JP4263425B2 - 薬剤分配装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、手撒きによる仕分けを必要とする薬剤(散薬、錠剤)を分配するために用いられる薬剤分配装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、使用頻度の高い散薬や錠剤(以下、まとめて「薬剤」という。)については、処方箋に基づきかかる薬剤を自動的に分配、包装する装置(分包装置)が知られている。
しかし、使用頻度の低い薬剤、あるいは非定形の薬剤等については、自動的に分配、包装することが、薬剤の衛生上あるいは装置の構成上困難であるため、かかる場合には、処方箋ごとに、手撒きによる分配作業が必要となる。
【0003】
上記のような場合に用いられる(いわゆる、手撒き用の)薬剤分配装置としては、例えば、特開昭60−148402号公報に記載された装置(以下、「第一従来技術」という。)が知られている。
この第一従来技術にかかる装置は、錠剤バケットに設けた多数の桝目の下底に底板を兼ねた開閉シャッタをそれぞれ設け、この錠剤バケットを支持枠体に摺動可能に構成されたものであって、錠剤バケットを一桝ごとに前進摺動させることによって、各開閉シャッタが支持台から解放されて開き、後進摺動させることによって、各開閉シャッタは閉じるように構成されている。つまり、かかる従来技術によれば、この錠剤バケットの前進摺動によって、桝目中の薬剤を下方に落下させて、桝目ごとの薬剤の分配を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述第一従来技術にかかる薬剤分配装置においては、錠剤バケットを構成する全ての桝目に収容されている薬剤を落下、分配するためには、錠剤バケットを摺動させる際の領域として、錠剤バケットの全長の少なくとも2倍以上が必要となる。
すなわち、第一従来技術にかかる薬剤分配装置を用いる場合には、装置の設置に多大なスペースが必要となるため、かかる分配装置を包装装置と組み合わせたり、分配装置と包装装置とを含んだ分包装置に使用しようとする場合には、設置スペースあるいは収容スペース(装置自体)が大きくなるという問題があった。
【0005】
ここで、上記設置スペースおよび装置の大型化を解決する手段としては、例えば、特公平6−37202号公報に示された装置(以下、「第二従来技術」という。)が知られている。
しかしながら、この第二従来技術にかかる装置は、蓋板を保持するための保持手段や蓋板を起動させるための蓋板起動部材(複数の爪)等を設ける必要があるため、装置およびかかる装置の制御が複雑化するという問題があった。また、これらの蓋板の保持手段や蓋板起動部材を必要とするため、それほどの小型化は望めない。つまり、かかる第二従来技術においては、装置および制御が複雑化することによって、コストアップや、清掃およびメンテナンスに長時間を要する等の新たな問題を生じ、装置の大型化の抜本的な解決を図ることができなかった。
【0006】
そこで、本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、比較的簡単な構成に基づき、装置の小型化を実現することが可能な薬剤分配装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術にかかる問題を解決するためになされた薬剤分配装置であって、本発明の第一態様は、薬剤を収容し得る複数の分配桝を有する薬剤収容トレイと、前記薬剤収容トレイの下方にて移動可能なシャッタ機構とを備え、前記各分配桝の底部には、前記分配桝の底部を閉塞可能であると共に、重力によって下向きに回動して前記分配桝の底部を開放可能な蓋体がそれぞれ設けられており、前記シャッタ機構は、前記分配桝の各底部を閉塞すべく前記蓋体の支持を行うと共に、移動に応じて前記分配桝の各底部を開放すべく前記蓋体に対する支持を順番に解除可能に構成され、可撓性材料からなる蓋体開閉部と、少なくとも前記薬剤収容トレイの投影面領域内に位置する前記蓋体開閉部については前記薬剤収容トレイに対して略平行に移動させ、前記薬剤収容トレイの投影面領域外に位置する前記蓋体開閉部については前記薬剤収容トレイに対して下方側に移動させるように、蓋体開閉部が取付けられる無端環状のベルト部を備える開閉部移動手段とを用いて構成されており