JP4263859B2 - 蓄電池の保守管理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信設備、情報システム、制御システム、社会インフラ設備等に用いられる電源装置の停電対策として非常時に電力を供給する蓄電池の使用中の品質を遠隔地から診断して蓄電池の品質を良好な状態に維持し電源装置を高い品質に維持する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電話などの通信設備、コンピュータなどの情報システムや制御システム、消防設備、照明設備などの社会インフラ設備では、これらのシステムや機器に電力を送る電源装置は、商用電源が停電しても停止しないようにする為に、蓄電池が設けられている。この蓄電池は、電源装置で利用するために蓄電池の最小単位である単位蓄電池を複数個直列にして用いられている。
【0003】
この電源装置に用いられる蓄電池は、近年では従来の液式鉛蓄電池、例えばベント型据置鉛蓄電池から密閉鉛蓄電池、例えば制御弁式据置鉛蓄電池となり、電解液の補充等の必要はなくほとんど無保守で使用することが可能となっている。また、製造技術等の進歩により、蓄電池自体の寿命も長くなり、数年〜十数年使用することが可能となっている。
【0004】
ところで、蓄電池の寿命が長くなったとはいえ、寿命があることには変わりがなく、寿命になる前に適切に交換を行うことは重要である。このため、蓄電池の使用に際してはガイドラインとして耐用年限を設定し、耐用年限を過ぎた蓄電池を交換することが一般に行われてきた。
【0005】
蓄電池の寿命は、使用環境温度、充放電の条件などの使用環境により変動するほか、同じ場所で使用されている蓄電池でも、早く寿命になるものもあれば、長い寿命を持っていると思われるものもある。従来の手法は寿命のばらつきを無視して交換しているわけで、不経済な処置をしていたと言える。
【0006】
従来の液式蓄電池の場合、蓄電池電圧や電解液の比重や、液量、その他を測定することで、ある程度蓄電池の寿命を判断することができた。しかし、制御弁式据置鉛蓄電池は、液の補充、触媒栓の交換のような、従来の蓄電池では不可欠であった保守業務は不要となった反面、保守業務により蓄電池の寿命を判断することが困難になった。
【0007】
蓄電池を含む電源装置は、通常時は商用電源からエネルギーを得て電力を供給しており、蓄電池の容量が減少しても全く支障をきたさない。一方、停電が発生したときに初めて容量不足などの問題点が顕在化するので、制御弁式据置鉛蓄電池では液式蓄電池以上に保守に注意する必要が生じる。
【0008】
そこで、蓄電池の品質を確認するために、蓄電池電圧の計測や、目視点検などは一般的に行われている。従来の蓄電池のように保守に手間がかからなくなったとはいえ、使用中の品質劣化が皆無とはいえないからである。しかし、この点検方法では、蓄電池の寿命などを判断できない。その理由は、電圧の測定では残存容量が判らないからである。
【0009】
蓄電池の品質を確認するための方法については、蓄電池の寿命、例えば蓄電池容量の減少を判断する手法も進歩し、蓄電池の内部抵抗が蓄電池の残存容量と強い相関があることが判明し、内部抵抗の測定が一般化しつつある。可搬形の蓄電池内部抵抗測定器もあり、これで定期的に内部抵抗を測定する方法も知られている。
【0010】
しかし、この内部抵抗測定器は、非常に取り扱いが面倒で、測定の度に値が異なるなど、信頼度が十分ではなく、測定された内部抵抗は、蓄電池の劣化以外の要素によっても影響を受けている可能性もある。また、内部抵抗と容量の関係は、蓄電池の製法や組成などの要素により変動するので、内部抵抗が一定値を越えた場合でもすべての蓄電池が劣化しているとは限らず、単に内部抵抗測定器を用いても、蓄電池についての製法や組成などの情報が明らかでない場合、蓄電池の劣化について精度の高い判断をすることは不可能に近い。
【0011】
また、単位蓄電池を複数直列接続して構成された蓄電池全体の内部抵抗を測定する方法が知られているが、この方法では蓄電池の寿命を把握することは実際に不可能である。すなわち、蓄電池の内部抵抗は、単位蓄電池ごとに測定しなければならない。
【0012】
ところで、単位蓄電池ごとに測定を行う場合、蓄電池に使用される単位蓄電池の数は数十個となることもあり、測定に手間がかかるので、頻繁に測定することはできず、測定回数は多くても年1回程度であり、蓄電池の取替をこの結果で行うとしても、かなり余裕をみて行わなければならない。また、突然起こるような障害には対応することができない。
