す。 図7のIIX−IIX線断面図である。
符号の説明
101 釘打機(燃焼式作業工具)
103 メインハウジング
104 内部空間
105 ハンドグリップ
106 ハウジングキャップ
106a 空間
106b 通気孔
107 トリガ
109 マガジン
110 射出部
111 コンタクトアーム
113 逆止弁
114 通気口
121 第1燃焼室(第1の燃焼室)
122 第2燃焼室(第2の燃焼室)
123 隔壁部(隔壁)
123a 平坦面部
123b 球面状部分
125 連通孔
126 燃焼室壁
127 スライドスリーブ
127a 小径部
127b 間隙
128 ネジ
129 スライドエンドプレート
131 点火装置
133 点火用プラグ
133a 一方の電極
133b 他方の電極
134 ボール
135 スプリング
136 電気配線
137 保持部材
138 圧電素子
141 燃料噴射装置
143 燃料噴射孔
145 パイプ状部材
145a 突出先端部
145b 湾曲部
146 燃料通路構成部材
147 燃料供給通路
149 燃料容器
151 駆動部
153 シリンダ
153a フランジ部
154 Oリング
155 ピストン(ピストン部材)
155a 球面状凹部
155b 格納空間
157 ピストンロッド
159 クッションラバー
161 大気室用の吸気口
163 吸入弁
165 燃焼室用の吸気口
167 吸入弁
169 シール部材
171 大気室
173 大気室壁
175 固定エンドプレート
177 固定スリーブ
179 Oリング

Claims (3)

  1. 燃焼室と、
    前記燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、
    前記燃焼室に配置された点火装置と、
    前記燃焼室に連接されたシリンダと、
    前記シリンダ内に摺動可能に収容されたピストン部材と、を有し、
    前記燃料噴射装置から前記燃焼室に噴射された燃料を当該燃焼室内の空気と混合させるとともに、この混合された可燃性ガスを前記点火装置により燃焼させ、これによって生じた燃焼圧力により前記ピストン部材を前進移動させて所定の加工作業を遂行する燃焼式作業工具であって、
    前記燃料噴射装置は、前記燃焼室内において、当該燃焼室内の中心を通って長軸方向に延びる中心線上に位置するように配置されるとともに、燃料を前記燃焼室の長軸方向と略直交する方向へと噴射するよう構成し、
    前記燃焼室を構成する燃焼室壁が、当該燃焼室に空気を導入し、あるいは排気ガスを排出するべく移動する構成とされるとともに、当該燃焼室壁に前記燃料噴射装置が装着されており、前記ピストン部材には、前記燃焼室壁が前記燃焼室の容積を減少する方向に移動されたときに、前記燃料噴射装置を収容する格納空間が設けられていることを特徴とする燃焼式作業工具。
  2. 請求項に記載の燃焼式作業工具であって、
    前記燃焼室を第1の燃焼室と第2の燃焼室とに区画する隔壁を有し、当該隔壁は前記点火装置を中心とした球面状部分、および当該球面状部分に配設されて第1の燃焼室と第2の燃焼室とを連通する多数の連通孔を有し、前記点火装置によって前記第1の燃焼室内の可燃性ガスが燃焼される際、当該第1の燃焼室内における可燃性ガスの燃焼面が前記各連通孔に対し概ね同時に到達するよう構成されていることを特徴とする燃焼式作業工具。
  3. 請求項に記載の燃焼式作業工具であって、
    前記燃料噴射装置は、パイプ状部材によって構成され、当該パイプ状部材は、前記球面状部分の内周面に沿って第1の燃焼室に配置されるとともに、当該球面状部分の中心を貫通して前記第2燃焼室に突出されており、前記パイプ状部材の前記球面状部分に沿う部位には、燃料を前記第1の燃焼室に配置される前記点火装置に向けて噴射する燃料噴射孔が設けられ、前記パイプ状部材の前記第2の燃焼室に突出した突出部位には、燃料を第2の燃焼室の長軸方向と略直交する方向へと噴射する燃料噴射孔が設けられていることを特徴とする燃焼式作業工具。
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