JPWO2018043298A1 - 光吸収体、ボロメーター、赤外線吸収体、太陽熱発電装置、放射冷却フィルム、及び光吸収体の製造方法 - Google Patents

光吸収体、ボロメーター、赤外線吸収体、太陽熱発電装置、放射冷却フィルム、及び光吸収体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018043298A1
JPWO2018043298A1 JP2018537208A JP2018537208A JPWO2018043298A1 JP WO2018043298 A1 JPWO2018043298 A1 JP WO2018043298A1 JP 2018537208 A JP2018537208 A JP 2018537208A JP 2018537208 A JP2018537208 A JP 2018537208A JP WO2018043298 A1 JPWO2018043298 A1 JP WO2018043298A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric
light absorber
thin film
conductive thin
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018537208A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6877770B2 (ja
Inventor
賢太郎 鷹取
賢太郎 鷹取
隆之 岡本
隆之 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Publication of JPWO2018043298A1 publication Critical patent/JPWO2018043298A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6877770B2 publication Critical patent/JP6877770B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/003Light absorbing elements
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01JMEASUREMENT OF INTENSITY, VELOCITY, SPECTRAL CONTENT, POLARISATION, PHASE OR PULSE CHARACTERISTICS OF INFRARED, VISIBLE OR ULTRAVIOLET LIGHT; COLORIMETRY; RADIATION PYROMETRY
    • G01J1/00Photometry, e.g. photographic exposure meter
    • G01J1/02Details
    • G01J1/04Optical or mechanical part supplementary adjustable parts
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/008Surface plasmon devices
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • G02B5/208Filters for use with infrared or ultraviolet radiation, e.g. for separating visible light from infrared and/or ultraviolet radiation
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • G02B5/22Absorbing filters
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y20/00Nanooptics, e.g. quantum optics or photonic crystals

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

吸収する波長域を調整可能な光吸収体を実現するために、本発明のある実施形態では、誘電体凸部102の群、導電性薄膜104、および導電性厚膜108を備える光吸収体100が提供される。誘電体凸部の群は、誘電体表面に沿うランダムな位置において各誘電体凸部が突出している。導電性薄膜は各誘電体凸部の表面のうちの少なくとも一部の上またはその上方と誘電体表面のうち誘電体凸部が存在しない部分のうちの少なくとも一部の上またはその上方とに配置され、導電性厚膜は導電性薄膜から離れ誘電体表面に沿って広がる。誘電体凸部の群は、誘電体粒子を面内にランダムな位置に配置して実現することもできる。さらに上記光吸収体を用いるボロメーター、赤外線吸収体、太陽熱発電装置、および放射冷却フィルムや、当該光吸収体の製造方法も提供される。