【0013】
また、蓄電池の寿命は、使用環境、とりわけ周囲温度には大きく影響を受けるが、この温度改善についても大きな注意が払われていないことが多い。蓄電池の寿命は、使用温度が10度上昇すれば1/2になると言われており、この改善も大変重要な事項であるが、常時監視をしない従来の方法では何もできていないのが実状である。
【0014】
上述のとおり、蓄電池の内部抵抗を測定すれば、蓄電池の容量がわかる。一般に蓄電池の内部抵抗が蓄電池の型式や容量で固有に決まる値より大きくなると、その蓄電池は寿命であると判定する考え方である。
【0015】
しかし、抵抗値は、同じ型式の蓄電池でも、製造プロセスでのばらつき等の影響で、全て同じ値となるわけではなく、蓄電池の内部抵抗を定期メンテナンス時に測定しようと試みてきたが、蓄電池の内部抵抗が約0.1〜5mΩ程度と小さい為、測定器と蓄電池の間の接触抵抗などの影響で測定値がばらつくなど、信頼度に欠ける欠点があり、次第に現状の抵抗測定装置のみで判断するのは困難との認識が広がってきた。
【0016】
そして、蓄電池の寿命等の実際の判断に際しては、内部抵抗の経時変化や、固有の特性を把握したり、温度の経時変化などを測定して数理的な推論をして判断しなければ、正しい結果を得られないことがわかってきた。
【0017】
また、従来の手法を用いて単位蓄電池ごとの内部抵抗を測定する為には、その蓄電池の現場に行く必要があり、そのためのコストも大きく、従来技術では単位蓄電池ごとの内部抵抗の経時変化の測定は事実上不可能である。また、温度の管理は、常時温度を監視して問題点を把握しなければ、実質的な対策は不可能である。
【0018】
近年では、蓄電池の使用者が蓄電池の内部抵抗測定装置を購入して測定しようとする例が増えているが、内部抵抗の測定結果を正確に解析可能な専門家が関与しない場合には、前述のとおり内部抵抗の測定データが測定のたびに変動するため、信頼性を維持することは困難である。すなわち、この変動因子を除去して、真に寿命要素のみを取り出すことが必要となっている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
一方、実際の蓄電池の使用者の多くは、特定の単位蓄電池の交換が必要であるという結果や、寿命を長くするための方策などの専門家の見解を望んでおり、それにより最適な保全を実施したいという意向を持っており、蓄電池の内部抵抗測定装置を購入して測定しようとしているのは、専門家の見解が望めない場合のやむを得ない措置であることが判明した。
【0020】
現在、蓄電池の使用者のなかには、蓄電池メーカーと保守契約を結び、蓄電池の定期的な診断を実施している例もある。瞬間的に大きな放電電流を流して電圧降下を測定したり、内部抵抗を慎重に測定したりして、蓄電池の問題の有無をある程度診断できているが、蓄電池を負荷から切り離して測定する必要があるなど、自動化が困難なため、人為的に診断する必要があり、そのためにかかるコストは著しく高い。
【0021】
また、この診断を行う専門家は現時点では存在せず、仮にあったとしても、診断の手法や、解析方法などは、従来の延長上にあり、かけた費用に比べて効果は乏しく、有効なビジネスとして発展していないのが現状である。
【0022】
このため、蓄電池の定期的な診断は、電源の停止が、人命に関わるような用途、莫大な損失を被る分野、社会不安を引き起こすような分野など、重要な用途・分野に限られていた。その上、蓄電池の交換は、耐用年限が来たら交換するという前述の従来手法が取られている。しかし、インターネットなどの通信の用途は今や重要な用途となっており、低廉なコストで蓄電池の使用品質を適切な状態に維持することは、今後の高度情報化社会では不可欠となりつつある。
【0023】
このように蓄電池には色々な課題があり、従来は蓄電池に対する適切な診断ができていなかったため、結果的にメーカーが設定した耐用年限にて新品と交換すること以外の手法をとることができなかった。
【0024】
蓄電池は、電源装置の構成要素のうちでも特に重要な設備であるため、使用者が大掛かりな電池診断システムなどの設備投資をすることなく、蓄電池の使用環境改善や、寿命期の近い蓄電池の有無等の情報を得て最適な保全が経済的にできるようにすることが、前述のとおり強く求められている。
【0025】
しかし、蓄電池の内部抵抗などを負荷に接続したまま常時測定する装置は、現時点では通信費用やコンピュータが安くなったとはいえ、決して安価なものではなく、蓄電池の使用者がこの装置を導入するには、多額の投資に対する決済を必要とし、蓄電池の状態が判るとはいえ、蓄電池の診断・判断にはなお専門的な知識を必要としており、このような設備を導入するよりも、早めに電池交換を行う方が安心であるとの考え方になり、この装置の導入の弊害になっていた。