、前記蓋体開閉部は、前記薬剤収容トレイの各分配桝底部に設けられた前記蓋体の全てを支持した状態から、前記薬剤収容トレイに対して略平行に移動し、前記ベルト部の環状形状に沿って撓みながら、前記薬剤収容トレイの下方位置に移動することによって、前記蓋体を一つずつ開放可能に構成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の第一態様にかかる薬剤分配装置においては、前記薬剤収容トレイが、前記複数の分配桝の各底部を開閉可能な前記蓋体を有し、かかる蓋体が、前記薬剤収容トレイの下方にて移動可能なシャッタ機構の前記蓋体開閉部の動きおよび重力によって開閉すべく構成されており、かかる蓋体開閉部が、前記薬剤収容トレイの投影面領域外に位置する場合には、前記蓋体開閉部は前記薬剤収容トレイに対して下方側に移動させられるべく構成されている。つまり、本態様においては、前記蓋体の開閉は前記蓋体開閉部による支持状態(蓋体開閉部の動き)のみによって左右され、かかる蓋体開閉部は前記開閉部移動手段によって前記薬剤収容トレイの下方側に移動させられる。より具体的には、本発明によれば、前記蓋体開閉部を前記薬剤収容トレイの下方側に適切に移動させ、前記薬剤収容トレイは静止した状態にて薬剤の分配が行われるため、薬剤分配装置の移動領域(本発明においては前記開閉部移動手段にて移動させられる前記蓋体開閉部の移動領域)を第一従来技術(第一従来技術においては錠剤バケットの移動領域)よりも、小さくすることができる。つまり、第一従来技術は、分配開始時から終了時まで、錠剤バケットを平行に移動させるのに対して、本発明は、前記薬剤収容トレイの投影面領域外に位置する前記蓋体開閉部については前記薬剤収容トレイに対して下方側に移動させるので、移動領域の減少を図ることができる。したがって、本態様によれば、前記蓋体の開閉を前記蓋体開閉部等の簡単な構成に基づいて実現し、前記蓋体開閉部を前記薬剤収容トレイの下方側に移動させることによって装置の小型化を実現可能である。
また、前記蓋体開閉部を前記薬剤収容トレイの下方側に適切に移動させるべく、無端環状のベルト部を用いて前記開閉部移動手段が構成されているため、上述したように、前記薬剤収容トレイを静止した状態で、薬剤分配装置の移動領域(この好ましい構成においては前記開閉部移動手段にて移動させられる前記蓋体開閉部の移動領域)を第一従来技術(第一従来技術においては錠剤バケットの移動領域)よりも小さくして薬剤の分配を行うことができる。
また、前記蓋体開閉部が可撓性材料を用いて構成されているため、前記開閉部移動手段を用いて前記蓋体開閉部を移動させる際において、前記蓋体開閉部を前記薬剤収容トレイの下方側に容易に移動させることができる。
【0009】
また、本発明の第二態様は、薬剤を収容し得る複数の分配桝を行列状態に配置した薬剤収容トレイと、前記薬剤収容トレイの下方にて移動可能なシャッタ機構とを備え、前記各分配桝の底部には、前記分配桝の底部を閉塞可能であると共に、重力によって下向きに回動して前記分配桝の底部を開放可能な蓋体がそれぞれ設けられており、前記シャッタ機構は、前記分配桝の各底部を閉塞すべく前記蓋体の支持を行うと共に、移動に応じて前記分配桝の各底部を開放すべく前記蓋体に対する支持を順番に解除可能に構成され、可撓性材料からなる蓋体開閉部と、少なくとも前記薬剤収容トレイの投影面領域内に位置する前記蓋体開閉部については前記薬剤収容トレイの行方向に平行移動させ、前記薬剤収容トレイの投影面領域外に位置する前記蓋体開閉部については前記薬剤収容トレイに対して下方側に移動させるように、蓋体開閉部が取付けられる無端環状のベルト部を備える開閉部移動手段とを用いて構成されており、前記蓋体開閉部は、前記薬剤収容トレイの各分配桝底部に設けられた前記蓋体の全てを支持した状態から、所定間隔行方向平行移動し、前記ベルト部の環状形状に沿って撓みながら、前記薬剤収容トレイの下方位置に移動することによって、一の前記蓋体を開放可能とすべく、前記分配桝を閉塞している前記蓋体の行方向の幅内に、一行中の列数に対応した段数の階段状端部を有すべく構成されていることを特徴としている。
【0010】