Description

本発明は光吸収体、ボロメーター、赤外線吸収体、太陽熱発電装置、放射冷却フィルム、及び光吸収体の製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は表面プラズモンを利用する光吸収体、ボロメーター、赤外線吸収体、太陽熱発電装置、放射冷却フィルム、及び光吸収体の製造方法に関する。
可視光や赤外線を中心として光学分野にて扱われる波長域の電磁波(以下「光」または「光波」と呼ぶ)では、種々の用途のために吸収が活用される。良好な光吸収特性を広い波長域で示したり、その吸収率の波長ごとの値を調節したりするような光に対し吸収を示す物体(「光吸収体」)を設計できれば、広汎な用途に適用可能であり極めて有用である。例えばボロメーターなど熱型の検出装置のためには、現行の金黒などの吸収材料に代わる光吸収体が求められている。太陽電池においては、太陽光の300nm〜2500nmもの広い波長範囲の光を活性層に吸収させることができれば大きな性能の向上を期待することができる。太陽熱を効率良く吸収できれば熱を利用する太陽熱発電にも用いることができる。さらに吸収波長域を適切に制御できる技術は別の用途でも切望されている。赤外領域の太陽光を吸収する熱線吸収ガラスは、光透過機能と熱線遮蔽機能が両立され、可視光透過性など通常のガラスの機能を持ちつつ冷房などのエネルギーを節約することができる。大気の窓領域となっている波長帯にて吸収率が高い吸収体は、吸収率と放射率が同一となるキルヒホッフの法則から、熱エネルギーを宇宙空間に効率良く放出する放射冷却装置の放射体としても有用となる。このように良好な吸収特性を広い波長領域で実現したり、さらにその波長域を人為的に調節することができれば多種多様な用途での応用が見込める。
光吸収体の典型は顔料や染料であり、これらは、電子のエネルギー準位や結合の振動エネルギー準位の差を利用して特定波長の光を吸収する。このため、吸収波長域を所望の範囲にするためには化学構造に依存した波長域で吸収を示す物質を設計する必要がある。顔料や染料では、ある波長域で吸収を強めつつ別の波長域で吸収を抑制して例えば透明にするような設計は困難なことが多い。さらに、顔料や染料は長期使用時の耐久性に問題が生じる場合もある。
これに対し、表面プラズモンによる吸収は、表面プラズモンを担持させる構造の設計によってその帯域が調整可能であり、かつ高い耐久性が期待できる。これらの性質は応用上も重要であり、例えば有機太陽電池に表面プラズモンによる吸収を取り入れれば、広い波長域を発電に利用することができて効率の改善が見込める(プラズモニック太陽電池)。このように、太陽電池で通常ITOが採用される透明な電極に代えて表面プラズモンを担持させるプラズモニック構造を有するプラズモニック電極を用いると、担持された表面プラズモンにより光吸収が増強され、光電変換効率が向上する。しかも適切な電極構造を用いればその増強された光吸収は入射角依存性・偏光依存性を殆ど示さない。
これらの観点を背景に表面プラズモンによる光吸収の様々な提案がなされており、例えば、非特許文献1(K. Aydin et al., Nat. Commun. 2, 517 (2011))において、歪んだ形の穴を周期的に開けた銀薄膜と厚く平坦な銀薄膜で透明誘電体を挟み込んだ金属−誘電体−金属(MIM)構造をとる光吸収体が開示されている。非特許文献2(M. K. Hedayati et al., Adv. Mater. 23, 5410 (2011))には、金ナノ粒子をシリカ中に混ぜ合わせた層と厚く平坦な金薄膜で透明誘電体を挟み込んだMIM構造をとる光吸収体が開示されている。非特許文献3(C. Ng et al., ACS Nano 10, 4704 (2016))には、金ナノ粒子を凝集して形成した層と厚く平坦な金薄膜で透明誘電体を挟み込んだMIM構造をとる光吸収体が開示されている。
K. Aydin et al., "Broadband polarization-independent resonant light absorption using ultrathin plasmonic super absorbers," Nat. Commun. 2, 517 (2011), doi: 10.1038/ncomms1528 M. K. Hedayati et al., "Design of a Perfect Black Absorber at Visible Frequencies Using Plasmonic Metamaterials," Adv. Mater. 23 (45), pp 5410-5414 (2011), doi: 10.1002/adma.201102646 C. Ng et al., "Hot Carrier Extraction with Plasmonic Broadband Absorbers," ACS Nano, 2016, 10 (4), pp 4704-4711, doi: 10.1021/acsnano.6b01108
しかし、従来の表面プラズモンを利用する光吸収体は一般に吸収の帯域幅が100nm〜500nm程度となり、光吸収を利用するデバイスの効率を高める目的や、広い波長域での光波の確実な吸収が必要な用途のためには帯域の広さが不十分である。近時、広帯域光吸収を謳う技術も公開されているものの、吸収を示す帯域は可視域全域のみ、または可視域に僅かな近赤外域を加えた範囲に過ぎず、吸収率の値も不十分である。例えば、非特許文献1は、金属−誘電体−金属(MIM)構造による光吸収体を開示しているものの、その吸収帯域は400nm〜750nmにとどまる。非特許文献2は、MIM構造による光吸収体を開示している。その吸収率は可視域では非常に高いものの、吸収率は1000nmで50%以下に落ち込んでいる。非特許文献3の光吸収体は、粒子を用いMIM構造による光吸収体を開示している。そこで示されている350nm〜1300nmの吸収率を見る限り、近赤外域での1300nmにおいて10%以下である。
本発明は、良好な吸収特性を示しうる光吸収体を提供することにより、その光吸収体の技術を発展させ、光吸収を原理とする多様な製品の性能向上に貢献するものである。
本発明者は、上述したMIM構造による吸収性能を改善する手法において、MIM構造の示す特異な表面プラズモンの分散曲線に着目した。そして、MIM構造に改良された微細な構造を取り入れて回折を生じさせることにより、高い吸収率と帯域の人為的な調製可能性とを両立しうることに気づき、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のある態様においては、ある誘電体表面に沿うランダムな位置において各誘電体凸部が該誘電体表面から突出している誘電体凸部の群と、該群に含まれる各誘電体凸部の表面のうちの少なくとも一部の上またはその上方と該誘電体表面のうち誘電体凸部が存在しない部分のうちの少なくとも一部の上またはその上方とに配置されている導電性薄膜と、該導電性薄膜から離れ前記誘電体表面に沿って広がる導電性厚膜とを備える光吸収体が提供される。
このような光吸収体における誘電体凸部は、表面の形状が少なくともある程度の凸形状となっている誘電体構造物を指す。誘電体凸部は、様々な手法により作製することができ、何らかの形状を型取りするインプリント技術(例えばナノインプリント)や、自己組織化や相分離を利用したものその他により作製することができる。誘電体凸部の表面のうちの少なくとも一部と誘電体表面のうち誘電体凸部が存在しない部分とには、直接接して、または何らかの介在物や介在層を介して、導電性薄膜が配置されている。ここでの導電性薄膜は、少なくともある程度の導電性を少なくともある周波数域で示す物質の膜である。このような導電性について、本願明細書では金属的振る舞いとの表現により説明することもある。また、導電性薄膜と導電性厚膜における薄膜および厚膜の互いの区別は光(それにより励起された表面プラズモンによるエネルギー伝達を含む)に対するエネルギー透過性が少なくとも僅かでも利用されるものを薄膜とよび、透過した光を利用することを期待しないものを厚膜と呼ぶ。このため、厚膜といってもバルク材料を意味しているわけではなく、また、導電性厚膜の厚みが、導電性薄膜よりも薄いことがあり得る。本願での薄膜と厚膜は、光学的な透過性のみに基づく区別のための用語である。
さらに本発明は光吸収体の製造方法により実施することもできる。すなわち、本発明のある態様においては、ある誘電体表面に沿うランダムな位置において各誘電体凸部が該誘電体表面から突出している誘電体凸部の群を形成するステップと、該群に含まれる各誘電体凸部の表面のうちの少なくとも一部の上またはその上方と該誘電体表面のうち誘電体凸部が存在しない部分のうちの少なくとも一部の上またはその上方とに導電性薄膜を配置するステップと、該導電性薄膜から離れ前記誘電体表面に沿って広がる導電性厚膜を形成するステップとを含む光吸収体の製造方法が提供される。
本出願全般において光または光波とは光学分野にて扱われる波長域の電磁波を全般に指しており、特に紫外、可視、近赤外、中赤外、テラヘルツ領域を含む。またランダムとは、少しでも規則性が崩されている程度に配列が乱されていることを指している。
本発明のいずれかの態様においては、吸収帯域が一層広く、波長域が調整可能で、入射角依存性も小さい吸収体を提供することができる。
平坦な金属表面における表面プラズモンと光波の分散関係をグラフで示す説明図である。 従来の吸収体の概略構成を示す模式断面図であり、表面プラズモンを励起するために回折格子を金属表面に形成したものである。 MIM構造を持つ従来の吸収体の分散関係をグラフで示す説明図であり、MIM構造の吸収体の構造も追加している。 本発明の実施形態における光吸収体の概略構成を示す模式図である。 面内でランダムに配置された誘電体粒子により生じた回折光の面内波数の分散関係をグラフで示す説明図である。 本発明の実施形態における光吸収体の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施形態において、誘電体凸部のために誘電体粒子を採用する光吸収体の概略構成を、一つの典型例(図7A)および他の典型例(図7B)について示す模式図である。 本発明の実施形態において誘電体粒子を採用する場合の光吸収体の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施形態において、誘電体凸部の突出した向きと同じ側から光を入射させる構成を示す模式図である。 本発明の実施例のための光吸収体サンプルを作製する途中の段階において観察したAFM像であり、誘電体粒子202に導電性薄膜204を形成した直後の段階(図10A)および誘電体埋込層206を形成した直後の段階(図10B)である。 本発明の実施例において誘電体粒子202を形成するための粒子分散液の濃度を変更して作製したAFM像であり、粒子分散液濃度100%のもの(図11A)および10%のもの(図11B)である。 本発明の実施例において誘電体粒子202を形成するための粒子分散液の濃度を変更して作製した光吸収体サンプルの吸収率スペクトル(図12A)および消衰率スペクトル(図12B)のグラフである。 本発明の実施例において誘電体粒子202の粒径を変更した光吸収体サンプルの吸収率スペクトル(図13A)および消衰率スペクトル(図13B)のグラフである。 本発明の実施例において銀を採用した導電性薄膜204の厚みを変更して測定した光吸収体サンプルの吸収率スペクトルのグラフである。 本発明の実施例において導電性薄膜204のために銀を採用し、誘電体埋込層206の厚みを変更した光吸収体サンプルの吸収率スペクトル(図15A)および消衰率スペクトル(図15B)のグラフである。 本発明の実施形態における実施例において導電性薄膜204のために金を採用し、誘電体埋込層206の厚みを変更した光吸収体サンプルの吸収率スペクトル(図16A)および消衰率スペクトル(図16B)のグラフである。 本発明の実施形態における実施例において入射角θを変更して光吸収体サンプルの吸収率スペクトルのグラフであり、図17A〜Cの順に、入射角θを5°、30°、70°とした場合のものである。 本発明の実施形態における実施例において導電性薄膜の種類によらず広帯域での吸収が実現しうることを確認した実験結果を示すグラフであり、金、アルミニウム、銀を導電性薄膜および導電性厚膜に採用し、導電性薄膜および誘電体埋込層の厚みを最適化した光吸収体サンプルの吸収率スペクトル(図18A)および消衰率スペクトル(図18B)のグラフである。 本発明の実施形態における実施例においてあるサンプルの断面を撮影したSEM像である。
以下、図面を参照して本発明に係る光吸収体の実施形態を説明する。当該説明に際し特に言及がない限り、共通する部分または要素には共通する参照符号が付されている。また、図中、各実施形態の要素のそれぞれは、必ずしも互いの縮尺比を保って示されてはいない。さらに二つ以上の値を「〜」にて示す数値範囲は、特段の記載のない限りその両端の数値も値の範囲に含まれる。
本実施形態において実現される光吸収体は、適切に設計された場合、従来の可視域とそれに極近い近赤外域程度の波長範囲における吸収とは異なり、劇的に広い波長範囲において高い吸収率を実現することができる。例えば、波長範囲を広げることを主眼に設計することにより、400nm〜5000nmにも及ぶ吸収帯域を実現しうる。さらに材料の適切な選択も加えれば、例えば可視光において十分な透過率を示しつつ、赤外域において十分な吸収を持たせる、といった吸収帯の人為的調整も容易である。さらに、本実施形態の光吸収体の吸収特性は、入射角に殆ど依存しない性質も示す。本実施形態においては、このような高い能力を持つ吸収体の原理、その設計思想を説明し、さらに実際に当該原理を確認した光吸収体のサンプルについて説明する。
1.原理および着想