【0026】
そこで、本発明では、蓄電池の使用状態を単位蓄電池ごとにオンラインで正確に把握し、データの解析を行って蓄電池の使用環境や単位蓄電池ごとの寿命を判断する蓄電池の最適な保守管理方法を、安価な費用で実現する手法を提案することにある。
【0027】
【問題を解決するための手段】
請求項1の発明は、電源装置に用いられ、単位蓄電池を複数直列接続して構成された蓄電池の保守管理方法において、前記蓄電池の各単位蓄電池の使用状態を常時監視して外部に測定データを発信する監視装置と、前記監視装置から発信された前記測定データをインターネット等の通信回線を経由して受信して蓄積するサーバと、前記サーバからの前記測定データの転送を受けて前記測定データの解析診断を行う診断装置を内部に有する管理センタとを備えた保守管理システムを用いて、保守管理が必要な単位蓄電池を特定するとともに、前記測定データの解析診断結果を前記管理センタから前記電源装置の使用者に自動的に報告すると共に、前記測定データの解析診断結果を用いて、前記電源装置への入力電 圧が停止した際に、給電可能時間を前記電源装置の使用者に自動的に報告することを特徴としている。
【0028】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記測定データの解析診断結果を、前記管理センタから前記蓄電池の供給者に自動的に報告することを特徴としている。
【0029】
なお、本発明において、前記電源装置の使用者が、前記蓄電池の測定診断と報告を得る為の監視装置、通信回線、データを蓄積するサーバ、測定データの解析を行う管理センタからなる蓄電池の保守管理システムを有する保守管理業者と契約することにより蓄電池の保守管理の情報を得るようにすることが望ましい。
【0030】
すなわち、請求項1の発明は、蓄電池の単位蓄電池ごとの内部抵抗測定機能を有する監視装置、通信機器、インターネット等のネットワーク、診断装置などを備えた保守管理システムを用いて、蓄電池の単位蓄電池ごとの保守管理サービスが常時提供可能となる体制を容易かつ低コストで整備することを可能とするものであり、停電が発生したとき、監視装置からのデータにより蓄電池の容量の最新値が判っているので、この最新値から負荷電流と容量係数曲線、温度から蓄電池の給電可能時間を容易に算出することができることを利用し、この計算結果を管理センタからネットワークを介して電源装置の使用者に自動的に報告することで、電源装置の使用者が停電対策を迅速に行うことを可能とするものである。
【0031】
また、請求項2の発明は、蓄電池の取替えを速やかに実施し、蓄電池の問題の迅速な解決を実現することを可能とするものである。
【0032】
従来は、全ての蓄電池を一度に交換する方法が一般的であったが、悪くなった蓄電池を対象に交換していくこともでき、全体として蓄電池の寿命を長くすることになり、省資源と環境改善にも大きく貢献できる。また、通常時の運用では、温度の管理を強化すれば、蓄電池の寿命を長くすることもでき、蓄電池に関する設備コストを低減することもできる。
【0033】
具体的には、本発明の保守管理方法を用いて、保守管理業者が保守契約を蓄電池の使用者と取り交わし、各単位蓄電池の取替え時期などの保全情報や、蓄電池の使用環境改善推奨事項などを使用者に自動的に報告するサービスを提供することで、蓄電池の使用者が自前で設備投資するのに比べて、安い費用と高い専門的判断能力で判断が可能となり、蓄電池の使用者の満足度を高めることが可能となる。
【0034】
管理センタは、多くのデータを取り扱い、統計的かつ数理的にデータを解析し、かなりの精度で蓄電池の余寿命を予測した内容や、測定データの解析診断結果を、管理センタから蓄電池の供給者に自動的に報告することにより、無駄なく、安全なタイミングで単位蓄電池の交換を行うことが可能となり、蓄電池の使用者の満足度をより高めることが可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は本発明の蓄電池の保守管理方法に用いられる蓄電池管理システムの全体構成の一例を示す概略説明図である。図1において、蓄電池設置場所1内には、負荷設備2、電源装置3、蓄電池4、監視装置5、無線通信部6、有線通信部7、表示部8がある。
【0036】