本発明の第二態様にかかる薬剤分配装置は、行列状態に配置した複数の分配桝、および各分配桝の底部を開閉可能な蓋体を有する薬剤収容トレイと、前記蓋体の開閉状態を司る蓋体開閉部、および前記蓋体開閉部を移動させ得る開閉部移動手段を有するシャッタ機構とを用いて構成されている。そして、前記蓋体開閉部は、行列状態に配置された前記分配桝底部に設けられた前記蓋体を、移動に応じて一つずつ順番に開放可能な形状(所定間隔の行方向への平行移動によって一の前記蓋体を開放可能とすべく、前記行方向の前記蓋体の幅内に一行中の列数に対応した段数の階段状端部を有する形状)に形成されている。したがって、本態様によれば、行列状態に配置した複数の分配桝を有する薬剤収容トレイを有する場合であっても、上述した形状を有する蓋体開閉部と、基本的に第一態様の場合と同様に機能する蓋体、蓋体開閉部、および開閉部移動手段等とを有することによって、前記蓋体の開閉は前記蓋体開閉部による支持状態(蓋体開閉部の動き)のみによって左右され、かかる蓋体開閉部は前記開閉部移動手段によって前記薬剤収容トレイの下方側に移動させられるので、前記蓋体の開閉を前記蓋体開閉部等の簡単な構成に基づいて実現し、前記蓋体開閉部を前記薬剤収容トレイの下方側に移動させることによって装置の小型化を実現可能である。
また、前記蓋体開閉部を前記薬剤収容トレイの下方側に適切に移動させるべく、無端環状のベルト部を用いて前記開閉部移動手段が構成されているため、上述したように、前記薬剤収容トレイを静止した状態で、薬剤分配装置の移動領域(この好ましい構成においては前記開閉部移動手段にて移動させられる前記蓋体開閉部の移動領域)を第一従来技術(第一従来技術においては錠剤バケットの移動領域)よりも小さくして薬剤の分配を行うことができる。
また、前記蓋体開閉部が可撓性材料を用いて構成されているため、前記開閉部移動手段を用いて前記蓋体開閉部を移動させる際において、前記蓋体開閉部を前記薬剤収容トレイの下方側に容易に移動させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態にかかる薬剤分配装置について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態にかかる薬剤分配装置の概略側面図を示したものである。本実施形態にかかる薬剤分配装置は、図1に示すように、下部薬剤収容トレイ1(本発明の「薬剤収容トレイ」に相当)、上部薬剤収容トレイ2、およびシャッタ機構3等を用いて構成されている。なお、この図1においては省略したが、下部薬剤収容トレイ1の下方には、下部薬剤収容トレイ1の各分配桝(後述する)から落下する各薬剤を受け止めて、かかる薬剤を包装装置(図示省略)に搬送可能な、例えば、下部薬剤収容トレイ1の投影面全体を覆うべく構成された漏斗形状(上部が広く、下部が細くすぼまって穴部が形成されている形状)の分配搬送部が設けられている。
【0017】
また、上部薬剤収容トレイ2には、下部薬剤収容トレイ1に設けられた複数の分配桝(後述する)に対応した分配桝(図示省略)が設けられている。そして、上部薬剤収容トレイ2の底面(下部薬剤収容トレイ1に近接する面)には、上部薬剤収容トレイ2の底面全体の開閉を行うことが可能なシャッタ板(図示省略)が設けられている。
【0018】
図2は、図1に示された薬剤分配装置を構成する下部薬剤収容トレイ1の概略斜視図を示したものである。
図2に示すように、本実施形態にかかる下部薬剤収容トレイ1は、本体部10内に、薬剤(散薬、錠剤)を収容し得る複数の分配桝11を有している。この図2においては、行方向Xに複数行(ここでは14行)、列方向Yに複数列(ここでは6列)の分配桝11が設けられている。
【0019】
そして、各分配桝11の底部には、各分配桝11の底部を閉塞可能であると共に、特に支持等されていなければ、重力によって下向きに回動して各分配桝11の底部を開放可能な蓋体12が設けられている。
つまり、本実施形態にかかる下部薬剤収容トレイ1においては、蝶番(ヒンジ)等の結合部材13(図1参照)を用いて、各分配桝11の底部の一辺にて回動可能に蓋体12が設けられている。なお、本実施形態においては、全ての蓋体12が、同一方向に回動可能なように、各分配桝11の底部に取り付けられている。
【0020】
図3は、図1に示された薬剤分配装置を構成するシャッタ機構の概略斜視図を示したものである。