高い光吸収率を実現する手法として、表面プラズモンを用いるものがある。表面プラズモンとは入射光と金属中の自由電子の集団振動が結合して金属の表面を伝搬する表面波の素励起である。その吸収特性は、誘電関数から導かれる分散関係(dispersion)により説明される。図1は、平坦な金属表面における表面プラズモンと光波の分散関係をグラフで示す説明図であり、平坦な金属表面に光を入射させた場合の入射光(直線72)と表面プラズモン(曲線74)それぞれの分散関係を示す。入射光はω=ck(ω:角周波数、k:波数、c:光速)の関係をみたすことから原点を通る直線として表され、ライトラインとも呼ばれる。金属と空気の表面や金属と誘電体の界面で生じる表面プラズモンは、空気側からの入射光では通常は直接励起することができない。そのような制約に対し、周期的な構造を持つ回折格子を金属表面にて形成することが行われる。図2には、模式断面図にて、表面プラズモンを励起するために回折格子を金属表面に形成した従来の吸収体70の概略構成を示す。回折格子が存在する場合、その回折格子は、入射光(例えば垂直から僅かでも傾いた入射光)からの光を強め合うように干渉させる傾斜した方向での光(例えば一次回折光)を生じさせ、特に図2に示す光電界Eをもつp偏光ではその回折光の電界は金属表面(図2の紙面上にて左右方向に延びる平面)に対する垂直成分が強くなる。また、表面プラズモンは進行する向きが表面に沿った向きであるため、入射光のうち問題となるのは、入射光のうち表面プラズモンと結合できるような金属表面に対し平行に進む波数成分である(図1において直線72P)。直線72Pは入射光の面内波数(波数ベクトルの表面に平行な成分)の分散関係を表わす。ここで、回折格子の効果により回折光の面内波数の分散関係は、回折格子の格子ベクトルk=2π/Λの分だけシフトさせた分散関係(直線72D)となる。図2に波数の関係を示しているように、入射光の波数ベクトルの面内波数(金属表面に平行な成分)k//に格子ベクトルk加えたものと表面プラズモンの波数kが一致すると吸収が生じる。直線72Dは図1に示すように表面プラズモンの分散関係の曲線74に対し、運動量保存則およびエネルギー保存則が同時に成立するような交点をもたらすため、光から表面プラズモンへのエネルギー移動が許容される。つまり、回折格子が存在すれば表面プラズモンが励起される可能性が生じる。励起された表面プラズモンは、金属表面を伝搬し、その伝搬に伴って金属に吸収される。これが回折格子を持つ従来の吸収体70が光の吸収を与える原理である。しかしながら、回折格子を採用する場合の吸収は、交点を与える縦軸の角周波数ωに対応する周波数や波長で生じ、その吸収帯域は狭くならざるを得ない。さらに、光の入射角が変化すると、面内波数が変化し、回折格子の強め合う干渉の方向が変わることから、吸収帯域に入射角依存性が生じる。
他方、金属−誘電体−金属(MIM)構造では表面プラズモンの分散関係が変更される。図3はMIM構造を持つ従来の吸収体80の分散関係をグラフで示す説明図であり、MIM構造の吸収体80の構造も追加している。単純な金属/空気の界面の図1と比べMIM構造の吸収体80では特異的な表面プラズモンの分散曲線が得られる。具体的には、曲線82、84のように多重になったり、高周波側に他の分枝となる曲線86も生じたりする。注目すべきは、曲線82〜86のうちには、入射光の分散関係である直線72や直線72Pを横切るものが現れることである。入射光の分散関係である直線72や直線72Pとの表面プラズモンの分散曲線、曲線82〜86との交点において入射光のエネルギーが表面プラズモンに変換されれば必ずしも回折格子を形成しなくても吸収が生じうる。しかしこの場合も交点はごく限られる。つまりMIM構造を導入したのみでは表面プラズモンによる吸収の帯域は依然狭いままである。さらにこのMIM構造でも、光の入射角が変化すると一般に吸収帯域にシフトが生じる。
2.光吸収体
2−1.概要
そこで、本発明では、MIM構造にランダム性を取り入れることにより吸収帯域を広げる新たな光吸収体の構造を提案する。本実施形態では、誘電体表面に沿って面内でランダムに配置された誘電体凸部を持ち、各誘電体凸部の上または上方と誘電体表面のうち誘電体凸部が存在しない部分の上またはその上方とに金属などの導電性薄膜を配置した光吸収体が提案される。図4はこの光吸収体100の概略構成を示す模式図である。また図5は、面内でランダムに配置された誘電体粒子により生じた回折光の面内波数の分散関係をグラフで示す説明図である。
図4に示す光吸収体100は、誘電体凸部102の群と、導電性薄膜104と、導電性厚膜108とを備える。さらに典型的な光吸収体100の構成では、誘電体埋込層106も備えている。導電性薄膜104が配置されるのは誘電体凸部102それぞれの表面の少なくとも一部である。最も典型的には導電性薄膜104は誘電体凸部102それぞれの表面に直接接して形成される。吸収されるべき光は、図4にて太い実線矢印にて示すように導電性薄膜104と導電性厚膜108との関係で導電性薄膜104の側である紙面上の下方から入射させる。
このようなランダムな配置による効果は図5により説明される。図5における、直線12P、12D1は、誘電体凸部として図2に示すような1次元回折格子を採用した場合の入射光と回折光の面内波数の分散関係を示している。誘電体凸部として誘電体粒子を採用し、その位置を面内でランダムとなるようにすることは、回折格子を2次元にし、その規則性を崩すことに相当するため、強め合う干渉によって生じる回折光の方向(回折角度)に幅が生じること、つまり格子ベクトルに幅をもたらす。これは、実質的には、直線12D1が、規則性の乱れに応じて幅を持つことに対応するはずであり、回折光の波数自体が広帯域化される。ランダムであることにより回折光の波数にΔk(グラフ上端に付記)の幅が生じ、表面プラズモンの分散曲線22〜26との交点自体に幅を生じさせる。これに対応して吸収を与える帯域に広がりΔω、Δωが生じ、広帯域での吸収を期待することができる。
なお誘電体凸部102の形状を反映する導電性薄膜104は、必ずしも回折光の方向のみに影響を与えるものとは限らない。図5やそれに基づく説明では表面プラズモンの分散曲線22〜26は図3の分散曲線82〜86と同様のものを描いているものの、表面プラズモンの分散も凹凸を反映した導電性薄膜104の影響を受ける。例えば、誘電体埋込層106を介しての導電性厚膜108までの距離は導電性薄膜104の各部で凹凸に応じた幅を持つ。また、周波数によっては、金属層自体に凹凸が生じるサイズの小ささのために局在した表面プラズモンが生じる可能性もある。このため、表面プラズモンの分散は図5と異なりそれ自体が幅を持ちうる。このような幅も、上述した回折光の波数の幅と同様に帯域を広げる作用をもつため、いずれにしても広帯域化に寄与するものといえる。そして上述したこれらの原理は、図5では誘電体粒子のランダムな配置により説明されるものの、誘電体粒子において実現する凹凸と類似した凹凸が他の手法により実現する限り、必要な変更を前提として同様の特性が実現することを十分に期待することができる。いずれにしても、光吸収体における表面プラズモンの波数(k)と周波数(ω)との関係を示す分散曲線と、回折光の波数および周波数の関係を示す分散曲線とが一致する周波数域を拡大するために金属表面に特にランダムな配置を持つような微細な凹凸形状を形成することにより、表面プラズモンを利用した吸収の帯域を広げることが可能となる。
再び図4に戻り説明する。光吸収体100は、誘電体凸部102の群、導電性薄膜104、および導電性厚膜108を備えている。さらに典型的な光吸収体100の構成では誘電体埋込層106も備えている。導電性薄膜104が配置されるのは誘電体凸部102それぞれの表面の少なくとも一部であり、その表面全体を覆っていても構わない。導電性薄膜104は最も典型的な場合には誘電体凸部102それぞれの表面に直接接して形成される。ただし、各誘電体凸部の表面形状を実質的に写し取ったような表面形状を実現する他の層(図示しない)を介して、導電性薄膜104が配置されても同様に機能する光吸収体を作製できる。また、典型的な構成において、光吸収体100は、ガラス基板122などの透光性基板を採用して形成される。このガラス基板122の一方の面122Aは、誘電体凸部102が配置される誘電体表面をなしている。当該誘電体表面の面内において、誘電体凸部102はランダムに位置している。このランダムさは図5を参照して説明したように光または表面プラズモンの少なくともいずれかの分散関係に幅を与える。なお、光吸収体100において誘電体凸部102の配列に導入されるランダムさは、必要な吸収帯域の幅に応じ適宜に決定される。
このような光吸収体100の製造方法は、典型的には次のようなものである。図6は、その光吸収体の製造方法を示すフローチャートである。まず、誘電体凸部102の群が形成される(S02)。このステップは誘電体凸部の群を任意の手法により形成するものを含む。その際、誘電体表面から突出している各誘電体凸部102は、その誘電体表面に沿ってランダムに位置するように配置される。この配置のためには、少なくともある程度ランダムになることが期待できる任意の積極的手法および消極的手法を採用することができる。次いで、導電性薄膜104が配置される(S04)。この導電性薄膜104は、上記誘電体凸部102の群に含まれる各誘電体凸部102の表面のうちの少なくとも一部の上またはその上方と、誘電体表面であるガラス基板122の一方の面122Aのうち誘電体凸部102が存在しない部分のうちの少なくとも一部の上またはその上方とに配置される。さらに、導電性厚膜108が形成される(S06)。導電性厚膜108は、導電性薄膜104から離れた位置に誘電体表面に沿って広がるように形成される。
2−2.誘電体粒子による凸部の形成
本実施形態における最も典型的な光吸収体100の例は、図7Aに示す光吸収体200のように誘電体粒子を採用するものである。光吸収体200では、光吸収体100における誘電体凸部102として誘電体粒子202が採用される。誘電体粒子202は、例えばSiOなどの誘電体粒子であり、その粒径は後述するように吸収帯域に影響を与えるため目的に合わせ適宜に決定される。この誘電体粒子202はガラス基板222の一方の面222Aの上にランダムに配置される。採用できる誘電体粒子の形状には特段限定はない。導電性薄膜204が配置されるのは、少なくとも、誘電体表面であるガラス基板の面222Aの粒子が配置されていない部分の少なくとも一部と、誘電体粒子202それぞれの表面のうち各誘電体粒子202からみて配列されている誘電体表面である面222Aとは逆に向く側(紙面の上方)の領域の少なくとも一部とである。
図8は、誘電体粒子を採用する場合の光吸収体の製造方法を示すフローチャートである。このフローチャートは、図6に示した製造方法に対応し、誘電体粒子を採用する場合のものである。まず、誘電体凸部を形成するステップ(S02)のために、誘電体粒子が配置される(S12)。この際、二次元面を誘電体表面として持つ基体(例えば面222Aを持つガラス基板222、図7A)のその表面に接して各誘電体粒子が面内でランダムに配置される。誘電体粒子をランダムに配置する手法は様々なものを採用することができる。最も典型的には、誘電体粒子の分散液を当該基体に接触させることにより各誘電体粒子を面内でランダムに配置し、その後に基体の表面に定着させるステップを含んでいる。ランダムな位置に配置される誘電体粒子の密度(面密度)は、粒子分散液の濃度により決定することができる。このため、例えば吸収の性能を決める指標である吸収係数または消衰係数に基準値を設けておき、その基準値が得られるような分散液の濃度もある程度決定することも好ましい。その際に実験による揺らぎを反映させ、当該濃度以上に濃い分散液を用いることにより目的とする吸収を持つような光吸収体を再現性よく作製することができる。この用途に採用することができる誘電体粒子202は、例えばシリカ(SiO)粒子や、ポリスチレンラテックス等の各種のプラスチック粒子である。
なお、上述した基体は単一の材質のものではなく、何らかの表面層を持つような材質や、薄いフィルムとすることもできる。また、導電性薄膜の配置(S04)のために、誘電体粒子の群に含まれる各誘電体粒子202の表面のうち各誘電体粒子202からみて誘電体表面となる側とは逆に向かう側の領域のうちの少なくとも一部の上またはその上方と、誘電体表面の誘電体粒子202が配置されていない部分のうちの少なくとも一部の上またはその上方とに導電性薄膜204が配置される(S14)。なお、導電性厚膜を形成するステップ(S16)はこの場合も同様である。
また、誘電体粒子について、図7Aに示した光吸収体200に示した誘電体粒子202は上述したシリカのほか種々のものを採用することができ、またその形状、粒径、粒径分布、製法などは原理的には特段制約はない。実用面では、誘電体粒子202の材質は、配置のランダム性や、基板や導電性薄膜との付着性に影響することがある。また、吸収帯域を選択するためには、誘電体粒子202の形状や粒径、粒径分布は適切となるように調製される。本実施形態において、誘電体粒子は少なくとも凸部となる形状によって導電性薄膜に凹凸を生じさせる。
図8の製法に則って作製された光吸収体は、別の典型例として、図7Bに示す光吸収体200aに示される構造となることもある。すなわち、導電性薄膜204が配置されるステップ(S14)において、誘電体粒子202の表面のうち、頂部202Aには導電性薄膜204が形成されるものの、ガラス基板222側に向かう下方および側面202Bには導電性薄膜204が形成されない構造となることがある。このようなものであっても本実施形態の光吸収体となりうる。この構造では、誘電体粒子202の表面に形成された導電性薄膜204は、凹部202Rにおいて面222Aの表面に形成された導電性薄膜204と不連続となっている。また、隣り合うものの複数の誘電体粒子202に形成された導電性薄膜204は、それら誘電体粒子202が互いに接するほどに近づいている場合を除き、導電性薄膜204の導体領域が誘電体粒子202ごとに孤立した島状に形成されることがある。これに対し、隣り合う複数の誘電体粒子202が互いに接しているかほぼ接していれば、各誘電体粒子202の導電性薄膜204の導体領域が互いに連続する結果、複数の誘電体粒子202にまたがる形状の導体領域が形成されることがある。このため、図7Bに示す光吸収体200aでは、島状になった導体領域の位置にランダム性が導入されるとともに、導体領域のサイズにもランダム性が導入されている。このような構造でも、各誘電体粒子202の表面のうち、面222Aとは逆の側に向かう領域である紙面上上方の面の少なくとも一部に導電性薄膜204が配置されている、と言いうる。
