JP4263285B2 - 光学的黒色表面およびその製造方法 - Google Patents

光学的黒色表面およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項1の前文に記載の構造と、請求項6の前文に記載の方法に関する。
【0002】
【従来の技術、及び、発明が解決しようとする課題】
光学的黒色表面は、光放射の検出器における制限された波長範囲の吸収体および、その光波長範囲の熱放射源における放射表面として使用される。特にボロメータおよびサーモパイル形の赤外線検出器では、広範な光波長スペクトルにわたって有効に放射を吸収できる表面が必要である。それに対応して、赤外線放射源は高い放射率の表面を必要とする。相反の原理によれば、良好な吸収体はまた良好な放射源でもあるので、同じ表面が両方の用途に適することになる。
【0003】
本特許出願の場合では、所定の波長範囲にわたって機能する黒色表面とは前記波長範囲にわたって高い吸収率を有する表面のことであることを理解されたい。また、所定の波長範囲にわたって機能する白色表面とは前記波長範囲にわたって高い反射率を有する表面のことであることを理解されたい。こうした光学的黒色表面を前記波長範囲にわたって機能する検出器において使用したい場合、検出器の理想的な表面は前記波長範囲にわたって黒色表面として機能し、前記波長範囲の外では白色または透明な表面として機能する。すなわち、前記波長範囲の外にある波長は実行される測定を妨害することができない。
【0004】
従来の技術では、ポリマーを使用した広帯域吸収体の製造が実行されてきた。この種の吸収体は、例えばビスマス層の上に被覆された薄いポリマー・フィルムを有する。さらに、基部ポリマーにはカーボンブラック粒子といった吸収改良剤が混合されることがある。ポリマーベースとなる吸収体は製造が容易で経済的であるが、一方多数の欠点によって阻害されてきた。吸収体層として使用されるポリマーは、動作環境、特に湿気に対して敏感であり、ポリマー吸収体の性能は完璧にはほど遠かった。さらに、検出器の熱質量は比較的大きいので、ポリマー吸収体形検出器の応答速度は比較的低速であった。ポリマー・フィルムのもう1つの欠点は高温特性が劣ることであって、そのため加熱赤外線放射源の放射表面としては使用することができなかった。
【0005】
半導体技術に基づく吸収体および放射源構成部品も知られている。刊行物「赤外線物理学」、1993年、第34、4巻、379ページから記載されているK.C.Liddiardによって書かれた論文では、最上層が半透明金属薄膜であり、その下が損失のない誘電体層であり、一番下のもう1つの金属薄膜が赤外線ミラーの役割を果たす多層フィルム構造が説明されてる。この多層構造は薄くないガラス基板の上で成長する。この構造の根本的な欠点は低応答速度と低感度であり、どちらもその比較的大きな熱質量から生じる。この構造はさらに、基板への伝導によるかなり高い熱損失を特徴とする。半透明金属薄膜は正確な厚さに製造することが困難で、さらに検出器の外部表面として使用する場合容易に破壊される。
【0006】
刊行物「Eurosensors X会報」、1996年、ルーフェン(Loewen)、1433ページから記載されたL.Dobrzanski他によって発表された論文では、吸収体を100〜200μm厚さのシリコン・ウェハの上に成膜することによって上記で説明された種類のものからさらに発展させた構造が説明される。この構造では、まずシリコン・ウェハの上に0.2〜1.5μm厚の窒化シリコンの損失のないフィルムが成膜され、次いでその上に0.1〜1.5μm厚のドーピングされた多結晶シリコンの損失のあるフィルムが成膜される。最上部層の材料として多結晶シリコンを選択する理由は高温での良好な性能と抵抗率の温度係数が比較的高いことである。シリコンおよび窒化シリコンの層の下には、基板に形成された開口を通じて下からタングステンまたはニッケル・クロム合金の層をスパッタリングすることによって赤外線反射ミラーが形成される。
【0007】
上記で説明された構造は多数の欠点を有する。構成部品の下側金属化層は基板への高い側方熱伝導性を許容する。金属化層の上には保護フィルムがないため、この構造は熱放射源での使用にも適していない。さらに、この構造では層の厚さを熱と光について同時に最適化することは不可能である。
【0008】