図3に示すように、本実施形態にかかるシャッタ機構3は、先に述べた蓋体12の支持および支持解除を行うべく形成されたシート状の蓋体開閉部31と、この蓋体開閉部31が取り付けられた一対の無端環状のベルト部32と、ローラ等(図示省略)を介してこのベルト部32を回転駆動させるために設けられた電動モータ等の駆動力供給部(図示省略)等とを用いて構成されている。この実施形態においては、ベルト部32および駆動力供給部が、本発明の「開閉部移動手段」に相当するが、本発明はこの構成に限定されず、蓋体開閉部31を本発明の趣旨に沿って適切に移動させ得るものであれば、この構成は特に限定されない。
【0021】
蓋体開閉部31は、例えば、ゴム、樹脂、繊維等の可撓性材料を用いてシート状に形成されているため、無端環状のベルト部32に取り付けられることによって、ベルト部32の環状形状に沿って撓みながら、下部薬剤収容トレイ1の下方位置に移動可能である。また、蓋体開閉部31が取り付けられているベルト部32は、例えば、ゴム、樹脂、金属(チェーン)等を用いて形成されている。
なお、蓋体開閉部31は、下部薬剤収容トレイ1に設けられた複数の分配桝11およびこれに取り付けられた蓋体12に対応すべく、その端部形状が定められているが、詳細は後述する。
【0022】
図4は、図1の矢印A方向の拡大概略図を示したものである。すなわち、この図4は、本実施形態にかかる薬剤分配装置を下方から見上げた状態を示した概略図である。
【0023】
この図4に示すように、本実施形態にかかる蓋体開閉部31は、その端部が階段状に形成されており、この階段状端部によって、下部薬剤収容トレイ1に設けられた各分配桝11の蓋体12を適切なタイミングにて開放可能に構成されている。
【0024】
具体的には、蓋体開閉部31は、ベルト部32によって下部薬剤収容トレイ1の行方向Xに移動可能に構成されており、この移動時における後側端部が階段状に形成されている。そして、この階段状端部は、分配桝11を閉塞している蓋体12の行方向Xの幅B(本発明の「蓋体の行方向の幅」に相当)内において、一行中の列数(ここでは6列)に対応した段数(6段)を有すべく構成されている。
【0025】
つまり、図4に示すように、蓋体開閉部31の第一段端部311から所定間隔pを経て第二段端部312が設けられ、第二段端部312から所定間隔pを経て第三段端部313が設けられ、第三段端部313から所定間隔pを経て第四段端部314が設けられ、第四段端部314から所定間隔pを経て第五段端部315が設けられ、第五段端部315から所定間隔pを経て第六段端部316が設けられている。なお、本実施形態においては、各段端部間の所定間隔p(本発明の「所定間隔」に相当)は、全て同一間隔に形成されている(p=B2−B1=B3−B2=B4−B3=B5−B4=B6−B5)。
【0026】
次に、以上のように構成された本実施形態にかかる薬剤分配装置の機能について、図1から図4を用いて説明する。
【0027】
本実施形態にかかる薬剤分配装置においては、まずはじめに、下部薬剤収容トレイ1の分配桝11に対応すべく、上部薬剤収容トレイ2に分配する薬剤を手撒きし、かかる上部薬剤収容トレイ2を図1に示すべく下部薬剤収容トレイ1上に載置する。この際、下部薬剤収容トレイ1の下方に位置する蓋体開閉部31は、ベルト部32によって、下部薬剤収容トレイ1に設けられている蓋体12を全て閉塞する位置に移動させられる。
【0028】
次に、下部薬剤収容トレイ1の蓋体12を全て閉塞した状態において、上部薬剤収容トレイ2の底面に設けられているシャッタ板(図示省略)を移動させて(開放して)、上部薬剤収容トレイ2中の薬剤を下部薬剤収容トレイ1の各分配桝11に落下、収容させる。このように、下部薬剤収容トレイ1の各分配桝11に対する薬剤の収容が行われた後には、上部薬剤収容トレイ2は、下部薬剤収容トレイ1上から取り外される。そして、取り外された上部薬剤収容トレイ2は、その底面をシャッタ板にて再度閉塞させた状態で、次に分配等を行う必要がある薬剤等の手撒きを行うために利用される。
【0029】
次に、下部薬剤収容トレイ1の各分配桝11底面に設けられた蓋板12を一つずつ開放して、各分配桝11中の薬剤を落下させて分配すべく、ベルト部32を駆動させて適切に所定間隔ずつ蓋体開閉部31を移動させる。