2−3.導電性薄膜および導電性厚膜
本実施形態の各構成において導電性薄膜104、204および導電性厚膜108、208は少なくともある程度導電性を示す材質により作製することができる。その際、金属の材質は吸収を生じさせる波長域の周波数に対しある程度応答を示し完全には透過しないようなものが選択される。可視域、近赤外域、赤外域に吸収帯域を実現したいときには金属であれば例えば金、銀、アルミニウム、またはこれらを一部に成分に含む合金とすることが好ましい。また、金属以外にも例えば酸化物半導体は、赤外線に対し、金属的に振る舞う性質を持つため、吸収を赤外で生じさせたいのであれば、同様に採用することができる。
例えば赤外に吸収帯域を、また可視に透過帯域を設けたいという用途では、可視帯域について金属的な振る舞いを示さず、赤外帯域において金属的振る舞いを示すような酸化物半導体は適する材質の一つである。この金属的振る舞いの目安には材質のプラズマ周波数を採用することができる。すなわち、透過させたい波長域の振動数よりも低いプラズマ周波数を持つような材質を選び、そのプラズマ周波数よりもさらに低い周波数の領域(長波長域)では吸収の能力を発揮させることができる。その吸収帯域幅を十分確保することは、本実施形態の構成を適用することにより容易である。本実施形態に採用可能な酸化物半導体材料の例は例えば、In(酸化インジウム)、ITO(スズドープ酸化インジウム)、Sr1−xTiO(イットリウムドープチタン酸ストロンチウム)、SnO:F(フッ素ドープ酸化スズ)、ZnO:AlまたはZnO:Ga(アルミニウムまたはガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO:Nb(ニオブドープ酸化チタン)、CdSnO(カドミウムスズ酸化物)を含む。また、PEDOT:PSS(poly(3,4-ethylenedioxythiophene) polystyrene sulfonate)などの有機導電材料も採用可能である。
導電性薄膜と導電性厚膜のそれぞれの厚みは、光吸収体200を例に説明すると典型的には次のようにして決定される。まず導電性薄膜204は、薄すぎると吸収させたい波長域において表面プラズモンが殆ど励起されないため機能しない場合がある。逆に厚すぎると光を過剰に反射させてしまうためそれも好ましくない。導電性薄膜204は、吸収させたい波長域においてそれ自体をある程度光が通過するような半透過性を示す厚みとすることができる。また、導電性厚膜208は、吸収させたい波長域で十分に透過を防ぐ厚みが好ましい。透過が原因となって吸収し損ねることを防止できるだけの厚みがあることが好ましいのである。この際、導電性厚膜208と同質で同一の厚みの膜を単独で形成した場合にはその波長域で反射してしまうような厚みであっても構わない。なお、波長域によって透過と吸収とを両立させる場合には、透過させたい波長域における透過性も追加して考慮される。
なお、導電性薄膜は、誘電体凸部102や誘電体粒子202が存在するために光学的性質が影響を受ける。このため、光の透過性自体も同じ厚みの層が平面に形成された場合とは異なりうる。さらに、誘電体凸部102や誘電体粒子202の形状の効果によって、導電性薄膜には多数の孔があいていたり、途切れていたり、皺や段差が生じている場合もある。
2−4.光吸収体として機能するための他の構成
本実施形態の光吸収体100(図4)および光吸収体200(図7)では、それぞれ、誘電体埋込層106、206によりそれぞれの導電性薄膜104、204が覆われている。導電性厚膜108、208は、誘電体埋込層106、206のもう一方の面の上または上方に形成される。誘電体埋込層106、206は、誘電体凸部102、誘電体粒子202の形状を少なくともある程度ならすことができる材質であると好ましい。そのような材質が採用される場合には、誘電体凸部102、誘電体粒子202の凸部の形状は、導電性厚膜108、208にそのまま反映されるわけではない。ただし、導電性厚膜108、208の誘電体凸部102、誘電体粒子202側の界面に凹凸が残存していても吸収体としては動作するため、誘電体埋込層106、206に完全な平滑性が要請されるものではない。
本実施形態の光吸収体100(図4)および光吸収体200(図7)では、それぞれ、ガラス基板122、222の側から光を入射させる(太い実線矢印により示す)。ここで、本実施形態において光の入射方向は、一般に導電性薄膜104、204および導電性厚膜108、208のうち、導電性薄膜104、204に最初に光が入射するような向きとなる。このため、図4および図7とは異なる構成によって本実施形態を実現することもできる。図9は、本発明の実施形態において、誘電体凸部の突出した向きと同じ側から光を入射させる構成を示す模式図であり、誘電体凸部を設ける構成(図9A)と、誘電体凸部を誘電体粒子により実現する構成(図9B)である。これらの構造の場合、吸収されるべき光(太い実線矢印)は紙面上の上方から入射する。図9Aに示す光吸収体300は、誘電体凸部302の群、導電性薄膜304、および導電性厚膜308を備えている。さらに典型的な光吸収体300の構成では、基材となる誘電体膜312も備えており、少なくともその一方の面312Aの側に誘電体凸部302の群が位置している。誘電体凸部302はその一方の面312Aに沿って面内でランダムに形成されている。導電性厚膜308は、誘電体膜312の他方の面312Bの側に配置されている。導電性薄膜304が配置されるのは、少なくとも、基材となる誘電体膜312の一方の面312Aのうち誘電体凸部が形成されていない部分の一部またはその全部と、誘電体凸部302それぞれの表面の一部またはその全部とである。最も典型的には導電性薄膜304は誘電体凸部302それぞれの表面に直接接して形成される。この構造において吸収されるべき光は、導電性薄膜304と導電性厚膜308との関係で誘電体凸部102の側である紙面上の上方から入射する。同様に、図9Bに示す光吸収体400は、誘電体粒子402の群、導電性薄膜304、および導電性厚膜308を備えている。さらに典型的な光吸収体400の構成では、基材となる誘電体膜412も備えており、少なくともの一方の面412Aの側に誘電体粒子402の群が位置している。誘電体粒子402はその一方の面412Aに沿って面内でランダムに形成されている。導電性厚膜408は誘電体膜412の他方の面412Bの側に配置されている。導電性薄膜404が配置されるのは、少なくとも、誘電体表面412Aのうち誘電体粒子402が配置されていない部分の一部またはその全部と、誘電体粒子402それぞれの表面のうち各誘電体粒子402からみて配列されている誘電体表面である表面412Aとは逆に向かう側に向く側(紙面の上方)の一部またはその全部とである。
このように、導電性薄膜は、導電性厚膜から見て光の入射側となる。光吸収体100、200と光吸収体300、400とでは導電性薄膜にとって光の入射方向が反転し、誘電体凸部や誘電体球の形状からみて光の入射方向は反転しているが、そのこと自体で導電性薄膜自体の動作や特性に、他の条件に調整不可能なほどの差異が生じることはない。
また、光吸収体100、200、300、400のいずれにおいても、誘電体凸部102または誘電体粒子202の隣接するもの同士の間の谷となる位置(便宜的に凹部102R、202Rと呼ぶ)には、導電性薄膜104、204が形成されている場合がある。凹部102R、202Rを形作っている材質は実際の誘電体凸部102、誘電体粒子202の配置密度の影響を受ける。配置の密度が高い場合には、隣合う誘電体凸部102同士の間に作られる窪みであり、配置の密度が低い場合には、面122Aとなる。このような違いは光の回折や散乱特性に影響を与えること、および励起される表面プラズモンの特性に影響を与えることから、吸収特性にも影響を及ぼす。
2−5.導電性薄膜および導電性厚膜の間の光学距離
光吸収体としての吸収波長帯域の幅は、主に誘電体凸部102および誘電体粒子202によって導入されるランダムな配列を持つ凸部により決定される(図4、図7)。これに対し吸収波長帯域の波長または周波数における位置には、上述した導電性薄膜および導電性厚膜の材質の影響に加え、導電性薄膜および導電性厚膜との間の光学距離が影響する。この光学距離は、誘電体埋込層を採用するものでは、誘電体埋込層の形成条件により容易に設定することができる。また、図9に示した誘電体膜を用いる構成では、当該誘電体膜の厚みにより設定することができる。一般には上記光学距離が大きければ吸収波長の中心は長波長側にシフトし、小さければ短波長側にシフトする。これらの設定において誘電体凸部の高さ、誘電体粒子の粒径も影響する場合がある。なおこの用途に用いられる誘電体膜の例としては、赤外域においては1μm程度またはそれ以上の厚みのPET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムなどを採用することができる。
3.用途
3−1.ボロメーター
本実施形態の光吸収体は、赤外線やそれより長いテラヘルツ波領域のパワーメーターとして用いられるボロメーターのための吸収体とすることができる。ボロメーターとして好ましい性質は十分な感度を持つこと、電磁波の方向依存性が少ないこと、また、経時変化が少ないことであり、従来は金黒などが採用される。本実施形態の光吸収体は、これらの性質を満たしうるものである。
3−2.赤外吸収体
上述したボロメーターに代表される赤外領域での良好な特性を示す吸収体は、一般に金黒など材質のもつ特性にしたがってその性能(吸収帯域など)が決定される。このため例えば大気窓に合わせた吸収帯域を持つような材料など、固定の用途に向けた吸収帯域を設計することは容易ではない。本実施形態の吸収体は吸収帯域を、高い自由度で設計できるためそのような用途に適するものである。
3−3.太陽熱発電装置
太陽熱発電装置は、太陽電池とは異なり、太陽光の全スペクトル領域の光を熱源として利用するものである。本実施形態の光吸収体を採用することにより、太陽光の全スペクトル領域(0.3μm〜2.5μm)のエネルギーを余すことなく吸収でき、高効率な光吸収体を作製することができる。このため、太陽熱発電のための光吸収体(光熱変換体)として適するものを本実施形態により提供することができる。
4.実施例
以下実施例に基づいて本実施形態をさらに具体的に説明する。本発明の内容は本実施例の範囲に限定されるものではない。また説明済みの図面は、同一の符号により引き続き参照する。
4−1.試料の作製手順例
上述した実施形態の誘電体粒子を利用する光吸収体200のためのサンプルを作製した。サンプル2の作製を例に説明すると、38.1×25.4mmのガラス基板222(図7)を、アミノプロピルトリメトキシシランの体積比1%水溶液に少なくとも1分間浸漬し、引き上げた後に水でリンスを行った。その後50℃のオーブンで10分間ベークを行った。次にアミノプロピルトリメトキシシランを定着させたガラス基板を、所定の粒径(サンプル2ではメーカー公称値100nm)のSiO粒子の質量比5%水分散液(colloidal silica microspheres, Polysciences, Inc.)に少なくとも1分間浸漬し、引き上げて水でリンスを行った。その後、50℃のオーブンで10分間ベークを行った。さらに次の方法でMIM構造を形成した。まず定着した誘電体粒子202の上に導電性薄膜204として、仮に平滑な面に形成すれば膜厚20nmとなるべき条件の真空蒸着法によって、銀薄膜を堆積した。この蒸着は、蒸着源に銀線を用い、5.0×10−4Pa以下の圧力において、抵抗加熱によって蒸着レート0.1nm/sで行った。その後、誘電体埋込層206として、酢酸セロソルブ中に質量比3%としたPMMAをスピンコートによって堆積した。通常、500〜5000rpmで本発明における光吸収の効果が得られる膜厚となる。最後に、導電性厚膜208となる膜厚100nmの銀薄膜を真空蒸着により形成した。
さらに、サンプルは、光波吸収率と作製条件との関係を特定するために条件を様々に変更した。具体的には、誘電体粒子202であるSiO粒子の粒径、同粒子の粒子密度、導電性薄膜204の膜厚、および誘電体埋込層206となるPMMAの膜厚(面222Aからの厚み)を変更した。表1に、作製したサンプルの条件をリストしている。サンプル2とは別のサンプルについては、上述した作製工程に対し、変更した条件に応じ別の条件を採用した。さらに、本実施形態の光吸収体200のサンプルの作製に当たり、作製途中のいくつかの段階とサンプルで原子間力顕微鏡(AFM)像を取得した。
Figure 2018043298
表1中、各列はサンプル番号、誘電体粒子202の粒子径(メーカー公称値)、分散液濃度、導電性薄膜204の材質、その厚み、誘電体埋込層206のPMMAの厚み、対応する図面番号、説明のための備考、である。なお、分散液濃度は、質量比5%の粒子を含む分散液の水による原液希釈率(希釈倍率の逆数)であり100%は希釈なしを意味している。誘電体埋込層206のPMMA厚みは面222Aから導電性厚膜208が形成される面までの厚みであり、その厚みの範囲に誘電体粒子202、導電性薄膜204が埋め込まれている。また、各サンプルでの導電性厚膜208のためには、同じサンプルの導電性薄膜204と同種の材質を、透過が生じないだけの十分な厚みに形成したものとした。
4−2.結果