負荷設備2は、電源装置3に接続されている。電源装置3は、通常は蓄電池4に充電しながら負荷設備2に電力を送り、停電等の場合には蓄電池4に充電されていた電力を負荷設備2に送るものである。蓄電池4は、電源装置3で利用するために蓄電池4の最小単位である単位蓄電池を複数個直列にして用いられる。
【0037】
監視装置5は、蓄電池4の各単位蓄電池の内部抵抗をオンラインで測定する機能と、蓄電池4の設置された箇所の使用環境温度を測定する機能と、測定データを無線通信部6または有線通信部7に発信する機能とを有する。
【0038】
また、図1において、通信網9に接続された無線基地局10は、無線通信部6との間で通信可能となっている。また、有線通信部7は直接有線で通信網9に接続されている。尚、表示部8は蓄電池設置場所で各種データを見る為の表示部である。
【0039】
また、図1において、11はサービスプロバイダ、12はサーバ、13は管理センタ、14は診断装置である。ここで、サーバ12はサービスプロバイダ11内に設置されているが、管理センタ13内に設置されていてもよい。ここで、サーバ12および診断装置14は、通信網9に接続されている。なお、実用上は、無線通信部6または有線通信部7のいずれか一方があれば十分である。尚、15は停電検知装置で、電源装置3に接続された商用電源の停電を検知するもので、その情報は、監視装置5へ送られる。
【0040】
診断装置14は、サーバ12から転送された測定データを受信し、解析診断して蓄電池4のメンテナンスの要否等を判定する。
【0041】
次に、監視装置5のブロック図の一例を図2に示す。図2において、監視装置5は、データ測定部21とデータ処理部22とからなる。
【0042】
また、データ測定部21は、アナログ信号、デジタル信号相互間の変換を行うコンバータ211と、蓄電池4の各単位蓄電池の内部抵抗を測定する内部抵抗検出手段212と、蓄電池4の使用環境温度を測定する温度検出手段213とからなる。ここで、内部抵抗検出手段212は停電検知機能を有していてもよく、温度検出手段213は使用環境温度の代わりに、蓄電池温度を検出するようにしてもよい。
【0043】
コンバータ211は、内部抵抗検出手段212に定電流を供給可能とするためのデジタル信号をアナログ信号に変換し、内部抵抗検出手段212および温度検出手段213により測定されたデータをアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0044】
内部抵抗検出手段212には、蓄電池4の各単位蓄電池の内部抵抗が測定可能となるように内部抵抗センサ214が接続され、温度検出手段213には、蓄電池4の使用環境温度が測定可能となるように温度センサ215が接続されている。また、蓄電池の内部抵抗測定方法としては、蓄電池に一定の交流電流を印加し、その際に各蓄電池端子間に生じる交流電圧を測定し、該電流と電圧から個々の蓄電池の内部抵抗を演算して求めることが出来る。
【0045】
また、データ処理部22は、演算部221、記憶部222、インターフェイス部223、表示制御部224からなる。
【0046】
演算部221は、記憶部222に記憶されたプログラムに基づきコンバータ211に、蓄電池4の各単位蓄電池の内部抵抗および蓄電池4の使用環境温度の測定を開始させるための信号を発信する。また、コンバータ211からの測定データを受信し、記憶部222に記憶するとともにインターフェイス部223に発信する。
【0047】
記憶部222は、演算部221を動作させるためのプログラムを格納する機能と、演算部221がコンバータ211から受け取ったデータを格納する機能とを有する。
【0048】
インターフェイス部223は、監視装置5の外部との接続を行うためのもので、例えばイーサネットコントローラ、RS−232C、SCSI等のインターフェイスが用いられる。イーサネットコントローラを用いた場合は有線通信部7を経由して通信網9に接続することが可能であり、その他のインターフェイスを用いた場合は、無線通信部6および無線基地局10を経由して通信網9に接続することが可能である。また、インターフェイス部223には、監視装置5を複数用いる場合のインターフェイスも含まれる。
【0049】
表示制御部224は、監視装置5の設置場所で作業者が蓄電池4の状態を確認するために用いられる。また、監視装置5にパーソナルコンピュータ等を接続して表示制御部224の代用とすることも可能である。蓄電池4の状態を確認することもできる。表示制御部224の制御は演算部221により行われる。また、表示制御部224には、操作キー225、発光ダイオード226、ブザー227、表示器228が接続されており、作業者が操作キー225を操作することにより、発光ダイオード226、ブザー227、表示器228が作動する。