この段階においては、上述したように、蓋体12の全てを支持する(閉塞する)位置に蓋体開閉部31が予め移動しているので、この状態(全ての蓋体12が閉塞している状態)から、蓋体開閉部31の行方向X(図4参照)への所定間隔pずつの移動が開始される。このように、蓋開閉部31を行方向Xへ所定間隔pずつ移動させれば、蓋体開閉部31の後側(行方向Xの進行方向に対する後側)に形成された階段状端部が、一回の所定間隔pの移動によって、一つの蓋体12に対する支持の解除を行うこととなるため、各分配桝11単位で薬剤が下方に落下し、分配搬送部(図示省略)を介して、包装装置等(図示省略)に搬送されることとなる。
【0030】
より具体的に、図4を用いて説明する。ここで図4は、上から2行目で右から1列目の蓋体12aが開放された後(すなわち、分配桝11aから薬剤が落下した後)の状態を示しており、落下した薬剤は分配搬送部を介して包装装置等に送られて、包装処理が行われている。
そして、本実施形態では、包装装置等の処理スピードに応じて、包装装置等において次の薬剤に対する受け入れが可能となった段階で、蓋体開閉部31を行方向Xに所定間隔pだけ移動させる。この移動により、蓋体12aが開放された直後に第二所定位置B2に位置していた第二段端部312は、第一所定位置B1に位置することとなるため、図4において上から2行目で右から2列目の蓋体12bの支持状態が解除されて、重力によって蓋体12bが回動し開放状態となる。このように蓋体12bが開放状態となれば、この蓋体12bが閉塞していた分配桝11内に収容されていた薬剤が落下して、先述した場合と同様に、分配搬送部を介して包装装置等に送られて、包装処理が行われる。
次に、蓋体12bが開放して落下した薬剤の包装処理等が終了した後、本実施形態においては、さらに蓋体開閉部31を所定間隔pだけ移動させる。この移動により、蓋体12bが開放された直後に第二所定位置B2に位置していた第三段端部313は、第一所定位置B1に位置することとなるため、図4において上から2行目で右から3列目の蓋体12cの支持状態が解除されて、重力によって蓋体12cが回動し開放状態となる。なお、他の蓋体12d,12e,12fについても、上述した蓋体12b,12cと同様に、蓋体開閉部31の所定間隔pごとの移動に伴って、順番に開放されることとなる。
つまり、本実施形態においては、蓋体開閉部31が所定間隔pだけ移動することによって、新たな分配桝11の底面が開放状態となって、かかる分配桝11に収容されていた薬剤が、上述したように、落下し分配搬送部を介して包装装置等に送られて、包装処理が行われることとなる。
【0031】
すなわち、以上のようにして、各分配桝11から、順番に分配搬送部を介して搬送される薬剤については、包装装置において、搬送されてくる薬剤ごとに(各分配桝11内に収容されていた薬剤ごとに)、順番に包装処理が行われることとなる。
【0032】
さて、本実施形態においては、図1に示すように、ベルト部32が無端環状に形成されているため、上述したように、所定間隔pごとの蓋体開閉部31の移動によって、蓋体12が一つずつ開放されると共に、蓋体12の閉塞に関与しなくなった蓋体開閉部31(行方向Xの進行方向における前方部)については、ベルト部32によって、下部薬剤収容トレイ1の下方側に移動させられることとなる。蓋体開閉部31は、可撓性材料を用いて形成されているため、ベルト部32の形状に基づき、撓みながら下部薬剤収容トレイ1の下方側に移動することとなる。さらに詳細には、ベルト部32は、少なくとも下部薬剤収容トレイ1の投影面領域内に位置する蓋体開閉部31については、下部薬剤収容トレイ1に対して略平行に移動し、下部薬剤収容トレイ1の投影面領域外に位置する蓋体開閉部31については、下部薬剤収容トレイ1に対して下方側に移動すべく、無端環状に形成されている。
【0033】
また、本実施形態においては、ベルト部32が無端環状に構成されているため、蓋体開閉部31は、図1の矢印C方向に沿って回転移動し、再び、下部薬剤収容トレイ1に設けられている全ての蓋体12を閉塞状態とする位置に設定可能である。つまり、本実施形態においては、蓋体12が図1の矢印D方向に回動可能であるため、蓋体12が回動開放した後に、矢印C方向に回転移動してきた蓋体開閉部31によって、再度閉塞状態となり得る。そして、この状態から、再び、新たな薬剤の分配作業等を行うことができる。
【0034】
本実施形態にかかる薬剤分配装置は、以上のように構成され機能するため、次のような効果を得ることができる。
【0035】