図10は、光吸収体200のサンプル1の作製途中の原子間力顕微鏡(AFM)像である。いずれも50nm径の粒子を分散液濃度100%にて形成したものであり、その上に導電性薄膜204として14.3nm厚のアルミニウムを形成した段階(図10A)および当該導電性薄膜204の上に誘電体埋込層206としてPMMA層(152nm厚)を形成した段階(図10B)のものである。なお、AFM像は粒子を定着させただけでは粒子が移動して取得できず、アルミニウムを配置した後のもののみである。表2に、各AFM像から計測された特徴量を、アルミニウム(厚さ14.3nm)を粒子を配置せずガラス基板上に直接形成した表面(図示しない)における値とともにまとめている。
Figure 2018043298
例えば自乗平均面粗さ(RMS)で比較すると、粒子を配置しないアルミニウム表面では約0.9nmの程度であったが、粒子の表面にアルミニウムを配置したもの(図10A)では15.7nmと増大した。さらに、PMMAを形成すると、一転し2.2nmにまで減少した。このことは、粒子により生じた粗さをPMMAが平滑化し、PMMAが埋込層の役割を果たしていることを示している。他の指標(平均面粗さRa、ピーク−バレイ間の最大高低差)についてもこの傾向は同様であった。
図11は粒子密度を変更するために条件を変更した場合の観察のために工程途中まで作製したサンプル2、3から取得したAFM像である(順に図11A、11B)。なお、サンプル2、3は誘電体粒子202の粒径を100nm、導電性薄膜204を膜厚20nmの銀とした。この場合にも、AFM像は導電性薄膜204を形成する前の粒子のみでは取得できず、導電性薄膜204となる銀を形成したのちに可能になったので、誘電体埋込層206を形成する前の段階で観察した。図11A、Bに示すとおり、いずれの場合にも多数の誘電体粒子202がランダムに配置されている構造であることが確認できた。
次に、各条件のサンプルを対象に吸収率スペクトルを測定した。測定結果を図12〜図17に示す。測定は、紫外可視分光光度計(UV/VIS)に加え、サンプル13〜17を除きフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)も用い、いずれも反射率測定により吸収を決定した。具体的には、UV/VISでは、積分球を用いて試料の散乱光と反射光の和を測定し、その値を100%から減算することにより吸収率(absorptanceまたはabsorption)のスペクトルとした。FT−IRでは、特に明示の無いものでは図2における入射角θを5°として試料の反射光を測定し、100%から測定値を引くことで試料の消衰率(extinction)のスペクトルを算出した。この消衰率には吸収に加え散乱による光量低下を含む。波長範囲は、測定UV/VISについて波長400nm〜2500nm、FT−IRでは、波長1250nm〜4000nmとした。
誘電体粒子202の粒子密度の違いを調査すべく分散液濃度を変更したサンプル4〜6の吸収率スペクトルは図12に示すとおりとなった。図12AはUV/VISにて測定した吸収率であり、図12BはFT−IRによる消衰率である。この結果から、粒子の分散液を100%(原液)の濃度つまり質量比5%のSiO粒子を含む原液のものが、最も高い吸収率を示した。また図示しないものの、サンプル7〜9(粒径50nmで分散液濃度を変更したもの)、サンプル10〜12(粒径10nmで分散液濃度を変更したもの)においても、粒子密度が高いほど高い吸収率のデータが得られている。なお、分散液濃度が高いことにより、定着させた後の粒子密度(面積当たりの粒子個数)が高まっていることは実際にも観察されている。図11に示したように、粒子の分散液の濃度を10%としたサンプル3(図11B)に比べ、同100%のサンプル2(図11A)は明らかに高い粒子密度となっている。
次に、誘電体粒子202の粒径の違いを調査するために、粒径を100、50および10nmと変更し粒子密度が一番高い試料(サンプル6、9、12)を比較した(図13)。粒径10nmのサンプル12のみ分散液濃度を50%、他は100%としている。これらサンプルでは赤外領域において有意な差が見られなかった。なお、FT−IRの測定結果では粒径が大きいほど消衰率が高くなったが、消衰率には散乱も含まれ、散乱強度は粒径が大きくなるほど高くなるので実際の吸収率を議論することはできないと考えている。
サンプル13〜17(図14)では、導電性薄膜204のための銀の厚みを10nm〜50nmの範囲で10nm刻みで変更した。これらのうち30nmのもの(サンプル15)において1000nm以上の波長域で最大の吸収率を示した。さらに50nmの膜厚(サンプル17)となると急激に吸収率が低下することも観察された。このことから、1000nm以上の波長域における吸収体を作製するためには、例えば、その材料に銀を用いたときは、導電性薄膜204の厚みは上限が50nm程度であるといえる。また、下限は調査した範囲では10nmでも実用になり得ることが確認できた。
さらに、誘電体埋込層206の厚みに対する吸収率スペクトルの依存性も調査した。そのために、誘電体埋込層206のためのPMMAの厚みを変更したサンプル14〜18(導電性薄膜204が銀のもの;図15)およびサンプル19〜23(同、金のもの;図16)を調査した。図15A、図16AはUV/VIS測定の吸収率スペクトル、図15B、図16BはFT−IRの消衰率スペクトルである。サンプル14〜18、19〜23のいずれの系統においても、誘電体埋込層206となるPMMAの膜厚を厚くするにつれて可視域における吸収ディップが長波長側にシフトした。この挙動はMIM構造で誘電体埋込層206をギャップ層とするファブリペロフィルターと類似の挙動であり、誘電体埋込層206の膜厚により吸収率の波長依存性を高い再現性を持って調製しうることを示している。
さらに、傾斜角(入射角)に対する吸収挙動を、FT−IRの消衰率により測定した。図17は、作製されたサンプル20を利用して測定した消衰率スペクトルのグラフであり、図17A〜Cの順に入射角θを5°、30°、70°としたものである。各スペクトルは別々のグラフにしているものの、その値に実質的な違いは見出せず、図面上で一本の曲線に重なるほどであった。これにより、本実施形態における吸収率には実質的な角度依存性が見られないことを確認した。さらに法線方向周りの方位角方向の依存性についても、本実施形態にて得られた光吸収体サンプルはいずれも等方的であった(図示しない)。これらから、本実施形態の光吸収体サンプルは入射角に対する依存性を示さないことを確認した。
次に、導電性薄膜として用いる金属の種類に対する依存性を調査した。図18はその実験結果を示すグラフであり、金、アルミニウム、銀(順にサンプル28、29、30)を導電性薄膜204および導電性厚膜208に採用し導電性薄膜204および誘電体埋込層206の厚みを最適化した光吸収体サンプルの吸収率スペクトル(図18A)および消衰率スペクトル(図18B)のグラフである。測定の入射角θは8°に固定している。図18に示した通り、本発明の実施形態における実施例において3種の金属材料の導電性薄膜により、同様に広い帯域で吸収が実現することが確認された。このことは、本実施形態において導電性薄膜の種類によらず広帯域の吸収が実現しうることを示唆している。ただし、導電性薄膜の示すプラズマ周波数よりも高い周波数では表面プラズモンが励起されず、それによる吸収は期待することはできない。
最後に、MIM構造の実際の断面を確認した観察結果を説明する。図19は、誘電体粒子202のために直径50nmのSiO球粒子を、また導電性薄膜204および導電性厚膜208のためにAuを採用し、導電性薄膜204の厚みを12.2nm、誘電体埋込層206の厚みを124.5nmとしたサンプル28の断面を撮影したSEM像である。SEM像で明るく写る金属組成の分布から、サンプル28では、Auの導電性薄膜204が誘電体粒子202の頂部と、面222Aのうち誘電体粒子202の存在しない部分となる凹部202Rの部分とをともに覆っていることが確認された。ただし、誘電体粒子202の表面のうち、頂部以外にはAuが付着していないようである。これらから、サンプル28の構造は、図7Aの光吸収体200よりはむしろ図7Bの光吸収体200aに近いもののようであった。
以上のように、実施例のサンプルにより、本実施形態の光吸収体が高い吸収率を示すこと、その吸収波長範囲を設計しうること、およびその吸収特性が入射角依存性を示さないことが確認された。
5.変形例
本実施形態では種々の変形によりさらに光吸収体の性能を高めたり、また用途に応じ一層好ましい特性を実現したりすることができる。
5−1.ランダムに配置される誘電体凸部の密度が高い場合
本実施形態において、誘電体凸部が形成されている密度が高い場合に誘電体凸部の配置に導入されるランダムさに起因して必要となる変形が行われる場合もある。具体的には、本実施形態が実施された光吸収体においては、誘電体凸部の密度が高い場合には、凸部の無い誘電体表面上には導電体薄膜はなくてもよい。このため、誘電体凸部の密度が高い場合には、本発明の上記光吸収体の態様は、ある誘電体表面に沿うランダムな位置において各誘電体凸部が該誘電体表面から突出している誘電体凸部の群と、該群に含まれる各誘電体凸部の表面のうちの少なくとも一部の上またはその上方に配置されている導電性薄膜と、該導電性薄膜から離れ前記誘電体表面に沿って広がる導電性厚膜とを備える光吸収体としても実施される。同様に、本実施形態の光吸収体は、ある誘電体表面に沿うランダムな位置において各誘電体凸部が該誘電体表面から突出している誘電体凸部の群を形成するステップと、該群に含まれる各誘電体凸部の表面のうちの少なくとも一部の上またはその上方に導電性薄膜を配置するステップと、該導電性薄膜から離れ前記誘電体表面に沿って広がる導電性厚膜を形成するステップとを含む光吸収体の製造方法としても実施される。
5−2.複合化光吸収体
本実施形態ではMIM構造を説明したが、さらに、MIMIM構造、すなわち、導電性の層を3層もつ構造としても光吸収体を形成することができる。その際、誘電体凸部の影響により凹凸を持つ導電性薄膜が1層以上採用され、また導電性厚膜が1層採用される。例えば、中央の導電性の層を導電性厚膜とし、それを挟む両側の導電性の層それぞれを誘電体凸部の影響により凹凸をもつ導電性薄膜とすることができる。このような構造の光吸収体は、両面に対して所望の吸収帯域を持たせることができる。なお、その際各面の吸収特性を同一としてもよいしまた変更してもよい。これにより、例えば一方の面で熱線を吸収し他方の面ではその熱エネルギーを別の波長で放射させる、といった柔軟な構成を実現することもできる。また、MIMIM構造で両側のうちの一方の導電層と中央の導電層を凹凸を持つ導電性薄膜とし、残りの導電層を導電性厚膜とすれば、片側にて吸収する際にもより高い設計の自由度が得られ、吸収帯域を一層広げたり吸収率を高めうる能力が期待できる。
5−3.熱線防止ガラス
また、可視光(例えば波長400nm〜800nm)の波長域で吸収率を低減して建材の窓として用いうる用途にも本実施形態の光吸収体を採用して性能向上が見込める。可視光で実用的な透過率を示し、800nm〜2500nmの波長域で光(近赤外線)の吸収率が大きくなるように設計することは、上記実施形態の開示内容を適用することにより可能である。そのためには、導電性薄膜および導電性厚膜ともに酸化物半導体を採用し、また、これらの間に位置するすべての材質の可視域での吸収も抑制したものとする。導電性厚膜は、吸収率を高める800nm〜2500nmの近赤外域で透過しない程度の厚みとし、その帯域での吸収率を測定しながら、導電性薄膜の厚みや材質、誘電体凸部の密度、形状や、誘電体粒子の密度や粒径、さらに、導電性薄膜と導電性厚膜の間の光学距離を調整する。これにより、所望の熱線防止特性をもつガラス建材を作製することができる。
5−4.放射冷却フィルム
本実施形態の波長範囲別の吸収率の調節能力を活用すれば、波長8μm〜13μmの大気の窓領域において高い吸収率を持ち、かつ、波長0.3μm〜2.5μmの太陽光スペクトル領域で高い透過率を持つフィルム(「放射冷却フィルム」)を設計することが可能である。この放射冷却フィルムは、例えば誘電体膜のために高分子フィルムを採用し、導電性薄膜および導電性厚膜のために酸化物半導体を用いることにより実現されうる。キルヒホッフの法則より放射率と吸収率が等しいため、この放射冷却フィルムは熱を赤外線として宇宙空間に放射し、冷却の効果を与える。この放射冷却フィルムは、放射冷却が役立つ任意の用途に採用できる。例えば太陽電池の表面に貼り付けた放射冷却フィルムは、太陽電池の冷却に寄与する。シリコン太陽電池では温度が低下するほどその光電変換効率が上昇するため、この放射冷却フィルムを貼り付けることにより発電効率の向上が期待できる。さらに、放射冷却フィルムに類似する別の形態として、反射と組み合わせるものとすることができる。冷却のみを目的とする用途では、太陽電池に使う場合のような高い透過率が可視域の光学特性に常に必要なわけではない。例えば上述した大気の窓領域で高い吸収率を達成しつつ可視域で反射率を100%に近付ければ、放射冷却と反射を両立した放射冷却ミラーを作製することができる。そのような用途のための導電性薄膜や導電性厚膜には、銀やアルミニウムといった、太陽光スペクトル領域で吸収が少ない材質が好ましいものとなる。
以上本発明の実施形態について具体的に説明した。上述の各実施形態および実施例は、発明を説明するために記載されたものであり、本出願の発明の範囲は、請求の範囲の記載に基づいて定められるべきものである。また、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた請求の範囲に含まれるものである。
本発明の光吸収体は、光の吸収を利用する任意の機器に利用可能である。
100、200、200a、300、400 光吸収体
102、302 誘電体凸部
202、402 誘電体粒子 202A 頂部
202B 下方および側面
102R、202R 凹部
104、204、304、404 導電性薄膜
106、206 誘電体埋込層
108、208、308、408 導電性厚膜
312、412 誘電体膜
312A、412A 一方の面
312B、412B 他方の面
122、222 ガラス基板
122A、222A 一方の面(誘電体表面)