【0050】
次に、本実施形態における蓄電池管理の流れを説明する。図3は、本発明の蓄電池の保守管理方法における電源装置設置後の流れの一例を示す説明図である。図3は、建物1を利用する顧客(蓄電池の使用者)と、管理センタ13を運営する業者(保守管理業者)との関係を示している。なお、図3において、費用の支払い等の流れは省略している。
【0051】
ここで、図3を用いて蓄電池管理の流れを説明する。以下の説明において、符号は図1または図2中の符号を意味する。
【0052】
まず、監視装置5から通信網9を介してサーバ12に測定データが送信される。サーバ12は測定データを診断装置14に転送する。
【0053】
次に、診断装置14は測定データを解析診断し、メンテナンスの要否を判定する。メンテナンス不要(N)であると判定した場合は、診断処理を終了し、次の測定データが転送されるまで待機する。
【0054】
診断装置14がメンテナンス要(Y)であると判定した場合は、さらに蓄電池4の交換の要否を判断する。蓄電池4の交換が不要(N)であると判断した場合は、診断装置14からサーバ12に向けて蓄電池のメンテナンスに関する情報を自動的に送出して顧客側に蓄電池のメンテナンスの必要があることを報告するとともに、管理センタ13の作業者が顧客側の建物1内の蓄電池4のメンテナンスを行う。なお、メンテナンスの際には、図2に示した監視装置5の操作キー225を操作して測定データを確認する。
【0055】
診断装置14が蓄電池4の交換が必要(Y)であると判断した場合は、診断装置14からサーバ12に向けて蓄電池の交換に関する情報を自動的に送出して顧客側に蓄電池4の交換の必要があることを報告するとともに、管理センタ13の作業者が、顧客側の建物1内の蓄電池4のうち交換対象となる旧単位蓄電池40と新単位蓄電池41との交換を行い、旧単位蓄電池40を回収する。なお、蓄電池4の交換の際には、図2に示した監視装置5の操作キー225を操作して測定データを確認し、蓄電池4のうち交換すべき旧単位蓄電池40を確認する。交換作業後にも監視装置5の操作キー225を操作し、単位蓄電池交換後の測定データに異常がないことを確認する。
【0056】
ここで、実際に得られたデータが、データ処理部22で定めた基準値を超えたときは、監視装置5から管理センタ13へその旨の情報が発信され異常が発生したことを告知される。この情報を電子メールの様式で発信することで、たとえば携帯電話でも受けることが可能になっており、蓄電池を管理する人々のいかなる状態にも関わらず確実な判断材料を提供することができる。
【0057】
ここで、蓄電池4の交換が必要な場合には、診断装置14から図示しない蓄電池の供給者に測定データの解析診断結果を自動的に報告可能とすることが望ましい。このようにすると、単位蓄電池の交換を迅速に行うことが可能となる。
【0058】
上述のように、本実施形態は、蓄電池4の交換を単位蓄電池ごとに行うことが可能となるため、蓄電池4の各単位蓄電池の耐用年数を考慮することなく、蓄電池4の寿命の実質的な管理を正確に行うことが可能となる。また、さらに蓄電池4の交換に伴うコストを低減させることが可能となり、顧客満足度を高めることが可能となる。
【0059】
なお、本発明の実施形態は上述したものに限られず、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。たとえば、監視装置5を複数用いて蓄電池4の各単位蓄電池の内部抵抗を測定したり、無線通信部6を携帯電話のようなものとして無線基地局10に既設の基地局を用いたりすることが可能である。
【0060】
また、蓄電池4の使用環境温度が最適な範囲をはずれているなどの場合には、診断装置14からサーバ12に向けてその旨の情報を送出することで、作業者によるメンテナンスを省略することも可能である。
【0061】
ところで、本実施形態では、蓄電池を監視するために、インターネットなどのネットワークと接続された監視装置を取り付ける必要があることは、上述のとおりである。過去においては、このような監視装置等は設備投資対象として、蓄電池の使用者が購入しているのが実情であった。
【0062】
しかし、蓄電池の使用者が監視装置等を購入する場合であっても、測定結果の解析は、管理センタで行う必要があり、使用者に提供しているのは、診断結果であるため、この監視装置等の所有者は、蓄電池の保守管理業者であることが望ましい。