本実施形態にかかる薬剤分配装置は、下部薬剤収容トレイ1に設けられた蓋体12が、蝶番等の結合部材13(図1参照)を用いて分配桝11の底部の一辺にて回動可能に設けられ、その支持および支持解除は、蓋体開閉部31(の移動状態)によって定められる。また、本実施形態は、蓋体12の開閉に寄与しない蓋体開閉部31については、ベルト部32によって、下部薬剤収容トレイ1の下方側に移動させるべく構成されている。
【0036】
以上のことから、本実施形態によれば、無端環状に形成されたベルト部32によって蓋体開閉部31を駆動させ、かかる蓋体開閉部31が下部薬剤収容トレイ1の下方側に移動するため、第一従来技術のように、錠剤バケット(本発明における薬剤収容トレイ)の2倍以上のスペースを必要とせず、装置の小型化を実現可能な薬剤分配装置を得ることができる。
また、本実施形態によれば、単純な機構の蓋体12と蓋体開閉部31等とを用いて各分配桝11の開閉が行われるため、第二従来技術のように、複雑な機構を必要とせず、比較的簡単な構成に基づき、装置の小型化を実現することが可能な薬剤分配装置を得ることができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態においては、ベルト部32を用いて蓋体開閉部31を一方向に回転移動させる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、例えば、図5に示すような構成としてもよい。
【0039】
図5は、本発明の他の実施形態にかかる薬剤分配装置の概略側面図を示したものであり、下部薬剤収容トレイ60とシャッタ機構50等とを用いて構成されている。なお、上部薬剤収容トレイは、上述した実施形態と同様の構成を有しており、特に説明しない場合は、基本的に、図1等にて説明した構成と同様である。
【0040】
この図5に示されたシャッタ機構50は、図1等に示した実施形態と異なり、ベルト部52が、矢印E方向に往復動すべく構成されている。したがって、このベルト部52に取り付けられた蓋体開閉部51についても、このベルト部52の動きに基づいて、往復動することとなる。
【0041】
また、この図5に示した実施形態においては、下部薬剤収容トレイ60に設けられた蓋体62が、図1等にて説明した蓋体12とは異なる位置で、蝶番等の結合部材63で取り付けられている。
つまり、この他の実施形態においては、矢印E方向に往復動する蓋体開閉部51によって、適切に閉塞および開放を実施可能なように、結合部材63にて取り付けられた蓋体62が、下部薬剤収容トレイ60の底面において、矢印F方向に回動すべく構成されている。
すなわち、図1等にて説明した実施形態においては、結合部材13と対向する蓋体12端部の支持を解除することによって蓋体12を回動可能となるべく、結合部材13によって蓋体12を取り付けていたが、この図5にて示した実施形態においては、結合部材63にて結合している蓋体12端部の支持を解除することによって蓋体62を回動可能となるべく、結合部材63によって蓋体12を取り付けている。この他の実施形態において、このように構成しているのは、図1等と同様の構成とすると、往復動する蓋体開閉部51によっては、適切に蓋体を閉塞状態とすることができないからである。
【0042】
この図5に示したような構成とすれば、より短いベルト部を用いて薬剤分配装置を構成することが可能となる。
【0043】
また、上記各実施形態においては、無端環状のベルト部に可撓性材料にて形成された蓋体開閉部を取り付けて、シャッタ機構を構成する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、可撓性材料を無端環状に形成し、その一部に蓋体開閉部を構成することによって、シャッタ機構を成してもよい。つまり、ベルト部と蓋体開閉部とを一体的に構成してもよい。
【0044】
さらに、上記各実施形態においては、蓋体開閉部が、可撓性材料を用いて一枚のプレート状に形成された場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、階段状端部にて蓋体の支持解除がなされるまでの間、蓋体の支持を適切に行うことが可能であって、且つ、蓋体の開閉に関与しない位置(薬剤収容トレイの投影面領域外)にて適切にトレイ下方側に移動可能であれば、その材料および形状は特に限定されない。したがって、例えば、複数の短冊状のプレートをヒンジ等を用いて結合して、蓋体開閉部を構成してもよい。また、例えば、所定間隔(蓋体を支持することが可能な間隔)を有すべくヒンジ等を用いて複数の棒状部材を結合して、蓋体開閉部を構成してもよい。