Claims (17)

  1. ある誘電体表面に沿うランダムな位置において各誘電体凸部が該誘電体表面から突出している誘電体凸部の群と、
    該群に含まれる各誘電体凸部の表面のうちの少なくとも一部の上またはその上方と該誘電体表面のうち誘電体凸部が存在しない部分のうちの少なくとも一部の上またはその上方とに配置されている導電性薄膜と、
    該導電性薄膜から離れ前記誘電体表面に沿って広がる導電性厚膜と
    を備える光吸収体。
  2. 前記誘電体凸部の群が、前記誘電体表面に接して各誘電体粒子を面内でランダムに配置したものであり、
    前記導電性薄膜は、該群に含まれる各誘電体粒子の表面のうち各誘電体粒子からみて前記誘電体表面側とは逆に向かう側の領域のうちの少なくとも一部の上または上方と該誘電体表面の誘電体粒子が配置されていない部分のうちの少なくとも一部の上またはその上方とに配置されているものである、請求項1に記載の光吸収体。
  3. 前記誘電体表面に沿って広がり前記導電性薄膜を覆う誘電体埋込層をさらに備え、
    前記導電性厚膜が、該誘電体埋込層からみて前記導電性薄膜とは逆の側の面の上または上方に配置されているものである、請求項1または請求項2に記載の光吸収体。
  4. 前記誘電体表面となる一の表面および他の表面で厚みをなす誘電体膜をさらに備え、
    前記誘電体凸部の群が、該一の表面の側に位置しており、
    前記導電性薄膜が各誘電体凸部の上または上方に配置されており、
    前記導電性厚膜が前記誘電体膜の前記他の表面の側に配置されているものである、請求項1または請求項2に記載の光吸収体。
  5. 前記導電性薄膜が、金、銀、アルミニウム、酸化物半導体、有機導電体からなる群から選択される一の材質を含むものである、請求項1または請求項2に記載の光吸収体。
  6. 前記導電性薄膜が銀を含み厚みが10nm以上50nm以下である請求項6に記載の光吸収体。
  7. 前記導電性厚膜が、金、銀、アルミニウム、酸化物半導体、有機導電体からなる群から選択される一の材質を含むものである、請求項1または請求項2に記載の光吸収体。
  8. 光吸収体の吸収するべき波長域に応じ前記導電性厚膜と前記誘電体表面との間の光学距離が調整されている、請求項1または請求項2に記載の光吸収体。
  9. 前記導電性厚膜および前記導電性薄膜のうち、前記導電性薄膜が吸収すべき光波の入射側となるように向けられている、請求項1または請求項2に記載の光吸収体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光吸収体を用いるボロメーター。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光吸収体を用いる赤外線吸収体。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光吸収体を用いる太陽熱発電装置。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光吸収体を用いる放射冷却フィルム。
  14. ある誘電体表面に沿うランダムな位置において各誘電体凸部が該誘電体表面から突出している誘電体凸部の群を形成するステップと、
    該群に含まれる各誘電体凸部の表面のうちの少なくとも一部の上またはその上方と該誘電体表面のうち誘電体凸部が存在しない部分のうちの少なくとも一部の上またはその上方とに導電性薄膜を配置するステップと、
    該導電性薄膜から離れ前記誘電体表面に沿って広がる導電性厚膜を形成するステップと
    を含む光吸収体の製造方法。
  15. 前記誘電体凸部の群を形成するステップが、前記誘電体表面に接して各誘電体粒子を面内でランダムに配置するステップを含み、
    前記導電性薄膜を配置するステップは、該群に含まれる各誘電体粒子の表面のうち各誘電体粒子からみて前記二次元面側とは逆に向かう側の領域のうちの少なくとも一部の上またはその上方と該誘電体表面の誘電体粒子が配置されていない部分のうちの少なくとも一部の上またはその上方とに導電性薄膜を配置するステップである、請求項14に記載の光吸収体の製造方法。
  16. 前記誘電体凸部の群を形成するステップが、前記誘電体粒子の分散液を前記誘電体表面に接触させることにより面内でランダムに配置された各誘電体粒子を前記誘電体表面に定着させるステップを含んでいる、請求項15に記載の光吸収体の製造方法。
  17. 前記誘電体粒子の分散液が、吸収係数または消衰係数における基準値が得られるよりも高い濃度に調整されている、請求項16に記載の光吸収体の製造方法。
JP2018537208A 2016-08-31 2017-08-24 光吸収体、ボロメーター、赤外線吸収体、太陽熱発電装置、放射冷却フィルム、及び光吸収体の製造方法 Active JP6877770B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016169692 2016-08-31
JP2016169692 2016-08-31
PCT/JP2017/030403 WO2018043298A1 (ja) 2016-08-31 2017-08-24 光吸収体、ボロメーター、赤外線吸収体、太陽熱発電装置、放射冷却フィルム、及び光吸収体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018043298A1 true JPWO2018043298A1 (ja) 2019-07-04
JP6877770B2 JP6877770B2 (ja) 2021-05-26