【0063】
また、蓄電池のフィールドに於ける挙動の全ては解明されておらず、さらに、この解析を通して蓄電池の品質改善に寄与することなどを考えると、高度な専門技術領域に属し、蓄電池の使用者のみでは判断が困難となる。そこで、蓄電池の使用者は、蓄電池の保守管理業者と契約を結び、信頼できる情報を低コストで、かつ容易にこのサービスを受けることができる。
【0064】
一方、蓄電池の製造業者については、蓄電池のフィールドデータの把握ができず、適切な品質改善ができにくい状態にあったが、フィールドから得られたデータの提供を受けて、製造の品質データと照合することで、製造の品質改善にも繋がり、一層の蓄電池の改善に貢献することが可能となる。
【0065】
蓄電池の故障は、経年変化による容量低減ばかりでなく、蓄電池極板間に入っているセパレータの貫通や極柱の腐食による断線など色々なモードがあり、特定の蓄電池が使用不能になることもある。この様な極端な異常に対しては監視装置から蓄電池の保守管理者、管理センタ等に緊急の情報が自動発信されるようにして速やかに対策を行う体制を発動することもできる。
【0066】
また、停電が発生した場合、停電検知装置15で検知し、この信号が監視装置5を経て管理センタ13に送信され、蓄電池が給電できる時間を算出して、蓄電池の保守管理業者などへ情報を出すこともできる。しかも、停電が継続している場合は、継続時間と、その時点の今後の給電できる時間を一定時間おきに報告することもできる。このデータは、当該蓄電池の置かれた環境下のものであり、適切な判断業務に役立つ。
【0067】
このようにすることで、蓄電池の使用者は、監視装置等の設備投資をする必要もなく、意志決定も速まり、蓄電池の保守管理の改善を行うことができる。
【0068】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、電源装置に用いられる蓄電池の各単位蓄電池の耐用年数を考慮することなく、蓄電池の寿命の実質的な管理を正確に行うことが可能となる。また、本発明が提供する温度管理改善などの改善アイテムを実行することで蓄電池の耐用期間を長くすること可能になる。
【0069】
さらに、蓄電池のメンテナンスおよび交換に伴うコストを低減させることが可能となり、顧客満足度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の蓄電池管理システムの全体構成の一例を示す概略説明図である。
【図2】 本発明で使用される監視装置の一例を示す概略説明図である。
【図3】 本発明の蓄電池管理システムにおける電源装置設置後の蓄電池管理方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 蓄電池設置場所
2 負荷設備
3 電源装置
4 蓄電池
5 監視装置
6 無線通信部
7 有線通信部
9 通信網
10 無線基地局
11 サービスプロバイダ
12 サーバ
13 管理センタ
14 診断装置
21 データ測定部
22 データ処理部
211 コンバータ
212 内部抵抗検出手段
213 温度検出手段
214 内部抵抗センサ
215 温度センサ
221 演算部
222 記憶部
223 インターフェイス部
224 表示制御部
225 操作キー
226 発光ダイオード
227 ブザー
228 表示器
40 旧単位蓄電池
41 新単位蓄電池
Claims (2)
- 電源装置に用いられ、単位蓄電池を複数直列接続して構成された蓄電池の保守管理方法において、
前記蓄電池の各単位蓄電池の使用状態を常時監視して外部に測定データを発信する監視装置と、前記監視装置から発信された前記測定データを有線又は無線の通信網等の通信回線を経由して受信して蓄積するサーバと、前記サーバからの必要な測定データの収集を行い前記測定データの解析診断を行う診断装置を内部に有する管理センタとを備えた保守管理システムを用いて、保守管理が必要な単位蓄電池を特定するとともに、前記測定データの解析診断結果を前記管理センタから前記電源装置の使用者に自動的に報告すると共に、前記測定データの解析診断結果を用いて、前記電源装置への入力電圧が停止した際に、給電可能時間を前記電源装置の使用者に自動的に報告することを特徴とする蓄電池の保守管理方法。 - 前記測定データの解析診断結果を、前記管理センタから前記蓄電池の供給者に自動的に報告することを特徴とする、請求項1記載の蓄電池の保守管理方法。
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