本発明の目的は、上記で説明された技術の欠点を克服し、放射源および吸収体構成部品用のまったく新しい種類の光学的黒色表面を前記表面の製造方法と共に提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目標は、誘電体の単数または複数の層と共に、シリコンまたはゲルマニウムの層のようなドーピングされた半導体材料層によって形成される多層構造によって、望ましい波長範囲にわたって損失のある金属表面をその周囲の媒体と光学的に整合することによって達成される。それ故、金属ミラー表面は、前記望ましい波長範囲にわたってミラーの役目を果たすことを防止される。一方、本発明はまた、望ましい波長範囲にわたって周囲の媒体と光学的に整合された金属ミラー表面が光学的黒色表面の役目を果たすよう製造されることを特徴とする。従って、前記波長範囲にわたって前記金属ミラーに入射する放射は前記光学的黒色表面と光学的に整合し、ミラー材料と整合層として使用される損失のある材料とにほとんど完全に吸収される。逆に、本発明は、望ましい波長帯にわたって放射源としても利用される。本発明はさらに、前記半導体層のドーピングを変更することによって前記光学的黒色表面の吸収体の位置をずらすことができることを特徴とする。
【0010】
吸収体で使用する場合、本発明による装置は光学的整合によって吸収される放射エネルギーの大部分が金属ミラーに到達することを許容するという点で、本発明は従来技術の半導体技術による構成部品と異なっている。この種の光学的整合は、光学的に機能する厚さの単一の層を使用することによってすでに達成されている。それと対照的に、Liddiardによって開示された上記で説明された吸収体は反転反射防止コーティングの使用に基づいており、それによって半透明ミラー層を通過した放射の部分は第2金属ミラー層から反射して戻され、損失のある層の位相シフトによって、少なくとも部分的に半透明ミラー層から反射された放射を打ち消す。Dobrzanskiによって開示された吸収体は、Liddiardの構造で最上層を形成している半透明ミラーがDobrzanskiの吸収体では0.1〜1.5μm厚のドーピングされた多結晶シリコン層で置き換えられている点で、Liddiardの吸収体と光学的に異なっている。反射防止の原理はLiddiardによって使用されたものと同じであり、この吸収体でも吸収は、装置の下側表面の金属ミラー層の上に成膜された層で凝集されることによって、本発明とは異なった方法で達成される。
【0011】
より詳細には、本発明による構造は、請求項1の特徴を表す部分に述べられたことを特徴とし、方法は、請求項6の特徴を表す部分に述べられたことを特徴とする。
【0012】
本発明は大きな利益を提供する。本発明による構造では、波長軸上の吸収帯域の位置が半導体層の厚さとドーピングの両方を変化させることを通じて調整できるので、構造の最適化が容易であり、それによって光学的特性の設計と共に機械的および熱的要求も満足できる。一方、本発明は有効な検出器範囲に対してきわめて良好な断熱性を提供する。検出器範囲の熱質量を小さくすることができるので、検出器の変調速度応答の高いカットオフ周波数を容易にする。さらに、本発明による吸収体構造の応答は、検出器構造が湿気を吸収しないため周囲の湿気に関して安定である。本発明による構造は800℃程度までの高い動作温度を許容するので、光放射源形の構成部品でも使用することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本吸収体は、シリコン基板5の上に成長した自立的誘電体層1、前記誘電体層1の上に成膜された金属ミラー層2、前記金属ミラー層2の上に成膜された誘電体層の保護層3および、その上に成膜された損失のある層4を含む。図1で例示された構造にはまた、基板にエッチングされた開口6が含まれるが、前記開口は前記吸収金属ミラー層2から周囲への伝導による熱損失を減少させる働きをする。図2に示す構造は、前記損失のある層4の上に成膜された追加保護層7を有する点だけが図1のものと異なっている。この保護層7は、構成部品が高温で動作する場合損失のある層4の上に必要となる。実際には、保護層7は、構成部品が光波長範囲の放射源の役目を果たす場合常に必要である。
【0014】