Family

ID=61301882

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018537208A Active JP6877770B2 (ja) 2016-08-31 2017-08-24 光吸収体、ボロメーター、赤外線吸収体、太陽熱発電装置、放射冷却フィルム、及び光吸収体の製造方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US11802999B2 (ja)
EP (1) EP3508893B1 (ja)
JP (1) JP6877770B2 (ja)
WO (1) WO2018043298A1 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2019414511A1 (en) 2018-12-27 2021-07-22 SkyCool Systems, Inc. Cooling panel system
CN109631416B (zh) * 2019-01-04 2021-02-26 重庆大学 水气两用平板型太阳能集热和辐射制冷综合利用装置
US11359841B2 (en) * 2019-04-17 2022-06-14 SkyCool Systems, Inc. Radiative cooling systems
JP7138254B2 (ja) 2019-05-31 2022-09-15 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 複合冷却フィルム及び同フィルムを含む物品
CN113874213B (zh) * 2019-05-31 2022-07-01 3M创新有限公司 复合冷却膜和包括该复合冷却膜的制品
CN111497378A (zh) * 2020-04-20 2020-08-07 宁波瑞凌新能源科技有限公司 辐射制冷金属板、其制备方法及应用
SG11202007968WA (en) 2020-04-20 2021-11-29 Ningbo Radi Cool Advanced Energy Technologies Co Ltd Radiative cooling metal plate, preparation method and application thereof
JP2024004499A (ja) * 2020-11-06 2024-01-17 国立大学法人大阪大学 輻射デバイス、放射冷却装置及び輻射デバイスの製造方法
CN112613173B (zh) * 2020-12-18 2022-08-26 北京理工大学 一种金黑薄膜吸收率计算模拟方法
CN114543372B (zh) * 2022-02-21 2023-11-17 中南大学 一种适用于宽温度范围的高性能太阳能光谱选择性吸热器