【0045】
また、上記各実施形態においては、分配桝が行列状態に配置された下部薬剤収容トレイを用いて薬剤分配装置を構成する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、一列の分配桝を有する下部薬剤収容トレイを用いて薬剤分配装置を構成してもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、比較的簡単な構成に基づき、装置の小型化を実現することが可能な薬剤分配装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる薬剤分配装置の概略側面図である。
【図2】図1に示された薬剤分配装置を構成する下部薬剤収容トレイの概略斜視図である。
【図3】図1に示された薬剤分配装置を構成するシャッタ機構の概略斜視図である。
【図4】図1の矢印A方向の拡大概略図を示したものである。
【図5】本発明の他の実施形態にかかる薬剤分配装置の概略側面図である。
【符号の説明】
1…下部薬剤収容トレイ
2…上部薬剤収容トレイ
3…シャッタ機構
10…本体部、11…分配桝、12…蓋体、13…結合部材
31…蓋体開閉部、32…ベルト部
50…シャッタ機構、51…蓋体開閉部、52…ベルト部
60…下部薬剤収容トレイ、62…蓋体、63…結合部材

Claims (2)

  1. 薬剤を収容し得る複数の分配桝を有する薬剤収容トレイと、前記薬剤収容トレイの下方にて移動可能なシャッタ機構とを備え、
    前記各分配桝の底部には、前記分配桝の底部を閉塞可能であると共に、重力によって下向きに回動して前記分配桝の底部を開放可能な蓋体がそれぞれ設けられており、
    前記シャッタ機構は、前記分配桝の各底部を閉塞すべく前記蓋体の支持を行うと共に、移動に応じて前記分配桝の各底部を開放すべく前記蓋体に対する支持を順番に解除可能に構成され、可撓性材料からなる蓋体開閉部と、少なくとも前記薬剤収容トレイの投影面領域内に位置する前記蓋体開閉部については前記薬剤収容トレイに対して略平行に移動させ、前記薬剤収容トレイの投影面領域外に位置する前記蓋体開閉部については前記薬剤収容トレイに対して下方側に移動させるように、蓋体開閉部が取付けられる無端環状のベルト部を備える開閉部移動手段とを用いて構成されており、
    前記蓋体開閉部は、前記薬剤収容トレイの各分配桝底部に設けられた前記蓋体の全てを支持した状態から、前記薬剤収容トレイに対して略平行に移動し、前記ベルト部の環状形状に沿って撓みながら、前記薬剤収容トレイの下方位置に移動することによって、前記蓋体を一つずつ開放可能に構成されていることを特徴とする薬剤分配装置。
  2. 薬剤を収容し得る複数の分配桝を行列状態に配置した薬剤収容トレイと、前記薬剤収容トレイの下方にて移動可能なシャッタ機構とを備え、
    前記各分配桝の底部には、前記分配桝の底部を閉塞可能であると共に、重力によって下向きに回動して前記分配桝の底部を開放可能な蓋体がそれぞれ設けられており、
    前記シャッタ機構は、前記分配桝の各底部を閉塞すべく前記蓋体の支持を行うと共に、移動に応じて前記分配桝の各底部を開放すべく前記蓋体に対する支持を順番に解除可能に構成され、可撓性材料からなる蓋体開閉部と、少なくとも前記薬剤収容トレイの投影面領域内に位置する前記蓋体開閉部については前記薬剤収容トレイの行方向に平行移動させ、前記薬剤収容トレイの投影面領域外に位置する前記蓋体開閉部については前記薬剤収容トレイに対して下方側に移動させるように、蓋体開閉部が取付けられる無端環状のベルト部を備える開閉部移動手段とを用いて構成されており、
    前記蓋体開閉部は、前記薬剤収容トレイの各分配桝底部に設けられた前記蓋体の全てを支持した状態から、所定間隔行方向平行移動し、前記ベルト部の環状形状に沿って撓みながら、前記薬剤収容トレイの下方位置に移動することによって、一の前記蓋体を開放可能とすべく、前記分配桝を閉塞している前記蓋体の行方向の幅内に、一行中の列数に対応した段数の階段状端部を有すべく構成されていることを特徴とする薬剤分配装置。
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