上記で言及した以外に、吸収体および放射源として使用される構成部品には、例えばヒータ・エレメント、抵抗性エレメントおよび/または熱エレメントといった追加エレメントが含まれる。この構成部品は、例えば、真空中に封入され、構成部品の放射/吸収範囲の周囲からの断熱を改善することもできる。しかし、本発明はこれらの構成部品の一部分に関するものであり、本発明による光学的黒色表面は多様な異なった構成部品に同様に適用されるものであるため、この構成部品の構造的実現は図1および図2では解明されない。
【0015】
本発明によれば、金属ミラー層2は、吸収(または放射)される波長範囲にわたる損失のある層4によってその周囲の媒体と整合される。損失のある層4は有利にも、望ましい波長範囲とその隣接した範囲にわたって高い透過率を有する材料から製造される。すなわち、吸収体は吸収(または放射)する波長に関して選択的にできる。光学的特性だけでなく熱的、機械的および製造上の品質に関する本構造の最適化を促進するために、損失のある層4は、その屈折率が構成部品の製造工程中に容易に変化させられる材料から製造されることが望ましい。明らかに、この層の材料はまた、その機械的および熱的性能と加工性を満足しなければならない。
【0016】
損失のある層4が有利にも適切な半導体から製造される場合、完全整合の波長帯は損失のある層4の適切なドーピングによって調整できる。このアプローチは、損失のある層の屈折率は材料のプラズマ共振パラメータに依存し、さらに後者は材料中の自由電荷キャリアの濃度に依存するという事実に基づいている。この関係は、ドーパント濃度に対する有効誘電率の依存を通じて以下のように表される。
【数1】
Figure 0004263285
但し、−εeffは、有効誘電率、
−εは、材料の固有誘電率、
−nは、自由電荷キャリアの濃度、
−m*は、電子の有効質量、
−eは、電気素量、
−ωは、放射の角周波数、である。
0.1〜10μmの波長範囲にわたって動作する吸収体では、損失のある層4のために特に有利な半導体材料は多結晶シリコンである。多結晶シリコンは従来のシリコン技術を使用して構成部品の上に容易に成膜でき、例えば、イオン注入および熱処理によって屈折率を変化させることができる。
【0017】
吸収特性に対する屈折率変更の作用が図3、図4および図5で示される。図3では、ドーピングされた多結晶シリコンの483nm厚の層から製造された損失のある層4を有する構造中の異なった燐イオン注入量(Dp、1/cm2)に対する波長軸に沿った吸収帯域の形状と位置を示す。図4では、異なった厚さの4つの構造中の燐イオン注入量の関数としての吸収が最大となる波長について測定された実験による数値が示される。さらに図5では、ドーパントの量の関数としての実験で測定されたものと計算で得られたものの両方の吸収最大量の波長のグラフが示される。積層構造における電磁平面波伝播の一般理論は、例えばEdward D.Palik「固体の光定数ハンドブック」、Academic Press,Inc.1985年といったテキストで説明されている。本発明はこの一般理論を利用している。また、図5の計算上の曲線は、上記の参考文献の第2節で説明された理論に基づいて計算されている。
【0018】
多結晶シリコン(または他の適切な材料)の前記損失のある層4の物理的厚さは、熱的および製造上両方のパラメータについて利用可能な屈折率数値の制約の範囲内で、層の光学的厚さが望ましい波長範囲にわたって他の層と共に光学的整合を実現するように層を最適化することによって決定される。図4および図5では、一定の波長で本発明が実現できるいくつかの可能なパラメータの組合せが作図される。図3〜図5に示す吸収体構造はモリブデンから製造された金属ミラー層2、窒化シリコンのミラー層1の保護層3および、燐でドーピングされた多結晶シリコンの損失のある層4を有する。この吸収体構造では、保護層は約50nm厚であり、金属ミラー層2は約100nm厚である。例示としての吸収体構造は、損失のある層4の上に製作された保護層7を有さない。
【0019】
とりわけ図4および図5から見られるように、この吸収体構造で吸収帯域の吸収が最大になる波長が約4.5μm波長に一致することが望ましい場合、上記で説明された構造中の多結晶シリコンの損失のある層4の厚さ(図中でdpolyとして示される)は、例えば、450nmまたは578nmが選択される。層4の厚さが450nmの場合、燐注入量は約6.0・1015燐イオン/cm2でなければならない。578nm厚の層の場合、燐注入量は約7.5・1015イオン/cm2でなければならない。注入濃度が損失のある層4とおそらく使用される保護層3、7の厚さによって調整されるならば、明らかに、吸収が最大となる波長ピークは他の厚さの損失のある層4を使用してもこの例示としての数値に設定できる。この寸法決定処理は、図4および図5のグラフに基づき、またより一般的には上記の参考文献で示された一般理論に基づく計算技術を使用して実行される。通常損失のある層4の厚さは0.1〜1.5μmの範囲が選択される。