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012014976A (ja) * 2010-07-01 2012-01-19 Canon Inc 発光素子とその製造方法
JP2012164980A (ja) * 2011-01-21 2012-08-30 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 光電変換装置とその製造方法
JP2015010825A (ja) * 2013-06-26 2015-01-19 スタンレー電気株式会社 局在プラズモン共鳴チップ
WO2015011009A1 (en) * 2013-07-24 2015-01-29 Eth Zurich Thin film broadband plasmonic absorber
JP2015121417A (ja) * 2013-12-20 2015-07-02 三菱電機株式会社 電磁波検出器

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5403435A (en) * 1992-01-23 1995-04-04 Micron Technology, Inc. Process for selectively etching integrated circuit devices having deep trenches or troughs or elevated features with re-entrant profiles
US6080987A (en) * 1997-10-28 2000-06-27 Raytheon Company Infrared-sensitive conductive-polymer coating
US20090316262A1 (en) * 2006-08-09 2009-12-24 Nippon Sheet Glass Company, Limited Transmission type polarizing element, and composite polarizing plate using the element
US8013238B2 (en) * 2007-07-09 2011-09-06 Energy Related Devices, Inc. Micro concentrators elastically coupled with spherical photovoltaic cells
US9136422B1 (en) * 2012-01-19 2015-09-15 Alta Devices, Inc. Texturing a layer in an optoelectronic device for improved angle randomization of light
FR2954856B1 (fr) * 2009-12-30 2012-06-15 Saint Gobain Cellule photovoltaique organique et module comprenant une telle cellule
US20160003744A1 (en) * 2012-04-10 2016-01-07 The Trustees Of Princeton University Plasmonic Nanocavity Array Sensors for Analyte Detection Enhancement and Methods for Making and Using of the Same
US20140154668A1 (en) * 2010-05-21 2014-06-05 The Trustees Of Princeton University Structures for Enhancement of Local Electric Field, Light Absorption, Light Radiation, Material Detection and Methods for Making and Using of the Same.
KR20130129886A (ko) * 2010-06-08 2013-11-29 퍼시픽 인테그레이티드 에너지, 인크. 강화된 필드들 및 전자 방출을 갖는 광학 안테나들
US8669125B2 (en) * 2010-06-18 2014-03-11 Glo Ab Nanowire LED structure and method for manufacturing the same
US9606414B2 (en) 2012-04-16 2017-03-28 Duke University Apparatus and method for providing a selectively absorbing structure
EP2912700A4 (en) * 2012-10-26 2016-04-06 Glo Ab NANODRAHT LED STRUCTURE AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF
CA2899045A1 (en) 2013-02-21 2014-08-28 The Governing Council Of The University Of Toronto Photovoltaic devices with plasmonic nanoparticles
US20150036234A1 (en) * 2013-08-01 2015-02-05 Board Of Regents, The University Of Texas System Methods and compositions related to dielectric coated metal nanoparticles in thin-film opto-electronic conversion devices
FR3012363B1 (fr) * 2013-10-30 2015-10-23 Saint Gobain Element en couches transparent
US10254169B2 (en) * 2014-09-09 2019-04-09 The Government Of The United States Of America, As Represented By The Secretary Of The Navy Optical detector based on an antireflective structured dielectric surface and a metal absorber

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012014976A (ja) * 2010-07-01 2012-01-19 Canon Inc 発光素子とその製造方法
JP2012164980A (ja) * 2011-01-21 2012-08-30 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 光電変換装置とその製造方法
JP2015010825A (ja) * 2013-06-26 2015-01-19 スタンレー電気株式会社 局在プラズモン共鳴チップ
WO2015011009A1 (en) * 2013-07-24 2015-01-29 Eth Zurich Thin film broadband plasmonic absorber
JP2015121417A (ja) * 2013-12-20 2015-07-02 三菱電機株式会社 電磁波検出器

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
C. NG ET AL.: ""Hot Carrier Extraction with Plasmonic Broadband Absorbers"", ACS NANO, vol. 10, no. 4, JPN6020048761, 16 March 2016 (2016-03-16), pages 4704 - 4711, ISSN: 0004470872 *
K. AYDIN ET AL.: ""Broadband polarization- independent resonant light absorption using ultrathin plasmonic super absor", NATURE COMMUNICATIONS, vol. 2, no. 517, JPN6020048755, 1 November 2011 (2011-11-01), pages 1 - 7, ISSN: 0004470870 *
M. K. HEDAYATI ET AL.: ""Design of a Perfect Black Absorber at Visible Frequencies Using Plasmonic Metamaterials"", ADVANCED MATERIALS, vol. 23, no. 45, JPN6020048758, 14 October 2011 (2011-10-14), pages 5410 - 5414, XP055584905, ISSN: 0004470871, DOI: 10.1002/adma.201102646 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2018043298A1 (ja) 2018-03-08
JP6877770B2 (ja) 2021-05-26
US11802999B2 (en) 2023-10-31
US20190391301A1 (en) 2019-12-26
EP3508893B1 (en) 2023-01-11
EP3508893A1 (en) 2019-07-10
EP3508893A4 (en) 2020-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6877770B2 (ja) 光吸収体、ボロメーター、赤外線吸収体、太陽熱発電装置、放射冷却フィルム、及び光吸収体の製造方法
Rensberg et al. Epsilon-near-zero substrate engineering for ultrathin-film perfect absorbers
Pillai et al. The effect of dielectric spacer thickness on surface plasmon enhanced solar cells for front and rear side depositions
Yu et al. Large‐area, broadband, wide‐angle plasmonic metasurface absorber for midwavelength infrared atmospheric transparency window
He et al. Light absorber with an ultra-broad flat band based on multi-sized slow-wave hyperbolic metamaterial thin-films
Liu et al. Ultrathin planar broadband absorber through effective medium design
JP7203431B2 (ja) 電界効果調整可能イプシロンニアゼロ吸収装置
Devarapu et al. Broadband near-unidirectional absorption enabled by phonon-polariton resonances in SiC micropyramid arrays
Bora et al. Plasmonic black metals in resonant nanocavities
Shafique et al. Highly efficient Vanadium Nitride based metasurface absorber/emitter for solar-thermophotovoltaic system
Ma et al. High-efficiency and ultrabroadband flexible absorbers based on transversely symmetrical multi-layer structures
Dyakov et al. Quasiguided modes of opaline photonic crystals covered by Ge 2 Sb 2 Te 5
Yang et al. Light trapping enhancement in a thin film with 2D conformal periodic hexagonal arrays
Ghobadi et al. Ultra-broadband asymmetric light transmission and absorption through the use of metal free multilayer capped dielectric microsphere resonator
Chen et al. Semiconductor nanowire array for transparent photovoltaic applications
CN110673249A (zh) 一种反射滤光片
Qian et al. A broadband and polarization-independent metasurface perfect absorber for hot-electron photoconversion
Hyun Lee et al. Light confinement-induced antireflection of ZnO nanocones
Min-Dianey et al. Near-infrared transmissive properties of porous Si/Al2O3 photonic crystal band gaps
US10935707B1 (en) Optical coating for spectral conversion
CN108919405A (zh) 角度不敏感反射滤光片
Almossalami et al. Integrating two epsilon-near-zero materials into planar multilayer metamaterial structure for broadband near-perfect mid-IR absorption
Chai et al. A design strategy of wide angle, broadband tunable near-infrared absorber
Conley et al. Plasmonically enhanced spectrally-sensitive coatings for gradient heat flux sensors
Aalizadeh et al. A Route to Unusually Broadband Absorption Spanning from Visible to Mid-Infrared

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200619

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210401

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210421

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6877770

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250