【0020】
損失のある層4が多結晶シリコンから製造される場合、金属ミラー層2の材料は、モリブデン、タンタルおよびタングステンのグループから選択されることが好適である。モリブデンは特に好適なミラー材料であるが、それはモリブデンの反射における複合屈折率がドーピングされたシリコンと誘電体層によって周囲の媒体とほとんど理想的に整合できるからである。モリブデンがミラー材料として使用される場合、金属ミラー層2の厚さは有利にも50〜400nmである。金属層はエッチングまたはリフトオフ加工によって所定の寸法のミラー部分2にパターン成形され、それによって検出器部分と基板5の間の金属熱伝導経路が除去される。
【0021】
誘電体層1は、厚さ100〜200nmの窒化シリコンから製造されるので有利である。また、誘電体層1は、例えば二酸化シリコンから製造されることもある。金属ミラー層2と損失のある層4の保護層3、7も、窒化シリコンである誘電体材料から製造されるのことが好適である。保護層3、7は支持および保護エレメントの役目を果たすので、構造全体の吸収特性への貢献はわずかであるべきである。このことは層3、7を窒化シリコンから製造することによって確保される。保護層3、7は電気絶縁体としても機能する。保護層7は40〜200nmの厚さを有し、保護層3は20〜200nm、好適には20〜100nmの厚さを有する。
【0022】
図1および図2に示す構成部品構造の検出器部分を通じた光放射の伝導は、金属ミラー層2が光に対して不透明なためゼロである。従って、光放射の放出は主として損失のある層4に隣接した金属ミラー層2の側から行われるが、これは金属層のもう一方の側では放射表面がきわめて放射率の低い金属表面だからである。その結果、保護層7によって覆われた損失のある層4を有する図2に示す構造は放射源としての使用にも適している。
【0023】
上記で説明されたものと異なった代替実施形態も本発明の範囲と精神の中で企図される。本発明の上記の説明は、光学的黒色表面の設計とその製造材料の選択の一般原理を開示する。例えば、金属ミラー層2と損失のある層4の間の光学的整合の規則を満足できる可能なすべての材料の組合せが必ずしも言及されたわけではないが、他の適切な材料の組合せがある場合、当業技術分野に熟練した者によって探求され発見される。従って、基板5がシリコンから製造され、支持層1が窒化シリコンから製造されることは強制的ではない。本発明による吸収体または放射源構造は、この構造がボロメータ、サーモパイルまたは熱放射源のどれで使用されるかによって異なった種類の導体および絶縁体材料によって補完される。しかし、こうした追加材料の実現は本発明の範囲外にあるので、これらは図1および図2の図面から省略されている。
【図面の簡単な説明】
以下では、本発明は添付の図面を参照しつつ、例示としての実施形態によってより詳細に検討される。
【図1】所定の波長範囲にわたって動作する本発明による光学的黒色表面を有する吸収体の縦断面図を示す。
【図2】所定の波長範囲にわたって動作する本発明による光学的黒色表面を有する吸収体−放射源の縦断面図を示す。
【図3】本発明によるいくつかの光学的表面に関する吸収対波長のグラフを示す。
【図4】本発明によるいくつかの構造に関する吸収最大波長対燐イオン注入量のグラフを示す。
【図5】理論的に計算された数値に対する比較を伴う本発明によるいくつかの構造に関する吸収最大波長対燐イオン注入量のグラフを示す。

Claims (11)

  1. 0.1 から 10 μ m 波長の内の所定の波長範囲にわたる光について吸収体または放射源の役目を果たす光学的黒色表面を含むような超小型電子工学の製造技術を使用して製造される構造であって、該構造が、
    −電気的に不伝導性の支持層(1)と、
    −前記支持層(1)の表面上に製作された金属ミラー層(2)と、
    −前記金属ミラー層(2)の上部に配置される誘電体層からなる保護層(3)と、
    −前記支持層(1)、前記支持層(1)上に重ねられた前記金属ミラー層(2)、及び前記金属ミラー層(2)上の保護層(3)の上に製作されたドーピングされた半導体からなる半導体層(4)とを含み、
    前記構造は、前記金属ミラー層(2)上の前記保護層(3)、及び前記保護層(3)上の半導体層(4)により構成される多層構造であり、
    −上に重なる多層構造(3、4)と共に前記金属ミラー層(2)によって形成される前記構造が、前記半導体層(4)の層厚さとドーピング量とを互いに調整することにより、前記所定の波長範囲の光の吸収または放射を為す際に前記構造の周囲の媒体との複合屈折率に関して光学的に整合されていることを特徴とする構造。
  2. 請求項1に記載の構造において、前記半導体層(4)が、
    −前記層を構成する半導体材料と、
    −前記光学的黒色表面の吸収/放射波長範囲を望ましい所定の数値に設定するように前記半導体材料に調整されたドーパントの量とされたドーピング材と、を含むことを特徴とする構造。
  3. 請求項1に記載の構造において、前記半導体層(4)の前記半導体材料が多結晶シリコンまたはゲルマニウムであることを特徴とする構造。
  4. 請求項1に記載の構造において、前記ミラー材料がモリブデン、タンタルまたはタングステンであることを特徴とする構造。
  5. 請求項1に記載の構造において、
    −前記金属ミラー層(2)の上の、前記金属ミラー層(2)と前記半導体層(4)の間に薄い保護層(3)が提供されることと、
    −前記半導体層(4)の前記上部表面の上に別の薄い保護層(7)が提供されることとを特徴とする構造。
  6. 請求項5に記載の構造において、前記第1および第2の薄い保護層(3、7)と前記支持層(1)の材料が二酸化シリコン、窒化シリコンまたは二酸化シリコンと窒化シリコンの複合材料であることを特徴とする構造。
  7. 基板(1)上に 0.1 10 μ m の波長の内の所定の波長範囲にわたる光について機能する光学的黒色表面を製造する方法であって、ミラー層(2)、及び第1及び第2の誘電体層 ( 3、7 ) を構成する適切な金属及び第1および第2誘電体材料がまず選択された後、薄膜材料層がその支持基板(1)と共に、光学的に稠密な金属層から製造された前記ミラー層(2)と、半導体材料から製造された半導体層(4)とを含む多層構造(2、3、4、7)を形成するように、前記材料が前記薄膜構造に成膜され、
    前記多層構造において前記ミラー層(2)の上部表面に形成された複数層からなる積層層(3、4、7)の成膜に際して選択されたこれら材料に応じて前記複数層からなる積層部の層厚さを決定し、前記ミラー層(2)、及びその上に重なる誘電体層及び半導体層からなる構造(3、4)が前記所定の波長範囲の光について前記多層構造の周囲の媒体との複合屈折率に関して光学的に整合されていることを特徴とする方法。
  8. 請求項7に記載の方法において、
    −前記基板(1)の上に金属層が成膜され、それがミラー(2)を形成するようにパターン成形されることと、
    −前記ミラー(2)の上に前記第1の誘電体材料の第1の保護層(3)が成膜されることと、
    −前記保護層(3)の上に前記半導体層(4)が成膜され、それが必要な場合パターン成形されることと、
    −前記半導体層(4)の上に前記第2誘電体材料の第2保護層(7)が成膜されることとを特徴とする方法。
  9. 請求項7または請求項8に記載の方法において、
    −前記第1誘電体材料が多結晶シリコンであるよう選択されることと、
    −前記金属がモリブデン、タンタルおよびタングステンのグループから選択されることとを特徴とする方法。
  10. 請求項7〜請求項9の何れかに記載の方法において、前記第2誘電体材料が窒化シリコンであるよう選択されることを特徴とする方法。
  11. 請求項7〜請求項10に記載の方法において、前記第1誘電体材料がその固有の形態とドーピング原子種から製造されることを特徴とし、前記方法が、
    −必要な厚さの前記半導体層(4)のために固有の形態の前記第1誘電体材料を成膜するステップと、
    −前記層の相対誘電率を制御し、ひいては前記光学的黒色表面の吸収/放射波長範囲を所定の限度内に制御する前記半導体層(4)を形成するために、前記固有材料層を前記ドーピング原子種でドーピングするステップとを含む方法。
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